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労働安全衛生規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令の施行について
令和5年4月24日基発0424第2号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
労働安全衛生規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第70号。以下「改正省令」という。)については、令和5年4月24日に公布され、公布日から施行(一部規定については、令和6年1月1日から施行)することとされたところである。その改正の趣旨、内容等については、下記のとおりであるので、関係者への周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏なきを期されたい。
記
第1 改正の趣旨及び概要等
1 改正の趣旨
今般、労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第91号。以下「令和4年改正省令」という。)による改正後の労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)等について、より円滑な施行を期すため、所要の改正を行ったものである。
2 改正省令の概要
(1) 化学物質の含有量の通知関係
令和4年改正省令による改正後の安衛則第34条の2の6において、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第57条の2第1項の規定による文書(以下「SDS」という。)の交付等による通知事項のうち、成分の含有量については、重量パーセントの通知が義務付けられたところ、当該通知により、契約又は事業者の財産上の利益を不当に害するおそれがあるものについて、営業上の秘密を保持しつつ、必要な情報を通知するため、成分の含有量の通知方法について追加の規定を設けたものであること。
(2) 改善が困難とされた第三管理区分場所の測定関係
令和4年改正省令による改正後の有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号。以下「有機則」という。)第28条の3の2第5項等の規定による測定を行い、その結果に応じて労働者に有効な呼吸用保護具を使用させる等の措置を講じた場合は、有機則第28条第2項等の規定による作業環境測定を行うことを要しないこととしたこと。
(3) 有機溶剤中毒予防規則等の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第69号)の施行に伴う所要の改正を行ったものであること。
3 施行日(改正省令附則関係)
改正省令は、公布日から施行することとしたこと。ただし、2(3)に係る規定については、令和6年1月1日から施行することとしたこと。なお、改正省令による改正後の令和4年改正省令の規定については、令和6年4月1日施行であること。
第2 細部事項
1 化学物質の含有量の通知(安衛則第34条の2の6第2項関係)
(1) 有機則、鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第37号。以下「鉛則」という。)、四アルキル鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第38号)及び特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)の適用対象物質については、その含有量によって法令の適用関係を明らかにする必要性等があることから、本規定の適用を除外したものであること。
(2) 「当該物の成分の含有量について重量パーセントの通知をすることにより、契約又は交渉に関し、事業者の財産上の利益を不当に害するおそれがあるもの」とは、当該成分の含有量がいわゆる営業上の秘密に該当するものをいうこと。また、「その旨を明らか」にする方法は、SDSにおいて、当該成分の含有量が営業上の秘密に該当することを記載する等の方法があること。
(3) 「10パーセント未満の端数を切り捨てた数値と当該端数を切り上げた数値との範囲」とは、「10-20%」等の10パーセント刻みの記載方法をいうこと。この規定は法令上の最低基準であるため、10パーセント刻みより狭い幅の濃度範囲を通知することは当然に可能であること。
(4) 「成分の含有量に係る秘密が保全されることを条件」とは、秘密保持契約その他の秘密の保全のために一般的に必要とされる方法をいうものであり、不当に厳しい措置を譲渡・提供する相手方に求め、必要な情報の提供を阻害することを認める趣旨ではないこと。
一方で、相手方の事業者が、秘密の保全のために一般的に必要とされる措置の実施に応じない場合は、より詳細な内容を通知する必要はなく、10パーセント刻みで通知すればよいこと。
(5) 「当該相手方の事業場におけるリスクアセスメントの実施に必要な範囲内において、当該物の成分の含有量について、より詳細な内容を通知」とは、数理モデルに入力を求められる含有量の情報など、客観的な理由により、リスクアセスメントの実施に必要であると認められる含有量に関する内容を、10パーセント刻みより狭い幅の濃度範囲又は重量パーセントで通知する趣旨であること。
(6) 本項前段の規定による通知には、「成分及びその含有量」が営業上の秘密に該当する場合に、SDSには営業上の秘密に該当する旨を記載の上、成分及びその含有量の記載を省略し、秘密保持契約その他の秘密の保全のために一般的に必要とされる措置を講じた上で、成分及びその含有量を別途通知する方法が含まれること。
2 改善が困難とされた第三管理区分場所の測定(令和4年改正省令による改正後の有機則第28条の3の2第5項、鉛則第52条の3の2第5項、特化則第36条の3の2第5項及び粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号)第26条の3の2第5項関係)
(1) 有機則第28条の3の2第5項等において第三管理区分に区分された場所は、作業環境管理専門家の判断により改善措置等を実施しても改善困難な場所であること、6月以内ごとに1回、個人サンプリング測定等により物質の濃度の測定(以下「保護具選択測定」という。)を行い、呼吸用保護具の有効性を担保していることから、重ねて6月以内ごとに1回の作業環境測定を義務付けなくても、有効なばく露防止対策を実施することは可能であること。これを踏まえ、本項は、二種類の測定義務による現場の混乱を防ぐことを目的とし、6月以内ごとに1回の保護具選択測定を実施する第三管理区分場所においては、6月以内ごとに1回の作業環境測定を実施することは要しないとする趣旨であること。
(2)今回の改正は、作業環境測定の実施を「要しない」とするものであり、事業者は、使用する化学物質や作業方法等を変更した場合、任意に作業環境測定を実施し、その結果によって第一管理区分又は第二管理区分へ環境が改善していることを確認することができること。
第3 関係通達の改正について
1 令和4年5月31日付け基発0531第9号「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令等の施行について」の第4の4(2)について、次表のとおり改正する。
改正後 | 改正前 |
(2) 安衛則第34条の2の6第1項関係 本項は、SDS等における通知事項のうち「成分の含有量」について、重量パーセントによる濃度の通知を原則とする趣旨であること。なお、通知対象物であって製品の特性上含有量に幅が生じるもの等については、濃度範囲による記載も可能であること。また、重量パーセント以外の表記による含有量の表記がなされているものについては、平成12年3月24日付け基発第162号「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の施行について」の記のⅢ第8の2(2)に示したとおり、重量パーセントへの換算方法を明記していれば、重量パーセントによる表記を行ったものと見なすこと。
(削る) |
(2) 安衛則第34条の2の6関係 ア SDS等における通知事項のうち「成分の含有量」について、GHS及びJISZ7253の原則に従って、従前の10パーセント刻みでの記載方法を改めるものであること。重量パーセントによる濃度の通知が原則であるが、通知対象物であって製品の特性上含有量に幅が生じるもの等については、濃度範囲による記載も可能であること。なお、重量パーセント以外の表記による含有量の表記がなされているものについては、平成12年3月24日付け基発第162号「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の施行について」の記のⅢ第8の2(2)に示したとおり、重量パーセントへの換算方法を明記していれば、重量パーセントによる表記を行ったものと見なすこと。 イ 「成分及びその含有量」が営業上の秘密に該当する場合については、SDS等にはその旨を記載の上、成分及びその含有量の記載を省略し、秘密保持契約その他事業者間で合意した情報伝達の方法により別途通知することも可能であること。 |
2 令和4年12月26日付け基発1226第4号「労働安全衛生規則第577条の2第3項の規定に基づきがん原性がある物として厚生労働大臣が定めるものの適用について」の第3について、次表のとおり改正する。
改正後 | 改正前 |
1~3(略) 4 がん原性物質に該当する旨のSDS等による通知について 安衛則第34条の2の4第4号(令和6年4月1日以降は第5号)の通知事項である「適用される法令」の「法令」には、本告示が含まれること。この場合、リスクアセスメント対象物の名称が包括的な名称で規定されている物質であってそのうち一部の物質が本告示で定めるがん原性物質に該当するものを譲渡し、又は提供するに当たっては、SDS等に記載する成分の名称は、リスクアセスメント対象物の名称に関わらず、該当するがん原性物質の名称とすること。 |
1~3(略) (新設) |