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短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施行について
平成5年12月1日発婦第21号
(各都道府県知事、各都道府県労働基準局長各都道府県婦人少年室長、雇用促進事業団理事長あて労働事務次官通達)
短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七六号。以下「法」という。)については、第一二六回国会において、一部修正の上、平成五年六月一一日に可決成立し、同月一八日に公布され、本日から施行されることとなった(ただし、短時間労働援助センターに係る部分は、平成六年四月一日から施行される。)。
法は、短時間労働者について、その適正な労働条件の確保及び教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善に関する措置、職業能力の開発及び向上等に関する措置等を講ずることにより、短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もってその福祉の増進を図ろうとするものであり、その主たる内容は左記とおりである。
労働省としては、法の施行に万全を期すこととしており、法の施行に必要な関係政省令のうち、短時間労働援助センターに係る部分以外についてはすでに公布されたところであるが、短時間労働援助センターに係る部分については、平成六年四月一日の施行までに制定、公布することとしている。
貴職におかれては、以上のことを十分御理解の上、その施行に万全を期されたく、命により通達する。
なお、平成元年六月二三日労働省発婦第九号「総合的パートタイム労働対策について」は廃止する。
記
1 目的
この法律は、短時間労働者について、その適正な労働条件の確保及び教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善に関する措置、職業能力の開発及び向上等に関する措置等を講ずることにより、短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もってその福祉の増進を図ることを目的とすること。(法第一条関係)
2 定義等
(1) 定義
この法律において「短時間労働者」とは、一週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者に比し短い労働者をいうこと。(法第二条関係)
(2) 関係者の責務
イ 事業主はその雇用する短時間労働者について、その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して、適正な労働条件の確保及び教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善(以下「雇用管理の改善等」という。)を図るために必要な措置を講ずるように努めるものとし、事業主の団体はその構成員である事業主の雇用する短時間労働者の雇用管理の改善等に関し必要な援助に努めるものとしたこと。(法第三条関係)
ロ 国は短時間労働者の雇用管理の改善等の促進その他その福祉の増進を図るために必要な施策の総合的かつ効果的な推進に努めるものとし、地方公共団体は国の施策と相まって短時間労働者の福祉の増進を図るために必要な施策の推進に努めるものとしたこと。(法第四条関係)
3 短時間労働者対策基本方針
(1) 策定等
労働大臣は、婦人少年問題審議会(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律第五条第四項等の審議会を定める政令(平成五年政令第三六七号)により定められている。4(1)ハにおいて同じ。)の意見を聴いて、短時間労働者の雇用管理の改善等の促進、職業能力の開発及び向上等に関する施策の基本となるべき方針(以下「短時間労働者対策基本方針」という。)を定め、これを公表するものとしたこと。(法第五条(第二項以外)関係)
(2) 短時間労働者対策基本方針に定める事項
短時間労働者対策基本方針に定める事項は、次のとおりとしたこと。
イ 短時間労働者の職業生活の動向に関する事項
ロ 短時間労働者の雇用管理の改善等を促進し、並びにその職業能力の開発及び向上を図るために講じようとする施策の基本となるべき事項
ハ その他短時間労働者の福祉の増進を図るために講じようとする施策の基本となるべき事項(法第五条第二項関係)
4 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置等
(1) 雇用管理の改善等に関する措置
イ 労働条件に関する文書の交付
事業主は、短時間労働者を雇い入れたときは、速やかに、当該短時間労働者に対して、労働時間その他の労働条件に関する事項を明らかにした文書を交付するように努めるものとしたこと。(法第六条関係)
ロ 就業規則の作成の手続
事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとしたこと。(法第七条関係)
ハ 指針の策定
労働大臣は、婦人少年問題審議会の意見を聴いて、イ及びロのほか、2の(2)のイの事業主が講ずべき雇用管理の改善等のための措置に関し、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(以下「指針」という。)を定め、これを公表するものとしたこと。(法第八条関係)
ニ 短時間雇用管理者の選任
事業主は、常時一〇人(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則(平成五年労働省令第三四号)により定められている。)以上の短時間労働者を雇用する事業所ごとに、指針に定める事項その他の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項を管理させるため、短時間雇用管理者を選任するように努めるものとしたこと。(法第九条関係)
ホ 報告の徴収並びに助言、指導及び勧告
労働大臣は、事業主に対し、短時間労働者の雇用管理の改善等を図るため必要があると認めるときは、直接又は下部機関を通じて、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができるものとしたこと。(法第一〇条関係)
(2) 職業能力の開発及び向上等に関する措置
イ 職業訓練の実施等
国、都道府県及び雇用促進事業団は、短時間労働者等の職業能力の開発及び向上を促進するため、啓もう宣伝を行うように努めるとともに、職業訓練の実施について特別の配慮をするものとしたこと。(法第一一条関係)
ロ 職業紹介の充実等
国は、短時間労働者になろうとする者の職業の選択、職業への適応を容易にするため、雇用情報の提供、職業指導及び職業紹介の充実等必要な措置を講ずるように努めるものとしたこと。(法第一二条関係)
5 短時間労働援助センター
(1) 指定
労働大臣は、短時間労働者の雇用管理の改善等の援助を行うことその他短時間労働者の福祉の増進を図ることを目的として設立された民法第三四条の法人であって(2)のイの業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものをその申請により、全国に一を限って、当該業務を行う短時間労働援助センターとして指定することができるものとしたこと。(法第一三条及び第一四条関係)
(2) 業務等
イ 短時間労働援助センターは、次に掲げる業務を行うものとしたこと。
(イ) 短時間労働者の職業生活に関する調査研究を行うこと。
(ロ) 事業主その他の関係者に対して、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する講習等を行うこと。
(ハ) 短時間労働者の職業生活に関する情報及び資料を総合的に収集し、並びに短時間労働者、事業主その他の関係者に対して提供すること。
(ニ) ロの業務を行うこと。
(ホ) (イ)から(ニ)までの業務のほか、短時間労働者の雇用管理の改善等の援助を行うための業務その他短時間労働者の福祉の増進を図るために必要な業務を行うこと。(法第一五条関係)
ロ 労働大臣は、短時間労働援助センターを指定したときは、短時間労働援助センターに労働者災害補償保険法第二三条の労働福祉事業又は雇用保険法第六四条の雇用福祉事業のうち次のいずれかに該当するものに係る業務の全部又は一部を行わせるものとしたこと。
(イ) 短時間労働者を雇用する事業主又はその事業主の団体に対して支給する給付金であって、労働省令で定めるものを支給すること。
(ロ) 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する技術的事項について、事業主その他の関係者に対して相談その他の援助を行うこと。
(ハ) 短時間労働者に対して、その職業生活に関する事項について相談その他の援助を行うこと。
(ニ) 短時間雇用管理者等に対する研修を行うこと。
(ホ) (イ)から(ニ)までの業務のほか、短時間労働者の雇用管理の改善等を促進するために必要な事業その他短時間労働者の福祉の増進を図るために必要な事業を行うこと。(法第一六条関係)
ハ イ及びロのほか、短時間労働援助センターについて、業務規程の認可、給付金業務に係る認可、給付金業務の報告、事業計画、区分経理、交付金、役員の選任及び解任、監督命令その他の規定を設けるものとしたこと。(法第一七条から第三〇条まで、第三三条から第三五条まで関係)
6 雇用管理の改善等の研究等
労働大臣は、短時間労働者のその職域の拡大に応じた雇用管理の改善等に関する措置その他短時間労働者の雇用管理の改善等に関し必要な事項について、調査、研究及び資料の整備に努めるものとしたこと。(法第三一条関係)
7 適用除外
この法律は、国家公務員及び地方公務員並びに船員については適用しないものとしたこと。(法第三二条関係)
8 施行期日等
(1) この法律は、平成五年一二月一日(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施行期日を定める政令(平成五年政令第三六六号)により定められている。)から施行するものとしたこと。ただし、五に関する規定は、平成六年四月一日から施行するものとしたこと。(法附則第一条関係)
(2) 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の規定の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしたこと。(法附則第二条関係)
(3) 関係法律について所要の規定の整備を行うものとしたこと。(法附則第三条及び法附則第四条関係)