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通達:蛇紋岩等の取扱い作業における石綿粉じん等に関する留意点について

 

蛇紋岩等の取扱い作業における石綿粉じん等に関する留意点について

平成30年4月13日基安労発0413第5号・基安化発0413第2号

(都道府県労働局労働基準部長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長・化学物質対策課長通知)

 

今般、蛇紋岩を取り扱うことが考えられる関係事業主団体に対してヒアリング等を行ったところ、石材等を購入して加工を行う事業者等においては、蛇紋岩の破砕等により石綿粉じんが発生するおそれがあることが必ずしも十分に認識されていないことが明らかになったところである。

ついては、関係事業主団体を通じて注意喚起するため、別添のとおり関係事業主団体あて通知したので、了知するとともに、必要な周知を図られたい。

 

[別添]

○蛇紋岩等の取扱作業に伴う石綿粉じん等に係る留意点について

平成30年4月13日基安労発0413第4号・基安化発0413第1号

(日本採石協会会長・日本石材産業協会会長・日本造園組合連合会会長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長・化学物質対策課長通知)

労働衛生行政の推進につきましては、日頃から格別のご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。

蛇紋岩は、基礎工事や石垣用等の石材や砕骨材等として、国内で年間2万6千トン(平成27年資源エネルギー庁鉱物資源課調べ)が採石されていますが、その成分として、クリソタイルやトレモライト等を含むことがあります。これらは、繊維状を呈していない場合は労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)上規制されている石綿ではありませんが、各種取扱い作業等に伴って繊維状を呈すると、同法において製造等が禁止されている石綿となります。

クリソタイルやトレモライト等を含んでいる岩石(これらの成分が繊維状を呈していないもの)を、石材や砕骨材等として利用することは労働安全衛生法上の問題はありませんが、採石業や造園業等において、これらの破砕等の作業を行う場合には、クリソタイルやトレモライト等が繊維状を呈し、石綿の粉じんが生じることがあります。

しかしながら、今般、蛇紋岩を取り扱う可能性がある関係事業主団体からヒアリング等を行ったところ、岩石の破砕等を行う事業者等においては、それに伴って石綿の粉じんが発生するおそれがあることが、必ずしも十分に認識されていないことが分かりました。

このため、貴会におかれては、下記の留意点について御了知いただくとともに、傘下の会員はじめ関係事業者に対する注意喚起をいただくようお願いいたします。

1 蛇紋岩は、その成分としてクリソタイルやトレモライト等(※)を含むことがあり、蛇紋岩の破砕、粉砕、裁断、研磨等(以下「破砕等」という。)に伴いそれらが繊維状を呈し、労働安全衛生法において製造等が禁止されている石綿の粉じんが発散する場合があること。

なお、塊状の岩石がクリソタイルやトレモライト等を含有していても、それらが繊維状を呈していなければ同法上規制されている石綿ではないため、同法に基づく製造、輸入、譲渡、提供又は使用(以下「製造等」という。)の禁止対象には該当しないこと。

(※) 蛇紋岩以外の岩石等で、アクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシドライト又はトレモライトを含むものも、以下同様であること。

2 岩石の破砕等に伴い石綿の粉じんが生じる場合であっても、当該粉じんを使用等せずに廃棄するのであれば、労働安全衛生法上禁止されている製造等には該当しないが、岩石の破砕等の作業は、粉じんに石綿が含まれるか否かを問わず、粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号。以下「粉じん則」という。)に定める粉じん作業に該当するため、事業者は、労働者の健康確保の観点から、粉じん則に基づく措置を講じなければならないこと。また、粉じん作業に係る業務に従事していた労働者の離職の際等には、じん肺健康管理手帳制度の周知を行うこと。

なお、こうした破砕等を屋内で行う場合は、粉じん則に基づき作業環境測定を実施するとともに、局所排気装置の設置等の措置を講じる必要があることに留意すること。加えて、粉じん則に基づき労働者に呼吸用保護具を使用させるときは、電動ファン付き呼吸用保護具が望ましいこと。

3 蛇紋岩及び上記※の岩石等について、石材等の加工を行っている事業者に譲渡(販売)等を行うときは、当該譲渡先等に対しても、上記1及び2の内容を周知いただきたいこと。

4 石綿対策や粉じん対策に関しては、厚生労働省ホームページなどで様々な情報を提供しているので、御不明な点があれば最寄りの労働基準監督署に御相談いただきたいこと。

【厚生労働省ホームページ アスベスト(石綿)情報】

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/sekimen/

【(独)労働者健康安全機構ホームページ アスベスト関連疾患・石綿対策や粉じん対策】

http://www.research.johas.go.jp/asbesto/index.html

https://www.johas.go.jp/shisetsu/tabid/578/Default.aspx

 

関係法令(抄)

労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)

第55条 黄りんマツチ、ベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定めるものは、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用してはならない。ただし、試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合で、政令で定める要件に該当するときは、この限りでない。

労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)

第16条 法第五十五条の政令で定める物は、次のとおりとする。

(略)

四 石綿

(略)

九 第二号、第三号若しくは第五号から第七号までに掲げる物をその重量の一パーセントを超えて含有し、又は第四号に掲げる物をその重量の〇・一パーセントを超えて含有する製剤その他の物

粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号)

注:下記の「粉じん作業」に該当する場合には、粉じん則の各条に基づき、作業環境の測定や局所排気装置の設置等が必要になります。

第2条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 粉じん作業 別表第一に掲げる作業のいずれかに該当するものをいう。ただし、当該作業場における粉じんの発散の程度及び作業の工程その他からみて、この省令に規定する措置を講ずる必要がないと当該作業場の属する事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長(以下「所轄都道府県労働局長」という。)が認定した作業を除く。

別表第一(第2条、第3条関係)

注:岩石の破砕等に関連する主な作業を抜粋しています。詳しくは別表第一の全文をご参照願います。

六 岩石又は鉱物を裁断し、彫り、又は仕上げする場所における作業(第十三号に掲げる作業を除く。)。ただし、火炎を用いて裁断し、又は仕上げする場所における作業を除く。

七 研磨材の吹き付けにより研磨し、又は研磨材を用いて動力により、岩石、鉱物若しくは金属を研磨し、若しくはばり取りし、若しくは金属を裁断する場所における作業(前号に掲げる作業を除く。)

八 鉱物等、炭素原料又はアルミニウムはくを動力により破砕し、粉砕し、又はふるい分ける場所における作業(第三号、第十五号又は第十九号に掲げる作業を除く。)。ただし、水又は油の中で動力により破砕し、粉砕し、又はふるい分ける場所における作業を除く。