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「勤労者家庭支援施設の設置及び運営についての望ましい基準」の取扱いについて
平成7年9月29日婦発第274号
(各都道府県知事あて労働省婦人局長通達)
勤労者家庭支援施設の設置については、育児休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「法」という。)第二〇条に規定されるとともに、同条第三項の規定に基づく勤労者家庭支援施設の設置及び運営についての望ましい基準について、別添一のとおり、「勤労者家庭支援施設の設置及び運営についての望ましい基準(平成七年労働省告示第一〇九号)」(以下「望ましい基準」という。)として告示されたところである。
この望ましい基準については、左記の各事項に十分留意の上、貴管内において勤労者家庭支援施設を設置・運営し及び設置・運営しようとする地方公共団体に対し、その周知徹底を図るとともに、勤労者家庭支援施設の設置及び運営に関して適切な指導を行われるよう特段のご配慮をお願いする。
記
第一 望ましい基準について
一 望ましい基準制定の趣旨
望ましい基準は、勤労者家庭支援施設が、法第二〇条第二項に定める目的の下に、子の養育又は家族の介護を行う労働者、子の養育又は家族の介護を行うこととなる労働者及び妊娠、出産、育児又は介護を理由として退職した者(以下「対象労働者等」という。)の福祉の増進を図る公共的労働者福祉施設として、十分にその機能を発揮できるようにするための基準を示したものである。勤労者家庭支援施設を設置し及び運営を行う者は、望ましい基準に沿った設置及び運営を行うように配慮すべきものである。
二 設置について
勤労者家庭支援施設を望ましい基準第二条の場所に設置するに当たって、特に留意すべき事項は、次のとおりである。
(一) 対象労働者等が勤労者家庭支援施設を利用する時間は、夜間が多くなることが予測されることから、夜間における交通の便利、安全等に考慮すること。
(二) 当該地域における対象労働者等の福祉の向上に有効な各種の公共施設(例えば、勤労福祉会館等労働福祉施設、公民館、生涯学習センター等社会教育施設、保育所、児童館等児童福祉施設、老人福祉センター等老人福祉施設等)の設置状況及び設置計画等を勘案して、勤労者家庭支援施設の機能とこれらの施設の機能との重複を避け、あるいは相互の補完を考慮し、勤労者家庭支援施設がその機能を十分発揮できるような場所に設置するよう配慮すること。
三 事業について
(一) 望ましい基準第三条第一項の規定により、勤労者家庭支援施設で行う事業の内容は、次のとおりである。
イ 職業生活と家庭生活との両立に必要な相談、指導、講習、実習等を行うこと。
対象労働者等に対し、職業生活と家庭生活との両立に役立つ知識や技能の習得のための相談・指導、各種講習会、講演会、座談会等を主催することなどがこれに当たる。
ロ 職業に関する相談、指導、講習、実習等を行うこと。
対象労働者等に対し、充実した職業生活を営むための職業人としての知識や技能の習得のための相談・指導、各種講習会、講演会、座談会等を主催することなどがこれに当たる。
ハ 対象労働者等の育児及び家族の介護の援助に関する事業を行うこと。
対象労働者等が家族の一員としての役割を円滑に果たすことができるための知識や技能の習得のための相談・指導、展示、各種講習会、講演会、座談会等を主催することなどがこれに当たる。
ニ 休養及びレクリエーションについて場と機会を提供し、必要な助言及び指導を行うこと。
対象労働者等に対し、談話、読書、スポーツ等のため、施設、設備を利用に供し、また、対象労働者等が余暇を活用して行う親睦、趣味、教養等各種の自主クラブ活動を育成し、活動の場の提供、運営に対する助言その他指導、援助を行うことがこれに当たる。
ホ その他、対象労働者等の福祉を増進するために必要な事業を行うこと。
イからニまでに掲げるもののほか、地域の実情と対象労働者等のニーズに応じ、対象労働者等の福祉を増進するために必要な事業を実施する。
四 名称について
勤労者家庭支援施設の名称については、正式名称のほか、適宜の判断により愛称を用いることは差し支えない。
五 建物について
(一) 勤労者家庭支援施設の主要構造部については、鉄骨造り又は鉄骨鉄筋若しくは鉄筋コンクリート造りとするよう配慮するものとする。
(二) 勤労者家庭支援施設は、他の公共施設との複合施設とするよう努めるものとする。
(三) 勤労者家庭支援施設の建築延面積は、千平方メートルを標準として事業の効果的運営が行えるように配慮して定めるものとする。
六 施設及び設備について
望ましい基準第六条第一項の規定に基づいて勤労者家庭支援施設が備えるべき施設及び設備の種類は、次のとおりである。
(一) 施設及び設備
・講習、実習等に必要な施設及び設備
・休養及びレクリエーションに必要な施設及び設備
・各種の相談に必要な施設及び設備
・託児のために必要な施設及び設備
・対象労働者等が勤労者家庭支援施設を利用するために一時的に高齢者を預かるための施設及び設備
なお、この施設・設備は、身体的機能がある程度低下していたり、火の不始末が心配であるなど、一人で自宅にいると心配な高齢者を一時的に預り、対象労働者等が勤労者家庭支援施設を利用しやすくするための付随的なものであり、援護を要する高齢者に対する介護等のサービスの提供を目的とするものではない。
・事務及び管理に必要な施設及び設備
・その他事業の実施に必要な施設及び設備
なお、それぞれの施設について、高齢者、乳幼児同伴者等が利用しやすいものとするよう配慮することが望ましいものであること。
(二) 施設の規模、配置等
各施設の規模、配置等及び設備の種類、様式等については、利用する対象労働者等及び地域のニーズに応えられるものとするとともに、利用者が利用しやすく、また、利用意欲を喚起するよう配置するものとする。
七 施設の管理について
(一) 勤労者家庭支援施設は、地方公共団体が管理するものとする。
(二) 勤労者家庭支援施設の管理及び運営について法人等に委託する場合には、設置目的に反しない範囲で地方公共団体の責任において行うこととする。
(三) 勤労者家庭支援施設は、対象労働者等のための公共の労働福祉施設であり、その設置の趣旨に反する利用に供してはならないものとする。
(四) 勤労者家庭支援施設相互の連絡協力
勤労者家庭支援施設の機能の充実と、効果的な運営を促進するため、全国の勤労者家庭支援施設が相互に密接に連絡し、協力するように配慮するものとする。
八 利用者について
(一) 勤労者家庭支援施設は、対象労働者等に利用させるものとするが、家内労働者及び対象労働者等の家族については、対象労働者等に準じて利用させて差し支えないものとする。また、勤労者家庭支援施設の設置目的に反しない限りにおいて上記以外の者に利用させることは差し支えない。
(二) 勤労者家庭支援施設の利用者は、原則として、勤労者家庭支援施設の設置されている地方公共団体の区域内に居住し、又は勤務する前記(一)の者とするものとする。
九 職員について
(一) 勤労者家庭支援施設に置くように努めるものとする館長及び勤労者家庭支援施設指導員については、地方公共団体の実情に応じ、併任又は兼務の職員であっても差し支えないものとする。
(二) 勤労者家庭支援施設の指導員については、一定の資格を設けることにより、指導員としての資質の向上を図るため、「育児休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二一条第二項に基づき勤労者家庭支援施設指導員の資格を定める告示(平成七年労働省告示第一一〇号)」において、二〇歳以上の者であって、学校教育法(昭和二二年法律第二六号)に基づく高等学校若しくは旧中等学校令(昭和一八年勅令第三六号)に基づく中等学校を卒業した者又はこれらの者と同等以上の学力を有する者で、労働大臣が実施する講習(法第二五条第一項の規定に基づき法第二二条第二項の指定法人に行わせるものを含む。)又は労働大臣が指定する講習を修了したものとする、と定めているところである。
(三) 勤労者家庭支援施設に置くように努めるものとする保母(児童福祉法施行令(昭和二三年政令第七四号)第一三条にいう有資格者)については、託児の実施に当たり必要に応じて配置するものとし、専任、併任を問わず、また、嘱託等であっても差し支えないものとする。
(四) 勤労者家庭支援施設の館長、勤労者家庭支援施設指導員を配置した場合には、国又は地方公共団体の行う研修等への参加について配慮するものとする。
一〇 運営委員会について
運営委員会の構成、人員等については、運営委員会が円滑に運営できるよう地方公共団体の実情に応じて定めるものとするが、関係労使団体等の参加をも考慮するものとする。
一一 他の福祉施設との連絡協力等
勤労者家庭支援施設をその地域における対象労働者等の福祉に関する事業の拠点としてふさわしいものとするため、事業の実施に当たって当該地域における各種の施設及び機関と密接な連絡をとり、また協力を得るよう配慮するものとする。
なお、協力を得べき施設としては、労働会館、勤労福祉会館等の労働福祉施設のほか、公民館、図書館、児童館、在宅介護支援センター等の公共施設及び民間における対象労働者等の福祉に関係ある各種の施設を含むものである。
また、勤労者家庭支援施設における事業の実施に当たっては、必要に応じ、地方公共団体における労政、福祉、教育担当部局等及び関係団体相互の間において連携協力が図られることが望ましい。
第二 勤労者家庭支援施設運営状況報告について
勤労者家庭支援施設に関する施策の充実等に資するため、設置した勤労者家庭支援施設の施設運営規則、運営委員会規則、職員の配置及び運営委員会の構成などに関する事項、事業計画に関する事項、施設の利用状況、相談実施状況、託児室の運営状況、一時的に高齢者を預かる施設の運営状況など運営実績に関する事項などについて、別添二の「勤労者家庭支援施設運営状況報告要領」に定めるところにより、報告を求めることとする。
第三 働く婦人の家を勤労者家庭支援施設に変更する場合について
育児休業等に関する法律の一部を改正する法律(平成七年法律第一〇七号。以下「改正法」という。)の施行の際、働く婦人の家を設置している地方公共団体が当該働く婦人の家を勤労者家庭支援施設に変更することを希望する場合には、その旨の申出を労働大臣に行い、労働大臣が当該申出を承認した場合には、当該承認の日において、当該働く婦人の家は、勤労者家庭支援施設に変更できるものである(改正法附則第九条第二項及び第三項)。
したがって、国の補助金の交付を受けて設置した働く婦人の家の勤労者家庭支援施設への変更を希望する場合には、労働大臣あて用途変更の承認の申請と、改正法附則第九条第二項及び第三項に基づく承認の申請とを合わせて、別紙様式一により行うこと。
ただし、国の補助金の交付を受けないで設置した働く婦人の家の勤労者家庭支援施設への変更を希望する場合には、別紙様式二により労働大臣あて改正法附則第九条第二項及び第三項に基づく承認申請を行うものとする。
これらの場合において、申請者が市町村又は特別地方公共団体であるときは、関係都道府県を経由して労働大臣に提出するものとする。