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エレベーター構造規格第43条に基づく適用除外について
平成26年2月24日基発0224第5号
(東京労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
平成26年2月7日付け東労発基第82号をもって照会のあった標記については、貴見のとおり取り扱うこととするので通知する。
○エレベーター構造規格第43条に基づく適用除外について
平成26年2月24日基発0224第6号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
標記について、東京労働局長からの別紙甲の照会に対し、別紙乙のとおり回答したので了知されたい。
別紙甲
○エレベーター構造規格第43条に基づく適用除外の申請等について
平成26年2月7日東労発基第82号
(厚生労働省労働基準局長あて東京労働局長通知)
管内の事業場から、下記のワイヤロープ及びその緊結方法を用いたエレベーターについて照会があり、エレベーター構造規格第29条第1項及び第40条第1項第5号ハの規定に適合しないものの、これらの規定に適合するものと同等以上の性能を有するものであるところから、同規格第43条の規定により、同規格第29条第1項及び第40条第1項第5号ハの適用を除外することとしてよろしいか。
また、下記のワイヤロープは、同規格第40条第1項第5号ロの日本工業規格(以下「JIS」という。)G 3525に適合するワイヤロープと同等以上の性能を有するワイヤロープとして取り扱ってよろしいか併せてお伺いする。
記
1 ワイヤロープの仕様及び緊結方法(第1表)
国土交通大臣の認定(認定番号EPNNNN―1509 平成26年1月21日国住指第425号)に係るワイヤロープ及び緊結方法とする。
(1) 樹脂心 8×S(19)
(2) 公称径 8mm
(3) 素線強度
株式会社テザックワイヤロープ製:2300/2600N/mm2級 裸及びめっき
東京製綱株式会社製:2350N/mm2級 裸及びめっき
(4) 破断荷重 43.6kN以上
(5) 緊結方法
申請に係るワイヤロープの緊結方法は鋼製くさび式ソケットを用いたコッタ止め及び据え込み式止め金具を用いた圧縮止めとする。金具は第1表の強度等を確保する。
2 1のワイヤロープ及び緊結方法を用いるエレベーター等の仕様
① 駆動方式 トラクション方式 2:1ローピング
② シーブ径 320mm以上(D/d 40以上)
③ シーブ溝 U溝及び95°アンダーカット溝(FCD1200又は同等品)
④ 揚程 200m以下
⑤ 定格速度 4.0m/s(240m/min)以下
⑥ 最大定員 30人以下
⑦ 積載荷重 2.0トン以下
⑨ 通常運転時の搬器の加減速度 1.0m/s2以下
⑩ 主索の吊り下げ総荷重 主索の破断荷重の1/16以下
⑪ エレベーターの設計・製造 東芝エレベータ(株)
3 エレベーター構造規格第40条第1項第5号の強度計算に係る事項
エレベーター構造規格第40条第1項第5号に示されるαは2.0とし、同号に示す計算式によって得た値が、記1の(4)のワイヤロープの破断荷重の値を5.0で除して得た値を超えないよう設計する。
4 ワイヤロープの本数等
一の搬器につき3本以上10本以下とする。また、ワイヤロープはエレベーター構造規格第40条第1項第1号から第4号のみならずJIS A 4302:2006(昇降機の検査標準)5.1.3 k)7.1)及び7.2)の規定を満たすよう管理する。
5 品質管理に係る事項
(1) ワイヤロープ径、素線強度、規格破断荷重について、記2の⑪に示すエレベーターの設計・製造者は、ワイヤロープ製造者が製造ロットごとに行う検査の結果を確認する。
(2) 記2の⑪に示すエレベーターの設計・製造者は記2のエレベーターについて、(1)の項の検査で合格した同一製造ロットのワイヤロープを使用する。
(3) 経年劣化に対するワイヤロープの保守交換は、各々のエレベーターにおいて、ロープの全数を同時に、かつ、(1)の項の検査で合格した同一製造ロットのワイヤロープに交換する。
(4) ワイヤロープの仕様並びに記4のまた書き及び5(3)の保守交換に関する事項の内容をユーザーに渡す取扱説明書又はそれに相当する引き渡し図書に記載するとともに、エレベーター機械室あるいは昇降路内昇降機機器に掲示する。
(5) 据え込み式止め金具については、記2の⑪に示すエレベーターの設計・製造者において出荷前に施工する。
また、据え込み式金具の取付は、所定の端末強度を確保するため、記2の⑪に示すエレベーターの設計・製造者において、金具に対するロープの挿入長さを管理する。
第1表 本申請のワイヤロープとJIS G 3525との比較
(1) 呼び・構成・断面形状・寸法
ワイヤロープ |
呼び |
構成 |
断面形状 |
寸法 |
|
本申請 (テザックワイヤロープ製) |
樹脂心8×S(19) |
シール形 19本線8より 樹脂心入り |
ストランドの層数:単層 ストランドのより方:平行より ストランドの本数:8 心の種類:樹脂心 |
|
公称径:8mm |
本申請 (東京製綱製) |
樹脂心入り8×S(19) |
シール形 19本線8より 樹脂心入り |
ストランドの層数:単層 ストランドのより方:平行より ストランドの本数:8 心の種類:樹脂心 |
|
公称径:8mm |
JIS G3525:2006 |
8×S(19) |
シール形 19本線8より |
ストランドの層数:単層 ストランドのより方:平行より ストランドの本数:8 心の種類:繊維心 |
|
公称径:8~24mmまでの11種類 |
(2) 機械的性質
ワイヤロープ |
公称径(mm) |
破断荷重(kN) |
|||||
裸・めっき |
|||||||
素線種別または公称引張強さ |
|||||||
|
|
||||||
|
E種 |
A種 |
B種 |
2300/2600N/mm2種 または2350N/mm2級 |
|||
本申請 (テザックワイヤロープ製) |
樹脂心8×S(19) |
8 |
― |
― |
― |
43.6 |
|
本申請 (東京製綱製) |
樹脂心入り8×S(19) |
8 |
― |
― |
― |
43.6 |
|
JIS G3525:2006 |
8×S(19) |
8 |
26.0 |
30.8 |
32.8 |
― |
|
10 |
40.6 |
48.1 |
51.3 |
― |
第2表 主索端部の仕様
種類 |
項目 |
仕様 |
|
楔式止め金具 [図1] |
材質 |
ソケット |
STKM13A(JIS G 3445)またはS35C(JIS G 4051)または同等品(引張り強さ:510N/mm2以上) |
ウェッジ |
FCD450(JIS G 5502)またはS45C(JIS G 4051)または同等品(引張り強さ:450N/mm2以上) |
||
アイロッド |
S35C(JIS G 4051)または同等品(引張り強さ:570N/mm2以上) |
||
ピン |
S45C(JIS G 4051)または同等品(引張り強さ:570N/mm2以上) |
||
端末効率 |
80%以上(主索の破断荷重との比) |
||
製造者 |
東芝エレベータ株式会社 |
||
据え込み式止め金具 [図2] |
材質 |
SCM415(JIS G 4053)またはS45C(JIS G 4051)または同等品(引張り強さ:540N/mm2以上) |
|
端末効率 |
80%以上(主索の破断荷重との比) |
||
製造者 |
株式会社テザックワイヤロープ又は東京製綱株式会社 |
||
品質管理に係る特記事項 |
① 工場内において、出荷前に据え込み(圧着)加工するものとする。 ② 所定の端末強度を確保するため、据え込み式止め金具側面に設けたキリ穴よりロープが確実に奥まで挿入されていることを確認する。 |
図1 楔式止め金具
図2 据え込み式止め金具
参考 JIS A4302:2006(昇降機の検査標準)5.1.3 k)7.1)及び7.2)
7) 主索の疲労破壊及び摩損の状態は,次の規定に適合していることとする。
7.1) 疲労破壊の状態については,素線の破断が表5の規定に適合していることとする。
7.2) 摩損の状態については,摩耗部分の鋼索の直径は,摩耗していない部分の直径の90%以上とする。
表5 素線の破断数
素線の破断状態 |
基準 |
素線の破断が平均に分布している場合 |
1構成より(ストランド)の1よりピッチ内での破断数4以下 |
破断素線の断面積が,元の素線の断面積の70%以下(4)となっているか,又は,さびが甚だしい場合 |
1構成より(ストランド)の1よりピッチ内での破断数2以下 |
素線の破断が1か所又は特定のよりに集中している場合 |
素線の破断総数が1よりピッチ内で6より鋼索では12以下,8より鋼索では16以下 |
注(4)破断素線の断面積が70%以下かどうかは,図3のl1,l2の素線の摩耗長さを測定し,ワイヤロープ(l1)の場合は表6,異形線ロープ(l2)の場合は表7の数値以上であることで判定できる。
図3 摩耗長さ
表6 素線の摩耗長き(ワイヤロープ)
単位 mm
主索直径 |
ロープの構成記号及び摩耗長さ(l1) |
||
8×S(19) |
6×W(19) |
8×Fi(25) |
|
8 |
2.8 |
3.2 |
2.6 |
10 |
3.6 |
4.0 |
3.3 |
12 |
4.2 |
4.8 |
4.0 |
14 |
4.9 |
5.6 |
4.4 |
16 |
5.6 |
6.3 |
5.4 |
18 |
6.3 |
7.2 |
6.2 |
20 |
7.1 |
8.1 |
6.5 |
備考 ロープの構成記号は,JIS G 3525による。
表7 素線の摩耗長さ(異形線ロープ)
単位 mm
主索直径 |
ロープの構成記号及び摩耗長さ(l2) |
|
8×P・S(19) |
8×P・Fi(25) |
|
10 |
4.3 |
3.7 |
12 |
5.2 |
4.5 |
14 |
6.1 |
5.2 |
16 |
6.9 |
6.0 |
18 |
7.8 |
6.7 |
備考 ロープの構成記号は,JIS G 3546による。
別紙乙
○エレベーター構造規格第43条に基づく適用除外について
平成26年2月24日基発0224第5号
(東京労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
平成26年2月7日付け東労発基第82号をもって照会のあった標記については、貴見のとおり取り扱うこととするので通知する。