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通達:第三管理区分に区分された場所に係る有機溶剤等の濃度の測定の方法等の適用等について

 

第三管理区分に区分された場所に係る有機溶剤等の濃度の測定の方法等の適用等について

令和4年11月30日基発1130第1号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

 

第三管理区分に区分された場所に係る有機溶剤等の濃度の測定の方法等(令和4年厚生労働省告示第341号)については、令和4年11月30日に告示され、令和6年4月1日から適用することとされたところである。その制定の趣旨、内容等については、下記のとおりであるので、関係者への周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏なきを期されたい。

 

第1 制定の趣旨及び概要等

1 制定の趣旨

今般、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)に基づく新たな化学物質管理の仕組みが定められたことの一環として、労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第91号)により、有機溶剤、鉛、特定化学物質及び粉じん(以下「有機溶剤等」という。)に係る作業環境測定の評価の結果、第三管理区分に区分された場所における作業環境の改善の可否等について、作業環境管理専門家の意見を聴き、当該専門家が当該場所を第一管理区分若しくは第二管理区分とすることが困難であると判断した場合等は、厚生労働大臣の定めるところにより、有機溶剤等の濃度を測定しなければならないこと等が義務付けられたところである。

本告示は、労働安全衛生規則等の一部を改正する省令による改正後の有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号。以下「有機則」という。)第28条の3の2第4項第1号及び第2号、鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第37号。以下「鉛則」という。)第52条の3の2第4項第1号及び第2号、特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)第36条の3の2第4項第1号及び第2号並びに粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号。以下「粉じん則」という。)第26条の3の2第4項第1号及び第2号の規定に基づき、空気中の有機溶剤等の濃度の測定、呼吸用保護具の使用及び当該呼吸用保護具が適切に使用されていることの確認について規定したものである。

2 告示の概要

(1) 有機溶剤等の濃度の測定関係

有機則第28条の3の2第4項第1号、鉛則第52条の3の2第4項第1号、特化則第36条の3の2第4項第1号及び粉じん則第26条の3の2第4項第1号に規定する場所における有機溶剤等の濃度の測定の方法について、作業環境測定基準(昭和51年労働省告示第46号。以下「測定基準」という。)に基づく方法又は個人ばく露測定における測定方法とし、その試料採取方法及び分析方法を規定したものであること。

(2) 呼吸用保護具の使用関係

有機則第28条の3の2第4項第1号、鉛則第52条の3の2第4項第1号、特化則第36条の3の2第4項第1号及び粉じん則第26条の3の2第4項第1号に規定する有効な呼吸用保護具は、当該呼吸用保護具に係る要求防護係数を上回る指定防護係数を有するものでなければならないことを規定するとともに、要求防護係数の計算方法及び呼吸用保護具の種類に応じた指定防護係数の値を規定したものであること。

(3) 呼吸用保護具の装着の確認関係

有機則第28条の3の2第4項第2号、鉛則第52条の3の2第4項第2号、特化則第36条の3の2第4項第2号及び粉じん則第26条の3の2第4項第2号に規定する(2)の呼吸用保護具が適切に装着されていることを確認する方法として、当該呼吸用保護具を使用する労働者の顔面と当該呼吸用保護具の面体との密着の程度を示す係数(以下「フィットファクタ」という。)が呼吸用保護具の種類に応じた要求フィットファクタを上回っていることを確認することを規定するとともに、フィットファクタの計算方法及び呼吸用保護具の種類に応じた要求フィットファクタの値を規定したものであること。

3 適用日

本告示は、令和6年4月1日から適用することとしたこと。

 

第2 細部事項

1 有機溶剤等の濃度の測定関係(第1条、第4条、第7条及び第10条関係)

(1) 第1項関係

ア 本項において規定される測定は、呼吸用保護具の選定のための要求防護係数を算出するための測定であるところ、測定基準第10条第5項各号に定める測定の方法(以下「個人サンプリング法」という。)が、労働者個人のばく露する濃度を適切に測定することができる方法であることを踏まえ、個人サンプリング法を実施することができない物質を除き、個人サンプリング法による測定を義務付ける趣旨であること。同様の趣旨により、個人サンプリング法を実施できる物質については、第2項で規定する測定(以下「個人ばく露測定」という。)を認める趣旨であること。

イ 本項で定める測定は、測定基準に定める測定方法であることから、有機則第28条第2項、鉛則第52条第1項、特化則第36条第1項、粉じん則第26条第1項に基づく作業環境測定と兼ねることができること。一方、個人ばく露測定は、測定基準で規定する測定方法ではないため、屋内作業場等に対して行う作業環境測定と兼ねることはできず、別途、測定基準に定める方法で作業環境測定を実施する必要があること。

(2) 第2項関係

ア 本項第1号の「労働者の呼吸する空気中の有機溶剤等の濃度を測定するために最も適切な部位」とは、労働者の呼吸域(当該労働者が使用する呼吸用保護具の外側であって、両耳を結んだ直線の中央を中心とした、半径30センチメートルの、顔の前方に広がった半球の内側をいう。以下同じ。)をいうものであること。

ただし、呼吸用保護具を使用することにより労働者の呼吸域に試料採取機器の吸気口を装着できない場合等は、労働者の呼吸域にできるだけ近い位置とすること。

イ 本項第2号の「労働者にばく露される有機溶剤等の量がほぼ均一であると見込まれる作業」(以下「均等ばく露作業」という。)には、作業方法が同一であり、作業場所等の違いが有機溶剤等の濃度に大きな影響を与えないことが見込まれる作業が含まれること。

ウ 本項第2号の「適切な数(2以上に限る。)の労働者」とは、原則として均等ばく露作業に従事する全ての労働者であるが、作業内容等の調査結果を踏まえ、均等ばく露作業におけるばく露状況の代表性を確保できる方法により抽出した2人以上の労働者を含める趣旨であること。

エ 本項第3号の「第1号の作業に従事する全時間」には、本項第1号の作業の準備作業、当該作業の間に行われる作業、当該作業後の片付け等の関連作業の時間が一連の作業時間として含まれること。ただし、本項第1号の作業と関連しない作業の時間は含まれないこと。なお、有機溶剤等の濃度の測定を断続的に行ったために複数の測定値がある場合は、測定時間に対する時間加重平均により、本項第1号の作業に従事した全時間の有機溶剤等の濃度を評価すること。

オ 本告示第10条第2項第4号イの「分粒装置」(試料空気中の粉じんの分粒のため、試料採取機器に接続する装置をいう。)は、レスピラブル(吸入性)粉じん(分粒特性が4マイクロメートル50%カットである粉じん)を適切に分粒できることが製造者又は輸入者により明らかにされているものであること。

(3) 第3項関係

ア 本項に規定する測定は、測定精度の確保の観点から、測定の定量下限値が管理濃度の10分の1以下となるものである必要があること。

イ 測定の精度を担保するため、測定方法の決定並びに試料採取方法及び試料採取機器の選定については、第一種作業環境測定士等十分な知識及び経験を有する者により実施されるべきであること。

2 呼吸用保護具の使用関係(第2条、第5条、第8条、第11条及び別表第1~第5関係)

(1) 第1項関係

本項は、作業に従事する労働者に十分な性能を有する呼吸用保護具を使用させるため、有機則第28条の3の2第4項第1号、鉛則第52条の3の2第4項第1号、特化則第36条の3の2第4項第1号及び粉じん則第26条の3の2第4項第1号に規定する「有効な」呼吸用保護具の要件を規定する趣旨であること。

(2) 第2項関係

本項で定める要求防護係数は、測定の結果得られた有機溶剤等の濃度の値が管理濃度の何倍であるかを示す趣旨であること。

(3) 第3項関係

本項各号で定める「有機溶剤等の濃度の測定の結果得られた値」については、1で定める測定の方法に応じ、測定の結果得られた値のうち、最も高い値とする趣旨であること。

(4) 第4項(本告示第2条にあっては第5項)及び別表第1~第5関係

ア 本項(本告示第2条にあっては第5項)及び別表第1から第4までは、呼吸用保護具の種類に応じて、指定防護係数の値を規定する趣旨であること。なお、指定防護係数は、呼吸用保護具の種類ごとに、実際の作業における測定又はそれと同等の測定の結果により得られた防護係数(呼吸用保護具の外側の測定対象物質の濃度を当該呼吸用保護具の内側の測定対象物質の濃度で除したもの。以下同じ。)の値の集団を統計的に処理し、当該集団の下位5%に当たる値として決定された値であること。

イ 本項(本告示第2条にあっては第5項)ただし書及び別表第5は、別表第1から第4までに規定する指定防護係数の例外を規定する趣旨であること。具体的には、別表第5に掲げる呼吸用保護具の種類のうち、特定の呼吸用保護具の防護係数が、別表第5に規定する指定防護係数の値よりも高い値を有することが製造者により明らかにされているものについては、別表第5に規定する値を指定防護係数とすることを認める趣旨であること。

(5) 第2条第6項及び第7項並びに第8条第5項及び第6項関係

ア 第2条第6項及び第8条第5項の「十分な除毒能力を有する吸収缶」とは、作業環境中の有機溶剤等の濃度に対して除毒能力に十分な余裕のあるものをいうものであること。

イ 第2条第7項及び第8条第6項の「破過」とは、吸収缶が除毒能力を喪失することをいうものであり、本項は、吸収缶が使用時間の経過により破過することを防止するために、吸収缶が破過する前に、作業を終了し、又は、新しい吸収缶に交換することを求める趣旨であること。

ウ ガス又は蒸気状の有機溶剤等が粉じん等と混在している作業環境で使用する呼吸用保護具は、粉じん等を捕集する防じん機能と防毒機能の両方を有するものであること。

(6) その他

ア 金属の粉末等、粉じん則の適用と同時に、鉛則又は特化則の適用がある物を取り扱う作業場所での呼吸用保護具の要求防護係数については、本告示第11条及び第5条又は第8条の規定に基づきそれぞれ算出された要求防護係数のうち、最大のものを当該呼吸用保護具の要求防護係数として取り扱うこと。

イ 特化則第2条第1項第3号の3に規定する特別有機溶剤等に該当し、かつ、特化則第36条の5に規定する特定有機溶剤混合物にも該当する物については、本告示第2条第3項各号に基づき含有量が重量の1%を超える特別有機溶剤について当該特別有機溶剤ごとの測定結果の評価を行うとともに、本告示第2条第4項の規定に基づき混合有機溶剤としての測定結果の評価も行わなければならないこと。

3 呼吸用保護具の装着の確認関係(第3条、第6条、第9条及び第12条関係)

(1) 第1項関係

ア 本項は、作業に従事する労働者が、呼吸用保護具を適切に装着しているかを確認するため、有機則第28条の3の2第4項第2号、鉛則第52条の3の2第4項第2号、特化則第36条の3の2第4項第2号及び粉じん則第26条の3の2第4項第2号に規定する確認の方法を規定する趣旨であること。

また、呼吸用保護具の装着の確認は、面体と顔面の密着性等について確認する趣旨であることから、「呼吸用保護具(面体を有するものに限る。)」という規定は、フード形、フェイスシールド形等の面体を有しない呼吸用保護具を本項の確認の対象から除く趣旨であること。

イ 本項の「日本産業規格T8150(呼吸用保護具の選択、使用及び保守管理方法)に定める方法」には、日本産業規格T8150に定める「定量的フィットテスト」による方法が含まれること。また、本項の「これと同等の方法」には、日本産業規格T8150に定める「定性的フィットテスト」(半面形面体を有する呼吸用保護具に対して行うものに限る。)のうち、定量的な評価ができる方法が含まれること。

ウ 本項に規定する呼吸用保護具の適切な装着の確認は、フィットファクタの精度等を確保するため、十分な知識及び経験を有する者が実施すべきであること。

(2) 第2項関係

ア 本項の「フィットファクタ」は、呼吸用保護具の外側の測定対象物の濃が、呼吸用保護具の内側の測定対象物の濃度の何倍であるかを示す趣旨であること。

イ 本項の「測定対象物」には、日本産業規格T8150に定める「定量的フィットテスト」及び「定性的フィットテスト」で使用される空気中の粉じん、エアロゾル等が含まれること。

(3) 第3項関係

本項の「要求フィットファクタ」の値は、米国労働安全衛生庁(OSHA)の規則等を踏まえて決定したものであること。