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通達:電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令等の施行等について

 

電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令等の施行等について

令和2年10月27日基発1027第4号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

 

電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第82号。以下「改正省令」という。)及び電離放射線障害防止規則第3条第3項並びに第8条第5項及び第9条第2項の規定に基づく厚生労働大臣が定める限度及び方法を定める件の一部を改正する件(令和2年厚生労働省告示第169号。以下「改正告示」という。)が、それぞれ令和2年4月1日に公布又は告示され、令和3年4月1日から施行又は適用されることとなったところである。

本改正は、平成23年4月に国際放射線防護委員会が眼の水晶体の等価線量限度を引き下げるよう勧告した「組織反応に関する声明」を受けた放射線審議会の「眼の水晶体に係る放射線防護の在り方について(意見具申)」(平成30年3月2日付け原規放発第18030211号)に対応するため、所要の措置を講じるものである。

改正省令及び改正告示の内容については、下記のとおりであるので、その施行に遺漏なきを期されたい。

 

第1 改正の要点

1 改正省令関係

(1) 放射線業務従事者が眼の水晶体に受ける等価線量限度の引き下げ(改正省令による改正後の電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号。以下「電離則」という。)(以下「新電離則」という。)第5条関係)

放射線業務従事者が眼の水晶体に受ける等価線量の限度を、1年間につき150ミリシーベルトから50ミリシーベルトに引き下げるとともに、5年間につき100ミリシーベルトの被ばく限度を追加したこと。

(2) 線量の測定方法の一部変更(新電離則第8条関係)

放射線業務従事者等が電離則第3条第1項に規定する管理区域の内部において受ける外部被ばくによる線量の測定について、1センチメートル線量当量、3ミリメートル線量当量及び70マイクロメートル線量当量のうち、実効線量及び等価線量の別に応じて、放射線の種類及びその有するエネルギーの値に基づき、当該線量を算定するために適切と認められるものについて行うこととしたこと。

(3) 線量の測定結果の算定・記録・保存期間の追加(新電離則第9条関係)

放射線業務従事者が眼の水晶体に受けた等価線量について、3月ごと及び1年ごとの合計に加え、5年ごとの合計を算定し、記録し、原則として30年間保存することとしたこと。

(4) 電離放射線健康診断結果報告書の様式の一部変更(新電離則様式第2号関係)

電離放射線健康診断結果報告書(様式第2号)について、眼の水晶体の等価線量による区分欄を「20ミリシーベルト以下の者」、「20ミリシーベルトを超え50ミリシーベルト以下の者」及び「50ミリシーベルトを超える者」に改めるとともに、各線量による区分欄に「検出限界未満の者」の項目を追加したこと。

(5) 施行期日(改正省令附則第1条関係)

改正省令は、令和3年4月1日から施行すること。

(6) 経過措置(改正省令附則第2条関係)

改正省令の施行の日である令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間、電離則第4条第1項に規定する放射線業務従事者のうち、遮蔽その他の適切な放射線防護措置を講じてもなお眼の水晶体に受ける等価線量が5年間につき100ミリシーベルトを超えるおそれのある医師であって、その行う診療に高度の専門的な知識経験を必要とし、かつ、そのために後任者を容易に得ることができないものについて、眼の水晶体に受ける等価線量の限度を、1年間につき50ミリシーベルトとすること。また、当該医師の令和5年4月1日から令和8年3月31日までの間の眼の水晶体に受ける等価線量の限度を、3年間につき60ミリシーベルト及び1年間につき50ミリシーベルトとすること。

2 改正告示関係

(1) 線量の算定方法の一部変更(改正告示による改正後の電離放射線障害防止規則第3条第3項並びに第8条第5項及び第9条第2項の規定に基づく厚生労働大臣が定める限度及び方法を定める件(昭和63年労働省告示第93号。以下「93号告示」という。)(以下「新93号告示」という。)第3条関係)

眼の水晶体に受ける等価線量の算定について、1センチメートル線量当量、3ミリメートル線量当量又は70マイクロメートル線量当量のうちいずれか適切なものによって行うことができるようにしたこと。

(2) 適用日

改正告示は、令和3年4月1日から適用すること。

 

第2 細部事項

1 新電離則第5条関係

(1) 「5年間」及び「1年間」とは、第4条第1項(実効線量限度)の「5年間」及び「1年間」の始期と同じ日を始期とする5年間及び1年間をいい、当該始期を放射線業務従事者に周知させること。

(2) 事業者は、「5年間」の途中に新たに自らの事業場の管理区域内において放射線業務に従事することとなった労働者について、当該「5年間」の始期より当該管理区域に立ち入るまでの被ばく線量を当該労働者が前の事業場から交付された線量の記録(労働者がこれを有していない場合は前の事業場から再交付を受けさせること。)により確認すること。

なお、当該労働者が、当該期間において、東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則(平成23年厚生労働省令第152号)第2条第7項に規定する除染等業務及び同条第8項に規定する特定線量下業務に従事していた場合は眼の水晶体の等価線量を算定、記録することが義務付けられてはいないが、これらの業務においては指向性の高い線源はなく、実効線量と眼の水晶体の等価線量の数値に大きな違いはないと考えられることから、当該期間の実効線量を当該期間の眼の水晶体の等価線量とみなすこと。

(3) 事業者は、眼の水晶体に受ける等価線量が年間20ミリシーベルトを超える労働者について、作業環境、作業方法、及び作業時間等の改善により、当該労働者の被ばくの低減を図ること。そのために、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第18条に規定する衛生委員会を設けるべき事業者(以下「衛生委員会設置事業者」という。)にあっては、衛生委員会又は法第19条に規定する安全衛生委員会で必要な事項を調査審議させ、それ以外の事業者にあっては、関係労働者の意見を聴く機会を設けること。

(4) 健康診断(定期に行わなければならないものに限る。)を行おうとする日の属する年の前年1年間に眼の水晶体に受けた等価線量が20ミリシーベルトを超えており、かつ、当該健康診断を行おうとする日の属する1年間に眼の水晶体に受ける等価線量が20ミリシーベルトを超えるおそれのある者に対する電離則第56条第1項第4号に規定する白内障に関する眼の検査は、眼科医により行われることが望ましいこと。

2 新電離則第8条関係

(1) 第8条第2項に規定する「適切と認められるもの」とは、第9条第2項の規定に基づき新93号告示第3条で定められた方法によって実効線量及び等価線量を算定するために適切と認められる線量当量をいい、具体的には次のアからオまでのとおりである。

ア 実効線量については、1センチメートル線量当量について測定すること。

イ 眼の水晶体に受ける等価線量については、3ミリメートル線量当量を測定すること。ただし、眼の水晶体に受ける等価線量を1センチメートル線量当量又は70マイクロメートル線量当量のうちいずれか適切なものによって算定する場合は、1センチメートル線量当量及び70マイクロメートル線量当量(中性子線については、1センチメートル線量当量)について測定すること。この場合、1センチメートル線量当量と70マイクロメートル線量当量が同等程度の値となるときに、1センチメートル線量当量の測定値をもって70マイクロメートル線量当量の測定値とみなす運用については従前のとおりであること。

ウ 皮膚の等価線量(エの末端部の皮膚の等価線量を除く。)については、70マイクロメートル線量当量(中性子線については、1センチメートル線量当量)について測定すること。この場合、1センチメートル線量当量と70マイクロメートル線量当量が同等程度の値となるときに、1センチメートル線量当量の測定値をもって70マイクロメートル線量当量の測定値とみなす運用については従前のとおりであること。

エ 電離則第8条第3項の規定により、同項第3号に規定する部位に放射線測定器を装着して行う際の末端部の皮膚の等価線量の測定については、70マイクロメートル線量当量について行うこと。

オ 電離則第6条第2号に規定する妊娠と診断された女性の放射線業務従事者がその腹部表面に受ける等価線量については、1センチメートル線量当量について測定すること。

3 新電離則第9条関係

(1) 第9条第2項第5号において、5年間のうちのある1年間で20ミリシーベルトを超えた者については、それ以降は、毎年、5年間の初めからの累積線量の記録及び保存を併せて行うことが望ましいこと。

なお、第9条第3項において、事業者は放射線業務従事者に同条第2項各号に掲げる線量を遅滞なく知らせなければならないこととされているが、事業場を離職する放射線業務従事者に対しては、当該離職する日までの同項各号に掲げる線量を知らせなければならないこと。

(2) 新電離則第8条第3項では、外部被ばくによる線量の測定は同項各号に掲げる部位(以下「法定の部位」という。)に放射線測定器を装着して行うこととしている。一方、防護眼鏡その他の放射線を遮蔽して眼の水晶体に受ける等価線量を低減する効果がある個人用防護具(以下「防護眼鏡等」という。)を使用している場合には、法定の部位に装着した放射線測定器による測定だけでは、必ずしも眼の水晶体に受ける等価線量を正確に算定することができない。

このような場合には、法定の部位に加えて、防護眼鏡等によって受ける等価線量が低減されている状態の眼の水晶体の等価線量を正確に算定するために適切な測定が行える部位に放射線測定器を装着し、当該放射線測定器による測定の結果に基づき算定した線量を第9条第2項第5号の記録及び保存すべき眼の水晶体の等価線量としても差し支えないこと。

4 新電離則様式第2号関係

(1) 「検出限界未満の者」とは、外部被ばくによる線量及び内部被ばくによる線量の測定値が使用した放射線測定器の検出限界未満であった者をいうものであり、当該検出限界は放射線測定器の種類や測定条件によって異なるものであること。

(2) 令和3年4月1日以降に所轄労働基準監督署長に提出する電離放射線健康診断結果報告書については、新様式を用いること。この場合には、電離放射線健康診断結果報告書を提出すべき健康診断を行った日の属する年の前年1年間に受診労働者が受けた実効線量及び等価線量について、新様式の線量による区分にしたがって、対象者の人数を集計して記入すること。

5 改正省令附則第2条関係

(1) 改正省令附則第2条は、医療の分野において、熟練を要する治療を実施する医療機関や少数の医師で救急医療等を行う医療機関が存在すること、放射線業務に従事する医師を柔軟に増員することが困難であること等の現状があることを踏まえ、電離則第4条第1項に規定する放射線業務従事者のうち、遮蔽その他の適切な防護措置を講じてもなおその眼の水晶体に受ける等価線量が5年間につき100ミリシーベルトを超えるおそれのある医師であって、その行う診療に高度の専門的な知識経験を必要とし、かつ、そのために後任者を容易に得ることができないもの(以下「経過措置対象医師」という。)を使用する事業者を対象として、当該医師に係る新電離則第5条に規定する眼の水晶体に受ける5年間の等価線量限度についての経過措置を設けるものであること。

(2) 改正省令附則第2条第1項に規定する経過措置対象医師として取り扱うためには、令和5年3月31日までの間に、事業者がこれに該当する者として指定する必要があること。

同項の経過措置の規定は、当該指定後から令和5年3月31日までの間の全部又は一部の期間において当該経過措置対象医師を使用する全ての事業者に対して適用されるものであること。

当該事業者は、当該経過措置対象医師が眼の水晶体に受ける等価線量を可能な限り早い時期に年20ミリシーベルトを超えない状態まで低減するよう努めること。

(3) 改正省令附則第2条第2項に規定する「前項の規定の適用を受ける者」とは、上記(2)により経過措置対象医師に指定された医師を、令和5年4月1日から令和8年3月31日までの間の全部又は一部の期間において使用する全ての事業者をいうこと。

(4) 衛生委員会設置事業者は、使用する医師を経過措置対象医師に指定しようとする場合は、その妥当性について衛生委員会において調査審議させること。それ以外の事業者は、関係労働者の意見を聴くための機会を設けること。

(5) 事業者は、経過措置対象医師に指定する医師について、その旨を本人に通知するとともに、その氏名、医籍登録番号、診療科名、5年間につき100ミリシーベルトを超えるおそれのある具体的な事由及び当該医師の行う診療に高度の専門的な知識経験を必要とし、かつそのために後任者を容易に得ることができない具体的な事由を記録して、令和8年3月31日まで保存しておくこと。

経過措置対象医師に既に指定されている者を雇い入れ又は配置換えする場合は、当該者の氏名、医籍登録番号、診療科名を記録して、令和8年3月31日まで保存しておくこと。

(6) 事業者は、改正省令の施行の際現に使用している医師を経過措置対象医師に指定しようとする場合は、施行後遅滞なく指定すること。また、施行日から令和5年3月31日までに雇入れ又は配置換えした医師を経過措置対象医師に指定しようとする場合は当該雇入れ又は配置換え後遅滞なく行うこと。

6 新93号告示第3条関係

(1) 眼の水晶体の等価線量に対応した本来の実用量は3ミリメートル線量当量であるが、1センチメートル線量当量及び70マイクロメートル線量当量を測定、確認すれば、3ミリメートル線量当量が電離則で定める眼の水晶体の1年間の等価線量限度である150ミリシーベルトを超えないように管理することができることから、93号告示では、眼の水晶体に受ける等価線量の算定は、1センチメートル線量当量又は70マイクロメートル線量当量のうち、いずれか適切なものによって行うこととしていた。しかしながら、新電離則では眼の水晶体の等価線量限度について、1年間につき150ミリシーベルトから50ミリシーベルトに引き下げるとともに、5年間につき100ミリシーベルトの被ばく限度を追加したため、事業者は眼の水晶体の等価線量を正確に算定し、当該等価線量限度を超えないよう管理する必要がある。そこで、新93号告示では、眼の水晶体の等価線量について、3ミリメートル線量当量により算定することを原則としつつ、1センチメートル線量当量及び70マイクロメートル線量当量を測定、確認することによって3ミリメートル線量当量が新電離則で定める眼の水晶体の等価線量限度を超えないように管理することできる場合には、1センチメートル線量当量又は70マイクロメートル線量当量による算定でも差し支えないこととしたこと。

 

第3 関係通達の改正

1 「電離放射線障害防止規則第56条に規定する健康診断における被ばく歴の有無の調査の調査・評価項目及び健康診断の項目の省略等の可否について」(平成13年6月22日付け基発第568号)の一部を、令和3年4月1日をもって、次のように改正する。

記の第2の2の(5)に次のように加える。

オ 健康診断を行おうとする日の属する年の前年1年間に眼の水晶体に受けた等価線量が20mSvを超えており、かつ、当該健康診断を行おうとする日の属する1年間に眼の水晶体に受ける等価線量が20mSvを超えるおそれのある者

 

2 「労働安全衛生規則及び電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令の施行等について」(平成13年3月30日付け基発第253号)の一部を、令和3年4月1日をもって、次のように改正する。

(1) 記の第3の6の(2)を削る。

(2) 記の第3の9の(4)及び(5)を削る。

(3) 記の第3の9の(6)中「当該部位にうけた1センチメートル線量当量及び70マイクロメートル線量当量から」を「当該部位にうけた1センチメートル線量当量、3ミリメートル線量当量及び70マイクロメートル線量当量のうち、実効線量及び等価線量の別に応じて、放射線の種類及びその有するエネルギーの値に基づき、当該外部被ばくによる線量を算定するために適切と認められるものから」に改める。

(4) 記の第3の18の(1)中「「眼の水晶体につき1年間に150ミリシーベルト」」を「「眼の水晶体につき5年間に100ミリシーベルト及び1年間に50ミリシーベルト」」に改める。

 

3 「電離放射線障害防止規則第3条第3項並びに第8条第6項及び第9条第2項の規定に基づき厚生労働大臣が定める限度及び方法を定める件の一部を改正する件の適用及び電離放射線障害防止規則第8条第4項の規定に基づき、厚生労働大臣が定める方法を定める件の廃止について」(平成13年3月30日付け基発第254号)を、令和3年4月1日をもって、次のように改正する。

記の第1の3の(2)を削る。