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通達:特定化学物質障害予防規則の規定に基づく厚生労働大臣が定める性能等の一部を改正する告示の適用等について

 

特定化学物質障害予防規則の規定に基づく厚生労働大臣が定める性能等の一部を改正する告示の適用等について

平成27年10月5日基発1005第3号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

 

特定化学物質障害予防規則の規定に基づく厚生労働大臣が定める性能等の一部を改正する告示(平成27年厚生労働省告示第404号。以下「改正告示」という。)が、平成27年9月30日に公示され、平成27年11月1日(一部の規定については平成28年10月1日)から適用されることとなった。その趣旨、内容等については、下記のとおりであるので、関係者への周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏なきを期されたい。

 

第1 改正の趣旨

本改正は、「平成25年度第2回管理濃度等検討会」、「平成26年度第1回管理濃度等検討会」、「平成26年度第2回管理濃度等検討会」及び「平成27年度第1回管理濃度等検討会」において検討された結果を踏まえ、労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(平成27年政令第294号)により特定化学物質に追加されたナフタレン及びリフラクトリーセラミックファイバーの試料採取方法、分析方法及び管理濃度を定めるとともに、テトラクロロエチレンの管理濃度を引き下げる等の改正を行ったものである。

 

第2 改正の要点

1 作業環境測定基準(昭和51年労働省告示第46号。以下「測定基準」という。)の一部改正について

(1) 試料採取方法及び分析方法について(測定基準別表関係)

ア ナフタレンについて、試料採取方法を「固体捕集方法」と、分析方法を「ガスクロマトグラフ分析方法」と定めたこと。

イ リフラクトリーセラミックファイバーについて、試料採取方法を「ろ過捕集方法」と、分析方法を「計数方法」と定めたこと。

(2) 作業環境測定の対象について(測定基準第10条第1項関係)

特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)別表第1第37号に掲げる物を製造し、又は取り扱う屋内作業場における測定は測定基準第13条各項に基づき実施することを明確にしたこと。

(3) 特定化学物質に係る測定の特例について(測定基準第10条第2項及び第3項関係)

ア 臭化メチルの測定について、検知管方式による測定機器又はこれと同等以上の性能を有する測定機器を用いる方法によることができることとすること(臭化メチル以外の物が測定値に影響を及ぼすおそれのあるときを除く。)(第2項関係)

イ 臭化メチルの測定について、臭化メチル以外の物が測定値に影響を及ぼすおそれがある場合であっても、特化則第36条の2第1項の規定による測定結果の評価が2年以上行われ、その間、当該評価の結果、第1管理区分に区分されることが継続した単位作業場については、所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合は、検知管方式による測定機器又はこれと同等以上の性能を有する測定機器を用いる方法によることができること。なお、この場合であっても、1以上の測定点において測定基準別表第1に掲げる方法による測定を同時に行う必要があること。(第3項関係)

(4) 有機溶剤に係る測定の特例について(測定基準第13条第2項及び第3項関係)

ア 有機溶剤のうち、イソブチルアルコール、テトラヒドロフラン、ノルマルヘキサン及びメチルエチルケトンの測定について、検知管方式による測定機器又はこれと同等以上の性能を有する測定機器を用いる方法によることができることとすること(これらの物以外の物が測定値に影響を及ぼすおそれのあるときを除く。)。(第2項関係)

イ アの有機溶剤の測定について、これらの物質以外の物が測定値に影響を及ぼすおそれがある場合であっても、有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号)第28条第2項の規定による測定結果の評価が2年以上行われ、その間、当該評価の結果、第1管理区分に区分されることが継続した単位作業場については、所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合は、検知管方式による測定機器又はこれと同等以上の性能を有する測定機器を用いる方法によることができること。なお、この場合であっても、1以上の測定点において測定基準別表第2に掲げる方法による測定を同時に行う必要があること。(第3項関係)

(5) 様式の一部改正について(測定基準様式第1号及び第2号関係)

測定対象物質が有機溶剤又は特別有機溶剤を2種類以上含有する混合物として製造され、又は取り扱われる場合は、測定基準様式第1号における「種類」の欄及び測定基準第2号における「測定対象物の名称」の欄には、「混合有機溶剤」と記入し、括弧内に主成分の名称を記入することとしたこと。

2 作業環境評価基準(昭和63年労働省告示第79号。以下「評価基準」という。)の一部改正について

(1) ナフタレンについて、管理濃度を10ppmと定めたこと。

(2) リフラクトリーセラミックファイバーについて、管理濃度を5μm以上の繊維として0.3本/cm3と定めたこと。

(3) テトラクロロエチレン(別名パークロルエチレン)について、管理濃度を50ppmから25ppmに引き下げたこと。

3 特定化学物質障害予防規則の規定に基づく厚生労働大臣が定める性能(昭和50年労働省告示第75号)の一部改正について

(1) ナフタレンについて、特化則の規定に基づき作業場に設ける局所排気装置のフードの外側における濃度(以下「抑制濃度」という。)を10cm3/m3と定めたこと。

(2) リフラクトリーセラミックファイバーについて、抑制濃度を5μm以上の繊維の数として0.3/cm3と定めたこと。

4 特定化学物質障害予防規則第八条第一項の厚生労働大臣が定める要件(平成15年厚生労働省告示第378号)について

本告示は改正されていないが、ナフタレン及びリフラクトリーセラミックファイバーについて、抑制濃度を超えないよう局所排気装置を稼働すべき物質に追加されていることに留意すること。

5 作業環境測定士規程(昭和51年労働省告示第16号)の一部改正について

リフラクトリーセラミックファイバーに係る作業環境測定を作業環境測定法施行規則(昭和50年労働省令第20号)別表第1号の作業場で、ナフタレンに係る作業環境測定を同表第3号の作業場で行うこととしたため、試験の科目の範囲及び講習の科目の範囲について所要の改正を行ったこと。

6 適用期日

改正告示は、平成27年11月1日から適用することとしたこと。

ただし、2(3)に係る改正(テトラクロロエチレンの管理濃度に係る改正)については、平成28年10月1日から適用することとしたこと。

 

第3 細部事項

1 測定基準関係

リフラクトリーセラミックファイバーの分析方法の「計数方法」とは、ろ過材に捕集された繊維の数を位相差顕微鏡を用いて直接数える方法(位相差顕微鏡法)をいうものであるが、形状が類似した他の人造鉱物繊維を同時に取り扱っている場合は、リフラクトリーセラミックファイバーのみを測定する方法として、分散染色法により分析を行うことができるものであること。

2 評価基準関係

リフラクトリーセラミックファイバーの管理濃度については、作業環境測定の分析においては、「長さ5μm以上、長さと幅(直径)の比が3:1以上で幅が3μm未満の繊維」を計数するものであること。

 

第4 関係通達の一部改正

1 平成17年3月31日付け基発第0331017号通達の一部改正

(1) 平成17年3月31日付け基発第0331017号「屋外作業場等における作業環境管理に関するガイドラインについて」の別表第1を別添1のとおり改正する。

(2) 改正後の上記通達の適用期日は次のとおりとする。

ア イ以外については、平成27年11月1日から適用する。

イ 別表第1のテトラクロロエチレンの管理濃度を50ppmから25ppmに改める改正については、平成28年10月1日から適用する。

2 平成2年7月17日付け基発第461号通達の一部改正

(1) 平成2年7月17日付け基発第461号「作業環境測定特例許可について」の別表第2を別添2のとおり改正する。

(2) 改正後の上記通達は平成27年11月1日から適用する。

 

[別添1]

別表第1

測定対象物質と管理濃度等

物の種類

管理濃度等

1 土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じん

次の式により算定される値

式

この式において、E及びQは、それぞれ次の値を表すものとする。

E 管理濃度(単位mg/m3)

Q 当該粉じんの遊離けい酸含有率(単位パーセント)

2 アクリルアミド

0.1mg/m3

3 アクリロニトリル

2ppm

4 アルキル水銀化合物(アルキル基がメチル基又はエチル基である物に限る。)

水銀として0.01mg/m3

5 アルファ―ナフチルアミン及びその塩

6 石綿

5μm以上の繊維として0.15本/cm3

7 インジウム化合物

8 エチルベンゼン

20ppm

9 エチレンイミン

0.05ppm

10 エチレンオキシド

1ppm

11 塩化ビニル

2ppm

12 塩素

0.5ppm

13 オーラミン

14 オルト―トリジン及びその塩

15 オルト―フタロジニトリル

0.01mg/m3

16 塩素化ビフェニル(別名PCB)

0.01mg/m3

17 カドミウム及びその化合物

カドミウムとして0.05mg/m3

18 クロム酸及びその塩

クロムとして0.05mg/m3

19 クロロホルム

3ppm

20 クロロメチルメチルエーテル

21 五酸化バナジウム

バナジウムとして0.03mg/m3

22 コバルト及びその無機化合物

コバルトとして0.02mg/m3

23 コールタール

ベンゼン可溶性成分として0.2mg/m3

24 酸化プロピレン

2ppm

25 ジアニシジン及びその塩

26 シアン化カリウム

シアンとして3mg/m3

27 シアン化水素

3ppm

28 四塩化炭素

5ppm

29 1,4―ジオキサン

10ppm

30 シアン化ナトリウム

シアンとして3mg/m3

31 ジクロルベンジジン及びその塩

32 1,2―ジクロロエタン(別名二塩化エチレン)

10ppm

33 3,3'―ジクロロ―4,4'―ジアミノジフェニルメタン

0.005mg/m3

34 1,2―ジクロロプロパン

1ppm

35 ジクロロメタン(別名二塩化メチレン)

50ppm

36 ジメチル―2,2―ジクロロビニルホスフェイト(別名DDVP)

0.1mg/m3

37 1,1―ジメチルヒドラジン

0.01ppm

38 臭化メチル

1ppm

39 重クロム酸及びその塩

クロムとして0.05mg/m3

40 水銀及びその無機化合物(硫化水銀を除く。)

水銀として0.025mg/m3

41 スチレン

20ppm

42 1,1,2,2―テトラクロロエタン(別名四塩化アセチレン)

1ppm

43 テトラクロロエチレン(別名パークロルエチレン)

25ppm

44 トリクロロエチレン

10ppm

45 トリレンジイソシアネート

0.005ppm

46 ナフタレン

10ppm

47 ニッケル化合物(ニッケルカルボニルを除き、粉状の物に限る。)

ニッケルとして0.1mg/m3

48 ニッケルカルボニル

0.001ppm

49 ニトログリコール

0.05ppm

50 パラ―ジメチルアミノアゾベンゼン

51 パラ―ニトロクロルベンゼン

0.6mg/m3

52 砒素及びその化合物(アルシン及び砒化ガリウムを除く。)

砒素として0.003mg/m3

53 弗化水素

0.5ppm

54 ベータ―プロピオラクトン

0.5ppm

55 ベリリウム及びその化合物

ベリリウムとして0.001mg/m3

56 ベンゾトリクロリド

0.05ppm

57 ベンゼン

1ppm

58 ペンタクロルフェノール(別名PCP)及びそのナトリウム塩

ペンタクロルフェノールとして0.5mg/m3

59 ホルムアルデヒド

0.1ppm

60 マゼンタ

61 マンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを除く。)

マンガンとして0.2mg/m3

62 メチルイソブチルケトン

20ppm

63 沃化メチル

2ppm

64 リフラクトリーセラミックファイバー

5μm以上の繊維として0.3本/cm3

65 硫化水素

1ppm

66 硫酸ジメチル

0.1ppm

67 鉛及びその化合物

鉛として0.05mg/m3

68アセトン

500ppm

69 イソブチルアルコール

50ppm

70 イソプロピルアルコール

200ppm

71 イソペンチルアルコール(別名イソアミルアルコール)

100ppm

72 エチルエーテル

400ppm

73 エチレングリコールモノエチルエーテル(別名セロソルブ)

5ppm

74 エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名セロソルブアセテート)

5ppm

75 エチレングリコールモノ―ノルマル―ブチルエーテル(別名ブチルセロソルブ)

25ppm

76 エチレングリコールモノメチルエーテル(別名メチルセロソルブ)

0.1ppm

77 オルト―ジクロルベンゼン

25ppm

78 キシレン

50ppm

79 クレゾール

5ppm

80 クロルベンゼン

10ppm

81 酢酸イソブチル

150ppm

82 酢酸イソプロピル

100ppm

83 酢酸イソペンチル(別名酢酸イソアミル)

50ppm

84 酢酸エチル

200ppm

85 酢酸ノルマル―ブチル

150ppm

86 酢酸ノルマル―プロピル

200ppm

87 酢酸ノルマル―ペンチル(別名酢酸ノルマル―アミル)

50ppm

88 酢酸メチル

200ppm

89 シクロヘキサノール

25ppm

90 シクロヘキサノン

20ppm

91 1,2―ジクロルエチレン(別名二塩化アセチレン)

150ppm

92 N,N―ジメチルホルムアミド

10ppm

93 テトラヒドロフラン

50ppm

94 1,1,1―トリクロルエタン

200ppm

95 トルエン

20ppm

96 二硫化炭素

1ppm

97 ノルマルヘキサン

40ppm

98 1―ブタノール

25ppm

99 2―ブタノール

100ppm

100 メタノール

200ppm

101 メチルエチルケトン

200ppm

102 メチルシクロヘキサノール

50ppm

103 メチルシクロヘキサノン

50ppm

104 メチル―ノルマル―ブチルケトン

5ppm

105 2―アミノ―4―クロロフェノール

106 アントラセン

107 2,3―エポキシ―1―プロパノール

2ppm

108 塩化アリル

1ppm

109 オルト―フェニレンジアミン及びその塩

オルト―フェニレンジアミンとして0.1mg/m3

110 キノリン及びその塩

111 1―クロロ―2―ニトロベンゼン

構造類似物質の管理濃度

パラ―ニトロクロルベンゼン

0.6mg/m3

112 酢酸ビニル

10ppm

113 1,4―ジクロロ―2―ニトロベンゼン

114 2,4―ジクロロ―1―ニトロベンゼン

構造類似物質の管理濃度

パラ―ニトロクロルベンゼン

0.6mg/m3

115 N,N―ジメチルアセトアミド

10ppm

116 ノルマル―ブチル―2,3―エポキシプロピルエーテル

3ppm

117 パラ―ジクロルベンゼン

10ppm

118 パラ―ニトロアニソール

構造類似物質の許容濃度

パラ―アニシジン 0.5mg/m3

(日本産業衛生学会、ACGIH)

ジニトロトルエン(混合物)

0.2mg/m3(ACGIH)

119 ヒドラジン及びその塩並びに一水和物

ヒドラジンとして0.13mg/m3

120 ビフェニル

0.2ppm

121 2―ブテナール

0.2ppm

122 1―ブロモ―3―クロロプロパン

構造類似物質の管理濃度

1,2―ジクロロエタン 10ppm

123 1―ブロモブタン

備考 この表の右欄の値は、温度25度、1気圧の空気中における濃度を示す。

(注)表に掲げる管理濃度等とは、作業環境評価基準(昭和63年労働省告示第79号)の別表に掲げる管理濃度及び労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質による健康障害を防止するための指針に基づき作業環境の測定の結果を評価するために使用する評価指標をいう。

 

[別添2]

別表第2

作業環境測定基準第13条第3項を適用する場合のt値

特別有機溶剤

有機溶剤又は特別有機溶剤の名称

t値

検知管方式

 

アセトン

3

 

イソブチルアルコール

1

 

イソプロピルアルコール

1

 

イソペンチルアルコール

1

 

エチルエーテル

10

 

エチレングリコールモノエチルエーテル

10

 

 

エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート

3

 

 

エチレングリコールモノ―ノルマル―ブチルエーテル

1

 

 

エチレングリコールモノメチルエーテル

1000

 

 

オルト―ジクロルベンゼン

1

 

 

キシレン

3

 

クレゾール

1

 

クロルベンゼン

10

 

酢酸イソブチル

1

 

酢酸イソプロピル

3

 

酢酸イソペンチル

1

 

 

酢酸エチル

3

 

酢酸ノルマル―ブチル

1

 

酢酸ノルマル―プロピル

1

 

 

酢酸ノルマル―ペンチル

1

 

 

酢酸メチル

10

 

 

シクロヘキサノール

1

 

 

シクロヘキサノン

3

 

1,2―ジクロルエチレン

10

 

N・N―ジメチルホルムアミド

3

 

テトラヒドロフラン

30

 

1,1,1―トリクロルエタン

3

 

トルエン

10

 

二硫化炭素

3000

 

ノルマルヘキサン

30

 

1―ブタノール

3

 

 

2―ブタノール

1

 

メタノール

3

 

 

メチルエチルケトン

3

 

メチルシクロヘキサノール

1

 

 

メチルシクロヘキサノン

1

 

メチル―ノルマル―ブチルケトン

30

 

エチルベンゼン

3

 

クロロホルム

300

四塩化炭素

100

1,4―ジオキサン

30

 

1,2―ジクロロエタン

100

 

1,2―ジクロロプロパン

300

 

ジクロロメタン

100

 

スチレン

3

1,1,2,2―テトラクロロエタン

30

 

テトラクロロエチレン

3

トリクロロエチレン

30

メチルイソブチルケトン

10

 

注1:「特別有機溶剤」欄の※は、その物質が特別有機溶剤であることを示す。

注2:「検知管方式」欄の○は、作業環境測定基準第10条第2項又は第13条第2項により検知管方式が認められている物質であることを示す。