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通達:作業環境測定基準等の一部を改正する告示の適用について

 

作業環境測定基準等の一部を改正する告示の適用について

令和6年4月10日基発0410第1号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

 

作業環境測定基準等の一部を改正する告示(令和6年厚生労働省告示第187号。以下「改正告示」という。)については、令和6年4月10日に告示され、令和7年1月1日(一部は令和6年7月1日)から適用することとされたところである。その改正の趣旨、内容等については、下記のとおりであるので、関係者への周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏なきを期されたい。

 

第1 改正の趣旨及び概要

1 改正の趣旨

作業環境測定法(昭和50年法律第28号)第2条第3号に規定する指定作業場において作業環境測定を行う際のデザイン及びサンプリングについては、作業環境測定法施行規則の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第8号)の施行により、令和3年4月から、当該作業場において作業に従事する労働者の身体に装着する試料採取機器等を用いて行う作業環境測定に係るデザイン及びサンプリング(以下「個人サンプリング法」という。)を選択的に導入することが可能とされたところである。

今般、現状の測定技術等を踏まえ、個人サンプリング法の対象物質等をさらに追加するため、作業環境測定基準(昭和51年労働省告示第46号。以下「測定基準」という。)及び第三管理区分に区分された場所に係る有機溶剤等の濃度の測定の方法等(令和4年厚生労働省告示第341号。以下「第三管理区分告示」という。)について所要の改正を行ったものである。

また、有機溶剤等の量に乗ずべき数値(昭和47年労働省告示第122号。以下「有機溶剤告示」という。)において、「その他の接着剤」など多数の製品が含まれる区分に対する数値について所要の改正を行ったものである。

2 改正告示の概要

(1) 測定基準関係

ア 既に規定している個人サンプリング法の対象物質に、特定化学物質のうち、ジクロルベンジジン及びその塩など14物質を追加したものであること。

イ ベリリウム及びその化合物など7物質の分析方法に誘導結合プラズマ質量分析方法(ICP-MS)を追加したものであること。

(2) 第三管理区分告示関係

(1)アの個人サンプリング法の対象物質の追加及び(1)イの分析方法の追加に伴い、所要の改正を行ったものであること。

(3) 有機溶剤告示関係

「その他の接着剤」など多数の製品が含まれる区分に対する数値を「その他の接着剤に含有される有機溶剤の量(当該接着剤が有機溶剤を二以上含有する場合にあつては、それらの合計値)を当該接着剤の量で除した値」と改正するなど、所要の改正を行ったものであること。

3 適用期日等

(1) 適用期日

令和7年1月1日(ただし、2(3)に係る規定及び当該規定に係る経過措置については令和6年7月1日)

(2) 経過措置(改正告示附則第2項関係)

改正告示の適用の際現に存する全体換気装置の性能に係る2(3)よる改正後の有機溶剤告示の適用については、なお従前の例によることができること。

 

第2 細部事項

1 測定基準関係

(1) 改正告示で個人サンプリング法の対象物質として追加された14物質のうち、3物質(ジクロルベンジジン及びその塩、オルト―トリジン及びその塩、ジアニシジン及びその塩)は管理濃度が定められていないため、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第65条の2に基づく作業環境測定の結果の評価等を行う必要はないものの、発がん性等の観点から特定化学物質(第一類物質)として指定されているものであることから、特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)に基づく管理等が必要であること。

(2) 改正告示で別表第一に個人サンプリング法の対象物質として追加された14物質に対する試料採取方法及び分析方法(以下「追加測定方法」という。)は、個人サンプリング法を念頭に置いているため、A・B測定に適用しようとする場合は、追加測定方法の定量下限値が測定対象物質の管理濃度の10分の1を上回らないことを確認する必要があること。

(3) 追加測定方法のうち、D測定に係るものについては、追加測定方法の定量下限値が測定対象物質の管理濃度の2分の1程度を上回ることがないことが確認されたものであること。

(4) 個人サンプリング法の対象物質として追加した「ニッケル化合物(ニッケルカルボニルを除き、粉状の物に限る。)」について、平成21年3月31日付け基発第0331024号「作業環境評価基準の一部を改正する件等の施行等について」により定められている、試料採取機器の面速約19cm/秒は、インハラブル粒子を測定する趣旨であるが、分粒装置を使用せずに測定する粉じん(総粉じん)とインハラブル粒子は、両者とも全ての粒子という趣旨で定義されているため、実質的には同じものと解釈するのが自然であり、作業環境測定において両者をあえて区別する必要はないと考えられる。このため、インハラブル粒子の捕集特性を想定した試料採取機器等の面速の設定等は行わないこととしたこと。

2 第三管理区分告示関係

第三管理区分告示の改正は、測定基準の改正により追加された個人サンプリング法の対象物質等のうち、管理濃度が定められている特定化学物質(11物質)等を第三管理区分告示における個人サンプリング法の対象物質等に追加する趣旨であること。なお、管理濃度が定められていない3物質(ジクロルベンジジン及びその塩、オルト―トリジン及びその塩、ジアニシジン及びその塩)については、1(1)のとおり測定結果の評価を行う必要がないことから、第三管理区分告示の対象物質とならないため、除外している趣旨であること。

3 有機溶剤告示関係

含有される有機溶剤の量を確認する方法として、次の方法があること。なお、(1)において安全データシート(以下「SDS」という。)に含有量の情報がない場合などは、製品の販売元などに確認する方法もあること。

(1) 製品のSDSに記載されている有機溶剤の量を確認する方法

例①SDSに記載された有機溶剤の含有量が40%(重量%)であることが確認できた場合

 (含有される有機溶剤の量)=(製品の量)×0.4

例②SDSに記載された有機溶剤の含有量が「40%から45%」(重量%)である場合

 (含有される有機溶剤の量)=(製品の量)×0.45(※)

※SDSに記載された有機溶剤の含有量のうち最も高い値に基づき算出。

(2) 製品に含まれる有機溶剤の含有量を分析することにより確認する方法

 

第3 関係通達の改正

第2の1(4)に基づき、平成21年3月31日付け基発第0331024号「作業環境評価基準の一部を改正する件等の施行等について」を新旧表のとおり改めること。

 

新旧表<編注:略>