img1 img1 img1

◆トップページに移動 │ ★目次のページに移動 │ ※文字列検索は Ctrl+Fキー  

通達:事故由来廃棄物等処分業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドライン の策定について

 

事故由来廃棄物等処分業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドラインの策定について

平成25年4月12日基発0412第2号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

最終改正 令和5年4月27日基発0427第6号

 

「電離放射線障害防止規則等の一部を改正する省令」(平成25年厚生労働省令第57号。以下「改正省令」という。)及び「事故由来廃棄物等処分業務特別教育規程」(平成25年厚生労働省告示第140号。以下「特別教育規程」という。)が本日公布され、同年7月1日から施行し、又は適用することとされたところである。

今般、除染の進展に伴い、事故由来放射性物質に汚染された廃棄物等の処分の業務が本格的に実施される見込みとなっており、当該業務に従事する労働者の放射線障害防止対策が必要であることから、改正省令及び特別教育規程を制定し、当該業務の性質に応じ、労働者の放射線障害を防止するために必要な措置を規定したものである。

また、事故由来放射性物質に汚染された廃棄物等の処分の業務における労働者の放射線障害防止対策をより一層的確に推進するため、電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号。以下「電離則」という。)に規定する措置やその他の事業者が講ずべき措置、及び労働安全衛生関係法令の中で重要なものを一体的に示すことを目的とした「事故由来廃棄物等処分業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドライン」を別添1のとおり策定したところである。

各労働局におかれては、下記の事項に留意の上、関係事業者を指導するとともに、都道府県及び市町村に対し周知徹底を図り、事故由来廃棄物等処分業務における放射線障害防止対策の一層的確な推進を図られたい。

なお、環境省水・大気環境局長、農林水産省農林水産技術会議事務局長、復興庁統括官及び内閣府原子力災害対策本部原子力被災者生活支援チーム事務局長補佐に対して別添2のとおり、岩手県、宮城県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、東京都、新潟県及び静岡県の各知事に対して別添3のとおり、関係事業者団体に対して別添4のとおり要請したので、了知されたい。

 

1 事故由来廃棄物等の処分の事業を行う事業の事業者に対して、電離則に規定された事項のほか、処分 業務ガイドラインに定める事項の実施について指導を行うこと。

2 都道府県及び環境省福島環境再生事務所に対しては、管内状況に応じて、電離則及び処分業務ガイド ラインの内容について説明を行う等により、周知徹底を図ること。

 

別添1

事故由来廃棄物等処分業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドライン

第1 趣旨

平成23年3月11日に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故により放出された放射性物質(以下「事故由来放射性物質」という。)により汚染された物(以下「事故由来廃棄物等」という。)の処分の業務に従事する労働者の放射線による健康障害を防止するため、電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号。以下「電離則」という。)に事故由来廃棄物等の処分に係る内容を規定するとともに、本ガイドラインを定めるものである。

このガイドラインは、電離則と相まって、事故由来廃棄物等の処分の業務における放射線障害防止対策のより一層的確な推進を図るため、電離則に規定された事項のほか、事業者が実施すべき事項、並びに労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)及び関係法令において規定されている事項のうち、重要なものを一体的に示すことを目的とするものである。

事業者は、このガイドラインに記載された事項を的確に実施することに加え、より現場の実態に即した放射線障害防止対策を講ずるよう努めるものとする。

 

第2 適用等

1 適用

(1) このガイドラインは、次のアからウまでに掲げる事故由来廃棄物等の処分の業務(以下「事故由来廃棄物等処分業務」という。)を行う事業の事業者(以下「処分事業者」という。)を対象とすること。

ア 除染等の措置(事故由来放射性物質により汚染された土壌、草木、工作物等について講ずる土壌、落葉及び落枝、水路等に堆積した汚泥等の除去、汚染の拡散の防止その他の汚染の影響の低減のために必要な措置)及び汚染された土壌等を取り扱うその他の措置の実施に伴い生じた土壌(セシウム134及びセシウム137の放射能濃度の値が1万Bq/kgを超えるものに限る。以下「除去土壌」という。)

イ 事故由来放射性物質により汚染された廃棄物(セシウム134及びセシウム137の放射能濃度の値が1万Bq/kgを超えるものに限る。以下「汚染廃棄物」という。)

ウ ア及びイに掲げる物のほか、これらの物の処分の過程における濃縮等により、放射性セシウム以外の放射性同位元素の数量及び濃度が電離則第2条第2項に規定する値を超えたもの。

(2) 適用に当たっては、以下の事項に留意すること。

ア 「放射性物質」とは、電離則第2条第2項に定める放射性物質をいうこと。

イ 「処分」には、最終処分(埋立て)、中間貯蔵、中間処理(選別、破砕、圧縮、濃縮、焼却等)及びそれらに関連する施設又は設備の保守点検作業や修繕作業が含まれること。

2 除染電離則等との関係

(1) 「東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則」(平成23年厚生労働省令第152号。以下「除染電離則」という。)で定める「除染等業務」又は「特定線量下業務」に該当する業務については、このガイドラインの対象とはならず、それぞれ、「除染等業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドライン」(平成23年12月22日付け基発1222第6号。以下「除染等業務ガイドライン」という。)又は「特定線量下業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドライン」(平成24年6月15日付け基発0615第6号。以下「特定線量下業務ガイドライン」という。)が適用されること。

(2) 除染電離則及び除染等業務ガイドライン(以下「除染電離則等」という。)は、放射線源が管理できない状況(現存被ばく状況)となっている、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(平成23年法律第110号)第25条第1項に規定する除染特別地域又は同法第32条第1項に規定する汚染状況重点調査地域(以下「除染特別地域等」という。)における一定の業務を対象としているが、本ガイドラインは、事故由来廃棄物等を管理された線源として取り扱うことが可能であって、かつ、そこからの被ばくが支配的な状況(計画被ばく状況)における、それらの管理された線源の処分の業務を対象とすること。

ア 上下水道施設において発生した事故由来廃棄物等に該当する汚泥等や、焼却施設において一般廃棄物や産業廃棄物を焼却した灰が結果的に1万Bq/kgを超えたものを単に貯蔵する業務(汚泥等を遠隔操作等により作業員が直接触れない方法で容器に封入する業務を含む。)は、管理線源の処分を目的としていないため、これらの業務は、事故由来廃棄物等処分業務には含まれず、事故由来廃棄物等以外の放射性物質の貯蔵として規制が適用されること。また、除染に伴って発生した除去土壌又は汚染廃棄物を除染現場で保管する業務は、除染等業務(廃棄物収集等業務)として除染電離則等が適用されること。

イ 事故由来廃棄物等処分業務を行う事業場(以下「処分事業場」という。)において行われる事故由来廃棄物等の収集、運搬、保管は、除染電離則等の適用を受けず、「事故由来廃棄物等処分業務」として本ガイドラインの対象となること。

ウ 処分事業場の外において行われる事故由来廃棄物等の破砕、選別等は「事故由来廃棄物等処分業務」には含まれず、「土壌等の除染等の業務」、「特定汚染土壌等取扱業務」に該当する場合は、除染電離則等の対象となること。

 

第3 管理区域の設定及び被ばく線量管理の方法

1 基本原則

(1) 処分事業者は、労働者が電離放射線を受けることをできるだけ少なくするように努めること。

(2) このため、処分事業者は、除染特別地域等において処分事業場を設置する場合は、労働者の被ばく線量の低減の観点から、あらかじめ、処分事業場周辺の除染等を実施し、可能な限り被ばく線量の低減を図った上で労働者を業務に就かせる必要があること。

2 管理区域の明示等

(1) 処分事業者は、次の基準のいずれかに該当する区域(以下「管理区域」という。)を標識によって明示すること。

ア 外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計が3月間につき1.3mSvを超えるおそれのある区域

イ 放射性物質の表面密度が電離則別表第3に定める表面汚染の限度(以下「表面汚染限度」という。)の10分の1(4Bq/cm2)を超えるおそれのある区域

(2) 処分事業者は、必要のある者以外の者を管理区域に立ち入らせないこと。

(3) 管理区域の設定に当たっては、次に掲げる事項に留意すること。

ア 「3月間につき1.3mSvを超えるおそれのある区域」の判断には、年2,000時間の労働時間を前提として、実効線量が2.5μSv/hを超えるおそれがあるかどうかで判断することが適当であること。

イ 外部放射線による実効線量には、事故由来廃棄物等以外の環境からの外部放射線によるものを含めること。

ウ 管理区域の設定方法の詳細については、電離則第3条の規定及び「労働安全衛生規則及び電離放射線障害防止規則の一部を改正する省令の施行等について」(平成13年3月30日付け基発第253号。以下「基発第253号通達」という。)に定めるところによること。

3 線量の測定

(1) 処分事業者は、(3)から(5)までに掲げるところにより、事故由来廃棄物等処分業務を行う者(以下「事故由来廃棄物等処分業務従事者」という。)の管理区域内において受ける外部被ばくによる線量及び内部被ばくによる線量を測定すること。

(2) 処分事業者は管理区域内における事故由来廃棄物等処分業務(以下「管理区域内事故由来廃棄物等処分業務」という。)の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に対し、当該管理区域内事故由来廃棄物等処分業務に従事する者が管理区域内において受ける外部被ばくによる線量及び内部被ばくによる線量を(3)から(5)までに掲げるところにより測定する必要があることを周知させること。

(3) 外部被ばくによる線量の測定は次に掲げるところにより実施すること。

ア 外部被ばくによる線量の測定は、次に掲げる方法によって実施すること。

① 男性又は妊娠する可能性がないと診断された女性にあっては胸部、その他の女性にあっては腹部に測定器を装着して測定を行うこと。

② 測定器は、1センチメートル線量当量を測定できるものであること。

イ 事故由来廃棄物等から放射性セシウムを除去する処理を行ってその処理済み廃液等を取り扱う場合等、ベータ線による被ばくがガンマ線による被ばくの10倍以上になるおそれがある場合は、アの方法による測定に加え、次に掲げる方法によって測定すること。

① アの①により装着する測定器は、1センチメートル線量当量及び70マイクロメートル線量当量を測定できるものとすること。

② 最も多く放射線にさらされるおそれのある部位に測定器を装着して測定を行うこと。この測定器は、70マイクロメートル線量当量を測定できるものとすること。

ウ アの①の測定器によって測定した1センチメートル線量当量又はイの①の測定器によって測定した1センチメートル線量当量及び70マイクロメートル線量当量を確認することによって、3ミリメートル線量当量が眼の水晶体の等価線量限度を超えないように管理することができない場合には、3ミリメートル線量当量を測定する必要があること。

エ 処分事業者は、1日当たりの外部被ばくによる線量が1mSvを超えるおそれのある労働者が使用する測定器については、電子式線量計等、1日ごとの被ばく線量を測定できるものとすること。

(4) 内部被ばくによる線量の測定は次に掲げるところにより実施すること。

ア 内部被ばくによる線量の測定は、管理区域のうち放射性物質を吸入摂取し、又は経口摂取するおそれのある場所に立ち入る者を対象に、3月以内ごとに1回行うこと。

なお、1月間に受ける実効線量が1.7mSvを超えるおそれのある女性(妊娠する可能性がないと診断されたものを除く。)及び妊娠中の女性にあっては1月以内ごとに1回行うこと。

ただし、その者が誤って放射性物質を吸入摂取し、又は経口摂取したときは、その後速やかに測定すること。

イ 内部被ばくによる線量の計算方法は、「電離放射線障害防止規則第三条第三項等の規定に基づく厚生労働大臣が定める限度及び方法」(昭和63年労働省告示第93号。以下「測定告示」という。)第2条に定めるところによること。

(5) 処分事業者は、線量の測定に当たって、次に掲げる事項に留意すること。

ア 管理区域内での被ばくの評価に当たっては、事故由来廃棄物等からの被ばくとそれ以外からの被ばくを区別せずに合算すること。

イ 内部被ばく測定の対象となる「放射性物質を吸入摂取し、又は経口摂取するおそれのある場所」とは、放射性物質の表面密度が表面汚染限度の10分の1(4Bq/cm2)を超えるおそれのある場所、又は空気中の放射性物質の濃度が測定告示第1条に定める空気中濃度限度(以下「空気中濃度限度」という。)の10分の1(年5mSv相当)を超えるおそれのある場所をいうこと。

ウ 処分事業場の設置者は、内部被ばく測定対象者の人数に応じたホールボディカウンタ-の確保に留意する必要があること。

4 被ばく線量限度

(1) 処分事業者は、管理区域内で事故由来廃棄物等処分業務従事者の受ける線量の合計が、次に掲げる限度を超えないようにすること。

ア 男性及び妊娠する可能性がないと診断された女性は、5年間につき実効線量が100mSv、かつ、1年間に50mSvを超えないこと。

イ 女性(妊娠する可能性がないと診断されたもの及びウのものを除く。)は、3月間につき実効線量が5mSvを超えないこと。

ウ 妊娠と診断された女性は、妊娠中に内部被ばくによる実効線量が1mSv、腹部表面に受ける等価線量が2mSvを超えないこと。

(2) 処分事業者は、管理区域内事故由来廃棄物等処分業務の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に対し、当該管理区域内事故由来廃棄物等処分業務に従事する者の受ける実効線量が(1)の限度を超えないようにする必要があることを周知させること。

(3) 処分事業者は、事故由来廃棄物等処分業務従事者の受ける等価線量が、次に掲げる区分に応じて、それぞれに定める値を超えないこと。

ア 眼の水晶体:5年間につき100mSv、かつ、1年間につき50mSv

イ 皮膚:1年間につき500mSv

(4) 処分事業者は、管理区域内事故由来廃棄物等処分業務の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に対し、当該管理区域内事故由来廃棄物等処分業務に従事する者の受ける等価線量が(3)の値を超えないようにする必要があることを周知させること。

(5) 処分事業者は、事故が発生した場合における放射線による労働者の健康障害を防止するための応急の作業(以下「緊急作業」という。)を行うときは、男性又は妊娠する可能性がないと診断された女性については、次に掲げる区分に応じて、それぞれに定める値を超えないこと。

ア 実効線量:100mSv

イ 眼の水晶体に受ける等価線量:300mSv

ウ 皮膚に受ける等価線量:1Sv

(6) 処分事業者は、緊急作業の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に対し、当該緊急作業に従事する男性又は妊娠する可能性がないと診断された女性については、(5)の値を超えないようにする必要があることを周知させること。

(7) 処分事業者は、事故由来廃棄物処分業務における被ばく線量に、電離則の対象となる他の放射線業務、除染等業務、特定線量下業務における被ばく線量も合算して被ばく線量限度を超えないように管理すること。

5 線量の測定結果の記録等

(1) 処分事業者は、1日における外部被ばく線量が1mSvを超えるおそれのある労働者については、4による外部被ばく測定の結果を毎日確認し、記録すること。

(2) 処分事業者は、4の測定の結果に基づき、次に掲げる労働者の被ばく線量を測定告示第3条で定める方法により算定し、これを記録し、これを30年間保存すること。

ただし、当該記録を5年間保存した後において厚生労働大臣が指定する機関(公益財団法人放射線影響協会)に引き渡すときはこの限りでないこと。この場合、記録の様式の例として、様式1があること。

ア 男性又は妊娠する可能性がないと診断された女性の実効線量の3月ごと、1年ごと、及び5年ごとの合計(5年間において、実効線量が1年間につき20mSvを超えたことのない者にあっては、3月ごと及び1年ごとの合計)

イ 女性(妊娠する可能性がないと診断されたものを除く。)の実効線量の1月ごと、3月ごと及び1年ごとの合計(1月間受ける実効線量が1.7mSvを超えるおそれのないものにあっては、3月ごと及び1年ごとの合計)

ウ 人体の組織別の等価線量の3月ごと及び1年ごとの合計(眼の水晶体に受けた等価線量にあっては、3月ごと、1年ごと及び5年ごとの合計)

エ 妊娠中の女性の内部被ばくによる実効線量及び腹部表面に受ける等価線量の1月ごと及び妊娠中の合計

(3) 処分事業者は、(1)及び(2)の記録を、遅滞なく労働者に通知すること。

(4) 処分事業者は、その事業を廃止しようとするときには、(2)の記録を厚生労働大臣が指定する機関(公益財団法人放射線影響協会)に引き渡すこと。

 

第4 施設等における線量の限度

1 施設等における線量等の限度

(1) 処分事業者は、密封されていない事故由来廃棄物等を取り扱う作業を行う専用の施設(以下「事故由来廃棄物等取扱施設」という。)、事故由来廃棄物等を貯蔵する施設(以下「貯蔵施設」という。)及び事故由来廃棄物等を埋め立てる施設(以下「埋立施設」という。)について、遮蔽物、局所排気設備、密閉設備を設ける等により、労働者が常時立ち入る場所の外部放射線による実効線量及び空気中の放射性物質による実効線量の合計が1週間につき1mSvを超えないようにすること。

(2) 処分事業者は、線量の限度について、次に掲げる事項に留意すること。

ア 1週間につき1mSvとは、週40時間の労働時間を前提とすると、25μSv/hであること。1週間につき1mSvを超えないようにするためには、少なくとも空気中の放射性物質の濃度は、空気中濃度限度(年50mSv相当)以下とする必要があること。

イ 除染特別地域等に処分事業場を設置する場合で、(1)の施設以外の施設で労働者が常時立ち入る場所において、実効線量が1週間につき1mSvを超えるおそれのある場合は、遮蔽物の設置、遠隔操作の車両系建設機械や遮蔽効果のある車両の活用等により、労働者が常時立ち入る場所が1週間につき1mSvを超えない措置を講じる必要があること。

ウ (1)の線量の限度は、労働者が常時立ち入る場所について規定するものであり、焼却炉、破砕・選別・圧縮・濃縮等を行う設備の内部等に保守点検作業等の非定常作業時に立ち入る場合には、適用されないこと。

2 事故由来廃棄物等取扱施設における表面汚染の限度等

(1) 処分事業者は、事故由来廃棄物等取扱施設内の天井、床、壁、設備等(労働者が触れるおそれがある部分に限る。)を1月以内ごとに検査し、表面汚染限度(40Bq/cm2)を超える汚染があった場合、表面汚染限度以下になるまで汚染を除去すること。

(2) 処分事業者は、事故由来廃棄物等取扱施設で事故由来放射性物質がこぼれる等により汚染が生じたときは、直ちに、汚染の拡大を防止する措置を講じ、汚染された区域を明示した上で、表面汚染限度(40Bq/cm2)になるまで汚染を除去すること。

(3) 処分事業者は、(1)の汚染の検査等について、次に掲げる事項に留意すること。

ア 労働者が手を伸ばしても届かない高さの天井、壁等、通常作業時に労働者の触れるおそれがない部分については、汚染検査を実施する必要はないこと。

イ 測定の箇所については、壁1面単位、設備単位で、最も汚染されやすいと見込まれる箇所を1、2点選ぶこと。

ウ 事故由来廃棄物等処分業務における被ばくは、放射性セシウムによるものがその大部分を占めるため、事故由来廃棄物等に係る表面汚染限度は、アルファ線を放出しない放射性同位元素の限度(40Bq/cm2)が適用されること。

3 事故由来廃棄物等取扱施設以外の表面汚染の限度等

(1) 事故由来廃棄物等がこぼれた場合の措置

処分事業者は、事故由来廃棄物等がこぼれる等により汚染が生じたときは、直ちに、汚染の拡大を防止する措置を講じ、汚染された区域を明示した上で、表面汚染限度の10分の1(4Bq/cm2)以下になるまで汚染を除去すること。

(2) 空気中の放射性物質の濃度

処分事業者は、事故由来廃棄物等取扱施設を除く処分事業場内の週平均濃度の3月ごとの平均を空気中濃度限度の10分の1(年5mSv相当)以下にすること。

4 作業環境測定

(1) 処分事業者は、管理区域及び事故由来廃棄物等取扱施設について、1月以内ごとに1回、定期に、次に掲げる項目について、放射線測定器を用いて測定すること。

ア 管理区域:外部放射線による線量当量率又は線量当量

イ 事故由来廃棄物等取扱施設:空気中の放射性物質の濃度

(2) 処分事業者は、(1)の測定の都度、次に掲げる事項を記録し、これを5年間保存すること。

ア 測定日時

イ 測定方法

ウ 放射線測定器の種類、型式及び性能

エ 測定箇所

オ 測定条件

カ 測定結果

キ 測定を実施した者の氏名

ク 測定結果に基づいて実施した措置の概要

(3) 処分事業者は、管理区域における外部放射線による線量当量又は線量当量率の測定結果を見やすい場所に掲示する等の方法によって、管理区域に立ち入る者に周知させること。

(4) 処分事業者は、測定に当たって、次に掲げる事項に留意すること。

ア 管理区域における線量当量率又は線量当量の測定については、作業環境測定基準(昭和51年労働省告示第46号)第7条及び第8条並びに基発第253号通達で定める方法によること。

イ 事故由来廃棄物等取扱施設における空気中の放射性物質の濃度の測定については、作業環境測定基準第7条及び第9条に定める方法によるとともに、作業環境測定士に実施させること。

 

第5 事故由来廃棄物等の処分のための施設が満たすべき要件

1 処分事業場の境界の明示等

(1) 処分事業者は、処分事業場の境界を標識によって明示するとともに、囲い等を設けること。

(2) 処分事業者は、明示等に当たって、次に掲げる事項に留意すること。

ア 処分事業場の境界は、いわゆる敷地境界より狭く、事故由来廃棄物等処分業務に係る作業のために必要な場所の境界として差し支えないこと。

イ 「囲い等」の「等」には、フェンスのようなものに限らず、カラーコーン等の簡易なものも含まれること。

2 事故由来廃棄物等取扱施設

(1) 処分事業者は、密封されていない事故由来廃棄物等を取り扱う作業を行うときは、専用の施設である事故由来廃棄物等取扱施設を設け、その施設内で作業を行うこと。

(2) 処分事業者は、事故由来廃棄物等取扱施設の内側の天井、壁、床、その他汚染のおそれのある部分については、次に定めるところに適合するものとすること。

ア 気体又は液体が浸透しにくく、かつ、腐食しにくい材料で作られていること

イ 表面が平滑に仕上げられていること

ウ 突起、くぼみ及び隙間の少ない構造であること

(3) 処分事業者は、(2)に加え、取り扱う事故由来廃棄物等の性状に応じ、次に掲げる措置を講じること。

ア 液体が発生するおそれのある事故由来廃棄物等を取り扱う作業を行うときは、液体が漏れるおそれのない構造の施設において行うこと

イ 粉じんが発散するおそれがある事故由来廃棄物等を取り扱う作業を行うときは、粉じんの飛散を抑制する措置を講じること

(4) 処分事業者は、事故由来廃棄物等取扱施設についてその出入口に二重扉を設ける等、汚染の拡大を防止するための措置を講じること。

(5) 処分事業者は、事故由来廃棄物等取扱施設の外側の見やすい場所に、その旨を明記した標識を掲げるとともに、必要のある者以外の者を立ち入らせないこと。

(6) 処分事業者は、事故由来廃棄物等取扱施設について、次に掲げる事項に留意すること。

ア (2)の材料、仕上げ及び構造については、トラックや車両系建設機械の運用に耐えられるものとすること。

イ 「粉じんの飛散を抑制する措置」には、施設を密閉化することのほか、天井、壁等を隙間が少ない構造とした上で局所排気装置(集じん機付き)を設置すること、排水が発生しない程度の水の噴霧を行うことが含まれること。

ウ 「二重扉を設置する等」の「等」には、事故由来廃棄物等取扱施設と連結された仮設テント等に、遮水シート等の汚染の拡大を防止できる材料で作られ、かつ、開閉が可能な物を設置することや、開口部を開放した場合に施設外部から施設内部への気流の流れを維持できる排気装置を設置することが含まれること。

3 事故由来廃棄物等破砕等を行う設備

(1) 処分事業者は、事故由来廃棄物等取扱施設の外において、事故由来廃棄物等又は表面汚染限度の10分の1(4Bq/cm2)を超えて汚染されている物(以下「汚染物」という。)の破砕、選別、圧縮、濃縮等を行うときは、取り扱う事故由来廃棄物等の性状に応じ、次に定めるところに適合する設備(以下「破砕等設備」という。)を用いて行うこと。

ア 気体が発生するおそれがあるときは、気体が漏れるおそれのない構造であり、かつ、腐食し、及び気体が浸透しにくい材料を用いていること

イ 液体が発生するおそれがあるときは、液体が漏れるおそれのない構造であり、かつ、腐食し、及び液体が浸透しにくい材料を用いていること

ウ 粉じんによる汚染のおそれがあるときは、粉じんが飛散するおそれのない設備であること

(2) 処分事業者は、破砕等設備の外側の見やすい場所に、その旨を明記した標識を掲げること。

(3) 処分事業者は、破砕等設備について、次に掲げる事項に留意すること。

ア 破砕等設備の要件は、設備自体が密閉性を保ち、労働者が事故由来廃棄物等の破砕物等にばく露することを防止することを目的とするものであること。したがって、設備自体に密閉性がなく、設備の周囲に粉じん等が飛散するおそれがある場合には、事故由来廃棄物等取扱施設の中に破砕等設備を設置する必要があること。

イ 「破砕等設備」には、付属する配管や接合部が含まれること。

ウ 「気体が漏れるおそれがない」、「粉じんが飛散するおそれのない」とは、給排気系統以外の部分から、それぞれ気体が漏れ、又は粉じんが飛散するおそれのないことを要求する趣旨であり、「液体が漏れるおそれがない」については、給排水系統以外の部分から液体が漏れるおそれのないことを要求する趣旨であること。

4 事故由来廃棄物等の焼却炉

(1) 処分事業者は、事故由来廃棄物等又は汚染物を焼却するときは、気体が漏れるおそれがなく、かつ、灰が飛散するおそれのない構造の焼却炉において行うこと。

(2) 処分事業者は、焼却炉の外側の見やすい場所に、その旨を明記した標識を掲げること。

(3) 処分事業者は、焼却炉について、次に掲げる事項に留意すること。

ア 「焼却炉」には、炉と一体となった運搬設備、給排気装置及び付属する配管も含まれること。

イ 「気体が漏れるおそれがなく」とは、給排気系統以外の部分から汚染された気体が漏れるおそれのないことを要求する趣旨であること。

5 事故由来廃棄物等の埋立てを行う施設

(1) 処分事業者は、事故由来廃棄物等又は汚染物を埋め立てるときは、外部と区画された構造であり、かつ、扉、蓋等の外部に通ずる部分に、カギその他の閉鎖のための設備又は器具を設けた埋立施設において行うこと。

(2) 処分事業者は、密封されていない事故由来廃棄物等を埋め立てるときは、事故由来廃棄物等取扱施設の要件を満たしつつ埋立てを行うこと。

(3) 処分事業者は、埋立施設の外側の見やすい場所に、その旨を明記した標識を掲げるとともに、囲い等を設け、必要のある者以外の者を立ち入らせないこと。

(4) 処分事業者は、埋立施設について、次に掲げる事項に留意すること。

ア 除去土壌又は汚染廃棄物を埋立てにより中間貯蔵する場合は、本ガイドラインの埋立てに含まれること。

イ 密封されていない除去土壌を埋め立てる場合は、ダンピングを行うときのみ仮設テント等の天井及び壁面を有する場所において作業を行い、汚染されていない覆土等を行った後は、仮設テント等を除去し、又は他の場所に移設することも可能であること。この場合、汚染の拡大防止のため、コンクリートピットや遮水工等が必要となること。

6 事故由来廃棄物等の貯蔵を行う施設

(1) 処分事業者は、事故由来廃棄物等を貯蔵するときは、外部と区画された構造であり、かつ、扉、蓋等の外部に通ずる部分に、カギその他の閉鎖のための設備又は器具を設けた貯蔵施設において行うこと。

(2) 処分事業者は、貯蔵施設の外側の見やすい場所に、その旨を明記した標識を掲げるとともに、必要のある者以外の者を立ち入らせないこと。

7 事故由来廃棄物等に係る排気又は排液の施設

(1) 処分事業者は、事故由来廃棄物等取扱施設、破砕等設備又はベルトコンベア等の運搬設備からの排気又は排液を導き、ためておき、又は浄化するときは、排気又は排液が漏れるおそれのない構造であり、かつ、腐食し、及び排液が浸透しにくい材料を用いた施設において行うこと。

(2) 処分事業者は、施設の外側の見やすい場所に、その旨を明記した標識を掲げること。

(3) 処分事業者は、排気又は排液の施設について、次に掲げる事項に留意すること。

ア 排気に係る施設には、局所排気装置、集じん機(バグフィルター)及び付属する配管が含まれること。

イ 排液に係る施設には、排液タンク、排液処理設備及び付属する配管が含まれること。

8 事故由来廃棄物等の運搬を行う設備

(1) 処分事業者は、事故由来廃棄物等取扱施設の外において、密封されていない事故由来廃棄物等又は汚染物を運搬するときは、運搬する事故由来廃棄物等の性状に応じ、次に定めるところに適合するベルトコンベア等の運搬設備を用いて行うこと。ただし、第6の1の容器を使用する場合、外部放射線を遮蔽するため、又は汚染の拡大を防止するための有効な措置を講じた場合は、この限りでないこと。

ア 気体が発生するおそれがあるときは、気体が漏れるおそれがない構造であり、かつ、腐食し、及び気体が浸透しにくい材料を用いていること

イ 液体が発生するおそれがあるときは、液体が漏れるおそれがない構造であり、かつ、腐食し、及び液体が浸透しにくい材料を用いていること

ウ 粉じんが飛散するおそれがあるときは、粉じんが飛散するおそれのないこと

(2) 処分事業者は、ベルトコンベア等の運搬設備の外側の見やすい場所に、その旨を明記した標識を掲げること。

(3) 「ベルトコンベア等の運搬設備」の「等」には、天井クレーンが含まれること。

 

第6 汚染の防止のための措置

1 容器

(1) 処分事業者は、事故由来廃棄物等を保管し、貯蔵し、運搬し、廃棄のために一時ためておき、又は埋め立てるときは、容器を用いること。また、汚染物を運搬し、廃棄のために一時ためておき、又は埋め立てるときも同様とすること。ただし、容器に入れることが著しく困難なものについて、外部放射線を遮蔽するため、若しくは汚染の広がりを防止するための有効な措置を講じたとき、事故由来廃棄物等取扱施設内において取り扱うとき、又はベルトコンベア等の運搬設備で運搬するときは、この限りでないこと。

(2) 処分事業者は、(1)の容器については、次の表の左欄に掲げる用途に用いるときは、当該用途に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる構造を具備するものを用いること。

用途

構造

空気を汚染するおそれのある事故由来廃棄物等又は汚染物を入れる場合

腐食しにくい材料で造られ、かつ、気体が漏れないものであること。

液状の事故由来廃棄物等又はそれによって湿っている汚染物を入れる場合

腐食し、及び液体が浸透しにくい材料で造られ、かつ、液体が漏れ、及びこぼれにくいものであること。

事故由来廃棄物等又は汚染物を管理区域の外において運搬するために入れる場合

ア 容器の表面(容器を梱包するときは、その梱包の表面。以下この項において同じ。)における1センチメートル線量当量率が、2mSv毎時を超えないものであること。

イ 容器の表面から1mの距離における1センチメートル線量当量率が、0.1mSv毎時を超えないものであること。

(3) 処分事業者は、容器に、事故由来廃棄物等又は汚染物を入れるものである旨を表示すること。

(4) 処分事業者は、容器について、次に掲げる事項に留意すること。

ア 「容器に入れることが著しく困難なもの」には、大型の機械、容器の大きさを超える伐木、解体物又は瓦礫が含まれること。

イ 「汚染の広がりを防止するための有効な措置」には、荷台が密閉構造となっているトラックを用いて運搬すること、トラックの荷台全体を遮水シートで梱包して運搬することが含まれること。

2 事故由来廃棄物等の取扱いに使用する用具

処分事業者は、事故由来廃棄物等の取扱いに使用するスコップ等の用具にその旨を表示するとともに、他の用途に用いないこと。また、汚染を容易に除去することができる構造及び材料の用具掛け、置台等を用いて保管すること。

3 汚染検査

(1) 処分事業者は、管理区域(労働者の身体若しくは装具又は物品が表面汚染限度の10分の1(4Bq/cm2)を超えて汚染されるおそれのあるものに限る。以下同じ。)の出口に汚染検査場所を設け、管理区域から労働者が退出するときは、その身体及び装具の汚染の状態を検査すること。

(2) この検査において、表面汚染限度の10分の1(4Bq/cm2)を超えて汚染されていると認められるときは、次の措置を講じなければ、その労働者を退去させないこと。

ア 身体が汚染されているときは、表面汚染限度の10分の1(4Bq/cm2)以下になるように洗身等をさせること

イ 装具が汚染されているときは、その装具を脱がせ、又は取り外させること

(3) 処分事業者は、管理区域から持ち出す物品について、持ち出しの際に、(1)の汚染検査場所において、その汚染の状態を検査すること。ただし、ベルトコンベア等の運搬設備により運搬するときは、その限りでないこと。

(4) この検査において、表面汚染限度の10分の1(4Bq/cm2)を超えて汚染されていると認められるときは、その物品を持ち出さないこと。ただし、ベルトコンベア等の運搬設備により運搬するとき、容器に入れる等の汚染の拡大防止措置を講じた上で、汚染を除去するための施設、事故由来廃棄物等の処分又は廃棄のための施設まで運搬するときは、この限りでないこと。

(5) 処分事業者は、汚染検査の実施に当たって、次に掲げる事項に留意すること。

ア (1)の「汚染検査場所」には、汚染検査のための放射線測定器を備え付けるほか、洗浄設備等の汚染の除去のための設備、防じんマスク等の汚染された廃棄物の一時保管のための設備を設けること。

イ 洗身等によっても身体の汚染を表面汚染限度の10分の1(4Bq/cm2)以下にできない者については、第7の5の規定により医師の診察を受けさせる必要があり、その場合には、当該者を管理区域から退出させて差し支えないこと。

ウ 除去土壌又は汚染廃棄物を運搬した車両については、荷下ろし場所において、荷台その他の汚染された箇所の汚染の除去及び汚染検査を行うことが望ましいが、それが困難な場合には、第6の1(1)のただし書きに定める飛散防止の措置を講じた上で、汚染検査場所に戻り、そこで汚染検査を行うこと。

(6) 処分事業者は、処分事業場の中に、洗眼、洗身、うがいのための設備、更衣設備及び洗濯設備等の汚染を除去するための設備を設けること。なお、洗身のための設備には、入浴設備及びシャワーが含まれること。

4 保護具等

(1) 呼吸用保護具

ア 処分事業者は、空気中濃度限度(年50mSv相当)を超える空気を吸入するおそれのある作業に労働者を従事させる場合、有効な呼吸用保護具を備え、その作業に従事する労働者に使用させること。

イ 有効な呼吸用保護具は、次に掲げる作業の区分及び事故由来廃棄物等の放射能濃度の区分に応じた捕集効率を持つ防じんマスク又はこれと同等以上のものとすること。

 

放射能濃度

200万Bq/kg超

放射能濃度

50万Bq/kg超

200万Bq/kg以下

放射能濃度

50万Bq/kg以下

高濃度粉じん作業(粉じん濃度10mg/m3超の場所における作業)

捕集効率99.9%以上(全面型)

捕集効率95%以上

捕集効率80%以上

高濃度粉じん作業以外の作業(粉じん濃度10mg/m3以下の場所における作業)

捕集効率95%以上

捕集効率80%以上

捕集効率80%以上

ウ 労働者は、アの作業に従事する場合、イに定める呼吸用保護具を使用すること。

エ 処分事業者は、呼吸用保護具について、次に掲げる事項に留意すること。

① 防じんマスクの捕集効率は、99.9%以上(RS3/RL3、全面型)、95%以上(RS2/RL2又はDS2/DL2)、80%以上(RS1/RL1又はDS1/DL1)の3種類であること。

② 液体状の事故由来廃棄物等を取り扱う場合は、防じんマスクのフィルターとしてRL又はDLを使用すること。

③ 気体状(ガス状)の事故由来廃棄物等を取り扱う場合は、ガスの種類に応じた防じん機能付き吸収缶を使用すること。

④ なお、50万Bq/kgを超える事故由来廃棄物等を取り扱うことがない作業であって、かつ、高濃度粉じん作業以外の作業を行う場合であって、「粉じん障害防止規則」(昭和54年労働省令第18号)第7条又は第27条に該当しない作業(草木や腐葉土等の取扱い等)では、防じんマスクでなく、不織布製マスク(国家検定による防じんマスク以外のマスクであって、風邪予防、花粉症対策等で一般的に使用されている不織布を素材とするマスク。サージカルマスク、プリーツマスク、フェイスマスク等と呼ばれることもある。ガーゼ生地でできたマスクはこれに含まれない。)を使用して差し支えないこと。

(2) 保護衣等

ア 処分事業者は、表面汚染限度の10分の1(4Bq/cm2)を超えるおそれのある作業に労働者を従事させるときは、汚染を防止するために有効な保護衣類、手袋又は履物を備え、その作業に従事する労働者に使用させること。

イ 処分事業者は、事故由来廃棄物を取り扱うことにより、事故由来廃棄物等の飛沫又は粉末が飛来するおそれのあるときは、労働者に汚染を防止するために有効な保護衣類、手袋又は履物を使用させること。

ウ 処分事業者は、事故由来廃棄物等取扱施設で作業に従事させる場合、専用の作業衣を備え、その作業に従事する労働者に使用させること。

エ 有効な保護衣類、手袋又は履物は、次に掲げる作業の区分及び事故由来廃棄物等の放射能濃度の区分に応じたもの又はこれと同等以上のものとすること。

 

放射能濃度

200万Bq/kg超

放射能濃度

50万Bq/kg超

200万Bq/kg以下

放射能濃度

50万Bq/kg以下

高濃度粉じん作業

(粉じん濃度10mg/m3超の場所における作業)

長袖の衣服の上に二重の密閉型全身化学防護服、綿手袋の上に二重のゴム手袋、ゴム長靴

長袖の衣服の上に密閉型全身化学防護服、綿手袋の上にゴム手袋、ゴム長靴

長袖の衣服、綿手袋、ゴム長靴

高濃度粉じん作業以外の作業

(粉じん濃度10mg/m3以下の場所における作業)

長袖の衣服の上に密閉型全身化学防護服、綿手袋の上にゴム手袋、ゴム長靴

長袖の衣服、綿手袋の上にゴム手袋、ゴム長靴

長袖の衣服、綿手袋、ゴム長靴

オ 労働者は、アの作業に従事する場合、エに定める保護具を使用すること。

カ 処分事業者は、保護具について、次に掲げる事項に留意すること。

① 設備内部のメンテナンス等で、放射能濃度200万Bq/kgを超える事故由来廃棄物等による全身の汚染が見込まれる場合は、陽圧型又は気密型の全身化学防護服(エアラインスーツ等)の使用が望ましいこと。

② 汚染水の処理等、事故由来放射性物質により汚染された液体を取り扱う作業では、上衣と下衣の分かれたセパレーツ式で、フード付きの防水具を防護服の上に使用すること。

(3) 事故由来廃棄物等の放射能濃度、粉じん濃度の判断については、以下に留意すること。

ア 放射能濃度がいずれのカテゴリに該当するかの判断については、別紙1によること。

イ 高濃度粉じん作業に該当するか否かの判断については、次のとおりとすること。

① 容器に密封されていない事故由来廃棄物等を乾燥した状態で取り扱う作業、事故由来廃棄物等の破砕、選別、圧縮、濃縮、焼却等を行うための設備の内部に立ち入る作業については、粉じん濃度が10mg/m3を超え、高濃度粉じん作業に該当するものとみなすこと。

② ①に関わらず、作業中に粉じん濃度の測定を行った場合は、その測定結果によって高濃度粉じん作業に該当するか否かを判断すること。粉じん濃度の判定の方法については、別紙2によること。

(4) 処分事業者は、労働者に使用させる呼吸用保護具又は保護衣類等が表面汚染限度(40Bq/cm2)(労働者に接触する部分にあっては、その10分の1(4Bq/cm2))を超えて汚染されていると認められるときは、あらかじめ、洗浄等により、表面汚染限度以下となるまで汚染を除去しなければ、労働者に使用させないこと。

(5) 処分事業者は、(1)のアの作業の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に対し、その空気の放射能濃度に応じて(1)及び(2)の保護具を使用する必要がある旨を周知させること。

5 喫煙等の禁止

(1) 処分事業者は、事故由来廃棄物等取扱施設その他の事故由来廃棄物等を吸入摂取し、又は経口摂取するおそれのある作業場での喫煙及び飲食を禁止するとともに、その旨を見やすい箇所に掲示すること。

(2) 労働者は(1)の作業場で飲食及び喫煙を行わないこと。

 

第7 作業の管理等

1 事故由来廃棄物等処分業務における作業規程

(1) 処分事業者は、事故由来廃棄物等処分業務に係る作業を行うときは、これらの作業に関して次に掲げる事項について規程を定め、これにより作業を行うとともに、関係労働者(当該作業の一部を請負人に請け負わせる場合においては、関係労働者及び当該請負人)に周知すること。

ア 事故由来廃棄物等の処分に係る各設備の操作

イ 安全装置及び自動警報装置の調整

ウ 作業の方法及び順序

エ 外部放射線及び空気中の放射性物質の監視に関する措置

オ 天井、床、壁、設備等の表面の汚染の状態の検査及び汚染の除去に関する措置

カ 異常事態が発生した場合における応急の措置

キ その他の労働者の放射線による障害を防止するため必要な措置

(2) 処分事業者は、作業規程については、以下の事項に留意すること。

ア (1)アには、各設備ごとに、操作の時期、手順及び適正な運転状態の保持、設備の保守点検作業等に必要な事項が含まれること。また、「各設備」には、事故由来廃棄物等取扱施設、貯蔵施設、焼却炉又は埋立施設に係る設備、破砕等設備、ベルトコンベア等の運搬設備が含まれること。

イ (1)イには、安全装置及び自動警報装置の調整の時期、作動テストが含まれること。また、「安全装置」には、破砕等設備のインターロック等が含まれること。さらに、「自動警報装置」には、排気又は排液の施設における漏えい、焼却炉等における異常の発生を操作室に自動的に知らせる装置が含まれること。

ウ (1)ウには、管理区域への立入り及び退去の手順、密封されていない事故由来廃棄物等の取扱いの方法及び順序、事故由来廃棄物等の選別、破砕、圧縮又は濃縮等、貯蔵、焼却、埋立ての方法及び順序、事故由来廃棄物等により汚染された設備の保守点検作業等の方法及び順序、身体等の汚染の状態の検査及び汚染の除去の方法保護具の性能及び使用方法、遮蔽体の設置、遠隔操作の採用等の被ばく防止の方法、被ばく限度及び被ばく線量測定の方法並びに被ばく線量測定の結果の確認及び記録等の方法が含まれること。

エ (1)エには、外部放射線による線量当量率及び空気中の放射性物質の濃度の測定の方法、頻度及び実施体制、これらの測定結果が第4の1及び3に定める限度を超えている場合の措置が含まれること。

オ (1)オには、天井、床、壁、設備等の表面の汚染の状態の検査の方法、頻度及び実施体制、この検査の結果が第4の2及び3に定める限度を超えている場合の汚染の除去の方法が含まれること。

カ (1)カには、各施設又は設備ごとの、異常関連部署への緊急連絡、安全を保持するための要員の配置、必要な設備の使用方法、応急の作業の方法が含まれること。また、この作業規程に基づき、定期的に応急の措置に関する訓練を実施すること。

2 設備又は施設の保守点検作業に関する措置

(1) 処分事業者は、設備又は施設の保守点検の際に点検口等を開放する場合には、遮水シートで覆う等の汚染の拡大を防止する措置を実施すること。また、排気フィルターの交換作業等、汚染された粉じんが広範囲に飛散するおそれのある作業については、仮設テント、局所排気装置の設置等の汚染の拡大を防止する措置を実施すること。

(2) 処分事業者は、保守点検作業を行う前に、作業場所の線量当量率を測定し、空間線量率に適合する放射線防護措置を盛り込んだ作業規程を作成するとともに、作業責任者を指名し、作業規程により作業を行わせること。

(3) 処分事業者は、保守点検作業に従事する労働者に、第6の4に定める保護具を使用させること。

(4) 処分事業者は、作業後に開口部の周辺の汚染検査を実施し、表面汚染限度の10分の1(4Bq/cm2)を下回るまで汚染を除去すること。

3 作業届の提出

(1) 処分事業者(発注者から直接仕事を受注した者(以下「元方事業者」という。)に該当する者がいる場合には、当該元方事業者に限る。)は、次に掲げる作業を行うとするときは、あらかじめ、様式2による作業届を当該事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)に提出すること。

ア 事故由来廃棄物等に汚染された設備の解体、改造、修理、清掃、点検等を行う場合において、当該設備を分解し、又は当該設備の内部に立ち入る作業

イ 外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計が1週間につき1mSvを超えるおそれのある作業

(2) 作業届には、以下の項目について記載すること。

ア 事業場の名称、所在地

イ 工事の名称

ウ 施設又は設備の名称及び所有者

エ 作業の概要

① 発注者

② 作業場の所在地

③ 作業の期間

④ 作業責任者の氏名

⑤ 作業場所の線量当量率

⑥ 作業区分(分解作業・設備内部への立入作業・(1)イの作業)

オ 関係請負人の一覧及び労働者数の概数

(3) 処分事業者は、作業届について、以下の事項に留意すること

ア (1)アの「点検等」の「等」には、非破壊検査、塗装が含まれること。

イ (1)アの分解する作業には、汚染されていない部分を分解する作業は含まれないこと。

ウ 作業届は、施設又は設備単位で届け出ること。

4 事故時の退避等

(1) 処分事業者は、次のいずれかに該当する事故が発生したときは、それによって受ける実効線量が15mSvを超えるおそれのある区域を標識によって明示し、緊急作業従事者を除いて立入りを禁止するとともに、速やかに、その旨を所轄労働基準監督署長に報告すること。

ア 遮蔽物が破損した場合

イ 局所排気装置又は発散源を密閉する設備が故障、破損等によりその機能を失った場合

ウ 放射性物質が大量に漏れ、こぼれ、又は散逸した場合

エ その他の不測の事態が生じた場合

(2) 処分事業者は、(1)の事故が発生し、(1)の区域が生じたときは、次の事項を記録し、5年間保存すること。

ア (1)の区域にいた労働者又は緊急作業従事者の実効線量並びに眼の水晶体及び皮膚の等価線量

イ 事故の発生した日時及び場所

ウ 事故の原因及び状況

エ 放射線による障害の発生状況

オ 応急の措置の内容

(3) 処分事業者は、事故由来廃棄物等処分業務の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に対し、(1)の区域にいた当該事故由来廃棄物等処分業務に従事する者又は緊急作業従事者の実効線量又は眼の水晶体若しくは皮膚の等価線量が明らかでないときは、(1)の区域内の必要な場所ごとの外部放射線による線量当量率、空気中の放射性物質の濃度又は放射性物質の表面密度を測定し、その結果に基づいて、計算により当該実効線量又は等価線量を算出する必要があることを周知させること。ただし、処分事業者が請負人やその請負人の労働者等の分まで測定を行っている場合については、周知を重ねて行う必要はないこと。

(4) (3)の場合において、処分事業者は、当該請負人に対し、線量当量率を測定することが著しく困難なときは、当該線量当量率を計算により算出することができる旨を周知させること。ただし、処分事業者が請負人やその請負人の労働者等の分まで計算を行っている場合については、周知を重ねて行う必要はないこと。

5 医師の診察等

(1) 処分事業者は、労働者が次のいずれかに該当する場合、速やかに医師の診察又は処置を受けさせるとともに、速やかに、その旨を所轄労働基準監督署に報告すること。

ア 4(1)の事故発生時に4(1)の区域内にいた者

イ 被ばく限度を超えた者

ウ 放射性物質を誤って吸入摂取し、又は経口摂取した者

エ 洗身等により汚染を表面汚染限度の10分の1(4Bq/cm2)以下にすることができない者

オ 傷創部が汚染された者

(2) (1)のウについては、事故等で大量の事故由来廃棄物等に埋まった場合、大量の事故由来廃棄物等やそれに汚染されたものが口に入った場合等、一定程度の内部被ばくが見込まれるものに限るものであること。

(3) 処分事業者は、事故由来廃棄物等処分業務、緊急作業及び管理区域に一時的に立ち入る作業(以下「事故由来廃棄物等処分業務等」という。)の一部を請負人に請け負わせる場合においては、当該請負人に対し、事故由来廃棄物等処分業務等に従事する者が(1)のアからエまでのいずれかに該当する場合、速やかに医師の診察又は処置を受ける必要がある旨を周知させること。

 

第8 労働者教育

1 処分事業者は、事故由来廃棄物等処分業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、次の科目について、特別の教育を行うこと。

(1) 事故由来廃棄物等に関する知識(学科30分)

(2) 事故由来廃棄物等の処分の作業の方法に関する知識(学科1時間30分)

(3) 事故由来廃棄物等の処分の作業に使用する設備の構造及び取扱いの方法に関する知識(学科1時間)

(4) 電離放射線の生体に与える影響及び被ばく線量の管理の方法に関する知識(学科1時間)

(5) 関係法令(学科1時間)

(6) 事故由来廃棄物等の処分の作業の方法及び使用する設備の取扱い(実技2時間)

2 その他、教育の実施の詳細については、別紙3によること。

 

第9 健康管理のための措置

1 特殊健康診断

(1) 処分事業者は、事故由来廃棄物等処分業務に常時従事する労働者で管理区域に立ち入るものに対し、雇入れ時又は当該業務に配置換えの際及びその後6月以内ごとに1回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行うこと。

なお、6月未満の期間の定めのある労働契約又は派遣契約を締結した労働者又は派遣労働者に対しても、被ばく歴の有無、健康状態の把握の必要があることから、雇入れ時等に健康診断を実施すること。

ア 被ばく歴の有無(被ばく歴を有する者については、作業の場所、内容及び期間、放射線障害の有無、自覚症状の有無その他放射線による被ばくに関する事項)の調査及びその評価

イ 白血球数及び白血球百分率の検査

ウ 赤血球数の検査及び血色素量又はヘマトクリット値の検査

エ 白内障に関する眼の検査

オ 皮膚の検査

(2) (1)の健康診断のうち、定期に行われるものについては、医師が必要でないと認めるときは、(1)のイからオまでに掲げる項目の全部又は一部を省略することができること。

(3) (1)にかかわらず、健康診断(定期に行われるもの)の前年の実効線量が5mSvを超えず、かつ、当年の実効線量が5mSvを超えるおそれのない者については、(1)のイからオまでに掲げる項目は、医師が必要と認めないときには、行うことを要しないこと。

(4) 処分事業者は、(1)の健康診断の際に、当該労働者が前回の健康診断後に受けた線量を医師に示すこと。

(5) 処分事業者は、(1)の健康診断の結果に基づき、「電離放射線健康診断個人票」(様式3)を作成し、これを30年間保存すること。ただし、当該記録を5年間保存した後に、厚生労働大臣が指定する機関(公益財団法人放射線影響協会)に引き渡すときは、この限りでないこと。

2 一般健康診断

(1) 処分事業者(派遣労働者に対する一般健康診断にあっては、派遣元事業者。以下同じ。)は、事故由来廃棄物等処分業務に常時従事する労働者で管理区域に立ち入るものに対し、雇入れ時又は当該業務に配置換えの際及びその後6月以内ごとに1回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行うこと。

ただし、エの項目については、1年以内ごとに1回、定期に、行えば足りること。

ア 既往歴及び業務歴の調査

イ 自覚症状及び他覚症状の有無の検査

ウ 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査

エ 胸部エックス線検査及び喀痰検査

オ 血圧の測定

カ 貧血検査

キ 肝機能検査

ク 血中脂質検査

ケ 血糖検査

コ 尿検査

サ 心電図検査

(2) (1)の健康診断(定期のものに限る。)は、前回の健康診断においてカからケまで及びサに掲げる項目について健康診断を受けた者については、医師が必要でないと認めるときは、当該項目の全部又は一部を省略することができること。

(3) (1)の健康診断(雇入れ時のものを除く。)は、(1)のウ、エ、カからケまで及びサに掲げる項目については、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは省略することができること。

(4) (1)のウの聴力検査(定期の健康診断におけるものに限る。)は、前回の健康診断において当該項目について健康診断を受けた者又は45歳未満の者(35歳及び40歳の者を除く。)については、医師が適当と認める聴力(1,000Hz又は4,000Hzの音に係る聴力を除く。)の検査をもって代えることができること。

(5) 処分事業者は、(1)の健康診断の結果に基づき、「健康診断個人票」を作成し、これを5年間保存すること。

3 健康診断の結果についての事後措置等

(1) 処分事業者は、1又は2の健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)に基づく医師からの意見聴取について、次に定めるところにより行うこと。

ア 健康診断が行われた日から3月以内に行うこと

イ 聴取した医師の意見を電離放射線健康診断個人票又は健康診断個人票に記載すること

(2) 処分事業者は、健康診断を受けた事故由来廃棄物等処分業務従事者に対し、遅滞なく、健康診断の結果を通知すること。

(3) 処分事業者は、1の健康診断(定期のものに限る。)を行ったときは、遅滞なく、「電離放射線健康診断結果報告書」を所轄労働基準監督署長に提出すること。

(4) 処分事業者は、健康診断の結果、放射線による障害が生じており、若しくはその疑いがあり、又は放射線による障害が生ずるおそれがあると認められる者については、その障害、疑い又はおそれがなくなるまで、就業する場所又は業務の転換、被ばく時間の短縮、作業方法の変更等健康の保持に必要な措置を講ずること。

4 記録の引渡し

処分事業者は、事業を廃止しようとするときは、電離放射線健康診断個人票を厚生労働大臣が指定する機関(公益財団法人放射線影響協会)に引き渡すこと。

 

第10 安全衛生管理体制等

1 施設管理事業者等の実施事項

(1) 施設管理事業者(施設所有者)は、次の事項を実施すること。

ア 関係事業者による協議会の設置

イ 設備の維持、補修のための設備管理

ウ 通常の運転時に施設管理者が元方事業者に当たる場合、関係請負人(委託業者等)の労働者を含めた安全衛生管理体制の確立のため、2及び3の事項

エ 自らの労働者に関する安全衛生管理体制の確立のため、4の事項

(2) 運転管理事業者(施設の運転管理の一部又は全部を委託された事業者等)、保守管理事業者(施設の保守管理の一部又は全部を委託された事業者)は、次の事項を実施すること。

ア 通常の運転時に運転管理事業者が元方事業者に当たる場合は、関係請負人(委託業者等)の労働者を含めた安全衛生管理体制の確立のため、2及び3の事項

イ 保守点検作業時に保守管理事業者が元方事業者に当たる場合は、関係請負人(委託業者等)の労働者を含めた安全衛生管理体制の確立のため、2及び3の事項

ウ 自らの労働者に関する安全衛生管理体制の確立のため、4の事項

2 元方事業者による安全衛生管理体制の確立

(1) 安全衛生統括者の選任

事故由来廃棄物等処分業務を行う事業の元方事業者は、当該業務に係る安全衛生管理が適切に行われるよう、事故由来廃棄物等処分業務の実施を統括管理する者から安全衛生統括者を選任し、同人に(2)から(4)までの事項を実施させること。

(2) 関係請負人における安全衛生管理の職務を行う者の選任等

関係請負人に対し、安全衛生管理の職務を行う者を選任させ、次に掲げる事項を実施させること。

ア 安全衛生統括者との連絡

イ 以下に掲げる事項のうち、当該関係請負人に係るものが円滑に行われるようにするための安全衛生統括者との調整

ウ 当該関係請負人がその仕事の一部を他の請負人に請け負わせている場合における全ての関係請負人に対する作業間の連絡及び調整

(3) 全ての関係請負人による安全衛生協議組織の開催等

ア 全ての関係請負人を含めた安全衛生協議組織を設置し、1月以内ごとに1回、定期に開催すること

イ 安全衛生協議組織において協議すべき事項は、次のとおりとすること

① 新規に事故由来廃棄物等処分業務に従事する者に対する特別教育等必要な安全衛生教育の実施に関すること

② 作業規程の作成又は改善に関すること

③ 汚染検査場所の設置、汚染検査の実施に関すること

④ 労働災害の発生等異常な事態が発生した場合の連絡、応急の措置に関すること

(4) 作業規程の作成等に関する指導又は援助

ア 関係請負人が作成する作業規程について、その内容が適切なものとなるよう必要に応じて関係請負人を指導し、又は援助すること。

イ 関係請負人が、関係請負人の労働者に、作業規程の内容の周知を適切に実施できるよう、関係請負人を指導し、又は援助すること。

3 元方事業者による被ばく状況の一元管理

事故由来廃棄物等処分業務を行う事業の元方事業者は、被ばく管理が適切に実施されるよう、放射線管理者を選任し、安全衛生統括者の指揮のもと、次の事項を含む、関係請負人の労働者の被ばく管理も含めた一元管理を実施させること。

なお、放射線管理者は、放射線関係の国家資格保持者又は専門教育機関等による放射線管理に関する講習等の受講者から選任することが望ましいこと。

(1) 発注者と協議の上、汚染検査場所の設置及び汚染検査の適切な実施を図ること。

(2) 関係請負人による第3の3から5までの措置が適切に実施されるよう、関係請負人の放射線管理担当者を指導、又は援助すること。

(3) 労働者の過去の累積被ばく線量の適切な把握、被ばく線量記録等の散逸の防止を図るため、「除染等業務従事者等被ばく線量登録管理制度」に参加すること。

(4) その他、放射線管理のために必要な事項を実施すること。

4 処分事業者における安全衛生管理体制

(1) 処分事業者は、事業場の規模に応じ、衛生管理者又は安全衛生推進者を選任し、線量の測定及び結果の記録等の業務、汚染検査等の業務、身体・内部汚染の防止、労働者に対する教育、健康管理のための措置に関する技術的事項を管理させること。

なお、労働者数が10人未満の事業場にあっても、安全衛生推進者の選任が望ましいこと。

(2) 処分事業者は、事業場の規模に関わらず、放射線管理担当者を選任し、線量の測定及び結果の記録等の業務、汚染検査等の業務、身体・内部汚染の防止に関する業務を行わせること。

 

第11 除染特別地域等における特例

1 除染特別地域等(別紙4参照)に処分事業場を設置する場合の特例

(1) 事故由来廃棄物等取扱施設以外で事故由来廃棄物等がこぼれた場合の措置

処分事業者は、除染特別地域等に設置された処分事業場において、事故由来廃棄物等がこぼれた場合は、第4の3にかかわらず、直ちに、汚染の拡大を防止する措置を講じ、汚染された区域を明示した上で、屋外の場合は表面汚染限度(40Bq/cm2)又は処分事業場付近の平均的な表面汚染密度(バックグラウンド)のいずれか高い方まで、屋内の場合は表面汚染限度(40Bq/cm2)まで汚染を除去することで足りること。

(2) 汚染検査及び汚染限度

ア 除染特別地域等に設置された処分事業場における汚染検査及び汚染限度については、第6の3にかかわらず、汚染検査場所は事業場の出口に1箇所設置すれば足り、労働者の退出、物品の持出しが禁止される汚染の基準を表面汚染限度(40Bq/cm2)として差し支えないこと。

イ 事故由来廃棄物等により汚染された物については、第5の3にかかわらず、表面汚染限度(40Bq/cm2)を超えて汚染された物に限って汚染物として取り扱うことで差し支えないこと。

ウ 40Bq/cm2は、GM計数管のカウント値で13,000cpmと同等であると取り扱って差し支えないこと。なお、周辺の空間線量が高いため、汚染限度の測定が困難な場合は、汚染検査場所を空間線量が十分に低い場所に設置すること。

2 除染特別地域等に設置された処分事業場で除去土壌の埋立てを行う場合の特例

(1) 容器

処分事業者は、除染特別地域等に設置された処分事業場において除去土壌を埋め立てる場合で、次のアからエまでの措置を講じたときは、第6の1にかかわらず、容器を使用しないことができること。

ア 遠隔操作の機械により除去土壌を取り扱う等、除去土壌による労働者の身体の汚染を防止するための措置

イ 除去土壌を湿潤な状態にする等、粉じんの発散を抑制するための措置

ウ 埋立施設の境界からできる限り離れた場所において作業を行う等、粉じんの飛散を抑制するための措置

エ 埋立施設の境界における事故由来放射性物質の表面密度を1月を超えない期間ごとの測定と、表面密度を表面汚染限度(40Bq/cm2)と埋立施設の周辺における平均的な表面汚染密度(バックグラウンド)のいずれか高い方まで下げるための措置(2) 事故由来廃棄物等取扱施設処分事業者は、(1)により容器を用いずに除去土壌を埋め立てる場合には、第5の2の(2)から(4)までに掲げる措置を実施しないことができること。

(3) 処分事業者は、2の特例により業務を行うに当たっては、次に掲げる事項に留意すること。

ア 遠隔操作の機械により除去土壌を取り扱う場合、機材の故障時の対応や汚染の状況の調査、施設又は設備の保守点検作業等のために一時的に施設内に立ち入ることは差し支えないが、その場合には、あらかじめ作業を中止し、粉じんの発散を抑制した状態とするとともに、第6の4の有効な呼吸用保護具と保護衣類を使用して立ち入る必要があること。

イ (1)アの「遠隔操作の機械により除去土壌を取り扱う等」の「等」には、特別な仕様により密閉性を高めた車両を用いて作業を行うことが含まれるが、この場合には、第4の1及び2、第5の2を踏まえ、当該車両の内部の外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量の合計が1週間につき1mSvを超えないこと、表面汚染を除去しやすくする措置を講ずること、1月以内ごとに1回、表面汚染の検査を実施し、表面汚染限度(40Bq/cm2)を超えている場合には汚染を除去することが必要であること。

ウ (1)イの「湿潤な状態にする等」の「等」には、粉じんの発散抑制効果のある化学物質を散布することが含まれること。

エ (1)のウの「できる限り離れた場所において作業を行う等」の「等」には、埋立施設の境界に粉じんの飛散防止効果のある遮風壁を設けることが含まれること。

オ (1)のエの「表面密度を表面汚染限度(40Bq/cm2)と埋立施設の周辺における平均的な表面汚染密度(バックグラウンド)のいずれか高い方まで下げるための措置」には、汚染された土壌等を除去するほか、コンクリートや鉄板など遮蔽効果を有する物で覆うことが含まれること。

 

別紙1 事故由来廃棄物等の放射能濃度の測定方法

別紙1 事故由来廃棄物等の放射能濃度の測定方法

1 目的

事故由来廃棄物等の放射能濃度の測定は、事業者が、事故由来廃棄物等処分業務に労働者を従事させる際に、事故由来廃棄物等が基準値(1万Bq/kg、50万Bq/kg又は200万Bq/kg)を超えるかどうかを判定し、必要となる放射線防護措置を決定するために実施する。

2 基本的考え方

(1) 事故由来廃棄物等を処分事業場に受け入れる際、収集・運搬する事業者等より、あらかじめ測定されている当該事故由来廃棄物等の容器ごと(容器に入っていない場合はトラックごと)の放射能濃度の測定結果を書面で入手した場合は、受け入れの際にあらためて放射能濃度の測定を行う必要はない。

(2) 収集・運搬する事業者より入手したあらかじめ実施された放射能濃度測定の結果に基づき、受け入れた廃棄物の濃度が1万Bq/kgを超えるものとして法令に定める事項を実施し、かつ、容器に密封されたままで事故由来廃棄物等を取り扱う場合は、受入後に放射能濃度を測定する必要はない。

(3) 測定は、専門の測定業者に委託して実施することが望ましい。

3 試料採取

(1) 試料採取の原則

ア 試料は、容器ごとに一つ採取する。

イ 4(2)による簡易測定を行う場合は、容器全体を試料として測定することも差し支えない。

4 分析方法

分析方法は、以下のいずれかによること。

(1) 作業環境測定基準第9条第1項第2号に定める、全ガンマ放射能計測方法又はガンマ線スペクトル分析方法

(2) 簡易な方法

ア 試料の表面の線量率とセシウム134とセシウム137の放射能濃度の合計の相関関係が明らかになっている場合は、次の方法で放射能濃度を算定することができること。(詳細については、別紙1-1参照)

① 採取した試料を容器等に入れ、その重量を測定すること。

② 容器等の表面の線量率の最大値を測定すること。

③ 測定した重量及び線量率から、容器内の試料のセシウム134とセシウム137の濃度の合計を算定すること。

イ 一般のNaIシンチレーターによるサーベイメーターの測定上限値は30μSv/h程度であるため、簡易測定では、丸型V式容器(128mmφ×56mmHのプラスチック容器)を使用しても、30万Bq/kg以上の測定は困難である。このため、サーベイメーターの指示値が30μSv/hを振り切った場合には、測定対象物の濃度が200万Bq/kgを超えるとして関連規定を適用するか、(1)の方法による分析を行うかいずれかとすること。

 

別紙1-1 放射能濃度の簡易測定手順

1 使用可能な容器の種類

(1) 丸型V式容器(128mmφ×56mmHのプラスチック容器。以下「V5容器」という。)

(2) 土のう袋

(3) フレキシブルコンテナ

(4) 200Lドラム缶

(5) 2Lポリビン

2 事故由来廃棄物等を収納した容器の放射能濃度が1万Bq/kg、50万Bq/kg又は200万Bq/kgを下回っているかどうかの判別方法は、次のとおり。

1) 事故由来廃棄物等を収納した容器の表面の放射線量率を測定し、最も大きい値をA(μSv/h)とする。

2) 事故由来廃棄物等を収納した容器の放射能量B(Bq)を、下記式に測定日に応じた係数Xと測定した放射線量率A(μSv/h)を代入して求める。測定日及び容器の種類に応じた係数Xを表1に示す。

A×係数X=B

3) 事故由来廃棄物等を収納した容器の重量を測定する。これをC(kg)とする。

4) 事故由来廃棄物等を収納した容器の放射能濃度D(Bq/kg)を、下記式に事故由来廃棄物等を収納した袋等の放射能量B(Bq)と重量C(kg)とを代入して求める。

B÷C=D

 これより、事故由来廃棄物等を収納した容器の放射能濃度Dが1万Bq/kg、50万Bq/kg又は200万Bq/kgを下回っているかどうかが確認できる。

表1 除去物収納物の種類および測定日に応じた係数X

測定日

係数X

V5容器

土のう袋

フレキシブルコンテナ

200リットルドラム缶

2Lポリビン

令和4年01月 以内

4.8E+04

1.1E+06

1.5E+07

3.8E+06

1.4E+05

令和4年04月 以内

4.9E+04

1.1E+06

1.5E+07

3.8E+06

1.4E+05

令和4年07月 以内

4.9E+04

1.1E+06

1.5E+07

3.8E+06

1.4E+05

令和4年10月 以内

4.9E+04

1.1E+06

1.5E+07

3.8E+06

1.4E+05

令和5年01月 以内

4.9E+04

1.1E+06

1.5E+07

3.8E+06

1.4E+05

令和5年年04月 以内

4.9E+04

1.1E+06

1.5E+07

3.8E+06

1.4E+05

令和5年年07月 以内

4.9E+04

1.1E+06

1.5E+07

3.8E+06

1.4E+05

令和5年年10月 以内

4.9E+04

1.1E+06

1.5E+07

3.8E+06

1.4E+05

令和6年01月 以内

4.9E+04

1.1E+06

1.5E+07

3.8E+06

1.4E+05

令和6年04月 以内

5.0E+04

1.1E+06

1.5E+07

3.8E+06

1.4E+05

令和6年07月 以内

5.0E+04

1.1E+06

1.5E+07

3.8E+06

1.4E+05

令和6年10月 以内

5.0E+04

1.1E+06

1.5E+07

3.8E+06

1.4E+05

令和7年01月 以内

5.0E+04

1.1E+06

1.5E+07

3.8E+06

1.4E+05

令和7年04月 以内

5.0E+04

1.1E+06

1.5E+07

3.8E+06

1.4E+05

令和7年07月 以内

5.0E+04

1.1E+06

1.5E+07

3.8E+06

1.4E+05

令和7年10月 以内

5.0E+04

1.1E+06

1.5E+07

3.8E+06

1.4E+05

令和8年01月 以内

5.0E+04

1.1E+06

1.5E+07

3.8E+06

1.4E+05

※国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の協力を得て厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課電離放射線労働者健康対策室作成

 

別紙2 高濃度粉じん作業に該当するかの判断方法

1 目的

高濃度粉じん作業の判断は、事業者が、有効な呼吸用保護具、保護衣等を選定するために、作業中に高濃度粉じんの下限値である10mg/m3を超える粉じん濃度が発生しているかどうかを知るためのものであること。

2 基本的考え方

(1) 高濃度粉じんの下限値である10mg/m3を超えているかどうかを判断できればよく、厳密な測定ではなく、簡易な測定で足りること。

(2) 測定は、専門の測定業者に委託して実施することが望ましいこと。

3 測定の方法(並行測定を行う場合)

(1) 高濃度粉じん作業の判定は、作業中に、個人サンプラーを用いるか、作業者の近傍で、粉じん作業中に、原則としてデジタル粉じん計による相対濃度指示方法によること。

(2) 測定の方法は、以下によること。

ア 粉じん作業を実施している間、粉じん作業に従事する労働者の作業に支障を来さない程度に近い所でデジタル粉じん計(例:LD-5)により、2~3分間程度、相対濃度(cpm)の測定を行うこと。

イ アの相対濃度測定は、粉じん作業に従事する者の全員について行うことが望ましいが、同様の作業を数メートル以内で行う労働者が複数いる場合は、そのうちの代表者について行えば足りること。

ウ アの簡易測定の結果、最も高い相対濃度(cpm)を示した労働者について、作業に支障を来さない程度に近い所(風下)において、デジタル粉じん計とインハラブル粉じん濃度測定器を並行に設置し、10分以上の継続した時間で測定を行い、質量濃度変換係数を求めること。

① 粉じん濃度測定の対象粒径は、気中から鼻孔又は口を通って吸引されるインハラブル粉じん(吸引性粉じん、粒径100μm、50%cut)を測定対象とすること。

② インハラブル粉じんは、オープンフェイス型サンプラーを用い、捕集ろ紙の面速を18(cm/s)で測定すること。

③ 分粒装置の粒径と、測定位置以外については、作業環境測定基準第2条によること。

(3) ウの結果求められた質量濃度変換係数を用いて、アの相対濃度測定から粉じん濃度(mg/m3)を算定し、測定結果のうち最も高い値が10mg/m3を超えている場合は、同一の粉じん作業を行う労働者全員について、10mg/m3を超えていると判断すること。

4 測定方法(所定の質量濃度変換係数を使用する場合)

(1) 適用条件

この測定方法は、主に土壌を取り扱う場合のみに適用すること。落葉落枝、稲わら、牧草、上下水汚泥など有機物を多く含むものや、ガレキ、建築廃材等の土壌以外の粉じんが多く含まれるものを取り扱う場合には、3に定める測定方法によること。

(2) 測定点の設定

ア 高濃度粉じん作業の測定は、粉じん作業中に作業者の近傍で、原則としてデジタル粉じん計による相対濃度指示方法によって行うこと。測定位置は、粉じん濃度が最大になると考えられる発じん源の風下で、重機等の排気ガス等の影響を受けにくい位置とする。測定は、粉じんの発生すると考えられる作業内容ごとに行うこと。

イ 同一作業を行う作業者が複数いる場合には、代表して1名について測定を行うこと。

ウ 作業の邪魔にならず、測定者の安全が確保される範囲で、作業者になるべく近い位置で測定を行うこと。可能であれば、測定者がデジタル粉じん計を携行し、作業者に近い位置で測定を行うことが望ましいこと。また、作業の安全上問題がない場合は、作業者自身がLD-6Nを装着して測定を行う方法もあること。

(3) 測定時間

ア 測定時間は、濃度が最大となると考えらえる作業中の継続した10分間以上とすること。作業の1サイクルが数分程度の短時間の作業が繰り返し行われる場合は,作業が行われている時間を含む10分間以上の測定を行うこと。

イ 作業の1サイクルが10分から1時間程度までであれば作業1サイクル分の測定を行い、それより長い連続作業であれば作業の途中で10分程度の測定を数回行い、その最大値を測定結果とすること。

(4) 評価

アデジタル粉じん計により測定された相対濃度指示値(1分間当たりのカウント数。cpm。)に質量濃度換算係数を乗じて質量濃度を算出し、10mg/m3を超えているかどうかを判断すること。

イ 質量濃度換算係数について

この測定方法で使用する質量濃度換算係数については、0.15mg/m3/cpmとすること。ただし、この係数の使用に当たっては、次に掲げる事項に留意すること。

① この係数は、限られた測定結果に基づき設定されたものであり、今後の研究の進展により、適宜見直しを行う必要があるものであること。

② 本係数は、光散乱方式のデジタル粉じん計であるLD-5及びLD-6に適用することが想定されていること。

 

別紙3 労働者に対する特別教育

事故由来廃棄物等処分業務に従事する労働者に対する特別の教育は、学科教育及び実技教育により行うこと。

1 学科教育は、次の表の左欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、中欄に定める範囲について、右欄に定める時間以上実施すること。

科目

範囲

時間

事故由来廃棄物等に関する知識

① 事故由来廃棄物等の種類及び性状

30分

事故由来廃棄物等の処分の業務に係る作業の方法に関する知識

事故由来廃棄物等の破砕、選別、圧縮又は濃縮等(以下「破砕等」という。)の業務を行う者にあっては、次に掲げるもの

① 管理区域に関すること

② 事故由来廃棄物等の破砕等、運搬及び貯蔵の作業の方法及び順序

③ 事故由来廃棄物等によって汚染された設備の保守及び点検の作業の方法及び順序

④ 放射線測定の方法

⑤ 外部放射線による線量当量率及び空気中の放射性物質の濃度の監視の方法

⑥ 天井、床、壁、設備等の表面の汚染の状態の検査及び汚染の除去の方法

⑦ 身体等の汚染の状態の検査及び汚染の除去の方法保護具の性能及び使用方法

⑧ 異常な事態が発生した場合における応急の措置の方法

1時間30分

事故由来廃棄物等の焼却の業務を行う者にあっては、次に掲げるもの

① 管理区域に関すること

② 事故由来廃棄物等の焼却、運搬及び貯蔵の作業の方法及び順序

③ 事故由来廃棄物等によって汚染された設備の保守及び点検の作業の方法及び順序

④ 放射線測定の方法

⑤ 外部放射線による線量当量率及び空気中の放射性物質の濃度の監視の方法

⑥ 天井、床、壁、設備等の表面の汚染の状態の検査及び汚染の除去の方法

⑦ 身体等の汚染の状態の検査及び汚染の除去の方法保護具の性能及び使用方法

⑧ 異常な事態が発生した場合における応急の措置の方法

1時間30分

事故由来廃棄物等の埋立ての業務を行う者にあっては、次に掲げるもの

① 管理区域に関すること

② 事故由来廃棄物等の運搬、貯蔵及び埋立ての作業の方法及び順序

③ 事故由来廃棄物等によって汚染された設備の保守及び点検の作業の方法及び順序

④ 放射線測定の方法

⑤ 外部放射線による線量当量率及び空気中の放射性物質の濃度の監視の方法

⑥ 天井、床、壁、設備等の表面の汚染の状態の検査及び汚染の除去の方法

⑦ 身体等の汚染の状態の検査及び汚染の除去の方法保護具の性能及び使用方法

⑧ 異常な事態が発生した場合における応急の措置の方法

1時間30分

事故由来廃棄物等の処分の業務に係る作業に使用する設備の構造及び取扱いの方法に関する知識

事故由来廃棄物等の破砕等の業務を行う者にあっては、次に掲げるもの

破砕等設備、事故由来廃棄物等取扱施設の設備及びその他の設備の構造及び取扱いの方法

1時間

事故由来廃棄物等の焼却の業務を行う者にあっては、次に掲げるもの

焼却炉及びその他の設備の構造及び取扱いの方法

1時間

事故由来廃棄物等の埋立ての業務を行う者にあっては、次に掲げるもの

集排水設備、遮水工及びその他の設備の構造及び取扱いの方法

1時間

電離放射線の生体に与える影響及び被ばく線量の管理の方法に関する知識

① 電離放射線の種類及び性質

② 電離放射線が生体の細胞、組織、器官及び全身に与える影響

③ 被ばく限度及び被ばく線量測定の方法

④ 被ばく線量測定の結果の確認及び記録等の方法

1時間

関係法令

労働安全衛生法、労働安全衛生法施行令、労働安全衛生規則及び電離則中の関係条項

1時間

2 実技教育は、次の表の左欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、中欄に定める範囲について、右欄に定める時間以上実施すること。

事故由来廃棄物等の処分の業務に係る作業の方法及び使用する設備の取扱い

事故由来廃棄物等の破砕等の業務を行う者にあっては、次に掲げるもの

① 管理区域への立入り及び退去の手順

② 事故由来廃棄物等の破砕等、運搬及び貯蔵の作業

③ 事故由来廃棄物等によって汚染された設備の保守及び点検の作業

④ 放射線測定器の取扱い

⑤ 外部放射線による線量当量率及び空気中の放射性物質の濃度の監視

⑥ 天井、床、壁、設備等の表面の汚染の状態の検査及び汚染の除去

⑦ 身体等の汚染の状態の検査及び汚染の除去

⑧ 保護具の取扱い

⑨ 破砕等設備、事故由来廃棄物等取扱施設の設備及びその他の設備の取扱い

⑩ 異常な事態が発生した場合における応急の措置

2時間

事故由来廃棄物等の焼却の業務を行う者にあっては、次に掲げるもの

① 管理区域への立入り及び退去の手順

② 事故由来廃棄物等の焼却、運搬及び貯蔵の作業

③ 事故由来廃棄物等によって汚染された設備の保守及び点検の作業

④ 放射線測定器の取扱い

⑤ 外部放射線による線量当量率及び空気中の放射性物質の濃度の監視

⑥ 天井、床、壁、設備等の表面の汚染の状態の検査及び汚染の除去

⑦ 身体等の汚染の状態の検査及び汚染の除去

⑧ 保護具の取扱い

⑨ 焼却炉及びその他の設備の取扱い

⑩ 異常な事態が発生した場合における応急の措置異常な事態が発生した場合における応急の措置

2時間

事故由来廃棄物等の埋立ての業務を行う者にあっては、次に掲げるもの

① 管理区域への立入り及び退去の手順

② 事故由来廃棄物等の運搬、貯蔵及び埋立ての作業

③ 事故由来廃棄物等によって汚染された設備の保守及び点検の作業

④ 放射線測定器の取扱い

⑤ 外部放射線による線量当量率及び空気中の放射性物質の濃度の監視

⑥ 天井、床、壁、設備等の表面の汚染の状態の検査及び汚染の除去

⑦ 身体等の汚染の状態の検査及び汚染の除去

⑧ 保護具の取扱い

⑨ 集排水設備、遮水工及びその他の設備の取扱い

⑩ 異常な事態が発生した場合における応急の措置

2時間

 

別紙4 除染特別地域等の一覧

1 除染特別地域

・指定対象

旧警戒区域又は計画的避難区域の対象区域等

 

市町村数

指定地域

福島県

11

楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村及び飯舘村。並びに南相馬市、川俣町、川内村で警戒区域又は計画的避難区域であった地域

2 汚染状況重点調査地域

・指定対象

放射線量が0.23μSv/h以上の地域等

 

市町村数

指定地域

岩手県

3

一関市、奥州市及び平泉町の全域

宮城県

7

白石市、角田市、栗原市、七ヶ宿町、大河原町、丸森町、山元町の全域

福島県

31

いわき市、伊達市、西郷村、棚倉町、石川町、玉川村、平田村、浅川町、古殿町、広野町及び新地町の全域並びに南相馬市、川俣町及び川内村で警戒区域又は計画的避難区域であった地域を除く区域

茨城県

19

日立市、土浦市、龍ケ崎市、常総市、常陸太田市、高萩市、北茨城市、取手市、牛久市、つくば市、ひたちなか市、鹿嶋市、守谷市、稲敷市、つくばみらい市、東海村、美浦村、阿見町及び利根町の全域

栃木県

7

鹿沼市、日光市、大田原市、矢板市、那須塩原市、塩谷町及び那須町の全域

群馬県

8

桐生市、沼田市、渋川市、みどり市、下仁田町、高山村、東吾妻町及び川場村の全域

埼玉県

2

三郷市及び吉川市の全域

千葉県

9

松戸市、野田市、佐倉市、柏市、流山市、我孫子市、鎌ケ谷市、印西市及び白井市の全域

86

 

※環境省環境再生・資源循環局環境再生事業担当参事官室作成(令和5年3月)

 

別添2

○事故由来廃棄物等処分業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドラインの策定について

平成25年4月12日基発0412第3号

(環境省水・大気環境局長/復興庁統括官/内閣府原子力災害対策本部/原子力被災者生活支援チーム事務局長補佐あて厚生労働省労働基準局長通知)

労働安全衛生行政の運営につきましては、平素より格段の御理解、御協力をいただきお礼申し上げます。

さて、厚生労働省では、「電離放射線障害防止規則等の一部を改正する省令」(平成25年厚生労働省令第57号。以下「改正省令」という。)及び「事故由来廃棄物等処分業務特別教育規程」(平成25年厚生労働省告示第140号。以下「特別教育規程」という。)を本年7月1日から施行し、又は適用することとしたところです。

今般、除染の進展に伴い、事故由来放射性物質に汚染された廃棄物等の処分の業務が本格的に実施される見込みとなっており、当該業務に従事する労働者の放射線障害防止対策が必要であることから、改正省令及び特別教育規程を制定し、当該業務の性質に応じ、労働者の放射線障害を防止するために必要な措置を規定したものです。

また、事故由来放射性物質に汚染された廃棄物等の処分の業務における労働者の放射線障害防止対策をより一層的確に推進するため、電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号)に規定する措置やその他の事業者が講ずべき措置、及び労働安全衛生関係法令の中で重要なものを一体的に示すことを目的とした「事故由来廃棄物等処分業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドライン」(平成25年4月12日付け、基発0412第2号)を策定したところです。

つきましては、貴職におかれても、このガイドラインの趣旨を御理解の上、関係事業者等に対し周知等をお願い申し上げます。

 

「事故由来廃棄物等処分業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドライン」

 

別添3

○事故由来廃棄物等処分業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドラインの策定について

平成25年4月12日基発0412第4号

(岩手・宮城・山形・福島・茨城・栃木・群馬・千葉・東京・新潟・静岡県(都)知事あて厚生労働省労働基準局長通知)

<編注:以下別添2と同旨のため略>

 

別添4

○事故由来廃棄物等処分業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドラインの策定について

平成25年4月12日基発0412第5号

(別記の関係事業者団体の長あて厚生労働省労働基準局長通知)

<編注:以下別添2と同旨のため略>

別記

中央労働災害防止協会

建設業労働災害防止協会

陸上貨物運送事業労働災害防止協会

港湾貨物運送事業労働災害防止協会

林業・木材製造業労働災害防止協会

一般社団法人全国建設業協会

社団法人日本建設業連合会

公益社団法人全国産業廃棄物連合会

全国森林組合連合会

全国農業協同組合中央会

公益社団法人全日本トラック協会