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ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドラインの改正について
令和2年7月20日基発0720第2号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
ずい道等建設工事における粉じん対策については、「ずい道等建設工事における粉じん対策の推進について」(平成12年12月26日付け基発第768号の2)の別添1「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)により推進しているところである。
今般、ずい道等建設工事における粉じん対策に関し、作業環境を将来にわたってよりよいものとする観点から、「トンネル建設工事の切羽付近における作業環境等の改善のための技術的事項に関する検討会」の報告書(令和2年1月30日公表)における提言を踏まえ、粉じん障害防止規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第128号。以下「改正省令」という。)、ずい道等の掘削等作業主任者技能講習規程の一部を改正する件(令和2年厚生労働省告示第235号)及び粉じん作業を行う坑内作業場に係る粉じん濃度の測定及び評価の方法等(令和2年厚生労働省告示第265号)が公布及び告示され、一部の規定を除き、令和3年4月1日から施行される。
本改正の趣旨を踏まえ、改正省令により改正された粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号)及びそれに基づく厚生労働省告示の規定のほか、事業者が実施すべき事項及び関係法令等を一体的に示すことにより、ずい道等建設工事における粉じん対策のより一層の充実を図るため、ガイドラインの全部を別添1のとおり改正する。参考として、新旧対照表(別添2)<編注:略>を添付するので活用されたい。
ついては、関係事業者に対し、ガイドラインの周知徹底を図るとともに、ずい道等建設工事における粉じん対策の一層的確な推進を図られたい。
なお、ずい道等建設工事における粉じん対策の推進に当たっては、発注機関との連携が重要であることから、この点について特に留意するよう申し添える。
また、発注機関に対して別添3のとおり、関係団体に対して別添4のとおり要請したので了知されたい。
別添1
ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン
第1 趣旨
本ガイドラインは、ずい道等(ずい道及びたて坑以外の坑(採石法(昭和25年法律第291号)第2条に規定する岩石の採取のためのものを除く。)をいう。以下同じ。)を建設する工事(以下「ずい道等建設工事」という。)における粉じん対策に関し、作業環境を将来にわたってよりよいものとする観点から、粉じん障害防止規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第128号)により改正された粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号)及び粉じん作業を行う坑内作業場に係る粉じん濃度の測定及び評価の方法等(令和2年厚生労働省告示第265号。以下「測定等告示」という。)等の規定のほか、事業者が実施すべき事項及び関係法令において規定されている事項のうち重要なものを一体的に示すことにより、ずい道等建設工事における粉じん対策のより一層の充実を図ることを目的とする。
第2 適用
本ガイドラインは、ずい道等建設工事であって、動力及び発破を用いて鉱物等を掘削する場所における作業(以下「掘削作業」という。)、動力を用いて鉱物等を積み込み若しくは積み卸す場所における作業(以下「ずり積み作業」という。)、コンクリート等を吹き付ける場所における作業(以下「コンクリート等吹付作業」という。)、ロックボルトの取付け作業等、粉じんが発生する作業を有するずい道等建設工事に適用する。
ただし、作業の自動化等により、労働者がずい道等の坑内に入らないずい道等建設工事には、適用しない。
第3 事業者の実施すべき事項
1 粉じん対策に係る計画の策定
事業者は、ずい道等建設工事を実施しようとするときは、事前に、粉じんの発散を抑制するための粉じん発生源に係る措置、換気装置等による換気の実施、粉じん濃度等の測定、有効な呼吸用保護具の使用、労働衛生教育の実施、その他必要な事項を内容とする粉じん対策に係る計画を策定すること。
2 ずい道等の掘削等作業主任者の職務
事業者は、ずい道等の掘削等作業主任者に、次の事項を行わせること。
(1) 空気中の粉じんの濃度等の測定の方法及びその結果を踏まえた掘削等の作業の方法を決定すること。
(2) 換気(局所集じん機、伸縮風管、エアカーテン、移動式隔壁等の採用、粉じん抑制剤若しくはエアレス吹付等粉じんの発生を抑制する措置の採用又は遠隔吹付の採用等を含む。)の方法を決定すること。
(3) 粉じん濃度等の測定結果に応じて、労働者に使用させる呼吸用保護具を選択すること。
(4) 粉じん濃度等の試料採取機器の設置を指揮し、又は自らこれを行うこと。
(5) 呼吸用保護具の機能を点検し、不良品を取り除くこと。
(6) 呼吸用保護具の使用状況を監視すること。
3 粉じん発生源に係る措置
事業者は、ずい道建設工事における次の事項について、次に定めるところにより、粉じんの発散を防止するための措置を講じること。ただし、湿潤な土石又は岩石を掘削する作業、湿潤な土石の積込み又は運搬を行う作業及び水の中で土石又は岩石の破砕、粉砕等を行う作業にあっては、この限りでないこと。
(1) 工法
設計段階において、より粉じん発生量の少ないトンネルボーリングマシン工法や、シールド工法等の採用について検討すること。
(2) 掘削作業
ア 発破による掘削作業
① せん孔作業
くり粉を圧力水により孔から排出する湿式型の削岩機(発泡によりくり粉の発散を防止するものを含む。)を使用すること又はこれと同等以上の措置を講じること。
② 発破作業
発破の作業を行った時は、発破による粉じんが適当に薄められた後でなければ、発破をした箇所に労働者を立ち入らせないこと。
イ 機械による掘削作業(シールド工法及び推進工法による掘削作業を除く。)
次に掲げるいずれかの措置又はこれと同等以上の措置を講じること。
① 湿式型の機械装置を設置すること。
② 土石又は岩石を湿潤な状態に保つための設備を設置すること。
ウ シールド工法及び推進工法による掘削作業
次に掲げるいずれかの措置又はこれと同等以上の措置を講じること。
① 湿式型の機械装置を設置すること。
② 密閉型のシールド掘削機等切羽の部分が密閉されている機械装置を設置すること。
③ 土石又は岩石を湿潤な状態に保つための設備を設置すること。
(3) ずり積み等作業
ア 破砕・粉砕・ふるいわけ作業
次に掲げるいずれかの措置又はこれと同等以上の措置を講じること。
① 密閉する設備を設置すること。
② 土石又は岩石を湿潤な状態に保つための設備を設置すること。
イ ずり積み及びずり運搬作業
土石を湿潤な状態に保つための設備を設置すること又はこれと同等以上の措置を講じること。
(4) ロックボルトの取付け等のせん孔作業及びコンクリート等吹付作業
ア ロックボルトの取付け等のせん孔作業
くり粉を圧力水により孔から排出する湿式型の削岩機(発泡によりくり粉の発散を防止するものを含む。)を使用すること又はこれと同等以上の措置を講じること。
イ コンクリート等吹付作業
① 湿式型の吹付機械装置を使用すること又はこれと同等以上の措置(エアレス吹付技術を含む。)を講じること。
② 吹付コンクリートへの粉じん抑制剤(粉体急結剤、液体急結剤)の添加及びコンクリートの分割練混ぜの導入を図ること。
③ 吹付ノズルと吹付面との距離、吹付角度、吹付圧等に関する作業標準を定め、労働者に当該作業標準に従って作業させること。
④ より本質的な対策として、遠隔吹付技術の導入を検討すること。
(5) その他
ア たい積粉じんの発散を防止するため、坑内に設置した機械設備、電気設備等にたい積した粉じんを定期的に清掃すること。
イ 車両系機械の走行によるたい積粉じんの発散を少なくするため、次の事項の実施に努めること。
① 走行路に散水すること、走行路を仮舗装すること等粉じんの発散を防止すること。
② 走行速度を抑制すること。
③ 過積載をしないこと。
ウ エアカーテン、移動式隔壁等、切羽等の粉じん発生源において発散した粉じんが坑内に拡散しないようにするための方法の導入を図ること。
エ 坑内で常時使用する建設機械については、排出ガスの黒煙を浄化する装置を装着したものの使用に努めること。
なお、レディーミクストコンクリート(JIS A 5308)車等外部から坑内に入ってくる車両については、排気ガスの排出を抑制する運転に努めること。
4 換気装置等(換気装置及び集じん装置をいう。以下同じ。)による換気の実施等
(1) 換気装置による換気の実施
事業者は、坑内の粉じん濃度を減少させるため、次に掲げる事項に留意し、換気装置による換気を行うこと。
ア 換気装置(風管及び換気ファンをいう。以下同じ。)は、ずい道等の規模、施工方法、施工条件等を考慮した上で、坑内の空気を強制的に換気するのに最も適した換気方式のものを選定すること。
なお、換気方式の選定に当たっては、発生した粉じんの効果的な排出及び希釈に加え、坑内全域における粉じん濃度の低減に配慮することが必要であり、より効果的な換気方法である吸引捕集方式の導入を図るとともに、局所集じん機、伸縮風管、エアカーテン、移動式隔壁等の導入を図ること。
イ 送気口(換気装置の送気管又は局所換気ファンによって清浄な空気を坑内に送り込む口のことをいう。以下同じ。)及び吸気口(換気装置の排気管によって坑内の汚染された空気を吸い込む口のことをいう。以下同じ。)は、有効な換気を行うのに適正な位置に設けること。
また、ずい道等建設工事の進捗に応じて速やかに風管を延長すること。
ウ 換気ファンは、風管の長さ、風管の断面積等を考慮した上で、十分な換気能力を有しているものであること。
なお、風量の調整が可能なものが望ましいこと。
エ 換気装置の送気量及び排気量のバランスが適正であること。
オ 粉じんを含む空気が坑内で循環又は滞留しないこと。
カ 坑外に排気された粉じんを含む空気が再び坑内に逆流しないこと。
キ 風管の曲線部は、圧力損失を小さくするため、できるだけ緩やかな曲がりとすること。
(2) 集じん装置による集じんの実施
事業者は、坑内の粉じん濃度を減少させるため、次に掲げる事項に留意し、集じん装置による集じんを行うこと。
ア 集じん装置は、ずい道等の規模等を考慮した上、十分な処理容量を有しているもので、粉じんを効率よく捕集し、かつ、レスピラブル(吸入性)粉じんを含めた粉じんを清浄化する処理能力を有しているものであること。
イ 集じん装置は、粉じんの発生源、換気装置の送気口及び吸気口の位置等を考慮し、発散した粉じんを速やかに集じんすることができる位置に設けること。
なお、集じん装置への有効な吸込み気流を作るため、局所換気ファン、隔壁、エアカーテン等を設置することが望ましいこと。また、局所集じん機の導入を図ること。
ウ 集じん装置にたい積した粉じんを廃棄する場合には、粉じんを発散させないようにすること。
(3) 換気装置等の管理
ア 換気装置等の点検及び補修等
事業者は、換気装置等については、半月以内ごとに1回、定期に、次に掲げる事項について点検を行い、異常を認めたときは、直ちに補修その他の措置を講じること。
① 換気装置
a 風管及び換気ファンの摩耗、腐食、破損その他損傷の有無及びその程度
b 風管及び換気ファンにおける粉じんのたい積状態
c 送気及び排気の能力
d その他、換気装置の性能を保持するために必要な事項
② 集じん装置
a 構造部分の摩耗、腐食、破損その他損傷の有無及びその程度
b 内部における粉じんのたい積状態
c ろ過装置にあっては、ろ材の破損又はろ材取付け部分等のゆるみの有無
d 処理能力
e その他、集じん装置の性能を保持するために必要な事項
イ 換気装置等の点検及び補修等の記録
事業者は、換気装置等の点検を行ったときは、次に掲げる事項を記録し、これを3年間保存すること。
① 点検年月日
② 点検方法
③ 点検箇所
④ 点検の結果
⑤ 点検を実施した者の氏名
⑥ 点検の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、その内容
5 粉じん濃度等の測定
(1) 粉じん濃度等の測定
ア 事業者は、粉じん作業を行う坑内作業場(ずい道等の内部において、ずい道等の建設の作業を行うものに限る。以下同じ。)について、半月以内ごとに1回、定期に、別紙1に定めるところにより、当該坑内作業場の切羽に近接する場所において、次に掲げる事項を測定すること。
また、事業者は、換気装置を初めて使用する場合、又は施設、設備、作業工程若しくは作業方法について大幅な変更を行った場合にも、測定を行う必要があること。
① 空気中の粉じんの濃度
② 空気中の粉じん中の遊離けい酸の含有率
③ 風速
④ 換気装置等の風量
⑤ 気流の方向
イ ずい道等の長さが短いこと等により、空気中の粉じんの濃度等の測定が著しく困難である場合は、アの測定を行わないことができる。また、別紙1の3(2)ただし書きに定める方法等、当該坑内作業場における鉱物等中の遊離けい酸の含有率が明らかな場合にあっては、アの②の測定を行わないことができる。
ウ アの①の測定であって、相対濃度指示方法以外の方法によるものについては、測定の精度を確保するため、第一種作業環境測定士、作業環境測定機関等、当該測定について十分な知識及び経験を有する者により実施されるべきであること。アの②の測定についても同様であること。
(2) 空気中の粉じんの濃度の測定結果の評価
事業者は、空気中の粉じんの濃度の測定を行ったときは、その都度、速やかに、次により当該測定の結果の評価を行うこと。
ア 粉じん濃度目標レベル
粉じん濃度目標レベルは2mg/m3以下とすること。
ただし、掘削断面が小さいため、2mg/m3を達成するのに必要な大きさ(口径)の風管又は必要な本数の風管の設置、必要な容量の集じん装置の設置等が施工上極めて困難であるものについては、可能な限り、2mg/m3に近い値を粉じん濃度目標レベルとして設定し、当該値を記録しておくこと。
イ 評価値の計算
空気中の粉じんの濃度の測定結果の評価値(以下「評価値」という。)は、各測定値を算術平均して求めること。
ウ 測定結果の評価
空気中の粉じんの濃度の測定結果の評価は、評価値と粉じん濃度目標レベルとを比較して、評価値が粉じん濃度目標レベルを超えるか否かにより行うこと。
(3) 空気中の粉じん濃度の測定結果に基づく措置
事業者は、評価値が粉じん濃度目標レベルを超える場合には、設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、その結果に基づき換気装置の風量の増加のほか、より効果的な換気方式への変更、集じん装置による集じんの実施、作業工程又は作業方法の改善、風管の設置方法の改善、粉じん抑制剤の使用等、作業環境を改善するための必要な措置を講じること。
また、事業者は、当該措置を講じたときは、その効果を確認するため、(1)の方法により、空気中の粉じんの濃度の測定を行うこと。
6 有効な呼吸用保護具の使用
(1) 事業者は、坑内作業場で労働者を作業に従事させる場合には、坑内において、常時、防じんマスク、電動ファン付き呼吸用保護具等有効な呼吸用保護具(掘削作業、ずり積み作業又はコンクリート等吹付作業にあっては、電動ファン付き呼吸用保護具に限る。)を使用させること。
(2) 事業者は、坑内作業場におけるずい道等建設工事の作業のうち、掘削作業、ずり積み作業、又はコンクリート等吹付作業のいずれかに労働者を従事させる場合にあっては、別紙2の定めるところにより、当該作業場についての4(1)の測定の結果(別紙1の3(2)に掲げる「標準的な遊離けい酸の含有率」を使用する場合は当該遊離けい酸含有率を含む。)に応じて、当該作業に従事する労働者に有効な電動ファン付き呼吸用保護具を使用させること。
(3) 呼吸用保護具の適正な選択、使用及び保守管理の徹底
ア 事業者は、呼吸用保護具の選択、使用及び保守管理に関する方法並びに呼吸用保護具のフィルタの交換の基準を定めること。
イ 事業者は、フィルタの交換日等を記録する台帳を整備すること。当該台帳については、3年間保存することが望ましいこと。
(4) 呼吸用保護具の顔面への密着性の確認
事業者は、呼吸用保護具を使用する際には、労働者に顔面への密着性について確認させること。
(5) 呼吸用保護具の備え付け等
事業者は、同時に就業する労働者の人数と同数以上の呼吸用保護具を備え、常時有効かつ清潔に保持すること。
7 粉じん濃度等の測定等の記録
(1) 事業者は、空気中の粉じんの濃度等の測定を行ったときは、その都度、次の事項を記録して、これを7年間保存すること。
ア 測定日時
イ 測定方法
ウ 測定箇所
エ 測定条件
オ 測定結果
カ 測定結果の評価
キ 測定及び評価を実施した者の氏名
ク 測定結果に基づいて改善措置を講じたときは、当該措置の概要
ケ 測定結果に応じた有効な呼吸用保護具を使用させたときは、当該呼吸用保護具の概要
(2) 事業者は、(1)に掲げる事項を、朝礼等で使用する掲示板等、常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付ける等の方法により、労働者に周知させること。
なお、周知の方法には、書面を労働者に交付すること、磁気ディスクその他これに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認することができる機器を設置することが含まれること。
(3) (1)に掲げる事項の記録に当たっては、次に掲げる事項に留意すること。
ア (1)エの「測定条件」は、使用した測定器具の種類、換気方法、換気装置の稼働状況、作業の実施状況等測定結果に影響を与える諸条件をいうこと。
イ (1)オの「測定結果」には、ろ過捕集方法及び重量分析方法により粉じんの濃度の測定を行った場合には、各測定点における試料空気の捕集流量、捕集時間、捕集総空気量、重量濃度、重量濃度の平均値、サンプリングの開始時刻及び終了時刻が含まれ、相対濃度指示方法により粉じんの濃度の測定を行った場合には、各測定点における相対濃度、質量濃度変換係数、重量濃度及び重量濃度の平均値が含まれるとともに、いずれの方法により粉じんの濃度の測定を行った場合にも、粉じん中の遊離けい酸の含有率及び算出された要求防護係数が含まれること。
ウ (1)キの「測定を実施した者の氏名」には、測定を外部に委託して行った場合は、受託者の名称等が含まれること。
エ (1)ケの「当該呼吸用保護具の概要」には、電動ファン付き呼吸用保護具に係る製造者名、型式の名称、形状の種類(面体形又はルーズフィット形)、面体の形状の種類(全面形又は半面形)、漏れ率の性能の等級(S級、A級又はB級)、ろ過材の性能の等級(PS1、PS2又はPS3)及び指定防護係数が含まれること。
8 労働衛生教育の実施
事業者は、坑内作業場で労働者を作業に従事させる場合には、次に掲げる労働衛生教育を実施すること。
また、これら労働衛生教育を行ったときは、受講者の記録を作成し、3年間保存すること。
(1) 粉じん作業特別教育
坑内の特定粉じん作業(粉じん障害防止規則第2条第1項第3号に規定する特定粉じん作業をいう。以下同じ。)に従事する労働者に対し、粉じん障害防止規則第22条に基づく特別教育を行うこと。
また、坑内の特定粉じん作業以外の粉じん作業に従事する労働者についても、特別教育に準じた教育を実施すること。
(2) 呼吸用保護具の適正な使用に関する教育
事業者は、坑内作業場で作業に従事する労働者に対し、呼吸用保護具の適切な選択及び使用を図るため、次に掲げる事項について教育を行うこと。
ア 粉じんによる疾病と健康管理
イ 粉じんによる疾病の防止
ウ 別紙2に定める呼吸用保護具の選択及び使用方法
9 その他の粉じん対策
事業者は、労働者が、休憩の際、容易に坑外に出ることが困難な場合は、次に掲げる措置を講じた休憩室を設置すること。
(1) 清浄な空気が室内に送気され、粉じんから労働者が隔離されていること。
(2) 労働者が作業衣等に付着した粉じんを除去することのできる用具が備えられていること。
第4 元方事業者が配慮する事項
1 粉じん対策に係る計画の調整
元方事業者は、第3の1の粉じん対策に係る計画の策定について、第3の1から7までに定める事業者の実施すべき事項に関し、関係請負人と調整を行うこと。
2 教育に対する指導及び援助
元方事業者は、関係請負人が第3の8に定める労働衛生教育について、当該教育を行う場所の提供、当該教育に使用する資料の提供等の措置を講じること。
3 清掃作業日の統一
元方事業者は、関係請負人が第3の3(5)アに定める清掃について、清掃日を統一的に定め、これを当該関係請負人に周知すること。
4 関係請負人に対する技術上の指導等
元方事業者は、関係請負人が講ずべき措置が適切に実施されるように、技術上の指導その他必要な措置を講じること。
第5 附則
1 本ガイドラインは、令和3年4月1日から施行する。ただし、第3の2の規定は、令和4年4月1日から施行する。
2 令和3年4月1日より前に発注されたずい道等建設工事については、改正前のガイドラインの第3の2、3及び4(2)イの規定は、なおその効力を有する。
別紙1
空気中の粉じん濃度等の測定方法
1 試料空気の採取
粉じん作業を行う坑内作業場の切羽に近接する場所の空気中の粉じんの濃度等の測定における試料空気の採取は、次に定めるところによること。
(1) 試料空気の採取は、次のいずれかの方法によること。この場合、次の方法のうち、2以上の方法を同時に実施しても差し支えないこと。また、定期的に行う測定ごとに異なる方法による測定を行うことも差し支えないこと。
ア 定置式の試料採取機器を用いる方法
イ 作業に従事する労働者の身体に装着する試料採取機器を用いる方法
ウ 車両系機械(動力を用い、かつ、不特定の場所に自走できる機械をいう。以下同じ。)に装着されている試料採取機器を用いる方法
(2) 定置式の試料採取機器を用いる試料空気の採取
ア 試料採取機器は、ずい道等の切羽からおおむね10メートル、30メートル及び50メートルの地点において、当該ずい道等の両側にそれぞれ設置すること。
ただし、ずい道等建設工事のうち発破、機械掘削及びずり積み作業を行う場合は、測定を実施する労働者の安全確保の観点から、ずい道等の切羽からおおむね20メートル、35メートル及び50メートルの地点に設置することができること。
イ 試料採取機器をずい道等の両側に設置する方法には、トンネル壁面に沿って設置した三脚に試料採取機器を固定する方法に加え、トンネルの壁面にアンカーを打ち、当該アンカーに試料採取機器を固定する方法及びトンネル壁面沿いの配管や支保工等に試料採取機器を固定する方法が含まれること。設置の際には、試料採取機器が換気装置による気流を直接受けないように留意すること。
ウ 試料採取機器の採取口の高さは、床上50センチメートル以上150センチメートル以下の高さとし、それぞれおおむね同じ高さとすること。
(3) 作業に従事する労働者の身体に装着する試料採取機器を用いる試料空気の採取
ア 試料採取機器の装着は、ずい道等の切羽に近接する場所において作業に従事する適切な数(2以上に限る。)の労働者に対して行うこと。
イ 作業工程ごとに労働者が入れ替わる場合は、それぞれの作業工程において切羽に近接する場所で作業に従事する労働者を2人以上選び、それぞれに試料採取機器を装着する必要があること。装着する試料採取機器は、作業に支障がないものとすること。
ウ ずい道等の切羽に近接する場所において作業に従事する労働者が1人しかいない場合は、当該労働者に対して、必要最小限の間隔をおいた2以上の作業日において試料採取機器を装着する方法により試料空気の採取を行うことができること。
(4) 車両系機械に装着されている試料採取機器を用いる試料空気の採取
ア 試料採取機器の装着は、ずい道等の切羽に近接する場所において作業に使用されている適切な数(2以上に限る。)の車両系機械に対して行うこと。
イ 作業工程ごとに車両系機械が入れ替わる場合は、切羽に近接する場所で作業する車両系機械を2台以上選び、それぞれに試料採取機器を装着する必要があること。また、ずり出しに使用するトラックは、切羽から坑外へ頻繁に移動することから、測定には使用しないこと。
ウ ずい道等の切羽に近接する場所において作業に使用されている車両系機械が1台しかない場合は、当該車両系機械において適切な間隔をおいた箇所に装着されている2以上の試料採取機器により試料空気の採取を行うことができること。この場合、当該2以上の試料採取機器の間隔を可能な限り広くすること。
エ 試料採取機器を装着する箇所は、落下物による試料採取機器の損傷を防止できる等の適切な箇所とすること。また、空気中の粉じんの濃度を適切に測定する必要があることから、運転用キャビン等外部環境から隔離されている箇所に試料採取機器を装着しないこと。
(5) 試料空気の採取の時間
ア 試料空気の採取の時間は、作業に従事する労働者が同一の作業日のうち坑内作業場におけるずい道等建設工事の一連の作業(掘削作業、ずり積み作業、コンクリート等吹付作業及びロックボルト取付け作業等)に従事する全時間とし、これら一連の作業を反復する場合は、そのうちの1回の全時間とすること。
イ 発破の作業を行う場合においては、労働災害の防止及び試料採取機器の損傷を防ぐ趣旨から、発破の作業を行った時から当該発破による粉じんが適当に薄められるまでの間は労働者及び試料採取機器を安全な場所に退避させ、作業を再開するときに、試料採取機器を再度設置して測定を再開すること。
2 空気中の粉じんの濃度の測定
(1) 空気中の粉じんの濃度の測定の方法
ア 次のいずれかの方法によること。
① ろ過捕集方法及び重量分析方法
② 相対濃度指示方法
イ アの測定には、分粒装置(試料空気中の粉じんの分粒のため、試料採取機器に接続する装置をいう。以下同じ。)を装着した測定機器を使用すること。分粒装置は、レスピラブル(吸入性)粉じん(分粒特性が4マイクロメートル50%カットである粉じん)を適切に分粒できることが製造者又は輸入者により明らかにされているものであること。
(2) 相対濃度指示方法で使用する測定機器等
ア 相対濃度指示方法で使用する測定機器は、ポンプの流量が分粒装置を適切に機能させることができるものであり、かつ、1年以内ごとに1回、定期に、粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号)第26条第3項の厚生労働大臣の登録を受けた者が行う較正を受けたものであること。
イ 相対濃度指示方法で使用する質量濃度変換係数は、併行測定(試料空気の採取において2(1)ア①及び②に掲げる方法を同時に行うこと)によって得られた数値を使用すること。なお、同一の坑内作業場において複数回の測定の結果、当該係数が安定していることが確認できた場合は、当該係数をその後の測定における質量濃度変換係数として使用することができること。
ウ 次の表に掲げる測定機器については、当該測定機器の種類に応じ、次の表に定める質量濃度変換係数の値を、「粉じん作業を行う坑内作業場に係る粉じん濃度の測定及び評価の方法等」(令和2年厚生労働省告示第265号)第1条第1項第6号ロに規定する「厚生労働省労働基準局長が示す数値」として使用することができること。
測定機器 |
質量濃度変換係数 |
LD―5R |
0.002(mg/m3/cpm) |
LD―6N2 |
0.002(mg/m3/cpm) |
3 粉じん中の遊離けい酸の含有率の測定
(1) 粉じん中の遊離けい酸の含有率の測定は、エックス線回折分析方法又は重量分析方法によること。これら分析方法に用いる試料は、1に定める方法に従って採取された試料を用いること。ただし、採取する試料の数は1つで差し支えないこと。
(2) 工事前のボーリング調査等によってあらかじめ坑内作業場の主たる鉱物等の種類が明らかになっている場合には、当該鉱物等の種類に応じて文献等から統計的に求められる標準的な遊離けい酸の含有率として、次の表に定める値を使用することができること。ただし、二酸化けい素を多量に含む変成岩である珪岩の遊離けい酸含有率は、非常に高いことが推定されるため、(1)による測定を行うこと。
なお、火成岩(塩基性岩又は超塩基性岩に限る。)の遊離けい酸含有率は、文献から、次の表に掲げる鉱物等の種類に応じた遊離けい酸含有率の値よりも低いことが推定されるため、坑内作業場の主たる鉱物等の種類が火成岩(塩基性岩又は超塩基性岩に限る。)の場合は、安全側の推計値として、当該鉱物等に係る遊離けい酸含有率を20%とみなして差し支えないこと。
鉱物等の種類 |
遊離けい酸含有率 |
火成岩(酸性岩に限る。)、堆積岩及び変成岩(珪岩を除く。) |
20% |
火成岩(中性岩に限る。) |
20% |
4 風速等の測定
(1) 風速の測定
風速の測定は、熱線風速計を用いて行うこと。
(2) 換気装置等の風量の測定
換気装置等の風量は、次式により計算すること。
換気装置等の風量(m3/min)=風速(m/sec)×0.8×60×送気口又は吸気口の断面積(m2)
(3) 気流の方向の測定
スモークテスター等により気流の方向の確認を行うこと。
別紙2
呼吸用保護具の選択及び使用方法
1 電動ファン付き呼吸用保護具の性能
ずい道等建設工事における掘削作業、ずり積み作業及びコンクリート等吹付作業に従事する労働者に使用させなければならない電動ファン付き呼吸用保護具は、当該電動ファン付き呼吸用保護具に係る要求防護係数を上回る指定防護係数を有するものとすること。
なお、切羽に近接する場所における粉じん作業は、身体負荷が大きい作業が多いことから、電動ファン付き呼吸用保護具の規格(平成26年厚生労働省告示第455号)に規定する大風量形を使用するべきであること。
2 要求防護係数
要求防護係数は、次の式により計算すること。
この式において、PFr、C、Q及びEは、それぞれ次の値を表すこと。
PFr 要求防護係数
C 別紙1の2の測定における粉じん濃度の測定値の平均値(単位 ミリグラム毎立方メートル)
Q 別紙1の3の測定における遊離けい酸の含有率(単位 パーセント)
E 0.025(単位 ミリグラム毎立方メートル)
3 指定防護計数
指定防護係数は、別表第1の左欄に掲げる電動ファン付き呼吸用保護具の種類に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる値とすること。
ただし、別表第2の左欄に掲げる電動ファン付き呼吸用保護具を使用した作業における当該呼吸用保護具の外側及び内側の粉じん濃度の測定又はそれと同等の測定の結果により得られた当該呼吸用保護具の防護係数(呼吸用保護具の外側の測定対象物の濃度を呼吸用保護具の内側の濃度で除したもの。)が同表の右欄に掲げる指定防護係数を上回ることを当該呼吸用保護具の製造者が明らかにする書面が当該呼吸用保護具に添付されている場合には、同表の左欄に掲げる呼吸用保護具の種類に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる値とすることができること。
別表第1
電動ファン付き呼吸用保護具の種類 |
指定防護係数 |
||
全面形面体 |
S級 |
PS3又はPL3 |
1,000 |
A級 |
PS2又はPL2 |
90 |
|
A級又はB級 |
PS1又はPL1 |
19 |
|
半面形面体 |
S級 |
PS3又はPL3 |
50 |
A級 |
PS2又はPL2 |
33 |
|
A級又はB級 |
PS1又はPL1 |
14 |
|
フード形又はフェイスシールド形 |
S級 |
PS3又はPL3 |
25 |
A級 |
20 |
||
S級又はA級 |
PS2又はPL2 |
20 |
|
S級、A級又はB級 |
PS1又はPL1 |
11 |
|
備考 S級、A級及びB級は、電動ファン付き呼吸用保護具の規格(平成26年厚生労働省告示第455号)第1条第4項の規定による区分(以下同じ。)であること。PS1、PS2、PS3、PL1、PL2及びPL3は、同条第5項の規定による区分(以下同じ。)であること。 |
別表第2
電動ファン付き呼吸用保護具の種類 |
指定防護係数 |
|
半面形面体又はフェイスシールド形 |
S級かつPS3又はPL3 |
300 |
フード形 |
1,000 |
別添2<新旧対照表。編注:略>
別添3
○ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドラインの改正について
令和2年7月20日基発0720第3号
(別記の発注機関の長あて厚生労働省労働基準局長通知)
ずい道等建設工事における粉じん対策については、「ずい道等建設工事における粉じん対策の推進について」(平成12年12月26日付け基発第768号の2)の別添1「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)により推進しているところです。
今般、ずい道等建設工事における粉じん対策に関し、作業環境を将来にわたってよりよいものとする観点から、「トンネル建設工事の切羽付近における作業環境等の改善のための技術的事項に関する検討会」の報告書(令和2年1月30日公表)における提言を踏まえ、粉じん障害防止規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第128号。以下「改正省令」という。)、ずい道等の掘削等作業主任者技能講習規程の一部を改正する件(令和2年厚生労働省告示第235号)及び粉じん作業を行う坑内作業場に係る粉じん濃度の測定及び評価の方法等(令和2年厚生労働省告示第265号)が公布及び告示され、一部の規定を除き、令和3年4月1日から施行されます。
本改正の趣旨を踏まえ、改正省令により改正された粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号)及びそれに基づく厚生労働省告示の規定のほか、事業者が実施すべき事項及び関係法令等を一体的に示すことにより、ずい道等建設工事における粉じん対策のより一層の充実を図るため、ガイドラインの全部を別添1のとおり改正いたしました。参考として、新旧対照表(別添2)を添付いたしますので、ご活用ください。
つきましては、貴職におかれましては、改正されたガイドラインの趣旨をご理解いただき、ずい道等建設工事の発注に当たり、必要な経費の積算にご配慮いただくようお願いします。
別記
国土交通省大臣官房長
各都道府県知事
(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構 理事長
東日本高速道路株式会社 代表取締役社長
中日本高速道路株式会社 代表取締役社長
西日本高速道路株式会社 代表取締役社長
別添4
○ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドラインの改正について
令和2年7月20日基発0720第4号
(別記の団体の長あて厚生労働省労働基準局長通知)
ずい道等建設工事における粉じん対策については、「ずい道等建設工事における粉じん対策の推進について」(平成12年12月26日付け基発第768号の2)の別添1「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)により推進しているところです。
今般、ずい道等建設工事における粉じん対策に関し、作業環境を将来にわたってよりよいものとする観点から、「トンネル建設工事の切羽付近における作業環境等の改善のための技術的事項に関する検討会」の報告書(令和2年1月30日公表)における提言を踏まえ、粉じん障害防止規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第128号。以下「改正省令」という。)、ずい道等の掘削等作業主任者技能講習規程の一部を改正する件(令和2年厚生労働省告示第235号)及び粉じん作業を行う坑内作業場に係る粉じん濃度の測定及び評価の方法等(令和2年厚生労働省告示第265号)が公布及び告示され、一部の規定を除き、令和3年4月1日から施行されます。
本改正の趣旨を踏まえ、改正省令により改正された粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号)及びそれに基づく厚生労働省告示の規定のほか、事業者が実施すべき事項及び関係法令等を一体的に示すことにより、ずい道等建設工事における粉じん対策のより一層の充実を図るため、ガイドラインの全部を別添1のとおり改正いたしました。参考として、新旧対照表(別添2)を添付いたしますので、ご活用ください。
つきましては、貴団体におかれましては、改正されたガイドラインの趣旨をご理解いただき、会員企業へ周知いただくようお願いします。
なお、別添3により、発注機関に対して要請していることを申し添えます。
別記
建設業労働災害防止協会会長
(一社)日本建設業連合会会長
(一社)全国建設業協会会長
(一社)日本道路建設業協会会長
(一社)日本鉄道建設業協会会長
(一社)日本トンネル技術協会会長
(一社)日本トンネル専門工事業協会会長
(一社)日本作業環境測定協会会長