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インターネット等を介したeラーニング等により行われる労働安全衛生法に基づく安全衛生教育等の実施について
令和3年1月25日基安安発0125第2号・基安労発0125第1号・基安化発0125第1号
(都道府県労働局労働基準部長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長・労働衛生課長・化学物質対策課長通知)
労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第59条第3項に規定する安全又は衛生のための特別の教育(以下「特別教育」という。)に係る当面の考え方については、令和2年3月26日付け基安安発0326第1号、基安労発0326第2号、基安化発0326第1号「インターネット等を介したeラーニングにより行われる特別教育の当面の考え方等について」(以下「特別教育通達」という。)により示したころであるが、特別教育以外の厚生労働省がカリキュラム等を定める労働災害の防止のために必要な安全衛生教育及び研修(以下「安全衛生教育等」という。)についてもインターネットその他の高度情報通信ネットワークを利用して行う通信制の職業訓練等(以下「eラーニング等」という。)を実施する動きが認められるところである。
この状況を踏まえ、今般、安全衛生教育等をeラーニング等により実施することについて、下記のとおり基本的な考え方及び留意事項を示すこととしたので、事業者及び安全衛生教育等の実施機関等に対する周知、指導について遺漏なきを期されたい。
なお、本通達をもって、特別教育通達は廃止する。
記
1 基本的な考え方
労働災害を防止するためには、作業に就く労働者に対し、必要な安全衛生教育等を適切に実施することが極めて重要であることから、法では、新規雇入れ時のほか、作業内容変更時においても安全衛生教育を行うべきことを定め、また、危険・有害業務に就く者に対する特別の教育や職長等の現場監督者、その他事業場の安全衛生担当者等に対する安全衛生教育等を行うべきことを定めている。
近年の急速なデジタル技術の進展に伴い、eラーニング等により安全衛生教育等を実施することへのニーズが高まっているが、eラーニング等により安全衛生教育等を行う場合においても、対面による方法と同等の教育効果を担保するため、安全衛生教育等の実施者は、記の2に掲げる事項に留意する必要がある。
2 eラーニング等により安全衛生教育等を行う場合の留意事項
eラーニング等により安全衛生教育等を行う場合であっても、法定の科目の範囲、教育時間及び講師の要件を満たした上で、教本等必要な教材を用いて行うとともに、以下に留意して実施する必要があること。なお、個別の教育ごとに満たすべき要件を別表に取りまとめたので、適宜参照すること。
(1) 法第76条第1項の規定による技能講習(以下「技能講習」という。)、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)別表第4衛生工学衛生管理者免許の項第1号の都道府県労働局長の登録を受けた者が行う衛生工学衛生管理者講習(以下「衛生工学衛生管理者講習」という。)、建築物石綿含有建材調査者講習登録規程(平成30年厚生労働省、国土交通省、環境省告示第1号)第2条第2項の規定による建築物石綿含有建材調査者講習(以下「建築物石綿含有建材調査者講習」という。)及び石綿障害予防規則第三条第六項の規定に基づき厚生労働大臣が定める者等(令和2年厚生労働省告示第277号)に基づく分析調査講習(以下「分析調査講習」という。)以外の安全衛生教育等
ア 受講者が受講した事実及び教材の閲覧・視聴等による教育時間が法令で定める教育時間以上であることを、教育を実施する者が担保する必要があり、具体的には次のような確認方法があること。
(ア) 受講者を1か所に集合させず、例えば、ビデオ会議ツール等を用い、リアルタイムで講師が受講状況を確認しながら教育を行う方法
(イ) 使用されている映像教材又はウェブサイト動画等について、動画の再生記録やパソコンの操作記録等に基づき教育を実施する者が受講状況を確認する方法
(ウ) 上記(ア)及び(イ)のほか、教育時間について、教育を実施する者が合理的に証明できる方法
イ 映像教材又はウェブサイト動画等に出演する講師並びに当該映像教材又はウェブサイト動画等を作成する者及び監修する者が、いずれも当該教習に関して十分な知識又は経験を有すること。
ウ 受講者からの質疑を受付け、回答できる体制を整えること。
エ 実技による教育又は実地による研修が必要なものについては、講師と同一場所で対面により実施すること。
(2) 技能講習、衛生工学衛生管理者講習、建築物石綿含有建材調査者講習及び分析調査講習
ア 技能講習については、法第77条第2項第3号に規定する業務を管理する者が技能講習の実施状況を把握することができるよう、登録教習機関が設定した会場に集合して実施し、修了試験を対面により実施すること。また、受講者からの質問があった際に、講師が講義中に適切に応答できるよう双方向性が確保されていること。
イ 衛生工学衛生管理者講習については、労働安全衛生法及びこれに基づく命令に係る登録及び指定に関する省令(昭和47年労働省令第44号。以下「登録省令」という。)第1条の2の2の2第1項第3号に規定する衛生工学衛生管理者講習の業務を管理する者が衛生工学衛生管理者講習の実施状況を把握することができるよう、登録衛生工学衛生管理者講習機関が設定した会場に集合して実施し、修了試験を対面により実施すること。また、受講者からの質問があった際に、講師が講義中に適切に応答できるよう双方向性が確保されていること。
ウ 建築物石綿含有建材調査者講習については、建築物石綿含有建材調査者講習登録規程第5条第1項第6号に規定する建築物石綿含有建材調査者講習事務を管理する者が当該講習の実施状況を把握することができるよう、講習実施機関が設定した会場に集合して実施し、筆記及び口述による修了考査を対面により実施すること。また、受講者からの質問があった際に、講師が講義中に適切に応答できるよう双方向性が確保されていること。
エ 分析調査講習については、分析調査講習実施機関が当該講習の実施状況を把握することができるよう、分析調査講習実施機関が設定した会場に集合して実施し、筆記及び口述による修了考査を対面により実施すること。また、受講者からの質問があった際に、講師が講義中に適切に応答できるよう双方向性が確保されていること。
別表
eラーニングにより行われる雇入れ時等教育等が満たすべき要件
|
雇入れ時等の教育(※1) |
特別教育 |
職長等の教育(※2) |
技能講習 |
安全管理者選任時研修(※3) |
衛生工学衛生管理者講習 |
作業環境測定士登録講習(※4) |
建築物石綿含有建材調査者講習 |
分析調査講習 |
eラーニング等の内容 |
教育内容が労働安全衛生規則第35条第1項に定める範囲を満たすこと |
教育内容が各特別教育規程に定める範囲を満たすこと |
教育内容が法第60条に定める範囲を満たすこと |
講習範囲が各技能講習規程に定める範囲を満たすこと |
研修内容が、告示(※5)第1号に定める範囲を満たすこと |
講習内容が、告示(※6)第3条第1号に定める範囲を満たすこと |
講習範囲が告示(※7)第3条第1項に定める範囲を満たすこと |
講習の講義の内容が告示(※8)第7条第2項第5号に定める範囲を満たすこと |
学科講習の内容が告示(※9)第2条第2号及び通達(※10)に定める範囲を満たすこと |
eラーニング等の教材の閲覧・視聴等の時間の担保 |
受講していることを担保できること |
教育時間が、各特別教育規程に定める時間以上であることが担保できること |
教育時間が、労働安全衛生規則第40条第2項に定める時間以上であることが担保できること |
講習時間が、各技能講習規程に定める時間以上であることが担保できること |
研修時間が、告示(※5)第1号に定める時間以上であることが担保できること |
講習時間が、告示(※6)第3条第1号に定める時間以上であることが担保できること |
講習時間が、告示(※7)第3条第1項に定める時間以上であることが担保できること |
講習の講義時間が、告示(※8)第7条第2項第5号に定める時間以上であることが担保できること |
学科講習の講習時間が、告示(※9)第2条第2号に定める時間以上であることが担保できること |
使用されている映像教材又はウェブサイト動画等に出演する講師並びに当該映像教材又はウェブサイト動画等を作成する者及び監修する者 |
― |
いずれも十分な知識又は経験を有することが確認できること |
いずれも十分な知識又は経験を有することが確認できること |
いずれも各技能講習規程に定める講師の要件を満たすことが確認できること |
いずれも告示(※5)第2号に定める講師として必要な能力を有することの要件を満たすことが確認できること |
いずれも登録省令第1条の2の2の2第1項第2号に定める講師の要件を満たすことが確認できること |
いずれも作業環境測定法別表第3各号の表の科目の欄に掲げる講習科目に応じ、それぞれ同表の条件の欄に掲げる条件のいずれかに適合する知識経験を有することが確認できること |
いずれも告示(※8)第5条第1項第3号に定める講師の要件を満たすことが確認できること |
いずれも通達(※10)に定める講師の要件を満たすことが確認できること |
実技、修了試験等 |
雇入れ時等の教育のうち、実技教育について、講師と同一場所で対面により実施していること |
特別教育のうち、実技教育について、講師と同一場所で対面により実施していること |
― |
実技講習について講師と同一場所で対面により実施していること及び修了試験について登録教習機関の監視者と同一場所で対面により実施していること |
― |
修了試験について登録衛生工学衛生管理者講習機関の監視者と同一場所で対面により実施していること |
― |
筆記試験による修了考査について建築物石綿含有建材調査者講習実施機関の監視者と同一場所で対面により実施していること |
筆記試験による修了考査について分析調査講習実施機関の監視者と同一場所で対面により実施していること |
実地研修について講師と同一場所で対面により実施していること及び口述試験による修了考査を対面により実施していること |
実地研修について講師と同一場所で対面により実施していること及び口述試験による修了考査を対面により実施していること |
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実施場所、質問対応 |
受講者からの質問があった際に受付け回答できる体制があること |
受講者からの質問があった際に受付け回答できる体制があること |
受講者からの質問があった際に受付け回答できる体制があること |
登録教習機関が設定した会場に集合して実施することにより、法第77条第2項第3号に規定する業務を管理する者が技能講習の実施状況を把握できること |
受講者からの質問があった際に受付け回答できる体制があること |
登録衛生工学衛生管理者講習機関が設定した会場に集合して実施することにより、登録省令第1条の2の2の2第1項第3号に規定する衛生工学衛生管理者講習の業務を管理する者が衛生工学衛生管理者講習の実施状況を把握することができること |
受講者からの質問があった際に受付け回答できる体制があること |
建築物石綿含有建材調査者講習実施機関が設定した会場に集合して実施することにより、建築物石綿含有建材調査者講習登録規程第5条第1項第6号に規定する建築物石綿含有建材調査者講習事務を管理する者が当該講習の実施状況を把握できること |
分析調査講習機関が設定した会場に集合して実施することにより、分析調査講習実施機関が当該講習の実施状況を把握できること |
受講者からの質問があった際に、講師が講義中に適切に応答できるよう双方向性が確保されていること |
受講者からの質問があった際に、講師が講義中に適切に応答できるよう双方向性が確保されていること |
受講者からの質問があった際に、講師が講義中に適切に応答できるよう双方向性が確保されていること |
受講者からの質問があった際に、講師が講義中に適切に応答できるよう双方向性が確保されていること |
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人数 |
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15人以内の受講者をもって一単位としていること |
学科講習について、会場ごとにおおむね100人以内の受講者としていること |
会場ごとにおおむね100人以内の受講者としていること |
会場ごとにおおむね100人以内の受講者としていること |
学科講習について、会場ごとにおおむね100人以内の受講者としていること |
学科講習について、会場ごとにおおむね100人以内の受講者としていること |
学科講習について、会場ごとにおおむね100人以内の受講者としていること |
討議方式として実施する教育 |
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同一時間に参加した受講者の相互のやりとりが可能となるよう双方向性が確保されていること |
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(※1) 法第59条第1項及び第2項の規定による雇入れ時等の教育
(※2) 法第60条の規定による職長等の教育
(※3) 労働安全衛生規則第5条第1号の厚生労働大臣が定める研修
(※4) 作業環境測定士法(昭和50年法律第28号)第5条の講習
(※5) 労働安全衛生規則第五条第一号の規定に基づき厚生労働大臣が定める研修(平成18年厚生労働省告示第24号)
(※6) 衛生管理者規程(昭和47年労働省告示第94号)
(※7) 作業環境測定士規程(昭和51年労働省告示第16号)
(※8) 建築物石綿含有建材調査者講習登録規程(平成30年厚生労働省、国土交通省、環境省告示第1号)
(※9) 石綿障害予防規則第三条第六項の規定に基づき厚生労働大臣が定める者等(令和2年厚生労働省告示第277号)
(※10) 令和2年9月1日付け基発0901第10号「石綿障害予防規則第三条第六項の規定に基づき厚生労働大臣が定める者に係る具体的事項について」