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通達:車両系木材伐出機械に関する問答について(労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成25年厚生労働省令第125号)関係問答)

 

車両系木材伐出機械に関する問答について(労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成25年厚生労働省令第125号)関係問答)

平成28年9月14日事務連絡

(都道府県労働局労働基準部安全主務課長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課建設安全対策室長通知)

 

標記について、別添のとおり取りまとめましたので業務の参考にしてください。

 

別添

平成28年9月14日

厚生労働省安全衛生部

安全課建設安全対策室長

車両系木材伐出機械等に対する規制に係る問答について

(労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成25年厚生労働省令第125号)関係問答)

1 適用関係

2 安全基準関係

3 特別教育関係

4 その他

 

1 適用関係

(1) 総論

問1 林業の現場で使用される車両系機械については、グラップルとともに掘削機能を備えたもの、走行集材装置で不整地運搬車と同等の機能を有するもの等があるが、その適用の基本的考え方はどのようなものか。

 当該機械の設計思想、用途に応じて判断することを基本とする。改造を加えた場合は、どのような用途に用いるようになるのかによって判断する。

詳細は(2)に示すとおり。

(2) 木材グラップル機

問1 木材グラップル機の具体的な適用はどうなるのか。

 木材グラップル機(つかみポイント(荷を把持する突起)がないもの)を有する車両系機械は原則として伐木等機械となる。ただし、木材市場等で使用されている車両系機械であって、ベースマシンが山林で走行できるように設計されていないものは、林業の現場で使用できないことから、伐木等機械ではない。

なお、車両系木材伐出機械でないものであって、つかみ具が揺動式(1点支持のピンでつかみ具を吊り下げるもの)の場合は、荷を吊る機能を有するため、移動式クレーンであり、つかみ具が固定式(つかみ具が2点以上で支持され、荷を挟む部位の角度が可動式のもの。以下同じ。)の場合は、伐木等機械又は車両系建設機械(解体用)に準じて取り扱うことが望ましい。

木材グラップル以外のつかみ具(つかみポイントがあるもの、原木等を固定する突起があるもの等)を有する場合であって、当該つかみ具が固定式の場合には、車両系建設機械(解体用)と解され、揺動式の場合には、移動式クレーンと解される。

以上を表にまとめると以下のとおり。

表 つかみ具を有する車両系機械の適用関係

 

木材グラップル機

(つかみポイントなし)

木材用以外のグラップル

(つかみポイント等あり)

揺動式

(1ピン)

固定式

(2ピン以上)

揺動式

(1ピン)

固定式

(2ピン以上)

ベースマシンが山林で使用できるよう設計されているもの

伐木等機械

伐木等機械

移動式クレーン

車両系建設機械(解体用)

ベースマシンが山林で使用できるよう設計されていないもの

移動式クレーン

伐木等機械又は車両系建設機械(解体用)に準じて取り扱うことが望ましい。

移動式クレーン

車両系建設機械(解体用)

問2 複数の機能を有する木材グラップル機の適用はどうなるのか。

 複数の機能を有するつかみ具については、当該つかみ具の用途により、機械の種類を判断する。例えば、バケットと爪により原木等を把持することができるものについては、当該爪につかみポイントや原木等を固定する突起がある場合には、車両系建設機械(解体用)の適用があり、つかみポイント等がない場合には、伐木等機械(車両系木材伐出機械)の適用がある。

当該バケットを利用して掘削の作業を行う場合には、車両系建設機械(掘削用)の適用がある。

このため、バケットと爪により原木等を把持できる車両系機械については、原木等を移送するときは伐木等機械(車両系木材伐出機械)として特別教育が必要であり、バケットにより掘削を行うときは車両系建設機械(掘削用)として技能講習(機体重量3トン未満の場合は特別教育)が必要である。

問3 木材市場等で使用されている木材グラップル機について、労働安全衛生規則(以下「安衛則」という。)改正以前は小型移動式クレーン又は車両系建設機械として技能講習又は特別教育が必要とされてきたものがあるが、改正安衛則施行後は、これまでこのような業務に就いていた者も新たに伐木等機械の特別教育が必要となるのか。

 木材市場等で使用している木材グラップル機であって、山林で走行できるように設計されていないものは、林業の現場で使用できないことから、車両系木材伐出機械には、該当しない。

よって当該機械のグラップルが揺動式の場合は移動式クレーンに該当するので、その運転には、つり上げ荷重が1トン未満の場合は特別教育、1トン以上5トン未満の場合は技能講習、5トン以上の場合は移動式クレーン運転士免許が必要である。

当該機械のグラップルが固定式の場合には、法令の適用はないが、伐木等機械の特別教育を修了した者又は車両系建設機械(解体用)技能講習を修了した者が運転することが望ましい。

問4 木材グラップル機及び木材グラップルソーを用いて貯木場、市場の土場ではい作業等を行うことは、伐木等機械の業務に該当すると解してよいか。

 木材グラップル機であって、山林で走行できるように設計されているものは、使用場所にかかわらず伐木等機械である。

なお、木材グラップルソーは伐木等機械である。

問5 木材グラップルの基部にワイヤの巻き取りドラムを装着したものがある。この機構を用いて集材する場合(単胴地引)は簡易集材装置に該当すると解してよいか。

 当該機械は集材ウインチ機に分類される。使用方法としては、索張なし、主索及び支柱なしの状態で原木等を地引きするものと思われるが、この場合は架線集材機械に該当するので、架線集材機械の特別教育が必要である。

問6 グラップルのうち、一方が選木用としてストレートアームを装備したものであって、もう一方が可動式の爪を装備したものも木材グラップルに該当すると解してよいか。

 グラップルのうち、一方が固定式でもう一方が可動式の場合であっても、木材グラップルに該当する。

問7 地ごしらえに用いるレーキの機能とグラップルの機能を有するグラップルレーキは、木材グラップル機として取り扱うのか。それとも木材伐出機械に該当しないので、特別教育の対象外となるのか。

 レーキの機能とグラップルの機能を有するグラップルレーキについては、レーキの機能は造林のための地ごしらえ用であり、車両系建設機械(整地・運搬・積込み用)であり、グラップルの機能はつかみポイントがある場合には車両系建設機械(解体用)、つかみポイントがない場合には車両系木材伐出機械の伐木等機械である木材グラップル機である。

なお、レーキをグラップルで把持しながら造林のための地ごしらえを行うものについては、アタッチメントを変更したものではないため、当該グラップルのつかみポイントの有無に応じて車両系建設機械(解体用)又は木材伐出機械に係る法令の適用を受ける。

問8 原木の選木をやりやすくするため、真っ直ぐなトングを有する機械も木材グラップル機と解してよいか。

 原木をつかむためのアタッチメントであれば、木材グラップル機に分類される。

(3) 集材機械

問1 機械集材装置、簡易架線集材装置及び架線集材機械の適用範囲と特別教育の種類を分かりやすく説明してほしい。

 架線集材機械とは、動力を用いて原木等を巻き上げることにより、当該原木等を運搬するための機械であって、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走できるものをいい、タワーヤーダ、スイングヤーダ及び集材ウインチ機が含まれる。

タワーヤーダ及びスイングヤーダは、架線、支柱等を用いて索張りしたもの(集材装置)の集材機として使用することが一般的であり、この場合、主索の有無及び運搬方法によって、機械集材装置又は簡易架線集材装置に該当する。

集材機の種類、索張り方法及び運搬方法による安衛則の適用範囲を示すと表のとおりである。

また、事業者がこれらの運転の業務に労働者を就かせる場合であって、機械集材装置に該当する時には安衛則第36条第7号の「機械集材装置の運転の業務に係る特別教育」、簡易架線集材装置又は架線集材機械に該当する時には安衛則第36条第7号の2の「簡易架線集材装置等の運転の業務に係る特別教育」、巻上げ機に該当する時には安衛則第36条第11号の「動力により駆動される巻上げ機の運転の業務に係る特別教育」を実施しなければならない。

表 集材機の種類、索張り方法及び運搬方法による安衛則の適用範囲

 

索張り方法

索張りあり

索張りなし

主索あり

支柱あり

主索なし

支柱あり

主索なし

支柱なし

運搬方法

空中

地引き注1

空中注2

地引き

地引き

集材機の種類

架線集材機械

タワーヤーダ

機械集材装置

機械集材装置

機械集材装置

簡易架線集材装置

架線集材機械

スイングヤーダ

機械集材装置注3

機械集材装置注3

機械集材装置注3

簡易架線集材装置

架線集材機械

集材ウインチ機

機械集材装置

機械集材装置

簡易架線集材装置

架線集材機械

定置式ウインチ

機械集材装置

機械集材装置

機械集材装置

簡易架線集材装置

巻上げ機

 注

1 主索を張って原木等を運搬する場合は、原木等の一部が地面に接した状態で運搬する場合であっても、機械集材装置に該当する。

2 主索を張らずに原木等を運搬する場合であって、集材機に控索を取り付け、作業索に生じる張力による集材機の移動を防止する等の措置を講ずることにより、原木等を巻き上げ、かつ、空中において運搬する場合は、機械集材装置に該当する。

3 ほとんどのスイングヤーダは、主索を用いず、地引きで集材する目的で製造されており、機械集材装置の支柱として使用することは困難であるが、スイングヤーダを支柱として用いない場合であって、作業索に生じる張力によるスイングヤーダの移動を防止する等の措置を講じて、機械集材装置の集材機として使用する場合がある。

問2 自走式搬器は、主索に吊り下げた搬器が原木を吊り上げて、空中を運搬するものである。

この索張りは簡易であることから、機械集材装置ではなく、簡易架線集材装置に該当するのか。

 当該機械は、動力を用いて、原木等を巻き上げ、かつ、空中において運搬する設備であることから、機械集材装置に該当するものである。

また、主索を張って原木等を運搬する場合には、原木等の一部が地面に接した状態で運搬する場合であっても、簡易架線集材装置ではなく、機械集材装置に該当するものである。

このため、事業者は、当該機械の運転の業務に労働者を就かせるときは、安衛則第36条第7号の「機械集材装置の運転の業務に係る特別教育」を実施する必要がある。

問3 「携帯型の小型エンジン付きウインチ」という集材ウインチ機を小さい原木の集材や、かかり木処理に使用する場合、簡易架線集材装置に該当し、「簡易架線集材装置等の運転の業務に係る特別教育」が必要となるのか。

 携帯式集材ウインチ機を使用する場合であっても、索張りして使用される場合には、主索の有無及び運搬方法に応じて、機械集材装置又は簡易架線集材装置に該当し、索張りしない場合には、動力により駆動される巻上げ機に該当するものであり、その運転にはその区分に応じた特別教育を実施することが必要である。

例えば、携帯式集材ウインチ機を使用し、主索を用いないが、支柱を使用し、地引きで原木等を運搬する場合には、簡易架線集材装置に該当し、安衛則第36条第7号の2の「簡易架線集材装置等の運転の業務に係る特別教育」が必要である。

問4 走行集材機械に取り付けられたウインチで地引集材を行う場合は、走行集材機械の運転の業務に係る特別教育だけでよいか。簡易架線集材装置等の運転の業務に係る特別教育も必要か。

 走行集材機械に取り付けられたウインチで地引集材を行う作業は、走行集材機械の主たる用途であり、走行集材機械の特別教育を修了した者が運転する必要がある。

ただし、走行集材機械に取り付けられたウインチを用いて索張りを行った場合には、索張り方法に応じて機械集材装置又は簡易架線集材装置に該当する。

(4) その他

問1 フォワーダに装備されるグラップルローダーは車両系林業機械としてのフォワーダを構成する要素の一つであり、移動式クレーンに関する規定(運転資格及び構造規格)は適用されないと解してよいか。

 フォワーダに装備されるグラップルローダーが揺動式であるか固定式であるかに関わらず、走行集材機械に該当し、移動式クレーンには該当しない。

問2 チップ工場において木材をチッパにかける前の処理として、木材を細くするために木材を割るアタッチメントは、木材をハンドリングするためにつかむことは出来ない構造になっている(割るためにつかむだけ)ことから、車両系木材伐出機械には該当しないと解してよいか。

 林業の現場で原木を伐出するための機械ではないため、車両系木材伐出機械には該当しない。

問3 積載型トラッククレーンを林業現場で用いた場合の法令の適用はどうなるのか。

 積載型トラッククレーンを林業現場で用いた場合は、移動式クレーンとして法令の適用を受ける。

問4 車両系建設機械のトラクター・ショベルにつかみ用フォークを装着したものは走行集材機械と解してよいか。

 トラクター・ショベルのアタッチメントにつかみ用フォークを装着した場合でも、車両系建設機械として設計され、山林での使用が想定されていないため当該機械はトラクター・ショベルであり、走行集材機械には当たらない。

問5 平成26年1月15日付け基発0115第4号「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について」(以下「施行通知」という。)の記の第2の1の(2)のウのフォークローダーとは、労働安全衛生法施行令別表第7の建設機械のトラクター・ショベルに原木(丸太)つかみ用フォークを装着したものと解してよいか。

 当該箇所のフォークローダーは、車両系荷役運搬機械のフォークローダーを指している。なお、トラクター・ショベルにつかみ用フォークを装着した場合でも、当該機械は車両系荷役運搬機械である。

 

2 安全基準関係

(1) ヘッドガード

問1 安衛則第151条の86の車両系木材伐出機械のヘッドガードについて、施行通知の記の第2の2の(1)のウの(イ)の「堅固な」とは、伐木作業を行う機械にあっては、合計4トンの等分布静荷重に安全に耐えることができる強度を有することとあるが、バケット容量が0.2m3未満の機械は、昭和50年9月26日基発第559号「車両系建設機械用ヘッドガードの構造基準について」の「適用の除外等」の規定と同様と考えてよいか。

 伐木の作業を行う機械のヘッドガードはベースマシンの大小にかかわらず4トンの等分布静荷重に耐えることが必要である。

それ以外の車両系木材伐出機械を用いて原木等の集積等の作業を行うときは、運転者の頭上への立木の倒壊、原木等の飛来・落下等のおそれがあることから、堅固なヘッドガードが必要となる。この場合の「堅固な」とは、車両系木材伐出機械が取り扱うことのできる原木等の重量及び原木等が落下しうる高さに応じて危険を防止するのに十分な構造及び強度を有する必要がある。

問2 施行通知の記の第2の2の(1)のウ「ヘッドガード(第151条の86関係)」の(イ)に、『「堅固な」とは、車両系木材伐出機械が取り扱うことのできる原木等の重量と、原木等が落下しうる高さに応じて危険を防止するのに十分な構造及び強度を有することをいうこと。ただし、伐木の作業を行う機械にあっては、合計4トンの等分布静荷重に安全に耐えることができる強度を有することをいうこと。』との記載があるが、

①伐木の作業を行う機械は、4トンの等分布静荷重のみに安全に耐えられればよいと解してよいか。又は原木等の重量と、原木等が落下しうる高さに応じて危険を防止するのに十分な構造及び強度に加え、4トン静荷重条件を満たす必要があると解すべきか。

②等分布静荷重は、荷重を受ける運転席の屋根の面や範囲に関する規定はあるか。例えば、ヘッドガード付きの場合、ヘッドガードの面積全体で荷重を受けるのか、又は取り付けサポートでの等分布静荷重と解すべきか。

③ベースとなる運転席の屋根が、等分布静荷重をクリアしていれば、ヘッドガードが未設置であってもヘッドガードを設置しているものとみなしてよいか。

④「原木等の重量と、原木等が落下しうる高さに応じて危険を防止するのに十分な構造及び強度」に関して目安となる基準等はあるか。

 ①施行通知の記の第2の2の(1)のウは、堅固なヘッドガードについての解釈を示したものであり、伐木の作業を行う機械のヘッドガードが十分な構造及び強度を有すると判断するためには、4トンの等分布静荷重に耐える強度を有することが必要であると理解されたい。

②等分布静荷重の重心が、運転席の屋根の天井防護材の中心にくるように置き、水平部材を覆った状態とする。

③運転席の屋根がヘッドガードとしての要件を満たしているならば、ガード類の装着の有無によらずヘッドガードが設置されているものとみなしてよい。

ただし、安衛則第151条の87の防護柵等については、別途対応することが必要である。

④既に示してあるもの以外に基準等はない。

問3 施行通知の記の第2の2の(1)のウの(オ)に関して、フォワーダの作業装置運転のための運転位置が、走行のための運転位置と異なる場合において、原木等の落下により作業装置の運転位置にいる運転者に危険を及ぼす場合はヘッドガードが必要か。

 フォワーダ等の走行集材機械では、原木等を積載する上限の高さよりも作業装置の運転位置が高い場合であって、原木等を運転者の頭上より高く上げずに作業を行う場合にはヘッドガードは不要である。

走行集材機械であっても、原木等を運転者の頭上より高く上げることにより、原木等の落下により運転者に危険が及ぶ場合には、ヘッドガードが必要である。これは、作業装置と走行装置との運転位置関係にかかわらず、作業装置の運転位置に必要なものである。

問4 作業装置及び走行装置の運転位置が異ならない場合には、フォワーダにヘッドガードは必要か。

 作業装置及び走行装置の運転位置が異ならない場合には、フォワーダ等の走行集材機械では、通常、原木等を運転者の頭上より高く上げることなく作業を行うことは困難と考えられるので、原則として、ヘッドガードが必要である。

なお、運転位置と荷台との間に防護柵があり、これにより原木等との接触を防ぐことができる場合には、ヘッドガードは不要である。

(2) 防護柵

問1 施行通知の記の第2の2の(1)のエ「防護柵等(第151条の87関係)」の(イ)に、

「原木等の…及び原木等の飛来等により運転者に危険を及ぼすおそれのある高さまで原木等を上げずに作業(伐木作業を除く。)を行うときは、「原木等の飛来等により運転者に危険を及ぼすおそれのあるとき」には、該当しないものであり、防護柵等を備えていない車両系木材伐出機械を使用して差し支えないこと。」と記載があるが、具体的なおそれのある高さ(運転者の目線位置、足元位置など)を、事業者がより具体的に判断する指針などはあるのか。無ければ、作成の予定はあるのか。

 施行通知の記の第2の2の(1)のエの(イ)の「原木等の飛来等により運転者に危険を及ぼすおそれのあるとき」に該当しないことに係る基準は定めておらず、また、設ける予定はない。

問2 施行通知の記の第2の2の(1)のエ「防護柵等(第151条の87関係)」の(エ)に、

『「当該危険を防止するための設備」には、運転者席の防護柵のほか、運転室のガラス板の代わりにポリカーボネート板を用いたもの、運転室のガラスの内側に防護フィルムを貼ったもの、原木等の飛来等から運転者を防護できる箇所にあるブーム、荷台の鳥居等及びこれらを組み合わせたものが含まれること。これらの設備は、作業装置の動力並びに取り扱うことができる原木等の重量及び大きさに応じて危険を防止するのに十分なものでなければならないこと。』

との記載があるが、

①「当該危険を防止するための設備」は、ガード等を装着しているのが主に運転席のみのため、運転席前面との認識でよいか。

②自動車のフロントガラスや油圧ショベル等で採用している樹脂ラミネート材を中間層に持つ安全ガラス(合わせガラス)は、「運転席のガラスの内側にフィルムを貼ったもの」と解してよいか。

③上記②のフィルムは全面に貼る必要があるか。(油圧ショベルにおいては、運転席のガラスの上側の3/4が合わせガラスで、下側の1/4が強化ガラスのみのケースが多い。)

④荷台の鳥居とは具体的にどのようなものをいうのか。

 ①車両系伐木機械の運転席の後ろに原木等を積み込む場合や、アタッチメントの可動域が広い場合には、運転者席の側面や背面からも原木等が飛来する危険があるため、設備を備える位置を前面に限定しないこととしている。

②安全ガラスが「作業装置の動力並びに取り扱うことができる原木等の重量及び大きさに応じて危険を防止するのに十分なもの」である場合には、当該安全ガラスも「当該危険を防止するための設備」と考えてよい。

③原木等が飛来する危険がある箇所が防護されている必要がある。

④トラックの荷台と運転者席の境にある格子状の防護措置で、荷が運転者席に入ることを防ぐ機能を有するものである。

問3 走行集材機械に揺動式グラップル装置を装着したものについては、移動式クレーンではなく車両系木材伐出機械(走行集材機械)であり、かつ、原木等の飛来により運転者に危険を及ぼすおそれがなければ、防護柵を備えずとも良いか。

 山林から原木等を搬出するための機械として設計されていれば、走行集材機械であり、これに揺動式グラップル装置を装着したものも走行集材機械に区分される。

この場合、作業装置の運転位置において、原木等の飛来により運転者に危険を及ぼすおそれのある高さまで原木等を上げずに作業を行うのであれば、原木等の飛来等により運転者に危険を及ぼすおそれがないと考えられるので、作業装置の運転位置のための防護柵は不要である。

なお、走行装置の運転位置については、原木等を積載して走行する場合に、運転位置への原木等の飛来等を防止するための防護柵が必要である。

(3) 転倒防止

問1 事業主は作業計画に使用する機械の種類と能力を示さなくてはならないことから、製造者が機械の能力を示す必要がある。しかしながら、機械の能力は現地で安全に使用できる能力よりも高いものがあり、機械としての能力をそのまま示すと危険な作業を行う恐れがある。このような場合、どのような基準で表示すべきか。(例えばフォワーダについては最大勾配の目安を15度程度と考えているが、機械そのものの能力は30度以上の登坂力を有している。)

 作業計画を立案する際には、安全に作業を行うことができる範囲で機械を使用することから、機械の一部の構造としての能力をそのまま示す必要はなく、安全に作業を行える範囲で能力を示せばよい。

問2 車両系建設機械をベースとする車両系木材伐出機械について、「転倒時保護構造」の基準は安衛則第157条の2の車両系建設機械の「転倒時保護構造」と同じ解釈でよいか。

 車両系建設機械の転倒時保護構造と同様と考えてよい。

問3 アタッチメント変更等で車重等が変わるとJIS/ISO等では厳密な意味で転倒時保護構造から外れるケースも想定される。車両系建設機械では標準機での転倒時保護構造をクリアしていれば、重量がJIS/ISO等の基準を若干オーバーしている解体仕様でも転倒時保護構造に適合していると解釈して問題ないとの見解が出ているが、車両系木材伐出機械も同様か。

 解体用機械と同様に、標準機で開発され、転倒時保護構造に準拠した運転室であれば問題ないと判断する。

問4 施行通知の記の第2の2の(1)のテ「使用の制限(第151条の102関係)」の(ア)に、『車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、車両系木材伐出機械の転倒若しくは逸走又はブーム、アーム等の作業装置の破壊による労働者の危険を防止するため、車両系木材伐出機械についてその構造上定められた安定度、最大積載荷重、最大使用荷重等を守らなければならないこととしたこと。』との記載があるが、構造上定められた安定度、最大積載荷重、最大使用荷重等に関して具体的な定義に関する指標等はあるか。また、それらを計算するための具体的な計算方法等の指標はあるか。

 安定度については、車両系建設機械構造規格(昭和47年労働省告示第150号)第2条第1項を参考にされたい。

その他の事項については具体的な計算方法は定めていないが、以下の考え方を参考に算定されたい。

最大積載荷重については、設計上荷台等に積載することのできる最大の荷重を意味するものである。

最大使用荷重については、木材グラップルでつかむことのできる原木等の重さ等、設計上使用することのできる最大の荷重を意味するものである。

最大積載荷重及び最大使用荷重については、その計算方法等は厚生労働省においては定めていないが、エンジン、ブレーキ等の能力、ブームの長さ、車両等によっても変わるものである。

問5 施行通知の記の第2の2の(1)のテ「使用の制限(第151条の102関係)」の(ウ)の「登坂能力」とは、何を示しているのか。

油圧ショベルのカタログ内「登坂能力」ではエンジンオイル等の油脂類の吸い込み可能な限界角度等を示している場合もあり、必ずしも走行の限界能力を示しているわけではない。また、トラクターやブルドーザーでは地面との摩擦係数や作業機の位置等の条件により数値が大きく変わり算出が難しいためカタログ等で「登坂能力」は掲載していない。トラクターやブルドーザーでは傾斜地での機体安定性を表示する安定度で代用できないか。

 安定度と登坂能力は異なるので、代用することはできない。

なお、メーカーが示す登坂能力は特定の条件における数値であり、山林の現場において安全に登坂・降坂できる角度の限界値とは一般には一致せず、斜面の形状、地盤の状況、落ち葉等の堆積状況、湿潤の状態等により異なることに留意する必要がある。

問6 施行通知の記の第2の2の(2)のイ「造材作業における危険の防止(第151条の113関係)」の(ウ)で、「原木等が転落し、又は滑るおそれがない緩斜面」とあるが、緩斜面の角度とはどれくらいの角度を言うのか。

 原木等が転落し、又は滑るおそれは、斜面の角度のみによって決まるのではなく、原木等の種類及び大きさ、降雨、地面の状況等にもよるので、一律に示すことは困難である。

(4) 能力表示

問1 施行通知の記の第2の2の(1)のテ「使用の制限(第151条の102関係)」に、

「(ア)車両系木材伐出機械を用いて…その構造上定められた安定度、最大積載荷重、最大使用荷重等を守らなければならないこととしたこと。」

「(イ)「その構造上定められた」とは、メーカー等の仕様書等で示されたものをいうこと。また、車両系木材伐出機械の構造上定められた安定度等を超えないよう、走行時に…含むものであること。」

との記載があるが、

①仕様書等を取扱説明書と判断して問題ないか。

②安定度、最大積載荷重、最大使用荷重(登坂能力含む)等との記載に対し、前記3項目以外で提示を必要と判断するものがあるか。

③上記項目数値の貼付(車体銘板等)は不要と判断して良いか。

 以下のとおりである。

①「仕様書」等を取扱説明書と判断して差し支えない。

②安定度、最大積載荷重、最大使用荷重、登坂能力等を想定しているが、その他に車両系木材伐出機械の種類及び特性に応じて必要な事項が示されるべきである。

③車体に表示することは求めていない。

問2 施行通知の記の第2の2の(1)のテ「使用の制限(第151条の102関係)」の(イ)に「メーカーが定めた仕様書等で示されたもの」とあるが、各地域の販売店又は代理店で改造等を行っている車両も数多くあり、この場合は仕様値の算定は個別にしなければならないのか。

 車両系木材伐出機械の構造上定められた安定度等の情報がなければ安全に作業することができないため、製造者及び販売者は、事業者にこれらの情報を伝えることが必要である。改造等の結果、これらの安定度等に影響が生じた場合は、改造等を加えた者が個別に安定度等を算出し、事業者に伝えることが必要である。

(5) 点検

問1 年次点検、月次点検が努力義務で、異常時の修理等が義務とされているのはなぜか。

 ブレーキの異常など、放置することが事故につながるような異常を承知していながら、補修等を怠った場合には、災害の発生につながるおそれが高く、非常に危険であるため、異常発見時の補修等を義務としているものである。

問2 年次自主検査や月次自主検査を行うよう努めなければならない、作業開始前の点検は行わなければならないとなっているが、これらの記録の保存は自主的に行うということでよいか。

 車両系木材伐出機械の年次、月次の点検は努力義務であり、記録の保存については規定していないが、車両系建設機械等の定期自主検査の記録が三年間保存することとされていること等から、三年間保存することが望ましい。

作業開始前の点検についても記録を保存する義務はないが、保存することが望ましい。

(6) その他

問1 施行通知の記の第2の2の(1)のイ「前照灯(第151条の85関係)」の(ウ)の「作業を安全に行うため必要な照度が保持されている場所」に関して、

①昼間の戸外でも、森の規模によって日照が足りない現場もあると考えられるが、戸外であれば必要な照度が保持されていると解してよいか。

②前照灯の光度に規定はあるか。前照灯が装着されていれば良いと解してよいか。

 ①昼間の戸外は必要な照度が保持されていると考えられるため、前照灯は不要である。なお、天候や森の規模等によって十分な照度を得られない場合には、作業を安全に行うために必要な照度を保持するための措置を採られたい。

②前照灯の光度についての規定はないが、作業を安全に行うために必要な照度が得られることが必要である。

問2 施行通知の記の第2の2の(1)のセ「ブーム、アーム等の下への立入禁止(第151条の97関係)」の(ア)で、「ただし、修理、点検等の作業を行う場合において、ブーム、アーム等が不意に降下することによる労働者の危険を防止するため、当該作業に従事する労働者に安全支柱、安全ブロック等を使用させるときはこの限りでないとしたこと。」と記載がある。

作業装置(グラップル等)を地上に下ろせば、ブーム、アーム等が不意に降下することはないと思われるが、作業装置を地上に下ろした状態は、安全支柱、安全ブロック等を使用させるときに該当するか。

 アタッチメントを地上に降ろし、ブーム、アーム等がそれ以上降下する余地がない状態にすることは、施行通知の記の第2の2(1)のセ(ア)の「安全支柱、安全ブロック等」と同等の措置と考えている。

問3 不整地運搬車では、一定の条件下で、荷台に人が乗車して走行することが認められているが、走行集材機械では認められていないのはなぜか。

 走行集材機械は急斜面を伴う運行経路、岩石等の障害物が存在する場所等を走行することが多く、荷台に人が乗車すると墜落の危険性が高いためである。

問4 安衛則第151条の101では乗車席又は荷台以外の箇所に労働者を乗せてはならないとあり、安衛則第151条の119では荷台に労働者を乗車させてはならないとなっているが、手すりなどの墜落防止設備を設けた場合は労働者を乗せても良いということか。

 安衛則第151条の101においては、荷台上での作業のため、手すり等の墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じたときは労働者が荷台に乗ることを認めている。一方、安衛則第151条の119では、上記問3で述べているとおり、急斜面を伴う運行経路等を走行することが多いため、走行時に荷台に乗ることについて、手すり等の墜落防止措置がある場合であっても禁止している。

なお、安衛則第151条の101において例外的に搭乗が認められる「墜落による労働者の危険を防止するための措置」を講じた場合とあるのは、車両上で立ったまま運転する運転台から運転者が墜落することを防止するための囲いが設けられている状態を想定している。

問5 架線集材機械のスリングに用いるワイヤロープの安全係数が機械集材装置と異なる理由は何か。(架線集材機械のワイヤロープの安全係数は4、機械集材装置のものは6と規定されている。)

 荷を吊り上げる箇所に用いるウインチのワイヤロープ及びスリングのワイヤロープの安全係数は、架線集材機械では原木等を地引きで運ぶことから4としており、機械集材装置においては原木等を宙吊りで運搬するため6と規定されている。

なお、機械集材装置と架線集材機械が併用される場合には、混用による危険を防止するため、安全係数が6のワイヤロープに揃えることが望ましい。

 

3 特別教育関係

(1) 実施方法

問1 車両系木材伐出機械関係の特別教育の学科教育・実技教育の実施体制について、①学科教育及び実技教育講師の資格・要件、②学科教育及び実技教育の1回当たりの受講者の上限はあるのか。

 講師は、学科教育及び実技教育9科目について十分な知識及び経験を有する者であることが必要である。

また、厚生労働省委託事業で実施した平成23年度「高性能林業機械運転従事者教育手法開発事業」における講師養成研修の修了者、林業・木材製造業労働災害防止協会が実施した講師養成研修の修了者、一般社団法人林業機械化協会が実施した講師養成研修の修了者は、講師の要件を満たすこととしている。

受講人数は、学科教育が概ね100人以内、実技教育10人以内を一単位として行うものとしている。

問2 安全衛生特別教育規程に基づく実技教育のフィールドは林外の平坦な広場等で行ってもよいか。

 車両系木材伐出機械の安全対策に係る検討会報告書の別紙車両系木材伐出機械の実技教育カリキュラムの細部事項に示されたものを標準的な例としつつ、該当する機械が通常使用される環境、教育中の危険性、想定される実際の場所等を勘案して柔軟に設定することも可能である。

 (参考)

報告書掲載アドレスhttp://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000014737.html

問3 事業主又は登録教習機関(例えば建機メーカー等)が実技教育のみ行った場合、これを証明する様式はどのようなものか。

 任意様式であるが、少なくとも教育を受けた修了者の氏名、生年月日、実技教育を修了した特別教育の種類、修了日、修了証番号、実施機関名、代表者職氏名を記載することが必要である。

問4 ある安全衛生団体が学科教育を、また、建機メーカー等が実技教育を実施し、それぞれが修了証を発行した場合、両方の修了証を統合して1枚の修了証を発行することはできるのか。

 修了を証する書面で確認の上、学科教育及び実技教育のすべてを修了したことを証する書面を交付することができる。

問5 実技に使用する機種はどの種類でもよいか。また、安全衛生団体等が特別教育を行う場合、会場・費用の関係から土場等で丸太を用意しての実施は可能か。

 車両系木材伐出機械の安全対策に係る検討会報告書の別紙車両系木材伐出機械の実技教育カリキュラムで定める全ての動作及び操作が実施できるようにすることが原則である。

しかしながら、機械の普及状況から全ての機械を用意することが困難な場合や、教育中の危険性等を勘案して、例えば科目Ⅱ範囲Ⅱの3)伐木作業を例にとると、(1)から(9)までを標準として、(10)から(13)までは省略して差し支えない。

詳細は平成27年3月31日付け基安安発0331第2号(以下「留意事項通知」という。)を参照されたい。

問6 留意事項通知の2の(2)にある定められたコース、方法とは何か、また、伐木、造材又は原木の集積はどのように実施するのか。

 車両系木材伐出機械の安全対策に係る検討会報告書の別紙車両系木材伐出機械の実技教育カリキュラムに示されたコース及び方法をいう。

(2) 科目の省略

問1 「安全衛生特別教育規程の一部を改正する告示の適用について」(平成26年1月15日付け基発0115第5号)(以下「適用通知」という。)では、林業架線作業主任者の「科目の省略」について記載がないので、現状では林業架線作業主任者の「科目の省略」はないと考えてよいのか。

 林業架線作業主任者については、科目の省略はない。

問2 適用通知第2の3「特別教育の科目の省略」については、平成26年12月1日以降も有効であるのか。

 特別教育の科目の省略は平成26年12月1日以降も有効である。

問3 林業機械化協会の特別教育講師養成研修等を受講した者は、豊富な実技経験を有し、学科、法令等も特別教育の内容以上に高度な研修を受講しているが、このような研修を受講した者にも別途、特別教育を行う必要があるか。

 特別教育を行う必要はない。

問4 伐木等機械等の運転の業務に係る特別教育の規程については、平成26年12月1日から施行され、同日時点で伐木等機械等の運転の業務に6月以上従事した経験を有する者については、実技教育の全部を省略できるとされている。

平成26年12月1日時点で、実務経験6月以上となる予定の者の特別教育を、外部の機関に委託して施行日までに受講させた場合、特別教育を修了したことになるか。

 平成26年12月1日の施行時に当該業務に6月以上従事することが見込まれる場合には、実技教習の全部が省略できるので、外部の機関に委託する等により学科教育を受講し、修了すると、特別教育を修了したこととなる。

問5 実務経験6月以上の者については、受講申込み時に事業主等の実務経験証明があれば、実技教育の科目の全部を省略して特別教育を実施し、当該特別教育(学科教育及び実技教育)全てを満たしたものとして修了証を発行できるのか。

 特別教育の受講申込み時に事業主等の実務経験証明書(平成26年12月1日時点で受講予定の機械の運転の業務に従事した経験が6月以上)があれば、実技教育の科目の全部を省略して特別教育の学科教育のみを実施することにより、当該特別教育(学科教育及び実技教育)の全てを満たしたものと同等の修了証を発行することができる。

問6 「伐木等機械の運転の業務に係る特別教育」において、木材グラップル機の運転の業務に従事した経験が6月以上の者であっても、ハーベスタの運転の業務に従事した経験がなければ、実技教育の全部を省略できないのか。それとも、木材グラップル機の運転の業務に従事した経験だけでよいのか。

 木材グラップル機も伐木等機械であり、伐木等機械であれば、機械の種類は問わず、平成26年12月1日時点で当該機械の運転の業務に従事した経験が6月以上あれば、「伐木等機械の運転の業務に係る特別教育」の実技教育の全部の科目を省略することができる。

問7 スイングヤーダの運転の業務に就かせるときは、これまで、指導によって、車両系建設機械に係る技能講習や平成3年11月11日付け基発第646号「林内作業車を使用する集材作業に従事する者に対する安全教育について」に基づく安全教育(以下「林内作業車安全教育」という。)を修了するよう指導があったが、例えば、スイングヤーダの運転の業務に6月以上従事した経験を有する者については、「簡易架線集材装置等の運転の業務に係る特別教育」を実施するに当たり、林内作業車安全教育の修了や車両系建設機械に係る技能講習の修了を確認する必要はないのか。また、当該講習の修了者に対する特別教育の科目の省略はないのか。

 これまで、法定の義務ではないが、簡易架線集材装置又は架線集材機械の運転の業務に、新たに就く労働者に対して、車両系建設機械に係る技能講習や林内作業車安全教育を修了させるよう指導してきたところである。

改正安衛則により平成26年12月1日から新たに「簡易架線集材装置等の運転の業務に係る特別教育」の義務が設けられたことから、適用通知で示された特別教育の科目の省略に係るものについては、あらかじめ、これらを証する書面を確認した上で、特別教育を実施することが適当である。

「簡易架線集材装置等の運転の業務に係る特別教育」については、平成26年12月1日時点でスイングヤーダ等の運転の業務に6月以上従事した経験を事業主が証明する書面があれば、実技教育の全部の科目を省略することが可能であるため、指導事項であった車両系建設機械の運転技能講習等の修了や林内作業車安全教育の修了を確認する必要はないものである。

なお、外部からの委託を受けて特別教育を実施する機関にあっては、受講者の利便性に配慮し、あらかじめ、受講申込者の所持している資格等を確認した上で、省略可能な科目を説明し、申込みを受け付けることが望ましい。

スイングヤーダに装備されたバケット又はブレードで掘削、整地等を行う場合には、機体重量に応じて車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の運転の業務に係る技能講習又は特別教育が必要となることに留意すること。

問8 伐木等機械の運転の業務に係る特別教育などと連続して走行集材機械の運転の業務に係る特別教育等を行った場合、関係法令について省略することは可能か。

 伐木等機械の運転の業務に係る特別教育及び走行集材機械の運転の業務に係る特別教育をまとめて実施する場合には、関係法令は1.5時間として差し支えない。

また、簡易架線集材装置等の運転の業務を加えて3区分の特別教育をまとめて実施する場合には、関係法令は2時間として差し支えない。

問9 特別教育の免除について、2つ以上の免除条件を組み合わせての省略を認めてよいかどうか。

 省略は認められる。

問10 特別教育の免除について、免除条件にある車両系建設機械(解体用)運転技能講習又は小型車両系建設機械(解体用)の運転の業務に係る特別教育の修了者は、平成25年7月1日の改正安衛則の施行前の修了者も同様でよいのか。

 特別教育の免除の対象は、平成25年7月1日の改正安衛則の施行後の技能講習又は特別教育の修了者を意味するものであり、施行前の修了者は免除されない。

なお、技能特例講習及び技能特例講習に準じた特別教育(平成26年4月24日付け事務連絡「一定の知識経験を有する鉄骨切断機等の運転業務従事者への特別教育の実施の目安について」に示す一定の知識経験を有する鉄骨切断機等の運転業務従事者への特別教育)を修了した者も免除対象に含まれる。

(3) 対象機械

問1 車両系木材伐出機械の特別教育の対象は、伐木等機械、走行集材機械及び簡易架線集材装置の3種に区分されているが、例えば、いずれも伐木等機械となる木材グラップル機で実技教育を修了した者が、ハーベスタの運転業務に従事してよいか。

 ある区分で特別教育を受けたのであれば、その区分に属する車両系木材伐出機械をすべて運転することができると解してよい。

問2 新規就労者で、将来的にも木材市場、製材工場等で木材グラップル機のみ使用するに当たっても、ハーベスタの実技講習が必要か。

 技能講習では、車両系木材伐出機械の安全対策に係る検討会報告書の別紙車両系木材伐出機械の実技教育カリキュラムで定める全ての動作及び操作が実施できるよう機械を用意することが原則である。

しかしながら、現在の普及状況から全ての機械を用意することが困難な場合や、教育中の危険性等を勘案して、たとえば科目Ⅱ範囲Ⅱの3)伐木作業を例にとると、(1)から(9)までを標準として、(10)から(13)までは省略して差し支えない。

なお、林業の現場以外で用いられるグラップル機の適用については1を参照されたい。

 

4 その他

問1 安衛則第151条の159に「簡易架線集材装置については、過巻防止装置を備える等巻上げ索の巻過ぎによる労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。」とあるが、これは過巻防止装置のほか機械集材装置で一般的に行われているワイヤロープに目印を付ける方法、原木を引寄せているキャレッジ等の搬器の位置を目視で確認できる設置方法等も含まれると解してよいか。

 よい。

問2 施行通知の記の第2の6の(2)のアに、「現に製造しているもの又は現に存するもの」とあるが、これは、現在、現場にて使用中の機械を含むという理解でよいか。

 平成26年5月31日において現場にて使用中の機械は含まれる。

問3 平成3年4月30日付け基発第300号「林内作業車に係わる労働災害防止について」(以下「300号通達」という。)及び平成3年11月11日付け基発第646号「林内作業車を使用する集材作業に従事する者に対する安全教育について」(以下「646号通達という。」)は廃止されたのか。

 300号通達は廃止されておらず、林内作業車である走行集材機械に対しては、同通達に基づき点検、補修等、標準的作業方法の作成及びその周知徹底を実施することが望ましい。ただし、安全教育については、改正安衛則により走行集材機械の運転の業務が特別教育の対象となったことから、同通達に基づく安全教育は不要である。

646号通達は廃止されていないが、同通達で示された安全教育については、改正安衛則により走行集材機械の運転の業務が特別教育の対象となったことから、同通達に基づく安全教育は不要である。