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特定元方事業者による作業場所の巡視に係るデジタル技術の活用について
令和6年6月28日基安安発0628第1号
(都道府県労働局労働基準部長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長通知)
労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第30条第1項第3号の規定に基づく特定元方事業者による作業場所の巡視については、「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」(令和4年6月3日)及び「デジタル原則を踏まえたアナログ規制の見直しに係る工程表」(令和4年12月21日)において必要な見直しを進めていくこととされたところである。
こうした状況の中、建設業労働災害防止協会においてデジタル技術の活用に関する検討が進められ、本年3月、「令和5年度ICTを活用した労働災害防止対策のあり方に関する検討委員会報告書」が別添のとおり取りまとめられた。
当該報告書を踏まえ、特定元方事業者による作業場所の巡視について、定点カメラやモバイルカメラ等のデジタル技術を活用した遠隔からの巡視(以下「遠隔巡視」という。)の考え方を下記のとおりまとめたので、関係事業者等に対する周知、指導等に努められたい。
なお、遠隔巡視の実施に当たり、特定元方事業者が請負事業者の労働者に対し撮影場所等を指示することは、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分において、業務の遂行に関する指揮命令に該当しない(労働者派遣事業に該当しない。)と整理されているので了知されたい。
また、遠隔巡視の考え方は現時点での対応をまとめたものであり、遠隔巡視の実施状況や今後の技術革新等の状況を踏まえて、必要に応じて見直しを行うものであることに留意されたい。
記
1 作業場所の安全衛生水準が低下することがないように十分留意の上、作業場所の巡視の趣旨目的に照らし、遠隔巡視が的確に実施可能と考えられる場合に行うこと。
2 遠隔巡視には、嗅覚や触覚等、現在のデジタル技術では把握困難な事項等があること、不安全な状態や不安全な行動等への改善措置を直ちに講じることが困難な場面もあること等、その限界も十分考慮する必要があること。したがって、作業現場に元方事業者が常駐している場合、重大な災害の発生リスクの大きい作業等の場合(リスクの高い作業の実施時、新たな作業や工法の導入時、作業工程の変更時)等にあっては目視による作業場所の巡視が適当であること。また、遠隔巡視を実施する場合であっても、週1回は目視による作業場所の巡視を行うことが適当であること。
このほか、遠隔巡視を実施する場合には、あらかじめ関係者間で遠隔巡視の実施方法等について取り決めを行うことや、遠隔巡視に使用する機器について、鮮明な画像がリアルタイムで把握できること、双方向のコミュニケーションが円滑に実施可能であること、遅延等の発生リスクが小さいこと等、遠隔巡視の円滑・適切な実施に十分配慮する必要があること。
3 上記のほか、遠隔巡視で使用する機器、遠隔巡視の実施者、関係者間の合意等、その他遠隔巡視に関わる事項等については、別添報告書の内容を踏まえて対応することが望ましいこと。
別添(令和5年度ICTを活用した労働災害防止対策のあり方に関する検討委員会報告書)