◆トップページに移動 │ ★目次のページに移動 │ ※文字列検索は Ctrl+Fキー
雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項の改正について
平成24年6月11日基発0611第1号
(別記 事業者及び関係団体の長あて厚生労働省労働基準局長通知)
雇用管理に関する個人情報のうち健康診断の結果、病歴、その他の健康に関する情報(以下「健康情報」という。)の取扱いについては、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)制定時の国会の附帯決議において、医療分野における個人情報は特に適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要があると指摘されたこと等を踏まえ、個人情報の保護に関する法律第8条の規定に基づき制定された「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針」(平成16年厚生労働省告示第259号。以下「指針」という。)に定めるものに加えて事業者が留意すべき事項を「雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項について」(平成16年10月29日付け基発1029006号。以下「通達」という。)で定めています。
今般、「個人情報保護に関するガイドラインの共通化について」(平成20年7月25日付け個人情報保護関係省庁連絡会議申し合わせ。以下「申し合わせ」という。)を踏まえ、指針について、内閣府が申し合わせで示した標準的ガイドラインの構成に沿った内容とする等の改正が行われ、平成24年5月14日に、「雇用管理分野における個人情報保護に関するガイドライン」(平成24年厚生労働省告示第357号)が公布され、平成24年7月1日から適用されることとなりました。
本改正を踏まえ、通達の別紙「雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項」について、別添のとおり、改正を行うとともに(変更部分については、参考「雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項についての新旧対照表」をご覧下さい。)、新たな留意事項を追加しました。また、これに基づき、事業場において健康情報の適正な取扱いが行われるよう、貴下会員その他関係者等に対する周知をお願いいたします。
別記
(事業者団体)
一般社団法人日本経済団体連合会会長
東京商工会議所会頭
日本商工会議所会頭
全国中小企業団体中央会会長
一般社団法人全国銀行協会会長
一般社団法人全国地方銀行協会会長
一般社団法人信託協会会長
一般社団法人全国信用金庫協会会長
社団法人生命保険協会会長
日本証券業協会会長
一般社団法人日本損害保険協会会長
政府関係法人連絡協議会専務理事
一般社団法人日本在外企業協会会長
石油連盟会長
石油化学工業協会会長
日本麻紡績協会会長
日本ゴム工業会会長
一般社団法人日本化学工業協会会長
日本ソーダ工業会会長
日本化学繊維協会会長
一般社団法人日本ガス協会会長
日本鉱業協会会長
一般財団法人石炭エネルギーセンター会長
電気事業連合会会長
電線工業経営者連盟理事
一般社団法人情報通信エンジニアリング協会会長
一般社団法人日本機械工業連合会会長
一般社団法人日本産業機械工業会会長
一般社団法人日本自動車工業会会長
一般社団法人日本ベアリング工業会会長
一般社団法人日本伸銅協会会長
日本紡績協会会長
日本羊毛紡績会会長
一般社団法人JATI協会会長
せんい強化セメント板協会会長
一般社団法人日本船主協会会長
一般社団法人日本造船工業会会長
電機・電子・情報通信産業経営者連盟理事長
一般社団法人日本民営鉄道協会会長
一般社団法人日本民間放送連盟会長
日本肥料アンモニア協会会長
全国農業協同組合連合会会長
社団法人大日本水産会会長
日本醤油協会会長
ビール酒造組合会長
日本火薬工業会会長
一般社団法人日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会会長
社団法人日本中小型造船工業会会長
社団法人全国火薬類保安協会会長
公益社団法人日本洗浄技能開発協会理事長
一般社団法人日本鉄道車輌工業会会長
日本製紙連合会会長
全国段ボール工業組合連合会理事長
全日本紙製品工業組合会長
全日本紙器段ボール箱工業組合連合会会長
社団法人全国建築コンクリートブロック工業会会長
全国生コンクリート工業組合連合会会長
一般社団法人日本金属プレス工業協会会長
一般社団法人日本鍛造協会会長
一般社団法人日本鉄鋼連盟会長
社団法人セメント協会会長
社団法人日本砕石協会会長
社団法人日本砂利協会会長
社団法人日本建設業団体連合会会長
一般社団法人全国建設業協会会長
社団法人全国中小建設業協会会長
社団法人全国中小建築工事業団体連合会会長
全国基礎工業協同組合連合会会長
一般社団法人日本道路建設業協会会長
一般財団法人建設業振興基金 理事長
社団法人日本埋立浚渫協会会長
一般社団法人日本電設工業協会会長
一般社団法人日本空調衛生工事業協会会長
全国管工事業協同組合連合会会長
一般社団法人日本塗装工業会会長
一般社団法人日本左官業組合連合会会長
社団法人日本鳶工業連合会会長
社団法人全国建設専門工事業団体連合会会長
社団法人プレハブ建築協会会長
社団法人プレストレストコンクリート建設業協会会長
全国建設業協同組合連合会会長
一般社団法人日本橋梁建設協会会長
社団法人全国クレーン建設業協会会長
一般社団法人日本造園建設業協会会長
社団法人日本建設大工工事業協会会長
一般社団法人日本建設業経営協会会長
社団法人日本建設躯体工事業団体連合会会長
社団法人日本造園組合連合会会長
公益社団法人全日本トラック協会会長
一般社団法人日本港運協会会長
一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会会長
全国地区通運協会会長
全国森林組合連合会会長
全国素材生産業協同組合連合会会長
社団法人全国木材組合連合会会長
一般社団法人日本新聞協会会長
日本百貨店協会会長
日本チェーンストア協会会長
日本生活協同組合連合会会長
公益社団法人全国ビルメンテナンス協会会長
公益社団法人全国都市清掃会議会長
社団法人全国警備業協会会長
社団法人日本ゴルフ場事業協会理事長
社団法人日本鋳造協会会長
(関係者団体)
中央労働災害防止協会会長
建設業労働災害防止協会会長
林業・木材製造業労働災害防止協会会長
陸上貨物運送事業労働災害防止協会会長
鉱業労働災害防止協会会長
港湾貨物運送事業労働災害防止協会会長
独立行政法人労働者健康福祉機構理事長
社団法人日本医師会長
社団法人日本歯科医師会会長
社団法人日本作業環境測定協会会長
公益社団法人全国労働衛生団体連合会会長
財団法人産業医学振興財団理事長
学校法人産業医科大学理事長
社団法人日本ボイラ協会会長
一般社団法人日本クレーン協会会長
一般社団法人日本化学物質安全・情報センター会長
公益社団法人ボイラ・クレーン安全協会会長
公益財団法人日本小型貫流ボイラー協会会長
社団法人仮設工業会会長
公益社団法人産業安全技術協会会長
社団法人日本ボイラ整備据付協会会長
財団法人安全衛生技術試験協会理事長
公益社団法人建設荷役車両安全技術協会会長
社団法人全国登録教習機関協会会長
社団法人全国労働基準関係団体連合会会長
一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会会長
社団法人合板仮設安全技術協会会長
財団法人全国安全会議議長
社団法人全国建設業労災互助会理事長
一般社団法人日本港湾福利厚生協会会長
社団法人日本産業衛生学会理事長
財団法人日本中小企業福祉事業財団理事長
公益社団法人日本保安用品協会会長
財団法人建設業福祉共済団理事長
社団法人全国労働保険事務組合連合会会長
全国社会保険労務士会連合会会長
公益財団法人健康・体力づくり事業財団理事長
財団法人全日本交通安全協会会長
財団法人日本消防協会会長
社団法人日本産業カウンセラー協会会長
財団法人21世紀職業財団会長
財団法人港湾労働安定協会会長
一般社団法人日本人材派遣協会会長
中央職業能力開発協会会長
[別添]
雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項
第1 趣旨
この留意事項は、雇用管理分野における個人情報保護に関するガイドライン(平成24年厚生労働省告示第357号。以下「ガイドライン」という。)に定める雇用管理に関する個人情報のうち健康情報の取扱いについて、ガイドラインに定める措置の実施等に加えて事業者が留意すべき事項を定めるものである。
第2 用語の定義
個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「法」という。)第2条及びガイドライン第2に定めるもののほか、この留意事項において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
1 健康情報
ガイドラインに定める雇用管理に関する個人情報のうち、健康診断の結果、病歴、その他の健康に関するものをいう。なお、健康情報に該当するものの例として、次に掲げるものが挙げられる。
(1) 産業医が労働者の健康管理等を通じて得た情報
(2) 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「安衛法」という。)第65条の2第1項の規定に基づき、事業者が作業環境測定の結果の評価に基づいて、労働者の健康を保持するため必要があると認めたときに実施した健康診断の結果
(3) 安衛法第66条第1項から第4項までの規定に基づき事業者が実施した健康診断の結果並びに安衛法第66条第5項及び第66条の2の規定に基づき労働者から提出された健康診断の結果
(4) 安衛法第66条の4及び第66条の5第1項の規定に基づき事業者が医師等から聴取した意見及び事業者が講じた健康診断実施後の措置の内容
(5) 安衛法第66条の7の規定に基づき、事業者が実施した保健指導の内容
(6) 安衛法第69条第1項の規定に基づく健康保持増進措置(THP:トータル・ヘルスプロモーション・プラン)を通じて事業者が取得した健康測定の結果、健康指導の内容等
(7) 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)第27条の規定に基づき、労働者から提出された二次健康診断の結果
(8) 健康保険組合等が実施した健康診断等の事業を通じて事業者が取得した情報
(9) 受診記録、診断名等の療養の給付に関する情報
(10) 事業者が医療機関から取得した診断書等の診療に関する情報
(11) 労働者から欠勤の際に提出された疾病に関する情報
(12) (1)から(11)までに掲げるもののほか、任意に労働者等から提供された本人の病歴、健康診断の結果、その他の健康に関する情報
2 産業保健業務従事者
産業医、保健師等、衛生管理者その他の労働者の健康管理に関する業務に従事する者をいう。
第3 健康情報の取扱いについて事業者が留意すべき事項
1 法第23条第1項に規定する本人の同意に関する事項(ガイドライン第7の1、2及び4関係)
(1) 事業者が、労働者から提出された診断書の内容以外の情報について医療機関から健康情報を収集する必要がある場合、事業者から求められた情報を医療機関が提供することは、法第23条の第三者提供に該当するため、医療機関は労働者から同意を得る必要がある。この場合においても、事業者は、あらかじめこれらの情報を取得する目的を労働者に明らかにして承諾を得るとともに、必要に応じ、これらの情報は労働者本人から提出を受けることが望ましい。
(2) 安衛法第66条第1項から第4項までの規定に基づく健康診断については、同条において事業者は「医師(同条第3項の歯科医師を含む。以下、この項において同じ。)による健康診断」を行わなければならないとされている。事業者は、健康診断の実施に当たって、医療機関に健康診断の実施を委託することにより当該医療機関の医師に労働者の健康診断を実施させる場合がある。その際、事業者は、健康診断の実施に必要な労働者の個人データを医療機関に提供する。また、安衛法第66条の3、第66条の4及び第66条の6の規定において、事業者は、健康診断の結果の記録、当該結果に係る医師等からの意見聴取、当該結果の労働者に対する通知が義務付けられている。事業者がこれらの義務を遂行するためには、健康診断の結果が医療機関から事業者に報告(提供)されなければならない。これらのことから、事業者が医療機関にこれらの健康診断を委託するために必要な労働者の個人データを医療機関に提供し、また、医療機関が委託元である事業者に対して労働者の健康診断の結果を報告(提供)することは、それぞれ安衛法に基づく事業者の健康診断実施義務を遂行する行為であり、法第23条第1項第1号の「法令に基づく場合」に該当し、本人の同意を得なくても第三者提供の制限は受けない。
(3) また、事業者が、健康保険組合等に対して労働者の健康情報の提供を求める場合、健康保険組合等は当該事業者に当該労働者の健康情報を提供することを目的として取得していないため、法第23条の第三者提供の制限に該当し、健康保険組合等は労働者(被保険者)の同意を得る必要がある。この場合においても、事業者は、あらかじめこれらの情報を取得する目的を労働者に明らかにして承諾を得るとともに、必要に応じ、これらの情報は労働者本人から提出を受けることが望ましい。
ただし、事業者が健康保険組合等と共同で健康診断を実施する場合等において、法第23条第4項第3号の要件を満たしている場合は、当該共同利用者は第三者に該当しないため、当該労働者の同意を得る必要はない。
(4) 高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)第27条第2項及び第3項の規定により、医療保険者は、加入者を使用している事業者又は使用していた事業者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、安衛法その他の法令に基づき、その事業者が保存している加入者に係る健康診断に関する記録の写しを提供するよう求めることができ、健康診断に関する記録の写しの提供を求められた事業者は厚生労働省令で定めるところにより、その記録の写しを提供しなければならないとされている。このことから、特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準(平成19年厚生労働省令第157号)第2条に定める項目に係る記録の写しについては、医療保険者からの提供の求めがあった場合に事業者が当該記録の写しを提供することは、法令に基づくものであるので、法第23条第1項第1号に該当し、本人の同意なく提供できる。
なお、事業者が保存している加入者に係る健康診断に関する記録のうち、特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準第2条に定める項目に含まれないもの(業務歴、視力、聴力、胸部エックス線検査、喀痰検査)については、労働者に対して定期健康診断の結果の情報を医療保険者に提供する旨を明示し、同意を得ることが必要となるが、同意については、定期健康診断実施時の受診案内等への記載や健診会場での掲示等黙示によるものが含まれる。
2 法第20条に規定する安全管理措置及び法第21条に規定する従業者の監督に関する事項(ガイドライン第6の2及び3関係)
(1) 事業者は、健康診断の結果のうち診断名、検査値等のいわゆる生データの取扱いについては、その利用に当たって医学的知識に基づく加工・判断等を要することがあることから、産業医や保健師等の産業保健業務従事者に行わせることが望ましい。
(2) 事業者は、産業保健業務従事者以外の者に健康情報を取り扱わせる時は、これらの者が取り扱う健康情報が利用目的の達成に必要な範囲内に限定されるよう、必要に応じて、産業保健業務従事者に健康情報を適切に加工させた上で提供する等の措置を講ずること。
3 法第31条に規定する苦情の処理に関する事項(ガイドライン第9関係)
ガイドライン第9に定める苦情を処理するための窓口については、健康情報に係る苦情に適切に対応するため、必要に応じて産業保健業務従事者と連携を図ることができる体制を整備しておくことが望ましい。
4 その他事業者が雇用管理に関する個人情報の適切な取扱いを確保するための措置を行うに当たって配慮すべき事項
(1) 事業者は、健康診断等の実施を医療機関に委託することが多いことから、健康情報についても外部とやり取りをする機会が多いことや、事業場内においても健康情報を産業保健業務従事者以外の者に取り扱わせる場合があること等に鑑み、あらかじめ、ガイドライン第8に掲げるもののほか、以下に掲げる事項について事業場内の規程等として定め、これを労働者に周知するとともに、関係者に当該規程に従って取り扱わせることが望ましい。
(a) 健康情報の利用目的に関すること
(b) 健康情報に係る安全管理体制に関すること
(c) 健康情報を取り扱う者及びその権限並びに取り扱う健康情報の範囲に関すること
(d) 健康情報の開示、訂正、追加又は削除の方法(廃棄に関するものを含む。)に関すること
(e) 健康情報の取扱いに関する苦情の処理に関すること
(2) 事業者は、(1)の規程等を定めるときは、衛生委員会等において審議を行った上で、ガイドライン第10の1に定めるところにより労働組合等に通知し、必要に応じて協議を行うことが望ましい。
(3) 事業者は、安衛法第66条第1項から第4項までの規定に基づき行われた健康診断を受けた労働者等に対し、遅滞なく、その結果を通知すること。
(4) HIV感染症やB型肝炎等の職場において感染したり、蔓延したりする可能性が低い感染症に関する情報や、色覚検査等の遺伝情報については、職業上の特別な必要性がある場合を除き、事業者は、労働者等から取得すべきでない。
(5) 労働者の健康情報は、医療機関において「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」に基づき取り扱われ、また、健康保険組合において「健康保険組合等における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」に基づき取り扱われることから、事業者は、特に安全管理措置等について、両ガイドラインの内容についても留意することが期待されている。
第4 個人情報取扱事業者以外の事業者による健康情報の取扱い
個人情報取扱事業者以外の事業者であって健康情報を取り扱う者は、健康情報が特に適正な取扱いの厳格な実施を確保すべきものであることに十分留意し、第3に準じてその適正な取扱いの確保に努めること。
[参考]<平成16年10月29日付け基発1029006号の改正新旧対照表:編注:略>