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通達:有機溶剤中毒予防規則等に基づく発散防止抑制措置特例実施許可等について

 

有機溶剤中毒予防規則等に基づく発散防止抑制措置特例実施許可等について

平成24年6月29日基発0629第3号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

 

有機溶剤中毒予防規則第13条の3第1項、鉛中毒予防規則第23条の3第1項及び特定化学物質障害予防規則第6条の3第1項の規定に基づく所轄労働基準監督署長の許可並びに有機溶剤中毒予防規則第13条の3第7項、鉛中毒予防規則第23条の3第7項及び特定化学物質障害予防規則第6条の3第7項の規定に基づく同許可の取消しについては、平成24年5月17日付け基発0517第2号「有機溶剤中毒予防規則等の一部を改正する省令の施行について」の記のⅠの第2の2(2)、記のⅡの第2の2(2)及び記のⅢの第2の2(2)において別途定める要領により処理するよう指示していたが、今般、別添のとおり「発散防止抑制措置特例実施許可等要領」を定めたので、その適切な処理に遺憾のないようにされたい。

なお、当該許可に係る申請については、平成24年5月17日付け基発0517第2号「有機溶剤中毒予防規則等の一部を改正する省令の施行について」の記のⅠの第2の2(2)、記のⅡの第2の2(2)及び記のⅢの第2の2(2)において、当分の間、本省に設置する専門家検討会で審査を行うこととしていたところであるが、その事務処理については別途通知することとしていることを申し添える。

 

(別添)

発散防止抑制措置特例実施許可等要領

1 許可対象

許可の対象は、有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号。以下「有機則」という。)第13条の3第1項、鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第37号。以下「鉛則」という。)第23条の3第1項又は特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)第6条の3第1項の発散防止抑制措置(有機溶剤の蒸気、鉛等若しくは焼結鉱等の粉じん、又は特定化学物質第二類物質(以下単に「第二類物質」という。)のガス、蒸気若しくは粉じんの発散を防止し、又は抑制する設備又は装置を設置することその他の措置をいう。)とする。

なお、同一作業場で複数の設備又は装置を設ける場合は、まとめて一つの発散防止抑制措置として取り扱うこと。ただし、発散源ごとに換気装置を設ける場合であって、これら換気装置の気流が互いに影響を与えない場合など、当該複数の設備又は装置が互いに影響を与えないことが明らかな場合には、設備又は装置ごとに発散防止抑制措置の許可の対象として取り扱うこととして差し支えない。

2 申請書類

許可を受けようとする者から次の書類を所轄労働基準監督署長に提出させること。

(1) 発散防止抑制措置特例実施許可申請書(有機則様式第5号、鉛則様式第1号の2、特化則様式第1号の2)(複数の規則に基づき講ずる発散防止抑制措置が同一のものである場合には規則ごとの申請書とすること。)

(2) 対象作業場(申請に係る発散防止抑制措置を講ずる全ての作業場をいう。以下同じ。)の見取図

(3) 対象作業場において発散防止抑制措置を講じた場合の有機則第13条の2第1項、鉛則第23条の2又は特化則第6条の2第1項の規定による有機溶剤の濃度、鉛等若しくは焼結鉱等の粉じんの濃度、又は第二類物質のガス、蒸気若しくは粉じんの濃度の測定(以下「特例作業環境測定」という。)の結果及び当該測定の結果の評価を示した測定結果報告書(以下「特例作業環境測定結果報告書」という。)の写し

(4) 有機則第13条の2第1項第1号イ及びロ、鉛則第23条の2第1号及び第2号、又は特化則第6条の2第1項第1号イ及びロの確認結果を示す書面(写真、記録等を含む。)

(5) 申請に係る発散防止抑制措置の内容、及び当該措置が有機溶剤の蒸気、鉛等若しくは焼結鉱等の粉じん、又は第二類物質のガス、蒸気若しくは粉じんの発散の防止又は抑制について有効である理由を記載した書面(写真、記録等を含む。)

(6) その他所轄労働基準監督署長が必要と認めるもの

3 許可基準

申請書類等により申請に係る発散防止抑制措置が次の事項のいずれにも適合することが確認できる場合は、当該発散防止抑制措置を許可するものとする。

(1) 対象作業場の特例作業環境測定及びその結果等については、次の要件を満たしていること。

ア 特例作業環境測定は、作業環境測定士が作業環境測定基準(昭和51年労働省告示第46号)に従って実施したものであること。

イ 当該特例作業環境測定の結果は、作業環境評価基準(昭和63年労働省告示第79号)に従って評価され、当該評価が全て第一管理区分に区分されていること。なお、当該特例作業環境測定は、第一種有機溶剤若しくは第二種有機溶剤、鉛等若しくは焼結鉱等又は第二類物質であって、対象作業場で製造され、又は取り扱われるもの全てについて行うものであること。

ウ 提出された特例作業環境測定結果報告書は、モデル様式(平成8年2月20日付け基発第72号「作業環境測定の記録のモデル様式の改正について」により定められたモデル様式をいう。以下同じ。)等により必要な事項が記載されていること。

エ 当該特例作業環境測定は、申請前3月以内に実施されたものであること。

(2) 対象作業場の有機溶剤業務、鉛業務又は第二類物質を製造し、若しくは取り扱う業務において、特例作業環境測定結果に記載された有機溶剤、鉛等若しくは焼結鉱等又は第二類物質を除く第一種有機溶剤及び第二種有機溶剤に係る有機溶剤業務、鉛業務又は特定化学物質第一類物質若しくは第二類物質を製造し、又は取り扱う業務がないこと。

(3) 申請に係る発散防止抑制措置の許可により適用が除外される局所排気装置等が、四アルキル鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第38号)、粉じん障害防止規則(昭和54年労働省令第18号)又は石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)の規定により設けられたものでないこと。

(4) 申請に係る発散防止抑制措置の全てについて、有機則第13条の2第1項第1号イ及びロ、鉛則第23条の2第1号及び第2号、並びに特化則第6条の2第1項第1号イ及びロの事項(以下「確認事項」という。)として次の事項が(5)の者により確認されていること。

イ 発散防止抑制措置を講ずることにより、有機溶剤の蒸気、鉛等若しくは焼結鉱等の粉じん又は第二類物質のガス、蒸気若しくは粉じんが作業場に拡散しないこと(特例作業環境測定その他必要な測定等の方法で測定することとする。)。

ロ 有機溶剤又は第二類物質の蒸気を分解等することを内容とする発散防止抑制措置を講ずることにより生じる生成物の爆発等により、労働者に危険を及ぼし、又は当該生成物へのばく露により労働者の健康障害を生ずるおそれがないこと。

また、上記生成物の危険有害性等の評価についてGHS分類、日本産業衛生学会、ACGIH等のばく露限界等から合理的に判断されたものであること、及び当該評価に基づき危険及び健康障害を防止するため必要な措置が講じられていること。

(5) 申請に係る発散防止抑制措置に係る確認事項の全てについて、平成24年5月17日付け基発0517第2号「有機溶剤中毒予防規則等の一部を改正する省令の施行について」の記のⅠの第2の1(2)に掲げた者、記のⅡの第2の1(2)に掲げた者又は記のⅢの第2の1(2)に掲げた者に確認を行わせていること。

4 申請等に係る指導事項

(1) 申請に当たり、次の事項について確認し、必要な指導を行うこと。

ア 対象作業場に、申請に係る発散防止抑制措置を講じた後も設置される局所排気装置等があるときは、当該局所排気装置等について計画届の提出、定期自主検査、制御風速の設定等が労働安全衛生法関係法令に定めるところにより行われていること。

イ 特例作業環境測定を行った作業環境測定機関が、測定対象物質の種類に応じ、社団法人日本作業環境測定協会が実施する「総合精度管理事業」に参加していることが望ましいこと。

(2) 許可に当たり、次の事項について指導すること。

ア 事業者は、許可作業場について、有機則第28条第2項の作業環境測定の結果の評価が第一管理区分でなかったとき及び第一管理区分を維持できないおそれがあるときは有機則第13条の3第5項の規定に基づき、鉛則第52条第1項の作業環境測定の結果の評価が第一管理区分でなかったとき及び第一管理区分を維持できないおそれがあるときは鉛則第23条の3第5項の規定に基づき、又は特化則第36条第1項の作業環境測定の結果の評価が第一管理区分でなかったとき及び第一管理区分を維持できないおそれがあるときは特化則第6条の3第5項の規定に基づき、直ちに、次の措置を講じなければならないこと。

なお、第一管理区分を維持できないおそれがあるときとは、作業環境測定の結果の評価が第一管理区分ではあるが濃度の大幅な上昇が見られ、第一評価値(作業環境評価基準第3条に定めるもの)が管理濃度に近い値となったとき、又は作業環境測定の結果によらず、発散防止抑制措置として設置された設備等のレイアウトや、有機溶剤、鉛等若しくは焼結鉱等又は第二類物質の消費量に大幅な変更があったとき等をいうこと(レイアウトの大幅な変更には、設備等の位置を変更することにより発散防止抑制措置として設置された換気装置の気流が阻害される場合等が、消費量の大幅な変更には、発散防止抑制措置の能力を超える消費量の増加等が含まれる。)。

(ア) 様式第1号にモデル様式の作業環境測定結果報告書(作業環境測定結果記録表を含む。以下同じ。)の写しを添付して、所轄労働基準監督署長に報告すること。

なお、許可作業場において、複数の作業環境測定を行った場合であって、そのうち一以上の作業環境測定の結果の評価が第一管理区分でなかったときは、全ての作業環境測定の結果について報告すること。

(イ) 許可作業場について、当該作業場の管理区分が第一管理区分となるよう、施設、設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、その結果に基づき、施設又は設備の設置若しくは整備、作業工程又は作業方法の改善その他作業環境を改善するため必要な措置を講ずること。

(ウ) 許可作業場について、労働者に有効な呼吸用保護具を使用させること。

イ アの(イ)の措置を講じたときは、有機則第13条の3第6項、鉛則第23条の3第6項又は特化則第6条の3第6項の規定に基づき、その効果を確認するため、許可作業場について作業環境測定を行い、様式第1号にモデル様式の作業環境測定結果報告書の写しを添付して、直ちに、所轄労働基準監督署長に報告しなければならないこと。

ウ イの作業環境測定の結果の評価が第一管理区分でないときは、有機則第13条の3第7項、鉛則第23条の3第7項又は特化則第6条の3第7項の規定に基づき当該許可が取り消されることから、直ちに、当該許可に係る発散防止抑制措置を止め、有機則第5条、鉛則第5条から第13条まで及び第19条又は特化則第4条第3項及び第5条第1項の規定により局所排気装置等を設置しなければならないこと。

なお、許可作業場に有機則第18条の3第1項の規定に基づく所轄労働基準監督署長の許可(以下「局所排気装置特例稼働許可」という。)を受けている局所排気装置が設置されている場合には、有機則第18条の3第4項により所轄労働基準監督署長に報告しなければならないこと。また、有機則第18条の3第6項により局所排気装置特例稼働許可が取り消されることから、当該局所排気装置の制御風速を当該許可を受ける前の制御風速に戻さなければならないこと。

エ 有機則第13条の3第4項、鉛則第23条の3第4項及び特化則第6条の3第4項の規定に基づき、事業者は、2(1)の申請書及び(2)の作業場の見取図に記載された事項その他発散防止抑制措置の内容に変更が生じたときは、遅滞なく様式第2号によりその旨を所轄労働基準監督署長に報告しなければならないこと。

オ エの変更により第一管理区分を維持できないおそれがあるときは、有機則第13条の3第5項、鉛則第23条の3第5項又は特化則第6条の3第5項の第一管理区分を維持できないおそれがある場合に該当することから、直ちに、アの(ア)から(ウ)までの措置を講じなければならないこと。なお、エの変更の際に作業環境測定に準じた測定を行い、当該測定の結果第一管理区分となった場合には、「第一管理区分を維持できないおそれ」には当たらないことから、上記(ア)から(ウ)までの措置を講ずる必要はないこと。

カ 許可作業場を常に第一管理区分に維持するため、リアルタイムモニタリング等により確認を行うことが望ましいこと。

5 報告に伴う措置

有機則第13条の3第4項、第5項若しくは第6項、鉛則第23条の3第4項、第5項若しくは第6項又は特化則第6条の3第4項、第5項若しくは第6項の報告を受けたときは、次のとおり処理すること。

(1) 有機則第13条の3第4項、鉛則第23条の3第4項又は特化則第6条の3第4項の報告を受けた場合には、第一管理区分が維持できないおそれがないか確認するよう指導するとともに、以下につき指導すること。

ア 有機溶剤の濃度について第一管理区分を維持できないおそれがあるときは有機則第13条の3第5項の規定に基づき、4の(2)のアの(ア)から(ウ)の措置を講じなければならないこと。

イ 鉛の濃度について第一管理区分を維持できないそれがあるときは鉛則第23条の3第5項の規定に基づき、4の(2)のアの(ア)から(ウ)の措置を講じなければならないこと。

ウ 第二類物質のガス、蒸気又は粉じんの濃度について第一管理区分を維持できないおそれがあるときは特化則第6条の3第5項の規定に基づき、4の(2)のアの(ア)から(ウ)の措置を講じなければならないこと。

(2) 有機則第13条の3第5項、鉛則第23の3条第5項又は特化則第6条の3第5項の報告を受けたときは、モデル様式により所要事項が記されている作業環境測定結果報告書が添付されていることを確認するとともに、報告の根拠となる省令の別により、以下のいずれかの措置を講じるよう指導すること。

ア 有機則第13条の3第5項第2号の規定による作業環境改善に係る措置を講じなければならないこと。当該措置の効果を確認するため、有機則第13条の3第6項の規定による報告をしなければならないこと。また、有機則第13条の3第5項第3号の規定による有効な呼吸用保護具の使用について措置を講じなければならないこと。

イ 鉛則第23条の3第5項第2号の規定による作業環境改善に係る措置を講じさせなければならないこと。当該措置の効果を確認するため、鉛則第23条の3第6項の規定による報告をしなければならないこと。また、鉛則第23条の3第5項第3号の規定による有効な呼吸用保護具の使用について措置を講じなければならないこと。

ウ 特化則第6条の3第5項第2号の規定による作業環境改善に係る措置を講じさせなければならないこと。当該措置の効果を確認するため、特化則第6条の3第6項の規定による報告をしなければならないこと。また、特化則第6条の3第5項第3号の規定による有効な呼吸用保護具の使用について措置を講じなければならないこと。

(3) 有機則第13条の3第6項、鉛則第23条第6項又は特化則第6条の3第6項の報告を受けたときは、モデル様式により所要事項が記されている作業環境測定結果報告書が添付されていることを確認すること。この場合において、6の許可取消基準に該当するときは、遅滞なく、当該許可を取り消すこと。

6 許可取消基準

監督指導、個別指導、報告等により、当該許可に係る発散防止抑制措置について次のいずれかに該当すると認めた場合は、遅滞なく当該許可を取り消すこと。

(1) 作業環境測定の結果の評価について報告を行わなかった場合で、次のいずれかに該当するとき

ア 有機則第13条の3第5項第1号、鉛則第23条の3第5項第1号又は特化則第6条の3第5項第1号の報告が行われていないことが判明し、督促を行ったにもかかわらず、所定の期日までに報告が行われなかったとき

イ 有機則第13条の3第6項、鉛則第23条の3第6項又は特化則第6条の3第6項の報告が行われていないことが判明し、督促を行ったにもかかわらず、所定の期日までに報告が行われなかったとき

(2) 許可作業場についての有機則第13条の3第6項、鉛則第23条第6項又は特化則第6条の3第6項の作業環境測定の結果の評価が第一管理区分でなかったとき

(3) 許可作業場についての作業環境測定の結果が第一管理区分を維持できないおそれがある次のいずれかに該当すると認めたとき(許可作業場の作業環境測定に準じた測定の結果の評価が第一管理区分であることを事業者が示した場合を除く。)

ア 許可作業場について、有機則第28条第2項の作業環境測定の結果の評価が第一管理区分でなかったとき及び第一管理区分を維持できないおそれがあるとき(有機則第13条の3第4項の変更により第一管理区分を維持できないおそれがあると認めた場合を含む。)であって有機則第13条の3第5項第2号の規定に基づく作業環境を改善するための措置が講じられていないことが判明したとき

イ 鉛則第52条第1項の作業環境測定の結果の評価が第一管理区分でなかったとき及び第一管理区分を維持できないおそれがあるとき(鉛則第23条の3第4項の変更により第一管理区分を維持できないおそれがあると認めた場合を含む。)であって鉛則第23条の3第5項第2号の規定に基づく作業環境を改善するための措置が講じられていないことが判明したとき

ウ 特化則第36条第1項の作業環境測定の結果の評価が第一管理区分でなかったとき及び第一管理区分を維持できないおそれがあるとき(特化則第6条の3第4項の変更により第一管理区分を維持できないおそれがあると認めた場合を含む。)であって特化則第6条の3第5項第2号の規定に基づく作業環境を改善するための措置が講じられていないことが判明したとき

エ 事業場へ立ち入った際に、許可作業場についての作業環境測定の結果が第一管理区分を維持できないおそれがあると認めたとき

オ その他、許可作業場の作業環境が不適切であると認められるとき