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ロープ高所作業における危険の防止を図るための労働安全衛生規則の一部を改正する省令等の施行について
平成27年8月5日基発0805第1号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成27年厚生労働省令第129号。以下「改正省令」という。)が、平成27年8月5日に公布され、一部を除き平成28年1月1日から施行されることとなったところである。また、改正省令と併せて安全衛生特別教育規程の一部を改正する告示(平成27年厚生労働省告示第342号。以下「改正告示」という。)が平成27年8月5日に公示され、平成28年7月1日から適用されることとなったところである。
その改正の趣旨、内容等については、下記のとおりであるので、関係者への周知を図るとともに、その施行に遺漏なきを期されたい。
記
第1 改正の趣旨
高さ2メートル以上の箇所で作業を行う場合には、墜落による労働者の危険を防止する措置として、作業床を設けることを義務付けている。
一方、作業床の設置が困難なところではロープで労働者の身体を保持して行うロープ高所作業を用いざるを得ない場合もあり、これまで安全帯の使用等労働安全衛生関係法令等に基づく指導を行ってきたところである。
しかしながら、ロープ高所作業にあっては、身体を保持するロープが外れる(ほどける)、安全帯を外す(接続せず)、ロープが切れる等によって、あるいは高所においてロープ高所作業のための準備作業中や移動中に墜落し死亡する災害が、特にビルの外装清掃やのり面保護工事において後を絶たない状況にある。
このように、ロープ高所作業は、死亡災害等の重篤な災害につながりやすい非常にリスクの高い作業であることから、専門家による検討会(ブランコ作業における安全対策検討会)の提言を踏まえ、今般、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)に新たにロープ高所作業における危険の防止規定を設け、安全対策の強化を図ることとされたものである。
具体的には、ライフラインの設置、十分な強度を有し損傷や変形等のないロープ等の使用、堅固な支持物への緊結やロープの切断を防止するための措置の実施、安全帯の使用等の基本的な安全措置に加え、作業場所の事前調査とそれに基づく作業計画の策定等作業場所に応じた安全対策の実施、作業指揮者や作業開始前点検による措置の確実な実施等を義務づけたところである。
また、ロープ高所作業に従事する労働者については、特別教育の対象とするとともに、安全衛生特別教育規程(昭和47年労働省告示第92号)の一部を改正し特別教育の内容を新たに規定したものである。
なお、ビルの外装清掃やのり面保護工事以外の作業については、メインロープのほどけによる墜落の危険を防止するための措置及びメインロープの切れによる墜落の危険を低減させるための措置を講ずることを条件として、新たに規定した安全対策のうちライフラインの設置のみ、当分の間、適用しないこととしたところである。
第2 改正の要点
Ⅰ 改正省令関係
1 改正省令第1条関係
(1) ロープ高所作業の定義(第539条の2関係)
ロープ高所作業の定義を、「高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、昇降器具(労働者自らの操作により上昇し、又は下降するための器具であって、作業箇所の上方にある支持物にロープを緊結してつり下げ、当該ロープに労働者の身体を保持するための器具。)を用いて、労働者が当該昇降器具により身体を保持しつつ行う作業(40度未満の斜面における作業を除く。)」としたこと。
(2) ライフラインの設置(第539条の2関係)
事業者は、ロープ高所作業を行うときは、身体保持器具を取り付けたロープ(以下「メインロープ」という。)以外のロープであって、安全帯を取り付けるためのもの(以下「ライフライン」という。)を設けなければならないものとしたこと。
(3) メインロープ等の強度等(第539条の3関係)
① 事業者は、メインロープ、ライフライン、これらを支持物に緊結するための緊結具、身体保持器具及びこれをメインロープに取り付けるための接続器具(以下これらを「メインロープ等」という。)については、十分な強度を有するものであって、著しい損傷、摩耗、変形又は腐食がないものを使用しなければならないものとしたこと。
② ①のほか、メインロープ、ライフライン及び身体保持器具については、次に定める措置を講じなければならないものとしたこと。
ア メインロープ及びライフラインは、作業箇所の上方にある堅固な支持物(以下1において「支持物」という。)に緊結すること。この場合において、メインロープ及びライフラインは、それぞれ異なる支持物に、外れないように確実に緊結すること。
イ メインロープ及びライフラインは、ロープ高所作業に従事する労働者が安全に昇降するため十分な長さのものとすること。
ウ 突起物のある箇所その他の接触することによりメインロープ又はライフラインが切断するおそれのある箇所(以下「切断のおそれのある箇所」という。)に覆いを設ける等これらの切断を防止するための措置(以下「切断防止措置」という。)を講ずること。
エ 身体保持器具は、メインロープに①の接続器具を用いて確実に取り付けること。
(4) 調査及び記録(第539条の4関係)
事業者は、ロープ高所作業を行うときは、墜落又は物体の落下による労働者の危険を防止するため、あらかじめ、当該作業に係る場所について次の事項を調査し、その結果を記録しておかなければならないものとしたこと。
① 作業箇所及びその下方の状況
② メインロープ及びライフラインを緊結するためのそれぞれの支持物の位置及び状態並びにその周囲の状況
③ 作業箇所及び②の支持物に通ずる通路の状況
④ 切断のおそれのある箇所の有無並びにその位置及びその状態
(5) 作業計画(第539条の5関係)
① 事業者は、ロープ高所作業を行うときは、あらかじめ、(4)の調査により知り得たところに適応する作業計画を定め、かつ、当該作業計画により作業を行わなければならないものとしたこと。
② 作業計画は、次の事項が示されているものでなければならないものとしたこと。
ア 作業の方法及び順序
イ 作業に従事する労働者の人数
ウ メインロープ及びライフラインを緊結するためのそれぞれの支持物の位置
エ 使用するメインロープ等の種類及び強度
オ 使用するメインロープ及びライフラインの長さ
カ 切断のおそれのある箇所及び切断防止措置
キ メインロープ及びライフラインを支持物に緊結する作業に従事する労働者の墜落による危険を防止するための措置
ク 物体の落下による労働者の危険を防止するための措置
ケ 労働災害が発生した場合の応急の措置
③ 事業者は、作業計画を定めたときは、②の事項について関係労働者に周知させなければならないものとしたこと。
(6) 作業指揮者(第539条の6関係)
事業者は、ロープ高所作業を行うときは、当該作業を指揮する者を定め、その者に(5)①の作業計画に基づき作業の指揮を行わせるとともに、次の事項を行わなければならないものとしたこと。
① (3)②の措置が講じられているかどうかについて点検すること。
② 作業中、安全帯及び保護帽の使用状況を監視すること。
(7) 安全帯の使用(第539条の7関係)
① 事業者は、ロープ高所作業を行うときは、当該作業を行う労働者に安全帯を使用させなければならないものとしたこと。
② ①の安全帯は、ライフラインに取り付けなければならないものとしたこと。
③ 労働者は、安全帯の使用を命じられたときは、これを使用しなければならないものとしたこと。
(8) 保護帽の着用(第539条の8関係)
① 事業者は、ロープ高所作業を行うときは、物体の落下による労働者の危険を防止するため、労働者に保護帽を着用させなければならないものとしたこと。
② 労働者は、保護帽の着用を命じられたときは、これを着用しなければならないものとしたこと。
(9) 作業開始前点検(第539条の9関係)
事業者は、ロープ高所作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、メインロープ等、安全帯及び保護帽の状態について点検し、異常を認めたときは、直ちに、補修し、又は取り替えなければならないものとしたこと。
2 改正省令第2条関係
事業者が労働者に特別の教育を行わなければならない業務に、ロープ高所作業に係る業務を追加することとしたこと。(第36条及び第39条関係)
3 改正省令の附則関係
(1) 施行期日(附則第1条関係)
改正省令は、平成28年1月1日から施行することとしたこと。ただし、改正省令第2条に定める新安衛則第36条の規定については、平成28年7月1日から施行することとしたこと。
(2) ライフラインの設置に関する経過措置(附則第2条関係)
ロープ高所作業のうち、ビルクリーニングの業務に係る作業又はのり面における石張り、芝張り、モルタルの吹付等ののり面を保護するための工事に係る作業以外の作業については、次の①及び②の措置を講じた場合に限り、当分の間、改正省令による改正後の安衛則(以下「新安衛則」という。)第539条の2の規定は、適用しないこととしたこと。また、この場合における新安衛則第539条の3から第539条の7までの規定において、必要な読替えを行うこととしたこと。
① メインロープを作業箇所の上方の異なる2以上の堅固な支持物と緊結すること。
② 突起物のある箇所その他の接触することによりメインロープが切断のおそれのある箇所とメインロープとの接触を避ける措置を講ずること。ただし、当該措置を講ずることが作業の性質上困難な場合において①の支持物の他に当該箇所の下方にある堅固な支持物にメインロープを緊結させたときはこの限りでないこと。
Ⅱ 改正告示関係
Ⅰの2に伴い、ロープ高所作業に係る業務に従事する労働者に対する特別教育について、学科教育、実技教育の内容を次のとおり規定したこと。(第23条関係)
(学科教育)
(1) ロープ高所作業に関する知識 1時間
(2) メインロープ等に関する知識 1時間
(3) 労働災害の防止に関する知識 1時間
(4) 関係法令 1時間
(実技教育)
(5) ロープ高所作業の方法、墜落による労働災害の防止のための措置並びに安全帯及び保護帽の取扱い2時間
(6) メインロープ等の点検1時間
第3 細部事項
Ⅰ 改正省令関係
1 改正省令第1条関係
(1) 第539条の2関係
① ロープ高所作業は、「高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところ」において行うものとしているが、これは、安衛則第518条第1項において、高さが2メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行う場合には作業床の設置が義務付けられていることを前提としているものであるため、高さが2メートル以上の箇所においてロープ高所作業と同様の内容の作業を行う場合であって、作業床を設けることができるときには、同条第1項が適用されるものであること。
② 「作業床を設けることが困難なところ」とは、目的とする作業の種類、場所、時間等からみて、足場を設けることが現実的に著しく離反している場合等における作業箇所をいい、単なる費用の増加によるもの等はこれに当たらないこと。
③ 「身体保持器具」には、例えばブランコ台、傾斜面用ハーネスのバックサイドベルトがあること。
④ こう配が40度未満の斜面においてロープ高所作業と同様の内容の作業を行う場合についても、新安衛則第539条の2、第539条の3、第539条の7、第539条の8及び第539条の9に定めるロープ高所作業における危険の防止措置を講ずることが望ましいこと。
⑤ 「ライフライン」は、安全帯を取り付けるためのものであって、ロープ高所作業中、常時身体を保持するためのものではないこと。
⑥ ライフラインとして、リトラクタ式墜落阻止器具(ランヤードの自動ロック機能、自動緊張機能及び巻取り機能を有する墜落阻止器具)を用いても差し支えないこと。
ただし、以下に掲げる場合については、それぞれ以下に掲げる条件を満たす必要があること。
ア ライフラインとして使用しているロープにリトラクタ式墜落阻止器具を接続して一つのライフラインとして使用する場合については、当該ロープとリトラクタ式墜落阻止器具との接続が確実になされている状態であること。
イ リトラクタ式墜落阻止器具を複数用いる場合については、安全帯を接続しているリトラクタ式墜落阻止器具を別のリトラクタ式墜落阻止器具へ付け替えるときにフックを2本備えた安全帯(常時接続型の安全帯)を使用する等により、労働者が昇降する間、常に安全帯がリトラクタ式墜落阻止器具に接続されている状態であること。
(2) 第539条の3関係
① 第1項の「緊結具」には、例えばカラビナ、スリング等があること。また、「接続器具」には、例えばエイト環、ディッセンダー(Descender)等の下降器及びアッセンダー(Ascender)等の登高器があること。
② 以下に定める強度を有するロープ等については、第1項の「十分な強度を有するもの」として差し支えないこと。
ア メインロープ及びライフラインにあっては、19.0キロニュートンの引張荷重を掛けた場合において破断しないもの。
イ 緊結具に使用するもののうち、カラビナにあっては11.5キロニュートンの、スリングにあっては15.0キロニュートンの、それぞれ引張荷重を掛けた場合において破断しないもの。
ウ 身体保持器具に使用するもののうち、垂直面用ハーネスにあっては11.5キロニュートンの、傾斜面用ハーネスのバックサイドベルトにあっては15.0キロニュートンの、環、環取付部及びつりベルト取付部にあっては11.5キロニュートンの、つりロープにあっては製品のアイ加工部を含めて19.0キロニュートンの、それぞれ引張荷重を掛けた場合において破断しないもの。
エ 接続器具に使用するグリップ、ディッセンダーにあっては、11.5キロニュートンの引張荷重を掛けた場合においてメインロープの損傷等により保持機能を失わないもの。
③ 第1項の「著しい損傷、摩耗、変形又は腐食」とは、これらが製造されたときと比較して、目視で形状等を判定することができる程度に異なったものをいうこと。
なお、メインロープ等については、あらかじめ保管場所及び保管方法、破棄・交換の基準等を定めておくことが望ましいこと。このうち保管場所、破棄基準については、独立行政法人産業安全研究所の技術指針である「安全帯使用指針」が参考になること。
④ 第2項第1号の「堅固な支持物」とは、メインロープ又はライフラインに負荷させる荷重に応じた十分な強度及び構造を有する支持物をいうこと。なお、一の支持物を複数の労働者が同時に使用する場合には、当該支持物に同時に負荷させる荷重に応じた十分な強度及び構造を有する必要があること。
⑤ 第2項第2号の「安全に昇降するため十分な長さ」とは、ロープ高所作業の最下部において地上又は仮設の作業床等に達するまでの長さをいうこと。
ただし、リトラクタ式墜落阻止器具を用いる場合は、ランヤードの長さがロープ高所作業の最下部において地上又は仮設の作業床等に達するまでの長さをいうこと。また、
ア (1)⑥のアの場合については、ロープとリトラクタ式墜落阻止器具のランヤードの長さの合計がロープ高所作業の最下部において地上又は仮設の作業床等に達するまでの長さをいうこと。
イ (1)⑥のイの場合については、用いるリトラクタ式墜落阻止器具のランヤードの長さの合計がロープ高所作業の最下部において地上又は仮設の作業床等に達するまでの長さであること
⑥ 第2項第3号の「突起物のある箇所」には、例えば建築物にあっては庇、雨樋、のり面にあっては岩石があること。また、「切断のおそれのある箇所に覆いを設ける等」の「等」には、ロープに養生材を巻き付けることがあること。
⑦ 第2項第4号の接続器具には、使用するメインロープに適合したものを使用すること。
⑧ 第2項各号の措置については、ロープ高所作業に従事する労働者が作業を開始する直前に、当該労働者と新安衛則第539条の6に定める作業指揮者等による複数人で確認することが望ましいこと。
(3) 第539条の4関係
① 調査の方法には、立入による調査のほか、例えば地形図による調査、ロープ高所作業の発注者や施設の所有者・管理者等からの情報の把握等の方法があること。
なお、調査が適切に行われるよう、事業者と発注者等との間であらかじめ必要な連絡調整を行うことが望ましいこと。
② 調査結果の記録の様式は任意であること。また、記録の保存期間については、当該調査の対象となったロープ高所作業が終了するまでの間とすること。
③ 第1号の「作業箇所及び下方の状況」については、作業計画において作業の方法及び順序、使用するメインロープ等の種類及び強度、使用するメインロープ及びライフラインの長さ等を定めるために必要な事項を確認すること。
④ 第2号の「メインロープ及びライフラインを緊結するためのそれぞれの支持物の位置及び状態並びにその周囲の状況」については、ロープ高所作業に適した支持物の有無、位置、形状、メインロープ及びライフラインを支持物に緊結する作業に従事する労働者の危険の有無を確認すること。
⑤ 第3号の「作業箇所及び前号の支持物に通ずる通路の状況」については、支持物から作業箇所までロープを張るための通路も含まれ、通行する労働者の危険の有無を確認すること。
(4) 第539条の5関係
① 作業計画の様式は任意であること。
② 第2項第1号の「作業の方法及び順序」には、ロープ高所作業の手順のほか、作業箇所等に通ずる通路、ロープの取り付け方法等も含まれること。
③ 第2項第4号の「使用するメインロープ等の種類及び強度」には、第1号の作業の方法に適合したメインロープ、当該メインロープに適合した接続器具、身体保持器具及びその強度を示すこと。
④ 第2項第7号の「支持物に緊結する作業に従事する労働者の墜落による危険を防止するための措置」には、安衛則第2編第9章第1節「墜落等による危険の防止」に定める措置等があること。
⑤ 第2項第9号の「労働災害が発生した場合の応急の措置」には、関係者への連絡、被災者に対する救護措置等があること。
(5) 第539条の6関係
① 作業指揮者には、新安衛則第539条の6に定める作業指揮者の職務を適切に実施できる者を選任すること。
② 労働者が単独で作業を行う場合は、作業指揮者の選任は要しないものであるが、新安衛則第539条の5に定める作業計画に基づく作業が適切に行われるためにも作業指揮者を選任することが望ましいこと。
(6) 第539条の7関係
① 第2項のライフラインに取り付ける安全帯のグリップには、使用するライフラインに適合したものを使用すること。
② 第2項の措置については、ロープ高所作業に従事する労働者が作業を開始する直前に、当該労働者と新安衛則539条の6に定める作業指揮者等による複数人で確認することが望ましいこと。
(7) 第539条の8関係
① 物体の落下による危険を防止するための措置としては、本条とともに安衛則第537条の適用があること。ただし、防網の設置等により物体の落下による労働者の危険を及ぼすおそれがないときは、本条は適用しない趣旨であること。
なお、本条はロープ高所作業に従事する労働者についても、物体の落下による危険のおそれがあるときは適用があること。
② 第1項の「物体の落下による労働者の危険」は、ロープ高所作業を行う場所の状況、高さ、気象条件等を勘案して判断されるべきであるが、例えば、安衛則第537条に基づき物体の落下による危険のない区域(立入区域)を設定した場合であって、ロープ高所作業中にその鉛直下等当該区域以外に労働者を立ち入らせるときは、本条の適用があること。
③ ロープ高所作業中、当該作業に従事する労働者が使用する作業工具については、セーフティコードその他工具が落下することを防止するための紐等で身体に接続する等により物体の落下自体を防ぐ措置を講ずることが望ましいこと。
2 改正省令第2条関係
(1) 特別教育については、改正告示による改正後の安全衛生特別教育規程(以下「新規程」という。)第23条に定める学科教育及び実技教育により行うこと。
なお、改正省令公布後施行日より前に、新規程第23条に規定するロープ高所作業に係る業務に係る特別教育の全部又は一部の科目を受講した者については、新安衛則第37条の規定に基づき、当該受講した科目を省略することができること。
(2) 特別教育の講師についての資格要件は定めていないが、教育科目について十分な知識、経験を有する者でなければならないこと。
3 附則第2条関係
(1) 第1項の「ロープ高所作業のうち、ビルクリーニングの業務に係る作業又はのり面における石張り、芝張り、モルタルの吹付け等ののり面を保護するための工事に係る作業以外の作業」には、例えば橋梁、ダム、風力発電等の調査、点検、検査等を行う作業があること。
これらの作業については、個々の作業方法に応じた安全対策についてなお検討の余地があることから、ロープ高所作業に係る安全措置のうち、同項第1号及び第2号に定める措置を講じたものについては、当分の間、ライフラインの設置について適用しないものとしたこと。ただし、当該措置を講ずることが困難な場合には、新安衛則第539条の2に基づくライフラインの設置が必要であること。
(2) 第1項の「のり面における石張り、芝張り、モルタルの吹付け等」の「等」には、例示されている以外ののり面保護工のほか、のり面の整形、浮石の処理等があること。
(3) 第1項第2号の「メインロープとの接触を避ける措置」とは、いわゆるディビエーション技術(第1号とは別の支持物、滑車、カラビナ等を用いて、メインロープの位置、方向を変えることで、接触によりメインロープが切断するおそれのある箇所とメインロープとの接触を避ける措置。)があること。また、「当該箇所の下方にある堅固な支持物にメインロープを緊結」とは、いわゆるリビレイ技術(接触によりメインロープが切断するおそれのある箇所の下方にある堅固な支持物にメインロープを再緊結することで、再緊結された箇所より上方のメインロープにかかる荷重を軽減し、当該接触によるメインロープの切断を避ける措置。)があること。
ディビエーション技術の例
リビレイ技術の例
(4) 附則第1項に定める措置を講じる場合には、新安衛則第539条の5に定める作業計画に定めること。