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通達:コース等で区分した雇用管理を行うに当たって事業主が留意すべき事項に関する指針の策定について

 

コース等で区分した雇用管理を行うに当たって事業主が留意すべき事項に関する指針の策定について

平成25年12月24日雇児発1224第9号

(各都道府県労働局長あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)

 

コース等で区分した雇用管理については、平成19年1月22日付け雇児発第0122001号により「コース等で区分した雇用管理についての留意事項」(以下「局長通達」という。)を示し、それに基づく啓発指導を指示してきたところである。今般、「今後の男女雇用機会均等対策について」(平成25年9月27日労働政策審議会雇用均等分科会報告)において、局長通達をより明確な記述としつつ指針に規定することが適当であるとされたことを受け、これに基づき策定した指針案について厚生労働大臣から労働政策審議会に諮問したところ、おおむね妥当である旨の答申を得たことを受け、本日、「コース等で区分した雇用管理を行うに当たって事業主が留意すべき事項に関する指針」(平成25年厚生労働省告示第384号。以下「指針」という。)(別紙参照)が公布され、平成26年7月1日から施行することとされた。

指針の趣旨及び内容は下記のとおりであるので、貴殿におかれては、指針に即してコース等で区分した雇用管理が適正に行われるよう、事業主に対する啓発指導に万全を期されたい。

なお、平成19年1月22日付け雇児発第0122001号は平成26年6月30日をもって廃止する。

 

第1 目的

コース等で区分した雇用管理(以下「コース等別雇用管理」という。)については、本来、労働者の職種、資格等に基づき複数のコースを設定し、コースごとに異なる雇用管理を行うものであり、性別によって雇用管理を行うものではないにもかかわらず、例えば、職場における固定的な性別役割分担意識等を背景に実質的に性別による雇用管理となっている事例など、その運用において男女で異なる取扱いがなされている場合、コース等の区分の合理性が明確でない場合、一般職の勤続年数が長期化する中でコース等の区分の合理性やコース等の間の処遇の格差についての納得を得られにくくなっている場合などもみられる。このため、この指針は、事業主がコース等別雇用管理を行うに当たり、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号。以下「法」という。)に則し、その適正かつ円滑な運用に資するよう、事業主が留意すべき事項について定めることとしたものであること。

 

第2 コース等別雇用管理を行うに当たっての基本的考え方

指針第2の「どのようなコース等の区分に属する者であってもその有する能力を有効に発揮しつつ就労できる環境が整備されるよう、この指針で定める事項に留意すべき」とは、例えば、これまでの固定的な性別役割分担意識を背景とした職場の慣行等により女性の能力発揮が十分になされていない場合に、ポジティブ・アクション等女性労働者の能力が存分に発揮できるような取組を行うなど、どのようなコース等の区分を選択した者についてもその能力を存分に発揮して働き続けられる環境作りに取り組むことが望まれることを明らかにしたものであること。

 

第3 コース等別雇用管理の定義

(1) コース等別雇用管理の典型的な例としては、事業の運営の基幹となる事項に関する企画立案、営業、研究開発等を行う業務に従事するコース(いわゆる「総合職」)、主に定型的業務に従事するコース(いわゆる「一般職」)、総合職に準ずる業務に従事するコース(いわゆる「準総合職」)等のコースを設定して雇用管理を行うものが考えられること。

(2) 指針第3の「勤務地の限定の有無により異なる雇用管理を行うもの」とは、例えば、勤務先が全国か、一定の地域内に限定されているか否かによって異なる雇用管理を行っている場合などが考えられること。

 

第4 コース等雇用管理を行うに当たって事業主が留意すべき事項

指針第4は、事業主がコース等雇用管理を行うに当たって留意すべき事項について、雇用管理の各ステージごとに、法に直ちに抵触する例、制度のより適正かつ円滑な運用をするために留意すべき事項の例、労働者の能力発揮のため実施することが望ましい事項の例の3つの区分ごとに整理して規定したものであること。

1 コース等の新設、変更又は廃止

(法に直ちに抵触する例関係)

(1) 指針第4の一(1)の「一方の性の労働者のみを一定のコース等に分けること」とは、例えば、「総合職」は男性のみ、「準総合職」や「一般職」は女性のみといった制度を導入することなどが考えられること。

(2) 指針第4の一(2)の「一方の性の労働者のみ特別な要件を課すこと」とは、例えば、「総合職」の募集に当たって、女性についてのみ、未婚者であること等を条件とするなど、男女で異なる取扱いをすることなどが考えられること。

(3) 指針第4の一(3)の「形式的には男女双方に開かれた制度になっているが、実際の運用上は男女異なる取扱いを行うこと」とは、例えば、「総合職」をはじめとするいずれのコース等についても男女とも配置することがあり得る制度となっているが、実際の運用では「総合職」は男性のみとする慣行があること、「総合職」から「一般職」への職種の変更について、制度上は男女双方を対象としているが、男性労働者については職種の変更を認めない運用を行うことなどが考えられること。

(制度のより適正かつ円滑な運用をするために留意すべき事項の例関係)

指針第4の一(1)の「コース等の区分に用いる基準のうち一方の性の労働者が事実上満たすことが困難なもの」には、募集・採用等に当たっての転居を伴う転勤要件など雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則(昭和61年労働省令第2号)に規定する間接差別となりうる措置以外のものであっても、男女いずれかが事実上満たしにくいものがあることから、こうした基準についても、その必要性や合理性について注意することが必要であること。

(労働者の能力発揮のため実施することが望ましい事項の例関係)

(1) 指針第4の一(1)の「コース等の区分に分ける際、労働者の従来の職種等に関わらず、その時点における意欲、能力、適性等を適切に評価するとともに、当該労働者の意思を確認すること」とは、例えば、従来は転勤しないこととされていた労働者であっても、新しいコース等の区分設定によってその処遇の見通し等に変化が生じることにより、転勤のある区分を希望する者もいることが考えられることから、そうした場合に対応するため、労働者本人の意思を確認した上でコース等に区分することなどが考えられること。

(2) 指針第4の一(2)の「コース等の区分間の転換を認める制度を柔軟に設定する」とは、例えば、学校を卒業してすぐの時点では、自分の人生の将来展望もまだはっきりしていないことが多く、実際の仕事についての予備知識も十分とはいえないことから、この段階で一生のキャリアコースを固定的に決めることには無理がある場合や、就職から退職までのキャリアの間には出産や育児、介護等働き方に大きな影響を与える局面に接する場合もあることから、適当な時点で労働者が自ら所属するコース等の区分の見直しをすることができるような柔軟な転換制度を整備することなどが考えられ、こうした制度は、男女労働者がともにライフステージに応じた選択をすることが可能になるような雇用管理制度を構築するための一つの選択肢となるものであること。

2 コース等別雇用管理における募集又は採用

(法に直ちに抵触する例関係)

(1) 指針第4の二(1)の「募集又は採用に当たり、男女別で選考基準又は採用基準に差を設けること」とは、例えば、転勤があることが条件になっているコース等に応募した者のうち、女性に対してのみ、面接等において転勤の意思を確認することなどが考えられること。

(2) 指針第4の二(2)の「募集又は採用に当たり、合理的な理由なく転居を伴う転勤に応じることができる者のみを対象とすること(いわゆる「転勤要件」)又は合理的な理由なく複数ある採用の基準の中に、転勤要件が含まれていること」とは、例えば、広域にわたり展開する支店、支社等がなく、かつ、支店、支社等を広域にわたり展開する計画等もないにもかかわらず、転勤要件を設けることなどが考えられること。

(制度のより適正かつ円滑な運用をするために留意すべき事項の例関係)

指針第4の二(2)の「募集又は採用に当たり、合理的な理由により転勤要件を課す場合には、応募者に対し、可能な範囲で転勤要件に関する情報を提供する」に当たっては、事業主は、個々の労働者の将来の職業生活と家庭生活の設計を踏まえた自主的な選択を促進する観点から情報提供を行うよう留意すること。

(労働者の能力発揮のため実施することが望ましい事項の例)

(1) 指針第4の二(2)の「採用担当者等に対する研修の実施等により、性別に関わらず、労働者の意欲、能力、適性等に応じた採用の実施の徹底を図る等の対策を講じること」とは、採用担当者の固定的な性別役割分担意識等が背景となって、企業が求める人材の適正な選考の阻害要因となる場合などが生じないように留意し、対策を講じるものであること。

(2) 指針第4の二(3)の「女性応募者に対し、採用面接の際に女性の活躍を推進する意思表示を積極的に行うこと」とは、総合職の女性の採用が少なく、女性の割合が低い等の実態があることから、例えば、総合職で活躍している女性をモデルケースとして紹介することにより、意欲のある女性に対して積極的な呼びかけることなどが考えられること。

3 コース等別雇用管理における配置、昇進、教育訓練、職種の変更等

(法に直ちに抵触する例関係)

指針第4の三の「配置、昇進、教育訓練、職種の変更等に当たり、男女別で運用基準に差を設けること」とは、例えば、幅広い業務を行うこととしている「総合職」であっても女性については営業業務に配置しないことなどが考えられること。

(労働者の能力発揮のため実施することが望ましい事項の例関係)

指針第4の三の「一般職についても、相応の経験や能力等を要する業務に従事させる場合には、その労働者に対し、適切に教育訓練等を行い、その能力の向上を図るとともに、当該労働者の意欲、能力、適性等に応じ、総合職への転換を行うこと」とは、従来、ある程度勤続年数が短いことを前提として職務内容等が設定されていた一般職の勤続年数が長期化する中で、その積極的活用が大きな課題となっていることから、労働者の就業意欲を失わせないよう労働者の経験や能力を適正に評価することにより、労働者が能力を発揮できるようにするために行うものであること。

4 その他

指針第4の四(2)の「どのようなコース等の区分を選択した者にとっても家庭生活との両立を図りながら働くことのできる職場環境を整備」とは、労働者がその希望に応じ柔軟な働き方ができるよう、例えば、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)に基づき、育児休業、介護休業、所定労働時間の短縮措置等の両立支援制度を整備するとともに、労働者にとってそれらの制度が利用しやすい職場環境を整備することなどが考えられること。また、「出産、育児による休業を取得しても、その後の労働者の意欲、能力、成果等によって、中長期的には処遇上の差を取り戻すことが可能になるような人事管理制度や能力評価制度の導入を積極的に推進すること」は、労働者の充実した職業生活を実現する上で、男女双方に対して役立つものであり、労働者全体のモラールの向上や企業にとって必要な人材の確保を図る観点からも効果が期待できるものであること。

以上

(別紙)<編注:略。平成25年12月24日厚生労働省告示第384号~クリックして表示>