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通達:平成31年2月14日基発0214第9号

 

労働安全衛生規則の一部を改正する省令等の施行について

平成31年2月14日基発0214第9号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

 

労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成31年厚生労働省令第11号。以下「改正省令」という。)及び安全衛生特別教育規程の一部を改正する件(平成31年厚生労働省告示第32号。以下「改正告示」という。)が、平成31年2月12日にそれぞれ公布又は告示され、修羅による集材又は運材作業における危険の防止並びに、木馬運材及び雪そり運材に係る規定の廃止については、公布日に施行し、特別教育に係る規定については、平成32年8月1日から施行又は適用し、その他の規定については、平成31年8月1日から施行することとされたところである。

改正省令及び改正告示の趣旨及び内容については、下記のとおりであるので、関係事業者に対する周知を図るとともに、その施行に遺漏なきを期されたい。

 

第1 改正の趣旨及び概要

1 改正の趣旨

林業における労働災害発生状況について、死亡災害は長期的には減少しているものの、平成23年以降の死亡者数は年間40人前後で推移し、改善がみられていない。この中、チェーンソー作業による伐木作業中に発生した死亡災害については、年間の死亡者数の約6割を占めており、伐木作業中に立木等が労働者に激突する等の災害が発生している。また、林業における労働災害による休業4日以上の死傷者数(以下「死傷者数」という。)についても減少しているものの、林業における労働災害発生率は依然として高く、労働災害の起因物別に分析すると、「立木等」が労働者に激突する等により被災する労働者が年間の死傷者数の約3割程度、「チェーンソー」による切創等に被災する労働者が年間の死傷者数の約2割程度を占めている。

このような労働災害発生状況等を踏まえ、厚生労働省では、伐木等作業における安全対策のあり方に関する検討会を開催し、「伐木等作業における安全対策のあり方に関する検討会報告書」(平成30年3月6日公表。以下「報告書」という。)をとりまとめた。今般、同報告書に基づき、伐木、かかり木の処理及び造材の作業における労働災害並びに車両系木材伐出機械を用いた作業による労働災害等を防止するため、事業者が講ずべき措置等について、必要な規定の新設又は見直しを行ったものである。

2 改正の概要

(1) 改正省令関係

ア チェーンソーによる伐木等の業務の特別教育を統合することを規定すること。

イ 車両系木材伐出機械による作業、林業架線作業及び簡易林業架線作業の作業計画に示す事項に、労働災害が発生した場合の応急の措置及び傷病者の搬送の方法を追加すること。

ウ 伐木作業において受け口を作るべき立木の対象を、胸高直径が40cm以上のものから20cm以上のものへ拡大するとともに、伐根直径の4分の1以上の深さの受け口に加え適当な深さの追い口を作ることを追加すること。この場合において、技術的に困難である場合を除き、受け口と追い口の間には適当な幅の切り残しを確保することを追加すること。

エ 事業者に対して、伐木作業におけるかかり木の速やかな処理を義務付けることを規定すること。ただし、速やかに処理できない場合は、当該かかり木が激突することにより労働者に危険が生ずる箇所において、当該処理の作業に従事する労働者以外の労働者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を縄張、標識の設置等の措置によって明示するとともに、できるだけ速やかにかかり木を処理しなければならないことを規定すること。

オ 事業者は、かかり木の処理において、労働者に、かかり木にかかられている立木を伐倒させ、又はかかり木に激突させるためにかかり木以外の立木を伐倒させてはならず、また、労働者はこれらを行ってはならないことを規定すること。

カ 事業者は、伐木作業においては、当該立木の高さの2倍に相当する距離を半径とする円形の内側には、当該立木の伐倒の作業に従事する労働者以外の労働者を立ち入らせてはならないことを規定すること。

キ 事業者は、かかり木の処理においては、かかり木が激突することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるところには、当該かかり木の処理の作業に従事する労働者以外の労働者を立ち入らせてはならないことを規定すること。

ク 修羅による集材又は運材作業において、労働者を木材の滑路に立ち入らせない等の事業者が講じなければならない措置に係る規定を廃止すること。

ケ 事業者は、チェーンソーによる伐木作業等を行う労働者に下肢の切創防止用保護衣を着用させなければならず、また、当該労働者は、当該切創防止用保護衣を着用しなければならないことを規定すること。

コ 木馬運材及び雪そり運材に係る規定を廃止すること。

サ その他所要の改正を行うこと。

(2) 改正告示関係

改正省令により、かかり木の処理の禁止や労働者に下肢の切創防止用保護衣の着用等が義務付けられることから、これらの内容についても、新たに特別教育の内容として含めるなど、改正告示において、チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務に係る特別教育の科目、範囲及び時間等の細目等の所要の改正を行うこと。

 

第2 詳細事項

1 特別教育

(1) 対象業務(改正省令による改正後の労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)(以下「新安衛則」という。)第36条第8号関係)

ア 本条は、従前、立木の胸高直径により区分されていた2種類の特別教育を統合し、立木の胸高直径に関わらず、チェーンソーを用いて行う伐木、かかり木の処理及び造材(以下「伐木等」という。)の業務に従事する労働者に対する教育を強化する趣旨であること。

イ 現在、伐木等の業務を行う場合において、作業の効率性等のために、チェーンソーを用いて行うのが一般的であることから、今般の改正により、チェーンソーを用いない伐木等の業務を特別教育の対象業務から除外することとし、特別教育の統合の概要については、表1のとおりであること。

ウ なお、今般、除外された、チェーンソーを用いない伐木等の業務は、伐木等に熟練した者が宗教施設等に用いる木材を伐木するとき等の特殊な場合に限定的に実施されている現状にある。

表1 特別教育の統合の概要

胸高直径

20cm未満

20cm以上70cm未満

70cm以上

チェーンソーを用いて行う場合

①普通木の伐木

②偏心木の伐木

③かかり木の処理

④造材

上記以外

①普通木の伐木

②偏心木の伐木

③かかり木の処理

④造材

(凡例)

○:施行日の前日の時点において、改正省令による改正前の労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)(以下「旧安衛則」という。)第36条第8号の特別教育の対象となる業務(チェーンソーを用いて行う場合)

△:施行日の前日の時点において、旧安衛則第36条第8号の特別教育の対象となる業務(上記○のチェーンソーを用いて行う場合以外の場合)

●:施行日の前日の時点において、旧安衛則第36条第8号の2の特別教育の対象となる業務

―:施行日の前日の時点において、旧安衛則第36条第8号又は第8号の2の特別教育の対象ではない業務

(注)新安衛則第36条第8号の特別教育は、「○」及び「●」で示す業務が対象となる。なお、「△」及び「―」で示す業務については対象とならない。

 

(2) 特別教育の充実(改正告示による改正後の安全衛生特別教育規程(昭和47年労働省告示第92号)(以下「新規程」という。)第10条関係)

ア 伐木等の業務に関する特別教育については、以下のとおり、学科教育及び実技教育の科目、範囲及び時間等の細目等の所要の改正を行うこと。

イ 改正告示による改正前の安全衛生特別教育規程(以下「旧規程」という。)第10条第2項に定める「伐木作業に関する知識」の科目については、科目の名称を「伐木等作業に関する知識」に改め、その範囲に、新たに「造材の方法」及び「下肢の切創防止用保護衣等の着用」を追加すること。また、時間を3時間から4時間に充実すること。

ウ 旧規程第10条第3項に定める「伐木の方法」の科目については、科目の名称を「伐木等の方法」に改め、その範囲に、新たに「造材の方法」及び「下肢の切創防止用保護衣等の着用」を追加し、「大径木及び偏心木の伐木の方法」を「伐木の方法」に改めること。また、時間を4時間から5時間に充実すること。

(3) 科目の省略(新安衛則第36条第8号及び新規程第10条関係)

ア 労働安全衛生規則(以下「安衛則」という。)第37条の規定により、特別教育の科目の全部又は一部について、十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該科目の教育を省略することができることから、同条に基づき、次のとおり特別教育を省略することができること。

イ 施行日の前日の時点において、旧安衛則第36条第8号の特別教育を修了した者のうち、旧規程第10条第2項ただし書きに定めるチェーンソーに関する知識及び振動障害及びその予防に関する知識の科目の教育を含めて同特別教育を修了した者については、旧安衛則第36条第8号の2の特別教育の修了の有無にかかわらず、新規程第10条第2項及び第3項に規定する科目、範囲及び時間のうち下記の表2及び表3に規定する科目、範囲及び時間を受講することにより、同表に定める科目、範囲及び時間の一部を省略することができること。

表2 学科教育

科目

範囲

時間

伐木等作業に関する知識

造材の方法

下肢の切創防止用保護衣等の着用

1時間

関係法令

法、令及び新安衛則中の関係条項

1時間

(注)「法」とは、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)、「令」とは、労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)のこと。以下、表3から表7まで同じ。

表3 実技教育

科目

範囲

時間

伐木等の方法

下肢の切創防止用保護衣等の着用

30分間

 

ウ 施行日の前日の時点において、旧安衛則第36条第8号の特別教育を修了した者のうち、旧規程第10条第2項ただし書きに基づき、チェーンソーに関する知識及び振動障害及びその予防に関する知識の科目の教育を行うことを要しないとされた者については、旧安衛則第36条第8号の2の特別教育の修了の有無にかかわらず、新規程第10条第2項及び第3項に規定する科目、範囲及び時間のうち下記の表4及び表5に規定する科目、範囲及び時間を受講することにより、同表に定める科目、範囲及び時間の一部を省略することができること。

表4 学科教育

科目

範囲

時間

伐木等作業に関する知識

造材の方法

下肢の切創防止用保護衣等の着用

1時間

チェーンソーに関する知識

チェーンソーの種類 構造及び取扱い方法

チェーンソーの点検及び整備の方法

ソーチェーンの目立ての方法

2時間

振動障害及びその予防に関する知識

振動障害の原因及び症状

振動障害の予防措置

2時間

関係法令

法、令及び新安衛則中の関係条項

1時間

表5 実技教育

科目

範囲

時間

伐木等の方法

下肢の切創防止用保護衣等の着用

30分間

チェーンソーの操作

基本操作 応用操作

2時間

チェーンソーの点検及び整備

チェーンソーの点検及び整備の方法 ソーチェーンの目立ての方法

2時間

 

エ 施行日の前日の時点において、旧安衛則第36条第8号の特別教育を修了していない者であって、旧安衛則第36条第8号の2の特別教育を修了した者については、新規程第10条第2項及び第3項に規定する科目、範囲及び時間のうち表6及び表7に規定する科目、範囲及び時間を受講することにより、同表に定める科目、範囲及び時間の一部を省略することができること。

表6 学科教育

科目

範囲

時間

伐木等作業に関する知識

伐倒の方法

かかり木の種類及びその処理

造材の方法

下肢の切創防止用保護衣等の着用

2時間

関係法令

法、令及び新安衛則中の関係条項

1時間

表7 実技教育

科目

範囲

時間

伐木等の方法

伐木の方法

かかり木の処理の方法

下肢の切創防止用保護衣等の着用

2時間

 

オ 施行日の前日までに、新規程第10条に規定する特別教育の全部又は一部の科目を受講した者については、当該受講した科目を省略できること。

(4) 特別教育の講師

特別教育の講師についての資格要件は定めていないが、学科及び実技の科目について十分な知識、経験を有する者でなければならないこと。

(5) 施行日及び適用日(改正省令附則第1条第2号及び改正告示関係)

平成32年8月1日

2 車両系木材伐出機械による作業等の作業計画(新安衛則第151条の89第2項、第151条の125第2項及び第151条の153第2項関係)

(1) 改正の内容

ア 伐木等の作業については、一般的に、救急車両等による乗入れが困難である場所で行われることが多く、重とくな労働災害が発生した場合においては、速やかに、救急車両等により、負傷者を搬送できないことが想定されることから、車両系木材伐出機械を用いて行う作業、林業架線作業又は簡易林業架線作業を用いて行う作業の各作業計画に示す事項に、それぞれ「労働災害が発生した場合の応急の措置」及び「傷病者の搬送の方法」を追加するものであること。

イ 「労働災害が発生した場合の応急の措置」には、関係者への連絡、被災者に対する応急の救護措置等があること。

ウ 「傷病者の搬送の方法」には、救急車両等による傷病者の搬送に加えて、傷病者を救急車両等まで搬送する方法(担架等)を含むものであること。

(2) 施行日(改正省令附則第1条関係)

平成31年8月1日

3 伐木作業における危険の防止(新安衛則第477条第1項関係)

(1) 改正の内容

ア 本項は、胸高直径が概ね20cm以上の立木を伐倒するときに死亡災害が大きく増加していることから、伐木作業において「受け口」を作るべき立木の対象を胸高直径が40cm以上のものから20cm以上のものへと対象範囲を拡大する趣旨であること。

なお、一般的に、立木の伐倒方向を確実なものにするためには、立木を伐倒したい方向に「受け口」を設けることが必要であることから、「受け口」を設けることは、伐倒方向を絞り込み、伐木作業における危険の防止を図るために有効であるとされている。

また、胸高直径20cm未満の立木については、新安衛則第477条第1項による規制の対象ではないものの、伐木に従事する労働者の知識、経験等を踏まえ、胸高直径20cm未満の立木であっても、適切に受け口、追い口及び切り残しを作ることができる場合は、受け口を作ることが望ましいこと。

イ 「伐倒しようとする立木の胸高直径が20cm以上であるときは、伐根直径の4分の1以上の深さの受け口を作り、かつ、適当な深さの追い口を作ること。この場合において、受け口と追い口の間には適当な幅の切り残しを確保すること」は、立木を切り落とし、斜め切りにより伐倒することを死亡災害の発生状況に鑑み禁止するとともに、受け口と追い口の間に適当な幅の切り残し(つる)を確保することは伐木の作業を安全に行うために有効であるとされていることから、措置を義務付けること。

ウ 「技術的に困難である場合」とは、偏心が著しい等の立木を伐倒する場合において、本条第1項に定める措置により、当該伐倒を行う労働者の安全を確保することが著しく困難である場合、人命救助等の緊急を要する場合において、同項に定める措置を行うことが困難である場合があること。

エ 「受け口と追い口の間には、適当な幅の切り残しを確保すること。」については、図1のとおり、受け口と追い口の中間に残る部分を切り残し(つる)といい、この切り残し(つる)の幅(つる幅)が伐根直径の10分の1程度となるように、図1のとおり適当な幅の切り残しを確保すること。

なお、「つる」の用語については、安衛則第477条第1項第2号において、立木の幹等に絡みつく草等の植物の意味として既に用いられていることから、用語の混同を避けるために、「追い口と切り口の間における切り残し」という意味では用いないこと。また、伐根直径については、立木の根張りを含めるものではないこと。

図1

図1 受け口、追い口及び切り残し(つる)の関係

 

(2) 施行日(改正省令附則第1条関係)

平成31年8月1日

4 かかり木の処理の作業における危険の防止(新安衛則第478条)

(1) 改正の内容

ア 本条第1項は、かかり木の処理の作業(図2)に従事する労働者以外の労働者が、放置されたままのかかり木に気付かず接近したときに、かかり木が落下し、労働災害に被災した事例を踏まえ、かかり木を放置することなく、かかり木の処理の作業を速やかに行わなければならないものとすること。

また、作業の手順や作業の場所によっては、かかり木が発生した場合であっても、やむを得ない事由により、かかり木の処理の作業を速やかに行うことができない場合があることから、この場合には、かかり木の処理の作業に従事する労働者以外の労働者がかかり木に接近することがないように立入りを禁止すること。

なお、伐木の作業に従事する労働者の人数に関わらず、より安全にかかり木の処理の作業を行うことを規定する趣旨であり、複数の労働者が協同して、かかり木の処理の作業に従事することを禁止するものではないこと。

イ 「伐木の作業を行う場合」には、立木を伐倒する作業のほか、かかり木処理の作業のための段取り作業等を含むこと。

ウ 「既にかかり木が生じている場合」とは、労働者が立木を伐倒しようとする場合において、既にかかり木が存在している場合であること。

エ 「かかり木が生じた場合」とは、労働者が立木の伐倒の作業を行ったことによりかかり木が生じた場合であること。

オ 「速やかに処理することが困難なとき」とは、職長等への作業の支援要請、必要となる機材の搬送等によるかかり木の処理の作業における安全の確保、かかり木の処理の作業に従事する労働者以外の労働者の退避等の措置を行うために、かかり木の処理の作業を直ちに行うことが困難である場合をいうこと。なお、伐木作業を行う場合には、かかり木の処理の作業を安全に行うため、けん引具等の器具を携行することが望ましいこと。

カ 「縄張、標識の設置等の措置」とは、かかり木に激突されることにより、労働者に危険が生ずる箇所において、当該労働者以外の労働者の立入りを禁止し、当該箇所に縄を張り、又はかかり木の処理を行っている旨標識を設置する等の措置があること。なお、かかり木の状態のままで放置されることがないように規定する趣旨であり、かかり木の処理の作業を速やかに行うことが可能な場合にまで、縄張、標識の設置等の措置を義務付けるものではないこと。

キ 「遅滞なく」とは、職長等への作業の支援要請、必要となる機材の搬送等によるかかり木の処理の作業における安全の確保、かかり木の処理の作業に従事する労働者以外の労働者の退避等の措置を講じた後、なるべく早急に、かかり木の処理の作業を行うこと。

図2

図2 かかり木の処理

 

ク 本条第2項及び第3項は、かかり木処理時に発生する死亡災害は多数に上っていることから、死亡災害が多く発生している「かかり木にかかられている立木を伐倒」及び「かかり木に激突させるためにかかり木以外の立木を伐倒(浴びせ倒し)」を禁止すること。

(参考1)「かかり木にかかられている立木を伐倒」とは、図3のとおり、かかられている立木を伐倒することにより、当該伐倒木及びかかり木を一体的に伐倒させること。

図3

図3 かかり木にかかられている立木を伐倒

(参考2)「かかり木に激突させるためにかかり木以外の立木を伐倒」とは、図4のとおり、他の立木を伐倒し、かかり木に激突されることにより、かかり木を外す(いわゆる浴びせ倒し)こと。

図4

図4 かかり木に激突させるためにかかり木以外の立木を伐倒

(参考3)図5に示す「かかっている木の元玉切り」(かかっている木について、かかった状態のままで元玉切りをし、地面等に落下させることにより、かかり木を外すこと。)については、改正省令により禁止するものではないが、かかり木の処理の作業を安全に行うものであるとは言えないこと。

図5

図5 かかっている木の元玉切り

 

(2) 施行日(改正省令附則第1条関係)

平成31年8月1日

5 立入禁止(新安衛則第481条)

(1) 改正の内容

ア 従来から、造林等の作業を行っている場所の下方で、伐倒木、玉切材、枯損木等の木材が転落し、又は滑ることによる危険を生ずるおそれのあるところには、労働者の立入りを禁止しているが、本条第1項において、かかり木の処理の作業を行っている場所の下方でも、かかり木が転落し、又は滑ることにより危険を生ずるおそれがあることから、同様に労働者の立入りを禁止すること。

イ 立木の伐倒の作業に従事していない労働者が伐倒木に激突される災害が発生していることから、このような災害を防止するため、本条第2項において、諸外国の基準を踏まえ、立木の根元からその樹高の2倍に相当する距離を設定し、その距離を半径とする円の内側において、当該立木の伐倒の作業に従事する労働者以外の労働者の立入りを禁止すること。

なお、伐木の作業に従事する労働者の人数に関わらず、より安全に伐木の作業を行うことを規定する趣旨であり、複数の労働者が協同して、伐木の作業に従事することを禁止するものではないこと。また、立木を伐倒するときには、立木の伐倒の作業に従事する労働者は、周辺の全ての労働者に合図により的確に情報伝達を行い、当該伐倒に係る立入り禁止の範囲から、伐倒作業に従事する労働者以外の労働者の待避の確認を徹底することが望ましいこと。

ウ 本条第2項において、「伐倒木等が激突することによる危険」とは、伐倒木が伐倒する際に近傍の立木の枝等が落下し、労働者に激突すること等を含むこと。

エ 本条第2項において、「他の労働者」には、立木の伐倒の作業に従事する労働者及びその労働者に対して、伐木の作業を安全に行う等のための助言、指導等を行う者を含まないこと。

オ 本条第3項において、新安衛則第478条に定めるかかり木の処理の作業における危険の防止とともに、新安衛則第481条第2項を踏まえ、かかり木の処理の場合であってもかかり木の処理の作業に従事する労働者以外の労働者の立入りを禁止すること。

カ 「かかり木が激突することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるところ」とは、かかり木の直下及びその周辺を含み、当該かかり木等に激突されることにより、労働者に危険が生ずる箇所と判断された範囲であること。

キ 「かかり木の処理の作業に従事する労働者」には、かかり木の処理の作業を安全に行う等のための助言、指導等を行う者を含むこと。

(2) 施行日(改正省令附則第1条関係)

平成31年8月1日

6 修羅による集材又は運材作業における危険の防止(旧安衛則第481条及び第482条)

(1) 改正の内容

報告書の「修羅、木馬運材及び雪そり運材については林業の現場でほとんど使用されていないことから、これらに係る規定については廃止すべきである。」という提言を踏まえ、修羅による集材又は運材作業に係る規定を廃止すること。

(2) 施行日(改正省令附則第1条第1号関係)

公布日

7 下肢の切創防止用保護衣の着用(新安衛則第485条)

(1) 改正の内容

ア チェーンソーによる休業4日以上の死傷災害の多くは、労働者の下肢を切創しているものであるが、チェーンソーの刃(以下「ソーチェーン」という。)が接触しやすい下肢の部分に切創防止用の繊維を入れた防護ズボン、取り外しができる前掛け状のチャップスであるような労働者の下肢の切創防止用保護衣が普及していることを踏まえ、チェーンソーによる伐木作業等を行う場合において、事業者に、防護ズボン、チャップス等の労働者の下肢を防護する保護衣を着用させることを義務付けること。また、労働者に対して、この場合に着用することを義務付けること。

イ 下肢の切創防止用保護衣については、前面にソーチェーンによる損傷を防ぐ保護部材が入っており、日本工業規格T8125―2に適合する防護ズボン又は同等以上の性能を有するものを使用すること。また、下肢の切創防止用保護衣については、労働者の身体に合ったサイズのものを着用すること。既にソーチェーンが当たって繊維が引き出されたものなど、保護性能が低下しているものは使用しないこと。

ウ チャップスを着用するに当たっては、留め金具式の場合は全ての留め具を確実に留めた上で、左右にずれないように、適度に締め付けて着用すること。なお、チャップスについては、作業中の歩行等によりチャップスがめくれることのないよう、最下部の留め具が足首にできるだけ近いものを着用することが望ましいこと。

(2) 施行日(改正省令附則第1条関係)

平成31年8月1日

8 木馬運材及び雪そり運材における危険の防止(旧安衛則第485条から第497条まで)

(1) 改正の内容

報告書の「修羅、木馬運材及び雪そり運材については林業の現場でほとんど使用されていないことから、これらに係る規定については廃止すべきである。」という提言を踏まえ、木馬運材及び雪そり運材に係る規定を廃止すること。

(2) 施行日(改正省令附則第1条第1号関係)

公布日

 

第3 関係通達の改正

昭和36年3月13日付け基発第183号関係

同通達中の10(2)及び(3)、11並びに13から23を廃止する。