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通達:電動ファン付き呼吸用保護具等の型式検定に係る検定の方法等について

 

電動ファン付き呼吸用保護具等の型式検定に係る検定の方法等について

平成26年11月28日基発1128第13号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

 

登録型式検定機関が行う機械等の型式検定に係る検定の方法等については、平成17年4月1日付け基発第0401035号「登録製造時等検査機関が行う製造時等検査、登録個別検定機関が行う個別検定及び登録型式検定機関が行う型式検定の適正な実施について」の別紙3「型式検定に係る検定の方法等」(以下「別紙3」という。)に定められているところである。

今般、電動ファン付き呼吸用保護具の規格(平成26年厚生労働省告示第455号)が制定されたこと等から、別紙3を下記のとおり改正し、平成26年12月1日から適用することとしているので了知されたい。

なお、現在防じんマスク及び防毒マスクの登録型式検定機関として登録されている者に対しては、別添3のとおり通知しているので申し添える。

 

平成17年4月1日付け基発第0401035号「登録製造時等検査機関が行う製造時等検査、登録個別検定機関が行う個別検定及び登録型式検定機関が行う型式検定の適正な実施について」の一部を次のように改正する。

別紙3の表紙の1(1)中「表1から表12の2まで」を「表1から表13まで」に改める。

別紙3の表5及び表6を別添1のとおり改め、別紙3の表12の2の次に別添2のとおり加える。

 

[別添1]

表5 防じんマスク

(下線が変更部分)

検定項目

検定の方法

判定基準

1 設計審査

構造、機能等について、申請書、構造図、説明書及びあらかじめ行った試験の結果を記載した書面により確認すること。

・防じんマスクの規格(以下この表において「規格」という。)第1条から第7条までに適合していること。

2 外観検査

(1) 設計審査により確認した構造図と現品を照合すること。

(2) 防じんマスクの形状に応じた種類について、規格の区分に適合していることを目視及び書類の記載事項により確認すること。

(3) 次の点に留意して、書類の記載事項、現品の目視及び装着により、構造を確認すること。

①死積(V)が著しく大きいものでないことを、書類の記載事項及び二酸化炭素濃度上昇値(C,%)から次式で換算した値で確認すること。

V(cc)=(2000×C)/5(%)

②全面形の面体を有するものであって、アイピースが曇らないことを確認する際には、アイピースに直接呼気がかかると曇りやすいので呼気を止めて装着すること。

③取替え式防じんマスクの密着の確認については、陽圧法又は陰圧法があること。密塞具を使用する場合は、図面に密塞具を記載させ、サンプルを提出させること。掌で覆う方式は手の大きさに依存するので、開口面積が大きいものは不適当であること。

④使い捨て式防じんマスクについては、装着して頭部運動や口周り運動を試みること。

⑤吸気弁及び排気弁については、装着して呼吸したとき、吸気弁と排気弁が作動することを知覚できることを確認すること。また、吸気弁及び排気弁が作動したときに弁座、カバー等に引っかからないことを確認すること。

⑥連結管については、180度に曲げても通気があることを確認すること。

・構造図と現品に差異がないこと。

・規格第1条、第4条及び第5条に適合していること。

3 材料検査

(1) 人体の皮膚に障害を与えるおそれのない材料を使用していることを書面により確認すること。

(2) 人がろ過材を通じて空気を吸入しても障害を与える可能性がないことを確認すること。

(3) 書類の記載事項及び装着、目視等により異常がないことを確認すること(サンプル数1)。

・規格第2条に適合していること。

4 強度試験

規格第3条の試験方法及び以下の試験方法により、強度試験を行うこと。

(1) しめひも取付部分及びしめひもについては、以下の①から③までのいずれかの試験により、面体としめひもの取付部、しめひも、ひも調整部及びその他部品としめひもの連結部において破断又は離脱がないことを確認すること(サンプル数3)。

①引張試験器により一定の速度(200mm/min)で装着時と同じ方向に引っ張る。

②バネばかり等のはかりをしめひもの一端に掛け、他端を手で引いて所定の強度まで引く。引っ張り速度は一定ではない。

③一定質量の錘おもり(ブロック、ダンベル等)に鈎かぎを付け、固定した面体のしめひもの一端に鉤かぎで錘おもりをつって荷重をかける。

(2) 隔離式防じんマスクの連結管取付部分及び連結管については、以下の①から③までのいずれかの試験により、連結管(途中で接続する構造のものはその接続部を含む)とその両端部の連結管取付部分において破断又は離脱がないことを確認すること(サンプル数3)。

①引張試験器により一定の速度(200mm/min)で装着時と同じ方向に引っ張る。

②バネばかり等のはかりを連結管の一端に掛け、他端を手で引いて所定の強度まで引く。引っ張り速度は一定ではない。

③一定質量の錘おもり(ブロック、ダンベル等)に鈎かぎを付け、固定した連結管の一端に鉤かぎで錘おもりをつって荷重をかける。

・規格第3条の条件に適合していること。

5 性能試験

規格第6条の試験方法及び以下の試験方法により、性能試験を行うこと。

(粒子捕集効率試験)

(1) 試験粒子が塩化ナトリウムの場合

①粒子捕集効率測定器で測定すること(サンプル数8)。

②塩化ナトリウム粒子発生は、2%塩化ナトリウム水溶液のネブライザーによる空気中噴霧方式を使用すること。噴霧空気圧及び希釈空気流量を試験時に調整して、試験空気流中の塩化ナトリウムの濃度を30~35mg/m3に設定すること。

③粒子捕集効率試験の試験粒子の粒径分布が規格どおりであることをスキャンニングモビリティーパーティクルサイザー(SMPS)で事前に確認すること。

④粒子濃度測定は、白色光による散乱光強度を測定すること。

⑤K値(粒子の質量濃度及び散乱光強度の間の変換係数)を用いて散乱光強度から質量濃度を算出すること。

⑥使い捨て式及び取替式マスク現品の装置への装着状態は以下のとおりとすること。

図


⑦現品のろ過材上に塩化ナトリウムを含む空気を供給し、塩化ナトリウム粒子の累積供給量が100mgになるまでの経過において約1分毎に粒子捕集効率を測定し、その間の最低粒子捕集効率が基準値以上であること。

⑧サンプル8個のすべてにおいて上記の捕集効率が観察されること。

(2) 試験粒子がフタル酸ジオクチル(DOP)の場合

①粒子捕集効率測定器で測定すること(サンプル数8)。

②DOP粒子発生は、DOPのネブライザーによる空気中噴霧方式を使用すること。噴霧空気圧及び希釈空気流量を試験時に調整して、試験空気流中のDOPの濃度を50~80mg/m3に設定すること。

③粒子捕集効率試験の試験粒子の粒径分布が規格どおりであることをスキャンニングモビリティーパーティクルサイザー(SMPS)で事前に確認すること。

④粒子濃度測定は、白色光による散乱光強度を測定すること。

⑤K値(粒子の質量濃度及び散乱光強度の間の変換係数)を用いて散乱光強度から質量濃度を算出すること。

⑥現品の装置への装着状態は、(1)の⑥と同様とすること。

⑦現品のろ過材上にDOPを含む空気を供給し、その中のDOP粒子の累積供給量が200mgになるまでの経過において約1分毎に粒子捕集効率を測定し、その間の最低粒子捕集効率が基準値以上であること。

⑧サンプル8個のすべてにおいて上記の捕集効率が観察されること。

(吸気抵抗試験)

通気抵抗試験器に現品を取り付ける方向は、実際に装着する方向と同じ方向とすること(サンプル数3)。

(排気抵抗試験)

通気抵抗試験器に現品を取り付ける方向は、実際に装着する方向と同じ方向とすること(サンプル数3)。

(排気弁の作動気密試験)

排気弁の気密試験器に現品を取り付け測定すること(サンプル数3)。

(二酸化炭素濃度上昇値試験)

二酸化炭素濃度測定器に装着した現品に風速0.5m/sの風を当て、排気弁より排出される二酸化炭素が空気取入口周辺に滞留しないようにすること(サンプル数1)。

・規格第6条の条件に適合していること。

6 表示検査

表示及び書類の記載事項を確認すること。

・規格第7条に適合していること。

備考

規格第8条の規定による適用除外を受けた防じんマスクについては、適用しないこととされた規定に関する検定の実施に代えて、適用除外を受けた際の条件に適合していることを確認すること。

表6 防毒マスク

(下線部が変更部分)

検定項目

検定の方法

判定基準

1 設計審査

構造、機能等について、申請書、構造図、説明書及びあらかじめ行った試験の結果を記載した書面により確認すること。

・防毒マスクの規格(以下この表において「規格」という。)第1条から第8条までに適合していること。

2 外観検査

(1) 設計審査により確認した構造図と現品を照合すること。

(2) 防毒マスクの形状及び使用の範囲に応じた種類について、規格の区分に適合していることを目視及び書類の記載事項により確認すること。

(3) 次の点に留意して、書類の記載事項、現品の目視及び装着により、構造を確認すること。

①死積(V)が著しく大きいものでないことを、書類の記載事項及び二酸化炭素濃度上昇値(C,%)から次式で換算した値で確認すること。

V(cc)=(2000×C)/5(%)

②全面形の面体を有するものにあって、アイピースが曇らないことを確認する際には、アイピースに直接呼気がかかると曇りやすいので呼気を止めて装着すること。

③密着性の確認については、陽圧法又は陰圧法があること。密塞具を使用する場合は、図面に密塞具を記載させ、サンプルを提出させること。なお、掌で覆う方式は手の大きさに依存するので、開口面積が大きいものは不適当であること。

④吸収缶を手で振って内容物の移動がないことを確認すること。

⑤吸気弁及び排気弁については、装着して呼吸したとき、吸気弁及び排気弁が作動することを知覚できることを確認すること。また、吸気弁及び排気弁が作動したときに弁座、カバー等に引っかからないことを確認すること。

⑥連結管については、180度に曲げても通気があることを確認すること。

・構造図と現品に差異がないこと。

・規格第2条、第5条及び第6条に適合していること。

3 材料検査

(1) 人体の皮膚に障害を与えるおそれのない材料を使用していることを書面により確認すること。

(2) 吸収缶の内面については、吸収剤に腐食されないもの又は吸収剤に腐食されないよう十分に防腐処理が施されているものであることを書類の記載事項により確認すること。なお、プラスチック缶は耐蝕性と見なすこと。

(3) 人がろ過材を通じて空気を吸入しても障害を与える可能性がないこと及び粒子が吸収缶外に飛散しないことを確認すること。

(4) 書類の記載事項及び装着、目視等により異常がないことを確認すること(サンプル数1)。

・規格第3条に適合していること。

4 強度試験

規格第4条の試験方法及び以下の試験方法により、強度試験を行うこと。

(1) しめひも取付部分及びしめひもについては、以下の①から③までのいずれかの試験により、面体としめひもの取付部、しめひも、ひも調整部及びその他部品としめひもの連結部において破断又は離脱がないことを確認すること(サンプル数3)。

①引張試験器により一定の速度(200mm/min)で装着時と同じ方向に引っ張る。

②バネばかり等のはかりをしめひもの一端に掛け、他端を手で引いて所定の強度まで引く。引っ張り速度は一定ではない。

③一定質量の錘おもり(ブロック、ダンベル等)に鈎かぎを付け、固定した面体のしめひもの一端に鉤かぎで錘おもりをつって荷重をかける。

(2) 隔離式防じんマスクの連結管取付部分及び連結管については、以下の①から③までのいずれかの試験により、連結管(途中で接続する構造のものはその接続部を含む)とその両端部の連結管取付部分において破断又は離脱がないことを確認すること(サンプル数3)。

①引張試験器により一定の速度(200mm/min)で装着時と同じ方向に引っ張る。

②バネばかり等のはかりを連結管の一端に掛け、他端を手で引いて所定の強度まで引く。引っ張り速度は一定ではない。

③一定質量の錘おもり(ブロック、ダンベル等)に鈎かぎを付け、固定した連結管の一端に鉤かぎで錘おもりをつって荷重をかける。

・規格第4条の条件に適合していること。

5 性能試験

規格第7条の試験方法及び以下の試験方法により、性能試験を行うこと。

・規格第7条の条件に適合していること。

(1) 防毒マスク(吸収缶を除く。)の性能

(気密試験)

面体を人頭に着けて内部を加圧したとき、面体と人頭の接触部分からの漏れは試験対象とせず、面体各部の接合部からの漏れを検知すること(サンプル数1)。

(吸気抵抗試験)

①通気抵抗試験器に現品を取り付ける方向は、実際に装着する方向と同じ方向で取り付け測定すること(サンプル数3)。

②連結管の両端を幅広のテープで固定し、湾曲部の内側の直径が2cmになるようにすること。

(排気抵抗試験)

通気抵抗試験器に現品を取り付ける方向は、実際に装着する方向と同じ方向で取り付け測定すること(サンプル数3)。

(排気弁の作動気密試験)

排気弁の作動気密試験器に現品を取り付け測定すること(サンプル数3)。

(二酸化炭素濃度上昇値試験)

二酸化炭素濃度測定器に装着した防毒マスクに風速0.5m/minの風を当て、排気弁より排出される二酸化炭素が空気取入口周辺に滞留しないようにすること(サンプル数1)。

(2) 吸収缶の性能

(気密試験)

吸収缶の片方の口を塞ぎ、内部に、水深に相当する水圧プラス1470Paの圧力をかけ、水槽に吸収缶を水面下2cm程度水没させ気泡がでないことを確認すること(サンプル数3)。

(通気抵抗試験)

吸収缶を通気抵抗試験器に取り付け測定すること(サンプル数3)。

(除毒能力試験)

除毒能力試験器にて測定すること。吸収缶は横向きに設置し、試験空気を水平に通気すること。

①試験ガスの発生

ア 規定濃度のシクロヘキサン蒸気の発生は自動ディスペンサー又は一定濃度蒸発法によること。

イ 規定濃度の無機ガスの調整は、高圧ガス容器内標準ガス(10%)の定容量倍希釈によること。

②試験気流の温湿度調整

試験気流の温湿度調整は、一定温度の水槽内で加圧した空気を水蒸気飽和させてから大気圧へ減圧する方法によること。

③分析計の感度較正

透過ガス濃度分析の感度較正は、磁気浮上型電子天秤とパーミエーションチューブ又はディフュージョンチューブにより発生する標準ガスによること。

④透過ガス濃度の分析

ア ハロゲンガスの分析は、シングルポイントモニタ(SPM)にて断続測定すること(サンプル数10)。

イ 有機ガスの分析はガスクロマトグラフにて110秒毎の断続的なサンプリングによって測定すること(サンプル数10)。

ウ 一酸化炭素の分析は赤外ガス分析計にて連続測定すること(サンプル数10)。

エ アンモニアは赤外ガス分析計にて連続測定すること(サンプル数10)。

オ 亜硫酸ガスは赤外ガス分析計にて連続測定すること(サンプル数10)。

(粒子捕集効率試験)(防じん機能を有する防毒マスクに限る。)

①試験粒子が塩化ナトリウムの場合

ア 粒子捕集効率測定器で測定すること(サンプル数8)。

イ 塩化ナトリウム粒子発生は、2%塩化ナトリウム水溶液のネブライザーによる空気中噴霧方式を使用すること。噴霧空気圧及び希釈空気流量を試験時に調整して、試験空気流中の塩化ナトリウムの濃度を30~35mg/m3に設定すること。

ウ 粒子捕集効率試験の試験粒子の粒径分布が規格どおりであることをスキャンニングモビリティーパーティクルサイザー(SMPS)で事前に確認すること。

エ 粒子濃度測定は、白色光による散乱光強度を測定すること。

オ K値(粒子の質量濃度及び散乱光強度の間の変換係数)を用いて散乱光強度から質量濃度を算出すること。

カ 吸収缶は、粒子捕集効率試験用のジグ等を用いて測定器に隙間のないように固定すること。

キ 吸収缶に塩化ナトリウムを含む空気を供給し、塩化ナトリウム粒子の累積供給量が100mgになるまでの経過において約1分毎に粒子捕集効率を測定し、その間の最低粒子捕集効率が基準値以上であること。

ク サンプル8個のすべてにおいて上記の捕集効率が観察されること。

②試験粒子がフタル酸ジオクチル(DOP)の場合

ア 粒子捕集効率測定器で測定すること(サンプル数8)。

イ DOP粒子発生は、DOPのネブライザーによる空気中噴霧方式を使用すること。噴霧空気圧及び希釈空気流量を試験時に調整して、試験空気流中のDOPの濃度を50~80mg/m3に設定すること。

ウ 粒子捕集効率試験の試験粒子の粒径分布が規格どおりであることをSMPSで事前に確認すること。

エ 粒子濃度測定は、白色光による散乱光強度を測定すること。

オ K値(粒子の質量濃度及び散乱光強度の間の変換係数)を用いて散乱光強度から質量濃度を算出すること。

カ 吸収缶は、粒子捕集効率試験用のジグ等を用いて測定器に隙間のないように固定すること。

キ 吸収缶にDOPを含む空気を供給し、その中のDOP粒子の累積供給量が200mgになるまでの経過において約1分毎に粒子捕集効率を測定し、その間の最低粒子捕集効率が基準値以上であること。

ク サンプル8個のすべてにおいて上記の捕集効率が観察されること。

6 表示検査

表示(案)及び書類の記載事項を確認すること。

・規格第8条に適合していること。

備考

規格第9条の規定による適用除外を受けた防毒マスクについては、適用しないこととされた規定に関する検定の実施に代えて、適用除外を受けた際の条件に適合していることを確認すること。

 

[別添2]

表13 電動ファン付き呼吸用保護具

検定項目

検定の方法

判定基準

1 設計審査

構造、機能等について、申請書、構造図、説明書及びあらかじめ行った試験の結果を記載した書面により確認すること。

・電動ファン付き呼吸用保護具の規格(以下この表において「規格」という。)第1条から第7条までに適合していること。

2 外観検査

(1) 設計審査により確認した構造図と現品を照合すること。

(2) 電動ファン付き呼吸用保護具の形状に応じた種類について、規格の区分に適合していることを目視及び書類の記載事項により確認すること。

(3) 次の点に留意して、書類の記載事項、現品の目視及び装着により、構造を確認すること。

①全面形の面体を有するもの又はルーズフィット形のものについて、アイピースが曇らないことを確認する際には、アイピースに直接呼気がかかると曇りやすいので電動ファンを動作させるとともに呼気を止めて装着すること。

②面体形のものの密着の確認については、陽圧法又は陰圧法があること。密塞具を使用する場合は、図面に密塞具を記載させ、サンプルを提出させること。掌で覆う方式は手の大きさに依存するので、開口面積が大きいものは不適当であること。

③ルーズフィット形のものであって、S級及びA級のものについては、最低必要風量に近づいていることを着用者に知らせる警報装置を有することを確認すること。

④ルーズフィット形のものであって、B級のものについては、③の警報装置又は電池の電圧が電動ファン付き呼吸用保護具を有効に作動できる電圧の下限値となったことを着用者に知らせる警報装置を有することを確認すること。

⑤排気弁については、装着して呼吸したとき、排気弁が作動することを知覚できることを確認すること。また、排気弁が作動したときに弁座、カバー等に引っかからないことを確認すること。

⑥連結管については、180度に曲げても通気があることを確認すること。

・構造図と現品に差異がないこと。

・規格第1条、第4条及び第5条に適合していること。

3 材料検査

(1) 人体の皮膚に障害を与えるおそれのない材料を使用していることを書面により確認すること。

(2) 人がろ過材を通じて空気を吸入しても障害を与える可能性がないことを確認すること。

(3) 書類の記載事項及び装着、目視等により異常がないことを確認すること(サンプル数1)。

・規格第2条に適合していること。

4 強度試験

規格第3条の試験方法及び以下の試験方法により、強度試験を行うこと。

(1) しめひも取付部分及びしめひもについては、以下の①から③までのいずれかの試験により、面体としめひもの取付部、しめひも、ひも調整部及びその他部品としめひもの連結部において破断又は離脱がないことを確認すること(サンプル数3)。

①引張試験器により一定の速度(200mm/min)で装着時と同じ方向に引っ張る。

②バネばかり等のはかりをしめひもの一端に掛け、他端を手で引いて所定の強度まで引く。引っ張り速度は一定ではない。

③一定質量の錘おもり(ブロック、ダンベル等)に鈎かぎを付け、固定した面体のしめひもの一端に鉤で錘おもりをつって荷重をかける。

(2) 隔離式電動ファン付き呼吸用保護具の連結管取付部分及び連結管については、以下の①から③までのいずれかの試験により、連結管(途中で接続する構造のものはその接続部を含む)とその両端部の連結管取付部分において破断又は離脱がないことを確認すること(サンプル数3)。

①引張試験器により一定の速度(200mm/min)で装着時と同じ方向に引っ張る。

②バネばかり等のはかりを連結管の一端に掛け、他端を手で引いて所定の強度まで引く。引っ張り速度は一定ではない。

③一定質量の錘おもり(ブロック、ダンベル等)に鈎を付け、固定した連結管の一端に鉤かぎで錘おもりをつって荷重をかける。

・規格第3条の条件に適合していること。

5 構造検査

電動ファン付き呼吸用保護具の使用が想定され得る環境において、電動ファンの作動に支障が出ない程度の防水・防じん構造を有していることを書面により確認すること。

・規格第5条の条件に適合していること。

6 性能試験

規格第6条の試験方法及び以下の試験方法により、性能試験を行うこと。

(粒子捕集効率試験)

(1) 試験粒子が塩化ナトリウムの場合

①粒子捕集効率測定器で測定すること(サンプル数8)。

②塩化ナトリウム粒子発生は、2%塩化ナトリウム水溶液のネブライザーによる空気中噴霧方式を使用すること。噴霧空気圧及び希釈空気流量を試験時に調整して、試験空気流中の塩化ナトリウムの濃度を30~35mg/m3に設定すること。

③粒子捕集効率試験の試験粒子の粒径分布が規格どおりであることをスキャンニングモビリティーパーティクルサイザー(SMPS)で事前に確認すること。

④粒子濃度測定は、白色光による散乱光強度を測定すること。

⑤K値(粒子の質量濃度及び散乱光強度の間の変換係数)を用いて散乱光強度から質量濃度を算出すること。

⑥ろ過材は、粒子捕集効率試験用のジグ等を用いて測定器に隙間のないように固定すること。

⑦ろ過材に塩化ナトリウムを含む空気を供給し、塩化ナトリウム粒子の累積供給量が200mgになるまでの経過において約1分ごとに粒子捕集効率を測定し、その間の最低粒子捕集効率が基準値以上であること。

⑧サンプル8個のすべてにおいて上記の捕集効率が観察されること。

(2) 試験粒子がフタル酸ジオクチル(DOP)の場合

①粒子捕集効率測定器で測定すること(サンプル数8)。

②DOP粒子発生は、DOPのネブライザーによる空気中噴霧方式を使用すること。噴霧空気圧及び希釈空気流量を試験時に調整して、試験空気流中のDOPの濃度を50~80mg/m3に設定すること。

③粒子捕集効率試験の試験粒子の粒径分布が規格どおりであることをスキャンニングモビリティーパーティクルサイザー(SMPS)で事前に確認すること。

④粒子濃度測定は、白色光による散乱光強度を測定すること。

⑤K値(粒子の質量濃度及び散乱光強度の間の変換係数)を用いて散乱光強度から質量濃度を算出すること。

⑥ろ過材は、粒子捕集効率試験用のジグを用いて測定器に隙間のないように固定すること。

⑦ろ過材にDOPを含む空気を供給し、その中のDOP粒子の累積供給量が400mgになるまでの経過において約1分ごとに粒子捕集効率を測定し、その間の最低粒子捕集効率が基準値以上であること。

⑧サンプル8個のすべてにおいて上記の捕集効率が観察されること。

(漏れ率試験)

①漏れ率測定器で測定すること(サンプル数:現品3及びろ過材6)。

②塩化ナトリウム粒子発生は、2%塩化ナトリウム水溶液のネブライザーによる空気中噴霧方式を使用すること。噴霧空気圧及び希釈空気流量を試験時に調整して、試験空気流中の塩化ナトリウムの濃度を6~14mg/m3に設定すること。

③漏れ率試験の試験粒子の粒径分布が規格どおりであることをスキャンニングモビリティーパーティクルサイザー(SMPS)で事前に確認すること。

④粒子濃度測定は、白色光による散乱光強度を測定すること。

⑤粒子の質量濃度及び散乱光強度の間の変換係数K値を求め、これを用いて散乱光強度から質量濃度を算出すること。

⑥現品は、実際に装着するのと同様、正しい場所に正しい方法で揺動形人体模型に装着すること。

⑦3種類の揺動箇所それぞれについて、設定の条件により呼吸模擬装置を作動させ、3分経過から4分経過までの1分間及び4分経過から5分経過までの1分間、電動ファン付き呼吸用保護具の内部と外部の塩化ナトリウム濃度を測定し、所定の式を用いて各1分間の漏れ率を計算し、それらの値が基準値以下であることを確認すること。

⑧サンプルの現品3個の全てについて上記の漏れ率を確認すること。その際、次の点に留意すること。

・流量調節機能がある場合は最小風量にすること。

・呼吸模擬装置を始動させた後は可能な限り速やかに測定を開始すること。

・揺動箇所及び揺動の範囲を変える度にフィルターは新品に交換すること。

(内圧試験)(面体形に限る。)

①内圧試験装置に現品を取り付ける方向は実際に装着する方向と同じ方向とすること(サンプル数1)。

②面体の取付部は隙間のないようにすること。

③流量調節機能がある場合は設定の最小風量とした場合と最大風量とした場合の両方を測定し、いずれについてもその最大値と最小値が規格値の範囲内であることを確認すること。

(吸気抵抗試験)(面体形に限る。)

通気抵抗試験器に現品を取り付ける方向は、実際に装着する方向と同じ方向とすること(サンプル数3)。

(排気抵抗試験)(面体形に限る。)

通気抵抗試験器に現品を取り付ける方向は、実際に装着する方向と同じ方向とすること(サンプル数3)。

(排気弁の作動気密試験)(面体形に限る。)

排気弁の気密試験器に現品を取り付け測定すること(サンプル数3)。

(二酸化炭素濃度上昇値試験)(面体形に限る。)

二酸化炭素濃度測定器に装着した現品に風速0.5m/sの風を当て、排気弁より排出される二酸化炭素が空気取入口周辺に滞留しないようにすること(サンプル数1)。

(最低必要風量試験)(ルーズフィット形に限る)。

①現品を試験用人頭又は試験用人体模型に適正に装着すること(サンプル数1)。

②電動ファンがチャンバの外側の空気を吸引し、それをチャンバの内側に供給するように試験系を組んで測定すること。

③流量調節機能がある場合は最小風量にすること。

④測定はチャンバ内の圧力変動が安定してから開始すること。

⑤吸引空気流量が基準値以上であることを確認すること。

(騒音試験)

①騒音試験装置に現品を適正に装着し、取り付ける方向は、実際に装着する方向と同じ方向とすること(サンプル数1)。

②騒音計の設定は周波数重み付けをA特性とし、時間重み付けはF特性とすること。

③流量調節機能がある場合は最大風量にすること。

④試験用人頭の両耳部における騒音レベルが基準値以下であることを確認すること。

・規格第6条の条件に適合していること。

7 表示検査

表示及び書類の記載事項を確認すること。

・規格第7条に適合していること。

備考

規格第8条の規定による適用除外を受けた電動ファン付き呼吸用保護具については、適用しないこととされた規定に関する検定の実施に代えて、適用除外を受けた際の条件に適合していることを確認すること。

 

[別添3]

○電動ファン付き呼吸用保護具等の型式検定に係る検定の方法等について

平成26年11月28日基発1128第14号

(公益社団法人産業安全技術協会会長あて厚生労働省労働基準局長通知)

登録型式検定機関が行う機械等の型式検定に係る検定の方法等については、平成17年4月1日付け基発第0401035号「登録製造時等検査機関が行う製造時等検査、登録個別検定機関が行う個別検定及び登録型式検定機関が行う型式検定の適正な実施について」の別紙3「型式検定に係る検定の方法等」(以下「別紙3」という。)に定められているところです。

今般、電動ファン付き呼吸用保護具の規格(平成26年厚生労働省告示第455号)が制定されたこと等から、別紙3を下記のとおり改正し、平成26年12月1日から適用することとしていますので、適正な検定の実施について遺漏なきようお願いいたします。

平成17年4月1日付け基発第0401035号「登録製造時等検査機関が行う製造時等検査、登録個別検定機関が行う個別検定及び登録型式検定機関が行う型式検定の適正な実施について」の一部を次のように改正する。

別紙3の表紙の1(1)中「表1から表12の2まで」を「表1から表13まで」に改める。

別紙3の表5及び表6を別添1のとおり改め、別紙3の表12の2の次に別添2のとおり加える。

(別添1、別添2 略)