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ボイラー及び圧力容器に使用される外国規格に適合した材料の取扱いについて
令和2年3月30日基安安発0330第4号
(都道府県労働局労働基準部長・安全衛生部安全課長あて厚生労働省労働基準局通知)
ボイラー及び圧力容器(以下「ボイラー等」という。)の主要材料については、ボイラー構造規格(平成15年厚生労働省告示第197号)第1条第1項及び第89条第1項並びに圧力容器構造規格(平成15年厚生労働省告示第196号)第1条(同規格第73条において準用する場合を含む。)において「安全な化学的成分及び機械的性質を有するものでなければならない」とされており、平成15年4月30日付け基発第0430004号において、当該規定に適合する主要材料として、日本工業規格(現在は日本産業規格。以下「JIS」という。)に適合した材料が例示されている。
近年、外国において製造されたボイラー等の輸入等の増加に伴い、外国規格に適合した材料の使用が増加していることから、一部の外国規格に適合した材料について、当面の間の取扱いを下記に示すので、業務の参考とされたい。
なお、下記取扱いに当たって判断に迷う場合は、当課まで協議されたい。
また、下記に取扱いが示されていない材料の使用や下記以外の取扱いを行う場合については、個別に検討の上、当課まで協議されたい。
なお、別紙により、関係機関に通知していることを申し添える。
記
1 使用可能な材料について
(1) ボイラーについて
ア JISB8201:2013の解説表1及び解説表2において、許容応力の参照元となっているASME規格に適合した材料について
(ア) ボイラー構造規格第1条第1項に示された「安全な化学的成分及び機械的性質を有するもの」として使用して差し支えない。
(イ) 材料の使用制限(温度、圧力、使用箇所等)はボイラー構造規格第2条及びASME規格によること。
(ウ) 許容引張応力はボイラー構造規格第3条及び第4条に基づく値又はASME SectionⅡ PartD(1998年版)の値(安全率4:ASME SectionⅠにおいて使用できる値)を使用すること。
なお、JISB8201:2013における許容引張応力表のうち、当該ASME規格が許容応力の参照元とされたものを使用できること。この場合、当該ASME規格の許容応力が参照されたJISにおける使用制限をうけること。
イ 上記以外のASME規格に適合した材料であって、ASME SectionⅠにおいて使用が認められている材料について
(ア) 使用は差し支えない。ただし、ボイラー構造規格第86条の特例に基づく都道府県労働局長が認めたものとして取り扱うこと(使用にあたり都道府県労働局長への申請が必要)。
(イ) 材料の使用制限はボイラー構造規格第2条及びASME規格によること。
(ウ) 許容引張応力はボイラー構造規格第3条及び第4条に基づく値又はASME SectionⅡ PartD(1998年版)の値(安全率4:ASME SectionⅠにおいて使用できる値)を使用すること。
ウ ENのボイラー規格において使用が認められている材料について
(ア) 使用は差し支えない。ただし、ボイラー構造規格第86条の特例に基づく都道府県労働局長が認めたものとして取り扱うこと(使用にあたり都道府県労働局長への申請が必要)。
(イ) 使用制限はボイラー構造規格第2条及びEN規格によること。
(ウ) 許容引張応力はボイラー構造規格第3条及び第4条に基づく値を使用すること。
エ ASTM規格に適合した材料のうち、ASME規格において、ASME規格に適合した材料と同一(Identical)とされている材料について
(ア) 同一とされるASME規格に適合した材料と同様の取扱いとして差し支えない。
(イ) ASME規格において、ASME規格と同一とするASTM規格については、規格番号だけでなく年版を確認するなどにより、同一とする条件等に注意すること。
(2) 第一種圧力容器及び第二種圧力容器について
ア JISB8265:2010の解説表1及び解説表2において、許容応力の参照元となっているASME規格に適合した材料について
(ア) 圧力容器構造規格第1条に示された「安全な化学的成分及び機械的性質を有するもの」として使用して差し支えない。
(イ) 材料の使用制限は圧力容器構造規格第2条及びASME規格によること。
(ウ) 許容引張応力は圧力容器構造規格第3条から第5条に基づく値又はASME SectionⅡ PartD(1998年版)の値(安全率4:ASME SectionⅧ Division1で使用できる値)を使用すること。
なお、平成15年4月30日付け基発第0430004号の別表における許容引張応力のうち、当該ASME規格が許容応力の参照元とされたものの値を使用できること。この場合、当該ASME規格の許容応力が参照されたJISにおける使用制限を受けること。
また、平成16年3月30日付け基発第0330003号による場合は、現行のASME SectionⅡ PartDに掲げる値(安全率3.5:ASME SectionⅧ Division1において使用できる値)を使用して差し支えないこと。
イ 上記以外のASME SectionⅧ Division1において使用が認められている材料について
(ア) 使用は差し支えない。ただし、圧力容器構造規格第70条の特例に基づく都道府県労働局長が認めたものとして取り扱うこと(使用にあたり都道府県労働局長への申請が必要)。
(イ) 材料の使用制限は圧力容器構造規格第2条及びASME規格によること。
(ウ) 許容引張応力は圧力容器構造規格第3条から第5条に基づく値又はASME SectionⅡ PartD(1998年版)の値(安全率4:ASME SectionⅧ Division1において使用できる値)を使用すること。
また、平成16年3月30日付け基発第0330003号による場合は、現行のASME SectionⅡ PartDに掲げる値(安全率3.5:ASME SectionⅧ Division1において使用できる値)を使用して差し支えないこと。
ウ ENの圧力容器規格において使用が認められている材料について
(ア) 使用は差し支えない。ただし、圧力容器構造規格第70条の特例に基づく都道府県労働局長が認めたものとして取り扱うこと(使用にあたり都道府県労働局長への申請が必要)。
(イ) 使用制限は圧力容器構造規格第2条及びEN規格によること。
(ウ) 許容引張応力は圧力容器構造規格第3条から第5条に基づく値を使用すること。
エ ASTM規格に適合した材料のうち、ASME規格において、ASME規格に適合した材料と同一(Identical)とされている材料について
(ア) 同一とされるASME規格に適合した材料と同様の取扱いとして差し支えない。
(イ) ASME規格において、ASME規格と同一とするASTM規格については、規格番号だけでなく年版を確認するなどにより、同一とする条件等に注意すること。
2 注意事項
(1) 上記1に記載のない材料や、上記1に記載のある材料であっても上記1とは異なる取扱いをする場合は、個別に検討すること。
(2) ミルシートにより、化学的成分及び機械的性質の確認と併せて、材料の規格番号(仕様番号)やUNS番号、グレード、タイプについても必ず確認すること。
(3) 金属材料データブック(日本規格協会)の比較材料及びJISハンドブック(日本規格協会)鉄鋼Ⅰ、鉄鋼Ⅱ及び非鉄の参考「JISと関連外国規格との比較表」は、JISに適合した材料と外国規格に適合した材料との類似性の参考となるが、同等性を判断する根拠にならないこと。
(4) ASME規格等の使用制限等については、十分確認すること。
(5) ASME SectionⅡPartDの許容応力表の値を使用する場合は、ASME SectionⅡ PartDの許容応力表のNotesも確認すること。
(6) ASTM規格に適合した材料とASME規格に適合した材料の同一性については、ASME SectionⅡにおいて、各規格番号の最初のページに記載があること。
(7) これまでに使用が認められた材料と同じ外国規格に適合した材料であっても、同一条件による使用ではない場合、使用制限等から再度使用の可否については検討が必要であること。
(8) 外国規格において、ボイラー等に使用可能であることを必ず確認すること。
(9) ボイラー構造規格第86条及び圧力容器構造規格第70条に基づく適用の特例に該当する場合、平成31年3月26日付け基安安発0326第1号に従い、当課まで協議されたい。
(別紙)
令和2年3月30日基安安発0330第5号
(別記の機関の代表者あて厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長通知)
ボイラー及び圧力容器に使用される外国規格に適合した材料の取扱いについてボイラー及び圧力容器(以下「ボイラー等」という。)の主要材料については、ボイラー構造規格(平成15年厚生労働省告示第197号)第1条第1項及び第89条第1項並びに圧力容器構造規格(平成15年厚生労働省告示第196号)第1条(同規格第73条において準用する場合を含む。)において「安全な化学的成分及び機械的性質を有するものでなければならない」とされており、平成15年4月30日付け基発第0430004号において、当該規定に適合する主要材料として、日本工業規格(現在は日本産業規格。以下「JIS」という。)に適合した材料が例示されています。
近年、外国において製造されたボイラー等の輸入等の増加に伴い、外国規格に適合した材料の使用が増加していることから、一部の外国規格に適合した材料の当面の間の取扱いについて、別紙のとおり示したところです。
貴機関におかれては、当該通達にご留意いただき、輸入ボイラー等の使用検査等の適正な実施をお願いします。
別記の機関
登録製造時等検査機関
一般社団法人日本ボイラ協会
公益社団法人ボイラ・クレーン安全協会
登録個別検定機関
一般社団法人日本ボイラ協会
公益社団法人ボイラ・クレーン安全協会
エイチエスビージャパン株式会社
指定外国検査機関
The Hartford Steam Boiler Inspection and Insurance Company
ABSG Consulting Inc.
Lloyd's Register Verification Limited
TÜV Rheinland Industrie Service GmbH