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化学物質管理専門家の要件に係る作業環境測定士に対する講習について
令和5年1月6日基発0106第2号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第91号)による改正後の労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第34条の2の10第2項等に規定する事業場における化学物質の管理について必要な知識及び技能を有する者として厚生労働大臣が定める者(以下「化学物質管理専門家」という。)の要件については、「労働安全衛生規則第34条の2の10第2項、有機溶剤中毒予防規則第4条の2第1項第1号、鉛中毒予防規則第3条の2第1項第1号及び特定化学物質障害予防規則第2条の3第1項第1号の規定に基づき厚生労働大臣が定める者」(令和4年厚生労働省告示第274号。以下「専門家告示(安衛則等)」という。)及び「粉じん障害防止規則第3条の2第1項第1号の規定に基づき厚生労働大臣が定める者」(令和4年厚生労働省告示第275号。以下「専門家告示(粉じん則)」という。)により定められ、令和5年4月1日から適用(一部令和6年4月1日から適用)することとされたところである。
専門家告示(安衛則等)第1号ハ及び第2号並びに専門家告示(粉じん則)第3号において、化学物質管理専門家の要件として、作業環境測定法(昭和50年法律第28号。以下「作環法」という。)第7条の登録を受けた者(以下「作業環境測定士」という。)で、その後6年以上作業環境測定士としてその業務に従事した経験を有し、かつ、厚生労働省労働基準局長が定める講習(以下「講習」という。)を修了したものと規定されているところである。
今般、当該講習について、化学物質等の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づく措置等の知識の習得を主要な目的として、講習機関の要件、受講資格、講師、講習の内容等について、下記のとおり定めたので、関係事業者に周知を図るとともに、その運用に遺漏なきを期されたい。
記
1 講習機関の要件
作環法第32条第1項の登録を受けた登録講習機関であること。
2 受講資格
講習の受講資格は、作業環境測定士であって、作業環境測定士としての実務経験を6年以上有する者とすること。また、1の講習機関において、受講者が受講資格を満たすことの確認を行うこと。
3 講師
講師は、以下に示す者のいずれかであること。
1) 化学物質管理専門家の要件を満たす者
2) 学校教育法(昭和22年法律第26号)による大学又はこれに相当する外国の学校において、理工学、医学若しくはこれに類する化学物質管理に関する理科系統の科目を担当する教授若しくは准教授の職にある者若しくはこれらの職にあった者又は理工学、医学若しくはこれに類する化学物質管理に関する理科系統の科目の研究により博士の学位を授与された者
4 講習の内容
(1) 講習の内容は、次の表のとおりとすること。
科目 | 範囲 | 時間 |
化学物質等のばく露評価等 | ばく露評価の基礎、ばく露測定評価法、個人ばく露測定の進め方、化学物質等の危険性又は有害性等の調査における作業環境測定と個人ばく露測定、生物学的モニタリング等 | 6時間 |
化学物質等の危険性又は有害性等の調査 | 化学物質等の危険性又は有害性等の調査の時期及び方法並びにその結果の記録、ILOの化学物質リスク簡易評価法(コントロール・バンディング)、気中ばく露濃度推定モデル、化学物質等の危険性又は有害性等の調査に関する関係法令等 | 4時間 |
化学物質等の危険性又は有害性等の調査の結果に基づく措置等 | 化学物質等の発散抑制のための工学的対策並びに保護具の種類、性能、使用方法及び管理等 | 8時間 |
化学物質の危険性及び有害性の情報並びに表示等 | 化学物質の危険性及び有害性、GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)と危険有害性クラス及び危険有害性区分、ラベル表示及び安全データシート、危険有害性情報の収集、発がん性の分類及び機序等 | 5時間 |
化学物質等の人体への作用形態とばく露限界等 | 量―反応関係、しきい値、無毒性量(NOAEL)、最小毒性量(LOAEL)、不確実係数、ばく露限界等 | 5時間 |
有害物質の動態等 | 有害物質のばく露経路(経口・吸入・経皮)と体内での代謝経路、化学物質の有害性試験等 | 5時間 |
(2) 講習の実施に当たっては、以下に留意すること。
ア 講習の各科目は、講義により、又は講義と実習若しくは演習の組み合わせにより実施すること。
イ 講習は、全ての科目を連続して行う必要はないこと。ただし、すべての科目を同一の講習機関で実施すること。
ウ 講習は、オンラインで実施して差し支えないこと。ただし、1の講習機関が講習の実施状況を把握することができるよう、当該講習機関が設定した会場に集合して実施すること。
5 修了試験等
(1) 修了試験
ア 修了試験は、筆記試験により実施するものとし、講習時間を全時間受講した者に対して行うこと。
イ 修了試験は、講習の効果を把握するため、講習の内容を十分に理解しているか否かを判定できるものとすること。
ウ 修了試験は、講習修了後に1時間以上実施すること。また、講習機関の監視者と同一の場所で対面により実施すること。
(2) 講習修了者の決定等
修了試験については、満点を100点とし、得点が70点以上の者を合格者とすること。
(3) 修了証の交付
講習機関は、当該講習を修了した者に対し、次の内容を記載する修了証を交付すること。
ア 当該講習を修了した者の氏名及び生年月日
イ 修了した講習の内容等
ウ 修了証を交付する講習機関の名称等
エ 修了証を交付する年月日
6 記録の保存
(1) 講習の記録
講習の都度、当該講習の日時、場所、科目、時間数、講師等について記録し、5年間保存すること。
(2) 修了者名簿
講習の都度、5(3)ア、イ及びエの内容を含む当該講習の修了者名簿を作成し、当該講習に係る業務の廃止に至るまで保存すること。
7 報告
講習機関は、毎事業年度の経過後3ヶ月以内に、その事業年度に実施した講習の回数、講習ごとの申込者数、受講者数及び修了者数並びにそれらの合計を厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課まで報告すること。