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通達:労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について

 

労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について

平成26年1月15日基発0115第4号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

 

労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成25年厚生労働省令第125号)が平成25年11月29日に公布され、平成26年6月1日(特別教育対象業務の追加については平成26年12月1日)から施行することとされたところである。その改正の趣旨、内容等については、下記のとおりであるので、関係者への周知を図るとともに、その運用に遺漏なきを期されたい。

 

第1 改正の趣旨

林業現場においては、伐木、造材、集材等の作業を行う機械(車両系木材伐出機械)が用いられており、近年、車両系木材伐出機械の多様化・高度化が進められてきている。こうした中、車両系木材伐出機械を原因とする休業4日以上の死傷労働災害が増加し、年間60件程度発生している一方で、その特性に応じた労働災害防止措置は設けられていない。そこで、車両系木材伐出機械等による労働災害の防止を図るために必要な措置を規定したものである。

 

第2 細部事項

1 特別教育を必要とする業務(第36条第6号の2、第6号の3及び第7号の2関係)

次に掲げる業務に従事する労働者が、業務に必要な知識及び技能を有さないために生ずる労働災害の発生を防止するため、これらの業務を、特別教育を必要とする業務に加えたものであること。

(1) 伐木等機械の運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務(第6号の2関係)

ア 「伐木等機械」とは、伐木、造材又は原木若しくは薪炭材の集積を行うための機械であって、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走できるものをいうこと。

イ 「伐木等機械」には、例えば次の機械が含まれるものであること。

(ア) フェラバンチャ

伐木及び原木又は新炭材(以下「原木等」という。)の集積を行う機械。

(イ) ハーベスタ

伐木、枝払い、玉切り及び原木等の集積を行う機械。

(ウ) プロセッサ

枝払い、玉切り及び原木等の集積を行う機械。

(エ) 木材グラップル機

木材用のつかみ具(以下「木材グラップル」という。)並びにブーム及びアームからなる作業装置(以下「木材グラップル装置」という。)により原木等を集積する機械。

(オ) グラップルソー

玉切り及び原木等の集積を行う機械。

ウ 単体では自走できないが、トラクター等にけん引され当該トラクター等と連結されたまま使用される機械は、「伐木等機械」に含まれるものであること。

エ 改正前の第477条第1項ただし書の「油圧式伐倒機」(トラクターの前部にはさみ状のアタッチメントを取り付け、油圧操作により立木を伐倒する機械をいう。)は、「伐木等機械」に含まれるものであること。

オ 労働者が伐木等機械を運転して伐木等の業務を行う場合には、第6号の2の伐木等機械の運転の業務に係る特別教育を修了すれば足り、第8号及び第8号の2の伐木等の業務に係る特別教育を修了する必要はないこと。ただし、伐木等機械を用いて、かかり木の処理の業務を行う場合には、第8号又は第8号の2の伐木等の業務に係る特別教育を修了することが望ましいこと。

(2) 走行集材機械の運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務(第6号の3関係)

ア 「走行集材機械」とは、車両の走行により集材を行うための機械であって、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走できるものをいうこと。

イ 車両の走行により集材を行うための機械であって、木材グラップル装置を取り付けた機械は、伐木等機械ではなく、走行集材機械であること。木材グラップル装置を取り付けたトラックは、集材を行うための機械ではなく、主として森林外で木材を運搬するための機械であることから、走行集材機械には、該当しないこと。なお、揺動式の木材グラップル装置を取り付けたトラックは移動式クレーンに該当すること。

ウ 木材を運搬するフォークローダーは、集材を行うための機械ではなく、主として森林外で木材を運搬するための機械であることから、走行集材機械には、該当しないこと。

エ ブル・ドーザー、トラクター・ショベル等の建設機械の中には、走行集材機械のベースマシンとして用いられるものもあるが、これらの機械のブレード又はバケットを用いて整地、掘削等の作業を行うときは、労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「令」という。)別表第7の建設機械に該当すること。

オ 「走行集材機械」には、例えば次の機械が含まれるものであること。

(ア) フォワーダ

木材グラップル装置及び荷台を備え、木材グラップル装置により原木等の荷台への積載を行い、車両の走行により原木等を運搬する機械。

(イ) スキッダ

ブル・ドーザー、トラクター・ショベル等をベースマシンとし、木材グラップル装置により原木等の一端を持ち上げ、車両の走行により原木等を土場まで地引きで運搬する機械。

(ウ) 集材車

原木等を荷台に積載し、車両の走行により運搬する機械。原木等を荷台に積載するためのウインチや滑車をつり下げるポールを備えたものを含む。

(エ) 集材用トラクター

ブル・ドーザー、トラクター・ショベル等をベースマシンとし、ウインチを備え、原木等を当該ウインチのワイヤロープによりけん引して土場まで運搬する機械。

カ 単体では自走できないが、トラクター等にけん引され当該トラクター等と連結されたまま使用される機械は、「走行集材機械」に含まれるものであること。

キ 走行集材機械を用いて、かかり木でかかっている木の胸高直径が20センチメートル以上であるものの処理の業務を行う場合には、第8号の伐木等の業務に係る特別教育を修了する必要があること。また、走行集材機械を用いて、かかり木でかかっている木の胸高直径が20センチメートル未満であるものの処理の業務を行う場合には、第8号又は第8号の2の伐木等の業務に係る特別教育を修了することが望ましいこと。

(3) 簡易架線集材装置の運転又は架線集材機械の運転(道路上を走行させる運転を除く。)の業務(第7号の2関係)

ア 「簡易架線集材装置」とは、集材機、架線、搬器、支柱及びこれらに附属する物により構成され、動力を用いて、原木等を巻き上げ、かつ、原木等の一部が地面に接した状態で運搬する設備をいい、「架線集材機械」とは、動力を用いて原木等を巻き上げることにより当該原木等を運搬するための機械であって、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走できるものをいうこと。

イ 主索を張って原木等を運搬する場合には、原木等の一部が地面に接した状態で運搬する場合であっても、簡易架線集材装置ではなく、機械集材装置に該当するものであること。また、主索を張らずに原木等を運搬する場合であっても、集材機に控索を取り付け、作業索に生じる張力による集材機の移動を防止する等の措置を講ずることにより、原木等を巻き上げ、かつ、空中において運搬する場合は、簡易架線集材装置ではなく、機械集材装置に該当するものであること。

ウ ドラグ・ショベル等の建設機械の中には、架線集材機械のベースマシンとして用いられるものもあるが、これらの機械のバケット又はブレードを用いて掘削、整地等の作業を行うときは、令別表第7の建設機械に該当すること。

エ 木材グラップル機は、架線集材機械のベースマシンとして用いられる場合があるが、これらの機械の木材グラップル装置を用いて原木等の集積の作業を行うときは、伐木等機械に該当すること。

オ 「架線集材機械」には、例えば次のものが含まれるものであること。

(ア) タワーヤーダ

支柱及び二以上のドラムを有するウインチを備え、当該支柱を用いて原木等を当該ウインチのワイヤロープにより巻き上げて集材を行う機械。

(イ) スイングヤーダ

ドラグ・ショベル、木材グラップル機等に二以上のドラムを有するウインチを備え、ブーム及びアームを支柱とし、原木等を当該ウインチのワイヤロープにより巻き上げて集材を行う機械。

(ウ) 集材ウインチ機

ドラグ・ショベル、木材グラップル機等のブームの下部又は機体の前面に一のドラムを有するウインチを備え、原木等を当該ウインチのワイヤロープにより巻き上げて集材を行う機械。

カ 単体では自走できないが、トラクター等にけん引され、当該トラクター等と連結されたまま使用されるものは、「架線集材機械」に含まれるものであること。

キ 簡易架線集材装置又は架線集材機械を用いて、かかり木でかかっている木の胸高直径が20センチメートル以上であるものの処理の業務を行う場合には、第8号の伐木等の業務に係る特別教育を修了する必要があること。また、簡易架線集材装置又は架線集材機械を用いて、かかり木でかかっている木の胸高直径が20センチメートル未満であるものの処理の業務を行う場合には、第8号又は第8号の2の伐木等の業務に係る特別教育を修了することが望ましいこと。

2 車両系木材伐出機械に係る安全基準(第2編第1章の3第1節関係)

(1) 総則(第1款関係)

ア 定義(第151条の84関係)

(ア) 車両系木材伐出機械とは、伐木等機械、走行集材機械及び架線集材機械をいうこと。それぞれの機械の定義については第36条第6号の2、第6号の3及び第7号の2に定めるものであること。

(イ) 架線集材機械を機械集材装置又は簡易架線集材装置の集材機として使用している場合には、本節は適用されず、本章第2節又は第3節が適用されるものであること。

イ 前照灯(第151条の85関係)

(ア) 作業を安全に行うため必要な照度が保持されていない場所において、車両系木材伐出機械と立木等との接触等を防止するため、前照灯を備えた車両系木材伐出機械でなければ使用してはならないこととしたものであること。ただし、作業を安全に行うため必要な照度が保持されている場所においては、この限りでないとしたこと。

(イ) 道路運送車両法(昭和26年法律第185号)の適用のある車両系木材伐出機械については、同法の規定による前照灯の設置があれば、本条の前照灯の設置があるものとして取り扱うこと。

(ウ) 「作業を安全に行うため必要な照度が保持されている場所」とは、昼間の戸外、夜間であっても照明設備が設置されていることで作業を安全に行うことができる場所等をいうものであること。

ウ ヘッドガード(第151条の86関係)

(ア) 車両系木材伐出機械を用いて伐木、原木等の集積等の作業を行うときは、運転者の頭上に立木が倒壊してきたり、原木等が飛来・落下してきたりするおそれがあることから、堅固なヘッドガードを備えた車両系木材伐出機械でなければ使用してはならないこととしたこと。ただし、原木等の落下により運転者に危険を及ぼすおそれのないときは、この限りでないとしたこと。

(イ) 「堅固な」とは、車両系木材伐出機械が取り扱うことのできる原木等の重量と、原木等が落下しうる高さに応じて危険を防止するのに十分な構造及び強度を有することをいうこと。ただし、伐木の作業を行う機械にあっては、合計4トンの等分布静荷重に安全に耐えることができる強度を有することをいうこと。

(ウ) 運転室の屋根等に必要な構造が組み込まれており、原木等の落下により運転者に危険を及ぼすおそれがない程度に堅固であり、当該運転室の屋根等をヘッドガードとみなすことができる場合には、別途ヘッドガードを設ける必要はないこと。

(エ) 「原木等の落下により運転者に危険を及ぼすおそれのないとき」には、原木等が落下するおそれのない箇所で運転者が遠隔操作により車両系木材伐出機械のウインチを運転するとき、及び伐木の作業を行うことができない車両系木材伐出機械で、原木等を運転者の頭上より高く上げずに作業を行うときが含まれるものであること。

(オ) 走行のための運転位置と作業装置の運転のための運転位置が異なる場合には、走行のための運転位置にヘッドガードを備えることは要しないこと。

エ 防護柵等(第151条の87関係)

(ア) 車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、原木等が飛来して運転者に激突する等の危険があることから、原木等の飛来等により運転者に危険を及ぼすおそれのあるときは、運転者席の防護柵等当該危険を防止するための設備を備えたものでなければ使用してはならないこととしたこと。

(イ) 原木等の飛来等のおそれのない箇所で運転者が遠隔操作により車両系木材伐出機械のウインチを運転するとき、及び原木等の飛来等により運転者に危険を及ぼすおそれのある高さまで原木等を上げずに作業(伐木作業を除く。)を行うときは、「原木等の飛来等により運転者に危険を及ぼすおそれのあるとき」には、該当しないものであり、防護柵等を備えていない車両系木材伐出機械を使用して差し支えないこと。

(ウ) 走行のための運転位置と作業装置の運転のための運転位置が異なる場合には、走行のための運転位置に防護柵等を備えることは要しないこと。

(エ) 「当該危険を防止するための設備」には、運転者席の防護柵のほか、運転室のガラス板の代わりにポリカーボネート板を用いたもの、運転室のガラスの内側に防護フィルムを貼ったもの、原木等の飛来等から運転者を防護できる箇所にあるブーム、荷台の鳥居等及びこれらを組み合わせたものが含まれること。これらの設備は、作業装置の動力並びに取り扱うことができる原木等の重量及び大きさに応じて危険を防止するのに十分なものでなければならないこと。

オ 調査及び記録(第151条の88関係)

(ア) 車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、急斜面からの車両系木材伐出機械の転落、軟弱な路肩の崩壊、取り扱う原木等の重量による車両系木材伐出機械の転倒のおそれがあることから、あらかじめ、当該作業に係る場所について地形、地盤の状態等並びに伐倒する立木及び取り扱う原木等の形状等を調査し、その結果を記録しておかなければならないこととしたこと。

(イ) 「地形」を調査するとは、作業に係る場所の斜度、平たん地の広さ、路肩の状態等を調査するものであること。

(ウ) 「地盤の状態」を調査するとは、雨により地盤がぬかるみ、機械の荷重を支持できない状態となっていないか等を調査するものであること。

(エ) 「地盤の状態等」の「等」には、木橋、片桟橋等の状態が含まれること。

(オ) 「伐倒する立木及び取り扱う原木等の形状等」には、立木及び原木等の種類、径、高さ及び重量が含まれるものであること。

カ 作業計画(第151条の89関係)

(ア) 車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、あらかじめ、第151条の88の規定による調査により知り得たところに適応する作業計画を定め、かつ、当該作業計画により作業を行わなければならないこととしたこと。(第1項関係)

(イ) 作業計画は、次の事項が示されたものでなければならないこと。(第2項関係)

a 使用する車両系木材伐出機械の種類及び能力

b 車両系木材伐出機械の運行経路

c 車両系木材伐出機械による作業の方法及び場所

(ウ) 車両系木材伐出機械を用いた作業に従事する労働者についても、作業計画により作業を行うことが必要であるため、作業計画を定めたときは、第2項の作業計画に示すべき事項のうち、車両系木材伐出機械の運行経路並びに作業の方法及び場所について車両系木材伐出機械を用いた作業に従事する労働者(関係労働者)に周知させなければならないこととしたこと。(第3項関係)

キ 作業指揮者(第151条の90関係)

(ア) 複数の労働者により作業が行われる場合、作業の指揮系統が不統一であると、作業装置や原木等が労働者に激突する等のおそれがあるため、走行集材機械又は架線集材機械を用いて作業を行うときは、当該作業の指揮者を定め、その者に第151条の89第1項の作業計画に基づき作業の指揮を行わせなければならないこととしたこと。

(イ) 伐木等機械を用いて作業を行うときに作業指揮者を置くこととしていない理由は、当該作業を行う場所の周辺では、伐倒された原木等や作業装置等が当該作業指揮者に接触したり、アタッチメントから原木等が飛来し、又は落下したりするおそれがあり、作業指揮者を置くことは適当でないからであること。

(ウ) 労働者が単独で作業を行う場合は、作業指揮者の選任は要しないこと。

ク 制限速度(第151条の91関係)

(ア) 適切な速度を超えて作業を行うと、車両系木材伐出機械の転落、労働者への接触等のおそれがあることから、車両系木材伐出機械(最高速度が毎時10キロメートル以下のものを除く。)を用いて作業を行うときは、あらかじめ、当該作業に係る場所の地形、地盤の状態等に応じた車両系木材伐出機械の適正な制限速度を定め、それにより作業を行わなければならないこととしたこと。(第1項関係)

(イ) 運転者は、第1項に基づき定められた制限速度を超えて車両系木材伐出機械を運転してはならないこととしたこと。(第2項関係)

(ウ) 「地盤の状態等」の「等」には、作業場所の広さ及び勾配、木橋、片桟橋等の状態が含まれるものであること。

(エ) 「制限速度」は、事業者の判断で適正と認められるものを定めるものであるが、定められた制限速度については、事業者及び労働者とも拘束されるものであること。また、「制限速度」は必要に応じて、車種別及び場所別に定めること。

(オ) 速度計がない場合は、あらかじめ、制限速度を超えない車両系木材伐出機械の操作方法(速度レバーの状態、原動機の回転数等)を把握し、それにより作業を行うべきものであること。

ケ 転落等の防止等(第151条の92関係)

(ア) 車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、作業場所、作業形態等に応じた転倒又は転落の危険防止措置が必要であることから、車両系木材伐出機械の転倒又は転落による労働者の危険を防止するため、当該車両系木材伐出機械の運行経路について必要な幅員を保持すること、路肩の崩壊を防止すること、岩石、根株等の障害物を除去すること等必要な措置を講じなければならないこととしたこと。(第1項関係)

(イ) 路肩、傾斜地等で車両系木材伐出機械を用いて作業を行う場合において、車両系木材伐出機械の転倒又は転落により労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、誘導者を配置し、その者に当該車両系木材伐出機械を誘導させなければならないこととしたこと。(第2項関係)

(ウ) 第2項の車両系木材伐出機械の運転者は、同項の誘導者が行う誘導に従わなければならないこととしたこと。(第3項関係)

(エ) 第1項の「必要な幅員」とは、車両系木材伐出機械が安全に走行できる幅員であり、少なくとも当該車両系木材伐出機械の接地幅の1.2倍以上とし、運行経路の曲線部は必要に応じて幅員を大きくする必要があること。

(オ) 誘導者による誘導は、第151条の95又は第151条の96に規定される立入禁止範囲の外から行わせなければならないものであること。

コ 転倒又は転落による運転者の危険の防止(第151条の93関係)

車両系木材伐出機械が走行時に転倒又は転落した場合、運転者が機械の下敷きになる等のおそれがあることから、路肩、傾斜地等であって、車両系木材伐出機械の転倒又は転落により運転者に危険が生ずるおそれのある場所においては、転倒時保護構造を有し、かつ、シートベルトを備えたもの以外の車両系木材伐出機械を使用しないよう努めるとともに、運転者にシートベルトを使用させるように努めなければならないこととしたこと。

サ 合図(第151条の94関係)

(ア) 誘導者が行う誘導について、運転者と誘導者との間で誤解が生ずることにより労働災害が発生するおそれがあることから、車両系木材伐出機械について誘導者を置くときは、一定の合図を定め、誘導者に当該合図を行わせなければならないこととしたこと。(第1項関係)

(イ) 第1項の車両系木材伐出機械の運転者は、同項の合図に従わなければならないこととしたこと。(第2項関係)

シ 接触の防止(第151条の95関係)

(ア) 車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、運転中の機械が労働者に接触したり、つかんだ原木等が労働者に激突したりする等のおそれがあることから、運転中の車両系木材伐出機械又は取り扱う原木等に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのある箇所に労働者を立ち入らせてはならないこととしたこと。

(イ) 第151条の92第2項の規定に基づき配置される誘導者であっても、本条により労働者を立ち入らせてはならないこととされている箇所の外から誘導させなければならないものであること。

(ウ) 労働者が運転者席で車両系木材伐出機械を運転する場合には、運転者席の労働者にも危険が生ずるおそれがあるが、その場合は、第151条の87の規定により当該危険を防止するための防護柵等の設備を備えることとされていることから、当該設備を備えた機械の運転者席は「労働者に危険が生ずるおそれのある箇所」には該当しないものであること。

ス 飛来等による危険箇所への立入禁止(第151条の96関係)

(ア) 車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、原木等が飛来、落下等するおそれがあることから、物体の飛来等により労働者に危険が生ずるおそれのある箇所(当該作業を行っている場所の下方で、原木等が転落し、又は滑ることによる危険を生ずるおそれのある箇所を含む。)に労働者を立ち入らせてはならないこととしたこと。

(イ) 「物体の飛来等により労働者に危険が生ずるおそれ」の例としては、車両系木材伐出機械の種類に応じ、それぞれ次のものがあること。

a 伐木等機械

(a) 伐倒する立木の枝等が、立木が倒れた衝撃で飛来

(b) 木材グラップル装置で持ち上げた原木等が木材グラップルから外れて飛来

(c) プロセッサが原木等を持ち上げて送り出しながら枝払いする際に、送り出し方向に原木等又は枝条(木の枝)が飛来

b 走行集材機械

(a) 木材グラップル装置で持ち上げた原木等が木材グラップルから外れて飛来

(b) ワイヤロープが切断して原木等が飛来

(c) 集材されている原木等が地表の岩石を掘り出し、岩石が滑落

c 架線集材機械

(a) 集材されている原木等が斜面を転落又は滑落

(b) 集材されている原木等が地表の岩石を掘り出し、岩石が滑落

(ウ) 第151条の95は、車両系木材伐出機械自体又はそれに支持される原木等に接触することにより危険が生ずるおそれのある箇所への立入禁止措置であるのに対して、本条は、作業の対象物の飛来又は作業により生じた飛来物による危険が生ずるおそれのある箇所への立入禁止措置であること。

(エ) 労働者が運転者席で車両系木材伐出機械を運転する場合には、運転者席の労働者にも危険が生ずるおそれがあるが、その場合は、第151条の87の規定により、当該危険を防止するための防護柵等の設備を備えることとされていることから、当該設備を備えた機械の運転者席は、「労働者に危険が生ずるおそれのある箇所」には該当しないものであること。

セ ブーム、アーム等の下への立入禁止(第151条の97関係)

(ア) 車両系木材伐出機械のブーム、アーム等が不意に降下することにより、ブーム、アーム等又はこれらにより支持された原木等が労働者に激突する等のおそれがあるため、車両系木材伐出機械(構造上、ブーム、アーム等が不意に降下することを防止する装置が組み込まれているものを除く。)については、そのブーム、アーム等又はこれらにより支持されている原木等の下に労働者を立ち入らせてはならないこととしたこと。ただし、修理、点検等の作業を行う場合において、ブーム、アーム等が不意に降下することによる労働者の危険を防止するため、当該作業に従事する労働者に安全支柱、安全ブロック等を使用させるときはこの限りでないとしたこと。(第1項関係)

(イ) 第1項ただし書の場合、当該作業を行う労働者は、安全支柱、安全ブロック等を使用しなければならないこととしたこと。(第2項関係)

(ウ) 第1項の「ブーム、アーム等」の「等」には、走行集材機械の荷台や木材グラップル等のアタッチメントが含まれること。また、「安全ブロック等」の「等」には、架台が含まれること。

ソ 走行のための運転位置から離れる場合の措置(第151条の98)

(ア) 木材グラップル装置等の作業装置が不意に降下し、又は車両系木材伐出機械が逸走することによる労働災害を防止するため、車両系木材伐出機械の運転者が走行のための運転位置から離れるときは、下記(ウ)の場合を除き、当該運転者に次の措置を講じさせなければならないこととしたこと。(第1項関係)

a 木材グラップル装置等の作業装置を最低降下位置(荷台を備える車両系木材伐出機械の木材グラップルにあっては荷台上の最低降下位置)に置くこと。

b 原動機を止め、かつ、停止の状態を保持するためのブレーキを確実にかける等の車両系木材伐出機械の逸走を防止する措置を講ずること。

(イ) 第1項の運転者は、車両系木材伐出機械の走行のための運転位置から離れるときは、第1項各号の措置を講じなければならないこと。(第2項関係)

(ウ) 走行のための運転位置と作業装置の運転のための運転位置が異なる場合であって、労働者が作業装置の運転のための運転位置において作業装置を運転し、又は運転しようとしている場合は、第1項各号の措置ではなく、車両系木材伐出機械の停止の状態を保持するためのブレーキを確実にかける等の車両系木材伐出機械の逸走を防止する措置を講じさせなければならないこととしたこと。(第3項関係)

(エ) 第3項の運転者は、車両系木材伐出機械の走行のための運転位置から離れるときは、第3項の措置を講じなければならないこととしたこと。(第4項関係)

タ 作業装置の運転のための運転位置からの離脱の禁止(第151条の99関係)

(ア) 走行のための運転位置と作業装置の運転のための運転位置が異なる場合であって、車両系木材伐出機械の作業装置が運転されている間は、木材グラップル等の作業装置の不意の降下等による労働者の危険を防止するため、当該作業装置の運転者を当該作業装置の運転のための運転位置から離れさせてはならないこととしたこと。(第1項関係)

(イ) 第1項の運転者は、車両系木材伐出機械の作業装置が運転されている間は、当該作業装置の運転のための運転位置を離れてはならないこととしたこと。(第2項関係)

(ウ) 作業装置が運転されていない場合には、運転者が作業装置の運転位置から離れることはできるが、走行のための運転位置からも離れるのであれば、木材グラップル等の作業装置の不意の降下及び車両系木材伐出機械の逸走による労働者の危険を防止するため、当該運転者に第151条の98第1項各号の措置を講じさせなければならないこと。

チ 車両系木材伐出機械の移送(第151条の100関係)

(ア) 車両系木材伐出機械を移送するため、自走又はけん引により貨物自動車に積卸しを行う場合において、道板、盛土等を使用するときは、車両系木材伐出機械の転倒、転落等による危険を防止するため、次に定めるところによらなければならないこととしたこと。

a 積卸しは平たんで堅固な場所において行うこと。

b 道板を使用するときは、十分な長さ、幅及び強度を有する道板を用い、適当な勾配で確実に取り付けること。

c 盛土、仮設台等を使用するときは、十分な幅及び強度並びに適当な勾配を確保すること。

(イ) 第2号の「十分な」は、積卸しを行う車両系木材伐出機械の重量及び大きさに応じて決定されるべきものであり、「適当な勾配」とは、車両系木材伐出機械の登坂能力等の性能を勘案し、安全な範囲の勾配をいうものであること。

(ウ) 第3号の盛土の「強度」は、盛土にくい丸太打ちを施し、かつ、十分につき固めるなどの措置を講ずることにより確保されるものであること。

ツ 搭乗の制限(第151条の101関係)

(ア) 車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、労働者の地上への墜落を防止するため、乗車席又は荷台以外の箇所に労働者を乗せてはならないこととしたこと。ただし、墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じたときは、この限りでないとしたこと。

(イ) 「乗車席」とは、運転者席、助手席その他乗車のための席をいうものであること。

(ウ) 「墜落による労働者の危険を防止するための措置」とは、車両上で立ったまま運転する運転台から運転者が墜落することを防止するための囲いを設ける等をいうものである。なお、労働者を乗せることを設計上想定していない箇所については、一般的には適切な墜落防止措置を講ずることが困難であることが多いことから、労働者を乗せることを設計上想定していない箇所への搭乗は行うべきではない。

(エ) 乗車席、荷台等が第151条の95又は第151条の96に規定する立入禁止範囲である場合は、労働者を乗せてはならないこと。

テ 使用の制限(第151条の102関係)

(ア) 車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、車両系木材伐出機械の転倒若しくは逸走又はブーム、アーム等の作業装置の破壊による労働者の危険を防止するため、車両系木材伐出機械についてその構造上定められた安定度、最大積載荷重、最大使用荷重等を守らなければならないこととしたこと。

(イ) 「その構造上定められた」とは、メーカー等の仕様書等で示されたものをいうこと。また、車両系木材伐出機械の構造上定められた安定度等を超えないよう、走行時に作業装置を格納すること等の措置が仕様書等で示されている場合には、当該措置を講ずることを含むものであること。

(ウ) 「最大使用荷重等」の「等」には、登坂能力が含まれること。

ト 主たる用途以外の使用の制限(第151条の103関係)

(ア) 車両系木材伐出機械は、特定の用途に適応した構造として製造されており、主たる用途以外に使用する場合は安全性が確保されないおそれがあることから、主たる用途以外の用途に使用してはならないこととしたこと。(第1項関係)

(イ) 特に、木材グラップルにワイヤロープをかけ、原木をつり上げる作業中に当該ワイヤロープが切れて激突する等の災害が発生しており、このような使用方法を用途外の使用として禁止したものであること。(第1項関係)

(ウ) かかり木にワイヤロープをかけ、車両系木材伐出機械のウインチ及びガイドブロックを用いて運転者以外の方向に引き倒す方法については、安全な作業方法が確立されており、このような労働者に危険を及ぼすおそれのない場合については、第1項を適用しないこととしたものであること。(第2項関係)

(エ) 第1項の「木材グラップルによるワイヤロープを介した原木等のつり上げ」は、「主たる用途以外の用途」の例示であること。また、「主たる用途以外の用途」の他の例としては、柱上作業等の高所作業のために車両系木材伐出機械の木材グラップルに労働者が乗ることなどがあること。

(オ) 第2項の「労働者に危険を及ぼすおそれのない場合」には、走行集材機械の荷台に原木等以外の車止め、ワイヤロープ等を荷崩れしないように積載して運搬する場合が含まれるものであること。

ナ 修理等(第151条の104関係)

(ア) 車両系木材伐出機械の修理又はアタッチメントの装着若しくは取り外しの作業を行うときは、複数の労働者間の連絡が不十分であることによる不意の起動、重量物の落下等のおそれがあるため、当該作業を指揮する者を定め、その者に次の事項を行わせなければならないこととしたこと。

a 作業手順を決定し、作業を直接指揮すること。

b 第151条の97第1項ただし書に規定する安全支柱、安全ブロック等の使用状況を監視すること。

(イ) 修理又はアタッチメントの装着等の作業を労働者が単独で行う場合は、本条の適用はないこと。

ニ 作業装置の運転のための運転位置への搭乗の制限(第151条の105関係)

(ア) 走行のための運転位置と作業装置の運転のための運転位置が異なる車両系木材伐出機械を走行させるときは、運行経路が急斜面であったり、岩石等の障害物が存在したりすると、車両が動揺し、労働者の墜落のおそれがあるため、当該車両系木材伐出機械の作業装置の運転のための運転位置に労働者を乗せてはならないこととしたこと。(第1項関係)

(イ) 労働者は、第1項の場合において車両系木材伐出機械の作業装置の運転のための運転位置に乗ってはならないこととしたこと。(第2項関係)

ヌ 悪天候時の作業禁止(第151条の106関係)

(ア) 悪天候の際には、強風により原木、作業装置等があおられること、大雨や大雪により車両系木材伐出機械が斜面を滑り落ちること、立木が倒壊すること、枝条が落下すること等のおそれがあるため、強風、大雨、大雪等の悪天候のため、車両系木材伐出機械を用いる作業の実施について危険が予想されるときは、当該作業に労働者を従事させてはならないこととしたこと。

(イ) 「強風」とは、10分間の平均風速が毎秒10メートル以上の風を、「大雨」とは、1回の降雨量が50ミリメートル以上の降雨を、「大雪」とは、1回の降雪量が25センチメートル以上の降雪をいうこと。

(ウ) 「強風、大雨、大雪等の悪天候のため」には、当該作業地域が実際にこれらの悪天候となった場合のほか、当該地域に強風、大雨、大雪等の気象注意報又は気象警報が発せられ悪天候となることが予想される場合を含む趣旨であること。

ネ 保護帽の着用(第151条の107関係)

(ア) 車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、物体の飛来又は落下による労働者の危険を防止するため、当該作業に従事する労働者に保護帽を着用させなければならないこととしたこと。(第1項関係)

(イ) 第1項の作業に従事する労働者は、保護帽を着用しなければならないこととしたこと。(第2項関係)

ノ 年次自主検査(第151条の108関係)

(ア) 車両系木材伐出機械は、労働安全衛生法(以下「法」という。)第45条に基づく定期自主検査の対象とはされていないが、使用過程における機械の破損等による労働災害を防止するため、1年を超えない期間ごとに1回、定期に、次の事項について検査を行うよう努めなければならないこととしたこと。ただし、1年を超える期間使用しない車両系木材伐出機械の当該使用しない期間においては、この限りでないとしたこと。(第1項関係)

a 原動機の異常の有無

b 動力伝達装置及び走行装置の異常の有無

c 制動装置及び操縦装置の異常の有無

d 作業装置及び油圧装置の異常の有無

e 車体、ヘッドガード、飛来物防護設備、アウトリガー、電気系統、灯火装置及び計器の異常の有無

(イ) 第1項ただし書の車両系木材伐出機械について、その使用を再び開始する際に、同項各号に掲げる事項について検査を行うよう努めなければならないこととしたこと。(第2項関係)

(ウ) 製造者又は譲渡・提供者から、当該車両系木材伐出機械について検査項目、検査方法、判定基準等を示されている場合には、それに従って本条に基づく検査を行うべきであること。

(エ) 「作業装置」には、木材グラップル装置、ブレード、ウインチ(ウインチに巻いているワイヤロープを含む。)等があること。

ハ 月次自主検査(第151条の109関係)

(ア) 本条は、第151条の108と同じ趣旨によるものであり、車両系木材伐出機械について、1月を超えない期間ごとに1回、定期に、分解することなく検査することが可能な次の事項について検査を行うよう努めなければならないこととしたこと。ただし、1月を超える期間使用しない車両系木材伐出機械の当該使用しない期間においては、この限りでないとしたこと。(第1項関係)

a 制動装置、クラッチ及び操縦装置の異常の有無

b 作業装置及び油圧装置の異常の有無

c ヘッドガード及び飛来物防護設備の異常の有無

(イ) 第1項ただし書の車両系木材伐出機械については、その使用を再び開始する際に、同項各号に掲げる事項について検査を行うよう努めなければならないこととしたこと。(第2項関係)

(ウ) 「作業装置」には、木材グラップル装置、ブレード、ウインチ(ウインチに巻いているワイヤロープを含む。)等があること。

ヒ 点検(第151条の110関係)

車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、次の事項について点検を行わなければならないこととしたこと。

a 制動装置及び操縦装置の機能

b 作業装置及び油圧装置の機能

c ワイヤロープ及び履帯又は車輪の異常の有無

d 前照灯の機能

フ 補修等(第151条の111関係)

(ア) 第151条の108若しくは第151条の109の検査又は第151条の110の点検を行った場合において、異常を認めたときは、直ちに補修その他必要な措置を講じなければならないこととしたこと。

(イ) 本条の「補修その他必要な措置」には、交換、改造等があること。

(2) 伐木等機械(第2款関係)

ア 伐木作業における危険の防止(第151条の112関係)

(ア) 伐木等機械を用いて伐木の作業を行うときは、立木を伐倒しようとする運転者に、それぞれの立木について、かん木、枝条、つる、浮石等で、伐倒の際その他の作業中に危険を生ずるおそれのあるものを取り除かせなければならないこととしたこと。(第1項関係)

(イ) 第1項の運転者は、それぞれの立木について、かん木、枝条、つる、浮石等で、伐倒の際その他作業中に危険を生ずるおそれのあるものを取り除かなければならないこととしたこと。(第2項関係)

(ウ) 改正前の第477条第1項ただし書に規定する「油圧式伐倒機」については、改正後は「伐木等機械」に該当し、第151条の112が適用されることとなること。また、これに伴い、改正前の第477条第1項ただし書を削除することとしたこと。

(エ) 「かん木、枝条、つる、浮石等」の「等」には、かかり木が含まれること。

イ 造材作業における危険の防止(第151条の113関係)

(ア) 伐木等機械を用いて造材の作業を行うときは、造材を行う原木等が転落し、又は滑ることによる危険を防止するため、当該作業を行おうとする運転者に、平たんな地面で当該作業を行う等の措置を講じさせなければならないこととしたこと。(第1項関係)

(イ) 第1項の運転者は、同項の措置を講じなければならないこととしたこと。(第2項関係)

(ウ) 「平たんな地面で当該作業を行う等」の「等」には、原木等が転落し、又は滑るおそれがない緩斜面、くぼ地又はくい止めを設けた場所で作業を行うことが含まれること。

(3) 走行集材機械(第3款関係)

ア ワイヤロープの安全係数(第151条の114関係)

(ア) 走行集材機械のウインチ又はスリングに用いるワイヤロープは、原木等の一部が地面に接した状態で運搬するために用いられるものであることを考慮し、安全係数については、4以上としなければならないこととしたこと。(第1項関係)

(イ) 第1項の安全係数は、ワイヤロープの切断荷重の値を、当該ワイヤロープにかかる荷重の最大の値で除した値とすることとしたこと。(第2項関係)

(ウ) ワイヤロープの安全係数を算出するために用いる「当該ワイヤロープにかかる荷重の最大の値」には、原則として、集材する原木等の最大重量の値を用いること。ただし、ワイヤロープにかかる荷重の実測値を用いても差し支えないものであること。

イ 不適格なワイヤロープの使用禁止(第151条の115関係)

走行集材機械のウインチ若しくはスリングに用いるワイヤロープ又は積荷の固定に用いるワイヤロープについては、次のいずれかに該当する不適格な状態のものを使用してはならないこととしたこと。

a ワイヤロープ一よりの間において素線(フィラ線を除く。)数の10パーセント以上の素線が切断したもの

b 摩耗による直径の減少が公称径の7パーセントを超えるもの

c キンクしたもの

d 著しい形崩れ又は腐食のあるもの

ウ スリング等の点検(第151条の116関係)

(ア) 走行集材機械を用いて作業を行うときは、第151条の110による点検に加え、その日の作業を開始する前に、当該作業に用いるスリング及び積荷の固定に用いるワイヤロープの状態について点検し、異常を認めたときは、直ちに、補修し、又は取り替えなければならないこととしたこと。

(イ) ウインチに用いるワイヤロープについても、第151条の110によりその日の作業を開始する前に点検を行うべきものであること。

エ 合図(第151条の117関係)

(ア) 原木等の荷掛け作業を行う者とウインチの運転者との連携が緊密に保たれていない場合には、荷掛け作業を行う者に原木等が激突する等のおそれがあるため、走行集材機械のウインチの運転について、一定の合図及び合図を行う者を定め、運転に当たっては、当該合図を使用させなければならないこととしたこと。(第1項関係)

(イ) 第1項の走行集材機械のウインチの運転者は、同項の合図に従わなければならないこととしたこと。(第2項関係)

オ 原木等の積載(第151条の118関係)

(ア) 走行集材機械に原木等を積載する方法が不適切なため機械が転倒したり、荷台から原木等が落下したりする等のおそれがあるため、走行集材機械に原木等を積載するときは、次に定めるところによらなければならないこととしたこと。

a 偏荷重が生じないように積載すること。

b 荷崩れ又は原木等の落下による労働者の危険を防止するため、積荷をワイヤロープで固定する等必要な措置を講ずること。

(イ) 「積荷をワイヤロープで固定する等」の「等」には、荷台の立て木又はあおりの高さを超えないように積むこと、木材が荷崩れしないような積み方(目落とし積み)をすること、緊張器でワイヤロープを締めることが含まれ、これらの措置を組み合わせることにより荷崩れ又は原木等の落下による危険を防止する十分な措置を講じる必要があること。

カ 荷台への乗車制限(第151条の119関係)

(ア) 荷台を有する走行集材機械を走行させるときは、運行経路が急斜面であったり、岩石等の障害物が存在したりすると、車両が動揺し、労働者の墜落のおそれがあるため、当該走行集材機械の荷台に労働者を乗車させてはならないこととしたこと。(第1項関係)

(イ) 労働者は、第1項の場合において、荷台に乗車してはならないこととしたこと。(第2項関係)

(4) 架線集材機械(第4款関係)

ア ワイヤロープの安全係数(第151条の120関係)

(ア) 架線集材機械のウインチ又はスリングに用いるワイヤロープは、原木等の一部が地面に接した状態で運搬するために用いられるものであることを考慮し、安全係数については、4以上としなければならないこととしたこと。(第1項関係)

(イ) 第1項の安全係数は、ワイヤロープの切断荷重の値を、当該ワイヤロープにかかる荷重の最大の値で除した値とすることとしたこと。(第2項関係)

(ウ) ワイヤロープの安全係数を算出するために用いる「当該ワイヤロープにかかる荷重の最大の値」には、原則として、集材する原木等の最大重量の値を用いること。ただし、ワイヤロープにかかる荷重の実測値を用いても差し支えないものであること。

イ 不適格なワイヤロープの使用禁止(第151条の121関係)

架線集材機械のウインチ又はスリングに用いるワイヤロープについては、次のいずれかに該当する不適格な状態のものを使用してはならないこととしたこと。

a ワイヤロープ一よりの間において素線(フィラ線を除く。)数の10パーセント以上の素線が切断したもの

b 摩耗による直径の減少が公称径の7パーセントを超えるもの

c キンクしたもの

d 著しい形崩れ又は腐食のあるもの

ウ スリングの点検(第151条の122関係)

(ア) 架線集材機械を用いて作業を行うときは、第151条の110による点検に加え、その日の作業を開始する前に、当該作業に用いるスリングの状態について点検し、異常を認めたときは、直ちに、補修し、又は取り替えなければならないこととしたこと。

(イ) ウインチに用いるワイヤロープについても、第151条の110によりその日の作業を開始する前に点検を行うべきものであること。

エ 合図(第151条の123関係)

(ア) 原木等の荷掛け作業を行う者とウインチの運転者との連携が緊密に保たれていない場合には、荷掛け作業を行う者に原木等が激突する等のおそれがあるため、架線集材機械のウインチの運転について、一定の合図及び合図を行う者を定め、運転に当たっては、当該合図を使用させなければならないこととしたこと。(第1項関係)

(イ) 第1項の架線集材機械のウインチの運転者は、同項の合図に従わなければならないこととしたこと。(第2項関係)

3 機械集材装置及び運材索道に係る安全基準(第2編第1章の3第2節関係)

(1) 本節の機械集材装置又は運材索道(以下「機械集材装置等」という。)に係る次の規定は、改正前の第2編第8章(伐木作業等における危険の防止)中第3節に置かれていた規定を移動したものであり、改正前の内容・解釈と変更はないこと。(括弧内に示す規定が改正前の規定。)

ア 第151条の126(改正前の第513条)

イ 第151条の127(改正前の第514条)

ウ 第151条の129(改正前の第499条)

エ 第151条の130(改正前の第500条)

オ 第151条の131(改正前の第501条)

カ 第151条の132(改正前の第502条)

キ 第151条の145(改正前の第510条)

ク 第151条の148(改正前の第512条)

ケ 第151条の149(改正前の第515条)

コ 第151条の150(改正前の第516条)

サ 第151条の151(改正前の第517条)

(2) (1)に掲げるもののほか、機械集材装置等による労働災害の防止を図るための措置を新たに規定するとともに、改正前の第2編第8章第3節に置かれていた規定について所要の整備を行っており、それらの規定の趣旨及び解釈についてはアからタまでによること。

ア 調査及び記録(第151条の124関係)

(ア) 機械集材装置等の組立て、解体、変更若しくは修理の作業又はこれらの設備による集材若しくは運材の作業を「林業架線作業」と定義したこと。

なお、林業架線作業の定義は、改正前の第507条と同様であること。

(イ) 林業架線作業を行うときは、集材機又は運材機の転落、地山の崩壊、支柱の倒壊等による労働者の危険を防止するため、あらかじめ、当該作業に係る場所について広さ、地形、地盤の状態等、支柱とする立木の状態及び運搬する原木等の形状等を調査し、その結果を記録しておかなければならないこととしたこと。

(ウ) 「地形」及び「地盤の状態」並びに「地盤の状態等」の「等」の意義は、第151条の88について示されているものと同様であること。

(エ) 「運搬する原木等の形状等」には、運搬する原木等の種類、径、高さ及び重量が含まれるものであること。

イ 作業計画(第151条の125関係)

(ア) 林業架線作業を行うときは、あらかじめ、第151条の124の規定による調査により知り得たところに適応する作業計画を定め、かつ、当該作業計画により作業を行わなければならないこととしたこと。(第1項関係)

(イ) 作業計画には、次の事項が示されているものでなければならないこととしたものであること。(第2項関係)

a 支柱及び主要機器の配置の場所

b 使用するワイヤロープの種類及びその直径

c 中央垂下比

d 最大使用荷重、搬器と搬器の間隔及び搬器ごとの最大積載荷重

e 機械集材装置の集材機の種類及び最大けん引力

f 林業架線作業の方法

(ウ) 林業架線作業に従事する労働者についても、作業計画により作業を行うことが必要であるため、作業計画を定めたときは、第2項の作業計画に示すべき事項のうち、支柱及び主要機器の配置の場所、使用するワイヤロープの種類及びその直径、最大使用荷重、搬器と搬器の間隔及び搬器ごとの最大積載荷重並びに林業架線作業の方法を林業架線作業に従事する労働者(関係労働者)に周知させなければならないこととしたこと。(第3項関係)

(エ) 改正前の第498条では、事業者は機械集材装置等を設置しようとするときは、あらかじめ、本条第2項により作業計画に示すこととしている事項の一部を林業架線作業主任者に示すこととされていた。しかし、改正後の本条において作業計画の作成を事業者に義務付け、事業者が索張りの基本となる一定の事項を作業計画として作成し、これを関係労働者に周知させることとなるため、改正前の第498条は削除したものであること。

(オ) 「主要機器」とは、集材機、運材機、制動機、搬器等をいうこと。

(カ) 「中央垂下比」とは、支間の中央における主索のたわみ量と支間の水平距離との比をいうこと。

ウ 作業指揮者(第151条の128関係)

(ア) 林業架線作業主任者の選任が必要でない場合であっても、複数の労働者により作業が行われる場合には、作業の指揮系統が不統一であると、ワイヤロープや集材中の原木等が労働者に激突する等のおそれがあるため、林業架線作業(令第6条第3号の作業(林業架線作業主任者を選任すべき作業)を除く。)を行うときは、当該作業の指揮者を定め、その者に第151条の125第1項の作業計画に基づき作業の指揮を行わせなければならないこととしたこと。

(イ) 労働者が単独で作業を行う場合には、作業指揮者の選任は要しないこと。

エ 巻過ぎ防止(第151条の133関係(改正前の第503条))

(ア) 改正前の第503条では、巻上げ索の巻過ぎを防止するため、「巻上げ索に標識を付すること、信号装置を設けること等の措置を講じなければならない」としていたが、近年、標識又は信号装置以外の方法により、巻上げ索の巻過ぎ防止が図られているものがある。このため、改正前の第503条の趣旨は変えずに、「巻過防止装置を備える等巻上げ索の巻過ぎによる労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない」と、巻き過ぎ防止措置の方法の例示を一般的な表現としたものであること。

(イ) 「巻上げ索の巻過ぎによる労働者の危険を防止するための措置」には、改正前の第503条で例示されていた巻上げ索に標識を付すこと及び信号装置(「ロージングブロックが搬器から一定の距離に接近した場合に自動的に警音、発光等により集材機を運転する者に注意を促す装置」をいう。)を設けることに加え、フックが搬器まで巻き上げられると、フックが搬器と共に移動する構造を装置に備えること並びに原木等及び搬器が見える位置から遠隔操作で運転することで、搬器又は原木等と支柱とのに激突を防止することが含まれること。

オ 集材機又は運材機(第151条の134関係(改正前の第504条))

(ア) 第1項は、改正前の第504条と同様の規定であるが、新たに第2項として、架線集材機械を機械集材装置の集材機として用いる場合は、次の措置を講じなければならないこととしたものであること。

a 架線集材機械の停止の状態を保持するためのブレーキを確実にかける等の架線集材機械の逸走を防止する措置を講ずること。

b アウトリガーを必要な広さ及び強度を有する鉄板等の上で張り出し、又はブレードを地上に下ろす等の架線集材機械の転倒又は転落による労働者の危険を防止するため必要な措置を講ずること。

(イ) 第2項の「鉄板等」の「等」には、敷板又は敷角が含まれ、「ブレードを地上に下ろす等」の「等」には、センターリガーを必要な広さ及び強度を有する鉄板等に据え付けること、上部旋回体を履帯の走行方向に向けて作業を行うことが含まれ、これらの措置を組み合わせることにより架線集材機械の転倒又は転落による労働者の危険を防止する十分な措置を講じる必要があること。

カ 転倒時保護構造等(第151条の135関係)

機械集材装置の集材機として用いられている架線集材機械が転倒又は転落した場合、運転者が機械の下敷きになる等のおそれがあることから、路肩、傾斜地等であって、架線集材機械の転倒又は転落により労働者に危険が生ずるおそれのある場所においては、転倒時保護構造を有し、かつ、シートベルトを備えたもの以外の架線集材機械の使用をしないよう努めるとともに、運転者にシートベルトを使用させるように努めなければならないこととしたこと。

キ ヘッドガード(第151条の136関係)

(ア) 機械集材装置を用いて、原木等を空中に巻き上げて運搬する場合には、運転者の頭上に原木等が落下するおそれがあることから、機械集材装置の集材機については、堅固なヘッドガードを備えたものでなければ使用してはならないこととしたこと。ただし、原木等の落下により運転者に危険を及ぼすおそれのないときは、この限りでないこととしたこと。

(イ) 「堅固な」とは、機械集材装置が取り扱うことのできる原木等の重量と、原木等が落下しうる高さに応じて危険を防止するのに十分な構造及び強度を有することをいうこと。

(ウ) 運転室の屋根等に必要な構造が組み込まれており、原木等の落下により運転者に危険を及ぼすおそれがない程度に堅固であり、当該運転室の屋根等をヘッドガードとみなすことができる場合には、別途ヘッドガードを設ける必要はないこと。

(エ) 「原木等の落下により運転者に危険を及ぼすおそれのないとき」には、原木等が落下するおそれのない箇所に集材機を設置するとき、原木等が落下するおそれのない箇所で運転者が遠隔操作により機械集材装置を運転するとき及び原木等を運転者の頭上より高くつり上げずに作業を行うときが含まれるものであること。

ク 防護柵等(第151条の137関係)

(ア) 機械集材装置を用いて、原木等を空中に巻き上げて運搬する場合には、原木等が飛来して運転者に激突する等の危険があることから、機械集材装置の集材機については、原木等の飛来等により運転者に危険を及ぼすおそれのあるときは、運転者席の防護柵等当該危険を防止するための設備を備えたものでなければ使用してはならないこととしたこと。

(イ) 向柱等を用いて、運搬する原木等が飛来するおそれがない箇所に集材機を設置するとき及び原木等の飛来等のおそれがない箇所で運転者が遠隔操作により機械集材装置を運転するときは、「原木等の飛来等により運転者に危険を及ぼすおそれのあるとき」には、該当しないものであり、防護柵等を備えていない集材機を使用して差し支えないこと。

(ウ) 「当該危険を防止するための設備」には、運転者席の防護柵のほか、運転室のガラス板の代わりにポリカーボネート板を用いたもの、運転室のガラスの内側に防護フィルムを貼ったもの及びこれらを組み合わせたものが含まれること。これらの設備は、作業装置の動力並びに取り扱うことができる原木等の重量及び大きさに応じて危険を防止するのに十分なものでなければならないこと。

(エ) 下げ荷集材を行うときは、原木等が斜面を滑落し、集材機の運転者に激突するおそれがあるが、本条は当該危険を防止する性能を有する設備を設けることまでを求めるものではないため、第151条の142に規定する立入禁止箇所に集材機の運転者が入らないように、運搬する原木等の飛来等のおそれがない場所に集材機を設置することが必要であること。

ケ 最大使用荷重等の表示(第151条の138及び第151条の139関係(改正前の第505条及び第506条))

機械集材装置については改正前の第505条と、運材索道については改正前の第506条と同様の規定であるが、第151条の125(作業計画)第3項において、機械集材装置等の最大使用荷重等を関係労働者に周知させなければならないこととしたことから、改正前の第505条及び第506条のうち、関係労働者への周知に係る部分を削除したこと。

コ 接触の防止(第151条の140関係)

(ア) 架線集材機械を機械集材装置の集材機として用いて集材の作業を行うときは、架線集材機械のブーム、アーム等が労働者に接触したり、運搬している原木等が労働者に激突したりする等のおそれがあることから、運転中の架線集材機械又は取り扱う原木等に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのある箇所に労働者を立ち入らせてはならないこととしたこと。

(イ) 「労働者に危険が生ずるおそれのある箇所」には、ブーム、アーム等の作業装置の可動範囲内の箇所、当該作業装置で運搬中の原木等が通過する箇所が含まれるものであること。

(ウ) 労働者が運転者席で機械集材装置を運転する場合には、運転者席の労働者にも危険が生ずるおそれがあるが、その場合は、第151条の137の規定により、当該危険を防止するための防護柵等の設備を備えることとされていることから、当該設備を備えた集材機の運転者席は、「労働者に危険が生ずるおそれのある箇所」には該当しないものであること。

サ 合図等(第151条の141関係(改正前の第507条))

本条第1項は、改正前の第507条と同様の規定であるが、機械集材装置等の運転者と荷掛け又は荷外しをする者との間の連絡を確実にするため、新たに第2項において、第1項の運転者は、同項の指名を受けた者による指示又は同項の合図に従わなければならないこととしたこと。

シ 立入禁止(第151条の142関係(改正前の第508条))

本条は、改正前の第508条と同様の規定であるが、新たに原木等を荷掛けし、又は集材している場所の下方で、原木等が転落すること等により労働者に危険を及ぼすおそれのあるところを、労働者を立ち入らせてはならない箇所としたこと。

ス ブーム等の降下による危険の防止(第151条の143関係)

(ア) 架線集材機械(構造上、ブーム、アーム等が不意に降下することを防止する装置が組み込まれているものを除く。)を機械集材装置の集材機として用いる場合であって、当該架線集材機械のブーム、アーム等を上げ、その下で修理、点検等の作業を行うときは、ブーム、アーム等が不意に降下することによる労働者の危険を防止するため、当該作業に従事する労働者に、安全支柱、安全ブロック等を使用させなければならないこととしたこと。(第1項関係)

(イ) 第1項ただし書の場合、当該作業を行う労働者は、安全支柱、安全ブロック等を使用しなければならないこととしたこと。(第2項関係)

(ウ) 第1項の「ブーム、アーム等」の「等」には、木材グラップル等のアタッチメントが含まれること。また、「安全ブロック等」の「等」には、架台が含まれること。

セ 搭乗の制限(第151条の144関係(改正前の第509条))

(ア) 本条は、改正前の第509条と同様の規定であるが、第2項で新たに架線集材機械を機械集材装置の集材機として用いるときは、乗車席以外の箇所に労働者を乗せてはならないこととしたものであること。

(イ) 「乗車席」の意義は、第151条の101について示されているものと同様であること。

ソ 点検(第151条の146関係(改正前の第511条))

本条は、改正前の第511条と同様の規定であるが、「その日の作業を開始しようとする場合」の「点検事項」に、「制動装置の機能」に代えて、新たに「集材機、運材機及び制動機の機能」を加えたものであること。

タ 運転位置から離れる場合の措置(第151条の147関係)

(ア) 架線集材機械を機械集材装置の集材機として用いる場合において、架線集材機械の運転者が運転位置から離れるときは、ブーム、アーム等の作業装置が不意に降下したり、原動機により不意に作業索が巻き上げられたりするおそれがあるため、当該運転者に次の措置を講じさせなければならないこととしたこと。(第1項関係)

a 作業装置を地上に下ろすこと。

b 原動機を止めること。

(イ) 第1項の運転者は、架線集材機械の運転位置から離れるときは、第1項各号の措置を講じなければならないこと。(第2項関係)

4 簡易架線集材装置(第3節関係)

(1) 簡易林業架線作業を行うときは、林業架線作業を行うときと類似の労働災害のおそれがあることから、労働災害を防止するための措置を新たに規定したものであること。

(2) 本節の簡易架線集材装置に係る次の規定の趣旨及び各規定の用語の解釈は、それぞれ括弧内に示す第2編第1章の3第2節の機械集材装置に係る規定について示されているものと同様であること。

ア 第151条の154(第151条の128)

イ 第151条の157(第151条の131)

ウ 第151条の158(第151条の132)

エ 第151条の159(第151条の133)

オ 第151条の160(第151条の134)

カ 第151条の161(第151条の135)

キ 第151条の162(第151条の137)

ク 第151条の163(第151条の138)

ケ 第151条の164(第151条の140)

コ 第151条の165(第151条の141)

サ 第151条の167(第151条の143)

シ 第151条の170(第151条の145)

ス 第151条の172(第151条の147)

セ 第151条の173(第151条の148)

ソ 第151条の174(第151条の150)

(3) (2)に掲げるもののほか、簡易架線集材装置と機械集材装置との構造の違い等を踏まえ、簡易架線集材装置又は簡易林業架線作業について、機械集材装置又は林業架線作業に係る規定とは異なるものを定めているおり、それらの規定の趣旨及び解釈についてはアからクまでによること。

ア 調査及び記録(第151条の152関係)

(ア) 簡易架線集材装置の組立て、解体、変更若しくは修理の作業又はこの設備による集材の作業を「簡易林業架線作業」と定義したこと。

なお、簡易架線集材装置の定義については、第36条第7号の2に定めるものと同様であること。

(イ) 林業架線作業を行う場合の調査及び記録について定めた第151条の124と同様の趣旨及び解釈の規定を、簡易林業架線作業を行う場合について設けたものであること。

イ 作業計画(第151条の153関係)

(ア) 第1項は、林業架線作業を行う場合の作業計画の作成について定めた第151条の125と同様の趣旨及び解釈の規定を、簡易林業架線作業を行う場合について設けたものである。

(イ) 第151条の125第2項において林業架線作業に係る作業計画において示すこととされている事項のうち、中央垂下比、搬器と搬器の間隔及び搬器ごとの最大積載荷重については、簡易林業架線作業に係る作業計画では示すことを要さず、また、第3項の関係労働者に周知させるべき事項にも含まれないこと。

ウ 制動装置等(第151条の155関係)

(ア) 機械集材装置について定めた第151条の129と同様の趣旨の規定を、簡易架線集材装置について設けたものであるが、両者の構造の違いから、簡易架線集材装置の制動装置等については、次に定めるところによらなければならないこととしたこと。

a 搬器又はつり荷を適時停止させることができる有効な制動装置を備えること。

b 控索及び固定物に取り付ける作業索は、支柱、立木、根株等の固定物で堅固なものに2回以上巻き付け、かつ、クリップ、クランプ等の緊結具を用いて確実に取り付けること。

c 控えで頂部を安定させる必要がない場合を除き、支柱の頂部を安定させるための控えは、2以上とし、控えと支柱とのなす角度を30度以上とすること。

d ガイドブロック等は、取付け部が受ける荷重により破壊し、又は脱落するおそれのないシャックル、台付け索等の取付け具を用いて確実に取り付けること。

e 搬器その他の附属器具は、十分な強度を有するものを使用すること。

f 作業索の端部を搬器又はロージングブロックに取り付けるときは、クリップ止め、アイスプライス等の方法により確実に取り付けること。

(イ) 「控えで頂部を安定させる必要がない場合」とは、可動式のブームを支柱とする機械で、控えを設けなくても安定しているものを使用する場合であること。

エ ワイヤロープの安全係数(第151条の156関係)

(ア) 機械集材装置の索に用いるワイヤロープについては、第151条の130において、その用途に応じた安全係数を定めているが、簡易架線集材装置の索に用いるワイヤロープについては、原木等の一部が地面に接した状態で運搬するために用いられるものであることを考慮し、安全係数については、4以上としなければならないこととしたこと。(第1項関係)

(イ) 第1項の安全係数は、ワイヤロープの切断荷重の値を、当該ワイヤロープにかかる荷重の最大の値で除した値とすることとしたこと。(第2項関係)

(ウ) ワイヤロープの安全係数を算出するために用いる「当該ワイヤロープに係る荷重の最大の値」には、原則として、安全係数を算出する索の種類等に応じ、次の値を用いること。ただし、ワイヤロープにかかる荷重の実測値を用いても差し支えないものであること。

a 荷吊り索(スリング)の安全係数

集材する原木等の最大重量の値を用いること。

b 引寄索(ホールライン)の安全係数

集材する原木等の最大重量、搬器の重量、支間斜距離の引寄索の重量及びバックテンション(引戻索(ホールバックライン)による集材する方向とは反対方向への張力をいう。)を合計した値を用いること。

なお、バックテンションの把握が困難な場合は、バックテンションの値には、集材する原木等の最大重量の0.5倍の値を用いること。

ただし、引戻索を緩めた状態で引寄索を巻き上げる場合は、バックテンションの値を0とすることができる。

c 引戻索の安全係数

集材する原木等の最大重量、搬器の重量及び支間斜距離の引戻索の重量を合計した値を用いること。

ただし、下げ荷集材であって、集材する原木等が、残存木又は地表障害物と接触することを避けるため、当該原木等を一時的に集材する方向とは反対方向へ短距離移動させる場合には、集材する原木等の最大重量の2倍の値、搬器の重量及び支間斜距離の引戻索の重量を合計した値を用いること。

オ 立入禁止(第151条の166関係)

林業架線作業を行うときの労働者の立入禁止について定めた第151条の142と同様の趣旨及び解釈の規定を、簡易林業架線作業を行う場合について設けたものであるが、簡易架線集材装置では主索を用いないため、主索の下で、原木等が落下し、又は降下することにより労働者に危険を及ぼすおそれのあるところは、立入禁止とはしていないこと。

カ 搭乗の制限(第151条の168関係)

機械集材装置への労働者の搭乗制限について定めた第151条の144と同様の趣旨及び解釈の規定を、簡易架線集材装置について設けたものであるが、簡易架線集材装置では、搬器、索等の器材の点検、補修等の臨時の作業を行う場合であっても、搬器、つり荷等の物でつり下げられているものに労働者が乗ることは想定されないため、第151条の144第1項のただし書のような規定は設けていないこと。

キ 運搬の制限(第151条の169関係)

(ア) 簡易架線集材装置は、原木等の一部が地面に接した状態で原木等を運搬する装置であるため、原木等を空中につり上げようとすると作業索に大きな張力が発生し、集材機が引っ張られて転倒する等のおそれがある。そこで、簡易架線集材装置を用いて集材の作業を行うときは、集材機の転倒等による労働者の危険を防止するため、簡易架線集材装置の運転者に原木等を空中において運搬させてはならないこととしたこと。(第1項関係)

(イ) 第1項の運転者は、原木等を空中において運搬してはならないこととしたこと。(第2項関係)

(ウ) 「集材機の転倒等」の「等」には、ワイヤロープに想定以上の荷重がかかり、台付け索が切断することによりガイドブロックが飛来すること、ワイヤロープが破断して飛来等することが含まれること。

(エ) 簡易集材機械装置を用いて軽い原木等を運搬する場合、作業索に大きな張力を生じることなく、当該原木等が一時的に地面に接しない状態になる場合があるが、これは本条により禁止される「空中において運搬」することには該当しないこと。ただし、第151条の153の規定に基づき作業計画を定める場合においては、軽い原木等を運搬する場合であっても当該原木等が地面に接しない状態になることがないような作業方法等を設定すべきものであること。

ク 点検(第151条の171関係)

(ア) 機械集材装置の点検について定めた第151条第146と同様の趣旨及び解釈の規定を、簡易架線集材装置について設けたものであるが、簡易架線集材装置の構造等が、機械集材装置とは異なることから、点検を行う場合及び事項を次のとおりとしたものであること。

a その日の作業を開始使用とする場合

(a) 支柱及びアンカの状態

(b) 集材機及び制動機の異常の有無及びその据付けの状態

(c) 作業索、控索、台付け索及び荷吊り索の異常の有無及びその取付けの状態

(d) 搬器又はロージングブロックとワイヤロープとの緊結部の状態

(e) 第151条の165第1項の電話、電鈴等の装置の異常の有無

b 強風、大雨、大雪等の悪天候の後及び中震以上の地震の場合

(a) 支柱及びアンカの状態

(b) 集材機及び制動機の異常の有無及びその据付けの状態

(c) 作業索、控索、台付け索及び荷吊り索の異常の有無及びその取付けの状態

(d) 第151条の165第1項の電話、電鈴等の装置の異常の有無

(イ) 悪天候の意義については、第151条の106の規定と同様であること。

(ウ) 表中の「中震以上の地震」とは、震度階級4以上の地震をいうこと。

5 その他

(1) 第1章の3として、木材伐出機械等に係る章を新たに設けたことに伴い、改正前の第151条の84(解体用機械の定義等に係る規定)を第151条の175としたこと。

(2) 機械集材装置を用いて、かかり木でかかっている木の胸高直径が20センチメートル以上であるものの処理の業務を行う場合には、第8号の伐木等の業務に係る特別教育を修了する必要があること。また、機械集材装置を用いて、かかり木でかかっている木の胸高直径が20センチメートル未満であるものの処理の業務を行う場合には、第8号又は第8号の2の伐木等の業務に係る特別教育を修了することが望ましいこと。

6 附則関係

(1) 施行期日(附則第1条関係)

この省令は、平成26年6月1日から施行すること。ただし、第2、1の特別教育を必要とする業務への追加及びそれに伴う所要の改正は、平成26年12月1日から施行すること。

(2) 前照灯の設置等に関する経過措置(附則第2条関係)

ア 車両系木材伐出機械であって、平成26年5月31日において現に製造しているもの又は現に存するものについては、平成26年11月30日までの間は、第151条の85、第151条の86及び第151条の87の規定は、適用しないこと。(第1項関係)

イ 集材機(架線集材機械を含む。)であって、平成26年5月31日において現に製造しているもの又は現に存するものを用いて林業架線作業を行う場合は、平成26年11月30日までの間は、第151条の136及び第151条の137の規定は適用しないこと。(第2項関係)

ウ 集材機(架線集材機械を含む。)であって、平成26年5月31日において現に製造しているもの又は現に存するものを用いて簡易林業架線作業を行う場合は、平成26年11月30日までの間は、第151条の162の規定は適用しないこと。(第3項関係)

エ 「現に製造している」とは、現に設計の完了(設計の大部分を終了している場合を含む。)以降の過程にあることをいい、「現に存する」とは、現に使用されていること及び製造が完了しているが、まだ使用されていないことをいうこと。また、これらの意義については、海外で製造される車両系木材伐出機械及び集材機についても同様であること。

(3) 罰則に関する経過措置(附則第3条関係)

この省令の施行の日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例によることとしたこと。

(4) 労働安全衛生規則の一部を改正する省令の一部改正(附則第4条関係)

改正前の第151条の84が、改正に伴い第151条の175に移ったことに伴い、労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成25年厚生労働省令第58号)の附則第2条及び附則第3条中「第151条の84」は、「第151条の175」に改められたものであること。