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通達:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について

 

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について

平成28年8月2日職発0802第1号・雇児発0802第3号

(都道府県労働局長あて厚生労働省職業安定局長、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)

改正 平成28年12月27日雇児発1227第 1号

最終改正 令和2年2月10日雇均発0210第 3号

 

雇用保険法等の一部を改正する法律(平成28年法律第17号)については、雇用保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令(平成28年厚生労働省令第137号)及び子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する告示(平成28年厚生労働省告示第313号)とともに平成29年1月1日から施行又は適用されている。

今般、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第24号。以下「改正法」という。)が令和元年6月5日に公布され、改正法の施行に関して、女性活躍推進法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令(令和元年厚生労働省令第86号)及び事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針等の一部を改正する告示(令和元年厚生労働省告示第6号)が公布又は告示されたところであり、これらの省令及び告示は、改正法とともに令和元年6月1日から施行又は適用されることとなっている。

改正法による改正後の育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号。以下「法」という。)、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則(平成3年労働省令第25号。以下「則」という。)及び子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針(平成21年厚生労働省告示第509号。以下「指針」という。)等の主たる内容及び取扱いは下記のとおりであるので、その的確な施行に遺漏なきを期されたい。

なお、本通達の施行に伴い、平成21年12月28日付け職発第1228004号・雇児発第1228002号「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について」は、廃止する。

 

目次

第1 総則(法第1章)

 1 目的(法第1条)

 2 定義(法第2条)

 3 基本的理念(法第3条)

 4 関係者の責務(法第4条)

第2 育児休業(法第2章)

 1 1歳までの育児休業の申出(法第5条第1項)

 2 1歳までの再度の育児休業(法第5条第2項)

 3 1歳から1歳6か月までの育児休業の申出(法第5条第3項)

 4 1歳6か月から2歳までの育児休業の申出(法第5条第4項及び同条第5項)

 5 育児休業の申出の方法(法第5条第6項)

 6 期間を定めて雇用される者の育児休業申出に係る特例(法第5条第7項)

 7 育児休業申出があった場合における事業主の義務(法第6条第1項)

 8 育児休業申出を拒まれた労働者の育児休業(法第6条第2項)

 9 事業主による育児休業開始予定日の指定(法第6条第3項)

 10 期間を定めて雇用される者の育児休業申出に係る特例(法第6条第4項)

 11 育児休業開始予定日の変更の申出(法第7条第1項)

 12 変更の申出に係る育児休業開始予定日の指定(法第7条第2項)

 13 育児休業終了予定日の変更の申出(法第7条第3項)

 14 育児休業申出の撤回(法第8条第1項)

 15 撤回後の再度の育児休業申出(法第8条第2項)

 16 育児休業申出がされなかったものとみなす事由(法第8条第3項)

 17 育児休業期間の考え方(法第9条第1項)

 18 育児休業期間の終了(法第9条第2項)

 19 育児休業期間の終了に関する労働者の通知義務(法第9条第3項)

 20 両親ともに育児休業をする場合の特例(パパ・ママ育休プラス)(法第9条の2第1項)

 21 両親ともに育児休業をする場合の特例の例外(法第9条の2第2項)

 22 公務員である配偶者がする育児休業に関する規定の適用(法第9条の3)

 23 不利益取扱いの禁止(法第10条)

第3 介護休業(法第3章)

 1 介護休業の申出(法第11条第1項)

 2 介護休業の回数及び日数(法第11条第2項)

 3 介護休業の申出の方法(法第11条第3項)

 4 期間を定めて雇用される者の介護休業申出に係る特例(法第11条第4項)

5 介護休業申出があった場合における事業主の義務(法第12条第1項及び同条第2項において準用する法第6条第1項ただし書)

 6 介護休業申出を拒まれた労働者の介護休業(法第12条第2項において準用する法第6条第2項)

 7 事業主による介護休業開始予定日の指定(法第12条第3項)

 8 期間を定めて雇用される者の介護休業申出に係る特例(法第12条第4項)

 9 介護休業開始予定日の変更の申出

 10 介護休業終了予定日の変更の申出(法第13条において準用する法第7条第3項)

 11 介護休業申出の撤回(法第14条第1項)

 12 撤回後の再度の介護休業申出(法第14条第2項)

 13 介護休業申出がされなかったものとみなす事由(法第14条第3項において準用する法第8条第3項)

 14 介護休業期間の考え方(法第15条第1項及び第2項)

 15 介護休業期間の終了(法第15条第3項)

 16 介護休業期間の終了に関する労働者の通知義務(法第15条第4項において準用する法第8条第3項後段)

 17 不利益取扱いの禁止(法第16条において準用する法第10条)

第4 子の看護休暇(法第4章)

 1 子の看護休暇の申出(法第16条の2第1項)

 2 子の看護休暇の1日未満単位での取得の考え方(法第16条の2第2項)

 3 子の看護休暇の申出の方法(法第16条の2第3項)

 4 子の看護休暇の申出があった場合における事業主の義務(法第16条の3)

 5 看護休暇申出を拒まれた労働者の子の看護休暇(法第16条の3第2項において準用する法第6条第2項)

 6 不利益取扱いの禁止(法第16条の4において準用する法第10条)

第5 介護休暇(法第5章)

 1 介護休暇の申出(法第16条の5第1項)

 2 介護休暇の1日未満単位での取得の考え方(法第16条の5第2項)

 3 介護休暇の申出の方法(法第16条の5第3項)

 4 介護休暇の申出があった場合における事業主の義務(法第16条の6)

 5 介護休暇申出を拒まれた労働者の介護休暇(法第16条の6第2項において準用する法第6条第2項)

 6 不利益取扱いの禁止(法第16条の7において準用する法第10条)

第6 所定外労働の制限(法第6章)

 1 子の養育を行う労働者の所定外労働の制限の請求(法第16条の8第1項)

 2 子の養育を行う労働者の所定外労働の制限の請求の方法(法第16条の8第2項)

 3 子の養育を行う労働者の所定外労働の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第16条の8第3項)

 4 制限期間の終了(法第16条の8第4項)

 5 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第16条の8第5項)

 6 家族の介護を行う労働者の所定外労働の制限の請求(法第16条の9第1項において準用する法第16条の8第1項)

7 家族の介護を行う労働者の所定外労働の制限の請求の方法(法第16条の9第1項において準用する法第16条の8第2項)

8 家族の介護を行う労働者の所定外労働の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第16条の9第1項において準用する法第16条の8第3項)

 9 制限期間の終了(法第16条の9第1項において準用する法第16条の8第4項)

 10 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第16条の9第2項において準用する法第16条の8第3項後段)

 11 不利益取扱いの禁止(法第16条の10)

 12 指針事項

第7 時間外労働の制限(法第7章)

 1 子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の請求(法第17条第1項)

 2 子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の請求の方法(法第17条第2項)

 3 子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第17条第3項)

 4 制限期間の終了(法第17条第4項)

 5 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第17条第5項)

 6 家族の介護を行う労働者の時間外労働の制限の請求(法第18条第1項において準用する法第17条第1項)

 7 家族の介護を行う労働者の時間外労働の制限の請求の方法(法第18条第1項において準用する法第17条第2項)

8 家族の介護を行う労働者の時間外労働の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第18条第1項において準用する法第17条第3項)

 9 制限期間の終了(法第18条第1項において準用する法第17条第4項)

 10 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第18条第2項において準用する法第17条第3項後段)

 11 不利益取扱いの禁止(法第18条の2)

 12 指針事項

第8 深夜業の制限(法第8章)

 1 子の養育を行う労働者の深夜業の制限の請求(法第19条第1項)

 2 子の養育を行う労働者の深夜業の制限の請求の方法(法第19条第2項)

 3 子の養育を行う労働者の深夜業の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第19条第3項)

 4 制限期間の終了(法第19条第4項)

 5 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第19条第5項)

 6 家族の介護を行う労働者の深夜業の制限の請求(法第20条第1項において準用する法第19条第1項)

 7 家族の介護を行う労働者の深夜業の制限の請求の方法(法第20条第1項において準用する法第19条第2項)

8 家族の介護を行う労働者の深夜業の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第20条第1項において準用する法第19条第3項)

 9 制限期間の終了(法第20条第1項において準用する法第19条第4項)

 10 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第20条第2項において準用する法第19条第3項後段)

 11 不利益取扱いの禁止(法第20条の2)

 12 指針事項

第9 事業主が講ずべき措置(法第9章)

 1 育児休業等に関する定めの周知(法第21条第1項)

 2 育児休業等に関する取扱いの明示(法第21条第2項)

 3 雇用管理等に関する措置(法第22条)

 4 3歳に満たない子を養育する労働者に関する所定労働時間の短縮措置(法第23条第1項)

 5 3歳に満たない子を養育する労働者に関する代替措置(法第23条第2項)

 6 指針事項

 7 介護のための所定労働時間の短縮等の措置(法第23条第3項)

 8 不利益取扱いの禁止(法第23条の2)

 9 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者等に関する措置(法第24条第1項)

 10 家族を介護する労働者に関する措置(法第24条第2項)

 11 職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置(法第25条)

 12 労働者の配置に関する配慮(法第26条)

 13 再雇用特別措置等(法第27条)

 14 指針(法第28条)

 15 職業家庭両立推進者(法第29条)

第10 国等による援助(法第10章第1節)

 1 事業主等に対する援助(法第30条)

 2 対象労働者等に対する相談、講習等(法第31条)

 3 再就職の援助(法第32条)

 4 職業生活と家庭生活との両立に関する理解を深めるための措置(法第33条)

 5 勤労者家庭支援施設(法第34条及び第35条)

第11 紛争の解決(法第11章第1節)

 1 苦情の自主的解決(法第52条の2)

 2 紛争の解決の促進に関する特例(法第52条の3)

 3 紛争の解決の援助(第52条の4)

第12 調停(法第11章第2節)

 1 調停の委任(法第52条の5)

 2 調停(法第52条の6)

 3 時効の中断(法第52条の6において準用する男女雇用機会均等法第24条)

 4 訴訟手続の中止(法第52条の6において準用する男女雇用機会均等法第25条)

 5 資料提供の要求等(法第52条の6において準用する男女雇用機会均等法第26条)

第13 委託募集の特例(法第12章)

 1 基本的考え方(法第53条第1項)

 2 具体的内容

 3 認定手続(法第53条第2項第2号)

 4 認定の取消し(法第53条第3項)

 5 委託募集の届出(法第53条第4項)

 6 委託募集の届出の受理(法第53条第5項)

 7 労働者募集報告(則第83条)

 8 報告の徴収(法第53条第7項)

 9 公共職業安定所の援助(法第54条)

 10 その他の留意事項

第14 その他の雑則(法第12章)

 1 調査等(法第55条)

 2 報告の徴収並びに助言、指導及び勧告(法第56条)

 3 公表(法第56条の2)

 4 労働政策審議会への諮問(法第57条)

 5 厚生労働省令への委任(法第59条)

 6 船員に関する特例(法第60条)

 7 公務員に関する特例(法第61条)

第15 罰則(法第13章)

 1 罰則(法第62条から第65条まで)

 2 過料(法第66条)

第16 改正法附則

 1 施行期日(改正法附則第1条)

 2 罰則に関する経過措置(改正法附則第13条)

 3 検討(改正法附則第14条)

第17 適用期日

 1 この通達は、平成29年1月1日から適用すること。

 

第1 総則(法第1章)

1 目的(法第1条)

(1) 子の養育又は家族の介護を行う労働者の雇用の継続及び育児・介護により退職した者の再就職の促進を図ることにより、主としてこれらの者の職業生活と家庭生活との両立に寄与することを通じて福祉の増進を図ること、また、副次的に、経済社会の発展に資することが目的であることを定めたものであり、そのための手段として、第一に育児休業及び介護休業に関する制度を設けること、第二に子の看護休暇及び介護休暇に関する制度を設けること、第三に子の養育及び家族の介護を容易にするため所定労働時間等に関し事業主が講ずべき措置を定めること、第四に子の養育又は家族の介護を行う労働者等に対する支援措置を講ずることを明らかにするものであること。

(2) 子の養育のために育児休業をするか否か、家族の介護のために介護休業をするか否か、子の看護のために看護休暇を取得するか否か、家族の介護その他の世話を行うために介護休暇を取得するか否か、また、事業主が講ずる所定労働時間の短縮等の措置を利用するか否かは、労働者自身の選択に任せられているものであること。

(3) 「育児休業及び介護休業に関する制度」とは、法第2章及び第3章に定めるところにより労働者に育児休業及び介護休業の民事的権利を与える「育児休業及び介護休業の制度」並びに事業主の努力義務としている法第21条の育児休業及び介護休業に関する定めの周知等の措置並びに法第22条の雇用管理等に関する措置の意であること。

(4) 「子の看護休暇及び介護休暇に関する制度」とは、法第4章に定めるところにより労働者に子の看護休暇の民事的権利を与える「子の看護休暇の制度」及び法第5章に定めるところにより労働者に介護休暇の民事的権利を与える「介護休暇の制度」の意であること。

(5) 「子の養育及び家族の介護を容易にするため所定労働時間等に関し事業主が講ずべき措置」とは、法第23条第1項の育児のための所定労働時間の短縮措置、同条第2項の育児休業に関する制度に準ずる措置及び始業時刻変更等の措置並びに同条第3項の介護のための所定労働時間の短縮等の措置のほか、法第24条の事業主が講ずるよう努めるべき措置を含むものであること。

(6) 「雇用の継続」とは、育児休業又は介護休業によって休業している期間等において労働契約関係が継続することの意であり、育児休業、介護休業その他の制度がなければ退職してしまうような労働者について、当該事業主との間において労働契約関係が退職により途切れることのないようにすることを目的としたものであること。

(7) 「再就職の促進」とは、妊娠、出産若しくは育児又は介護を理由として退職した者に対して再就職を促進するものであり、すぐに再就職をすることを希望する者に限らず、当面は育児又は介護に専念しつつ将来において再就職することを希望する者に対する再就職の促進を含むものであること。

(8) 「職業生活と家庭生活との両立」とは、「職業生活の全期間を通じてその能力を有効に発揮して充実した職業生活を営むとともに、育児又は介護について家族の一員としての役割を円滑に果たすことができるようにすること」(法第3条第1項)をいうものであること。

「職業生活と家庭生活との調和」と基本的に同趣旨であるが、「調和」は全体としての釣り合いを重視する意味合いであるのに対して、「両立」はともに並び立つことを重視する意味合いであること。

2 定義(法第2条)

(1) 育児休業(法第2条第1号)

労働者が、法第2章に定めるところにより、その子を養育するためにする休業をいうものとすること。この場合において、日々雇用される者は、育児を理由とする雇用の中断を防ぎ、その継続を図ることを目的として、子が1歳、1歳6か月又は2歳に達するまでの長期的な休業となり得る育児休業の性質になじまない雇用形態の労働者であることから、対象となる労働者から除くこととしたものであること。なお、法第9条の3における育児休業の定義は、同条に定めるところによるものであること。

イ 「労働者」とは、労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する「労働者」と同義であり、同居の親族のみを雇う事業に雇用される者及び家事使用人は除外するものであること。

ロ 「日々雇用される者」とは、1日単位の労働契約期間で雇われ、その日の終了によって労働契約も終了する契約形式の労働者であること。なお、労働契約の形式上日々雇用されている者であっても、当該契約が期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている場合には、実質的に期間の定めのない契約に基づき雇用される労働者であるとして育児休業及び介護休業の対象となるものであること。

ハ 「子」とは、①労働者と法律上の親子関係がある子(養子を含むものであること。)、②特別養子縁組を成立させるために養親となる者が養子となる者を6か月以上の期間現実に監護しているときの当該期間(以下「監護期間」という。)にある者、③養子縁組里親に委託されている者及び④特別養子縁組により養親となろうとする者又は養子縁組里親に準ずる者として厚生労働省令で定める者に厚生労働省令で定めるところにより委託されている者をいうこと。なお、育児休業期間中に養子縁組が成立した場合には、法律上の子となるため、引き続き育児休業をすることが可能であること。また、子の看護休暇、育児をする労働者についての所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、育児のための短時間勤務措置等についても同様であるが、介護休業、介護休暇等介護に関する制度については、①のみをいうものであること。

(イ) 特別養子縁組とは、原則として6歳未満の未成年者の福祉のため特に必要があるときに、未成年者とその実親側との法律上の親族関係を消滅させ、実親子関係に準じる安定した養親子関係を家庭裁判所が成立させる縁組制度であること(民法(明治29年法律第89号)第4編第3章第5款)。裁判所が特別養子縁組を成立させるには、養親となる者が養子となる者を6か月以上の期間監護した状況を考慮しなければならないものとされており(民法第817条の8第1項)、この期間について育児休業を認めるものであること。監護期間は、原則として家庭裁判所に特別養子縁組の成立の請求をした日から起算するものであること(同条第2項)。特別養子縁組の成立の請求が裁判所に係属するまでは、育児休業の対象とならないものであること。

(ロ) 養子縁組里親とは、保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童(以下「要保護児童」という。)を養育すること及び養子縁組によって養親となることを希望する者(都道府県知事が厚生労働省令で定めるところにより行う研修を修了した者に限る。)のうち、児童福祉法第34の19に規定する養子縁組里親名簿に登録されたもののことをいうこと。委託措置が決定される前の一時的な預かりなどの期間は育児休業の対象とならないものであること。

(ハ) 特別養子縁組により養親となろうとする者及び養子縁組里親に準ずる者として厚生労働省令で定める者に厚生労働省令で定めるところにより委託されている者とは、児童相談所において、当該労働者に養子縁組里親として委託すべきである要保護児童として手続を進めていたにもかかわらず、委託措置決定を出す段階に至って実親等の親権者等が反対したため、養子縁組里親として委託することができず、やむなく当該労働者を養育里親として委託されている要保護児童をいうこと(則第1条)。これに該当するかは、平成28年雇児総発0802第1号・雇児福発0802第1号・雇児職発0802第1号に基づき児童相談所長が発行する証明書を参考に判断すべきこと。

ニ 「養育」とは、同居し監護するとの意であり、監護とは民法第820条に規定する監護と同義であること。病気、旅行により短期間同居に欠けていても「養育している」ことに変わりがないものであること。

ホ 「休業」とは、労働契約関係が存続したまま労働者の労務提供義務が消滅することをいい、労働基準法第89条第1号の「休暇」に含まれること。

「休暇」と「休業」とを厳密に区別する基準はないが、「休暇」のうち連続して取得することが一般的であるものを「休業」としている用語例(労働基準法第65条の産前産後の休業など)にならったものであること。

なお、民法第536条により、休業期間中の事業主の賃金支払義務は消滅すること。したがって、休業期間中の労働者に対する賃金の支払を義務づけるものではないこと。

(2) 介護休業(法第2条第2号)

労働者が、法第3章に定めるところにより、その要介護状態にある対象家族を介護するためにする休業をいうものとすること。この場合において、日々雇用される者は、育児休業の場合と同様、対象となる労働者から除くこととしたものであること(法第2条第1号)。

イ 「介護」とは、歩行、排泄、食事等の日常生活に必要な便宜を供与するの意であること。

ロ 「休業」については、育児休業の場合と同様であること((1)ホ参照)。

(3) 要介護状態(法第2条第3号)

負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、厚生労働省令で定める期間にわたり常時介護を必要とする状態をいうものとすること。なお、これは介護保険制度における「要介護状態」と必ずしも一致するものではないこと。

イ 「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害」とは、負傷又は疾病による場合、負傷又は疾病にかかり治った後障害が残った場合及び先天的に障害を有する場合を含むこと。

乳幼児の通常の成育過程において日常生活上必要な便宜を供与する必要がある場合についてはこれに該当しないが、老齢により身体機能が相当程度低下した場合はこれに該当するものであること。

ロ 「厚生労働省令で定める期間」については、介護休業の制度の目的が家族を介護する労働者の雇用の継続を図るものであることにかんがみ、常時介護を要する状態が一時的な、日常的にかかり得る傷病による場合を除く趣旨から、「常時介護を必要とする状態が2週間以上の期間にわたり継続すること」を要件としたものであること(則第2条)。

ハ 「常時介護を必要とする状態」とは、常態的に介護を必要とする状態をいい、この状態に関する判断については、別添1の判断基準によるものとすること。

(4) 対象家族(法第2条第4号)

法に先行して介護のための休業の制度を導入していた企業の実態等を踏まえ、当該労働者が介護をする必要性の高い家族として、配偶者、父母、子、配偶者の父母並びに父母及び子に準ずる者として厚生労働省令で定める者を介護休業の対象となる家族の範囲としたものであること。

イ 「配偶者」とは、いわゆる内縁関係にある配偶者を含むものであること。

ロ 「父母」とは、労働者と法律上の親子関係がある父母の意であり、実父母のみならず養父母を含むものであること。

ハ 「子」とは、労働者と法律上の親子関係がある子の意であり、実子のみならず養子を含むものであること。

ニ 「これらの者に準ずる者」とは、厚生労働省令では、祖父母、兄弟姉妹及び孫としたものであること(則第3条)。

(イ) 「祖父母」とは、当該労働者の実親の実親、実親の養親、養親の実親及び養親の養親のすべてを含むが、当該労働者の実親の養親及び養親の養親については、当該労働者の親と当該労働者の親の養親との養子縁組関係が成立した後に当該労働者と当該労働者の親との親子関係が生じた場合に限るものであること(民法第727条)。

(ロ) 「兄弟姉妹」とは、当該労働者の実親の実子、実親の養子、養親の実子及び養親の養子のすべてを含むものであること。

(ハ) 「孫」とは、当該労働者の実子の実子、実子の養子、養子の実子及び養子の養子のすべてを含むが、当該労働者の養子の実子及び養子の養子については、当該労働者と当該労働者の養子との養子縁組関係が成立した後に当該労働者の養子と当該労働者の養子の子との親子関係が生じた場合に限るものであること。

ホ 「配偶者の父母」とは、配偶者(いわゆる内縁関係にある配偶者を含む。)の実父母及び養父母をいうこと。

(5) 家族(法第2条第5号)

イ 目的(法第1条)、基本的理念(法第3条)及び関係者の責務(法第4条)の規定のほか、下記の規定の適用対象となる「家族」の範囲に関しては、その規定の趣旨にかんがみ、介護休業の対象となる家族の範囲(対象家族)より幅広のものとなることが望ましく、「対象家族その他厚生労働省令で定める親族」としたものであること。

(イ) 事業主は、その家族を介護する労働者に関して、介護休業の制度又は勤務時間の短縮等の措置に準じて、その介護を必要とする期間、回数等に配慮した必要な措置を講ずるよう努めなければならないこと(法第24条第2項)。

(ロ) 国は、家族の介護を行う労働者等の福祉の増進を図るため、事業主、事業主の団体その他の関係者に対する援助を行うことができること(法第30条)。

(ハ) 国は、家族の介護を行う労働者等に対して、これらの者の職業生活と家庭生活との両立の促進等に資するため、必要な指導、相談、講習その他の措置を講ずるものとし、地方公共団体はその措置に準じた措置を講ずるように努めなければならないものとすること(法第31条)。

(ニ) 地方公共団体は、必要に応じ、家族の介護を行う労働者等の福祉の増進を図るための事業を総合的に行うことを目的とする勤労者家庭支援施設を設置するよう努めなければならないこと(法第34条)。

ロ 「家族」の範囲は、対象家族及びこれら以外の同居の親族としたものであること(法第2条第5号及び則第4条)。

「親族」とは、民法第725条の親族と同義であり、6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族をいうものであること。

したがって、「家族」の範囲は、配偶者、父母、子及び配偶者の父母並びにこれら以外の同居の6親等内の血族及び3親等内の姻族となるものであること。

「同居の親族」は、互いに扶け合わなければならないものとされていること(民法第730条)などから、適用対象範囲としたものであること。

この場合の「同居」とは、世帯を同じくしている場合のほか、労働者が介護のために別居していた家族の家に泊り込んだり、介護のために別居していた家族を当該労働者宅に引き取る場合を含めるものであること。

3 基本的理念(法第3条)

(1) 第1項は、法第1条の目的規定の「職業生活と家庭生活との両立」の内容を具体的に明らかにしたものであり、法による子の養育又は家族の介護を行う労働者等の福祉の増進の基本的理念が、この「職業生活と家庭生活との両立」にあることを明らかにしたものであること。

「職業生活の全期間を通じて」とあるのは、一時期職業生活から離れて家庭生活のみを送っていても、再び充実した職業生活を送ることとなるような場合も「職業生活と家庭生活との両立」に含める趣旨であること。

(2) 第2項は、子の養育又は家族の介護を行うための休業をする労働者は、その休業の趣旨が本人の雇用の継続のためであること、そのために事業主その他の関係者も本人の休業に配慮するものであること等にかんがみ、当該趣旨を没却させないよう、休業後の職場復帰に備えて心づもりをしておくべきであることを明らかにしたものであること。

また、この規定は、労働者に対して法的に具体的義務を課すというものではなく、訓示規定であること。

4 関係者の責務(法第4条)

法第4条は、事業主並びに国及び地方公共団体に対して、3の基本的理念に従って、子の養育又は家族の介護を行う労働者等の福祉を増進するように努めなければならないことを明らかにしたものであること。

本条に関する事業主の具体的義務の内容としては、第2章から第9章までに規定されているが、それ以外のことについても配慮すべきであることを明らかにした訓示規定であり、本条によって事業主に対して法的に具体的義務を課すというものではないこと。

 

第2 育児休業(法第2章)

1 1歳までの育児休業の申出(法第5条第1項)

(1) 労働者(日々雇用される者を除く。)が事業主に対して「申出」という行為をすることによって、その1歳に満たない子を養育するために育児休業をすることができることとしたものであること。ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、次のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができるものであること。

イ 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者

ロ その養育する子が1歳6か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者

なお、期間を定めて雇用される者については、その数が年々増加するとともに、その多くが労働契約の更新を繰り返して継続して雇用されている状況にあることを踏まえ、休業を可能にすることにより雇用の継続の可能性があると考えられる一定の範囲のものについて、育児休業の対象としているものであること。

(2) 「1歳に満たない」とは、誕生日の前日までとの意であること。なお、子が1歳に達するのは、民法第143条に基づく期間の計算(暦日計算)及び年齢計算ニ関スル法律(明治35年法律第50号)により、いわゆる誕生日の前日午後12時とされているので、例えば、平成28年4月1日が生年月日の子が1歳に達するのは、平成29年3月31日午後12時となること。なお、閏日に生まれた子については、誕生日が存在しないため、「1歳に達する日」はその月の末日をいうものであること(民法第143条第2項)。例えば、平成28年2月29日が生年月日の子が1歳に達する日は、平成29年2月28日であること。

(3) 「事業主」とは、その事業の経営の主体であって、個人企業の場合はその企業主個人、会社その他の法人組織の場合にはその法人そのものの意であること。法に基づく育児休業に関する手続は、事業主又はその委任を受けてその権限を行使する者と労働者との間で行われるものであること。

なお、各事業所の責任者は事業主ではないが、事業主の委任を受けてその権限を行使することはあり得るものであること。

(4) 「その事業主」とは、その労働者が雇用される事業主の意であること。労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)第2条第2号の派遣労働者については、派遣元と派遣労働者との間に労働契約関係があることから、派遣元の事業主をいうものであり、指針第二の十六の(一)は、これを明示したものであること。出向元との間に労働契約関係が存在しないいわゆる移籍出向者については、出向先の事業主をいうものであること。また、いわゆる在籍出向者については、賃金の支払、労働時間管理等が出向先と出向元でどのように分担されているかによってそれぞれケースごとに判断されるべきものであること。

(5) 申出の効果は、事業主(事業主の権限を委任された者がある場合には、その委任を受けた者。以下同じ。)に到達することによって、発生するものであること。

(6) 「期間を定めて雇用される者」とは、期間の定めのある労働契約に基づき雇用される者をいうものであるが、次のイ及びロに留意すること。

イ 期間を定めて雇用される者の労働契約期間は、労働基準法第14条の規定により、原則として3年以内でなければならないものとされているものであること。なお、同条の規定により、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの(例えば4年間で完了する土木工事において技師を4年契約で雇い入れる場合など)については労働契約期間が3年を超えることが、また、①「労働基準法第14条第1項第1号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準を定める告示」(平成15年厚生労働省告示第356号)に定める高度の専門的知識等を持つ者を当該専門的知識等を必要とする業務に就ける場合に締結される労働契約や、②満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約については、労働契約期間が5年まで、それぞれ許容されているが、これらの労働契約に係る労働者は「期間を定めて雇用される者」に含まれるものであること。

なお、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(平成15年厚生労働省告示第357号)第1条第1項において、使用者は、期間の定めのある労働契約の締結に際し、労働者に対して、当該契約の期間の満了後における当該契約に係る更新の有無及びその判断基準を明示しなければならないこととされているものであること。

ロ 労働契約の形式上期間を定めて雇用されている者であっても、当該契約が期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている場合には、法第5条第1項各号に定める要件に該当するか否かにかかわらず、実質的に期間の定めのない契約に基づき雇用される労働者であるとして育児休業の対象となるものであること。このため、指針第二の一の(一)において、その判断に当たって事業主が留意すべき事項を示したものであること(指針事項)。

(イ) 指針第二の一の(一)のイ関係

指針第二の一の(一)のイの(イ)から(ホ)までは、雇止めの可否が争われた裁判例において契約関係の実態を評価するに当たり着目している項目を列挙したものであること。

a 指針第二の一の(一)のイの(イ)について

「労働者の従事する業務の客観的内容」とは、当該期間を定めて雇用される者が従事する仕事の種類、内容及び勤務の形態をいうものであること。

b 指針第二の一の(一)のイの(ロ)について

「労働者の契約上の地位の性格」とは、当該期間を定めて雇用される者の契約上の地位の基幹性・臨時性、労働条件についての正社員との同一性の有無等をいうものであること。

c 指針第二の一の(一)のイの(ハ)について

「当事者の主観的態様」とは、採用に際しての労働契約の期間や更新又は継続雇用の見込み等についての事業主からの説明等の継続雇用を期待させる当事者の言動・認識の有無・程度等をいうものであること。

d 指針第二の一の(一)のイの(ニ)について

「更新の手続・実態」とは、更新の有無・回数、勤続年数等の契約更新の状況や更新手続の有無・時期・方法、更新の可否の判断方法等の契約更新時における手続の厳格性の程度をいうものであること。

e 指針第二の一の(一)のイの(ホ)について

「他の労働者の更新状況」とは、当該期間を定めて雇用される労働者と同様の地位にある他の労働者の契約更新の状況をいうものであること。

(ロ) 指針第二の一の(一)のロ関係

指針第二の一の(一)のロは、指針第二の一の(一)のロの(イ)の実態を満たした上で同(ロ)の①から③までの実態のいずれか一つを満たした場合には、有期労働契約の雇止めの可否が争われた裁判例において期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っている契約であると認められていることが多いことを明らかにしたものであること。

a 「業務内容が恒常的であること」とは、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であることが肯定されるための必要条件となっており、当該事業において業務が定まって変わらないことをいうが、例えば、情報処理業におけるプログラミング業務などがこれに該当するものであること。

「恒常的」の対義語は「臨時的」であり、一定期間で作業終了が予定される補助業務に就いている場合などについては、業務内容が「臨時的」と認められること。

b 「契約が更新されていること」とは、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であることが肯定されるための必要条件となっており、少なくとも1回契約が更新されれば、これに該当するものであること。

c 「雇用継続を期待させる事業主の言動」があることは、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であることが肯定される方向に働く要素であり、例えば、労働者の長期にわたって働きたいとの希望に応じるような趣旨のことをほのめかすことなどがこれに該当するものであること。

d 「更新手続が形式的であること」は、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であることが肯定される方向に働く要素であり、例えば、必ずしも契約期間の満了の都度直ちに契約締結の手続をとっておらず次の契約期間の始期の経過後に契約を締結することもあること、労働条件等の契約内容についての交渉もなく使用者が記名押印した契約書に労働者が署名押印して返送するという機械的な手続を行っていることなどがこれに該当するものであること。

e 「同様の地位にある労働者について過去に雇止めの例がほとんどないこと」は、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であることが肯定される方向に働く要素であるが、雇止めの例が皆無である必要はなく、例えば、当該労働者に欠勤が多い等の特殊な理由で雇止めされた場合を除き契約が更新されているといった場合には、「過去に雇止めの例はほとんどないこと」に該当するものであり、また、当該労働者の自己都合で契約を終了することは、そもそも「雇止め」に該当しないものであること。

(ハ) 指針第二の一の(一)のハ関係

指針第二の一の(一)のハは、業務内容が正社員と同一であることが認められること又は労働者の地位の基幹性が認められることは、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であることが肯定される方向に働く補助的な要素となることを示したものであること。

「労働者の地位の基幹性」とは、当該事業所における当該期間を定めて雇用される者の立場が「基幹的」であることをいい、「基幹性」の対義語は「臨時性」であり、いわゆる嘱託や非常勤講師、アルバイトなどは、契約上の地位の臨時性が認められ、基幹性は認められないこと。

(7) 「期間を定めて雇用される者」が、次のイ及びロの育児休業の申出の要件を満たすか否かの判断に当たっては、以下の点に留意すること。

イ 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者(法第5条第1項第1号)

(イ) 「引き続き雇用された期間が一年以上」とは、育児休業申出又は介護休業申出のあった日の直前の1年間について、勤務の実態に即し雇用関係が実質的に継続していることをいうものであり、契約期間が形式的に連続しているか否かにより判断するものではないこと(指針第二の一の(二)のイ)。例えば、年末年始や週休日を空けて労働契約が締結されている場合や、すでに次の契約が締結されている場合は、雇用関係は「実質的に継続している」と判断されるものであること。

(ロ) 「当該事業主に引き続き雇用された期間」とは、労働契約の更新に伴い就業場所等の変更があった場合や契約期間中に事業所間異動があった場合にもそれぞれにおける雇用期間を通算して算定するものであること。また、労働組合の専従者となっている期間、長期療養等のために休職とされている期間等労務の提供が行われていない期間も、労働契約関係が継続する限り「雇用された期間」に含むものであること。

ロ 当該子が1歳6か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者(法第5条第1項第2号)

(イ) 「当該子が1歳6か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者」については、子が1歳に達するまで育児休業をした場合にその後短期間で雇用関係が終了することがあらかじめ明らかである者についてまで育児休業の対象とすることは、育児休業が雇用の継続を目的とする制度であること及び休業を受忍する事業主の負担からも適当でないが、それ以外の者については育児休業の対象としたものであること。

(ロ) 「当該子が1歳6か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)の期間が満了することが明らか」か否かについては、育児休業申出のあった時点において判明している事情に基づき労働契約の更新がないことが確実であるか否かによって判断されるものであること(指針第二の一の(二)のロ)。

(ハ) 「1歳6か月に達する日」とは、1歳の誕生日から誕生日の属する月の6か月後の月における誕生日の応当日の前日の意であり、例えば平成28年4月1日が生年月日の子が1歳6か月に達する日は、平成29年9月30日であること。なお、1歳6か月に達する月に誕生日の応当日が存在しない場合、「1歳6か月に達する日」はその月の末日をいうものであること(民法第143条第2項)。例えば、平成28年3月31日が生年月日の子が1歳6か月に達する日は、平成29年9月30日であること。したがって、1歳の誕生日から6か月後に労働契約関係が存在する可能性がある場合には、「1歳6か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らか」とは判断されないものであること。

(ニ) 「労働契約の更新がないことが確実」か否かについては、指針第二の一の(二)のロで、具体的事例を例示しているものであること(指針事項)。指針第二の一の(二)のロの(イ)及び(ロ)の労働者は、原則として、労働契約の更新がないことが確実であると判断される場合に該当するものであること。これらについて、子の出生の予定日の1月前の日に育児休業申出をするとの前提をおいて、具体的適用例を図示すると、別添2のとおりであること。ただし、雇用の継続の見込みに関する事業主の言動、同様の地位にある他の労働者の状況及び当該労働者の過去の契約の更新状況等から、これに該当しないと判断される場合もあり得ること。

(ホ) 事業主が「更新しない」旨の明示をしていない場合については、原則として、「労働契約の更新がないことが確実」とは判断されないものであること。

(ヘ) 指針第二の一の(二)のロの「雇用の継続の見込みに関する事業主の言動」にいう「事業主」とは、実質的に労働契約の更新について権限を持ち、労働契約の更新をするか否かの判断をする者をいうものであること。したがって、労働契約の形式上の当事者に限られるものではないが、労働契約の更新についての実質的な権限のない者は、含まれないものであること。

(8) 指針第二の一の(三)は、事業所にあらかじめ育児休業制度を導入し、かつ、就業規則の整備等必要な措置を講ずることを事業主に求めたものであること。これは、法律上、育児休業の制度が事業所内制度として設けられることが労働者の権利行使に当たって必須のものであるとはいえないが、法律上育児休業が労働者の権利として認められており、労働者がこれを容易に取得できるようにするためにも、育児休業の制度があらかじめ事業所内制度として設けられた上で、就業規則等に記載され、労働者に制度の存在が明らかになっていることが必要であることを明示したものであること。

2 1歳までの再度の育児休業(法第5条第2項)

(1) 子が1歳までの育児休業は、原則として同一の子について1回のみすることができるものであるが、その例外として厚生労働省令で定める特別の事情がある場合には、2回目以降の申出も認めることとしたものであること。

また、男性の育児休業取得を促進する観点から、出産後8週間以内にされた最初の育児休業など一定のもの(以下「パパ休暇」という。)については、育児休業をしたことがあるものに含めないこととしたものであること。

なお、「期間を定めて雇用される者」が、労働契約の更新に伴い更新後の期間について育児休業の申出をしようとする場合には、本項の規定の適用が除外され、再度の育児休業の申出をすることができること(法第5条第7項。5参照)。

(2) 「出生の日から起算して八週間を経過する日」とは、例えば、出生の日が4月1日(水)である場合には、5月26日(火)が当該「八週間を経過する日」に該当する(したがって、この場合「八週間を経過する日の翌日」は5月27日(水)となる)こと。

(3) 「出産予定日前に当該子が出生した場合にあっては当該出生の日から当該出産予定日から起算して八週間を経過する日の翌日までとし、出産予定日後に当該子が出生した場合にあっては当該出産予定日から当該出生の日から起算して八週間を経過する日の翌日までとする」とは、出産予定日と実際の出生日が異なる場合において、パパ休暇の取得に関する労働者の期待を保護する観点から設けられたものであること。

例えば、4月1日(水)が出産予定日である場合において、3月25日(水)に子が出生したときは、パパ休暇の対象となる期間は3月25日(水)から5月27日(水)までとなり、また、同様の場合において4月8日(水)に子が出生したときは、パパ休暇の対象となる期間は4月1日(水)から6月3日(水)までとなること。

(4) パパ休暇の対象となるためには、(2)又は(3)の期間内に育児休業が終了している必要があること。また、パパ休暇は男性の育児休業取得を促進する観点から設けられたものであるが、例えば養子縁組をした場合など、法律の要件を満たす場合には、女性であっても当然対象となりうること。

(5) 厚生労働省令で定める特別の事情がある場合としては、

イ 当初の申出に係る育児休業期間が新たな産前産後休業の開始により期間途中で終了した後に、新たな産前産後休業に係る子が死亡又は当該申出をした労働者と同居しないこととなったとき(則第5条第1号)

ロ 当初の申出に係る育児休業期間が新たな育児休業の開始により期間途中で終了した後に、新たな育児休業に係る子が①死亡したとき、②当該申出をした労働者と同居しないこととなったとき又は③民法第817条の2第1項の規定による請求に係る家事審判事件が終了したとき(特別養子縁組の成立の審判が確定した場合を除く。)若しくは養子縁組が成立しないまま児童福祉法第27条第1項第3号の規定による措置が解除されたとき。(則第5条第2号)

ハ 当初の申出に係る育児休業期間が介護休業の開始により期間途中で終了した後に、介護休業に係る対象家族が死亡又は当該申出をした労働者との親族関係が消滅したするに至ったとき(則第5条第3号)

ニ 配偶者が死亡したとき(則第5条第4号)

ホ 配偶者が負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により子を養育することが困難な状態になったとき(則第5条第5号)

ヘ 婚姻の解消その他の事情により配偶者が育児休業の申出に係る子と同居しないこととなったとき(則第5条第6号)

ト 法第5条第1項の申出に係る子が負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり世話を必要とする状態となったとき(則第5条第7号)

チ 法第5条第1項の申出に係る子について、保育所等における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当面その実施が行われないとき(則第5条第8号)があること。

(6) 則第5条第7号の「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害」の解釈及び「二週間以上」の考え方は、介護休業の場合と同様であること(第1の2の(3)のイ及びロ参照)。

(7) 則第5条第8号は、現在受けている保育サービスが受けられなくなった等の事情により新たに保育所等に入所申請を行ったが当面入所できないような場合を想定しているものである。

イ 「保育所等」とは、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第39条第1項に規定する保育所、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)第2条第6項に規定する認定こども園及び児童福祉法第24条第2項に規定する家庭的保育事業等をいうものであること。

ロ 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第2条第6項に規定する認定こども園とは、幼稚園型認定こども園(就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第3条第2項及び第4項の規定に基づき内閣総理大臣、文部科学大臣及び厚生労働大臣が定める施設の設備及び運営に関する基準(平成26年内閣府・文部科学省・厚生労働省告示第2号。以下この号において「基準」という。)第1の1に規定する幼稚園型認定こども園をいう。)、保育所型認定こども園(基準第1の2に規定する保育所型認定こども園をいう。)、地方裁量型認定こども園(基準第1の3に規定する地方裁量型認定こども園をいう。)及び幼保連携型認定こども園(同法第2条第7項に規定する幼保連携型認定こども園をいう。)をいうものであること。

ハ 児童福祉法第24条第2項に規定する家庭的保育事業等とは、家庭的保育事業(同法第6条の3第9項に規定する家庭的保育事業をいう。)、小規模保育事業(同条第10項に規定する小規模保育事業をいう。)、居宅訪問型保育事業(同条第11項に規定する居宅訪問型保育事業をいう。)又は事業所内保育事業(同条第12項に規定する事業所内保育事業をいう。)をいうものであること。

ニ 「保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当面その実施が行われないとき」とは、市町村に対して保育の申込みを行っており、市町村から、少なくとも、再度の育児休業に係る育児休業期間の初日において保育が行われない旨の通知がなされている場合をいうものであること。

(8) 「育児休業をしたことがある」とは、法による育児休業を申し出ただけではなく、実際に育児休業を開始したことが必要であること。

また、他の事業主の下で育児休業をしたことがあることは、「育児休業をしたこと」には含まれないものであること。

(9) 「当該育児休業を開始した日に養育していた子」とは、養育していた子が双子等複数いる場合は、そのすべての子の意であること。

また、子の出生が遅れたことにより休業開始予定日に休業申出に係る子がいない場合であっても、その後出生した子は「当該育児休業を開始した日に養育していた子」に含める趣旨であること。

(10) 則第5条第1号ロ及び同条第2号ロの「その他の事情」とは、労働者と配偶者の婚姻の解消、配偶者の長期の転勤等によって配偶者が育児休業に係る子を伴って労働者と別居することの意であること。また、このほか第2号ロについては、育児休業に係る子が養子である場合における離縁及び養子縁組の取消が含まれるものであること。

(11) 則第5条第1号ロ及び同条第2号ロの「当該労働者と同居しないこととなった」の同居しない期間は、永続的なものを想定しているが、転勤等の事情による場合も1年程度以上の期間同居しない状態が続くときは、含むものであること。

(12) 則第5条第5号の「子を養育することが困難な状態」とは、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条の身体障害者であること、又はこれと同程度に日常生活に制限を受ける精神障害があることにより自ら子を養育することが困難な状態のほか、再度の育児休業申出の時点から1月間を超える期間継続して、通院、加療のみならず入院又は安静を必要とすることが見込まれる状態をいうものであること。

(13) 則第5条第6号の「子と同居しないこととなった」の同居しない期間は、永続的なものを想定しているが、転勤等の事情による場合も再度の育児休業申出の時点から1月間を超えて同居しない状態が続くときは、含むものであること。

(14) 則第5条第1号ロ(第2号において引用する場合を含む。)、第5号及び第6号に該当するか否かの判断時点は申出時点であり、育児休業開始予定日において申出時点と状況が異なることが明らかなときは、育児休業開始予定日における状況に基づき、申出時点で判断すべきものであること。

(15) 各事業所において、則第5条各号に定める事項以外の理由で再度の申出を認める制度を設けることは可能であること。

3 1歳から1歳6か月までの育児休業の申出(法第5条第3項)

(1) 育児休業は子が1歳に達するまでの間の休業であるという基本的枠組みを維持しつつ、雇用の継続を促進し、円滑な職場復帰を図る観点から、子が1歳に達した後もなお休業することが必要と認められる特別の事情があるときは、子が1歳6か月に達するまでを限度として、労働者(日々雇用される者を除く。)が事業主に対して「申出」という行為をすることによって、その子を養育するために育児休業をすることができることとしたものであること。

(2) 「一歳から一歳六か月に達するまで」とは、子の1歳の誕生日から、誕生日の属する月の6か月後の月における誕生日の応当日の前日までの期間をいうものであること。例えば、平成28年4月1日が生年月日の子については、平成29年4月1日から平成29年9月30日までの期間をいうこと。また、1歳6か月に達する月に誕生日の応当日が存在しない場合、例えば、平成28年3月31日が生年月日の子については、平成28年3月31日から平成29年9月30日までの期間となること。また、閏日に生まれた子は、誕生日が存在しないため、例えば、平成28年2月29日が生年月日の子については、平成29年3月1日から平成29年8月28日までの期間となること。

(3) 法第5条第3項の申出に基づく1歳から1歳6か月までの育児休業(以下「1歳6か月までの育児休業」という。)をすることができる労働者は、法第5条第3項第1号及び第2号のいずれにも該当するものに限られること。

イ 第1号の「当該労働者又はその配偶者が、当該子の一歳到達日において育児休業をしている場合」に該当する場合とは、具体的には次の(イ)又は(ロ)に該当する場合をいうものであること。

(イ) 子の1歳到達日を育児休業終了予定日とする育児休業を現にしている、又はそのような育児休業の申出をしている労働者が、引き続き育児休業をしようとする場合(労働者とその配偶者がともに該当する場合も含む。)

(ロ) 配偶者が子の1歳到達日を育児休業終了予定日とする育児休業を現にしている、又はそのような育児休業の申出をしている場合であって、当該労働者が育児休業をしようとする場合(子の1歳到達日を育児休業終了予定日とする育児休業を現にしている、又はそのような申出をしている配偶者が引き続き、育児休業をしようとする場合も含む。)

なお、既に同一の子について1歳までの育児休業をしたことがある労働者であっても、(イ)又は(ロ)に該当する場合には、次のロの要件を満たす限り、同一の子について1歳6か月までの育児休業をすることができるものであること。

ロ 第2号の「厚生労働省令で定める場合」としては、

(イ) 保育所等における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当該子の1歳到達日後の期間について、当面その実施が行われない場合

(ロ) 常態として子の養育を行っている配偶者であって当該子の1歳到達日後の期間について常態として養育を行う予定であったものが次のいずれかに該当した場合

① 死亡したとき。

② 負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により申出に係る子を養育することが困難な状態になったとき。

③ 婚姻の解消その他の事情により配偶者が申出に係る子と同居しないこととなったとき。

④ 6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定であるか又は産後8週間を経過しないとき。

があること(則第6条)。

(4) 「その事業主」の解釈については、1歳までの育児休業の申出の場合と同様であること(1(3)(4)参照)。

(5) 申出の効果については、1歳までの育児休業の申出の場合と同様であること(1(5)参照)。

なお、1歳6か月までの育児休業をするためには、法第5条第1項の規定による1歳までの育児休業の申出をしている場合であっても、改めて、法第5条第3項の規定による申出をしなければならないこと。

(6) 1歳6か月までの育児休業の申出は、1歳到達日の翌日を育児休業開始予定日としてしなければならない(法第5条第6項)こととされていることから、その申出は、遅くとも1歳到達日の翌日の労務提供開始時刻までに行われなければならないこと。

(7) 期間を定めて雇用される者も、1歳6か月までの育児休業をすることができるものであること。その際、子の1歳到達日において育児休業をしている労働者が、引き続き育児休業をしようとする場合には、申出時点において改めて法第5条第1項各号に規定する要件を満たすか否かは問わないこととしているが、子の1歳到達日において育児休業をしている配偶者に替わって1歳6か月までの育児休業をしようとする場合には、申出時点において当該要件を満たす者に限り、1歳6か月までの育児休業の申出をすることができるものであること。

(8) 則第6条第1号の「保育所等」の解釈は、再度の育児休業と同様であること(2(7)参照)。

(9) 則第6条第1号の「保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当該子が一歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合」とは、市町村に対して保育の申込みを行っており、市町村から、少なくとも、子が1歳に達する日の翌日において保育が行われない旨の通知がなされている場合をいうものであること。

(10) 則第6条第2号ロの「子を養育することが困難な状態」とは、身体障害者福祉法第4条の身体障害者であること、又はこれと同程度に日常生活に制限を受ける精神障害があることにより自ら子を養育することが困難な状態のほか、1歳6か月までの育児休業の申出の時点から1月間を超える期間継続して、通院、加療のみならず入院又は安静を必要とすることが見込まれる状態をいうものであること。

(11) 則第6条第2号ハの「子と同居しないこととなった」の同居しない期間は、永続的なものを想定しているが、転勤等の事情による場合も1歳6か月までの育児休業の申出の時点から1月間を超えて同居しない状態が続くときは、含むものであること。

(12) 則第6条第2号ニの「六週間(多胎妊娠の場合にあっては、十四週間)以内に出産する予定であるか又は産後八週間を経過しない」とは、出産予定日の41日前(多胎妊娠の場合は97日前)の日から、出産の日の翌日から起算して56日を経過する日までの意であること。

例えば単胎妊娠であって、7月1日(月)が出産予定日で予定通りその日に出産した場合、5月21日(火)から8月26日(月)までの間がこの期間に該当するものであること。

また、この場合、当該配偶者が雇用労働者であるか否かを問わないものであること。

(13) 則第6条第1号並びに第2号ロ及びハに該当するか否かの判断時点は申出時点であり、育児休業開始予定日において申出時点と状況が異なることが明らかなときは、育児休業開始予定日における状況に基づき、申出時点で判断すべきものであること。

4 1歳6か月から2歳までの育児休業の申出(法第5条第4項及び同条第5項)

(1) 1歳6か月までの育児休業を取得してもなお、雇用の継続のために、子が1歳6か月に達した後に休業することが必要と認められる特別の事情があるときは、子が2歳に達するまでを限度として、労働者(日々雇用される者を除く。)が事業主に対して「申出」という行為をすることによって、その子を養育するために育児休業をすることができることとしたものであること。

(2) 「一歳六か月から二歳に達するまで」とは、子の誕生日の属する月の6か月後の月における誕生日の応当日から子の2歳の誕生日の前日までの期間をいうものであること。例えば、平成28年4月1日が生年月日の子については、平成29年10月1日から平成30年3月31日までの期間をいうこと。なお、閏日に生まれた子は、誕生日が存在しないため、例えば、平成28年2月29日が生年月日の子については、平成29年8月29日から平成30年2月28日までの期間をいうこと。

(3) 法第5条第4項の申出に基づく1歳6か月から2歳までの育児休業(以下「2歳までの育児休業」という。)をすることができる労働者は、法第5条第4項第1号及び第2号のいずれにも該当するものに限られること。

イ 第1号の「当該労働者又はその配偶者が当該子の一歳六か月に達する日(次号及び第六項において「一歳六か月到達日」という。)において育児休業をしている場合」に該当する場合とは、具体的には次の(イ)又は(ロ)に該当する場合をいうものであること。

(イ) 子の1歳6か月到達日を育児休業終了予定日とする育児休業を現にしている、又はそのような育児休業の申出をしている労働者が、引き続き育児休業をしようとする場合(労働者とその配偶者、すなわち夫婦がともに該当する場合も含む)

(ロ) 配偶者が子の1歳6か月到達日を育児休業終了予定日とする育児休業を現にしている、又はそのような育児休業の申出をしている場合であって、当該労働者が育児休業をしようとする場合(子の1歳到達日を育児休業終了予定日とする育児休業を現にしている、又はそのような申出をしている配偶者が引き続き、育児休業をしようとする場合も含む)

なお、既に同一の子について1歳6か月までの育児休業をしたことがある労働者であっても、(イ)又は(ロ)に該当する場合には、次のロの要件を満たす限り、同一の子について2歳までの育児休業をすることができるものであること。

ロ 第2号の「厚生労働省令で定める場合」としては、

(イ) 保育所等における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当該子の1歳6か月到達日後の期間について、当面その実施が行われない場合

(ロ) 常態として子の養育を行っている配偶者であって当該子の1歳6か月到達日後の期間について常態として養育を行う予定であったものが次のいずれかに該当した場合

① 死亡したとき。

② 負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により申出に係る子を養育することが困難な状態になったとき。

③ 婚姻の解消その他の事情により配偶者が申出に係る子と同居しないこととなったとき。

④ 6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定であるか又は産後8週間を経過しないとき。

があること(則第6条の2)。

(4) 「その事業主」の解釈については、1歳までの育児休業の申出の場合と同様であること(1(3)(4)参照)。

(5) 申出の効果については、1歳までの育児休業の申出の場合と同様であること(1(5)参照)。

なお、2歳までの育児休業をするためには、法第5条第1項の規定による1歳までの育児休業及び同条第3項の規定による1歳6か月までの育児休業の申出をしている場合であっても、改めて、法第5条第4項の規定による申出をしなければならないこと。

(6) 2歳までの育児休業の申出は、1歳6か月到達日の翌日を育児休業開始予定日としてしなければならない(法第5条第6項)こととされていることから、その申出は、遅くとも1歳6か月到達日の翌日の労務提供開始時刻までに行われなければならないこと。

(7) 期間を定めて雇用される者も、次のいずれにも該当するものに限り、2歳までの育児休業をすることができるものであること。

イ 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者

ロ その養育する子が2歳に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者

なお、期間を定めて雇用される者については、その数が年々増加するとともに、その多くが労働契約の更新を繰り返して継続して雇用されている状況にあることを踏まえ、休業を可能にすることにより雇用の継続の可能性があると考えられる一定の範囲のものについて、育児休業の対象としているものであること。

また、期間を定めて雇用される者が育児休業の申出の要件を満たすか否かの判断については、1歳までの育児休業の申出と同様であること。(1(6)(7)参照)

この場合において、1(7)中「1歳6か月」は「2歳」と読み替えるものであること。

5 育児休業の申出の方法(法第5条第6項)

(1) 育児休業の申出(以下「育児休業申出」という。)は、連続した一の期間についてしなければならないものであり、その際、期間の初日と末日を明らかにして行わなければならないこととしたほか、その方法を厚生労働省令で定めることとしたものであること。

なお、期間を定めて雇用される者が労働契約の更新に際して行う育児休業申出については、申出事項が限定されていること。

(2) 「その期間中は育児休業をすることとする一の期間」とは、労働日ではない日(計画的に付与された年次有給休暇、所定休日等)も含め連続したひとまとまりの期間との意であること。なお、申出に係る全日が労働日でない場合は、育児休業を申し出る余地がないこと。

(3) 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のためにする休業として労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)に基づく給付を受ける場合においては、育児休業期間中であることと給付を受けることとは両立すると解されているものであること。

(4) 育児休業申出は、則第7条第1項に規定する所定の事項が同条第2項に規定する所定の方法で行われている限り、その様式は自由であること(以下同条第4項の事業主の通知、則第13条の育児休業開始予定日の変更の申出、則第12条及び第15条の事業主による育児休業開始予定日の指定、則第17条の育児休業終了予定日の変更の申出、則第18条の育児休業申出の撤回並びに則第71条の事業主による取扱いの明示について同様であること。)。

(5) 育児休業申出先は、あらかじめ本社人事部長、各支社長、工場長等具体的に明らかにしておくことが望ましいものであること(以下則第13条、第17条及び第18条について同様であること。)。

(6) 特定の方法での育児休業申出を求める場合には、これをあらかじめ明らかにしておくべきものであること。

(7) 育児休業申出の申出事項について、期間を定めて雇用される者が、法第5条第7項に規定する育児休業申出(労働契約の更新に伴い継続して育児休業をしようとする場合にする申出)をする場合にあっては、労働者、事業主双方の負担軽減の観点から、当該申出事項を、育児休業申出の年月日、育児休業申出をする労働者の氏名並びに育児休業開始予定日及び育児休業終了予定日のみに限定しているものであること(則第7条第1項柱書き)。

(8) 則第7条第1項第1号の「育児休業申出の年月日」としては、事業主に実際に育児休業申出をする日を申し出るべきものであること。また、郵送等により申出日(事業主に育児休業申出が到達した日)が申し出られた申出日と異なる場合は、当事者間で確認の上事業主が補正することは可能であること。

(9) 則第7条第1項第6号の「養子縁組の効力が生じた日」とは、縁組の届出が所轄の行政官庁によって法令に違反していないかどうかを審査された後受理された日であること(民法第800条)。

(10) 則第7条第1項第12号は、法第9条の2の規定により子の1歳到達日の翌日以後の日に育児休業をする場合においては、当該育児休業に係る育児休業開始予定日とされた日が、配偶者の育児休業に係る育児休業期間の初日以後であることが必要であることから、これを申出事項としたものであること。

(11) 則第7条第2項の「書面を提出する方法」とは、同条第1項に規定する所定の事項を記載した書面を事業主に提出する方法をいうものであり、直接手交することのほか、郵送によることも可能であること。

「電気通信回線を通じて事業主の使用に係る通信端末機器に送信する方法」とは、電子メールによる方法や、ブラウザその他のソフトウェアを用いて事業主の使用に係る通信端末機器に電気通信回線を通じて送信することをいうものであること。

「送信する情報を出力することによる書面を作成することができるもの」とは、プリンターに接続して書面を作成することが可能である場合をいうものであること。この場合、送信する情報のすべてが出力できることが必要であること。

(12) 則第7条第3項の「ファクシミリ装置により受信した時」及び「通信端末機器により受信した時」とは、それぞれの機器が受信した時点をいうものであり、実際に当該情報を確認した時点をいうものではないこと。

(13) 則第7条第4項は、育児休業申出がなされたかどうか等の紛争が起こることを避けるため、労働者からの育児休業申出に対し、事業主が育児休業申出を受けた旨等を労働者に通知することとしたものであること。

「速やかに」とは、原則として労働者が育児休業申出をした時点からおおむね2週間以内にとの意であるが、育児休業申出の日から育児休業開始予定日までの期間が2週間に満たない場合にあっては、育児休業開始予定日までにとの意であること。なお、法第6条第3項の指定をする場合には、則第12条の規定による期間までに行わなければならないこと(第2の9参照)。

「育児休業申出を拒む場合」とは、法第6条第1項ただし書の規定に基づく場合をいうものであり、経営困難、事業繁忙等の理由で拒むことができないことは言うまでもないこと(第2の7参照)。

(14) 則第7条第5項の「書面を交付する方法」とは、同条第4項に規定する所定の事項を記載した書面を労働者に交付する方法をいうものであり、直接手交することのほか、郵送によることも可能であること。

「電子メールの記録を出力することにより書面を作成することができるもの」とは、プリンターに接続して書面を作成することが可能である場合をいうものであり、これが可能であれば、電子メールのソフトウェアを搭載したパソコンに限らず、電子メール機能を有する携帯電話等でも構わないものであること。ただし、チャットのように受信直後に内容が消えてしまうようなものは適当ではなく、保存が可能なものであることが必要であること。また、事業主が送信した当該電子メールの記録すべてが出力できることが必要であること。

(15) 則第7条第6項の「ファクシミリ装置により受信したとき」及び「通信端末機器により受信したとき」とは、則第7条第3項の場合と同様であること(第2の5(12)参照)。

(16) 則第7条第7項の「証明することができる書類」として利用可能な書類の例は、それぞれの証明すべき事実に応じ以下のとおりであること。

イ 妊娠の事実 医師が交付する当該事実についての診断書

ロ 出生の事実 官公署が発行する出生届受理証明書

ハ 出産予定日の事実 医師が交付する当該事実についての診断書

ニ 養子縁組の事実 官公署が発行する養子縁組届受理証明書

ホ 則第7条第3号の事実

(イ) 特別養子縁組の監護期間にあること 事件が係属している家庭裁判所(家庭裁判所の審判に対して即時抗告の申立があった場合には、抗告事件が係属している高等裁判所)が発行する事件係属証明書

(ロ) 養子縁組里親に委託されていること 委託措置決定通知書

(ハ) 則第1条の事実 平成28年雇児総発0802第1号・雇児福発0802第1号・雇児職発0802第1号に基づき児童相談所長が発行する証明書

ヘ 子の死亡の事実

(イ) 死産の場合 医師又は助産師が交付する死産証明書又は死胎検案書

(ロ) 死亡の場合 医師が交付する死亡証明書又は死体検案書

ト 配偶者の死亡の事実 ヘ(ロ)に同じ。

チ 子が養子である場合の離縁の事実 官公署が発行する養子離縁届受理証明書

リ 配偶者が子を養育することが困難な状態の事実 身体障害者福祉法第15条の身体障害者手帳の写し等のほか、則第5条第5号、第6条第2号ロ及び第19条第2号の場合には1月間を超えて、則第10条第3号の場合には1週間を超えて入院又は安静を必要とする旨の医師の診断書

ヌ 配偶者が子と同居しなくなった事実 住民票記載事項の証明書又は出張命令書の写し

ル その養育する子が保育所等において保育されない事実 市町村が発行する教育・保育給付を受ける資格を有すると認められない旨の通知書又は保育所等の利用ができない旨の通知書

ヲ 配偶者等が6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定であるか又は産後8週間を経過していない事実 医師が交付する当該事実についての診断書、官公署が発行する出生届受理証明書

ワ 労働者の育児休業開始予定日とされた日が当該労働者の配偶者がしている育児休業に係る育児休業期間の初日以後である事実 配偶者がした育児休業申出の書面の写し又は配偶者の育児休業申出に対する事業主の通知の写し

また、上記の証明書等に代わってそれぞれの事実が証明できる他の書類を提出することを妨げるものではなく、当該労働者の同僚等第三者の申立書の提出なども含め様々な方法が可能であること。

さらに、証明方法については、育児休業申出をする労働者に過大な負担をかけることのないようにすべきものであること。特に、戸籍謄(抄)本及び住民票の写しは、画一的に提出又は提示を求めることのないようにし、それが必要となった時点でその具体的必要性に応じ、本人に対しその使用目的を十分に説明の上提示を求め、確認後速やかに労働者に返却すべきものであること。また、この場合において戸籍謄(抄)本及び住民票の写しに替えて、可能な限り住民票記載事項の証明書によるべきものであること。

なお、事業主が育児休業申出をした労働者に対して証明書類の提出を求め、その提出を当該労働者が拒んだ場合にも、育児休業申出自体の効力には影響がないものであること。

これらのことは、則第13条第3項に基づく変更申出の際の証明書類の提出についても同様であること。

(17) 則第7条第8項の「速やかに」とは、出生届の届出期間が生後2週間以内とされていることから、同程度の期間を想定しているものであること。

6 期間を定めて雇用される者の育児休業申出に係る特例(法第5条第7項)

(1) 期間を定めて雇用される者の多くは、子が1歳(法第5条第3項の規定に基づき1歳6か月までの育児休業をしているときは1歳6か月、同条第4項の規定に基づき2歳までの育児休業をしているときは2歳)に達する日まで休業をしようとする場合、その途中で現在の労働契約の期間の末日が到来し、労働契約の更新をすることとなるが、育児休業が事業主に申し出ることにより労働契約に基づく労務提供の義務を消滅させるものであるという性質上、いまだ労働契約が締結されず、労務提供の義務も発生していない期間について育児休業申出をすることはできないものであること。このため、更新後の労働契約の期間について引き続き育児休業をしようとするときは、労働契約が更新され、当該期間について労務提供義務が発生した後に改めて育児休業申出をする必要があること。

しかしながら、法の規定は、育児休業申出ができる回数を原則1回に限定している等、育児休業開始前の1回の申出により子が1歳に達する日まで連続して育児休業が可能な労働者を基本としているため、期間を定めて雇用される者に係る労働契約の更新に伴う申出については、法の規定をそのまま適用すると、更新後の労働契約の期間について育児休業申出をすることができなくなることから、次に掲げる規定の適用を除外することとしたものであること。

イ 法第5条第1項ただし書(1歳までの育児休業の申出をすることができる期間を定めて雇用される者の範囲)

ロ 法第5条第2項(育児休業申出の回数)

ハ 法第5条第3項ただし書(1歳6か月までの育児休業の申出をすることができる期間を定めて雇用される者の範囲)

ニ 法第5条第5項(2歳までの育児休業の申出をすることができる期間を定めて雇用される者の範囲)

ホ 法第5条第6項後段(1歳6か月まで及び2歳までの育児休業の申出における育児休業開始予定日の限定)

したがって、期間を定めて雇用される者に係る労働契約の更新に伴う申出については、法第5条第1項各号の要件や育児休業申出の回数に関わりなく行うことが可能であり、1歳6か月までの育児休業申出の場合であっても育児休業開始予定日が当該申出に係る子の1歳到達日の翌日に限定されず、2歳までの育児休業申出の場合であっても育児休業開始予定日が当該申出に係る子の1歳6か月到達日の翌日に限定されないため、更新後の労働契約の期間の初日を育児休業開始予定日とする申出が可能となるものであること。

(2) 「その締結する労働契約の期間の末日を育児休業終了予定日・・・とする育児休業をしているもの」とは、現在育児休業中であり、当該育児休業の終了予定日が現在の労働契約の期間の末日と一致している労働者をいうものであること。

(3) 「当該労働契約の更新に伴い、当該更新後の労働契約の期間の初日を育児休業開始予定日とする育児休業申出をする場合」とは、更新後の労働契約の期間の初日と更新後の労働契約期間に係る育児休業開始予定日とが一致していることをいうものであること。

更新後の労働契約の期間の初日において育児休業をしない場合には、更新の前後の育児休業が連続しているものとは認められず、法第5条第7項の特例の対象とならないこと。一方、更新前の労働契約の期間の末日と更新後の労働契約との期間の初日とが連続していない場合であっても、前後の労働契約が実質的に連続しているものと認められる場合には第5条第7項の特例の対象となること。

7 育児休業申出があった場合における事業主の義務(法第6条第1項)

(1) 本文は、法に規定する要件を満たす労働者が事業主に申し出ることにより、申し出た期間育児休業をすることができるという原則により、事業主がこれらの労働者の育児休業申出を拒むことができないことを明らかにしたものであること。

また、ただし書は、その例外として、労使の書面による協定により一定の範囲の労働者(①雇入れ後1年未満の労働者、②その他育児休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者)を育児休業をすることができない者として定めることができるものとしたものであること。

厚生労働省令では、育児休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者の範囲(則第8条)を規定したものであること。

厚生労働省令では更に、法第6条第1項ただし書の書面による協定においては、事業主が同項の規定に基づき労働者からの育児休業申出を拒む場合及び育児休業をしている労働者が育児休業をすることができないものとして定められた者に該当したことにより育児休業を終了させる場合の手続等の事項を定めることができ、このような定めをするためには当該協定に規定しなければならないことを明らかにしたものであること(則第9条)。

(2) 事業主は、経営困難、事業繁忙その他どのような理由があっても適法な労働者の育児休業申出を拒むことはできず、また、法第6条第3項及び第7条第2項で認められる場合を除き、育児休業の時期を変更することはできないものであること。

(3) 「事業所の労働者」には、日々雇用される者及び法第5条第1項各号(同条第5項において準用する場合を含む。)の要件を満たさない期間を定めて雇用される者並びに法第6条第1項ただし書各号に掲げる者も含むものであること。

(4) 「過半数を代表する」か否かの判断時点は、協定締結時点を原則とするものであること。

(5) 「代表する者」は、当該事業所の労働者により適切な方法で選出されることが必要であり、具体的にはその選出方法について次の2つの要件を満たすものでなければならないものであること。

イ その者が労働者の過半数を代表して労使協定を締結することの可否について判断する機会が、当該事業所の労働者に与えられていること、すなわち、事業主の指名などその意向に沿って選出するようなものではないこと。

ロ 当該事業所の過半数の労働者がその者を支持していると認められる民主的な手続がとられていること、すなわち、労働者の投票、挙手等の方法により選出されること。

また、労働基準法第41条第2号の監督又は管理の地位にある者を選出することは適当ではないものであること。

(6) 「書面による協定」には、育児休業をすることができないこととする労働者の範囲のほか、必要に応じ次のような事項を記載すべきものであること。

イ 育児休業をすることができないこととされた労働者であるか否かを判断するため労働者に提出を求める証明書類等

ロ 育児休業をすることができないこととされた労働者の育児休業の申出を拒む場合の方法

ハ 育児休業中に育児休業をすることができないこととされた労働者に該当した場合に育児休業を終了させることとするときは、その旨及びその方法

ニ ハの場合において、育児休業をすることができないこととされた労働者に該当したことにより育児休業が終了した労働者が、再び該当しなくなったときの再度申出の可否及びその方法

(7) 「協定」の締結は、事業所単位で行われるものであること。

ただし、複数の事業所を擁する企業において、各事業所の長ではなく、社長自らが協定を締結し、あるいは、各事業所ごとにみてその事業所の労働者の過半数で組織されている労働組合につき、支部の長ではなく本部の長が協定を締結することも可能であること。

協定においては有効期間の定めをすべきものであり、かつ、当該有効期間が過度に長いものとなることは適当でないこと。

なお、労使協定を労働協約として締結する場合には、3年を超える期間の定めはできないものであること(労働組合法(昭和24年法律第174号)第15条第1項及び第2項)。

(8) 第1号の「当該事業主に引き続き雇用された期間」とは、事業所間異動があった場合にもそれぞれにおける雇用期間を通算して算定するものであること。また、労働組合の専従者となっている期間、長期療養等のため休職とされている期間等労務の提供が行われていない期間も、労働契約関係が継続する限り「雇用された期間」に含むものであること。

(9) 第1号の「一年に満たない」か否かの判断時点は、育児休業申出の時点であること。

(10) 第2号に該当するか否かの判断時点は申出時点であり、育児休業開始予定日において申出時点と状況が異なることが明らかなときは、育児休業開始予定日における状況に基づき、申出時点で判断すべきものであること。

(11) 則第8条第1号の「雇用関係が終了することが明らかな労働者」とは、定年に達することにより必ず退職することとなっている労働者、あらかじめ事業主に対し退職の申出をしている労働者等の意であること。

なお、期間を定めて雇用される者がこれに該当する場合には、そもそも法第5条第1項第2号(同条第5項において準用する場合も含む。)の要件を満たさないものであり、本号に基づいて申出を拒む余地はないものであること。

(12) 則第8条第2号の「一週間の所定労働日数が著しく少ないものとして厚生労働大臣が定める日数以下の労働者」とは、平成23年厚生労働省告示第58号により、1週間の所定労働日数が2日以下である者であること。この場合、1週間の所定労働日数が2日以下であるか否かは、原則として休業申出の時点までの1月間の状況等を踏まえて判断するものであること。

8 育児休業申出を拒まれた労働者の育児休業(法第6条第2項)

(1) 事業主が、法第6条第1項ただし書の規定により、労使協定で育児休業をすることができないものとして定められた労働者からの育児休業申出を拒んだ場合は、当該労働者は育児休業をすることができないこととしたものであること。

(2) 育児休業申出を拒まれた労働者であっても、その後労使協定で育児休業をすることができない者として定められた労働者に該当しなくなれば、申し出て育児休業をすることができるものであること。

9 事業主による育児休業開始予定日の指定(法第6条第3項)

(1) 育児休業申出に係る育児休業開始予定日から育児休業が開始する原則の例外として、育児休業開始予定日とされた日が育児休業申出があった日の翌日から起算して1月(1歳6か月まで又は2歳までの育児休業の申出にあっては2週間)を経過する日(以下「1月等経過日」という。)前の日である場合には、厚生労働省令で定めた方法(則第12条で、原則として育児休業申出があった日の翌日から起算して3日を経過する日、その日が育児休業申出に係る育児休業開始予定日よりも後である場合には当該育児休業開始予定日までに行うものと規定した。)で、1月等経過日までの間で育児休業開始予定日とする日を指定することができることとしたものであること。

この場合において、育児休業をすることが早急に必要となる事由を厚生労働省令で定め(則第10条で、子が出産予定日前に出生したことのほか配偶者の死亡等を規定した。)、当該事由がある場合における事業主が育児休業開始予定日として指定できる日は厚生労働省令で定める日(則第11条で、育児休業申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日と規定した。)までとすることとしたものであること。

(2) 法第5条第1項の1歳までの育児休業の申出について、労働者が育児休業申出に係る育児休業開始予定日から育児休業を開始するためには、育児休業開始予定日の1月前の日(則第10条各号に規定する事由が生じた場合にあっては、1週間前の日)までに事業主に申し出なければならないものであること。

また、労働者が育児休業申出に係る育児休業開始予定日から育児休業を開始するためには、法第5条第3項の1歳6か月までの育児休業の申出については、育児休業開始予定日すなわち子の1歳の誕生日の2週間前の日(則第10条各号に規定する事由が生じた場合にあっては、1週間前の日)、同条第4項の2歳までの育児休業の申出については育児休業開始予定日すなわち子が1歳6か月に達する日の翌日の2週間前の日(則第10条各号に規定する事由が生じた場合にあっては、1週間前の日)までに事業主に申し出なければならないものであること。

ただし、各事業所において、育児休業申出に係る育児休業開始予定日から育児休業を開始するためにこれより短い期間の申出を認める制度を設けることは可能であること。

(3) 「当該育児休業申出があった日の翌日から起算して一月を経過する日」とは、育児休業申出の日の属する月の翌月の応当日をいい、当該翌月に応当日がない場合はその月の末日をいうものであること(民法第143条第2項)。例えば、育児休業申出が4月1日にあった場合には、5月1日がその日に当たり、育児休業申出が3月31日にあった場合には、4月30日がその日に当たるものであること。また、「当該育児休業申出があった日の翌日から起算して二週間を経過する日」とは、育児休業申出の日の14日後の日の意であり、例えば、育児休業申出が4月1日にあった場合には、4月15日がその日に当たるものであること。

(4) 「前の日」とは、直前の日のみでなく、直前の日以前のいずれかの日の意であること。また、法第7条第1項の「前の日」も同様の意であること。

(5) 事業主が育児休業開始予定日とする日の指定をすることができる制度は、労働者の申出のみで労務提供義務が消滅する原則の例外であり、事業主がこのような指定をすることができる場合には、事業主が指定をした日から当該労働者の労務提供義務が消滅し、当該指定した日から育児休業をすることができるものであること。また、則第12条で定められた期間内に事業主の指定が行われなかった場合には、労働者は育児休業申出に係る育児休業開始予定日から育児休業をすることができるものであること。

(6) 各事業所において、則第10条各号に掲げられた事由以外の事由が生じた場合にも、事業主が育児休業開始予定日として指定できる日を育児休業申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日までとすることを認める制度を設けることは可能であること。

(7) 則第10条第3号の「負傷又は疾病により育児休業申出に係る子を養育することが困難になったこと」とは、育児休業申出の時点から1週間を超える期間継続して、単に通院、加療のみならず入院又は安静を必要とする程度の状態の意であること。

(8) 則第10条第4号の「子と同居しなくなった」の同居しない期間は、永続的なものを想定しているが、転勤等の事情による場合も育児休業申出の時点から1週間を超えて同居しない状態が続くときは、含むものであること。

(9) 則第10条第5号の「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害」の解釈及び「2週間以上」の考え方は、介護休業の場合と同様であること(第1の2の(3)のイ及びロ参照)。

(10) 則第10条第6号の「保育所等」及び「保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当面その実施が行われないとき」の解釈は、育児休業の再度の申出の場合と同様であること(第2の2の(7)参照)。

(11) 則第11条の「育児休業申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日」とは、育児休業申出の日の7日後の日の意であり、例えば、育児休業申出が4月1日にあった場合には、4月8日がその日に当たるものであること。

(12) 則第12条第1項の「育児休業開始予定日とされた日までに」については、育児休業開始予定日当日の育児休業申出があり得ることを前提とした規定であり、このような場合以外は育児休業開始予定日当日に指定をすることは適当でなく、可能な限りなるべく育児休業開始予定日の前日までに指定すべきものであること。また、育児休業開始予定日当日に行う場合は、始業時刻前に行うことが望ましいものであること。

(13) 則第12条第1項の「育児休業申出があった日の翌日から起算して3日を経過する日」とは、例えば、育児休業申出があった日が4月1日であった場合には、4月4日がその日に当たるものであること。ただし、3日を経過する日までに事業主が育児休業開始予定日として指定すべき場合において、当該3日を経過する日が所定休日その他の労働日でない日に当たる場合には、その直後の労働日までに行えば足りるものであること。

(14) 則第12条第2項は、同条第1項に定める通知の方法等については、育児休業申出に対する事業主の通知と同様であることを規定したものであること。

(15) 法第6条第3項に関する具体的適用例を、法第5条第1項の1歳までの育児休業の申出をした場合を例にして示すと、次のとおりであること。

イ 育児休業開始予定日を4月20日とする育児休業申出を4月1日に行った。

この育児休業開始予定日は、育児休業申出があった日の翌日から起算して1月を経過する日である5月1日よりも前の日であることから、法第6条第3項に該当する。

したがって、育児休業申出を受けた事業主は、育児休業申出に係る育児休業開始予定日(4月20日)から、育児休業申出があった日(4月1日)の翌日から起算して1月を経過する日(5月1日)までの間のいずれかの日を、育児休業開始予定日として指定することができる。この指定は、4月1日に育児休業申出があった場合、育児休業申出があった日の翌日から起算して3日を経過する日(4月4日)までに行わなければならない。

例えば、4月25日を育児休業開始予定日として事業主が指定した場合、育児休業申出をした労働者はその日から育児休業をすることができる。

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ロ 則第10条各号に規定する事由が発生して、育児休業開始予定日を4月2日とする育児休業申出を4月1日に行った。

この育児休業開始予定日は、育児休業申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日である4月8日よりも前の日であることから、法第6条第3項に該当する。

したがって、育児休業申出を受けた事業主は、育児休業申出に係る育児休業開始予定日(4月2日)から、育児休業申出があった日(4月1日)の翌日から起算して1週間を経過する日(4月8日)までの間のいずれかの日を、育児休業開始予定日として指定することができる。この指定は、育児休業申出において育児休業開始予定日とされた日(4月2日)までに行わなければならないが、可能な限り、4月1日に行うべきものである。

例えば、4月8日を育児休業開始予定日として事業主が指定した場合、育児休業申出をした労働者はその日から育児休業をすることができる。

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10 期間を定めて雇用される者の育児休業申出に係る特例(法第6条第4項)

(1) 6(1)と同様の趣旨から、更新後の労働契約の期間について引き続き育児休業をしようとする場合には、次に掲げる規定の適用を除外することとしたものであること。

イ 法第6条第1項ただし書(労使協定により育児休業申出を拒むことができる労働者の範囲)

ロ 法第6条第3項(事業主による育児休業開始予定日の変更)

(2) 特例の対象となる育児休業申出の範囲は、6と同一であること(6(2)(3)参照)。

11 育児休業開始予定日の変更の申出(法第7条第1項)

(1) 法第5条第1項の1歳までの育児休業の申出をした後に則第10条各号に規定する事由が発生した場合、労働者は1回に限り育児休業開始予定日を繰り上げる旨の変更の申出をすることができることとし、その方法として、則第13条において、所定の事項を事業主に申し出ることによって行わなければならないこと、申出方法及び申出があった場合の事業主の通知については育児休業の場合に準ずること並びに事業主は変更に係る事実を証明することができる書類の提出を労働者に求めることができることを規定したものであること。

なお、法第5条第3項の1歳6か月までの育児休業及び同条第4項の2歳までの育児休業の申出については、労働者の申出による開始予定日の変更は規定されていないこと。

(2) 労働者の申出のみによる育児休業開始予定日の繰下げ変更については、規定していないものであること。

したがって、育児休業開始予定日に育児休業申出に係る子がいない場合であっても、育児休業開始予定日から育児休業が開始するものであること。

ただし、各事業所において、労働者の希望により育児休業開始予定日を繰下げ変更することを認める制度を設けることは可能であること。

(3) 各事業所において、則第10条各号に規定する事由以外の事由で育児休業開始予定日を繰上げ変更することを認める制度を設けることは可能であること。

(4) 則第13条第1項第4号の「変更申出をすることとなった事由に係る事実」とは、子の出生の年月日、配偶者の死亡の年月日等を含むものであること。

(5) 則第13条第3項の「証明することができる書類の提出」に関しては、5(16)を参照のこと。

12 変更の申出に係る育児休業開始予定日の指定(法第7条第2項)

(1) 法第7条第1項に基づく育児休業開始予定日の変更を行う場合において、変更後の育児休業開始予定日とする日が変更の申出の翌日から起算して1月を超えない範囲内で厚生労働省令で定める期間(則第14条で、1週間と規定した。)を経過する日前の日である場合には、厚生労働省令で定めた方法(則第15条で、原則として変更の申出があった日の翌日から起算して3日を経過する日、その日が変更後の育児休業開始予定日よりも後である場合には当該変更後の育児休業開始予定日までに書面で行うものと規定した。)で育児休業開始予定日とする日を指定することができることとしたものであること。

この場合において、事業主が育児休業開始予定日として指定できる日は、変更後の育児休業開始予定日とする日から、変更の申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日までとすることとしたものであること。

(2) 法第5条第3項の1歳6か月までの育児休業の申出及び同条第4項の2歳までの育児休業の申出については、労働者の申出による開始予定日の変更は規定されていないことから、本項の適用の余地はないものであること。

(3) 「当該申出に係る変更後の育児休業開始予定日」とは、育児休業開始予定日を変更する申出において、その変更が行われた後の育児休業開始予定日として事業主に明らかにされた日の意であること。また、「当該期間経過日」とは、則第14条の規定により当該申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日の意であること。

(4) 法第7条第2項の「その日が当該申出に係る変更前の育児休業開始予定日とされていた日(前条第3項の規定による事業主の指定があった場合にあっては、当該事業主の指定した日)以後の日である場合にあっては、当該申出に係る変更前の育児休業開始予定日とされていた日」とは、変更の申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日が変更の申出前の育児休業開始予定日とされていた日以後の日である場合には、変更の申出前に育児休業開始予定日とされていた日を事業主が指定できる日の最終日とする意であり、また、この変更の申出前に育児休業開始予定日とされていた日が、法第6条第3項の規定により、すでに事業主による指定により育児休業申出当初の育児休業開始予定日と異なる日となっているときは、その日を事業主の指定できる日の最終日とする意であること。

(5) 法第7条第2項に関する具体的適用例は、次のとおりであること。

イ 育児休業開始予定日を5月1日とする育児休業申出を4月1日に行った。

育児休業申出の後育児休業が開始する前に則第10条各号に規定する事由が生じたため、育児休業申出をした労働者は育児休業開始予定日とする日を4月10日とする変更の申出を4月9日に行った。

この変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日は、変更の申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日である4月16日よりも前の日であることから、法第7条第2項に該当する。

したがって、変更の申出を受けた事業主は、変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日(4月10日)から、変更の申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日(4月16日)までの間のいずれかの日を育児休業開始予定日として指定することができる。

この指定は、変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日とされた日(4月10日)までに行わなければならないが、可能な限り、4月9日に行うべきものであること。

例えば、4月15日を育児休業開始予定日として事業主が指定した場合、変更の申出をした労働者はその日から育児休業をすることができる。

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ロ 育児休業開始予定日を5月1日とする育児休業申出を4月1日に行った。

育児休業申出の後育児休業が開始する前に則第10条各号に規定する事由が生じたため、育児休業申出をした労働者は育児休業開始予定日とする日を4月29日とする変更の届出を4月28日に行った。

この変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日は、変更の申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日である5月5日よりも前の日であることから、法第7条第2項に該当する。

したがって、変更の申出を受けた事業主は、変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日(4月29日)から、変更の申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日(5月5日)までの間のいずれかの日を指定することになるはずであるが、当初の育児休業開始予定日(5月1日)より後の日は指定できず、結局変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日(4月29日)から、当初の育児休業開始予定日(5月1日)までの間のいずれかの日を指定することができる。

この指定は、変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日とされた日(4月29日)までに行わなければならないが、可能な限り4月28日に行うべきものであること。

例えば、4月30日を育児休業開始予定日として事業主が指定した場合、変更の申出をした労働者はその日から育児休業をすることができる。

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ハ 育児休業開始予定日を4月20日とする育児休業申出を4月1日に行った。

この育児休業開始予定日は、育児休業申出があった日の翌日から起算して1月を経過する日である5月1日よりも前の日であることから、法第6条第3項に該当する。

したがって、育児休業申出を受けた事業主は、育児休業申出に係る育児休業開始予定日(4月20日)から、育児休業申出があった日(4月1日)の翌日から起算して1月を経過する日(5月1日)までの間のいずれかの日を、育児休業開始予定日として指定することができ、事業主は5月1日を指定した。

その後、育児休業が開始する前に則第10条各号に規定する事由が生じたため、育児休業申出をした労働者は変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日とする日を4月29日とする変更の申出を4月28日に行った。

この変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日は、変更の申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日である5月5日よりも前の日であることから、法第7条第2項に該当する。

したがって、変更の申出を受けた事業主は、当該変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日(4月29日)から、変更の申出の翌日から起算して1週間を経過する日(5月5日)までの間のいずれかの日を、育児休業開始予定日として指定することになるはずであるが、ロと同様の理由で、変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日(4月29日)から当初事業主が指定した日(5月1日)までの間のいずれかの日を指定することができる。

この指定は、変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日とされた日(4月29日)までに行わなければならないが、可能な限り4月28日に行うべきものであること。

例えば、4月30日を指定した場合、変更の申出をした労働者はその日から育児休業をすることができる。

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13 育児休業終了予定日の変更の申出(法第7条第3項)

(1) 育児休業申出をした労働者は、厚生労働省令で定める日(則第16条で、当初の育児休業終了予定日の1月前(1歳6か月までの育児休業及び2歳までの育児休業については、2週間前)の日と規定した。)までに申し出ることにより、1回に限り事由を問わず育児休業終了予定日を繰り下げる旨の変更の申出をすることができることとし、その方法として、則第17条において、所定の事項を事業主に申し出ることによって行わなければならないこと並びに申出方法及び申出があった場合の事業主の通知については育児休業の場合に準ずることを規定したものであること。

(2) 法第5条第1項の申出と法第5条第3項及び同条第4項の申出は法律上異なるものであることから、育児休業終了予定日の変更の申出は、法第5条第1項の申出、法第5条第3項の申出及び同条第4項の申出のそれぞれにおいて1回ずつ認められるべきものであること。

(3) 育児休業終了予定日とされた日の1月前(1歳6か月までの育児休業及び2歳までの育児休業については、2週間前)の日よりも後に行われる育児休業終了予定日の変更の申出は、本法上事業主がこれに応ずる義務はないものであるが、各事業所において、当該申出を認める制度を設けることは可能であること。

(4) 「後の日」とは、直後の日のみではなく、直後の日以後のいずれかの日の意であること。ただし、子が1歳に達する日(1歳6か月までの育児休業については子が1歳6か月に達する日、2歳までの育児休業については子が2歳に達する日)を限度とするものであること。

(5) 労働者の申出のみによる育児休業終了予定日の繰上げ変更については、規定していないものであること。

ただし、各事業所において、労働者の希望により育児休業終了予定日を繰上げ変更することを認める制度を設けることは可能であること。

14 育児休業申出の撤回(法第8条第1項)

(1) 育児休業申出をした労働者は、育児休業開始予定日の前日までは、事由を問わずその育児休業申出を撤回することができることとし、その方法として、則第18条において、所定の事項を事業主に申し出ることによって行わなければならないこと並びに申出方法及び申出があった場合の事業主の通知については育児休業の場合に準ずることを規定したものであること。

(2) 法第5条第1項の申出と法第5条第3項及び同条第4項の申出は法律上異なるものであることから、育児休業申出の撤回は、法第5条第1項の申出、法第5条第3項の申出及び同条第4項の申出のそれぞれにおいて認められるべきものであること。

15 撤回後の再度の育児休業申出(法第8条第2項)

(1) 育児休業開始予定日の前日まではその育児休業申出を撤回することができることとしていることから、事業主の雇用管理への影響等をも考え、いったん撤回した育児休業申出に係る子については、子の養育環境に大きな変化が生じ本人自ら育児休業をせざるを得ないと認められる厚生労働省令で定める特別の事情(則第19条で、配偶者の死亡等の事情を規定した。)がない限り、再度の育児休業申出ができないこととしたものであること。

(2) 法第5条第1項の申出と法第5条第3項及び同条第4項の申出は法律上異なるものであることから、法第5条第1項の1歳までの育児休業の申出を撤回した場合であって再度の申出ができる特別の事情に該当しない場合であっても、法第5条第3項又は同条第4項に規定する要件を満たす場合には、法第5条第3項の1歳6か月までの育児休業の申出又は同条第4項の2歳までの育児休業の申出は可能であること。また、同様に、法第5条第3項の1歳6か月までの育児休業の申出を撤回した場合であって再度の申出ができる特別の事情に該当しない場合であっても、法第5条第4項の2歳までの育児休業の申出は可能であること。

(3) 則第19条第2号の「子を養育することが困難な状態」、同条第3号の「子と同居しないこととなった」、同条第4号の「負傷、疾病又は身体上若しくは精神条の障害」及び「二週間」並びに同条第5号の「保育所等」及び「保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当面その実施が行われないとき」の解釈は、1歳までの再度の育児休業の申出ができる場合と同様であること(2(6)(7)(12)(13)参照)。

16 育児休業申出がされなかったものとみなす事由(法第8条第3項)

(1) 育児休業申出後、厚生労働省令で定める事由(則第20条で、子の死亡、子が養子である場合の離縁又は養子縁組の取消、民法第817条の2第1項の規定による請求に係る家事審判事件が終了したこと(特別養子縁組の成立の審判が確定した場合を除く。)又は養子縁組が成立しないまま児童福祉法第27条第1項第3号の規定による措置が解除されたこと等を規定した。)が生じたときは、育児休業申出がされなかったものとみなされることとし、労働者にこのような事由が生じた場合の通知義務を課したものであること。

(2) 則第20条各号に規定する事由が生じたときは、育児休業申出を撤回しなくとも育児休業申出はされなかったものとみなされ、その法的効果は消滅するものであること。

(3) 「遅滞なく」とは、なるべく則第20条各号に規定する事由が生じた当日に、当該事由が生じた旨を通知することが求められるものであるが、同条第4号については、同号に該当する状態であることが確定した時点で通知すべきものであること。

(4) 「通知」は、事実の告知であり、それ自体に法律上の効果はなく、事業主は、則第20条各号に規定する事由が生じたときは、通知がなくとも育児休業申出がされなかったものとみなして取り扱うものであること。

(5) 則第20条第2号で定める事由が生じた旨を労働者が通知する場合は、離縁又は養子縁組の取消を官公署に受理された日に当該事由を事業主に通知すれば足りるものであるが、可能な限りそれ以前にその状況を事業主に知らせることが望ましいものであること。

(6) 則第20条第3号の「同居しないこととなったこと」とは、永続的なものを想定しているが、転勤等の事情による場合も、子が1歳(1歳6か月までの育児休業の申出に係る子にあっては1歳6か月、2歳までの育児休業の申出に係る子にあっては2歳)に達するまでの間同居しない状態が続くときは、含むものであること。

(7) 則第20条第4号の「民法第八百十七条の二第一項の規定による請求に係る家事審判事件が終了したとき(特別養子縁組の成立の審判が確定した場合を除く。)又は養子縁組が成立しないまま児童福祉法第二十七条第一項第三号の規定による措置が解除されたとき。」とは、裁判所が特別養子縁組の成立を認めない旨の決定をした場合又は労働者自ら請求を取り下げた場合若しくは当該労働者との間に養子縁組が成立することなく委託措置が解除された場合をいうものであること。これらの事由が生じた旨を労働者が通知する場合は、裁判所の決定を受けた日又は請求を取り下げた日若しくは委託措置が解除された日に当該事由を事業主に通知すれば足りるものであるが、可能な限りそれ以前にその状況を事業主に知らせることが望ましいものであること。

(8) 則第20条第5号の「当該育児休業申出に係る子が一歳(法第五条第三項の申出に係る子にあっては一歳六か月、同条第四項の申出に係る子にあっては二歳)に達するまでの間、当該子を養育することができない状態」とは、身体障害者福祉法第4条の身体障害者であること、又はこれと同程度に日常生活に制限を受ける精神障害があることにより自ら子を養育することが困難な状態のほか、育児休業申出に係る子が1歳(1歳6か月までの育児休業の申出に係る子にあっては1歳6か月、2歳までの育児休業の申出に係る子にあっては2歳)に達するまでの間通院、加療のみならず入院又は安静を必要とすることが見込まれる状態をいうものであり、このような状態であることが確定しない間は、当該育児休業申出はされなかったものとみなされないものであること。

(9) 則第20条第6号は、法第9条の2第1項の規定の適用を前提に子の1歳到達日の翌日以後の日を含む育児休業の申出をした場合において、当該育児休業申出に係る育児休業開始予定日とされた日の前日までに、当該労働者の配偶者が育児休業をしなかったことにより、同項の規定が適用されないこととなった場合(ただし、当該育児休業開始予定日とされた日が当該配偶者がしている育児休業に係る育児休業期間の初日と同じ日である場合は、同項の規定の対象となりうることから、この場合を除く。)を定めるものであること。

「子の一歳到達日の翌日以後の日に育児休業をする場合」とは、育児休業期間の一部に子の一歳到達日の翌日以後の日が含まれる場合をいうものであること。したがって、子の一歳到達日までの育児休業については、則第20条第6号の対象とならないものであること。

「当該申出に係る育児休業開始予定日とされた日が当該配偶者がしている育児休業に係る育児休業期間の初日と同じ日である場合」とは、法第9条の2第1項の規定が適用されうることから、これを除くものであること。この場合において、「配偶者がしている育児休業に係る育児休業期間の初日」とは、配偶者が実際にした育児休業の初日をいうものであること。

17 育児休業期間の考え方(法第9条第1項)

(1) 法第5条から第7条までの規定に基づき育児休業申出等がなされた場合の当該育児休業申出をした労働者の育児休業期間については、

① 当該労働者の育児休業申出に係る育児休業開始予定日から育児休業終了予定日までとすることを基本とすること

② 事業主による育児休業開始予定日とする日の指定や労働者による育児休業開始予定日又は育児休業終了予定日の変更の申出があった場合は、その指定や変更の申出の結果育児休業開始予定日又は育児休業終了予定日となった日によって最終的に決定されること

を明らかにしたものであること。

(2) 「育児休業開始予定日とされた日」とは、法第6条第3項又は法第7条第2項の規定による事業主による育児休業開始予定日とする日の指定があった場合にあっては当該事業主の指定した日、同条第1項の規定により育児休業開始予定日が変更された場合にあってはその変更後の育児休業開始予定日とされた日の意であること。

18 育児休業期間の終了(法第9条第2項)

(1) 育児休業期間中にその育児休業申出に係る子が死亡するなど厚生労働省令で規定する事由(則第21条で、則第20条を準用する旨を規定した。)が生じた場合、子が1歳(1歳6か月までの育児休業をしている場合にあっては1歳6か月、2歳までの育児休業をしている場合にあっては2歳)に達した場合又は育児休業申出をした労働者本人について産前産後休業、介護休業若しくは新たな育児休業が始まった場合には、育児休業は終了することとしたものであること。

(2) 育児休業期間の終了に関し、以下の点に留意すること。

イ 育児休業をしている労働者に関し、一時的に子の養育をする必要がなくなる場合が生じ得るが、その場合を当然終了事由とすることは、労働者にとって酷となるだけでなく、事業主にとっても要員管理が不安定なものとなるため、当然終了事由とはしていないところであること。

しかしながら、話合いにより、当該育児休業期間中の労働者が、当該子の養育をする必要がない期間について、一時的・臨時的にその事業主の下で就労することは妨げないものであること。その場合、当該労使で育児休業を終了させる特段の合意のない限り、育児休業が終了するものではなく、子が1歳(1歳6か月までの育児休業をしている場合にあっては1歳6か月、2歳までの育児休業をしている場合にあっては2歳)に満たない期間中は、中断していた育児休業を再開することができるものであること。

ロ 育児休業期間中他の事業主の下で就労することについては、本法上育児休業の終了事由として規定してはいないが、育児休業とは子を養育するためにする休業であるとしている本法の趣旨にそぐわないものであると同時に、事業主への届出等を行わずに就労している場合等は一般的に信義則に反するものと考えられ、このような場合において育児休業期間中他の事業主の下で就労したことを理由として事業主が労働者を問責することは、許され得るものと解されること。

ハ 育児休業申出による当該育児休業申出をした労働者の労務提供義務の消滅は、産前休業が可能である期間についてはその請求を解除条件とするものであり、育児休業期間中であっても産前休業の請求はできるものであること。

(3) 「新たな育児休業期間」とは、育児休業申出に係る子とは異なる子について開始する育児休業期間の意であること。

19 育児休業期間の終了に関する労働者の通知義務(法第9条第3項)

(1) 法第8条第3項後段と同様、当該労働者に法第9条第2項第1号に規定する事由が生じた場合の事業主に対する通知義務を課したものであること。

(2) 「通知」は、事実の告知であり、それ自体に法律上の効果はなく、事業主は則第20条各号に規定する事由が生じたときは、通知がなくとも育児休業が終了したものとして取り扱うものであること。

20 両親ともに育児休業をする場合の特例(パパ・ママ育休プラス)(法第9条の2第1項)

(1) 男性の育児休業の取得促進を図る観点から、男女ともに育児休業をした場合の育児休業の特例を設けるものであること。なお、夫が育児休業をしている場合に妻がする育児休業についても、法令に定める要件を満たす場合は当然対象となること。

(2) 法第9条の2第1項の規定(以下「特例規定」という。)による読み替えは、同項に定める要件を満たした場合に適用される(ただし、同条第2項に該当する場合を除く。)ものであるが、特例規定の適用を前提とした育児休業申出も可能であること。

(3) 特例規定による法第5条第1項の読み替えは、特例規定による育児休業の申出の対象となる子の年齢についての特例(『1歳に満たない子』を『1歳2か月に満たない子』とする。)を定めるものであること。また、パパ休暇又は法第5条第2項に定める特別の事情による再度の育児休業についても特例の対象となりうるものであること。

(4) 特例規定による法第5条第3項柱書きの読み替えは、配偶者の育児休業終了予定日とされた日が特例規定により1歳到達日後である場合における期間雇用者の1歳6か月までの育児休業についての特例(『一歳到達日において育児休業をしているもの』を『育児休業終了予定日において育児休業をしているもの』とする。)を定めるものであること。

(5) 特例規定による法第5条第3項第1号の読み替えは、労働者の育児休業終了予定日とされた日が特例規定により1歳到達日後である場合又は配偶者の育児休業終了予定日とされた日が特例規定により1歳到達日後である場合における1歳6か月までの育児休業についての特例(『労働者又は配偶者が子の一歳到達日において育児休業をしている場合』を『労働者が育児休業終了予定日において育児休業をしている場合又は配偶者が育児休業終了予定日において育児休業をしている場合』とする。)を定めるものであること。

(6) 特例規定による法第5条第6項の読み替えは、労働者又は配偶者の育児休業終了予定日とされた日が特例規定により1歳到達日後である場合における育児休業開始予定日の特例(『一歳到達日の翌日』を『労働者又は配偶者の育児休業終了予定日の翌日』とする。)を定めるものであること。また、労働者と配偶者の育児休業終了予定日がともに1歳到達日後である場合には、そのいずれかの育児休業終了予定日の翌日を育児休業開始予定日とすることができるものであること。

(7) 特例規定による法第9条第1項の読み替えは、同項に定める育児休業等取得日数が同項に定める育児休業等可能日数を超える場合における育児休業期間の特例(『育児休業終了予定日とされた日』を『当該経過する日』とする。)を定めるものであること。

「当該育児休業終了予定日とされた日」とは、労働者の申出による育児休業終了予定日をいうものであること。ただし、第7条第3項の規定により当該育児休業終了予定日が変更された場合にあっては、その変更後の育児休業終了予定日とされた日をいうものであること。

「育児休業等可能日数」とは、子の出生した日から当該子の一歳到達日までの間にうるう日が含まれない場合は365日、含まれる場合には366日となるものであること。

「当該子の出生した日以後当該労働者が労働基準法第六十五条第一項又は第二項の規定により休業した日数」とは、子の出生した日は産前に含まれるとされていることを踏まえたものであること。したがって、育児休業等取得日数には、子の出生した日における産前休業と子の出生日後の産後休業の日数が含まれるものであること。

(8) 特例規定による法第9条第2項の読み替えは、特例規定による育児休業の終了事由についての特例(『子が一歳に達したこと』を『子が一歳二か月に達したこと』とする。)を定めるものであること。

(9) 特例規定による法第24条第1項第1号の読み替えは、特例規定による同項の規定による事業主の努力義務についての特例(『一歳に満たない子』を『一歳二か月に満たない子』とする。)を定めるものであること。

○ パパ・ママ育休プラスの具体例

子の出生日 平成29年10月10日(火)

子が1歳に達する日(1歳到達日) 平成30年10月9日(火)(通常の休業取得可能期間)

子が1歳に達する日の翌日 平成30年10月10日(水)

子が1歳2ヶ月に達する日 平成30年12月9日(日)

※ 太枠が、パパ・ママ育休プラスの場合

(例1)

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(例2)

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(例3)

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(例4)

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(例5)

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(例6)

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○ パパ・ママ育休プラスの場合に1歳6か月までの育児休業を取得する場合の具体例

(例1)

※ 太枠がパパ・ママ育休プラス、色付きは1歳6か月までの育児休業

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(例2)

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(例3)

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(例4)

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(例5)

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(例6)

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21 両親ともに育児休業をする場合の特例の例外(法第9条の2第2項)

(1) 「育児休業開始予定日とされた日が、当該育児休業に係る子の1歳到達日の翌日後である場合」とは、育児休業が1歳に満たない子についてするものであることを原則としていることを踏まえ、労働者が子の1歳到達日までに育児休業をしない場合は特例規定を適用しないものであること。なお、育児休業開始予定日が当該育児休業に係る子の1歳到達日の翌日である場合については、配偶者と子の1歳到達日の翌日(すなわち子の1歳の誕生日)に交替して育児休業をする場合が考えられることから、これを特例として特例規定の対象とするものであること。

(2) 「当該労働者の配偶者がしている育児休業に係る育児休業期間の初日前である場合」とは、育児休業の権利の安定性を確保する観点から、育児休業開始予定日とされた日以前に、配偶者が育児休業をしていることを求めるものであること。この場合において、「配偶者がしている育児休業に係る育児休業期間の初日」とは、配偶者が実際にした育児休業の初日をいうものであること。また、「初日前」とは初日を含まないものであり、したがって、育児休業開始予定日とされた日と配偶者がしている育児休業に係る育児休業期間の初日が同じ日である場合には、本項に該当しないものであること。

22 公務員である配偶者がする育児休業に関する規定の適用(法第9条の3)

1歳6か月までの育児休業及び2歳までの育児休業において配偶者に替わって育児休業をしようとする場合及び特例規定により1歳到達日後に育児休業をしようとする場合において、配偶者が法第9条の3に掲げる法律の規定によりする請求及び当該請求に係る育児休業については、それぞれ法第5条第1項又は第3項の規定によりする申出及び当該申出によりする育児休業とみなすものであること。

23 不利益取扱いの禁止(法第10条)

(1) 育児休業の権利行使を保障するため、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることが禁止されることを明示したものであること。

(2) 「解雇その他不利益な取扱い」に該当する法律行為が行われた場合においては、当該行為は民事上無効と解されること。

(3) 指針第二の十一の(一)は、法第10条の規定により禁止される解雇その他不利益な取扱いとは、労働者が育児休業の申出又は取得をしたこととの間に因果関係がある行為であることを示したものであり、育児休業の期間中に行われる解雇等がすべて禁止されるものではないこと。

また、「因果関係がある」については、育児休業の申出又は取得をしたことを契機として不利益取扱いが行われた場合は、原則として育児休業の申出又は取得をしたことを理由として不利益取扱いがなされたと解されるものであること。ただし、

(イ) 円滑な業務運営や人員の適正配置の確保などの業務上の必要性から支障があるため当該不利益取扱いを行わざるを得ない場合において、

(ロ) その業務上の必要性の内容や程度が、法第10条の趣旨に実質的に反しないものと認められるほどに、当該不利益取扱いにより受ける影響の内容や程度を上回ると認められる特段の事情が存在すると認められるとき

又は

(イ) 当該労働者が当該取扱いに同意している場合において、

(ロ) 当該育児休業及び当該取扱いにより受ける有利な影響の内容や程度が当該取扱いにより受ける不利な影響の内容や程度を上回り、当該取扱いについて事業主から労働者に対して適切に説明がなされる等、一般的な労働者であれば当該取扱いについて同意するような合理的な理由が客観的に存在するとき

についてはこの限りでないこと。

なお、「契機として」については、基本的に育児休業の申出又は取得をしたことと時間的に近接して当該不利益取扱いが行われたか否かをもって判断すること。例えば、育児休業を請求・取得した労働者に対する不利益取扱いの判断に際し、定期的に人事考課・昇給等が行われている場合においては、請求後から育児休業満了後の直近の人事考課・昇給等の機会までの間に、指針第二の十一の(二)リの不利益な評価が行われた場合は、「契機として」行われたものと判断すること。

(4) 指針第二の十一の(二)のイからルまでに掲げる行為は、「解雇その他不利益な取扱い」の例示であること。したがって、ここに掲げていない行為についても個別具体的な事情を勘案すれば不利益取扱いに該当するケースもあり得るものであり、例えば、期間を定めて雇用される者について更新後の労働契約の期間を短縮することなどは、不利益取扱いに該当するものと考えられること。

(5) 指針第二の十一の(三)は、不利益取扱いに該当するか否かについての勘案事項を示したものであること。

イ 指針第二の十一の(三)のイは、育児休業及び介護休業は、期間を定めて雇用される者については雇用継続の可能性があれば取得できることから、育児休業期間又は介護休業期間の途中で契約の更新について事業主が判断する時期を迎えることが考えられるため、不利益取扱いに当たる雇止めに該当しない可能性が高いと考えられる事項を示したものであること。

(イ) 指針第二の十一の(三)のイの(イ)は、専ら事業の縮小や当該労働者が担当していた業務の終了・中止等の経営上の理由から、契約内容や更新回数などに照らして同様の地位にある期間を定めて雇用される者の全てを雇止めする場合であること。

(ロ) 指針第二の十一の(三)のイの(ロ)は、同様の地位にある期間を定めて雇用される者の全てを雇止めする必要性はないものの、事業の縮小や当該労働者が担当していた業務の終了・中止等により、期間を定めて雇用される者の一部について雇止めをする場合に、雇止めをする者を選ぶ基準として、当該期間を定めて雇用される者の能力不足や勤務不良等に着目する場合であること。

「能力不足や勤務不良等は、育児休業又は介護休業の取得以前から問題とされていたこと」とは、例えば育児休業の取得前から勤務成績が不良であった場合等をいうものであるが、育児休業取得後に過去の非違行為が発覚した場合や育児休業中に非違行為を行っていた場合には、これらを理由とすることは当然可能であること。

ロ 指針第二の十一の(三)のホ(イ)は、育児休業及び介護休業をした期間について、人事考課において選考対象としないことは不利益取扱いには当たらないが、当該休業をした労働者について休業を超える一定期間昇進・昇格の選考対象としない人事評価制度とすることは、不利益取扱いに当たるものであること。

「休業期間を超える一定期間」とする趣旨は、例えば、休業期間が複数の評価期間にまたがる場合や、休業期間が評価期間より短い場合に、休業期間と評価期間にずれが生じることから、こうした場合に、休業期間を超えて昇進・昇格の選考対象としない人事評価制度とすることについて、一定の範囲でこれを認める趣旨であること。なお、「休業期間を超える一定期間」であるかどうかは、人事評価制度の合理性、公平性を勘案して個別に判断するものであること。

例えば、「三年連続一定以上の評価であること」という昇格要件がある場合に、休業取得の前々年、前年と2年連続一定以上の評価を得ていたにも関わらず、休業取得後改めて3年連続一定以上の評価を得ることを求める人事評価制度とすることは、不利益な取扱いに該当するものであること。

ハ 指針第二の十一の(三)のヘにより保障される復職先の職場の範囲は、指針第二の七の(一)に規定する「原職又は原職相当職」よりも広く、仮に別の事業所又は別の職務への復職であっても、通常の人事異動のルールから十分に説明できるものであれば、指針第二の十一の(二)のヌの「不利益な配置の変更」には該当しないものであること。

指針第二の十一の(三)のヘの「通常の人事異動のルール」とは、当該事業所における人事異動に関する内規等の人事異動の基本方針などをいうが、必ずしも書面によるものである必要はなく、当該事業所で行われてきた人事異動慣行も含まれるものであること。

指針第二の十一の(三)のヘの「相当程度経済的又は精神的な不利益を生じさせること」とは、配置転換の対象となる労働者が負うことになる経済的又は精神的な不利益が通常甘受すべき程度を著しく超えるものであることの意であること。

ニ 指針第二の十一の(三)のトの「等」には、例えば、事業主が、労働者の上司等に嫌がらせ的な言動をさせるよう仕向ける場合が含まれるものであること。

ホ 指針第二の十六の(二)及び同(三)は、労働者派遣法第47条の3の規定により、労働者派遣の役務の提供を受ける者がその指揮命令の下に労働させる派遣労働者の当該労働者派遣にかかる就業に関して、当該労働者派遣の役務の提供を受ける者もまた、当該派遣労働者を雇用する事業主とみなすことを踏まえ、不利益な取扱いにあたる場合を例示しているものであること。同条の詳細については、平成28年8月2日付け雇児発0802第2号「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第47条の2から第47条の3までの規定の運用について」が発出されているものであること。

 

第3 介護休業(法第3章)

1 介護休業の申出(法第11条第1項)

(1) 労働者(日々雇用される者を除く。)が事業主に対して「申出」という行為をすることによって、その対象家族を介護するために介護休業をすることができることとしたものであること。ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、次のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができるものであること。

イ 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者

ロ 介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日(以下「93日経過日」という。)から6か月を経過する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者

なお、育児休業と同様に、期間を定めて雇用される者のうち、休業を可能にすることにより雇用の継続の可能性があると考えられる一定の範囲の労働者について、介護休業の対象としているものであること(第2の1(1)参照)。

(2) 「その事業主」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の1(3)(4)参照)。

(3) 申出の効果については、育児休業の場合と同様であること(第2の1(5)参照)。

(4) 「期間を定めて雇用される者」の留意事項については、育児休業の場合と同様であること(第2の1(6)参照)。したがって、労働契約の形式上期間を定めて雇用されている者であっても、当該契約が期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている場合には、法第11条第1項各号に定める要件に該当するか否かにかかわらず、実質的に期間の定めのない契約に基づき雇用される労働者であるとして介護休業の対象となるものであること。このため、指針第二の一の(一)において、その判断に当たって事業主が留意すべき事項を示したものであること(指針事項)。

(5) 「期間を定めて雇用される者」が、法第11条第1項各号に定める要件を満たすか否かの判断に当たっては、以下の点に留意すること。

イ 「九十三日経過日」とは、介護休業開始予定日から起算、すなわち介護休業開始予定日を1日目として数えた場合に、93日目に該当する日をいうものであること。例えば、平成29年4月1日が介護休業開始予定日の場合における93日経過日は、平成29年7月2日となること。この場合の「93日経過日から6か月を経過する日」は平成30年1月1日となること。

ロ 労働者が同一の対象家族に対して過去に介護休業をしたことがある場合においては、介護休業をすることができる残日数は93日より少ないこととなるが、その場合であっても、「期間を定めて雇用される者」が介護休業の申出が可能か否かについては、介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までの間にその労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでないか否かにより判断することに変わりはないこと。

ハ その他、「期間を定めて雇用される者」が法第11条第1項各号に定める要件を満たしているか否かの判断の方法並びに「引き続き雇用された期間が一年以上」及び「当該事業主に引き続き雇用された期間」の解釈等については、育児休業の場合と同様であること(第2の1(7)参照)。

(6) 指針第二の一の(三)は、事業所にあらかじめ介護休業制度を導入し、かつ、就業規則の整備等必要な措置を講ずることを事業主に求めたものであること。これは、法律上、介護休業の制度が事業所内制度として設けられることが労働者の権利行使に当たって必須のものであるとはいえないが、法律上介護休業が労働者の権利として認められており、労働者がこれを容易に取得できるようにするためにも、介護休業の制度があらかじめ事業所内制度として設けられた上で、就業規則等に記載され、労働者に制度の存在が明らかになっていることが必要であることを明示したものであること。

2 介護休業の回数及び日数(法第11条第2項)

(1) 介護休業をしたことがある労働者は、当該介護休業に係る対象家族が次のいずれかに該当する場合には、当該対象家族については、介護休業の申出をすることができないものであること。

イ 当該対象家族について3回の介護休業をした場合

ロ 当該対象家族について、介護休業日数が93日に達している場合

すなわち、介護休業をしたことがある労働者であっても、イ及びロのいずれにも該当しない場合には、介護休業を再度取得することができることとしたものであること。

これは、介護休業について、これまで一の要介護状態ごとに1回の介護休業を通算して93日まですることができる権利として保障するものとされてきたものであるが、介護休業の複数回取得へのニーズがある中で、短期間の休業で復帰する者も少なくないなど同一の要介護状態であっても再度介護休業を取得する必要性が高いことも踏まえ、同一の対象家族について、介護休業を通算して93日の範囲内で3回まで取得することができることに改められたものであること。なお、その日数については、平成7年の介護休業制度導入の際に、同一の対象家族について最低基準として保障されていた最長の介護休業期間(「介護休業開始予定日とされた日の翌日から起算して三月を経過する日」まで介護休業をすると、最大で初日+31日×2+30日×1の場合93日)を勘案し、93日としたものであること。

(2) 「介護休業をしたことがある」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の2(8)参照)。

(3) 「当該対象家族について介護休業をした日数(・・・)が九十三日に達している場合」(法第11条第2項第2号)については、介護休業日数が93日に達している場合は、介護休業の申出が認められないことをいうものであり、すなわち、介護休業日数が通算して93日までの範囲内で、介護休業が可能であることをいうものであること。その際、介護休業日数は、個々の労働者について、対象家族ごとに計算するものであること。例えば、その事業主の下でした介護休業が、実父の介護のために93日、実母の介護のために30日である労働者は、実父の介護のために新たな介護休業申出をすることはできないものであるが、実母の介護のために新たな介護休業申出をすることは可能であること。

(4) 第2号の「介護休業日数」とは、当該対象家族について介護休業をした日数を合算した日数をいい、2回以上の介護休業をした場合には、それぞれの介護休業の日数を合算した日数であること。

なお、同一の対象家族について他の事業主の下で介護休業をしたことがある場合の当該他の事業主の下でした介護休業の日数は、介護休業日数には算入しないものであること。

(5) 第2号の「介護休業を開始した日から介護休業を終了した日までの日数」は、その間の労働日ではない日の日数も含めて計算するものであること。なお、「介護休業を開始した日」が起算日となることから、これは介護休業日数に算入されるものであること。

(6) 第2号イの「二回以上の介護休業をした場合にあっては、介護休業ごとに、当該介護休業を開始した日から当該介護休業を終了した日までの日数を合算して得た日数」とは、同一の対象家族について、以前に介護休業をしたことがある場合の日数の算定方法を定めたものである。

3 介護休業の申出の方法(法第11条第3項)

(1) 介護休業の申出(以下「介護休業申出」という。)は、連続した一の期間についてしなければならないものであり、その際、期間の初日と末日を明らかにして行わなければならないこととしたほか、その方法を厚生労働省令で定めることとしたものであること。

厚生労働省令では、介護休業申出は所定の事項を事業主に申し出ることによって行わなければならないこと、申出方法及び申出があった場合の事業主の通知については育児休業の場合に準ずること並びに事業主は介護休業申出の申出事項に係る事項を証明することができる書類の提出を労働者に求めることができること等を規定したものであること(則第23条)。

なお、期間を定めて雇用される者が労働契約の更新に際して行う介護休業申出については、申出事項が限定されていること。

(2) その他「その期間中は当該対象家族に係る介護休業をすることとする一の期間」の解釈、労働者災害補償保険法に基づく給付との関係、則第22条第1項の介護休業申出等の様式、介護休業申出の申出先、特定の方法での介護休業申出を求める場合、期間を定めて雇用される者が、法第11条第4項に規定する介護休業申出(労働契約の更新に伴い継続して介護休業をしようとする場合にする申出)の介護休業申出の申出事項、則第23条第1項第1号の「介護休業申出の年月日」の申し出るべき日については、育児休業の場合と同様であること(第2の5(2)から(8)まで参照)。

(3) 則第23条第1項第4号の「対象家族が要介護状態にある事実」も、対象家族が2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態である旨を記載すれば足りるものであること。

則第23条第1項第6号の「介護休業申出に係る対象家族についての法第十一条第二項第二号の介護休業日数」については、同一の対象家族に係る介護休業日数が93日に達していない場合に再度の介護休業申出が可能となることから、その確認のために介護休業申出の申出事項としているものであること。なお、介護休業申出により明らかにされた介護休業日数が事業主の保有する記録と異なる場合は、当事者間で確認の上事業主が補正することは可能であること。

(4) 則第23条第2項において準用する則第7条第4項の「速やかに」とは、原則として労働者が介護休業申出をした時点からおおむね1週間以内に、との意であるが、介護休業申出の日から介護休業開始予定日までの期間が1週間に満たない場合にあっては、介護休業開始予定日までにとの意であること。

(5) 則第23条第3項の「証明することができる書類」として利用可能な書類の例は、それぞれの証明すべき事実に応じ以下のとおりであること。

イ 対象家族と労働者との続柄 住民票記載事項の証明書

ロ 要介護状態の事実 当該対象家族に係る市町村が交付する介護保険の被保険者証又は医師、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士又は介護福祉士が交付する別添の基準に係る事実を証明する書類

また、上記の証明書等に代わってそれぞれの事実が証明できる他の書類を提出することを妨げるものではなく、当該労働者の同僚等第三者の申立書の提出なども含め様々な方法が可能であること、さらに、証明方法について、介護休業申出をする労働者に過大な負担をかけることのないようにすべきものであることなどは、育児休業の場合と同様である(第2の5(16)参照)が、介護休業に関しては、特に情勢が様々に変化することがあるので、臨機応変かつ柔軟な対応が望まれるものであること。

4 期間を定めて雇用される者の介護休業申出に係る特例(法第11条第4項)

(1) 育児休業と同様に、期間を定めて雇用される者に係る労働契約の更新に伴う申出については、法の規定をそのまま適用すると、更新後の労働契約の期間について介護休業申出をすることができなくなることから、次に掲げる規定の適用を除外することとしたものであること(第2の6(1)参照)。

イ 法第11条第1項ただし書(介護休業の申出をすることができる期間を定めて雇用される者の範囲)

ロ 法第11条第2項(第2号を除く。)(当該家族についての介護休業の回数)

なお、法第11条第2項第2号の規定は適用を除外されていないことから、介護休業日数が93日に達している場合には、期間を定めて雇用される者に係る労働契約の更新に伴う申出であっても、申出をすることができないことに留意すること。

(2) その他「その締結する労働契約の期間の末日を介護休業終了予定日・・・とする介護休業をしているもの」及び「当該労働契約の更新に伴い、当該更新後の労働契約の期間の初日を介護休業開始予定日とする介護休業申出をする場合」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の6(2)(3)参照)。

5 介護休業申出があった場合における事業主の義務(法第12条第1項及び同条第2項において準用する法第6条第1項ただし書)

(1) 第1項は、法に規定する要件を満たす労働者が事業主に申し出ることにより、申し出た期間介護休業をすることができるという原則により、事業主がこれらの労働者の介護休業申出を拒むことができないことを明らかにしたものであること。

また、第2項は、その例外として、労使の書面による協定により一定の範囲の労働者(①雇入れ後1年未満の労働者、②その他介護休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者)を介護休業をすることができない者として定めることができるものとしたものであること。

厚生労働省令では、介護休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者の範囲を規定したものであること(則第24条)。

厚生労働省令では更に、法第12条第2項において準用する第6条第1項ただし書の書面による協定においては、事業主が同項の規定に基づき労働者からの介護休業申出を拒む場合及び介護休業をしている労働者が介護休業をすることができないものとして定められた者に該当したことにより介護休業を終了させる場合の手続等の事項を定めることができ、このような定めをするためには当該協定に規定しなければならないことを明らかにしたものであること(則第25条において準用する則第8条)。

(2) 事業主は、経営困難、事業繁忙その他どのような理由があっても適法な労働者の介護休業申出を拒むことはできず、また、法第12条第3項で認められる場合を除き、介護休業の時期を変更することはできないものであること。

(3) その他「事業所の労働者」の範囲、「過半数を代表する」か否かの判断時点、「代表する者」の選出方法、「書面による協定」の記載事項、「協定」の締結単位・有効期間については、育児休業の場合と同様であること(第2の7(3)から(7)まで参照)。

(4) 法第12条第2項において準用する法第6条第1項第1号の「当該事業主に引き続き雇用された期間」の解釈及び「一年に満たない」か否かの判断時点については、育児休業の場合と同様であること(第2の7(8)(9)参照)。

(5) 法第12条第2項において準用する法第6条第1項第2号に該当するか否かの判断時点については、育児休業の場合と同様であること(第2の7(10)参照)。

(6) 則第24条第1号の「雇用関係が終了することが明らかな労働者」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の7(11)参照)。

(7) 則第24条第2号の「則第8条第2号の労働者」とは、第2の7(12)で示すとおり、1週間の所定労働日数が2日以下である者であること。

6 介護休業申出を拒まれた労働者の介護休業(法第12条第2項において準用する法第6条第2項)

(1) 事業主が、法第12条第2項において準用する法第6条第1項ただし書の規定により、労使協定で介護休業をすることができないものとして定められた労働者からの介護休業申出を拒んだ場合は、当該労働者は介護休業をすることができないこととしたものであること。

(2) 介護休業申出を拒まれた労働者であっても、その後労使協定で介護休業をすることができない者として定められた労働者に該当しなくなれば、申し出て介護休業をすることができるものであること。

7 事業主による介護休業開始予定日の指定(法第12条第3項)

(1) 介護休業申出に係る介護休業開始予定日から介護休業が開始する原則の例外として、介護休業開始予定日とされた日が介護休業申出があった日の翌日から起算して2週間を経過する日(以下「2週間経過日」という。)前の日である場合には、厚生労働省令で定めた方法(則第26条第1項で、原則として介護休業申出があった日の翌日から起算して3日を経過する日、その日が介護休業申出に係る介護休業開始予定日よりも後である場合には当該介護休業開始予定日までに行うものと規定した。)で、2週間経過日までの間で介護休業開始予定日とする日を指定することができることとしたものであること。

この場合において、介護休業をすることの緊急性と事業主の負担との調和に配慮して「2週間経過日」としたものであることにかんがみ、育児休業の場合における法第6条第3項及び則第10条の場合とは異なり、休業することが早急に必要となる場合に指定に係る期間を短縮する規定はないので留意すること。

(2) 労働者が介護休業申出に係る介護休業開始予定日から介護休業を開始するためには、介護休業開始予定日の2週間前の日までに事業主に申し出なければならないものであること。ただし、各事業所において、介護休業申出に係る介護休業開始予定日から介護休業を開始するためにこれより短い期間の申出を認める制度を設けることは可能であること。

(3) その他「当該介護休業申出があった日の翌日から起算して2週間を経過する日」、「前の日」の解釈並びに事業主が介護休業開始予定日とする日の指定をすることができる制度及び定められた期間内に事業主の指定が行われなかった場合の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の9(3)から(5)参照)。

(4) 各事業所において、事業主が介護休業開始予定日として指定できる日を介護休業申出があった日の翌日から起算して2週間より短い期間を経過する日までとすることを認める制度を設けることは可能であること。

(5) 則第26条第1項の「介護休業開始予定日とされた日までに」及び「介護休業申出があった日の翌日から起算して3日を経過する日」並びに同条第2項の解釈については、育児休業の場合における則第12条の解釈と同様であること(第2の9(12)から(14)参照)。

(6) 法第12条第3項に関する具体的適用例は、次のとおりであること。

介護休業開始予定日を10月9日とする介護休業申出を10月2日に行った。

この介護休業開始予定日は、介護休業申出があった日の翌日から起算して2週間を経過する日である10月16日よりも前の日であることから、法第12条第3項に該当する。

したがって、介護休業申出を受けた事業主は、介護休業申出に係る介護休業開始予定日(10月9日)から、介護休業申出があった日(10月2日)の翌日から起算して2週間を経過する日(10月16日)までの間のいずれかの日を、介護休業開始予定日として指定することができる。この指定は、10月2日に介護休業申出があった場合、介護休業申出があった日の翌日から起算して3日を経過する日(10月5日)までに行わなければならない。

例えば、10月12日を介護休業開始予定日として事業主が指定した場合、介護休業申出をした労働者はその日から介護休業をすることができる。

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8 期間を定めて雇用される者の介護休業申出に係る特例(法第12条第4項)

(1) 4(1)と同様の趣旨から、更新後の労働契約の期間について引き続き介護休業をしようとする場合には、次に掲げる規定の適用を除外することとしたものであること。

イ 法第12条第2項において準用する法第6条第1項ただし書(第2号を除く。)及び第2項(労使協定により介護休業申出を拒むことができる労働者の範囲)

ロ 法第12条第3項(事業主による介護休業開始予定日の変更)

(2) 特例の対象となる介護休業申出の範囲は、4と同一であること(4(1)参照)。

9 介護休業開始予定日の変更の申出

労働者の申出のみによる介護休業開始予定日の繰上げ又は繰下げの変更については、規定していないものであること。

ただし、各事業所において、労働者の希望により介護休業開始予定日の繰上げ又は繰下げの変更を認める制度を設けることは可能であること。

10 介護休業終了予定日の変更の申出(法第13条において準用する法第7条第3項)

(1) 介護休業申出をした労働者は、厚生労働省令で定める日(則第27条で、当初の介護休業終了予定日の2週間前の日と規定した。)までに申し出ることにより、1回に限り事由を問わず介護休業終了予定日を繰り下げる旨の変更の申出をすることができることとし、その方法として、則第28条において準用する則第17条において、所定の事項を事業主に申し出ることによって行わなければならないこと並びに申出方法及び申出があった場合の事業主の通知については育児休業の場合に準ずることを規定したものであること。この申出は、「当該介護休業申出に係る介護休業終了予定日」について1回に限り認められるものであるため、介護休業ごとに1回まで認められるものであり、例えば1回目の介護休業において終了予定日の変更の申出をしていた場合、2回目の介護休業においても1回に限り終了予定日の変更の申出が可能であること。

(2) 介護休業終了予定日とされた日の2週間前の日よりも後に行われる介護休業終了予定日の変更の申出は、本法上事業主がこれに応ずる義務はないものであるが、各事業所において、当該申出を認める制度を設けることは可能であること。

(3) 「後の日」とは、直後の日のみではなく、直後の日以後のいずれかの日の意であること。ただし、介護休業開始予定日とされた日から起算して93日から介護休業日数を減じた日数を経過する日を限度とするものであること。

(4) 労働者の申出のみによる介護休業終了予定日の繰上げ変更については、規定していないものであること。

ただし、各事業所において、労働者の希望により介護休業終了予定日を繰り上げ変更することを認める制度を設けることは可能であること。

11 介護休業申出の撤回(法第14条第1項)

介護休業申出をした労働者は、介護休業開始予定日の前日までは、事由を問わずその介護休業申出を撤回することができることとし、その方法として、則第29条において準用する則第18条において、所定の事項を事業主に申し出ることによって行わなければならないこと並びに申出方法及び申出があった場合の事業主の通知については育児休業の場合に準ずることを規定したものであること。

12 撤回後の再度の介護休業申出(法第14条第2項)

介護については、育児の場合以上に諸事情が変化し得るため、いったん撤回した介護休業申出に係る対象家族についての再度の介護休業申出は、1回の介護休業につき1回はできることとしたものであること。撤回後の最初の介護休業申出が撤回された場合、すなわち2回続けて介護休業申出が撤回された場合には、事業主の雇用管理への影響等を考慮し、その後の介護休業申出については事業主がこれを拒むことができることとしたものであること。具体的には、例えば介護休業を1回取得したことがある労働者が、2回目の介護休業の申出(申出①)をしたものの、これを撤回した場合、その後にする介護休業申出(申出②)については、事業主は拒むことができないこと。

また、申出②にかかる介護休業(休業②)取得後に、介護休業申出(申出③)をした場合、事業主はこれを拒むことができないこと。しかし、申出②も撤回した場合は、その後の介護休業申出(申出③や申出④など)については、事業主は拒むことができるため、休業②以降の休業は取得できないこととしたものであること。

ただし、事業主が、2回続けて介護休業申出が撤回された後の介護休業申出を拒まない場合は、当該労働者は、当該介護休業申出に係る介護休業をすることができるものであること。

13 介護休業申出がされなかったものとみなす事由(法第14条第3項において準用する法第8条第3項)

(1) 介護休業申出後、厚生労働省令で定める事由(則第30条で、対象家族の死亡、対象家族と労働者との親族関係の消滅等を規定した。)が生じたときは、介護休業申出がされなかったものとみなされることとし、労働者にこのような事由が生じた場合の通知義務を課したものであること。

(2) 則第30条各号に規定する事由が生じたときの法的効果、法第14条第3項において準用する法第8条第3項後段の「遅滞なく」及び「通知」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の16(2)から(4)参照)。

(3) 則第30条第2号で定める事由が生じた旨を労働者が通知する場合は、離婚、婚姻の取消、離縁又は養子縁組の取消を官公署に受理された日に当該事由を事業主に通知すれば足りるものであるが、可能な限りそれ以前にその状況を事業主に知らせることが望ましいものであること。

(4) 則第30条第2号の「親族関係の消滅」にあたる事由として、以下の事由があること。

イ 対象家族が、当該労働者の配偶者である場合

当該労働者とその対象家族との離婚又は婚姻の取消し

ロ 対象家族が、当該労働者の養子又は養親である場合

当該労働者とその対象家族との離縁又は養子縁組の取消し

ハ 対象家族が、当該労働者の配偶者の親である場合

当該労働者とその配偶者との離婚又は婚姻の取消し

ニ 対象家族が、当該労働者の配偶者の養親である場合

当該労働者の配偶者と対象家族との離縁又は養子縁組の取消し

ホ 対象家族が、当該労働者の養親の親又は養子の子である場合

当該労働者とその養親又は養子との離縁又は養子縁組の取消し

ヘ 対象家族が、当該労働者の親の養親又は子の養子である場合

当該労働者の親又は子と対象家族との離縁又は養子縁組の取消し

ト 対象家族が、当該労働者の親の養子である場合

当該労働者の親と対象家族との離縁又は養子縁組の取消し

チ 対象家族が、当該労働者の養親の子である場合

当該労働者とその養親との離縁又は養子縁組の取消し

この場合、ハの「離婚」には「配偶者の死後の姻族関係の終了の意思表示(民法第728条第2項)」を含むものであること。また、ニからチまでの「離縁」には「養子又は養親の死後の離縁(民法第811条第6項)」を含むものであること。

なお、いわゆる内縁関係の解消は、親族関係の消滅には当たらないものであること。

(5) 則第30条第3号の「九十三日に達する日までの間、当該介護休業申出に係る対象家族を介護することができない状態」とは、身体障害者福祉法第4条の身体障害者であること、又はこれと同程度に日常生活に制限を受ける精神障害があることにより自ら対象家族を介護することが困難な状態のほか、介護休業開始予定日とされた日から起算して93日が経過するまでの間通院、加療のみならず入院又は安静を必要とすることが見込まれる状態をいうものであり、このような状態であることが確定しない間は、当該介護休業申出はされなかったものとみなされないものであること。

14 介護休業期間の考え方(法第15条第1項及び第2項)

(1) 法第11条から第14条までの規定に基づき介護休業申出等がなされた場合の当該介護休業申出をした労働者の介護休業期間については、

① 当該労働者の介護休業申出に係る介護休業開始予定日から介護休業終了予定日までとすることを基本とすること

② 事業主による介護休業開始予定日とする日の指定や労働者による介護休業終了予定日の変更の申出があった場合は、その指定や変更の申出の結果介護休業開始予定日又は介護休業終了予定日となった日によって最終的に決定されること

を明らかにしたものであること。

(2) 同一の対象家族について介護休業ができる日数は、最大で93日までであり、介護休業日数が93日に達した日をもって介護休業期間の最終日となるものであること。

例えば、7月3日を介護休業開始予定日として実母の介護のために介護休業を開始しようとする労働者は、実母に係る介護休業日数が介護休業開始予定日の前日において30日である場合、最大で7月3日から起算して63日(=93日-30日)目に当たる9月3日まで介護休業をすることができるものであること。

なお、既に介護休業日数が93日に達している労働者は、そもそも介護休業申出をすることができないものであること(法第11条第2項第2号)。

15 介護休業期間の終了(法第15条第3項)

(1) 介護休業期間中にその介護休業申出に係る対象家族が死亡するなど厚生労働省令で規定する事由(則第31条で、則第30条を準用する旨を規定した。)が生じた場合又は介護休業申出をした労働者本人について産前産後休業、育児休業若しくは新たな介護休業が始まった場合には、介護休業は終了することとしたものであること。

(2) 介護休業期間の終了に関し、以下の点に留意すること。

イ いわゆる内縁関係の解消は、則第31条において準用する則第30条第2号の「親族関係の消滅」に当たらないものであること。

ロ 対象家族が要介護状態から脱した場合を当然終了事由とすることについては、

(イ) 対象家族が再び要介護状態となることも当然予想され、労働者にとって酷であること

(ロ) 事業主にとっても、対象家族の不安定な状態に影響されることは好ましくないものであること

から、適当ではなく、当然終了事由にはしなかったものであること。

ハ 対象家族が特別養護老人ホーム、介護老人保健施設等へ入院・入所した場合についても、その入院・入所が一時的となる場合もあるため、ロで述べたと同様の理由で、当然終了事由にはしなかったものであること。

ニ 他の者が労働者に代わって対象家族を介護することとなった場合についても、上記ロ及びハと同様、労働者にとっても確定的に介護をする必要性がなくなったとは限らないこと、使用者にとっても不確定要素に影響されるおそれがあることから、当然終了事由にはしなかったものであること。

ホ イからニまでの場合を含め、介護休業期間中の労働者が一時的に介護をする必要がなくなった期間について、話合いの上、一時的・臨時的にその事業主の下で就労することは妨げないものであること。この場合、当該労使で介護休業を終了させる特段の合意をした場合を除き、一旦職場に復帰することをもって当然に介護休業が終了するものではなく、一時的中断とみることが適当であって、当初の介護休業期間の範囲内で再び介護休業を再開することができるものであること。

ヘ 介護休業期間中の他の事業主の下で就労すること及び介護休業期間中における産前休業の請求の考え方等については、育児休業の場合と同様であること(第2の18(2)ロ及びハ参照)。

(3) 「新たな介護休業期間」とは、介護休業申出に係る対象家族とは異なる対象家族について開始する介護休業期間の意であること。

16 介護休業期間の終了に関する労働者の通知義務(法第15条第4項において準用する法第8条第3項後段)

(1) 法第8条第3項後段と同様、当該労働者に法第15条第3項第1号に規定する事由が生じた場合の事業主に対する通知義務を課したものであること。

(2) 法第15条第4項において準用する法第8条第3項後段の「通知」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の19(2)参照)。

17 不利益取扱いの禁止(法第16条において準用する法第10条)

(1) 介護休業の権利行使を保障するため、労働者が介護休業申出をし、又は介護休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることが禁止されることを明示したものであること。

(2) 「解雇その他不利益な取扱い」に該当する法律行為が行われた場合における効果及び指針事項に係る解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の23(2)から(5)参照)。

 

第4 子の看護休暇(法第4章)

1 子の看護休暇の申出(法第16条の2第1項)

(1) 労働者(日々雇用される者を除く。)が事業主に対して「申出」という行為をすることによって、負傷し、若しくは疾病にかかったその小学校就学の始期に達するまでの子の世話又は疾病の予防を図るために必要なものとして厚生労働省令で定める当該子の世話を行うための休暇(子の看護休暇)を取得することができることとしたものであること。その際、子の人数が増えることによる休暇ニーズと事業主の負担を勘案し、1の年度において、1労働日を単位として、労働者1人につきその養育する小学校就学の始期に達するまでの子が1人であれば5日間、2人以上であれば10日間の子の看護休暇を最低基準として保障したものであること。また、対象となる子が2人以上いる場合には、子1人につき5日間までしか取得できないものではなく、同一の子について10日間取得することも可能であること。

なお、期間を定めて雇用される者については、育児休業及び介護休業と異なり、別途の要件を課していないものであること。

(2) 「小学校就学の始期に達するまで」とは、その子が6歳に達する日の属する年度(4月1日から翌年3月31日までをいう。)の3月31日までの意であること。例えば、平成23年7月1日が生年月日の子が6歳に達するのは、平成29年6月30日午後12時であり、したがって、この場合の「小学校就学の始期に達するまで」とは、平成30年3月31日までとなるものであること。

(3) 「その事業主」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の1(3)(4)参照)。

(4) 申出の効果については、育児休業の場合と同様であること(第2の1(5)参照)。

(5) 「一の年度において」とは、年に5労働日又は10労働日の子の看護休暇を取得できる期間を確定するものであり、一定の日から起算する1年間をいうものであること。

年度の開始日は、労働基準法第39条に基づく年次有給休暇の付与の基準日等を勘案して、事業主が任意に定めることができるものであること。

なお、事業主が就業規則等において別段の定めをしない場合には、法第16条の2第4項の規定により、「一の年度」は、4月1日から始まり、翌年3月31日に終わるものとなること。

また、一の年度において5労働日又は10労働日の休暇が、当該年度内であればその取得時期を問わず最低基準として保障されているものであることから、年度の開始日を変更する場合や年度の途中で雇用された者を含めて斉一的に取り扱おうとする場合には、1年に満たない期間が発生することとなるが、当該期間についても5労働日又は10労働日の休暇を付与すべきものであること。

子の看護休暇の付与日数は、申出時点の子の人数で判断するものであること。

なお、年度途中でその養育する小学校就学の始期に達するまでの子が別居、死亡等することにより、子の看護休暇の付与日数が減少した結果、同一の年度において既に取得した子の看護休暇の日数が付与日数を上回る場合であっても、既に取得した子の看護休暇は有効であり、当該上回る日数について、遡及して不就業と取扱うことや、翌年度分に付与される子の看護休暇の日数から差し引くことは許されないものであること。

(6) 「限度として」とは、1労働日を単位として5日間又は10日間の子の看護休暇の申出が労働者に権利として保障されることを明らかにしたものであること。

「労働日」は原則として暦日計算によるものであるが、交替制により2日にわたる一勤務及び常夜勤勤務者の一勤務等勤務時間が2日にわたる場合については、休暇取得当日の労務提供開始時刻から継続24時間を1労働日として取り扱うものであること。

また、期間を定めて雇用される者であっても、労働契約の残期間の長短にかかわらず、5労働日又は10労働日の子の看護休暇を取得することが可能となるものであること。例えば、6か月契約で雇用されている労働者は2.5日分の子の看護休暇を取得できるとする取扱いは、法の定める最低基準を満たさないため違法であること。一方、期間を定めて雇用される労働者の労働契約が更新された場合に、前後の労働契約期間が実質的に連続している限りは、新たな労働契約期間の開始に伴い改めて子の看護休暇を5労働日又は10労働日取得できることとする必要はないこと。

さらに、子の人数やひとり親である等の子の養育の状況に応じて子の看護休暇の日数を増加させることとする等法の内容を上回るような看護休暇の制度を導入することは、可能であること。

(7) 「負傷し、若しくは疾病にかかった当該子の世話」とは、負傷し、又は疾病にかかった子についての身の回りの世話をいい、病院への付添い等も含まれるものであること。この場合の「子」は、育児休業の場合と同様であり(第1の2(1)ハ参照)、知人の子等はこれに含まれないものであること。また、介護の場合と異なり、「負傷」又は「疾病」の種類及び程度に特段の制限はなく、いわゆる風邪による発熱など短期間で治癒する疾病や小児ぜんそく、若年性糖尿病といった慢性疾患も対象となるものであること。

(8) 「厚生労働省令で定める当該子の世話」とは、子に予防接種又は健康診断を受けさせることをいうものであること。(則第32条参照)

「予防接種」には、予防接種法に定める定期の予防接種以外のものも含まれるものであること。

(9) 「休暇」とは、「休業」と同じく労働契約関係が存続したまま労働者の労務提供義務が消滅することをいい、労働基準法第89条第1号の「休暇」に含まれること。

なお、民法第536条により、休暇期間中の事業主の賃金支払義務は消滅すること。したがって、休暇期間中の労働者に対する賃金の支払を義務づけるものではないこと。

(10) 指針第二の二の(一)は、事業所にあらかじめ子の看護休暇の制度を導入し、かつ、就業規則の整備等必要な措置を講ずることを事業主に求めたものであること。これは、法律上、子の看護休暇の制度が事業所内制度として設けられることが労働者の権利行使に当たって必須のものであるとはいえないが、法律上子の看護休暇が労働者の権利として認められており、労働者がこれを容易に取得できるようにするためにも、子の看護休暇の制度があらかじめ事業所内制度として設けられた上で、就業規則等に記載され、労働者に制度の存在が明らかになっていることが必要であることを明示したものであること。

(11) 指針第二の二の(四)は、始業の時刻から連続せず、かつ、終業の時刻まで連続しない時間単位での休暇取得のニーズがあることを踏まえ、こうした制度の弾力的な利用について明示したものであること。また、法第16条の3第2項において準用する法第6条第1項ただし書の規定による労使協定の締結により時間単位での休暇の取得ができないこととなった労働者であっても、半日単位での休暇であれば取得できる労働者については、半日単位での休暇取得を可能とすることが望ましいことから、こうした制度の弾力的な利用について明示したものであること。

なお、「半日」とは、1日の半分の意であり、通常は所定労働時間数の2分の1とすることが考えられるが、例えば、所定労働時間が8時間で、就業時間が午前3時間、午後5時間の事業所において、労使協定等で午前休に相当する3時間及び午後休に相当する5時間をそれぞれ「半日」として定めるなど、1日の所定労働時間数の2分の1以外の時間数を「半日」として定めた場合において、午前休に相当する3時間を2回取得した場合や、午後休に相当する5時間を2回取得したときに、いずれも1日分の子の看護休暇を取得した取扱いとすることは差し支えないものであること。

なお、時間単位での休暇取得が可能な労働者については半日単位での休暇取得を可能とする必要はないが、こうした半日単位での休暇取得に関する取扱いを時間単位での休暇取得が可能な労働者にも適用するに当たっては、子の看護休暇1日分を全て時間単位で取得する場合と比べて労働者にとって不利益とならないようにすること。

2 子の看護休暇の1日未満単位での取得の考え方(法第16条の2第2項)

(1) 子の看護休暇の柔軟な取得を可能とするため、1日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるもの以外の労働者が、厚生労働省令で定める1日未満の単位で子の看護休暇を取得することができることとしたものであること。個々の労働者が1日未満単位により取得するか日単位により取得するかは、労働者の意思によるものであること。

(2) 「一日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるもの」に係る厚生労働省令は、規定していないことから、1日の所定労働時間数にかかわらず、労働者は、厚生労働省令で定める1日未満の単位で子の看護休暇を取得することができるものであること。

(3) 「厚生労働省令で定める一日未満の単位」とは、時間であって、始業の時刻から連続し、又は終業の時刻まで連続するものであること。この場合、「時間」は、1日の所定労働時間数に満たないものとするものであること(則第34条第1項)。

「時間」とは、1時間の整数倍の時間をいい、労働者からの申出に応じ、労働者の希望する時間数で取得できるようにする必要があること。この場合、例えば労働者が1時間の子の看護休暇の取得の申出をし、実際には1時間に満たない時間数を休んだとしても、当該労働者は1時間の子の看護休暇の取得をしたこととして差し支えないこと。

「時間」は、1日の所定労働時間数に満たないものとしていることから、1日の所定労働時間数と同じ時間数の子の看護休暇を取得する場合には、日単位での子の看護休暇の取得として取り扱うものであること。

日によって所定労働時間が異なる場合、則第34条第1項における「1日の所定労働時間数」とは子の看護休暇を取得しようとする日の所定労働時間数をいい、平均所定労働時間数をいうものではないこと。

(4) 厚生労働省令で定める1日未満の単位で取得する子の看護休暇1日の時間数は、1日の所定労働時間数とすること。この場合、「1日の所定労働時間数」とは、1日の所定労働時間数に1時間に満たない端数がある場合には、端数を切り上げた時間をいうものであること。また、日によって所定労働時間数が異なる場合には1年間における1日平均所定労働時間数となり、1年間における総所定労働時間数が決まっていない場合には所定労働時間数が決まっている期間における1日平均所定労働時間数となるものであること。(則第34条第2項)

1日の所定労働時間数に1時間に満たない端数がある場合に端数を切り上げることとしているのは、所定労働時間数に1時間に満たない時間数がある労働者にとって、日単位で子の看護休暇を取得する場合と比べて不利益とならないようにする趣旨であること。このため、分単位など時間単位以外の1日未満の単位での子の看護休暇の取得を可能とする場合にも、子の看護休暇1日分の時間数が1日の所定労働時間数を下回らないものとする必要があること。例えば15分単位での子の看護休暇の取得を可能としている場合において、1日の所定労働時間数が7時間45分の場合には、子の看護休暇1日分の時間数を7時間45分のままとしても、労働者にとって不利益はないが、1日の所定労働時間数が7時間40分の場合には、15分単位で取得すると端数が生ずることから、子の看護休暇1日分の時間数を例えば7時間45分などに引き上げる必要があること。

3 子の看護休暇の申出の方法(法第16条の2第3項)

(1) 子の看護休暇の申出(以下「看護休暇申出」という。)は、子の看護休暇を取得する日を明らかにして行わなければならないこととしたほか、その方法を厚生労働省令で定めることとしたものであること。

厚生労働省令では、看護休暇申出は所定の事項を事業主に申し出ることによって行わなければならないこと、事業主は看護休暇申出に係る事実を証明することができる書類の提出を労働者に求めることができること等を規定したものであること(則第35条)。

(2) 則第35条第1項において申出の方法を書面等の提出に限定していないことから、労働者は、所定の事項を洩れなく申し出る限り、口頭での子の看護休暇申出も可能であること。

(3) 看護休暇申出の申出先は、あらかじめ本社人事部長、各支社長、工場長等具体的に明らかにしておくことが望ましいものであること。

(4) 子の看護休暇の制度が、子が負傷し、又は疾病にかかり、親の世話を必要とするその日に親である労働者に休暇の権利を保障する制度であることにかんがみれば、労働者が、休暇取得当日に電話により看護休暇申出をした場合であっても、事業主はこれを拒むことができないものであること。したがって、申出書の様式等を定め、当該申出書の提出を求める場合には、これをあらかじめ明らかにするとともに、申出書の提出は事後でも差し支えないものとすべきものであること。

(5) 則第35条第2項の「証明することができる書類」として利用可能な書類の例としては、同条第1項第4号の「負傷し、若しくは疾病にかかっている事実」については医療機関の領収書や、保育所を欠席したことが明らかとなる連絡帳等の写しなどが、同号の「前条に定める世話を行うこととする事実」については医療機関等の領収書や健康診断を受けさせることが明らかとなる市町村からの通知等の写しなどが考えられるものであること。また、看護休暇申出をする労働者に過大な負担を求めることのないように配慮するものとすること(指針事項)。

なお、事業主が看護休暇申出をした労働者に対して証明書類の提出を求め、その提出を当該労働者が拒んだ場合にも、看護休暇申出自体の効力には影響がないものであること。

4 子の看護休暇の申出があった場合における事業主の義務(法第16条の3)

(1) 第1項は、労働者が、事業主に申し出ることにより、申出に係る日について子の看護休暇を取得することができるという原則により、事業主が当該労働者の子の看護休暇の申出を拒むことができないことを明らかにしたものであること。

(2) 第2項は、第1項の例外として、次の通り労使の書面による協定により一定の範囲の労働者(①雇入れ後6か月未満の労働者、②その他子の看護休暇を取得することができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者、③業務の性質又は業務の実施体制に照らして、1日未満の単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者)を子の看護休暇を取得することができない者として定めることができるものとしたものであること。事業主が労使協定で子の看護休暇を取得することができないものとして定められた労働者からの看護休暇申出を拒んだ場合は、当該労働者は子の看護休暇を取得することができないこととしたものであること。ただし、1日未満の単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる労働者として定められた労働者は、1日単位では子の看護休暇を取得できるものであること。

なお、指針第二の二の(一)は、第2項の規定により、労使協定の締結をする場合であっても、事業所の雇用管理に伴う負担との調和を勘案し、当該事業主に引き続き雇用された期間が短い労働者であっても、一定の日数については、子の看護休暇の取得ができるようにすることが望ましいものであることに配慮すべきものであることを規定したものであること。例えば、勤務開始日に1日、3か月目に1日、5か月目に1日、7か月目に2日(計5日)といった方法が考えられるものであること。

イ 第2項において準用する法第6条第1項第1号の「当該事業主に引き続き雇用された期間」の解釈及び「六月に満たない」か否かの判断時点については、育児休業の場合における法第6条第1項第1号の解釈と同様であること(第2の7(8)(9)参照)。

ロ 厚生労働省令では、子の看護休暇を取得することができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者の範囲(「則第8条第2号の労働者」、すなわち、第2の7(12)で示すとおり、1週間の所定労働日数が2日以下である者)を規定したものであること(則第36条)。

ハ 指針第二の二の(三)において、「業務の性質又は業務の実施体制に照らして、1日未満の単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる業務」に該当しうる業務の例示を掲げたものであること。これらの業務は例示であり、これら以外は困難と認められる業務に該当しないものではなく、また、これらであれば困難と認められる業務に該当するものではないこと(指針事項)。

指針において例示されている業務であっても、既に法の内容を満たす1日未満の単位で子の看護休暇の取得が認められている業務については、取得することが困難と認められる業務には該当しないものであること。

また、指針において例示されている業務であっても、労使の工夫によりできる限り適用対象とすることが望ましいものであること。

(イ) 指針第二の二の(三)のイ関係

「国際路線等」の「等」とは、内国長距離路線をいうものであること。

「客室乗務員等」の「等」とは、操縦士、副操縦士等をいうものであること。

「業務等」の「等」とは、所定労働時間の大半を移動しながら行う運輸業務等をいうものであること。

(ロ) 指針第二の二の(三)のロ関係

「長時間の移動を要する遠隔地で行う業務」とは、業務を行う場所までの往復に多くの時間を要する業務など、休暇を取得した後の勤務時間又は取得するまでの勤務時間では処理することが困難であり、事業の運営に支障をきたす場合もあることが想定されることから、これを例示したものであること。

(ハ) 指針第二の二の(三)のハ関係

「流れ作業方式」とは、生産の設備・手段や材料・部品を生産工程順に配列し、各作業工程を分業で行い連続的に生産する方式をいうものであること。

「交替制勤務」とは、同一労働者が一定期日ごとに昼間勤務と夜間勤務とに交替につく勤務の態様をいうものであること。

ニ 法第16条の3第2項において準用する法第6条第1項第2号に該当するか否かの判断時点については、育児休業の場合における法第6条第1項第2号の解釈と同様であること(第2の7(10)参照)。

(3) 厚生労働省令では更に、法第16条の3第2項において準用する第6条第1項ただし書の書面による協定においては、事業主が同項の規定に基づき労働者からの看護休暇申出を拒む場合の手続等の事項を定めることができ、このような定めをするためには当該協定に規定しなければならないことを明らかにしたものであること(則第37条)。

(4) 事業主は、経営困難、事業繁忙その他どのような理由があっても労働者の適法な子の看護休暇の申出を拒むことはできないものであること。また、育児休業や介護休業とは異なり、事業主には子の看護休暇を取得する日を変更する権限は認められていないものであること。

(5) その他「事業所の労働者」の範囲、「過半数を代表する」か否かの判断時点、「代表する者」の選出方法、「書面による協定」の記載事項、「協定」の締結単位・有効期間については、育児休業の場合と同様であること(第2の7(3)から(7)まで参照)。

5 看護休暇申出を拒まれた労働者の子の看護休暇(法第16条の3第2項において準用する法第6条第2項)

(1) 事業主が、法第16条の3第2項において準用する法第6条第1項ただし書の規定により、労使協定で子の看護休暇を取得することができないものとして定められた労働者からの看護休暇申出を拒んだ場合は、当該労働者は子の看護休暇を取得することができないこととしたものであること。

(2) 看護休暇申出を拒まれた労働者であっても、その後労使協定で子の看護休暇を取得することができない者として定められた労働者に該当しなくなれば、申し出て子の看護休暇を取得することができるものであること。

6 不利益取扱いの禁止(法第16条の4において準用する法第10条)

(1) 子の看護休暇の権利行使を保障するため、労働者が看護休暇申出をし、又は子の看護休暇を取得したことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることが禁止されることを明示したものであること。

(2) 「解雇その他不利益な取扱い」に該当する法律行為が行われた場合における効果及び指針事項に係る解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の23(2)から(5)参照)。

 

第5 介護休暇(法第5章)

1 介護休暇の申出(法第16条の5第1項)

(1) 労働者(日々雇用される者を除く。)が事業主に対して「申出」という行為をすることによって、要介護状態にある対象家族の介護その他の厚生労働省令で定める世話を行うための休暇(介護休暇)を取得することができることとしたものであること。その際、要介護状態にある対象家族が増えることによる休暇ニーズと事業主の負担を勘案し、1の年度において、1労働日を単位として、労働者1人につき要介護状態にある対象家族が1人であれば5日間、2人以上であれば10日間の介護休暇を最低基準として保障したものであること。また、要介護状態にある対象家族が2人以上いる場合には、当該家族1人につき5日間までしか取得できないものではなく、同一の者について10日間取得することも可能であること。

なお、期間を定めて雇用される者については、育児休業及び介護休業と異なり、別途の要件を課していないものであること。

(2) 「要介護状態」とは、法第2条第3号に定めるところによるものであること。

(3) 「対象家族」とは、法第2条第4号に定めるところによるものであること。

(4) 「その事業主」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の1(3)(4)参照)。

(5) 申出の効果については、育児休業の場合と同様であること(第2の1(5)参照)。

(6) 「一の年度において」、「限度として」、「労働日」及び「休暇」についての考え方は、子の看護休暇の場合と同様であること(第4の1(5)(6)(9)参照)。

(7) 「厚生労働省令で定める世話」とは、「対象家族の介護」及び「対象家族の通院等の付添い、対象家族が介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代行その他の対象家族に必要な世話」をいうものであること(則第38条参照)。

(8) 指針第二の二の(一)は、事業所にあらかじめ介護休暇の制度を導入し、かつ、就業規則の整備等必要な措置を講ずることを事業主に求めたものであること。これは、法律上、介護休暇の制度が事業所内制度として設けられることが労働者の権利行使に当たって必須のものであるとはいえないが、法律上介護休暇が労働者の権利として認められており、労働者がこれを容易に取得できるようにするためにも、介護休暇の制度があらかじめ事業所内制度として設けられた上で、就業規則等に記載され、労働者に制度の存在が明らかになっていることが必要であることを明示したものであること。

(9) 指針第二の二の(四)は、始業の時刻から連続せず、かつ、終業の時刻まで連続しない時間単位での休暇取得のニーズがあることを踏まえ、こうした制度の弾力的な利用について明示したものであること。また、法第16条の6第2項において準用する法第6条第1項ただし書の規定による労使協定の締結により時間単位での休暇の取得ができないこととなった労働者であっても、半日単位での休暇であれば取得できる労働者については、半日単位での休暇取得を可能とすることが望ましいことから、こうした制度の弾力的な利用について明示したものであること。

なお、「半日」とは、1日の半分の意であり、通常は所定労働時間数の2分の1とすることが考えられるが、例えば、所定労働時間が8時間で、就業時間が午前3時間、午後5時間の事業所において、労使協定等で午前休に相当する3時間及び午後休に相当する5時間をそれぞれ「半日」として定めるなど、1日の所定労働時間数の2分の1以外の時間数を「半日」として定めた場合において、午前休に相当する3時間を2回取得した場合や、午後休に相当する5時間を2回取得したときに、いずれも1日分の介護休暇を取得した取扱いとすることは差し支えないものであること。

なお、時間単位での休暇取得が可能な労働者については半日単位での休暇取得を可能とする必要はないが、こうした半日単位での休暇取得に関する取扱いを時間単位での休暇取得が可能な労働者にも適用するに当たっては、介護休暇1日分を全て時間単位で取得する場合と比べて労働者にとって不利益とならないようにすること。

2 介護休暇の1日未満単位での取得の考え方(法第16条の5第2項)

(1) 介護休暇の柔軟な取得を可能とするため、1日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるもの以外の労働者が、厚生労働省令で定める1日未満の単位で介護休暇を取得することができることとしたものであること。個々の労働者が1日未満単位により取得するか日単位により取得するかは、労働者の意思によるものであること。

(2) 「一日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるもの」に係る厚生労働省令は、規定していないことから、1日の所定労働時間数にかかわらず、労働者は、厚生労働省令で定める1日未満の単位で介護休暇を取得することができるものであること。

(3) 「厚生労働省令で定める1日未満の単位」とは、時間であって、始業の時刻から連続し、又は終業の時刻まで連続するものであること。この場合、「時間」は、1日の所定労働時間数に満たないものとするものであること(則第40条第1項)。

「時間」とは、1時間の整数倍の時間をいい、労働者からの申出に応じ、労働者の希望する時間数で取得できるようにする必要があること。この場合、例えば労働者が1時間の介護休暇の取得の申出をし、実際には1時間に満たない時間数を休んだとしても、当該労働者は1時間の介護休暇の取得をしたこととして差し支えないこと。

「時間」は、1日の所定労働時間数に満たないものとしていることから、1日の所定労働時間数と同じ時間数の介護休暇を取得する場合には、日単位での介護休暇の取得として取り扱うものであること。

日によって所定労働時間が異なる場合、則第40条第1項における「1日の所定労働時間数」とは介護休暇を取得しようとする日の所定労働時間数をいい、平均所定労働時間数をいうものではないこと。

(4) 厚生労働省令で定める1日未満の単位で取得する介護休暇1日の時間数は、1日の所定労働時間数とすること。この場合、「1日の所定労働時間数」とは、1日の所定労働時間数に1時間に満たない端数がある場合には、端数を切り上げた時間をいうものであること。また、日によって所定労働時間数が異なる場合には1年間における1日平均所定労働時間数となり、1年間における総所定労働時間数が決まっていない場合には所定労働時間数が決まっている期間における1日平均所定労働時間数となるものであること。(則第40条第2項)

1日の所定労働時間数に1時間に満たない端数がある場合に端数を切り上げることとしているのは、所定労働時間数に1時間に満たない時間数がある労働者にとって、日単位で介護休暇を取得する場合と比べて不利益とならないようにする趣旨であること。このため、分単位など時間単位以外の1日未満の単位での介護休暇の取得を可能とする場合にも、介護休暇1日分の時間数が1日の所定労働時間数を下回らないものとする必要があること。例えば15分単位での介護休暇の取得を可能としている場合において、1日の所定労働時間数が7時間45分の場合には、介護休暇1日分の時間数を7時間45分のままとしても、労働者にとって不利益はないが、1日の所定労働時間数が7時間40分の場合には、15分単位で取得すると端数が生ずることから、介護休暇1日分の時間数を例えば7時間45分などに引き上げる必要があること。

3 介護休暇の申出の方法(法第16条の5第3項)

(1) 介護休暇の申出(以下「介護休暇申出」という。)は、当該申出に係る対象家族が要介護状態にあること及び介護休暇を取得する日を明らかにして行わなければならないこととしたほか、その方法を厚生労働省令で定めることとしたものであること。

厚生労働省令では、介護休暇申出は所定の事項を事業主に申し出ることによって行わなければならないこと、事業主は介護休暇申出に係る事実を証明することができる書類の提出を労働者に求めることができること等を規定したものであること(則第41条)。

(2) 則第41条第1項において申出の方法を書面等の提出に限定していないことから、労働者は、所定の事項を洩れなく申し出る限り、口頭での介護休暇申出も可能であること。

(3) 介護休暇申出の申出先は、あらかじめ本社人事部長、各支社長、工場長等具体的に明らかにしておくことが望ましいものであること。

(4) 介護休暇の制度が、要介護状態にある対象家族の介護その他の厚生労働省令で定める世話を必要とするその日に労働者に休暇の権利を保障する制度であることにかんがみれば、労働者が、休暇取得当日に電話により介護休暇申出をした場合であっても、事業主はこれを拒むことができないものであること。したがって、申出書の様式等を定め、当該申出書の提出を求める場合には、これをあらかじめ明らかにするとともに、申出書の提出は事後でも差し支えないものとすべきものであること。

(5) 則第41条第2項の「証明することができる書類」として利用可能な書類の例は、介護休業の場合と同様であること(第3の3(5)参照)。ただし、法第16条の5第1項の厚生労働省令で定める世話を行うこととする事実については、証明することができる書類の提出を求めることができる対象に含まれていないことに留意すること。また、介護休暇申出をする労働者に過大な負担を求めることのないように配慮するものとすること(指針事項)。

なお、事業主が介護休暇申出をした労働者に対して証明書類の提出を求め、その提出を当該労働者が拒んだ場合にも、介護休暇申出自体の効力には影響がないものであること。

4 介護休暇の申出があった場合における事業主の義務(法第16条の6)

(1) 第1項は、労働者が、要介護状態にある対象家族の介護その他の厚生労働省令で定める世話を行うために事業主に申し出ることにより、申出に係る日について介護休暇を取得することができるという原則により、事業主が当該労働者の介護休暇の申出を拒むことができないことを明らかにしたものであること。

(2) 第2項は、第1項の例外として、次の通り労使の書面による協定により一定の範囲の労働者(①雇入れ後6か月未満の労働者、②その他介護休暇を取得することができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者、③業務の性質又は業務の実施体制に照らして、1日未満の単位で介護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者)を介護休暇を取得することができない者として定めることができるものとしたものであること。事業主が労使協定で介護休暇を取得することができないものとして定められた労働者からの介護休暇申出を拒んだ場合は、当該労働者は介護休暇を取得することができないこととしたものであること。ただし、1日未満の単位で介護休暇を取得することが困難と認められる労働者として定められた労働者は、1日単位では介護休暇を取得できるものであること。

なお、指針第二の二の(一)は、第2項の規定により、労使協定の締結をする場合であっても、事業所の雇用管理に伴う負担との調和を勘案し、当該事業主に引き続き雇用された期間が短い労働者であっても、一定の日数については、介護休暇の取得ができるようにすることが望ましいものであることに配慮すべきものであることを規定したものであること。例えば、勤務開始日に1日、3か月目に1日、5か月目に1日、7か月目に2日(計5日)といった方法が考えられるものであること。

イ 第2項において準用する法第6条第1項第1号の「当該事業主に引き続き雇用された期間」の解釈及び「六月に満たない」か否かの判断時点については、育児休業の場合における法第6条第1項第1号の解釈と同様であること(第2の7(8)(9)参照)。

ロ 厚生労働省令では、介護休暇を取得することができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者の範囲(「則第8条第2号の労働者」、すなわち、第2の7(12)で示すとおり、1週間の所定労働日数が2日以下である者)を規定したものであること(則第42条)。

ハ 指針第二の二の(三)において、「業務の性質又は業務の実施体制に照らして、1日未満の単位で介護休暇を取得することが困難と認められる業務」に該当しうる業務の例示を掲げたものであること。これらの業務は例示であり、これら以外は困難と認められる業務に該当しないものではなく、また、これらであれば困難と認められる業務に該当するものではないこと(指針事項)。

指針において例示されている業務であっても、既に法の内容を満たす1日未満の単位で介護休暇の取得が認められている業務については、取得することが困難と認められる業務には該当しないものであること。

また、指針において例示されている業務であっても、労使の工夫によりできる限り適用対象とすることが望ましいものであること。

(イ) 指針第二の二の(三)のイ関係

「国際路線等」の「等」とは、内国長距離路線をいうものであること。

「客室乗務員等」の「等」とは、操縦士、副操縦士等をいうものであること。

「業務等」の「等」とは、所定労働時間の大半を移動しながら行う運輸業務等をいうものであること。

(ロ) 指針第二の二の(三)のロ関係

「長時間の移動を要する遠隔地で行う業務」とは、業務を行う場所までの往復に多くの時間を要する業務など、休暇を取得した後の勤務時間又は取得するまでの勤務時間では処理することが困難であり、事業の運営に支障をきたす場合もあることが想定されることから、これを例示したものであること。

(ハ) 指針第二の二の(三)のハ関係

「流れ作業方式」とは、生産の設備・手段や材料・部品を生産工程順に配列し、各作業工程を分業で行い連続的に生産する方式をいうものであること。

「交替制勤務」とは、同一労働者が一定期日ごとに昼間勤務と夜間勤務とに交替につく勤務の態様をいうものであること。

ニ 法第16条の3第2項において準用する法第6条第1項第2号に該当するか否かの判断時点については、育児休業の場合における法第6条第1項第2号の解釈と同様であること(第2の7(10)参照)。

(3) 厚生労働省令では更に、法第16条の6第2項において準用する第6条第1項ただし書の書面による協定においては、事業主が同項の規定に基づき労働者からの介護休暇申出を拒む場合の手続等の事項を定めることができ、このような定めをするためには当該協定に規定しなければならないことを明らかにしたものであること(則第43条)。

(4) 事業主は、経営困難、事業繁忙その他どのような理由があっても労働者の適法な介護休暇の申出を拒むことはできないものであること。また、育児休業や介護休業とは異なり、事業主には介護休暇を取得する日を変更する権限は認められていないものであること。

(5) その他「事業所の労働者」の範囲、「過半数を代表する」か否かの判断時点、「代表する者」の選出方法、「書面による協定」の記載事項、「協定」の締結単位・有効期間については、育児休業の場合と同様であること(第2の7(3)から(7)まで参照)。

5 介護休暇申出を拒まれた労働者の介護休暇(法第16条の6第2項において準用する法第6条第2項)

(1) 事業主が、法第16条の6第2項において準用する法第6条第1項ただし書の規定により、労使協定で介護休暇を取得することができないものとして定められた労働者からの介護休暇申出を拒んだ場合は、当該労働者は介護休暇を取得することができないこととしたものであること。

(2) 介護休暇申出を拒まれた労働者であっても、その後労使協定で介護休暇を取得することができない者として定められた労働者に該当しなくなれば、申し出て介護休暇を取得することができるものであること。

6 不利益取扱いの禁止(法第16条の7において準用する法第10条)

(1) 介護休暇の権利行使を保障するため、労働者が介護休暇申出をし、又は介護休暇を取得したことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることが禁止されることを明示したものであること。

(2) 「解雇その他不利益な取扱い」に該当する法律行為が行われた場合における効果及び指針事項に係る解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の23(2)から(5)参照)。

 

第6 所定外労働の制限(法第6章)

1 子の養育を行う労働者の所定外労働の制限の請求(法第16条の8第1項)

(1) 働きながら子の養育を行うための時間を確保できるようにするため、3歳に満たない子を養育する一定の範囲の労働者(日々雇用される者を除く。)が、その子を養育するために請求した場合においては、事業主は、所定労働時間を超えて労働させてはならないこととしたものであること。

例外として、労使の書面による協定により一定の範囲の労働者(①雇入れ後1年未満の労働者、②その他請求をできないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者)を所定外労働の制限をできない者として定めることができるものとしたものであること。

また、ただし書は、その例外として、事業の正常な運営を妨げる場合は、事業主は請求を拒めることとしたものであること。

なお、期間を定めて雇用される者については、育児休業及び介護休業と異なり、別途の要件を課していないものであること。

(2) 「事業主」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の1(3)(4)参照)。

(3) 「三歳に満たない」の解釈については、育児休業の場合に準じるものであること。(第2の1(2)参照)。

(4) 「労働者」のうち、労働基準法第41条に規定する者(①労働基準法別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者、②監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者、③監視又は断続的労働に従事する者)及び労働基準法第41条の2第1項の規定により労働する者については、労働時間等に関する規定が適用除外されていることから、所定外労働の制限の対象外であること。

このうち、労働基準法第41条第2号に定める管理監督者については、同法の解釈として、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであることとされていること。したがって、職場で「管理職」として取り扱われている者であっても、同号の管理監督者に当たらない場合には、所定外労働の制限の対象となること。

(5) 「所定労働時間」とは、就業規則等において労働者が労働契約上労働すべき時間として定められた時間の意であり、労働基準法の規定による法定労働時間とは異なるものであること。

(6) 「所定労働時間を超えて労働させてはならない」とは、所定労働時間を超えた時間については、労働者の労務提供義務が消滅することをいうものであること。したがって、所定労働時間を超えて事業主が労働者に対して労働命令をすることはできず、仮にこれをしたとしても、当該労働者にはその命令に従う義務はないこととなるものであること。

(7) 「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するか否かは、当該労働者の所属する事業所を基準として、当該労働者の担当する作業の内容、作業の繁閑、代行者の配置の難易等諸般の事情を考慮して客観的に判断すべきものであること。

事業主は、労働者が所定外労働の制限を請求した場合においては、当該労働者が請求どおりに所定外労働の制限を受けることができるように、通常考えられる相当の努力をすべきものであり、単に所定外労働が事業の運営上必要であるとの理由だけでは拒むことは許されないものであること。

例えば、事業主が通常の配慮をすれば代行者を配置する等により事業を運営することが客観的に可能な状況にあると認められるにもかかわらず、そのための配慮をしなかった場合は、所定外労働が必要な配置人員を欠くこと等をもって「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するとはいえないものであること。一方、事業主が通常の配慮をしたとしても代行者を配置する等により事業を運営することが客観的に可能な状況になかったと認められる場合は、「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するものであること。また、所定外労働をさせざるを得ない繁忙期において、同一時期に多数の専門性の高い職種の労働者が請求した場合であって、通常考えられる相当の努力をしたとしてもなお事業運営に必要な業務体制を維持することが著しく困難な場合には、「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するものであること。

(8) 第1号の「当該事業主に引き続き雇用された期間」の解釈及び「一年に満たない」か否かの判断時点については、育児休業の場合と同様であること(第2の7(8)(9)参照)。

(9) 第2号に該当するか否かの判断時点は請求時点であり、制限開始予定日において請求時点と状況が異なることが明らかなときは、制限開始予定日における状況に基づき、請求時点で判断すべきものであること。

(10) 則第44条の「一週間の所定労働日数が二日以下の労働者」に該当するか否かの判断時点については、原則として請求時点までの1月間の状況等を踏まえて判断するものであること。

2 子の養育を行う労働者の所定外労働の制限の請求の方法(法第16条の8第2項)

(1) 子の養育を行う労働者の所定外労働の制限の請求は、連続した一の期間についてしなければならないものであり、その際、期間の初日と末日を明らかにして行わなければならないこととしたほか、その方法を厚生労働省令で定めることとしたものであること。

厚生労働省令では、請求は所定の事項を事業主に通知することによって行わなければならないこと、事業主は通知事項に係る事項を証明することができる書類の提出を労働者に求めることができること等を規定したものであること(則第45条)。

(2) 「その期間中は所定労働時間を超えて労働させてはならないこととなる一の期間」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の5(2)参照)。

(3) 事業主は、当該労働者について、所定労働時間を超えて労働させないよう個別的な労働時間管理を行う必要があること。

(4) 「制限開始予定日の一月前」とは、制限開始予定日の属する月の前月の応当日をいい、前月に応当日がない場合はその月の末日をいうものであること(民法第143条第2項)。例えば、制限開始予定日が3月1日である場合には2月1日がその日に当たり、制限開始予定日が3月31日である場合には2月28日がその日に当たるものであること。

制限開始予定日の1月前の日よりも後に行われる請求は、本法上事業主がこれに応ずる義務はないものであるが、各事業所において、当該請求を認める制度を設けることは可能であること。

(5) 「第十七条第二項前段に規定する制限期間」とは、時間外労働の制限に関する制限期間をいうものであること。

(6) 「重複」とは、法第16条の8第2項の制限期間と法第17条第2項の制限期間とが一部又は全部において重なることをいうものであること。この場合、いずれかの制限期間が実際に始まっている必要はないものであること。なお、労働者は重複する請求をすることができないものであり、当該請求がなされた場合であっても事業主はこれに応じる義務はないものであること。

(7) 則第45条第1項の通知の様式、通知先及び特定の方法での通知を求める場合、同項第1号の「請求の年月日」の通知すべき日並びに同項第5号の「養子縁組の効力が生じた日」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の5(4)(5)(6)(8)(9)参照)。

(8) 則第45条第4項の「証明することができる書類」として利用可能な書類の例は、育児休業の場合と同様であること。(第2の5(16)イからハまで参照。)

(9) 則第45条第5項の「速やかに」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の5(17)参照)。

3 子の養育を行う労働者の所定外労働の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第16条の8第3項)

(1) 請求後、厚生労働省令で定める事由(子の死亡、子が養子である場合の離縁又は養子縁組の取消し等。則第46条参照。)が生じたときは、請求がされなかったものとみなされることとし、労働者にこのような事由が生じた場合の通知義務を課したものであること。

(2) 則第46条各号に規定する事由が生じたときの効果、法第16条の8第3項後段の「遅滞なく」及び「通知」の解釈、則第46条第2号で定める事由が生じた旨を労働者が通知する場合の方法については、育児休業の場合と同様であること(第2の16(2)から(5)まで参照)。

(3) 則第46条第3号の「同居しないこととなったこと」とは、永続的なものを想定しているが、転勤等の事情による場合も、制限期間の末日までの間同居しない状態が続くときは含むものであること。

(4) 則第46条第4号の「民法第八百十七条の二第一項の規定による請求に係る家事審判事件が終了したとき(特別養子縁組の成立の審判が確定した場合を除く。)又は養子縁組が成立しないまま児童福祉法第二十七条第一項第三号の規定による措置が解除されたとき。」の解釈については育児休業の場合と同様であること(第2の16(7)参照)。

(5) 則第46条第5号の「当該請求に係る制限期間の末日までの間、当該請求に係る子を養育することができない状態」とは、身体障害者福祉法第4条の身体障害者であること、又はこれと同程度に日常生活に制限を受ける精神障害があることにより自ら子を養育することが困難な状態のほか、制限期間の末日までの間通院、加療のみならず入院又は安静を必要とすることが見込まれる状態をいうものであり、このような状態であることが確定しない間は、当該請求はされなかったものとみなされないものであること。

4 制限期間の終了(法第16条の8第4項)

(1) 制限期間中にその請求に係る子が死亡するなど厚生労働省令で規定する事由(則第46条参照。)が生じた場合、子が3歳に達した場合又は請求をした労働者本人について産前産後休業、育児休業若しくは介護休業が始まった場合には、制限期間は終了することとしたものであること。

(2) 所定外労働をさせるか否かについては、就業規則等の範囲内において事業主の裁量にゆだねられるため、労働者はどの時点においても請求の撤回を申し出ることはできるものであること。ただし、事業主は、労働者から撤回の申出があったからといって、直ちに当該労働者に対し、他の労働者と同水準の所定外労働をさせなければならなくなるものではないこと。

5 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第16条の8第5項)

(1) 法第16条の8第3項後段と同様、当該労働者に法第16条の8第4項第1号に規定する事由が生じた場合の事業主に対する通知義務を課したものであること。

(2) 「通知」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の19(2)参照)。

6 家族の介護を行う労働者の所定外労働の制限の請求(法第16条の9第1項において準用する法第16条の8第1項)

(1) 働きながら家族の介護を行うための時間を確保できるようにするため、要介護状態にある対象家族を介護する一定の範囲の労働者(日々雇用される者を除く。)が、その対象家族を介護するために請求した場合においては、3歳に達するまでの子を養育する一定の範囲の労働者が請求した場合と同様に、事業主は、所定労働時間を超えて労働させてはならないこととしたものであること。

例外として、労使の書面による協定により一定の範囲の労働者(①雇入れ後1年未満の労働者、②その他請求をできないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者)を所定外労働の制限をできない者として定めることができるものとしたものであること。

また、ただし書は、その例外として、事業の正常な運営を妨げる場合は、事業主は請求を拒めることとしたものであること。

なお、期間を定めて雇用される者については、育児休業及び介護休業と異なり、別途の要件を課していないものであること。

(2) 労働者のうち、労働基準法第41条に規定する者(①労働基準法別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者、②監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者、③監視又は断続的労働に従事する者)及び労働基準法第41条の2第1項の規定により労働する者については、子の養育を行う労働者の所定外労働の制限の場合と同様であること(1(4)参照)。

(3) 法第16条の9第1項において準用する法第16条の8第1項の「事業主」、「所定労働時間」及び「所定労働時間を超えて労働させてはならない」の解釈並びに「事業の正常な運営を妨げる場合」の判断方法、同項第1号の「当該事業主に引き続き雇用された期間」の解釈及び「一年に満たない」か否かの判断時点並びに同項第2号に該当するか否かの判断時点については、子の養育を行う労働者の所定外労働の制限の場合と同様であること(1(2)(5)(6)(7)(8)(9)参照)。

(4) 則第56条において準用する則第52条の「一週間の所定労働日数が二日以下の労働者」に該当するか否かの判断時点については、子の養育を行う労働者の所定外労働の制限の場合と同様であること(1(10)参照)。

7 家族の介護を行う労働者の所定外労働の制限の請求の方法(法第16条の9第1項において準用する法第16条の8第2項)

(1) 家族の介護を行う労働者の所定外労働の制限の請求は、子の養育を行う労働者の所定外労働の制限の請求と同様に、連続した一の期間についてしなければならないものであり、その際、期間の初日と末日を明らかにして行わなければならないこととしたほか、その方法を厚生労働省令で定めることとしたものであること。

厚生労働省令では、請求は所定の事項を事業主に通知することによって行わなければならないこと、事業主は通知事項に係る事項を証明することができる書類の提出を労働者に求めることができること等を規定したものであること(則第57条)。

(2) 「その期間中は制限時間を超えて労働時間を延長してはならないこととなる一の期間」及び「制限開始予定日の一月前」の解釈については、子の養育を行う労働者の所定外労働の制限の場合と同様であること(2(2)(4)参照)。

(3) 則第57条第1項の通知の様式、通知先及び特定の方法での通知を求める場合、同項第1号の「請求の年月日」の通知すべき日並びに同項第5号の「対象家族が要介護状態にある事実」の解釈については、介護休業の場合と同様であること(第3の3(2)(3)参照)。

(4) 則第57条第4項の「証明することができる書類」として利用可能な書類の例として、対象家族と労働者との続柄及び要介護状態の事実については、介護休業の場合と同様であること(第3の3(5)イ及びロ参照)。

また、上記の証明書等に代わってそれぞれの事実が証明できる他の書類を提出することを妨げるものではなく、当該労働者の同僚等第三者の申立書の提出なども含め様々な方法が可能であること、さらに、証明方法について、請求をする労働者に過大な負担をかけることのないようにすべきものであること、介護に関しては、特に情勢が様々に変化することがあるので、臨機応変かつ柔軟な対応が望まれること、「要介護状態の事実」の証明手段などは、介護休業の場合と同様であること(第3の3(5)参照)。

8 家族の介護を行う労働者の所定外労働の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第16条の9第1項において準用する法第16条の8第3項)

(1) 請求後、厚生労働省令で定める事由(則第58条で、対象家族の死亡、対象家族と労働者との親族関係の消滅等を規定した。)が生じたときは、請求がされなかったものとみなされることとし、労働者にこのような事由が生じた場合の通知義務を課したものであること。

(2) 則第58条各号に規定する事由が生じたときの効果、法第16条の9第1項において準用する法第16条の8第3項後段の「遅滞なく」及び「通知」の解釈、則第58条第2号で定める事由が生じた旨を労働者が通知する場合の方法、同条第2号の「親族関係の消滅」の解釈については、介護休業の場合と同様であること(第3の13(2)(3)(4)参照)。

(3) 則第58条第3号の「当該請求に係る制限期間の末日までの間、当該請求に係る対象家族を介護することができない状態」の解釈については、子の養育を行う労働者の所定外労働の制限の場合と同様であること(3(5)参照)。

9 制限期間の終了(法第16条の9第1項において準用する法第16条の8第4項)

(1) 制限期間中にその請求に係る対象家族が死亡するなど厚生労働省令で規定する事由(則第59条で、則第58条を準用する旨を規定した。)が生じた場合又は請求をした労働者本人について産前産後休業、育児休業若しくは介護休業が始まった場合には、制限期間は終了することとしたものであること。

(2) 制限期間の終了に関し、以下の点に留意すること。

イ いわゆる内縁関係の解消は、則第59条において準用する則第58条第2号の「親族関係の消滅」に当たらないものであること。

ロ 対象家族の症状の緩和等による要介護状態からの離脱の場合の考え方については、介護休業の場合と同様であること(第3の15(2)ロ参照)。

ハ 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設等への入院・入所の場合の考え方については、介護休業の場合と同様であること(第3の15(2)ハ参照)。

10 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第16条の9第2項において準用する法第16条の8第3項後段)

(1) 法第16条の9第1項において準用する法第16条の8第3項後段と同様、当該労働者に法第16条の9第1項において準用する法第16条の8第4項第1号に規定する事由が生じた場合の事業主に対する通知義務を課したものであること。

(2) 「通知」の解釈については、介護休業の場合と同様であること(第3の16(2)参照)。

11 不利益取扱いの禁止(法第16条の10)

(1) 所定外労働の制限の権利行使を保障するため、労働者が所定外労働の制限の請求をし、又は当該事業主が当該請求をした労働者について所定労働時間を超えて労働させてはならない場合に当該労働者が所定労働時間を超えて労働しなかったことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることが禁止されることを明示したものであること。

(2) 「解雇その他不利益な取扱い」に該当する法律行為が行われた場合における効果及び指針事項に係る解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の23(2)から(5)参照)。

12 指針事項

(1) 指針第二の三の(一)は、事業所にあらかじめ所定外労働の制限の制度を導入し、かつ、就業規則の整備等必要な措置を講ずることを事業主に求めたものであること。これは、法律上、所定外労働の制限の制度が事業所内制度として設けられることが労働者の権利行使に当たって必須のものであるとはいえないが、法律上所定外労働の制限が労働者の権利として認められており、労働者がこれを容易に受けられるようにするためにも、所定外労働の制限の制度があらかじめ事業所内制度として設けられた上で、就業規則等に記載され、労働者に制度の存在が明らかになっていることが必要であることを明示したものであること。

(2) 指針第二の三の(二)の「制度の弾力的な利用」とは、労働者が一時的に子の養育や家族の介護をする必要がなくなった期間について、話合いにより、その事業主の下で所定労働時間を超えて労働すること等労働者の様々な状況に対応するための運用をいうものであること。

 

第7 時間外労働の制限(法第7章)

1 子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の請求(法第17条第1項)

(1) 働きながら子の養育を行うための時間を確保できるようにするため、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する一定の範囲の労働者(①雇入れ後1年未満の労働者、②その他請求をできないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者、のいずれにも該当しない労働者。ただし、日々雇用される者を除く。)が、その子を養育するために請求した場合においては、事業主は、制限時間(1月について24時間、1年について150時間をいう。以下同じ。)を超えて労働基準法第36条第1項に規定する労働時間(以下単に「労働時間」という。)を延長してはならないこととしたものであること。

また、ただし書は、その例外として、事業の正常な運営を妨げる場合は、事業主は請求を拒めることとしたものであること。

なお、期間を定めて雇用される者については、育児休業及び介護休業と異なり、別途の要件を課していないものであること。

(2) 「事業主」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の1(3)(4)参照)。

(3) 「同項に規定する労働時間」とは、労働基準法第36条第1項において規定する次に掲げる労働時間をいうものであること。

イ 労働基準法第32条の規定による1週間につき40時間、1日につき8時間という法定労働時間(ただし、同法第40条に基づき、労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)第25条の2において、特例の定めあり。)

ロ 労働基準法第32条の2の規定による1か月単位の変形労働時間制における労働時間

ハ 労働基準法第32条の3第1項の規定によるいわゆるフレックスタイム制における労働時間

ニ 労働基準法第32条の4の規定による1年単位の変形労働時間制における労働時間

ホ 労働基準法第32条の5の規定による1週間単位の非定型的変形労働時間制における労働時間

(4) 「小学校就学の始期に達するまで」の解釈については、子の看護休暇の場合と同様であること(第4の1(2)参照)。

(5) 「労働者」のうち、労働基準法第41条に規定する者(①労働基準法別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者、②監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者、③監視又は断続的労働に従事する者)及び労働基準法第41条の2第1項の規定により労働する者については、そもそも労働基準法上の労働時間に関する規定の適用がないため、対象にはなり得ないものであること。

このうち、労働基準法第41条第2号に定める管理監督者については、同法の解釈として、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであることとされていること。したがって、職場で「管理職」として取り扱われている者であっても、同号の管理監督者に当たらない場合には、時間外労働の制限の対象となること。

(6) 「制限時間・・・を超えて労働時間を延長してはならない」とは、事業主が労働基準法第36条第1項本文の規定により労働時間を延長させることができる場合であっても、制限時間を超えた時間については、労働者の労務提供義務が消滅することをいうものであること。したがって、時間外労働協定で定めた時間外労働の上限時間如何に関わらず、制限時間を超えて事業主が労働者に対して時間外労働命令をすることはできず、仮にこれをしたとしても、当該労働者にはその命令に従う義務はないこととなるものであること。なお、適法に労働時間を延長させるためには、別途、労働基準法第36条による所定の手続が必要であることはいうまでもないこと。

(7) 「事業の正常な運営を妨げる場合」の判断方法については、所定外労働の制限の場合と同様であること(第6の1(7)参照)。

(8) 第1号の「当該事業主に引き続き雇用された期間」の解釈及び「一年に満たない」か否かの判断時点については、育児休業の場合と同様であること(第2の7(8)(9)参照)。

(9) 第2号に該当するか否かの判断時点は請求時点であり、制限開始予定日において請求時点と状況が異なることが明らかなときは、制限開始予定日における状況に基づき、請求時点で判断すべきものであること。

(10) 則第52条の「一週間の所定労働日数が二日以下の労働者」に該当するか否かの判断時点については、原則として請求時点までの1月間の状況等を踏まえて判断するものであること。

2 子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の請求の方法(法第17条第2項)

(1) 子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の請求は、連続した一の期間についてしなければならないものであり、その際、期間の初日と末日を明らかにして行わなければならないこととしたほか、その方法を厚生労働省令で定めることとしたものであること。

厚生労働省令では、請求は所定の事項を事業主に通知することによって行わなければならないこと、事業主は通知事項に係る事項を証明することができる書類の提出を労働者に求めることができること等を規定したものであること(則第53条)。

(2) 時間外労働協定の有効期間が終了した場合であっても、次なる時間外労働協定が締結され届け出られた場合には、再び時間外労働をさせることができることになることから、労働者の請求する制限期間における「末日」を請求時に存在する時間外労働協定の有効期間を超えて設定することは可能であること。

(3) 「その期間中は制限時間を超えて労働時間を延長してはならないこととなる一の期間」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の5(2)参照)。

労働者の請求した制限期間が1年に満たない場合には、事業主は当該期間において150時間を超えて労働時間を延長してはならないものであること。また、制限期間においては、制限期間の始期から1か月ごとに区切った期間ごとに24時間を超えて労働時間を延長してはならないこととなるが、労働者の請求した制限期間が1年に満たないことにより制限期間中の最後の区切りの期間が1か月に満たないこととなった場合には、事業主は当該期間において24時間を超えて労働時間を延長してはならないものであること。

具体的には、例えば、平成29年7月10日から平成30年3月31日までの期間において時間外労働の制限の請求を行った場合には、まず、当該期間全体について150時間を超えて労働時間を延長してはならないという制限がかかり、当該期間内の1か月ごとに区分した期間ごとに24時間を超えて労働時間を延長してはならないという制限がかかることになるが、最後の区切りの期間である平成30年3月10日から平成30年3月31日までの期間については、1か月に満たないものの、当該期間について24時間を超えて労働時間を延長してはならないという制限がかかるものであること。

また、制限期間においては、原則として、1か月について24時間及び1年について150時間の両方の制限がかかるものであるが、制限期間が6か月以下の場合には、24時間×α月<150時間となるため、1年について150時間の制限の意味はなく、実質的に1か月24時間を超えて労働時間を延長してはならないという制限のみがかかるものであること。

(4) 事業主は、当該労働者について、時間外労働協定に基づく労働時間管理に加え、制限期間において1か月について24時間及び1年について150時間を超えて時間外労働をさせないよう個別的な労働時間管理を行う必要があること。

(5) 「制限開始予定日の一月前」とは、所定外労働の制限の場合と同様であること。(第6の2(4)参照。)

(6) 「第十六条の八第二項前段に規定する制限期間」とは、所定外労働の制限に関する制限期間をいうものであること。

(7) 「重複」とは、法第17条第2項の制限期間と法第16の8第2項の制限期間とが一部又は全部において重なることをいうものであること。この場合、いずれかの制限期間が実際に始まっている必要はないものであること。なお、労働者は重複する請求をすることができないものであり、当該請求がなされた場合であっても事業主はこれに応じる義務はないものであること。

(8) 則第53条第1項の通知の様式、通知先及び特定の方法での通知を求める場合、同項第1号の「請求の年月日」の通知すべき日並びに同項第5号の「養子縁組の効力が生じた日」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の5(4)(5)(6)(8)(9)参照)。

(9) 則第53条第4項の「証明することができる書類」として利用可能な書類の例は、育児休業の場合と同様であること。(第2の5(16)イからニまで参照。)

(10) 則第53条第5項の「速やかに」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の5(17)参照)。

3 子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第17条第3項)

(1) 請求後、厚生労働省令で定める事由(則第54条で、子の死亡、子が養子である場合の離縁又は養子縁組の取消し等を規定した。)が生じたときは、請求がされなかったものとみなされることとし、労働者にこのような事由が生じた場合の通知義務を課したものであること。

(2) 則第54条各号に規定する事由が生じたときの効果、法第17条第3項後段の「遅滞なく」及び「通知」の解釈、則第54条第2号で定める事由が生じた旨を労働者が通知する場合の方法については、育児休業の場合と同様であること(第2の16(2)から(5)まで参照)。

(3) 則第54条第3号の「同居しないこととなったこと」とは、永続的なものを想定しているが、転勤等の事情による場合も、制限期間の末日までの間同居しない状態が続くときは含むものであること。

(4) 則第54条第4号の「民法第八百十七条の二第一項の規定による請求に係る家事審判事件が終了したとき(特別養子縁組の成立の審判が確定した場合を除く。)又は養子縁組が成立しないまま児童福祉法第二十七条第一項第三号の規定による措置が解除されたとき。」の解釈については育児休業の場合と同様であること(第2の16(7)参照)。

(5) 則第54条第5号の「当該請求に係る制限期間の末日までの間、当該請求に係る子を養育することができない状態」とは、身体障害者福祉法第4条の身体障害者であること、又はこれと同程度に日常生活に制限を受ける精神障害があることにより自ら子を養育することが困難な状態のほか、制限期間の末日までの間通院、加療のみならず入院又は安静を必要とすることが見込まれる状態をいうものであり、このような状態であることが確定しない間は、当該請求はされなかったものとみなされないものであること。

4 制限期間の終了(法第17条第4項)

(1) 制限期間中にその請求に係る子が死亡するなど厚生労働省令で規定する事由(則第55条で、則第54条を準用する旨を規定した。)が生じた場合、子が小学校就学の始期に達した場合又は請求をした労働者本人について産前産後休業、育児休業若しくは介護休業が始まった場合には、制限期間は終了することとしたものであること。

(2) 時間外労働をさせるか否かについては、就業規則等の範囲内において事業主の裁量にゆだねられるため、労働者はどの時点においても請求の撤回を申し出ることはできるものであること。ただし、事業主は、労働者から撤回の申出があったからといって、直ちに当該労働者に対し、他の労働者と同水準の時間外労働をさせなければならなくなるものではないこと。

5 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第17条第5項)

(1) 法第17条第3項後段と同様、当該労働者に法第17条第4項第1号に規定する事由が生じた場合の事業主に対する通知義務を課したものであること。

(2) 「通知」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の19(2)参照)。

6 家族の介護を行う労働者の時間外労働の制限の請求(法第18条第1項において準用する法第17条第1項)

(1) 働きながら家族の介護を行うための時間を確保できるようにするため、要介護状態にある対象家族を介護する一定の範囲の労働者(①雇入れ後1年未満の労働者、②その他請求をできないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者、のいずれにも該当しない労働者。ただし、日々雇用される者を除く。)が、その対象家族を介護するために請求した場合においては、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する一定の範囲の労働者が請求した場合と同様に、事業主は、制限時間を超えて労働時間を延長してはならないこととしたものであること。

また、ただし書は、その例外として、事業の正常な運営を妨げる場合は、事業主は請求を拒めることとしたものであること。

なお、期間を定めて雇用される者については、育児休業及び介護休業と異なり、別途の要件を課していないものであること。

(2) 対象となる「労働者」の範囲については、子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の場合と同様であること(1(5)参照)。

(3) 法第18条第1項において準用する法第17条第1項の「事業主」、「同項に規定する労働時間」及び「制限時間・・・を超えて労働時間を延長してはならない」の解釈並びに「事業の正常な運営を妨げる場合」の判断方法、同項第1号の「当該事業主に引き続き雇用された期間」の解釈及び「一年に満たない」か否かの判断時点並びに同項第2号に該当するか否かの判断時点については、子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の場合と同様であること(1(2)(3)(6)(7)(8)(9)参照)。

(4) 則第56条において準用する則第52条第1号の「一週間の所定労働日数が二日以下の労働者」に該当するか否かの判断時点については、子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の場合と同様であること(1(10)参照)。

7 家族の介護を行う労働者の時間外労働の制限の請求の方法(法第18条第1項において準用する法第17条第2項)

(1) 家族の介護を行う労働者の時間外労働の制限の請求は、子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の請求と同様に、連続した一の期間についてしなければならないものであり、その際、期間の初日と末日を明らかにして行わなければならないこととしたほか、その方法を厚生労働省令で定めることとしたものであること。

厚生労働省令では、請求は所定の事項を事業主に通知することによって行わなければならないこと、事業主は通知事項に係る事項を証明することができる書類の提出を労働者に求めることができること等を規定したものであること(則第57条)。

(2) 「時間外労働協定の有効期間」との関係、「その期間中は制限時間を超えて労働時間を延長してはならないこととなる一の期間」及び「制限開始予定日の一月前」の解釈については、子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の場合と同様であること(2(2)(3)(5)参照)。

(3) 則第57条第1項の通知の様式、通知先及び特定の方法での通知を求める場合、同項第1号の「請求の年月日」の通知すべき日並びに同項第4号の「対象家族が要介護状態にある事実」の解釈については、介護休業の場合と同様であること(第3の3(2)(3)参照)。

(4) 則第57条第4項の「証明することができる書類」として利用可能な書類の例として、対象家族と労働者との続柄及び要介護状態の事実については、介護休業の場合と同様であること(第3の3(5)イ及びロ参照)。

また、上記の証明書等に代わってそれぞれの事実が証明できる他の書類を提出することを妨げるものではなく、当該労働者の同僚等第三者の申立書の提出なども含め様々な方法が可能であること、さらに、証明方法について、請求をする労働者に過大な負担をかけることのないようにすべきものであること、介護に関しては、特に情勢が様々に変化することがあるので、臨機応変かつ柔軟な対応が望まれること、「要介護状態の事実」の証明手段などは、介護休業の場合と同様であること(第3の3(5)参照)。

8 家族の介護を行う労働者の時間外労働の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第18条第1項において準用する法第17条第3項)

(1) 請求後、厚生労働省令で定める事由(則第58条で、対象家族の死亡、対象家族と労働者との親族関係の消滅等を規定した。)が生じたときは、請求がされなかったものとみなされることとし、労働者にこのような事由が生じた場合の通知義務を課したものであること。

(2) 則第58条各号に規定する事由が生じたときの効果、法第18条第1項において準用する法第17条第3項後段の「遅滞なく」及び「通知」の解釈、則第58条第2号で定める事由が生じた旨を労働者が通知する場合の方法、同条第2号の「親族関係の消滅」の解釈については、介護休業の場合と同様であること(第3の13(2)(3)(4)参照)。

(3) 則第58条第3号の「当該請求に係る制限期間の末日までの間、当該請求に係る対象家族を介護することができない状態」の解釈については、子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の場合と同様であること(3(5)参照)。

9 制限期間の終了(法第18条第1項において準用する法第17条第4項)

(1) 制限期間中にその請求に係る対象家族が死亡するなど厚生労働省令で規定する事由(則第59条で、則第58条を準用する旨を規定した。)が生じた場合又は請求をした労働者本人について産前産後休業、育児休業若しくは介護休業が始まった場合には、制限期間は終了することとしたものであること。

(2) 制限期間の終了に関し、以下の点に留意すること。

イ いわゆる内縁関係の解消は、則第59条において準用する則第58条第2号の「親族関係の消滅」に当たらないものであること。

ロ 対象家族の症状の緩和等による要介護状態からの離脱の場合の考え方については、介護休業の場合と同様であること(第3の15(2)ロ参照)。

ハ 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設等への入院・入所の場合の考え方については、介護休業の場合と同様であること(第3の15(2)ハ参照)。

10 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第18条第2項において準用する法第17条第3項後段)

(1) 法第18条第1項において準用する法第17条第3項後段と同様、当該労働者に法第18条第1項において準用する法第17条第4項第1号に規定する事由が生じた場合の事業主に対する通知義務を課したものであること。

(2) 「通知」の解釈については、介護休業の場合と同様であること(第3の16(2)参照)。

11 不利益取扱いの禁止(法第18条の2)

(1) 時間外労働の制限の権利行使を保障するため、労働者が時間外労働の制限の請求をし、又は当該事業主が当該請求をした労働者について制限時間を超えて労働させてはならない場合に当該労働者が制限時間を超えて労働しなかったことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることが禁止されることを明示したものであること。

(2) 「解雇その他不利益な取扱い」に該当する法律行為が行われた場合における効果及び指針事項に係る解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の23(2)から(5)参照)。

12 指針事項

指針第二の四は、事業所にあらかじめ時間外労働の制限の制度を導入し、かつ、就業規則の整備等必要な措置を講ずることを事業主に求めたものであること。これは、法律上、時間外労働の制限の制度が事業所内制度として設けられることが労働者の権利行使に当たって必須のものであるとはいえないが、法律上時間外労働の制限が労働者の権利として認められており、労働者がこれを容易に受けられるようにするためにも、時間外労働の制限の制度があらかじめ事業所内制度として設けられた上で、就業規則等に記載され、労働者に制度の存在が明らかになっていることが必要であることを明示したものであること。

 

第8 深夜業の制限(法第8章)

1 子の養育を行う労働者の深夜業の制限の請求(法第19条第1項)

(1) 深夜に子を保育する者がいなくなる場合に対応するため、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する一定の範囲の労働者(①雇入れ後1年未満の労働者、②深夜において常態として子を保育することができる同居の家族その他の者がいる労働者、③その他請求をできないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者、のいずれにも該当しない労働者。ただし、日々雇用される者を除く。)が、その子を養育するために請求した場合においては、事業主は、午後10時から午前5時までの間(以下「深夜」という。)において労働させてはならないこととしたものであること。

また、ただし書は、その例外として、事業の正常な運営を妨げる場合は、事業主は請求を拒めることとしたものであること。

なお、期間を定めて雇用される者については、育児休業及び介護休業と異なり、別途の要件を課していないものであること。

(2) 労働基準法第66条第3項に規定する妊産婦の深夜業の制限は、母性保護の見地から設けられたものであり、妊産婦の深夜業の制限と法第19条に規定する深夜業の制限は、その趣旨、目的が異なるものであることから、両者の要件に該当する労働者は、任意に選択して請求することができるものであること。

(3) 「事業主」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の1(3)(4)参照)。

(4) 「小学校就学の始期に達するまで」の解釈については、子の看護休暇の場合と同様であること(第4の1(2)参照)。

(5) 「午後十時から午前五時までの間・・・において労働させてはならない」とは、午後10時から午前5時までの間においては、所定労働時間内であるか否かに関わらず、労働者の労務提供義務が消滅することをいうものであること。

(6) 「事業の正常な運営を妨げる場合」の判断方法については、所定外労働の制限の場合と同様であること(第6の1(7)参照)。

(7) 第1号の「当該事業主に引き続き雇用された期間」の解釈及び「一年に満たない」か否かの判断時点については、育児休業の場合と同様であること(第2の7(8)(9)参照)。

(8) 第2号の「保育」とは、保護し育てるとの意であり、「養育」とは異なり、親以外の者による対応も含むものであること。

(9) 第2号の「同居の家族」には、1月未満の期間のみ同居が見込まれる家族を含まないものであること。

(10) 第2号及び第3号に該当するか否かの判断時点は請求時点であり、制限開始予定日において請求時点と状況が異なることが明らかなときは、制限開始予定日における状況に基づき、請求時点で判断すべきものであること。

(11) 則第60条において「十六歳以上」としているのは、保育することができるとみなすには保育する者が一定の年齢に達していることが必要であると考えられることから、義務教育修了年齢を参考として「十六歳以上」としたものであること。

(12) 則第60条第1号の「就業」とは、原則として所定労働時間内の就業をいうものであるが、制限期間について所定労働時間を超える就業が深夜に及ぶことが明らかな場合には、当該就業は「就業」に含まれるものであること。

また、宿泊を伴う出張の場合は、「就業」に含まれるものであること。

(13) 則第60条第1号の「深夜における就業日数が一月について三日以下の者」に該当するか否かは、原則として請求時点までの1月間の状況等を踏まえて判断するものであること。

また、「深夜における就業日数」の計算において、継続勤務が2暦日にわたる場合には、当該勤務は始業時刻の属する日の勤務として、当該「1日」の就業とするものであること。

(14) 則第60条第2号の「子を保育することが困難な状態」とは、身体障害者福祉法第4条の身体障害者であること、又はこれと同程度に日常生活に制限を受ける精神障害があることにより自ら子を保育することが困難な状態のほか、老齢により身体機能が相当程度低下し子を保育することが困難な状態をいうものであること。

(15) 則第60条第3号の「六週間(多胎妊娠の場合にあっては、十四週間)以内に出産予定であるか又は産後八週間を経過しない」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の3(12)参照)。

(16) 則第61条第1号の「一週間の所定労働日数が二日以下の労働者」に該当するか否かの判断時点は、子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の場合と同様であること(第7の1(10)参照)。

(17) 則第61条第2号の「所定労働時間」とは、就業規則等において労働者が労働契約上労働すべき時間として定められた時間の意であり、労働基準法の規定による法定労働時間とは異なるものであること。

(18) 則第61条第2号の「全部が深夜にある」とは、所定労働時間のすべてが午後10時から午前5時までの間にあるとの意であること。したがって、例えば、交替制勤務の場合や、所定労働時間の一部に午後10時から午前5時までの間以外の時間帯が含まれている場合は、「全部が深夜にある」には該当しないものであること。

2 子の養育を行う労働者の深夜業の制限の請求の方法(法第19条第2項)

(1) 子の養育を行う労働者の深夜業の制限の請求は、連続した一の期間についてしなければならないものであり、その際、期間の初日と末日を明らかにして行わなければならないこととしたほか、その方法を厚生労働省令で定めることとしたものであること。

厚生労働省令では、請求は所定の事項を事業主に通知することによって行わなければならないこと、事業主は通知事項に係る事項を証明することができる書類の提出を労働者に求めることができること等を規定したものであること(則第62条)。

(2) 「その期間中は深夜において労働させてはならないこととなる一の期間」の解釈については、育児休業の場合と同様であること。(第2の5(2)参照)。

(3) 「制限開始予定日の一月前」の解釈については、子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の場合と同様であること(第7の2(5)参照)。

(4) 則第62条第1項の通知の様式、通知先及び特定の方法での通知を求める場合、同項第1号の「請求の年月日」の通知すべき日並びに同項第5号の「養子縁組の効力が生じた日」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の5(4)(5)(6)(8)(9)まで参照)。

(5) 則第62条第1項第6号の「第六十条の者がいない事実」とは、その旨を記載すれば足りるものであり、その事実を証明する書類の添付は、則第62条第2項により事業主からの請求がない限り、当然には要求されないものであること。

(6) 則第62条第4項の「証明することができる書類」として利用可能な書類の例は、それぞれの証明すべき事実に応じ以下のとおりであること。

イ 妊娠の事実、出生の事実及び養子縁組の事実 第2の5(16)イ、ロ、ニ参照

ロ 子の16歳以上の同居の家族がいない事実 住民票記載事項の証明書、出張命令書の写し

ハ 家族が深夜において就業している事実 労働契約又は就業規則の写し

ニ 家族が子を保育することが困難な状態の事実 第2の5(16)チ参照

ホ 家族が6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産予定であるか又は産後8週間を経過していない事実 第2の5(16)ル参照

また、上記の証明書等に代わってそれぞれの事実が証明できる他の書類を提出することを妨げるものではなく、当該労働者の同僚等第三者の申立書の提出なども含め様々な方法が可能であること、さらに、証明方法について、請求をする労働者に過大な負担をかけることのないようにすべきものであることなどは、育児休業の場合と同様であること(第2の5(16)参照)。

(7) 則第62条第5項の「速やかに」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の5(17)参照)。

3 子の養育を行う労働者の深夜業の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第19条第3項)

(1) 請求後、厚生労働省令で定める事由(則第63条で、子の死亡、子が養子である場合の離縁又は養子縁組の取消等を規定した。)が生じたときは、請求がされなかったものとみなされることとし、労働者にこのような事由が生じた場合の通知義務を課したものであること。

(2) 則第63条各号に規定する事由が生じたときの効果、法第19条第3項後段の「遅滞なく」及び「通知」の解釈、則第63条第2号で定める事由が生じた旨を労働者が通知する場合の方法については、育児休業の場合と同様であること(第2の16(2)から(5)まで参照)。

(3) 則第63条第3号の「同居しないこととなったこと」及び則第63条第5号の「当該請求に係る制限期間の末日までの間、当該請求に係る子を養育することができない状態」の解釈については、子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の場合と同様であること(第7の3(3)(5)参照)。

また、則第63条第4号の「民法第八百十七条の二第一項の規定による請求に係る家事審判事件が終了したとき(特別養子縁組の成立の審判が確定した場合を除く。)又は養子縁組が成立しないまま児童福祉法第二十七条第一項第三号の規定による措置が解除されたとき。」の解釈については育児休業の場合と同様であること(第2の16(7)参照)。

4 制限期間の終了(法第19条第4項)

(1) 制限期間中にその請求に係る子が死亡するなど厚生労働省令で規定する事由(則第64条で、則第63条を準用する旨を規定した。)が生じた場合、子が小学校就学の始期に達した場合又は請求をした労働者本人について産前産後休業、育児休業若しくは介護休業が始まった場合には、制限期間は終了することとしたものであること。

(2) 制限期間の終了に関し、以下の点に留意すること。

イ 請求に係る子の同居の家族が生じた場合を当然終了事由とすることについては、事業主にとって要員管理が不安定なものとなるため、当然終了事由とはしていないところであること。

ロ 制限期間中の深夜における就労については、イの場合を含め、制限期間中の労働者が一時的に子の養育をする必要がなくなった期間について、話合いにより、その事業主の下で深夜において就労することは妨げないものであること。その場合、当該労使で深夜業の制限を終了させる特段の合意のない限り、一旦深夜業に復帰することをもって当然に深夜業の制限が終了するものではなく、一時的中断とみることが適当であって、当初の制限期間の範囲内で深夜業の制限を再開することができるものであること。

5 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第19条第5項)

(1) 法第19条第3項後段と同様、当該労働者に法第19条第4項第1号に規定する事由が生じた場合の事業主に対する通知義務を課したものであること。

(2) 「通知」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の19(2)参照)。

6 家族の介護を行う労働者の深夜業の制限の請求(法第20条第1項において準用する法第19条第1項)

(1) 深夜に家族を介護する者がいなくなる場合に対応するため、要介護状態にある対象家族を介護する一定の範囲の労働者(①雇入れ後1年未満の労働者、②深夜において常態として対象家族を介護することができる同居の家族その他の者がいる労働者、③その他請求をできないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者、のいずれにも該当しない労働者。ただし、日々雇用される者を除く。)が、その対象家族を介護するために請求した場合においては、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する一定の範囲の労働者が請求した場合と同様に、事業主は、深夜において労働させてはならないこととしたものであること。

また、ただし書は、その例外として、事業の正常な運営を妨げる場合は、事業主は請求を拒めることとしたものであること。

なお、期間を定めて雇用される者については、育児休業及び介護休業と異なり、別途の要件を課していないものであること。

(2) 労働基準法第66条第3項に規定する妊産婦の深夜業の制限との関係については、子の養育を行う労働者の深夜業の制限の場合と同様であること(1(2)参照)。

(3) 法第20条第1項において準用する法第19条第1項の「事業主」及び「午後十時から午前五時までの間・・・において労働させてはならない」の解釈並びに「事業の正常な運営を妨げる場合」の判断方法、同項第1号の「当該事業主に引き続き雇用された期間」の解釈及び「一年に満たない」か否かの判断時点、同項第2号の「同居の家族」の解釈並びに同項第2号及び第3号に該当するか否かの判断時点については、子の養育を行う労働者の深夜業の制限の場合と同様であること(1(3)(5)(6)(7)(9)(10)参照)。

(4) 則第65条において準用する則第60条の「十六歳以上」の趣旨、同項第1号の「就業」の解釈、「深夜における就業日数が一月について三日以下の者」に該当するか否かの判断時点及び「深夜における就業日数」の計算、同項第2号の「対象家族を介護することが困難な状態」の解釈、同項第3号の「六週間(多胎妊娠の場合にあっては、十四週間)以内に出産予定であるか又は産後八週間を経過しない」の解釈、則第66条において準用する則第61条第1号の「一週間の所定労働日数が二日以下の労働者」に該当するか否かの判断時点並びに同条第2号の「所定労働時間」及び「全部が深夜にある」の解釈については、子の養育を行う労働者の深夜業の制限の場合と同様であること(1(11)から(18)まで参照)。

7 家族の介護を行う労働者の深夜業の制限の請求の方法(法第20条第1項において準用する法第19条第2項)

(1) 家族の介護を行う労働者の深夜業の制限の請求は、子の養育を行う労働者の深夜業の制限の請求と同様に、連続した一の期間についてしなければならないものであり、その際、期間の初日と末日を明らかにして行わなければならないこととしたほか、その方法を厚生労働省令で定めることとしたものであること。

厚生労働省令では、請求は所定の事項を事業主に通知することによって行わなければならないこと、事業主は通知事項に係る事項を証明することができる書類の提出を労働者に求めることができること等を規定したものであること(則第67条)。

(2) 「その期間中は深夜において労働させてはならないこととなる一の期間」及び「制限開始予定日の一月前」の解釈については、子の養育を行う労働者の深夜業の制限の場合と同様であること(2(2)(3)参照)。

(3) 則第67条第1項の通知の様式、通知先及び特定の方法での通知を求める場合、同項第1号の「請求の年月日」の通知すべき日並びに同項第4号の「対象家族が要介護状態にある事実」の解釈については、介護休業の場合と同様であること(第3の3(2)(3)参照)。

(4) 則第67条第1項第6号の「第六十五条において準用する第六十条の者がいない事実」の解釈については、子の養育を行う労働者の深夜業の制限の場合と同様であること(2(5)参照)。

(5) 則第67条第4項の「証明することができる書類」として利用可能な書類の例は、それぞれの証明すべき事実に応じ以下のとおりであること。

イ 対象家族と労働者との続柄、要介護状態の事実 第3の3(5)イ及びロ参照

ロ 対象家族の16歳以上の同居の家族がいない事実、家族が深夜において就業している事実、家族が対象家族を介護することが困難な状態の事実、家族が6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産予定であるか又は産後8週間を経過していない事実 2(6)ロからホまで参照

また、上記の証明書等に代わってそれぞれの事実が証明できる他の書類を提出することを妨げるものではなく、当該労働者の同僚等第三者の申立書の提出なども含め様々な方法が可能であること、さらに、証明方法について、請求をする労働者に過大な負担をかけることのないようにすべきものであること、介護に関しては、特に情勢が様々に変化することがあるので、臨機応変かつ柔軟な対応が望まれること、「要介護状態の事実」の証明手段などは、介護休業の場合と同様であること(第3の3(5)参照)。

8 家族の介護を行う労働者の深夜業の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第20条第1項において準用する法第19条第3項)

(1) 請求後、厚生労働省令で定める事由(則第68条で、対象家族の死亡、対象家族と労働者との親族関係の消滅等を規定した。)が生じたときは、請求がされなかったものとみなされることとし、労働者にこのような事由が生じた場合の通知義務を課したものであること。

(2) 則第68条各号に規定する事由が生じたときの効果、法第20条第1項において準用する法第19条第3項後段の「遅滞なく」及び「通知」の解釈、則第68条第2号で定める事由が生じた旨を労働者が通知する場合の方法、同条第2号の「親族関係の消滅」の解釈については、介護休業の場合と同様であること(第3の13(2)から(4)参照)。

(3) 則第68条第3号の「当該請求に係る制限期間の末日までの間、当該請求に係る対象家族を介護することができない状態」の解釈については、子の養育を行う労働者の深夜業の制限の場合と同様であること(3(3)参照)。

9 制限期間の終了(法第20条第1項において準用する法第19条第4項)

(1) 制限期間中にその請求に係る対象家族が死亡するなど厚生労働省令で規定する事由(則第69条で、則第68条を準用する旨を規定した。)が生じた場合又は請求をした労働者本人について産前産後休業、育児休業若しくは介護休業が始まった場合には、制限期間は終了することとしたものであること。

(2) 制限期間の終了に関し、以下の点に留意すること。

イ いわゆる内縁関係の解消は、則第69条において準用する則第68条第2号の「親族関係の消滅」に当たらないものであること(第3の13(4)参照)。

ロ 対象家族の症状の緩和等による要介護状態からの離脱の場合の考え方については、介護休業の場合と同様であること(第3の15(2)ロ参照)。

ハ 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設等への入院・入所の場合の考え方については、介護休業の場合と同様であること(第3の15(2)ハ参照)。

ニ 請求に係る対象家族の同居の家族が生じた場合及び制限期間中の深夜における就労の考え方については、子の養育を行う労働者の深夜業の制限の場合と同様であること(4(2)参照)。

10 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第20条第2項において準用する法第19条第3項後段)

(1) 法第20条第1項において準用する法第19条第3項後段と同様、当該労働者に法第20条第1項において準用する法第19条第4項第1号に規定する事由が生じた場合の事業主に対する通知義務を課したものであること。

(2) 「通知」の解釈については、介護休業の場合と同様であること(第3の16(2)参照)。

11 不利益取扱いの禁止(法第20条の2)

(1) 深夜業の制限の権利行使を保障するため、労働者が深夜業の制限の請求をし、又は当該事業主が当該請求をした労働者について深夜において労働させてはならない場合に当該労働者が深夜において労働しなかったことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることが禁止されることを明示したものであること。

(2) 「解雇その他不利益な取扱い」に該当する法律行為が行われた場合における効果及び指針事項に係る解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の23(2)から(5)参照)。

12 指針事項

(1) 指針第二の五の(一)は、事業所にあらかじめ深夜業の制限の制度を導入し、かつ、就業規則の整備等必要な措置を講ずることを事業主に求めたものであること。これは、法律上、深夜業の制限の制度が事業所内制度として設けられることが労働者の権利行使に当たって必須のものであるとはいえないが、法律上深夜業の制限が労働者の権利として認められており、労働者がこれを容易に受けられるようにするためにも、深夜業の制限の制度があらかじめ事業所内制度として設けられた上で、就業規則等に記載され、労働者に制度の存在が明らかになっていることが必要であることを明示したものであること。

(2) 指針第二の五の(二)の「労働者の深夜業の制限期間中における待遇(昼間勤務への転換の有無を含む。)に関する事項」とは、昼間勤務への転換の有無を含め深夜業の制限を受ける労働者の配置、労働時間、賃金等に関する事項の意であること。

「定め」に当たっては、労使の話合いの上、その合意に基づき行われることが望ましいものであること。

また、「定めるとともに、これを労働者に周知させる」ことと労働基準法第89条との関係については、事業主が講ずべき措置の場合と同様であること(第9の1(2)参照)。

(3) 指針第二の五の(三)の「制度の弾力的な利用」とは、週の特定の曜日や、深夜の特定の時間について深夜業の制限を受けること等の意であること。

 

第9 事業主が講ずべき措置等(法第9章)

1 育児休業等に関する定めの周知(法第21条第1項)

(1) 労働者が育児休業又は介護休業(以下「育児休業等」という。)をするか否かは労働者の選択に委ねられているが、その選択を適切に行うことができるようにし、かつ、後に紛争が起こることを未然に防止するため、育児休業等の期間中の待遇、育児休業等の後の賃金、配置等の労働条件及び厚生労働省令で定める必要な事項(則第70条で、①法第9条第2項第1号又は法第15条第3項第1号に掲げる事情が生じたことにより育児休業等の期間が終了した労働者の労務の提供の開始時期に関すること及び②労働者が介護休業の期間について負担すべき社会保険料を事業主に支払う方法に関することを規定した。)をあらかじめ定め、周知することを事業主の努力義務としたものであること。また、対象となる労働者、特に、男性労働者が育児休業等を取得しやすい職場環境とするため、労働者一般への周知に加え、労働者又はその配偶者が妊娠若しくは出産したこと又は労働者が対象家族を介護していることを知ったときに、当該労働者に対して個別に、育児休業等に関する事項を知らせることを事業主の努力義務としたものであること。

「定め」に当たっては、労使の話合いの上、その合意に基づき行われることが望ましいものであること。

(2) 労働基準法第89条との関係については、以下の点に留意すること。

イ 常時10人以上の労働者を使用する事業所の事業主は、法第21条第1項各号に規定する事項のうち、労働基準法第89条第1号から第3号までの規定において就業規則を作成しなければならない事項とされているものについては、同条の規定により当該事項を定め、同法第106条第1項の規定によりそれを周知する義務を負っており、その部分に関しては法第21条第1項は入念規定であること。

また、法第21条第1項各号に規定する事項のうち、労働基準法第89条第3号の2から第10号までの規定において定めをする場合には就業規則を作成しなければならない事項とされているものについては、同法第106条第1項の規定により、その事項を定めた場合には、当該事業主は、それを周知する義務を負っており、その部分に関しては法第21条第1項は入念規定であること。

これら以外の事項については、法第21条第1項により創設的に、定め、周知する努力義務を当該事業主に課したものであること。

ロ 常時10人以上の労働者を使用しない事業所の事業主に対しては、法第21条第1項各号に規定するすべての事項について、同項により創設的に、定め、周知する努力義務を課したものであること。

(3) 第1号の「労働者の育児休業及び介護休業中における待遇に関する事項」とは、労働者が育児休業等をしている期間中の賃金その他の経済的給付、教育訓練、福利厚生施設の利用等の意であること。

(4) 第2号の「育児休業及び介護休業後における賃金」とは、育児休業等の終了後の賃金の額及びその算定の方法等の意であること。なお、ここでいう「賃金」とは、労働の対償として事業主が労働者に支払うすべてのものをいうものであり、退職金を含むものであること。

(5) 第2号の「配置」とは、労働者を一定の職務(ポスト)に就けること又は就けている状態をいい、従事すべき職務の内容及び就業の場所を主要な要素とするものであること。また、「配置」には、いわゆる出向及び労働者派遣法第2条第1号の労働者派遣も含まれるものであること。

(6) 第2号の「その他の労働条件に関する事項」とは、昇進、昇格、年次有給休暇等に関する事項の意であること。

(7) 則第70条第1号の「労務の提供の開始時期」の取扱いについては、育児休業等の期間が終了した労働者にとっても即日出勤が難しい状況にあることが予想されることから、当事者間の合意による期間中であれば無給の休業としての取扱いをすることも許されるものと解されること。

(8) 則第70条第2号の「社会保険料」には、健康保険法(大正11年法律第70号)、厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和44年法律第84号)及び介護保険法(平成9年法律第123号)の規定により被保険者として負担する保険料のほか、私立学校教職員共済法(昭和28年法律第245号)及び国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号)の規定により加入者及び組合員として負担する掛金が含まれるものであること。

(9) 則第70条第2号の「支払う方法に関すること」とは、事業主がその労働者負担分及び事業主負担分を一括して国庫等へ納入することを義務付けられている社会保険料について、当該労働者負担分を立替払をする事業主が当該労働者に対して求償する方法を定めるものであり、支払の時期、直接払又は振込の別等を含むものであること。

(10) 指針第二の六(一)の「一括して定め」とは、育児休業及び介護休業について一括して定めることのみの意ではなく、育児休業について一括して定め、かつ、介護休業について一括して定めることも含むものであること。

(11) 指針第二の六(二)は、労働者に両立支援制度を個別に周知する際には、労働者のプライバシーを保護する観点から、労働者が自発的に当該労働者若しくはその配偶者が妊娠若しくは出産したこと又は当該労働者が対象家族を介護していることを知らせることを前提としたものであること。そのためには、労働者が自発的に知らせやすい職場環境が重要であることから、法第25条に定める措置を事業主が講じている必要があることを改めて確認するものであること。

(12) 指針第二の六(三)は、労働者に両立支援制度を個別に周知する際に、あわせて知らせることが望ましい両立支援制度を例示したものであり、具体的には、以下のものがあること。イ及びロはあくまでも例示であってこれに限られるものではないこと。

イ 法第5条第2項の規定による育児休業の再度取得の特例(パパ休暇)

ロ 法第9条の2の規定による同一の子について配偶者が育児休業をする場合の特例(パパ・ママ育休プラス)

2 育児休業等に関する取扱いの明示(法第21条第2項)

(1) 法第21条第1項に規定する定めに基づく措置については、個々の労働者ごとに育児休業等の期間等に応じ結果として行われる取扱いが異なることがあり得るので、個々の労働者が具体的に自分がどのような取扱いを受けるのかについて知り得る状態を確保すべきものであることから、労働者に対してその取扱いを具体的に明示することを事業主の努力義務とすることとし、当該取扱いの明示をするに当たっての方法を厚生労働省令で定めることとしたものであること。

厚生労働省令では、当該取扱いの明示は、労働者からの育児休業等の申出があった後速やかに、当該労働者に係る取扱いを明らかにした書面を交付することによって行うものとすることを規定したものであること(則第71条)。

(2) 「当該労働者に係る取扱い」とは、法第21条第1項各号に規定する事項についての定めを、育児休業等の期間等に応じ具体的に個々の労働者に適用した結果行われる当該労働者についての取扱いの意であること。

(3) 則第71条の「速やかに」とは、原則として労働者が育児休業申出をした時点からおおむね2週間以内に、介護休業申出をした時点からおおむね1週間以内に、との意であるが、育児休業申出の日から育児休業開始予定日までの期間が2週間に満たない場合又は介護休業申出の日から介護休業開始予定日までの期間が1週間に満たない場合にあっては、育児休業開始予定日又は介護休業開始予定日までにとの意であること。

3 雇用管理等に関する措置(法第22条)

(1) 労働者の育児休業等の申出及び育児休業等の休業後の再就業を円滑にするため、事業主に対し、育児休業等をする労働者が雇用される事業所における労働者の配置等の雇用管理、育児休業等により休業中の労働者の職業能力の開発及び向上等について、必要な措置を講ずる努力義務を事業主に課したものであること。

(2) 「事業所における労働者の配置」とは、配置転換の対象となる労働者、労働者派遣により受け入れられる労働者等を含めたその事業所の労働者全体の配置の意であり、育児休業等をすることができない労働者の配置も含まれるものであること。

特に、育児休業等をする労働者の業務を処理するために臨時に採用した労働者(以下「代替要員」という。)の雇用管理については、養育していた子又は介護していた対象家族の死亡等により休業が終了した場合の取扱いに関し次の点に留意し、代替要員に予期せぬ不利益を与えないよう、あらかじめ雇用契約の内容を明確にしておく必要があること。

イ 代替要員の雇用期間が確定日付で定められているような場合、休業取得者が職場復帰したとしても、当該代替要員の雇用期間の終了前に当該代替要員の雇用契約を終了させることはできないものであること。

ロ 代替要員の雇用契約において、雇用期間が確定日付で定められ、かつ、休業取得者が職場復帰した場合には雇用契約を終了させる旨の留保条件が付されている場合、代替要員の雇用期間の終了前に当該代替要員の雇用契約を終了させることは可能であると考えられること。この場合においても、労働基準法第20条の解雇予告の規定は適用されるものであること。

ハ 代替要員の雇用契約が、休業取得者が職場復帰した場合を除いて短期間の契約を一定の回数まで更新することとする内容である場合にあっては、特定の雇用契約期間中において当該休業取得者が職場復帰した場合、当該雇用期間の満了をもって雇用契約を更新しないこととすることは可能であること。

(3) 「その他の雇用管理」とは、他の労働者に対する業務の再配分、人事ローテーション等による配置転換、派遣労働者の受入れ及び新たな採用等のうちの適切な措置をとることによって、当該育児休業等をする労働者が行っていた業務を円滑に処理する方策等の意であること。

(4) 「労働者の職業能力の開発及び向上等」の「等」には、育児休業等をする労働者の能力の維持や職場適応性の減退の防止、あるいは当該労働者が育児休業等の休業前に就いていた又は育児休業等の休業後に就くことが予想される業務に関する情報の提供等が含まれるものであること。

(5) 指針第二の七の(一)の「原職相当職」の範囲は、個々の企業又は事業所における組織の状況、業務配分、その他の雇用管理の状況によって様々であるが、一般的に、①休業後の職制上の地位が休業前より下回っていないこと、②休業前と休業後とで職務内容が異なっていないこと及び③休業前と休業後とで勤務する事業所が同一であることのいずれにも該当する場合には、「原職相当職」と評価されるものであること。

(6) 指針第二の八の(二)の「計画的に措置が講じられること」とは、労働者の状況に的確に対応するため、

イ 育児休業をする労働者の発生を一定期間ごとに事前に予測し、その人数、属性等に応じた能力開発等の方法を検討の上、個々の労働者の適性、能力等に配慮した能力開発の機会が提供されるようプログラムを用意しておくこと

ロ 労働者数の多い事業所においては、介護休業をする労働者の発生する数を事前に予測し、その人数に応じた能力開発等の方法を検討の上、様々な状況に対応できるよう、多様な類型のプログラムを用意するとともに、弾力的な運用が可能となるようにしておくこと

ハ 労働者数の少ない事業所においては、急に介護休業をする労働者が発生する場合に備えて、他の類似の事業所における好事例を参考の上、当該事業所に適合したプログラムを用意すること

等の意であること。

4 3歳に満たない子を養育する労働者に関する所定労働時間の短縮措置(法第23条第1項)

(1) 育児休業から復帰し、又は育児休業をせずに、雇用を継続する労働者にとっては、ある程度心身が発達する3歳に達するまでの時期は子の養育に特に手がかかる時期であり、とりわけ保育所に子どもを預ける場合における送り迎えなど、子育ての時間を確保することが雇用を継続するために重要であることから、3歳に満たない子を養育する労働者であって育児休業をしていないもの(1日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるものを除く。)に関して、所定労働時間を短縮することにより当該労働者が就業しつつ子を養育することを容易にするための措置(以下「育児のための所定労働時間の短縮措置」という。)を講ずる義務を事業主に課したものであること。

また、ただし書は、その例外として、労使の書面による協定により一定の範囲の労働者(①雇入れ後1年未満の労働者、②その他所定労働時間の短縮措置を講じないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者、③①及び②のほか、業務の性質又は業務の実施体制に照らして、育児のための所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者)を育児のための所定労働時間の短縮措置を講じないものとして定めることができるとしたものであること。

なお、育児のための所定労働時間の短縮措置の利用と、法第16条の8第1項の所定外労働の制限の請求とを同時に行うことは可能であること。

(2) 育児のための所定労働時間の短縮措置の適用対象者の考え方は、以下のとおりであること。

イ 「労働者」とは、基本的には法第2条第1号の「労働者」と同義であること。すなわち、日々雇用される者を除くほかは、期間を定めて雇用される者であっても、別途の要件を課すことなく、制度の対象としているものであること。

ロ 「育児休業をしていないもの」とは、現に育児休業をしている者は排除されるが、育児休業をしたことがある者であっても現に育児休業をしていない者については対象に含まれるのであること。したがって、育児休業をした後に当該育児休業に係る子について本条に基づく育児のための所定労働時間の短縮措置を受けることは可能であること。

ハ 「一日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるもの」とは、1日の所定労働時間が6時間以下の労働者をいうこと(則第72条)。

この場合、労働基準法第32条の2及び第32条の4に規定する変形労働時間制の適用される労働者については、「一日の所定労働時間が6時間以下」とはすべての労働日の所定労働時間が6時間以下であることをいい、対象期間を平均した場合の一日の所定労働時間をいうものではないこと。

ニ 「事業所の労働者」の範囲、「過半数を代表する」か否かの判断時点、「代表する者」の選出方法、「書面による協定」の記載事項、「協定」の締結単位・有効期間、「当該事業主に引き続き雇用された期間」の解釈、「一年に満たない」か否かの判断時点及び第2号に該当するか否かの判断時点については、育児休業の場合と同様であること(第2の7(3)から(10)まで参照。)。

ホ 第2号の「厚生労働省令で定めるもの」とは、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者をいうものであること(則第73条)。

ヘ 第3号の「業務の性質又は業務の実施体制に照らして、育児のための所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難と認められる業務」とは、①業務の性質に照らして当該措置を講ずることが困難と認められる業務、②業務の実施体制に照らして当該措置を講ずることが困難と認められる業務、③業務の性質及び業務の実施体制に照らして当該措置を講ずることが困難と認められる業務、をいうものであること。

「認められる」とは、客観的にみて認められることをいうものであること。

また、指針第二の九の(三)において、「業務の性質又は業務の実施体制に照らして、育児のための所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難と認められる業務」に該当しうる業務の例示を掲げたものであること。これらの業務は例示であり、これら以外は困難と認められる業務に該当しないものではなく、また、これらであれば困難と認められる業務に該当するものではないこと(指針事項)。

指針において例示されている業務であっても、既に法の内容を満たす育児のための所定労働時間の短縮措置がとられている業務については、措置を講ずることが困難と認められる業務には該当しないものであること。

また、指針において例示されている業務であっても、現に育児のための所定労働時間の短縮措置を講じている事業主もみられることから、労使の工夫によりできる限り適用対象とすることが望ましいものであること。

(イ) 指針第二の九の(三)のイ関係

「国際路線等」の「等」とは、内国長距離路線をいうものであること。

「客室乗務員等」の「等」とは、操縦士、副操縦士等をいうものであること。

(ロ) 指針第二の九の(三)のロ関係

「労働者数が少ない事業所において、当該業務に従事しうる労働者数が著しく少ない業務」とは、短縮時間分を他の労働者で代替できず、事業の運営に支障をきたす場合もあることが想定されることから、これを例示したものであること。この場合、「従事しうる労働者」とは、実際に当該業務に従事している労働者だけでなく、当該事業所に雇用されている他の労働者のうち潜在的に当該業務に従事しうる労働者を含む趣旨であること。

(ハ) 指針第二の九の(三)のハ関係

「流れ作業方式」とは、生産の設備・手段や材料・部品を生産工程順に配列し、各作業工程を分業で行い連続的に生産する方式をいうものであること。

「交替制勤務」とは、同一労働者が一定期日ごとに昼間勤務と夜間勤務とに交替につく勤務の態様をいうものであること。

「厳密に分担」とは、特定の企業や地域等について担当者が決まっており、担当者以外の者が当該企業や地域等を分担することが原則としてないことをいうものであること。なお、「厳密に分担」に該当する場合であっても、他の労働者による代替が困難でない場合には指針第二の九の(三)のハの(ハ)の業務には該当しないことは言うまでもないこと。

ト 「労働者」のうち、労働基準法第41条に規定する者(①労働基準法別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者、②監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者、③監視又は断続的労働に従事する者)及び労働基準法第41条の2第1項の規定により労働する者については、労働時間等に関する規定が適用除外されていることから、育児のための所定労働時間の短縮措置の義務の対象外であること。

このうち、労働基準法第41条第2号に定める管理監督者については、同法の解釈として、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであることとされていること。したがって、職場で「管理職」として取り扱われている者であっても、同号の管理監督者に当たらない場合には、育児のための所定労働時間の短縮措置の義務の対象となること。

また、同号の管理監督者であっても、法第23条第1項の措置とは別に、同項の育児のための所定労働時間の短縮措置に準じた制度を導入することは可能であり、こうした者の仕事と子育ての両立を図る観点からはむしろ望ましいものであること。

(3) 「労働者の申出に基づき」とは、育児のための所定労働時間を短縮する措置を受けるか否かを労働者の申出によらしめるとの意であり、短縮する時間数等まで自由に労働者の申出によらしめるものではないこと。

(4) 育児のための所定労働時間の短縮措置の考え方は、以下のとおりであること。

イ 事業主が措置を講ずべき育児のための所定労働時間の短縮措置については、厚生労働省令により、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むものとしなければならないとしたこと(則第74条)。

「原則として6時間」とは、育児のための所定労働時間の短縮措置は、1日の所定労働時間を6時間とすることを原則としつつ、通常の所定労働時間が7時間45分である事業所において短縮後の所定労働時間を5時間45分とする場合などを勘案し、短縮後の所定労働時間について、1日5時間45分から6時間までを許容する趣旨であること。

なお、例えば、1日の所定労働時間を7時間とする措置や、隔日勤務等の所定労働日数を短縮する措置など所定労働時間を短縮する措置を、1日の所定労働時間を6時間とする措置とあわせて措置することは可能であること。この場合、育児のための所定労働時間の短縮措置の対象となる労働者が、1日の所定労働時間を6時間とする措置を実質的に選択できる状態となっていることが必要であること。また、このような措置を講じた場合には、当該措置の全体が育児のための所定労働時間の短縮措置となること。

ハ 本項に関する労働者の権利は、事業主が育児のための所定労働時間の短縮措置を講じ、当該措置が労働契約の内容となってはじめて発生するものであり、本項から直接発生するものでないこと。

ニ 育児のための所定労働時間の短縮措置の適用を受けるための手続については、一義的には事業主が定めうるものであるが、適用を受けようとする労働者にとって過重な負担を求めることにならないよう配慮しつつ、育児休業申出の場合の手続も参考にしながら適切に定めることが求められるものであること。例えば、当該措置の適用を受けることを抑制し、ひいては法が当該措置を講ずることを事業主に義務付けた趣旨を実質的に失わせるものと認められるような手続を定めることは、許容されるものではないこと。

ホ 労働基準法第67条に規定する育児時間は、1歳未満の子を育てている女性労働者が請求した場合、授乳に要する時間を通常の休憩時間とは別に確保すること等のために設けられたものであり、育児時間と本項に規定する所定労働時間の短縮措置は、その趣旨及び目的が異なることから、それぞれ別に措置すべきものであること。

5 3歳に満たない子を養育する労働者に関する代替措置(法第23条第2項)

(1) 法第23条第1項第3号の規定により育児のための所定労働時間の短縮措置の対象とならない労働者は、本来、当該措置の対象となりうるところ、業務の性質や業務の実施体制を勘案して当該措置の対象外とされたものであることから、こうした労働者について、当該措置以外の労働者が就業しつつ子を養育することを容易にするための措置を講じることを事業主に義務付けたものであること。

(2) 事業主は、育児休業に関する制度に準ずる措置又は(6)のイからハまでに掲げる措置のいずれか1つを講ずれば足りるものであり、労働者の求めの都度これに応じた措置を講ずることまで義務付けられているわけではないが、可能な限り労働者の選択肢を広げるよう工夫することが望まれること。

(3) 本項に関する労働者の権利は、事業主が措置を講じ、当該措置が労働契約の内容となってはじめて発生するものであり、本項から直接発生するものでないこと。

(4) 「労働者」、「労働者の申出に基づく」の解釈は、育児のための所定労働時間の短縮措置の場合と同様であること(4(2)イ、(3)参照)。

(5) 「育児休業に関する制度に準ずる措置」とは、育児休業(第1の2(1))とは対象となる子の年齢が異なるものであり、法第5条から第10条までの規定に基づく育児休業の制度と全く同じ制度である必要はないが、本人の申出に基づくものであること及び男女が対象となることなど、考え方は共通すべきものであること。例えば、労働者に分割取得を認めるなど、請求手続や取得回数などにおいて労働者に有利な制度設計にすることについては妨げないこと。

なお、法第5条第1項に規定する要件に準じた要件を満たさない期間を定めて雇用される者を対象から除外することを排除するものではないこと。

(6) 「労働基準法第三十二条の三第一項の規定により労働させることその他の当該労働者が就業しつつ当該子を養育することを容易にするための措置」(以下「始業時刻変更等の措置」という。)とは、以下に掲げる措置をいうものであること(則第74条第2項各号)。

イ 労働基準法第32条の3第1項の規定による労働時間の制度(いわゆるフレックスタイム制)を設けること(第1号)

ロ 一日の所定労働時間を変更することなく始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度(第2号)

ハ 労働者の三歳に満たない子に係る保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与を行うこと(第3号)

(7) 始業時刻変更等の措置の適用を申し出ることができない労働者の範囲を定める労使協定を、法第6条第1項ただし書に規定する労使協定に準じて結ぶことは可能であること。

(8) 始業時刻変更等の措置については、事業所の労働者の職種等の性質にかんがみ、いくつかの労働者の集団についてそれぞれ異なる措置を設けることを排除するものではないこと。また、個々の労働者の希望に応じた内容の措置を講ずることまで当然に事業主に求めているものではないこと。

(9) 始業時刻変更等の措置の適用を受けるための手続については、育児のための所定労働時間の短縮措置の適用を受けるための手続の場合と同様であること(第4(4)ニ参照)。

(10) 則第74条第2項第2号の「始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度」とは、保育所への送迎の便宜等を考慮して通常の始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度である必要があること。

(11) 則第74条第2項第3号の「保育施設の設置運営」とは、事業主自身が行う場合及び他の事業主が行う場合を含み、後者に関しては事業主がそれに要する費用を負担する等、労働者のための積極的な行為を要するものであること。なお、保育施設については児童福祉の観点から問題があってはならないものであること。

「その他これに準ずる便宜の供与」には、労働者からの委任を受けてベビーシッターを手配し、当該ベビーシッターに係る費用を負担すること等が含まれること。

6 指針事項

(1) 指針第二の九の(一)は、労働者が法第23条第1項及び第2項の措置の適用を受けた場合の待遇について、事業主にこれに関する事項を定め、労働者に周知する措置を講ずるように配慮することを明示したものであること。

「待遇」とは、措置の適用を受ける労働者の配置、労働時間、賃金等に関する事項の意であること。

(2) 指針第二の九の(二)は、法第23条第1項及び第2項の措置は、労働者が就業しつつ子を養育することを容易にするための措置として講じられるものであることから、事業主は、当該措置を講ずるに当たっては、事業所の労働者のニーズを踏まえて設定されることが望ましいものであること。このため、例えば、始業から終業までの間に休憩時間を多くとること等によって所定労働時間を短縮することや、当該措置の適用後の所定労働時間が深夜となることは、通常望ましくないものであること。

(3) 指針第二の九の(三)については、第9の4の(2)のヘを参照すること。

7 介護のための所定労働時間の短縮等の措置(法第23条第3項)

(1) 要介護状態にある対象家族を介護する労働者にとっては、3歳に満たない子を養育する労働者と同様、休業のみならず、所定労働時間の短縮その他の就業しつつ対象家族を介護することを容易にするための措置(以下「介護のための所定労働時間の短縮等の措置」という。)も、その雇用の継続のために必要性が高い措置であると考えられることから、当該措置を講ずる義務を事業主に課し、厚生労働省令において、事業主が措置を講ずる具体的方法を規定することとしたものであること。なお、事業主が講ずべき措置は、労働契約関係が存続したまま労働者の労務提供義務が消滅する介護休業と、労務提供義務が存在することを前提に労働時間の短縮等の措置を行う介護のための所定労働時間の短縮等の措置とは両立しないため、所定労働時間の短縮等と介護休業を交互に取得することを想定し、則第74条において、「2回以上利用することができる措置」としたものであること。

また、ただし書は、その例外として、労使の書面による協定により一定の範囲の労働者(①雇入れ後1年未満の労働者、②その他所定労働時間の短縮措置を講じないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者)を介護のための所定労働時間の短縮等の措置を講じないものとして定めることができるとしたものであること。

厚生労働省令においては、次のいずれかの方法により講じなければならないものとしたこと(則第74条第3項)。

イ 希望する労働者について適用される所定労働時間の短縮の制度を設けること(第1号)。

ロ 希望する労働者について適用される労働基準法第32条の3第1項の規定による労働時間の制度(いわゆるフレックスタイム制)を設けること(第2号)。

ハ 希望する労働者について適用される始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度(所定労働時間は変更しないもの)を設けること(第2号)。

ニ 労働者がその就業中に当該労働者に代わって対象家族を介護するサービスを利用する場合、当該労働者が負担すべき費用を助成する制度その他これに準ずる制度を設けること(第3号)。

(2) 介護のための所定労働時間の短縮等の措置の適用対象者の考え方は、以下のとおりであること。

イ 「労働者」とは、基本的には法第2条第1号の「労働者」と同義であること。すなわち、日々雇用される者を除くほかは、期間を定めて雇用される者であっても、別途の要件を課すことなく、制度の対象としているものであること。

ロ 「介護休業をしていないもの」とは、現に介護休業をしている者は排除されるが、介護休業をしたことがある者であっても現に介護休業をしていない者については対象に含まれるものであること。したがって、介護休業をした後に当該介護休業に係る対象家族について本条に基づく措置を受けることは可能であること。

ハ 「事業所の労働者」の範囲、「過半数を代表する」か否かの判断時点、「代表する者」の選出方法、「書面による協定」の記載事項、「協定」の締結単位・有効期間、「当該事業主に引き続き雇用された期間」の解釈、「一年に満たない」か否かの判断時点及び第2号に該当するか否かの判断時点については、育児休業の場合と同様であること(第2の7(3)から(10)まで参照)。

ニ 第2号の「厚生労働省令で定めるもの」とは、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者をいうものであること(則第75条)。

(3) 「労働者の申出に基づく」とは、3歳に達するまでの子を養育する労働者に関する所定労働時間の短縮等の措置等の場合と同様であること(4(3)参照)。

(4) 措置が義務付けられる期間は、原則として、連続する3年の期間以上の期間であること。この期間は、当該労働者が介護のための所定労働時間の短縮等の措置の利用を開始する日として当該労働者が申し出た日から起算すること。具体的には、労働者が、平成29年3月1日に、平成29年4月1日から短時間勤務制度の利用を開始する旨を事業主に申し出た場合、当該労働者は平成32年3月31日が満了するまで当該措置を利用することができること。

なお、事業主にとって措置を講ずべき期間の最低基準が3年であるので、「3年の期間以上の期間」という規定としたものであること。

(5) 講ずべき措置の考え方は、以下のとおりであること。

イ 「その他の当該労働者が就業しつつその要介護状態にある対象家族を介護することを容易にするための措置」とは、具体的には、則第74条第3項各号に規定するいずれかの措置で、かつ、2回以上利用できるものである必要があること。ただし、第3号(費用助成)については、利用回数について特段の基準を設けていないものであること。事業主が、則第74条第3項各号の措置以外に任意に他の措置を設けることは可能であるが、その場合であっても則第74条第3項各号に規定するいずれかの措置は行う必要があるものであること。

「2回以上利用することができる措置」とした趣旨は、労働契約関係が存続したまま労働者の労務提供義務が消滅する介護休業と、労務提供義務が存在することを前提に労働時間の短縮等の措置を行う介護のための所定労働時間の短縮等の措置とは両立しないため、例えば短時間勤務制度を利用してから10か月後に2か月間の介護休業をしたために、当該短時間勤務の措置が終了した場合に、残りの2年間について短時間勤務制度を利用することができなくなることを防ぐ趣旨であること。

ロ 本条に関する労働者の権利については、3歳に達するまでの子を養育する労働者に関する育児のための所定労働時間の短縮等の措置等の場合と同様であること(4(4)ハ参照)。

ハ 則第74条第3項各号に規定する措置については、事業所の労働者の職種等にかんがみ、いくつかの労働者の集団についてそれぞれ異なる措置を設けることを排除するものではないこと。

ニ 則第74条第3項各号の「制度を設ける」とは、個々の労働者の希望に応じた内容の措置を講ずることまで当然に事業主に求めているものではないこと。

なお、これらの制度の適用を受けるための手続については、適用を受けようとする労働者にとって過重な負担を求めることにならないよう配慮しつつ、介護休業申出の場合の手続も参考にしながら適切に定めることが望ましいものであること。

ホ 則第74条第3項各号のいずれかに規定する制度がない事業所についてはいずれかの制度を構築することが必要であるが、既にいずれかの措置が本条の対象となる労働者に適用されている場合においては、当該制度を維持することで足りるものであること。

(6) 則第74条第3項第1号の「所定労働時間の短縮の制度」は、次のいずれかの内容を含むものであること。

イ 一日の所定労働時間を短縮する制度

ロ 週又は月の所定労働時間を短縮する制度

ハ 週又は月の所定労働日数を短縮する制度(隔日勤務であるとか、特定の曜日のみの勤務等の制度をいう。)

ニ 労働者が個々に勤務しない日又は時間を請求することを認める制度

(7) 所定労働時間の短縮の制度を設けるに当たっては、以下の点に留意すること。

イ 要介護状態にある対象家族を介護する場合は、指針第二の十の内容にも照らし、その事業所における通常の所定労働時間が8時間の場合は2時間以上、7時間の場合は1時間以上の短縮となるような所定労働時間の短縮の制度を設けることが望ましいと考えられること。したがって、法第23条第3項の措置として所定労働時間の短縮の制度を設ける場合においては、所定労働時間が1日6時間以下の労働者については、当該制度を適用する必要はなく、また、法第23条第3項の措置としての他の制度等を適用することも基本的には必要ないものであること。

ロ 所定労働時間の短縮の制度の適用を受ける労働者の賃金については、通常の所定労働時間勤務した場合の賃金との整合性を考慮しつつ、労使の話合いの上、適正に定められるべきものであること。

(8) 則第74条第3項第2号の「始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度」とは、所定労働時間の短縮の制度を設ける場合との均衡等を考慮して通常の始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度である必要があること。

(9) 則第74条第3項第3号の「介護するサービス」とは、介護サービス事業者、公的介護保険外のサービスを提供する事業者、障害福祉サービス事業者等が提供するサービスであって、要介護状態にある家族の介護に資するサービスをいい、介護情報の提供等そのサービスを利用することによっても当然には当該労働者がその対象家族を介護する必要性がなくならないものは含まれないものであること。

なお、費用助成の内容としては、労働者の所定労働日1日当たり2時間について、介護保険の利用限度額を超えるサービスとして、例えば訪問介護サービス等を利用する場合や、公的介護保険の給付の対象とならないサービスとして、例えば家政婦(夫)による生活援助のサービス等を利用する場合に、少なくともその料金の5割に相当する額程度以上の助成額となることが望ましいものであること。

助成方法としては、週一括、月一括とするなど適宜の方法によれば足りるものであるが、見舞金など現実の介護サービスの利用の有無に関わりなく少額の一時金を支給する制度は、則第74条第3項第3号の制度に該当しないものであること。

(10) 則第74条第3項第3号の「これに準ずる制度」には、事業主が介護サービス事業者とあらかじめ契約しておいて労働者の求めに応じて介護サービスを手配しその費用を負担する制度、介護サービスを提供する施設の設置運営の制度などがこれに当たるものであること。介護サービスを提供する施設の設置運営については、事業主自身が行う場合及び他の事業主が行う場合を含み、後者に関しては事業主がそれに要する費用を負担する等、労働者のための積極的な行為を要するものであること。

なお、介護サービスを提供する施設については要介護状態にある者の福祉の観点から問題があってはならないものであること。

8 不利益取扱いの禁止(法第23条の2)

(1) 法第23条に規定する事業主の措置の適用を受けることを保障するため、労働者が同条の規定による申出をし、又は同条の規定により当該労働者に措置が講じられたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることが禁止されることを明示したものであること。

(2) 「解雇その他不利益な取扱い」に該当する法律行為が行われた場合における効果及び指針事項に係る解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の23(2)から(5)参照)。

9 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者等に関する措置(法第24条第1項)

(1) 子が小学校就学の始期に達するまでの時期は、子の養育についてかなり親自身が時間と労力を費やす必要のある時期であると考えられることから、そのような時期に子を養育する労働者の雇用の継続のため、法に定める制度又は措置に準じて、必要な措置を講ずるよう事業主に努力義務を課したものであること。

(2) 「労働者」の解釈については、3歳に達するまでの子を養育する労働者に関する所定労働時間の短縮措置の場合と同様であること(4(2)イ参照)。

(3) 「小学校就学の始期に達するまで」の解釈については、子の看護休暇の場合と同様であること(第4の1(2)参照)。

(4) 「労働者の申出に基づく育児に関する目的のために利用することができる休暇(以下「育児目的休暇」という。)」の内容は以下のとおりであること。

イ 指針第二の十二の(一)は育児目的休暇の例を挙げたものであること。これらの例は、企業の規模や職場の状況に応じ、適切と考える措置を事業主が講じられるよう具体例を示してあるものであり、これらに限られるものではないこと。

ロ 「休暇」の解釈については、子の看護休暇の場合と同様であること(第4の1(9)参照)。

ハ 指針第二の十二の(一)ロの行事には両親学級、遠足等様々なものが想定され、各企業の実情に応じた整備が望ましいこと。

また、「いわゆる失効年次有給休暇の積立による休暇制度の一環として措置する」場合は、育児を目的とするものであることが明らかにされている必要があることに留意すること。

(5) 「・・・に準じて、それぞれ必要な措置」とは、法に定める制度又は措置と全く同じ措置である必要はないが、本人の申出に基づくものであること及び男女が対象となることなど、考え方は共通すべきものであること。例えば、労働者に分割取得や複数回の適用を認めるなど、請求手続や取得回数などにおいて労働者に有利な制度設計にすることについては妨げないこと。

また、「必要な措置を講ずる」とは、育児休業に関する制度や育児のための所定労働時間の短縮措置等に準じた必要な措置を定め、その労働者が希望した場合に適用を受けることができるようにするとの意であること。

(6) 「育児休業をしていないもの」とは、育児のための所定労働時間の短縮措置の場合と同様であること(4(2)ロ参照)。

(7) これらの措置の適用を受けるかどうかは、労働者の選択に任せられるべきものであること(指針第二の十二の(二))。

10 家族を介護する労働者に関する措置(法第24条第2項)

(1) 家族の介護を必要とする期間、回数等は様々であることから、家族を介護する労働者の雇用の継続のため、要介護状態にある対象家族を介護する労働者に係る介護休業の制度、介護休暇の制度又は介護のための所定労働時間の短縮等の措置に準じ、その介護を必要とする期間、回数等に配慮した必要な措置を講ずるよう事業主に努力義務を課したものであること。

(2) 「労働者」の解釈については、介護休業をしない場合の介護のための所定労働時間の短縮等の措置の場合と同様であること(7(2)イ参照)。

(3) 「その介護を必要とする期間、回数等に配慮した」とは、当該労働者による介護を必要とする期間、回数、家族の範囲、家族の状態など様々な事項に配慮する必要があることをいうものであること。

具体的には、指針で定めているものであること((5)参照)。

(4) 「・・・に準じて必要な措置」とは、法第11条から第16条までの規定に基づく介護休業の制度、法第16条の5から第16条の7までの規定に基づく介護休暇の制度又は法第23条第3項に基づく介護のための所定労働時間の短縮等の措置と全く同じ制度である必要はないが、本人の申出に基づくものであること及び男女が対象となることなど、考え方は共通すべきものであること。例えば、介護休業の期間を93日を超えて認めるなど、請求手続や取得回数などにおいて労働者に有利な制度設計にすることについては妨げないこと。

また、「必要な措置を講ずる」とは、介護休業の制度や介護休暇の制度、介護のための所定労働時間の短縮等の措置に準じた必要な措置を定め、その労働者が希望した場合に適用を受けることができるようにするとの意であること。

(5) 指針第二の十三の(二)により、次の事項に留意しつつ、企業の雇用管理等に伴う負担との調和を勘案し、必要な措置が講じられることが望ましいものであることに配慮することが事業主に求められるものであること。

イ 当該労働者が介護する家族の発症からその症状が安定期になるまでの期間又は介護に係る施設・在宅サービスを利用することができるまでの期間が93日を超える場合があること(指針第二の十三の(二)のイ)。

ロ 対象家族についての介護休業日数が93日に達した後にも、同一の対象家族について再び当該労働者による介護を必要とする状態となる場合があること(指針第二の十三の(二)のロ)。

ハ 対象家族以外の家族についても、他に近親の家族がいない場合等当該労働者が介護をする必要性が高い場合があること(指針第二の十三の(二)のハ)。

ニ 要介護状態にない家族を介護する労働者であっても、その家族の介護のため就業が困難となる場合があること(指針第二の十三の(二)のニ)。

ホ 当該労働者が家族を介護する必要性の程度が変化することに対応し、介護休業のさらなる分割等、制度の弾力的な利用が可能となることが望まれる場合があること(指針第二の十三の(二)のホ)。

11 職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等並びに国、事業主及び労働者の責務(法第25条及び第25条の2)

(1) 職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等

イ 事業主による育児休業等の取得等を理由とする不利益取扱いについては、法第10条、第16条、第16条の4、第16条の7、第16条の10、第18条の2、第20条の2及び第23条の2により禁止されているところであるが、近年、事業主による不利益取扱いのみならず、上司又は同僚による育児休業等に関する言動により当該労働者の就業環境が害されること(以下「職場における育児休業等に関するハラスメント」という。)も見られるようになってきたところである。

こうしたことから、法第25条第1項は、職場における育児休業等に関するハラスメントを防止するため、その雇用する労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講ずることを事業主に義務付けることとしたものであること。

ロ 法第25条第2項は、労働者が事業主から不利益な取扱いを受けることを懸念して、職場における育児休業等に関するハラスメントに関する相談や事業主の相談対応に協力して事実を述べることを躊躇することがないよう、事業主がこれらを理由として解雇その他不利益な取扱いを行うことを禁止することとしたものであること。

「理由として」とは、労働者が育児休業等に関するハラスメントに関する相談を行ったことや事業主の相談対応に協力して事実を述べたことが、事業主が当該労働者に対して不利益な取扱いを行うことと因果関係があることをいうものであること。

「不利益な取扱い」となる行為の例については、指針第二の十一(二)及び第二の十六(二)及び(三)に掲げるものと同様であること。また、個別の取扱いが不利益な取扱いに該当するか否かについての勘案事項については、指針第二の十一(三)及び第二の十六(四)に掲げる事項に準じて判断すべきものであること。

なお、当該言動を直接受けた労働者だけでなく、それを把握した周囲の労働者からの相談を理由とする解雇その他不利益な取扱いについても、法第25条第2項の規定による禁止の対象に含まれること。

(2) 職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する国、事業主及び労働者の責務

職場における育児休業等に関するハラスメントを防止するためには、職場における育児休業等に関するハラスメントを行ってはならないことやこれに起因する問題について、事業主だけでなく、国民一般が関心と理解を深め、実際に行為者となり得る事業主や労働者が自らの言動に注意を払うこと等が必要である。このため、法第25条の2は、国、事業主及び労働者がそのために行うよう努めるべき事項について、各々の責務として明確に規定することとしたものであること。

(3) 指針は、事業主が防止のため適切かつ有効な雇用管理上の措置等を講ずることができるようにするため、防止の対象とするべき職場における育児休業等に関するハラスメントの内容や事業主が雇用管理上措置すべき事項等を定めたものであること。

イ 職場における育児休業等に関するハラスメントの内容

指針第二の十四の(一)のイ「職場における育児休業等に関するハラスメントの内容」においては、事業主が、雇用管理上防止すべき対象としての職場における育児休業等に関するハラスメントの内容を明らかにするために、その概念の内容を示すとともに、典型例を挙げたものであること。

また、実際上、職場における育児休業等に関するハラスメントの状況は多様であり、その判断に当たっては、個別の状況を斟酌する必要があることに留意すること。

なお、法及び指針は、あくまで職場における育児休業等に関するハラスメントが発生しないよう防止することを目的とするものであり、個々のケースが厳密に職場における育児休業等に関するハラスメントに該当するか否かを問題とするものではないので、この点に注意すること。

① 職場

指針第二の十四の(一)のロは「職場」の内容と例示を示したものであること。「職場」には、業務を遂行する場所であれば、通常就業している場所以外の場所であっても、出張先、業務で使用する車中及び取引先との打ち合わせ場所等も含まれるものであること。

なお、勤務時間外の「懇親の場」、社員寮や通勤中等であっても、実質上職務の延長と考えられるものは職場に該当する。その判断に当たっては、職務との関連性、参加者、参加や対応が強制的か任意か等を考慮して個別に行うものであること。

② 労働者

指針第二の十四の(一)のハにあるとおり、「労働者」とは、事業主が雇用する労働者の全てをいい、正規雇用労働者のみならず、いわゆる非正規雇用労働者も含むものであること。派遣労働者については、労働者派遣法第47条の3の規定により、派遣先も派遣労働者を雇用する事業主とみなされるものであり、同条の詳細については、平成28年8月2日付け雇児発0802第2号「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第47条の2から第47条の4までの規定の運用について」が発出されているものであること。

③ その雇用する労働者に対する制度等の利用に関する言動により就業環境が害されるもの

指針第二の十四の(一)のニは「その雇用する労働者に対する制度の利用に関する言動により就業環境が害されるもの」の内容を示したものであること。なお、指針に掲げる「その雇用する労働者に対する制度の利用に関する言動により就業環境が害されるもの」の典型的な例は限定列挙ではないこと。

「その雇用する労働者に対する制度等の利用に関する言動により就業環境が害されるもの」については、労働者が指針第二の十四の(一)のニの(イ)に規定する制度等の利用の申出等をしようとしたこと、制度等の利用の申出等をしたこと又は制度等の利用をしたことと、行為との間に因果関係あるものを指すこと。

「解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの」とは、労働者への直接的な言動である場合に該当すると考えられること。なお、解雇その他不利益な取扱いを示唆するものについては、上司でなければ該当しないと考えられるが、1回の言動でも該当すると考えられること。

「制度等の利用の申出等又は制度等の利用を阻害するもの」とは、単に言動があるのみでは該当せず、客観的にみて、一般的な労働者であれば、制度等の利用をあきらめざるを得ない状況になるような言動を指すものであること。これは、労働者への直接的な言動である場合に該当すると考えられること。また、上司の言動については、1回でも該当すると考えられる一方、同僚の言動については、繰り返し又は継続的なもの(意に反することを言動を行う者に明示しているにもかかわらず、さらに行われる言動を含む。)が該当すると考えられること。

「労働者の事情やキャリアを考慮して、早期の職場復帰を促すこと」として、労働者のキャリア等を考慮して、早期の職場復帰を助言するような場合等が考えられること。ただし、このような場合であっても職場復帰の時期は労働者の選択に任せられるべきものであること。また、早期の職場復帰を強要し、育児休業の取得を阻害するような場合は、法第25条に違反するものであること。

なお、労働者が制度等の利用の申出等をしたところ、上司が個人的に請求等を取り下げるよう言う場合については、職場における育児休業等に関するハラスメントに該当し、指針に基づく対応が求められる。一方、単に上司が個人的に申出等を取り下げるよう言うのではなく、事業主として申出等を取り下げさせる(制度等の利用を認めない)場合については、そもそも制度等の利用ができる旨を規定した各法(例えば育児休業の利用であれば法第6条第1項)に違反することとなること。

「制度等の利用をしたことにより嫌がらせ等をするもの」とは、単に言動があるのみでは該当せず、客観的にみて、一般的な労働者であれば、「能力の発揮や継続就業に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じるようなもの」を指すものであること。これは、労働者への直接的な言動である場合に該当すると考えられること。また、上司と同僚のいずれの場合であっても繰り返し又は継続的なもの(意に反することを言動を行う者に明示しているにもかかわらず、さらに行われる言動を含む。)が該当すると考えられること。

ロ 事業主等の責務

指針第二の十四の(二)は、法第25条の2の事業主及び労働者の責務の内容や職場における育児休業等に関するハラスメントに起因する問題の例を示したものであること。

ハ 雇用管理上講ずべき事項

指針第二の十四の(三)は、事業主が雇用管理上講ずべき措置として11項目挙げており、これらについては、企業の規模や職場の状況の如何を問わず必ず講じなければならないものであること。

また、措置の方法については、企業の規模や職場の状況に応じ、適切と考える措置を事業主が選択できるよう具体例を示してあるものであり、限定列挙ではないこと。

① 「事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発」

指針第二の十四の(三)のイは、職場における育児休業等に関するハラスメントを防止するためには、まず事業主の方針として職場における育児休業等に関するハラスメントを行ってはならないことを明確にするとともに、これを労働者に周知・啓発しなければならないことを明らかにしたものであること。

「その発生の原因や背景」とは、例えば、制度等の利用に不寛容な職場風土が挙げられるものであり、具体的には、育児休業等に関する否定的な言動(他の労働者の制度等の利用の否定につながる言動(当該労働者に直接行わない言動も含む。)をいい、単なる自らの意思の表明を除く。以下同じ。)も考えられること、また、制度等の利用ができることを職場において十分に周知できていないことが考えられることを明らかにしたものであり、事業主に対して留意すべき事項を示したものであること。

(イ)①並びに(ロ)①及び②の「その他の職場における服務規律等を定めた文書」として、従業員心得や必携、行動マニュアル等、就業規則の本則ではないが就業規則の一部を成すものが考えられること。

(イ)③の「研修、講習等」を実施する場合には、定期的に実施する、調査を行う等職場の実態を踏まえて実施する、管理職層を中心に職階別に分けて実施する等の方法が効果的と考えられること。

② 「相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」

指針第二の十四の(三)のロは、職場における育児休業等に関するハラスメントの未然防止及び再発防止の観点から相談(苦情を含む。以下同じ。)への対応のための窓口を明確にするとともに、相談の対応に当たっては、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応するために必要な体制を整備しなければならないことを明らかにしたものであること。

指針第二の十四の(三)のロの(イ)の「窓口をあらかじめ定め、労働者に周知する」とは、窓口を形式的に設けるだけでは足らず、実質的な対応が可能な窓口が設けられていることをいうものであり、併せて労働者に対して窓口を周知し、労働者が利用しやすい体制を整備しておくことが必要であること。例えば、労働者に対して窓口の部署又は担当者を周知していることなどが考えられること。

指針第二の十四の(三)のロの(ロ)の「その内容や状況に応じ適切に対応する」とは、具体的には、相談者や行為者に対して、一律に何らかの対応をするのではなく、労働者が受けている言動等の性格・態様によって、状況を注意深く見守る程度のものから、上司、同僚等を通じ、行為者に対し間接的に注意を促すもの、直接注意を促すもの等事案に即した対応を行うことを意味するものであること。

なお、対応に当たっては、公正な立場に立って、真摯に対応すべきことは言うまでもないこと。

指針第二の十四の(三)のロの(ロ)の「相談者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも配慮」することには、相談者が相談窓口の担当者の言動等によってさらに被害を受けること等(いわゆる「二次被害」)を防ぐための配慮も含まれること。

指針第二の十四の(三)のロの(ロ)の「広く相談に対応し」とは、職場における育児休業等に関するハラスメントを未然に防止する観点から、相談の対象として、職場における育児休業等に関するハラスメントそのものでなくともその発生のおそれがある場合や育児休業等に関するハラスメントに該当するか否か微妙な場合も幅広く含めることを意味するものであること。例えば、指針第二の十四の(三)のロの(ロ)で掲げる、放置すれば相談者が業務に専念できないなど就業環境を害するおそれがある場合又は育児休業等に関する否定的な言動が原因や背景となって育児休業等に関するハラスメントが生じるおそれがある場合のほか、休憩時間等において育児休業等に関するハラスメントが生じた場合、育児休業等に関するハラスメントが取引先等から行われる場合等も幅広く相談の対象とすることが必要であること。

また、当該言動を把握した周囲の労働者からの相談にも応じることが必要であること。

指針第二の十四の(三)のロの(ロ)②の「留意点」や③の「研修」の内容には、いわゆる二次被害を防止するために必要な事項も含まれるものであること。

③ 「職場における育児休業等に関するハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応」

指針第二の十四の(三)のハは、職場における育児休業等に関するハラスメントが発生した場合は、その事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認するとともに、当該事案に適正に対処しなければならないことを明らかにしたものであること。

指針第二の十四の(三)のハの(イ)①の「相談者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも適切に配慮する」に当たっては、相談者が行為者に対して迎合的な言動を行っていたとしても、その事実が必ずしも育児休業等に関するハラスメントを受けたことを単純に否定する理由にはならないことに留意すること。

指針第二の十四の(三)のハの(ロ)の「被害を受けた労働者に対する配慮のための措置を適正に行うこと」には、職場における育児休業等に関するハラスメントを受けた労働者の継続就業が困難にならないよう環境を整備することや、労働者が職場における育児休業等に関するハラスメントにより休業を余儀なくされた場合等であって当該労働者が希望するときには、本人の状態に応じ、原職又は原職相当職への復帰ができるよう積極的な支援を行うことなども含まれること。

指針第二の十四の(三)のハの(ロ)①の「事業場内産業保健スタッフ等」とは、事業場内産業保健スタッフ及び事業場内の心の健康づくり専門スタッフ、人事労務管理スタッフ等をいうものであること。

④ 「育児休業等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置」

指針第二の十四の(三)のニの(イ)は、育児休業等した労働者の業務の分担等を行う他の労働者の業務負担が過大となり、育児休業等に関する否定的な言動が行われる場合があるため、それらを解消するための措置について定めたものであること。なお、「業務体制の整備など」には、代替要員の確保などについても含まれるものであること。

⑤ 併せて講ずべき措置

指針第二の十四の(三)のホは、事業主がイからニまでの措置を講ずるに際して併せて講ずべき措置を明らかにしたものであること。

指針第二の十四の(三)のホの(イ)は、労働者の個人情報については、「個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)」及び「雇用管理に関する個人情報保護に関するガイドライン(平成24年厚生労働省告示第357号)」に基づき、適切に取り扱うことが必要であるが、職場における育児休業等に関するハラスメントの事案に係る個人情報は、特に個人のプライバシーを保護する必要がある事項であることから、事業主は、その保護のために必要な措置を講じるとともに、その旨を労働者に周知することにより、労働者が安心して相談できるようにしたものであること。

指針第二の十四の(三)のホの(ロ)は、労働者が職場における育児休業等に関するハラスメントに関し相談をしたこと等を理由とする解雇その他不利益な取扱いは、法律上禁止されているものも含まれるが、より労働者が実質的に相談等を行いやすくなるよう、企業内でもそのことを改めて定めて、労働者に周知・啓発することとしたものであること。

また、上記については、事業主の方針の周知・啓発の際や相談窓口の設置に併せて、周知することが望ましいものであること。

ニ 職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関し行うことが望ましい取組の内容

指針第二の十四の(四)は、職場における育児休業等に関するハラスメントを防止するため、事業主が指針第二の十四の(三)の措置に加えて行うことが望ましい取組の内容を示したものであること。

① 指針第二の十四の(四)のイについては、近年、様々なハラスメントが複合的に生じているとの指摘もあり、労働者にとっては一つの窓口で相談できる方が利便性が高く、また解決にもつながりやすいと考えられることから、相談について一元的に受け付けることのできる体制を整備することが望ましいことを示したものであること。

② 指針第二の十四の(四)のロは、職場における育児休業等に関するハラスメントの原因や背景には、制度等の利用ができることを労働者自身が認識できていない場合があることや、制度等の利用に際しては利用前と同様の業務遂行が難しくなることもあり、周囲の労働者とのコミュニケーションがより一層重要となることについて労働者自身が意識を持っていない場合があることから、周知・啓発等について望ましい旨を定めたものであること。

③ 指針第二の十四の(四)のハについては、雇用管理上の措置が職場における育児休業等に関するハラスメントの防止のために適切かつ有効なものとなるよう、労働者や労働組合等の参画を得つつ、その運用の的確な把握や必要な見直しの検討等に努めることの重要性やその方法の例を示したものであること。

12 労働者の配置に関する配慮(法第26条)

(1) 子の養育や家族の介護を行っている労働者にとって、住居の移転等を伴う就業の場所の変更が、雇用の継続を困難にしたり、職業生活と家庭生活との両立に関する負担を著しく大きくする場合があることから、労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況について配慮することを事業主に義務づけるものであること。

(2) 「配置の変更で就業の場所の変更を伴うもの」とは、例えば、ある地方の事業所から別の事業所への配置転換など、場所的に離れた就業の場所への配置の変更をいうものであり、同一事業所内で別の業務に配置換えすることは含まれないものであること。

(3) 「子」及び「養育」の解釈は、育児休業の場合と同様であること(第1の2(1)ハニ参照)。なお、「子」に「小学校就学の始期に達するまで」といった限定が付いていない以上、小学生や中学生の子も含まれるのは当然であること。

(4) 子の養育又は家族の介護を行うことが「困難となることとなる」とは、転勤命令の検討をする際等において、配置の変更後に労働者が行う子の養育や家族の介護に係る状況、具体的には、配置の変更後における通勤の負担、当該労働者の配偶者等の家族の状況、配置の変更後の就業の場所近辺における育児サービスの状況等の諸般の事情を総合的に勘案し、個別具体的に判断すべきものであること。

(5) 「配慮」とは、労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものの対象となる労働者について子の養育又は家族の介護を行うことが困難とならないよう意を用いることをいい、配置の変更をしないといった配置そのものについての結果や労働者の育児や介護の負担を軽減するための積極的な措置を講ずることを事業主に求めるものではないこと。

(6) 指針第二の十五は、「配慮」の内容として、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況を把握すること、労働者本人の意向をしんしゃくすること、配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをした場合の子の養育又は家族の介護の代替手段の有無の確認を行うことを例示しているものであること。

13 再雇用特別措置等(法第27条)

(1) 妊娠、出産若しくは育児又は介護を理由として退職した者(以下「育児等退職者」という。)が、それらの理由がなくなったときに再び雇用されることを希望する場合、同一企業において再び雇用されることが、かつての経験を生かすことができ、労働者にとっても企業にとっても好ましいことから、事業主は、再雇用特別措置(育児等退職者であって、その退職の際に、その就業が可能となったときに再び雇用されることの希望を有する旨の申出をしていたものについて、当該事業主が、労働者の募集又は採用に当たって特別の配慮をする措置をいう。)その他これに準ずる措置を実施するように努めなければならないこととしたものであること。

なお、このような再雇用特別措置等も、「職業生活の全期間を通じて・・・充実した職業生活を営む・・・ことができるようにすること」(法第3条第1項)に含まれるものであること(第1の3(1)参照)。

(2) 「その他これに準ずる措置」とは、資本、資金、人事、取引等の状況からみて密接な関係にある事業主の事業所を退職した育児等退職者についても再雇用の対象とするなど、措置の対象を拡げる内容のものをいうものであること。

14 指針(法第28条)

法に定める事項に関し、子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置について、それらが事業主により適切かつ有効に実施されるようにすることを目的として、厚生労働大臣が指針を定め、公表することとしたものであること。

15 職業家庭両立推進者(法第29条)

(1) 法に基づき事業主が講ずべき措置等を円滑に実施するとともに、職場における固定的な性別役割分担意識の解消や職場優先の企業風土の是正を図るには、各企業において仕事と家庭の両立のための取組に係る実施体制を明確化することが必要であることから、事業主に対し、

① 法第21条、第22条、第23条第1項から第3項まで、第24条、第25条第1項、第25条の2第2項、第26条及び第27条に定める措置の適切かつ有効な実施を図るための業務

② 子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするため講ずべきその他の措置の適切かつ有効な実施を図るための業務

を担当する者(以下「職業家庭両立推進者」という。)を選任する努力義務を課し、企業における職業生活と家庭生活との両立支援の取組に係る実施体制を整備させることとしたものであること。

(2) 「第21条、第22条、第23条第1項から第3項まで、第24条、第25条第1項、第25条の2第2項、第26条及び第27条に定める措置の適切かつ有効な実施を図るための業務」とは、育児休業等に関する就業規則等の作成、周知等(法第21条)、配置その他の雇用管理、育児休業等をしている労働者の職業能力の開発等に関する措置の企画立案、周知等の運用(法第22条)、所定労働時間の短縮等の措置の企画立案、周知等の運用(法第23条及び第24条)、職場における育児休業等に関するハラスメントの防止のための措置や配慮について関係法令の遵守のために必要な措置等の実施(第25条第1項、第25条の2第2項)、就業の場所の変更を伴う配置の変更をしようとする際の労働者に対する各種配慮の実施(法第26条)及び再雇用特別措置の企画立案、周知等の運用(法第27条)に係る業務をいうものであること。

(3) 「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために講ずべきその他の措置の適切かつ有効な実施を図るための業務」とは、(1)①の業務以外の職場において職業生活と家庭生活との両立や男性の育児等への参画が重要であることについて広報活動などの職場の雰囲気作りを行うことを始めとする労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な一切の業務をいうものであること。

(4) 職業家庭両立推進者は、(1)①及び②の業務を遂行するために必要な知識及び経験を有していると認められる者のうちから選任することとしたこと(則第77条)。

具体的には、上記の業務を自己の判断に基づき責任をもって行える地位にある者を、1企業につき1人、自主的に選任させることとすること。

 

第10 国等による援助(法第10章第1節)

子の養育又は家族の介護に関して、労働者の職業生活と家庭生活との両立を図るためには、法第2章から第9章までに規定する育児休業及び介護休業の制度、子の看護休暇の制度、時間外労働の制限の制度、深夜業の制限の制度、所定労働時間の短縮措置等、介護休暇の制度、所定外労働の制限の制度等、事業主に対する努力義務を含めた義務付けの制度のみによっては十分とはいえず、国及び地方公共団体による事業主、子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者(以下「対象労働者」という。)、育児等退職者その他に対する強力な援助が必要であり、そのため、法第10章においては、対象労働者等の職業生活と家庭生活との両立を図るための環境整備の事業を体系的・総合的に構築することが重要であるとの考えに基づき、国又は地方公共団体が、以下の支援措置を行うこととしたものであること。

1 事業主等に対する援助(法第30条)

(1) 国は、事業主等に対する援助として、対象労働者及び育児等退職者(以下「対象労働者等」という。)の雇用の継続、再就職の促進その他これらの者の福祉の増進を図るため、事業主、事業主の団体その他の関係者に対して、対象労働者の雇用される事業所における雇用管理、再雇用特別措置その他の措置についての相談及び助言、給付金の支給その他の必要な援助を行うことができることとしたものであること。

(2) 「その他の関係者」には、対象労働者等の福祉の増進を目的とする事業を行う団体を含むものであること。

(3) 「その他の措置」には、再雇用特別措置に準ずる措置を含むものであること。

(4) 「相談及び助言」には、都道府県労働局で行うものを含むものであること。

(5) 「給付金」とは、雇用保険法施行規則(昭和50年労働省令第3号)第116条の両立支援等助成金をいうものであること。

(6) 「その他の必要な援助」には、都道府県労働局において行う両立推進者講習会及び両立推進者研修会のほか、情報提供が含まれるものであること。

2 対象労働者等に対する相談、講習等(法第31条)

(1) 国は、対象労働者に対して、その職業生活と家庭生活との両立の促進等に資するため、必要な指導、相談、講習その他の措置を講ずるものとしたこと。

また、地方公共団体は、国が講ずる措置に準じた措置を講ずるように努めなければならないこととしたこと。

(2) 第1項の「職業生活と家庭生活との両立の促進等に資する」の「等」には、休養及びレクリエーションを含むものであること。

(3) 第1項の「指導、相談、講習その他の措置」には、都道府県労働局で行うものを含むものであること。

「その他の措置」には情報提供が含まれるものであること。

(4) 国は、対象労働者等の雇用の継続、再就職の促進等に資するため、全国共通して行う必要がある事業を行うものであるのに対して、地方公共団体は、住民福祉の一環として、地域の実情に応じた事業を行うものであること。例えば、地方公共団体が必要に応じ設置するように努めることとされている法第34条の勤労者家庭支援施設、勤労福祉会館等労働福祉施設、公民館等における相談、講習があるものであること。

3 再就職の援助(法第32条)

(1) 育児等退職者にとって、再び雇用の機会が与えられるようになることは極めて重要な問題であるため、国は、その希望するときに再び雇用の機会が与えられるようにするため、職業指導、職業紹介、職業能力の再開発の措置その他の措置が効果的に関連して実施されるよう配慮するとともに、育児等退職者の円滑な再就職を図るため必要な援助を行うものとしたものであること。

4 職業生活と家庭生活との両立に関する理解を深めるための措置(法第33条)

(1) 我が国の企業においては、男女の固定的な性別役割分担意識や職場優先の企業風土から、育児休業の取得や子育てをしながら働き続けることに対して、事業主だけでなく上司、同僚も含めた職場の理解が不足しており、このことも仕事と子育ての両立の負担感を重くしているという状況にかんがみ、国は、対象労働者等の職業生活と家庭生活との両立を妨げている職場における慣行その他の諸要因の解消を図るため、対象労働者等の職業生活と家庭生活との両立に関し、事業主、労働者その他国民一般の理解を深めるために必要な広報活動その他の措置を講ずることとしたこと。

(2) 「対象労働者等の職業生活と家庭生活との両立を妨げている職場における慣行その他の諸要因」としては、男は仕事、女は家事・育児という固定的な性別役割分担意識や家庭責任のほとんどすべてを配偶者に任せる働き方を求めるような職場優先の企業風土が含まれるものであること。

(3) 「広報活動その他の措置」の内容としては、職業生活と家庭生活との両立に関する事業主、労働者その他国民一般の理解を深めるために行う、男性の育児休業取得促進をはじめとする職業生活と家庭生活との両立に関するシンポジウムやセミナーの開催、職業生活と家庭生活との両立支援に関して他の模範となる取り組みを推進している企業の表彰、事業主その他の関係者に対する意識啓発等が含まれるものであること。

5 勤労者家庭支援施設(法第34条及び第35条)

(1) 法第34条は、必要に応じ勤労者家庭支援施設を設置する努力義務を地方公共団体に課するとともに、勤労者家庭支援施設が対象労働者等の福祉に関する事業を総合的に行うことを目的とする施設であることを明らかにしたものであること。また、厚生労働大臣はその設置及び運営についての望ましい基準を定めるとともに、国は、地方公共団体に対し、勤労者家庭支援施設の設置及び運営に関し必要な助言、指導その他の援助を行うことができるものとしたこと(勤労者家庭支援施設の設置及び運営についての望ましい基準(平成7年労働省告示第109号))。

(2) 法第35条は、勤労者家庭支援施設には、対象労働者等に対する相談及び指導の業務を担当する「勤労者家庭支援施設指導員」を置くように努めなければならないこととし、また、その資格については、厚生労働大臣が定めることとしたものであること(勤労者家庭支援施設指導員の資格(平成7年労働省告示第110号))。

(3) 働く婦人の家との関係については、以下の点に留意すること。

イ 育児休業等に関する法律の一部を改正する法律(平成7年法律第107号。以下「平成7年改正法」という。)による削除(平成7年10月1日)前の旧男女雇用機会均等法第30条及び第31条に規定していた「働く婦人の家」は、女性労働者の福祉に関する事業を総合的に行うことを目的とする施設であったが、改正後は地方公共団体として必要に応じ設置すべき努力義務の対象としては勤労者家庭支援施設とすることとし、旧男女雇用機会均等法第30条及び第31条の規定は削除することとしたものであること(平成7年改正法附則第8条)。

ロ 平成7年改正法の施行の際、現に設置されている働く婦人の家に関しては、削除された旧男女雇用機会均等法第30条及び第31条の規定はなお効力を有するものとしたこと(平成7年改正法附則第9条第1項)。

ハ 平成7年改正法の施行の際、現に設置されている働く婦人の家に関し、当該働く婦人の家を設置している地方公共団体が当該働く婦人の家を勤労者家庭支援施設に変更したい旨の申出を厚生労働大臣に行い、厚生労働大臣が当該申出を承認した場合には、当該承認の日において、当該働く婦人の家は、勤労者家庭支援施設になるものとしたこと(平成7年改正法附則第9条第2項及び第3項)。

 

第11 紛争の解決(法第11章第1節)

1 苦情の自主的解決(法第52条の2)

(1) 事業主の雇用管理に関する労働者の苦情や労使間の紛争は、本来労使間で自主的に解決することが望ましいことから、事業主は、法第2章から第8章まで、第23条、第23条の2及び第26条に定める事項に関し、労働者から苦情の申出を受けたときは、労使により構成される苦情処理機関に苦情の処理をゆだねる等その自主的な解決を図るように努めなければならないこととしたものであること。

(2) 事業主による苦情の自主的な解決を図るための方法としては、法第52条の2の苦情処理機関に苦情の処理をゆだねることによるほか、人事担当者による相談や、職業家庭両立推進者が選任されている事業所においてはこれを活用する等労働者の苦情を解決するために有効である措置が考えられるところであり、「苦情の処理をゆだねる等」の「等」にはこれらの措置が含まれるものであること。その在り方等はそれぞれの事業所の実情に応じて適切に設定されるものであること。

(3) 苦情処理機関等事業所内における苦情の自主的解決のための仕組みについては、労働者に対して周知を図ることが望まれるものであること。

(4) 法では、労働者と事業主との間の個別紛争の解決を図るため、本条のほか、法第52条の4において都道府県労働局長による紛争解決の援助を定め、また法第52条の5においては紛争調整委員会(以下「委員会」という。)による調停を定めているが、これらはそれぞれ紛争の解決のための独立した手段であり、本条による自主的解決の努力は、都道府県労働局長の紛争解決の援助や委員会による調停の開始の要件とされているものではないこと。

2 紛争の解決の促進に関する特例(法第52条の3)

(1) 法第2章から第8章まで、第23条、第23条の2、第25条及び第26条に定める事項に係る事業主の一定の措置についての労働者と事業主との間の個別具体的な私法上の紛争(以下「育児休業等に係る紛争」という。)については、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成13年法律第112号)第4条の規定は適用せず、法第52条の4の規定によるものとしたものであること。

(2) 「紛争」とは、育児休業等に係る取扱いに関して労働者と事業主との間で主張が一致せず、対立している状態をいうものであること。

3 紛争の解決の援助(第52条の4)

(1) 紛争の解決の援助(第52条の4第1項)

育児休業等に係る紛争の迅速かつ円満な解決を図るため、都道府県労働局長は、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決について援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対して、必要な助言、指導又は勧告をすることができることとしたものであること。

イ 「紛争の当事者」とは、現に紛争の状態にある労働者及び事業主をいうものであること。したがって、労働組合等の第三者は関係当事者にはなり得ないものであること。

ロ 「助言、指導又は勧告」は、紛争の解決を図るため、当該紛争の当事者に対して具体的な解決策を提示し、これを自発的に受け入れることを促す手段として定められたものであり、紛争の当事者にこれに従うことを強制するものではないこと。

(2) 紛争の解決の援助を求めたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いの禁止(法第52条の4第2項)

イ 法第52条の4第1項の紛争の解決の援助により、紛争の当事者間に生じた個別具体的な紛争を円滑に解決することの重要性にかんがみれば、事業主に比べ弱い立場にある労働者を事業主の不利益取扱いから保護する必要があることから、労働者が紛争の解決の援助を求めたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いを禁止することとしたものであること。

ロ 「理由として」及び「不利益な取扱い」の意義については、それぞれ第9の11(1)ロと同じであること。

 

第12 調停(法第11章第2節)

1 調停の委任(法第52条の5)

(1) 調停の委任(法第52条の5第1項)

イ 紛争の当事者(以下「関係当事者」という。)間の紛争について、当事者間の自主的な解決、都道府県労働局長による紛争解決の援助に加え、公正、中立な第三者機関の調停による解決を図るため、育児休業等に係る紛争について、関係当事者の双方又は一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、都道府県労働局長は、委員会に調停を行わせるものとすることとしたものであること。

ロ 「関係当事者」とは、現に紛争の状態にある労働者及び事業主をいうものであること。したがって、労働組合等の第三者は関係当事者にはなり得ないものであること。

ハ 「調停」とは、紛争の当事者の間に第三者が関与し、当事者の互譲によって紛争の現実的な解決を図ることを基本とするものであり、行為が法律に抵触するか否か等を判定するものではなく、むしろ行為の結果生じた損害の回復等について現実的な解決策を提示して、当事者の歩み寄りにより当該紛争を解決しようとするものであること。

ニ 次の要件に該当する事案については、「当該紛争の解決のために必要があると認め」られないものとして、原則として、調停に付すことは適当であるとは認められないものであること。

(イ) 申請が、当該紛争に係る事業主の措置が行われた日(継続する措置の場合にあってはその終了した日)から1年を経過した紛争に係るものであるとき

(ロ) 申請に係る紛争が既に司法的救済又は他の行政的救済に係属しているとき(関係当事者双方に、当該手続よりも調停を優先する意向がある場合を除く。)

(ハ) 集団的な労使紛争にからんだものであるとき

ホ 都道府県労働局長が「紛争の解決のために必要がある」か否かを判断するに当たっては、ニに該当しない場合は、法第52条の2による自主的解決の努力の状況も考慮の上、原則として調停を行う必要があると判断されるものであること。

(2) 調停の申請をしたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いの禁止(法第52条の5第2項)

イ 法第52条の5第1項の調停により、関係当事者間に生じた個別具体的な紛争を円滑に解決することの重要性にかんがみれば、事業主に比べ弱い立場にある労働者を事業主の不利益取扱いから保護する必要があることから、労働者が調停の申請をしたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いを禁止することとしたものであること。

ロ 「理由として」及び「不利益な取扱い」の意義については、それぞれ第9の11(1)ロと同じであること。

2 調停(法第52条の6)

(1) 調停の手続については、法第52条の6において準用する男女雇用機会均等法第19条から第26条までの規定及び則第78条において準用する雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則(昭和61年労働省令第2号。以下「男女雇用機会均等法施行規則」という。)第3条から第12条の規定に基づき行われるものであること。

(2) 委員会の会長は、調停委員のうちから、法第52条の5第1項の規定により委任を受けて同項に規定する紛争についての調停を行うための会議(以下「両立支援調停会議」という。)を主任となって主宰する調停委員(以下「主任調停委員」という。)を指名するものであること。また、主任調停委員に事故があるときは、あらかじめその指名する調停委員が、その職務を代理するものとなるものであること(則第78条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第3条第1項及び第2項)。

(3) 両立支援調停会議は、主任調停委員が招集するものであること。また、両立支援調停会議は、調停委員2人以上が出席しなければ、開くことができないものであること。さらに、両立支援調停会議は、公開しないものであること(則第78条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第4条第1項から第3項)。

(4) 両立支援調停会議の庶務は、当該都道府県労働局雇用環境・均等部(室)において処理するものであること(則第78条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第5条)。

(5) 法第52条の5第1項の調停の申請をしようとする者は、調停申請書を当該調停に係る紛争の関係当事者である労働者に係る事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出しなければならないものであること(則第78条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第6条及び別記様式)。

(6) 都道府県労働局長は、委員会に調停を行わせることとしたときは、遅滞なく、その旨を会長及び主任調停委員に通知するものであること。また、都道府県労働局長は、委員会に調停を行わせることとしたときは関係当事者の双方に対して、調停を行わせないこととしたときは調停を申請した関係当事者に対して、遅滞なく、その旨を書面によって通知するものであること(則第78条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第7条第1項及び第2項)。

(7) 調停は、3人の調停委員が行うこととされており、調停委員は、委員会のうちから、会長があらかじめ指名するものとされていること(法第52条の6において準用する男女雇用機会均等法第19条第1項及び第2項)。

(8) 委員会は、調停のために必要があると認めるときは、関係当事者または関係当事者と同一の事業所に雇用される労働者その他の参考人(以下「関係当事者等」という。)の出頭を求め、その意見を聴くことができるものとされていること(法第52条の6において準用する男女雇用機会均等法第20条)。ただし、この「出頭」は強制的な権限に基づくものではなく、相手の同意によるものであること。これらの出頭については、必ず関係当事者等(法人である場合には、委員会が指定する者)により行われることが必要であること。

「その他の参考人」とは、関係当事者である労働者が雇用されている事業所に過去に雇用されていた者、同一の事業所で就業する派遣労働者などを指すものであること。

委員会に「関係当事者と同一の事業所に雇用される労働者その他の参考人」の出頭を求めることができるとしたのは、育児休業の取得等を理由とする不利益取扱い等を判断するにあたり、他の労働者の就業の実態を踏まえる必要があることや、調停案の内容によっては同一の事業所において雇用される他の育児や介護をしながら働く労働者に対しても影響を及ぼしうること及び法第25条に定める事項に係る事業主の一定の措置等についての紛争に係る調停においては、育児休業等に関するハラスメントに係る事実関係の確認に関わる事項が紛争の対象となる場合もあることから、これらの者を参考人として意見聴取することが必要な場合があるためであること。

(9) 委員会から出頭を求められた関係当事者等は、主任調停委員の許可を得て、補佐人を伴って出頭することができるものであり、補佐人は、主任調停委員の許可を得て陳述を行うことができるものであること(則第78条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第8条第1項及び第2項)。「補佐人」は、関係当事者等が陳述を行うことを補佐することができるものであること。なお、補佐人の陳述は、あくまでも関係当事者等の主張や説明を補足するためのものであり、補佐人が自ら主張を行ったり、関係当事者等に代わって意思表示を行ったりすることはできないこと。

(10) 委員会から出頭を求められた関係当事者等は、主任調停委員の許可を得て当該事件について意見を述べることができるほか、他人に代理させることができるものであること(則第78条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第8条第3項)。他人に代理させることについて主任調停委員の許可を得ようとする者は、代理人の氏名、住所及び職業を記載した書面に、代理権授与の事実を証明する書面を添付して主任調停委員に提出しなければならないものであること(則第78条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第8条第4項)。

(11) 委員会は、当該事件の事実の調査のために必要があると認めるときは、関係当事者等に対し、当該事件に関係のある文書又は物件の提出を求めることができるものであること(則第78条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第9条)。

(12) 委員会は、必要があると認めるときは、調停の手続の一部を特定の調停委員に行わせることができるものであること。「調停の手続の一部」とは、現地調査や、提出された文書等の分析・調査、関係当事者等からの事情聴取等が該当するものであること。この場合において、則第78条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第4条第1項及び第2項の規定は適用せず、則第78条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第8条の規定の適用については、同条中「主任調停委員」とあるのは、「特定の調停委員」とするものであること。また、委員会は、必要があると認めるときは、当該事件の事実の調査を都道府県労働局雇用環境・均等部(室)の職員に委嘱することができるものであること(則第78条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第10条第1項及び第2項)。

(13) 委員会は、関係当事者からの申立てに基づき必要があると認めるときは、当該委員会が置かれる都道府県労働局の管轄区域内の主要な労働者団体又は事業主団体が指名する関係労働者を代表する者又は関係事業主を代表する者から意見を聴くものとすることとされていること(法第52条の6において準用する男女雇用機会均等法第21条)。「主要な労働者団体又は事業主団体が指名する関係労働者を代表する者又は関係事業主を代表する者」については、主要な労働者団体又は事業主団体に対して、期限を付して関係労働者を代表する者又は関係事業主を代表する者の指名を求めるものとするものであること。(則第78条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第11条第1項)。関係労働者を代表する者又は関係事業主を代表する者の指名は、事案ごとに行うものであること。指名を求めるに際しては、管轄区域内のすべての主要な労働者団体及び事業主団体から指名を求めなければならないものではなく、調停のため必要と認められる範囲で、主要な労働者団体又は事業主団体のうちの一部の団体の指名を求めることで足りるものであること。則第78条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第11条第1項により委員会の求めがあった場合には、当該労働者団体又は事業主団体は、当該事件につき意見を述べる者の氏名及び住所を委員会に通知するものとするものであること(則第78条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第11条第2項)。

(14) 委員会は、調停案を作成し、関係当事者に対しその受諾を勧告することができるものであること(法第52条の5において準用する男女雇用機会均等法22条)。調停案の作成は、調停委員の全員一致をもって行うものとするものであること(則第78条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第12条第1項)。また、「受諾を勧告する」とは、両関係当事者に調停案の内容を示し、その受諾を勧めるものであり、その受諾を義務付けるものではないこと。委員会は、調停案の受諾を勧告する場合には、関係当事者の双方に対し、受諾すべき期限を定めて行うものとするものであること(則第78条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第12条第2項)。

関係当事者は、調停案を受諾したときは、その旨を記載し、記名押印した書面を委員会に提出しなければならないものであること(則第78条において準用する男女雇用機会均等法施行規則第12条第3項)。しかしながら、この「書面」は、関係当事者が調停案を受諾した事実を委員会に対して示すものであって、それのみをもって関係当事者間において民事的効力をもつものではないこと。

(15) 委員会は、調停に係る紛争について調停による解決の見込みがないと認めるときは、調停を打ち切ることができ、その場合、その旨を関係当事者に通知しなければならないものとされていること(法第52条の6において準用する男女雇用機会均等法第23条)。「調停による解決の見込みがないと認めるとき」とは、調停により紛争を解決することが期待し難いと認められる場合や調停により紛争を解決することが適当でないと認められる場合がこれに当たるものであり、具体的には、調停開始後長期の時間的経過をみている場合、当事者の一方が調停に非協力的で再三にわたる要請にもかかわらず出頭しない場合のほか、調停が当該紛争の解決のためでなく労使紛争を有利に導くために利用される場合等が原則としてこれに含まれるものであること。

3 時効の完成猶予(法第52条の6において準用する男女雇用機会均等法第24条)

本条は、調停が打ち切られた場合に、当該調停の申請をした者が打ち切りの通知を受けた日から30日以内に調停の目的となった請求について訴えを提起したときは、調停の申請の時に遡り、時効の完成猶予が生じることを明らかにしたものであること。

「調停の申請の時」とは、申請書が現実に都道府県労働局長に提出された日であって、申請書に記載された申請年月日ではないこと。

また、調停の過程において申請人が調停を求める事項の内容を変更又は追加した場合にあっては、当該変更又は追加した時が「申請の時」に該当するものと解されること。

「通知を受けた日から30日以内」とは、民法の原則に従い、文書の到達した日の当日は期間の計算に当たり参入されないため、書面による調停打ち切りの通知が到達した日の翌日から起算して30日以内であること。

「調停の目的となった請求」とは、当該調停手続において調停の対象とされた具体的な請求(地位確認、損害賠償請求等)を指すこと。本条が適用されるためには、これらと訴えに係る請求とが同一性のあるものでなければならないこと。

4 訴訟手続の中止(法第52条の6において準用する男女雇用機会均等法第25条)

本条は、当事者が調停による紛争解決が適当であると考えた場合であって、調停の対象となる紛争のうち民事上の紛争であるものについて訴訟が係属しているとき、当事者が和解交渉に専念する環境を確保することができるよう、受訴裁判所は、訴訟手続を中止することができることとするものであること。

具体的には、法第52条の5第1項に規定する紛争のうち民事上の紛争であるものについて関係当事者間に訴訟が係属する場合において、次のいずれかに掲げる事由があり、かつ、関係当事者の共同の申立てがあるときは、受訴裁判所は、4月以内の期間を定めて訴訟手続を中止する旨を決定することができるものであること。

(1) 当該紛争について、関係当事者間において調停が実施されていること。

(2) (1)の場合のほか、関係当事者間に調停によって当該紛争の解決を図る旨の合意があること。

なお、受訴裁判所は、いつでも訴訟手続を中止する旨の決定を取り消すことができるものであること。また、関係当事者の申立てを却下する決定及び訴訟手続を中止する旨の決定を取り消す決定に対しては不服を申し立てることができないものであること。

5 資料提供の要求等(法第52条の6において準用する男女雇用機会均等法第26条)

委員会は、当該委員会に継続している事件の解決のために必要があると認めるときは、関係行政庁に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができるものであること。「関係行政庁」とは、例えば、国の機関の地方支分部局や都道府県等の地方自治体が考えられるものであること。「その他必要な協力」とは、情報の提供や便宜の供与等をいうものであること。

 

第13 委託募集の特例(法第12章)

1 基本的考え方(法第53条第1項)

(1) 委託募集の特例の必要性

育児休業又は介護休業(これらに準ずる休業を含む。)をする労働者の業務を処理するために必要な労働者(以下「育児・介護休業代替要員」という。)を募集しやすくすることは、事業主にとって重要であるばかりでなく、労働者にとっても、育児休業又は介護休業を取得しやすく、職場復帰しやすい職場環境の整備という観点から、強く望まれることである。

特に、中小企業者にとって、労働者を臨機に募集することは事務負担となるだけでなく、知名度等から、実際に必要な時期までに労働者を募集できない場合も生じ得るところである。

その場合、中小企業者が、その所属する中小企業団体に育児・介護休業代替要員の募集を委託することが容易であれば、その個別の中小企業者の事務負担を軽減できるとともに、中小企業団体の情報を活用することができることとなるが、一方、職業安定法(昭和22年法律第141号)第36条第1項により、事業主がその被用者以外の者に報酬を与えて労働者の募集を委託する場合には、厚生労働大臣の許可を受けなければならず、同条第3項により、事業主がその被用者以外の者に報酬を与えることなく労働者の募集を委託する場合には、厚生労働大臣に届け出なければならないことになっている。

この場合、個々の育児・介護休業代替要員の募集の必要が生じるたびごとに、個別中小企業者が許可や届出の手続をしなければならず、また、許可や届出がなされるまでは募集活動ができないため、臨時即応性の点で問題があると考えられる。

そこで、法第53条において、一定の基準を満たした中小企業団体に関しては、事前の厚生労働大臣の認定を受けた後、その構成員たる中小企業者から育児・介護休業代替要員の募集の委託を受けた場合、当該中小企業団体が、厚生労働大臣に届出をすることによって当該育児・介護休業代替要員の委託募集ができるようにしたものであること。

(2) 委託募集の特例の前提

法第53条による委託募集を行うに際しては、募集を委託された中小企業団体は、単に募集を行うだけではなく、募集後雇用された労働者の労働条件について募集時の労働条件との相違がないか等を常にチェックし、不適切な点があれば是正するように指導できる立場にあることが前提となるものであること。

このため、中小企業団体は、その構成員たる中小企業者と密接に連携し合いながら当該中小企業者の雇用管理面について適切に指導していくことが可能でなければならず、このような観点から、育児・介護休業代替要員の確保に当たっても、構成員たる中小企業者において育児休業及び介護休業を取得しやすく、かつ職場に復帰しやすくするような環境整備の事業を当該中小企業と協同して行う中小企業団体であることを前提に、委託募集の手続を緩和したものであること。

2 具体的内容

(1) 育児・介護休業代替要員の範囲(法第53条第1項)

イ これらに準ずる休業

法第53条第1項の「これらに準ずる休業」とは、法第23条第2項又は第24条第1項により講じられた育児休業の制度に準じた育児のための休業の制度及び同条第2項により講じられた介護休業の制度に準じた介護のための休業の制度をいうものであること。

ロ 雇用期間

育児・介護休業代替要員は、「当該育児休業又は介護休業をする期間について」のものであるため、育児・介護休業代替要員の雇用期間は、基本的には「当該育児休業又は介護休業をする期間」と同一又はそれより短期である必要があるが、訓練期間、引継期間等を考慮して、当該育児休業又は介護休業をする期間の前後に若干長い雇用期間が設定されることは妨げないものであること。

ハ 職種及び数

育児・介護休業代替要員は、育児休業又は介護休業(これらに準ずる休業を含む。)をする労働者の業務を処理するためのものであるので、育児休業又は介護休業をする労働者の職種及び数と育児・介護休業代替要員の職種及び数とは同一である必要があること。

(2) 中小企業者の範囲(法第53条第2項第1号)

中小企業者の範囲としては、労働力の確保等を図ろうとする中小企業を業種、地域を問わず広く対象としている中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律(平成3年法律第57号。以下「中小企業労働力確保法」という。)第2条第1項に規定する中小企業者の範囲と同一の範囲としたものであること。

(3) 中小企業団体の範囲(法第53条第2項第2号)

中小企業団体の範囲は、中小企業者の範囲と同様、中小企業労働力確保法第2条第2項の事業協同組合等(以下「事業協同組合等」という。)と同じものとしたものであること。

事業協同組合等の範囲は、以下のとおりであること。

イ 事業協同組合及び事業協同小組合並びに協同組合連合会

ロ 水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会

ハ 商工組合及び商工組合連合会

ニ 商店街振興組合及び商店街振興組合連合会

ホ 生活衛生同業組合であって、その構成員の三分の二以上が五千万円(卸売業を主たる事業とする事業者については、一億円)以下の金額をその資本の額若しくは出資の総額とする法人又は常時五十人(卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業者については、百人)以下の従業員を使用する者であるもの

ヘ 酒造組合及び酒造組合連合会であって、その直接又は間接の構成員たる酒類製造業者の三分の二以上が三億円以下の金額をその資本の額若しくは出資の総額とする法人又は常時三百人以下の従業員を使用する者であるもの並びに酒販組合及び酒販組合連合会であって、その直接又は間接の構成員たる酒類販売業者の三分の二以上が五千万円(酒類卸売業者については、一億円)以下の金額をその資本の額若しくは出資の総額とする法人又は常時五十人(酒類卸売業者については、百人)以下の従業員を使用する者であるもの

ト その直接又は間接の構成員の三分の二以上が中小企業者である一般社団法人(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号))

(4) 法第22条の事業主が講ずべき措置その他に関する相談及び援助

イ 基本前提

1(2)で述べたように、中小企業団体が、構成員たる中小企業者に対して、法第22条に規定する育児休業及び介護休業の申出や育児休業及び介護休業後の就業が円滑に行われるための雇用管理等の措置その他に関する相談及び援助の事業(以下「相談援助事業」という。)を行っていることが前提となるものであること。

ロ 認定基準の内容

したがって、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第53条第2項第2号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準(平成7年労働省告示第111号。以下「認定基準告示」という。)による認定中小企業団体の認定基準において、相談援助事業として実施し、又は実施することを予定しているものとして、次のものが挙げられていること(認定基準告示第1号)。

(イ) 代替要員の確保を容易にするための、好事例の収集及び提供、定年等により退職した者の名簿の整備及び活用に係る指導等の事業

「好事例の収集及び提供、定年等により退職した者の名簿の整備及び活用に係る指導」は例示であって、中小企業団体としては、構成員たる中小企業者の代替要員の確保を容易にするためのこれらと同程度の事業を行っていれば足りるものであること。

(ロ) (イ)のほか、育児休業又は介護休業をする労働者が雇用される事業所における雇用管理その他に係る講習会の開催、相談指導、先進的な事例に関する見学会の開催等の事業

「講習会の開催、相談指導、先進的な事例に関する見学会の開催」は例示であって、中小企業団体としては、構成員たる中小企業者の育児休業又は介護休業に係る雇用管理等に資する事業を行っていれば足りるものであること。

ただし、第9の3(2)イで述べたように、代替要員の雇用管理に関し、育児休業又は介護休業が突然終了した場合に、代替要員に予期せぬ不利益を与えないよう、予め雇用契約の内容を明確にしておくような指導等は、当然中小企業団体が行うべき相談援助事業の内容の一つであること。

(5) その他の認定基準

その他の認定基準としては、以下のものがあること。

イ 事務処理の体制の整備(認定基準告示第2号)

上記(4)の事業を行うのに適当と認められる事務処理の体制が整備されていること。

「事務処理の体制が整備」とは、中小企業団体の役員又は職員が事務の担当責任者として決められていることをいうものであること。

ロ 育児休業及び介護休業の制度の整備(認定基準告示第3号)

構成員たる中小企業者が、就業規則、労働協約等により、育児休業及び介護休業の制度を設けていること。

「就業規則、労働協約等」には、常時10人以上の労働者を雇用しない事業所にあっては、慣行を含むものであること。

ハ 適正な委託募集内容(認定基準告示第4号)

募集に係る労働条件その他の募集の内容が適切なもので、かつ、労働者の利益に反しないことが見込まれること。

これは、

(イ) 賃金が、同業種の賃金水準に比較して低くないこと。

(ロ) 労働時間、休日その他の労働条件が、法定の労働条件以上であること。

(ハ) 募集従事者が、当該中小企業団体の役員又は職員であること。

をいうものとすること。

3 認定手続(法第53条第2項第2号)

(1) 認定申請(則第61条)

法第53条第2項第2号の規定により認定を受けようとする事業協同組合等は、様式第1号「認定中小企業団体認定申請書」を作成して、当該申請書1通及びその写し2通をその主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長を経て、厚生労働大臣に提出するものとすること。

(2) 認定

イ 厚生労働大臣は、事業協同組合等から「認定中小企業団体認定申請書」の提出を受けたときは、遅滞なく当該事業協同組合等が法令及び認定基準に照らして適当であるか否か審査し、適当であると判断されるものについて認定をするものであること。

ロ 認定期間は、認定日から、認定日の属する年度から起算して5年度目の年度の末日までとすること。

ハ 厚生労働大臣は、認定をしたときは、遅滞なく、様式第2号「認定中小企業団体認定通知書」により、所轄の都道府県労働局長を経て、当該認定に係る事業協同組合等(以下「認定中小企業団体」という。)に対して通知するものとすること。

(3) 不認定

イ 厚生労働大臣は、中小事業主団体から「認定中小事業主団体認定申請書」の提出を受けたときは、遅滞なく当該中小事業主団体が法令及び認定基準に照らして適当であるか否か審査し、適当でないと判断されるものについて不認定とするものであること。

ロ 厚生労働大臣は、不認定としたときは、遅滞なく、様式第3号「認定中小事業主団体不認定通知書」により、所轄の都道府県労働局長を経て、当該認定に係る中小事業主団体に対して通知するものとすること。

4 認定の取消し(法第53条第3項)

(1) 厚生労働大臣は、認定中小企業団体が相談援助事業を行うものとして適当でなくなったと認めるときは、当該認定を取り消すものとしたものであること。

「適当でなくなった」場合としては、相談援助事業の実施に著しい支障が生じて、当該事業を実施する見込みがなくなった場合、当該認定中小企業団体が法令及び認定基準を満たさなくなったと認められる場合があるものであること。

(2) 厚生労働大臣は、認定中小企業団体の認定の取消しをしたときは、遅滞なく、様式第3号「認定中小企業団体認定取消通知書」により、所轄の都道府県労働局長を経て、当該認定に係る事業協同組合等に対して通知するものとすること。

(3) 認定中小企業団体の認定の取消しを行った場合における当該取消しの日後には、法第53条第4項の届出による委託募集を行うことはできないものであること。

5 委託募集の届出(法第53条第4項)

(1) 認定中小企業団体が、その構成員たる中小企業者の委託を受けて育児・介護休業代替要員の募集を行う際には、認定中小企業団体は、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に対して、委託募集の届出を行うものであること(則第80条)。

ただし、認定中小企業団体の主たる事務所の所在する都道府県の区域以外の地域(以下「自県外地域」という。)を募集地域とする委託募集であって、一中小企業者が自県外地域において募集しようとする労働者の数の合計が100人以上である委託募集又は一中小企業者が自県外地域において募集しようとする労働者の数の合計が100人未満であっても自県外地域のうち一の都道府県の区域において募集しようとする労働者の数の合計が30人以上である委託募集については、厚生労働大臣に対して、認定中小企業団体が委託募集の届出を行うものであること(同条)。

(2) 法第53条第4項の委託募集の届出の有効期間は6か月以内とするものであること。

(3) 認定中小企業団体は、育児・介護休業代替要員の募集を行わせようとする構成員たる中小企業者についてのみ、委託募集の届出を行うものであること。

(4) 認定中小企業団体は、委託募集届出書(様式第4号)を、都道府県労働局長への届出にあっては正本1通、副本2通を作成し委託募集を開始する日の7日前までに、厚生労働大臣への届出にあっては正本1通、副本3通を作成し委託募集を開始する日の14日前までに、それぞれその主たる事務所の所在地を管轄する公共職業安定所長(以下「所在地公共職業安定所長」という。)に対して提出するものであること。

6 委託募集の届出の受理(法第53条第5項)

(1) 所在地公共職業安定所長は委託募集の届出の受付を行い、届出の受付から2日以内に、副本1通を保管の上都道府県労働局長への届出にあっては正本1通、副本1通を、厚生労働大臣への届出にあっては正本1通、副本2通をそれぞれ都道府県労働局長へ送付するものとする。都道府県労働局長は、厚生労働大臣への届出にあっては副本1通を保管の上所在地公共職業安定所長から送付のあった日から2日以内に、正本1通及び副本1通を厚生労働大臣へ送付するものであること。

(2) 届出書の送付を受けた都道府県労働局長(厚生労働大臣への届出にあっては厚生労働大臣)は、届出に係る募集の内容が、育児・介護休業代替要員の募集を行わせようとしていることを確認した上で当該届出を受理し、その副本1通に確認の印を押し、届出の送付を受けてから2日以内に、所在地公共職業安定所長(厚生労働大臣への届出にあっては都道府県労働局長及び所在地公共職業安定所長)を経由して届出を行った認定中小企業団体に交付するものであること。

(3) 所在地公共職業安定所長、就業地を管轄する公共職業安定所長(以下「就業地公共職業安定所長」という。)及びその募集地を管轄する公共職業安定所長(以下「募集地公共職業安定所長」という。)が異なる場合は、届出を受理した都道府県労働局長又は厚生労働大臣は、受理した届出書の写しを、就業地公共職業安定所長及び募集地公共職業安定所長に対して、それらの公共職業安定所を管轄する都道府県労働局長を経由して送付するものであること。

7 労働者募集報告(則第83条)

委託募集に従事する認定中小企業団体は、毎年度の委託募集の状況を取りまとめ、様式第5号の労働者募集報告を作成して当該年度の翌年度の四月末日まで(当該年度の終了前に労働者の募集を終了させる場合にあっては、当該終了の日の属する月の翌月末日まで)に委託募集の届出の受付を行った公共職業安定所長に報告するものであること。

8 報告の徴収(法第53条第7項)

厚生労働大臣は、必要と認めるときは、所轄の都道府県労働局長を通じて、法第53条第7項の規定に基づき、認定中小企業団体に対し、相談援助事業の実施状況について随時報告を求めるものであること。

9 公共職業安定所の援助(法第54条)

(1) 公共職業安定所は、委託募集が効果的かつ適切に行われるよう、認定中小企業団体及び当該募集を委託する中小企業者に対して、求人条件の設定、募集方法等について助言、指導を行うなど配意するものであること。

(2) 公共職業安定所は、求職者に対する職業紹介に際して、当該募集に係る求人が育児・介護休業代替要員の募集を行わせようとしている中小企業者からの求人である場合にはその旨説明するよう配意するものであること。

10 その他の留意事項

認定中小企業団体は、いかなる場合も、職業紹介に及ぶ行為をすることはできないものであること。

 

第14 その他の雑則(法第12章)

1 調査等(法第55条)

対象労働者等の職業生活と家庭生活との両立の促進等に係る施策に関しては、今後とも必要な調査研究を行っていかなければならない分野が多く残されていることにかんがみ、厚生労働大臣は、必要な調査研究を実施し、その成果を通じて施策の一層の推進を図ることとしたものであること。

また、厚生労働大臣は、法の施行に関し、関係行政機関の長に対し、資料の提供その他必要な協力を求め、さらに、都道府県知事から必要な調査報告を求めることができる旨明らかにしたものであること。

2 報告の徴収並びに助言、指導及び勧告(法第56条)

(1) 本法の目的を達成するための行政機関固有の権限として、厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、法の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができることとしたものであること。

(2) 本条の厚生労働大臣の権限は、労働者からの申立て、第三者からの情報、職権等その端緒を問わず、必要に応じて行使し得るものであること。

(3) 「この法律の施行に関し必要があると認めるとき」とは、法の規定により具体的に事業主の責務とされている事項について、事業主の実施状況を確認するときや、当該責務が十分に遂行されていないと考えられる場合において、当該責務の遂行を促すことが法の目的に照らし必要であると認められるとき等をいうものであること。

(4) 法を施行するために、とり得る措置として、報告の徴収並びに助言、指導及び勧告を規定したものであり、これらは、事業主がこれに従うことを法的に強制するものではないこと。

(5) 則第85条の「厚生労働大臣が全国的に重要であると認めた事案」とは、

イ 広範囲な都道府県にまたがり、その事案の処理に当たって各方面との調整が必要であると考えられる事案

ロ 当該事案の性質上社会的に広汎な影響力を持つと考えられる事案

ハ 都道府県労働局長が勧告を行ったにもかかわらず、是正されない事案

等に該当するものであり、厚生労働大臣が自ら又は都道府県労働局長の上申を受けてその都度重要であると判断したものをいうこと。

(6) 則第85条の「事業所」とは、当該事案に係る事業所であって、本社たる事業所に限られるものではないこと。

3 公表(法第56条の2)

子の養育又は家族の介護を行う労働者の雇用の継続を図り、当該労働者の職業生活と家庭生活の両立に寄与するためには、事業主に一定の措置を義務付けるとともに、法違反の速やかな是正を求める行政指導の効果を高め、法の実効性を確保することが必要である。

このような観点から、厚生労働大臣は、第6条第1項(第12条第2項、第16条の3第2項及び第16条の6第2項において準用する場合を含む。)、第10条(第16条、第16条の4及び第16条の7において準用する場合を含む。)第12条第1項、第16条の3第1項、第16条の6第1項、第16条の8第1項(第16条の9第1項において準用する場合を含む。)、第16条の10、第17条第1項(第18条第1項において準用する場合を含む。)、第18条の2、第19条第1項(第20条第1項において準用する場合を含む。)、第20条の2、第23条第1項から第3項まで、第23条の2、第25条第1項若しくは第2項(第52条の4第2項及び第52条の5第2項において準用する場合を含む。)又は第26条の規定に違反している事業主に対し自ら勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができることとしたものであること。

4 労働政策審議会への諮問(法第57条)

法に定める事項のうち重要なものについての省令の制定又は改正、指針の策定その他法の施行に関する重要事項の決定については、あらかじめ労働政策審議会の意見を聴くこととしたものであること。

5 厚生労働省令への委任(法第59条)

法各条で委任したもののほか、法を実施するに当たって必要な手続等について、厚生労働省令において定めることができることとしたものであること。

6 船員に関する特例(法第60条)

船員及び船員になろうとする者(以下「船員等」という。)の労働関係については、国土交通省が所管する別の体系とされており、このため船員等については、本法中「厚生労働大臣」とあるのを「国土交通大臣」と読み替える等所要の整備を行うものであること。

なお、所定外労働の制限、時間外労働の制限、委託募集の特例等に関する規定については、船員等には適用しないこととしたものであること。

7 公務員に関する特例(法第61条)

(1) 法の規定中、第2章から第9章まで、第30条、第11章、第53条、第54条、第56条、第56条の2、第60条、第62条から第64条まで及び第66条の規定については、国家公務員及び地方公務員に関しては、適用しないこととしたものであること。

「国家公務員」とは、国家公務員法(昭和22年法律第120号)上の国家公務員をいうものであり、また、「地方公務員」とは、地方公務員法(昭和25年法律第261号)上の地方公務員をいうものであること。

(2) 公務員の育児のための休業の制度については、職務に従事しない期間が3年間と長期にわたる場合があるため、休職類似の身分上の効果を伴うものとして、一般職国家公務員については、独立行政法人通則法第2条第4号に規定する独立行政法人(以下「行政執行法人」という。)の職員を含めて国家公務員の育児休業等に関する法律(平成3年法律第109号)により一律に規律することとし、地方公務員については各地方公共団体の条例によることなく地方公務員の育児休業等に関する法律(平成3年法律第110号)により一律に規律することとされているところであること。

なお、特別職国家公務員についても、国会職員の育児休業等に関する法律(平成3年法律第108号)、裁判官の育児休業に関する法律(平成3年法律第111号)その他の関係法令が制定又は整備されているところであること。

(3) 国家公務員及び地方公務員に対する介護のための休業の制度については、以下のとおりであること。

イ 国家公務員に対する介護のための休業の制度については、育児のための休業の制度とは異なり、公務員法制上は「休暇」として取り扱われ、休暇が労働協約の対象となる行政執行法人の職員を除いた一般職に属する国家公務員に関して、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(平成6年法律第33号)第20条において「介護休暇」制度が法定されているところであること。

ロ 行政執行法人の職員の勤務条件に関しては、労使交渉で決定することを基本としつつ、民間の労働条件の最低基準を適用することが通例であるため、介護のための休業に関しても法に規定するものであるが、公務員たる地位の特殊性等から、行政執行法人の長の承認を前提とした介護のための休業の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第3項から第5項まで)。

ハ 地方公務員の勤務条件に関しては、条例(地方公営企業職員等は労使交渉)で定めることを基本としつつ、民間の労働条件の最低基準を適用することが通例であるため、介護のための休業に関しても法に規定するものであるが、公務員たる地位の特殊性等から、地方公務員法第6条第1項に規定する任命権者又はその委任を受けた者(以下「任命権者等」という。)の承認を前提とした介護のための休業の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第6項)。

なお、その内容については、行政執行法人の職員の特例規定を準用するものであること。

(4) 公務員法制上、「休業」は休職類似の身分上の効果を伴うものとして、定員管理上の問題が生じたり、団体交渉事項や条例事項に含まれないなどの特別の効果を有するものであり、一方「休暇」は団体交渉事項となる勤務条件の一つとして取り扱われるので、両者の区別は重要な意味を有するものではあるが、公務員に対して民間法制上の最低基準を適用する場合は、民間における名称を使用するのが前例(公務員制度上の「休暇」であるにもかかわらず、産前産後休業と呼ぶ例)であるので、ここでも「介護をするための休業」とすることとしたものであること。

(5) 「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害」の範囲と、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律第20条第1項の「負傷、疾病又は老齢」の範囲とは同一であること。

なお、この点については、人事院に確認済みであること。

(6) 国家公務員及び地方公務員に対する負傷し、又は疾病にかかったその子の世話等を行うための休暇の制度については、以下のとおりであること。

イ 行政執行法人の職員を除いた一般職に属する国家公務員の負傷し、又は疾病にかかったその子の世話等を行うための休暇の制度については、人事院規則15―14(職員の勤務時間、休日及び休暇)において、特別休暇の1つとして規定が設けられているところであること。

ロ 行政執行法人の職員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、行政執行法人の長の承認を前提とした、負傷し、又は疾病にかかったその子の世話等を行うための休暇の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第7項から第10項まで)。

ハ 地方公務員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、任命権者等の承認を前提とした、負傷し、又は疾病にかかったその子の世話等を行うための休暇の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第11項)。

なお、その内容については、行政執行法人の職員の特例規定を準用するものであること。

(7) 国家公務員及び地方公務員に対する介護のための休暇の制度については、以下のとおりであること。

イ 行政執行法人の職員を除いた一般職に属する国家公務員の介護のための休暇の制度については、人事院規則15―14(職員の勤務時間、休日及び休暇)において、特別休暇の1つとして規定が設けられているところであること。

ロ 行政執行法人の職員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、行政執行法人の長の承認を前提とした介護のための休暇の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第12項から第15項まで)。

ハ 地方公務員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、任命権者等の承認を前提とした介護のための休暇の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第16項)。

なお、その内容については、行政執行法人の職員の特例規定を準用するものであること。

(8) 国家公務員及び地方公務員に対する所定外労働の制限の制度については、以下のとおりであること。

イ 行政執行法人の職員を除いた一般職に属する国家公務員の所定外労働の制限の制度については、人事院規則10―11(育児又は介護を行う職員の早出遅出勤務並びに深夜勤務及び超過勤務の制限)において規定が設けられているところであること。

ロ 行政執行法人の職員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、行政執行法人の長の承認を前提とした所定外労働の制限の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第17項及び第18項)。

ハ 地方公務員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、任命権者等の承認を前提とした所定外労働の制限の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第19項及び第20項)。

(9) 国家公務員及び地方公務員に対する時間外労働の制限の制度については、以下のとおりであること。

イ 行政執行法人の職員を除いた一般職に属する国家公務員の時間外労働の制限の制度については、人事院規則10―11(育児又は介護を行う職員の早出遅出勤務並びに深夜勤務及び超過勤務の制限)において規定が設けられているところであること。

ロ 行政執行法人の職員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、行政執行法人の長の承認を前提とした時間外労働の制限の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第21項及び第22項)

ハ 地方公務員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、任命権者等の承認を前提とした時間外労働の制限の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第23項及び第24項)

(10) 国家公務員及び地方公務員に対する深夜業の制限の制度については、以下のとおりであること。

イ 行政執行法人の職員を除いた一般職に属する国家公務員の深夜業の制限の制度については、人事院規則10―11(育児又は介護を行う職員の早出遅出勤務並びに深夜勤務及び超過勤務の制限)において規定が設けられているところであること。

ロ 行政執行法人の職員については、介護のための休業の制度と同様の考え方により、行政執行法人の長の承認を前提とした深夜業の制限の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第25項及び第26項)。

ハ 地方公務員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、任命権者等の承認を前提とした深夜業の制限の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第27項及び第28項)。

(11) 国家公務員及び地方公務員に対する介護のための所定労働時間の短縮の制度については、以下のとおりであること。

イ 行政執行法人の職員を除いた一般職に属する国家公務員の介護のための所定労働時間の短縮の制度については、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律第20条の2において「介護時間」制度が法定されているところであること。

ロ 行政執行法人の職員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、行政執行法人の長の承認を前提とした介護のための所定労働時間の短縮の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第29項から第31項まで)。

ハ 地方公務員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、任命権者等の承認を前提とした介護のための所定労働時間の短縮の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第32項)。

なお、その内容については、行政執行法人の職員の特例規定を準用するものであること。

(12) 国家公務員及び地方公務員に対する職場における育児休業等に関するハラスメントを防止するために必要な雇用管理上の措置等については、以下のとおりであること。

イ 行政執行法人の職員を除いた一般職に属する国家公務員の職場における育児休業等に関するハラスメントを防止するために必要な雇用管理上の措置については、人事院規則10―15において規定が設けられているところであること。

ロ 行政執行法人の職員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、行政執行法人の長に、職場における育児休業等に関するハラスメントを防止するため、その雇用する職員からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講ずることを義務付けることとした特例、行政執行法人の職員が職場における育児休業等に関するハラスメントに関して行政執行法人の長に相談したこと又は行政執行法人の長による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由とする行政執行法人の長による不利益な取扱いを禁止することとした特例及並びに国、行政執行法人の長及び行政執行法人の職員の責務に関する特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第33項から第35項まで)。

ハ 地方公務員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、任命権者等に、職場における育児休業等に関するハラスメントを防止するため、その雇用する職員からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講ずることを義務付けることとした特例、地方公共団体の職員が職場における育児休業等に関するハラスメントに関して任命権者等に相談したこと又は任命権者等による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由とする任命権者等による不利益な取扱いを禁止することとした特例並びに国、任命権者等及び地方公共団体の職員の責務に関する特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第36項から第38項まで)。

 

第15 罰則(法第13章)

1 罰則(法第62条から第65条まで)

労働者の募集の特例の公正確保を目的として所要の罰則を規定したものであること。

2 過料(法第66条)

法第56条の助言、指導及び勧告を適切に行うためには、その前提として、同条の報告の徴収を適切に行う必要がある。このため、法第66条は法第56条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者に対して、20万円以下の過料に処することとしたものであること。

なお、過料については、非訟事件手続法(平成23年法律第51号)第5編の過料事件の規定により、管轄の地方裁判所において過料の裁判の手続を行うものとなること。都道府県労働局長は、法第56条違反があった場合には、管轄の地方裁判所に対し、当該事業主について、法第56条に違反することから、法第66条に基づき過料に処すべき旨の通知を行うこととなること。

 

第16 改正法附則

1 施行期日(改正法附則第1条)

改正法の施行期日を定めるものであること。

なお、改正法第7条による改正前の法第10章第2節において規定されていた指定法人に関する規定を削除する改正は、公布日(平成28年3月31日)から施行されていること。その他の改正は、平成29年1月1日から施行されること。

2 罰則に関する経過措置(改正法附則第13条)

改正法の施行前にした行為等についての罰則の適用については、なお従前の例によるものとしたこと。

具体的には、改正法第7条による改正前の法第10章第2節において規定されていた指定法人に関する規定を削除したことに伴い、改正前の法第42条(報告)及び第49条第1項(報告及び検査)違反に対する罰金刑(改正前法第64条)並びに改正前の法第41条(福祉関係給付金の支給に係る厚生労働大臣の認可)違反に対する過料(改正前法第67条)が対象となること。また、改正前の第48条の規定により、給付金業務に従事する指定法人の役員及び職員は、刑法(明治40年法律第45号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなされるため、これらの規定の適用についても、なお従前の例によるべきこと。

3 検討(改正法附則第14条)

政府は、この法律の施行後5年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしたものであること。

 

第17 適用期日

1 この通達は、平成29年1月1日から適用すること。