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通達:化学物質等の危険性又は有害性等の表示又は通知等の促進に関する指針について

 

化学物質等の危険性又は有害性等の表示又は通知等の促進に関する指針について

平成24年3月29日基発0329第11号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

 

化学物質等の危険有害性等の表示に関する指針(平成4年労働省告示第60号。以下「旧指針」という。)は、化学物質等の危険性又は有害性等の表示又は通知等の促進に関する指針(平成24年3月16日厚生労働省告示第133号。以下「指針」という。)により改正され、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「則」という。)第24条の16に基づく指針として、平成24年4月1日から適用することとされたところである。

ついては、下記事項に留意の上、あらゆる機会を捉え事業者及び関係事業者団体等に対して、指針の普及を図るとともにその運用に遺憾のないようにされたい。

また、関係業界団体等に対して別添のとおり要請を行ったので、念のため申し添える。

なお、「化学物質等の危険有害性等の表示に関する指針について」(平成4年7月1日付け基発第394号)、「化学物質等の危険有害表示制度の推進について」(平成4年7月1日付け基発第394号の2)、「「化学物質等の危険有害性試験基準」及び「化学物質等の危険有害性評価基準」の制定について」(平成4年7月1日付け基発第395号)及び「化学物質等の危険有害性等の表示に関する指針の運用について」(平成5年1月21日付け基発第43号)は、本通達をもって廃止する。

 

第1 改正の要点

化学物質等(化学物質及び化学物質の混合物をいう。)を取り扱う作業において、その物質の危険性や有害性を知らずに作業を行っていたことによる爆発、火災、中毒等の災害が発生していることから、事業者による適正な化学物質等の管理を促進することが必要である。国際的には、平成15年に、人の健康確保の強化等を目的に、化学物質の危険性及び有害性を、引火性、発がん性等の約30項目に分類した上で、危険性や有害性の程度等に応じてどくろ、炎等の標章を付すこと、取扱上の注意事項等を記載した文書(安全データシート)を作成・交付すること等を内容とする「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(以下「GHS」という。)」が、国際連合から公表されているところである。これを踏まえ、旧指針について、危険性及び有害性の範囲を見直し、表示しなければならない事項等の追加を行うとともに、指針の法令上の位置付けを明確にしたこと。

 

第2 全般的事項

1 指針の位置付け

名称等の表示が必要な化学物質等については、現在、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第57条において、労働災害を防止するため危険性又は有害性の程度、利用の状況等を勘案し、労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「令」という。)で定める104物質が対象とされているところである。また、名称等の文書による通知については、法第57条の2において、令で定める640物質が対象とされているところである。

一方、旧指針においては、化学物質等の適切な管理、取扱いが行われるためには、化学物質等に係る必要な情報は基本的に事業者及びそれを取り扱う労働者に提供されるべきであるという考え方に立って、その対象を法で義務付けられる物質以外の全ての化学物質等とし、表示及び通知の内容は、その適切な管理、取扱いのために必要となる全ての事項としてきた。このようにこれまで、法による義務付けの対象となっていない化学物質等の危険性又は有害性等の表示及び通知は、旧指針に基づく行政指導により推進してきたところであるが、更なる定着を図るため、則第24条の14及び則第24条の15により当該化学物質等の表示及び通知を努力義務とし、これを促進するための指針として、則第24条の16の規定に基づき旧指針の全部を改正し公表したものであること。

2 表示及び通知の概要

指針に基づく表示及び通知は、次のようなものである。

① 国は、化学物質等の危険性又は有害性やそれに応じた取扱方法等を的確に表示するための基準を定めること。

② 化学物質等の譲渡提供者は、この基準に基づく表示及び通知を行うこと。

③ 化学物質等の取扱い事業者は、これらの表示及び通知を活用し、労働者に取り扱う化学物質等の危険性又は有害性を周知すること、危険性又は有害性に応じた適切な取扱いを確保すること等の措置を講じること。

3 危険性又は有害性の考え方

指針の対象となる化学物質等については、平成24年3月26日に告示された労働安全衛生規則第24条の14第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める危険有害化学物質等を定める告示に示されており、同日に官報に公示された日本工業規格Z7253(GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法―ラベル、作業場内の表示及び安全データシート(SDS))(以下「JISZ7253」という。)の附属書A(A.4を除く。)の定めにより危険有害性クラス、危険有害性区分及びラベル要素が定められた物理化学的危険性又は健康有害性を有するものとなっている。

事業者は、日本工業規格Z7252(GHSに基づく化学物質等の分類方法)、経済産業省が公開している事業者向けGHS分類ガイダンス等に基づき、取り扱う全ての化学物質等について、危険性又は有害性の有無を判断するものとする。また、GHSに従った分類を実施するに当たっては、独立行政法人製品評価技術基盤機構が公開している「GHS分類結果データベース」や本省が作成し公表している「GHSモデルラベル」及び「GHSモデルMSDS」等を参考にすること。

4 容器又は包装への表示

容器又は包装への表示は、化学物質等を取り扱う労働者がその危険性又は有害性を知らず、適切な取扱方法をとらないことが原因で発生する労働災害の防止に資することを目的とするものである。

5 安全データシート

安全データシートは、事業場における化学物質等の総合的な安全衛生管理に資することを目的とするものであり、化学物質等を適切に管理するために必要である詳細な情報を記載する文書である。なお、安全データシートは、旧指針において、化学物質等安全データシートと称されていた文書と同一であること。

6 JISZ7253との整合性

JISZ7253に準拠して危険有害化学物質等を譲渡し、又は提供する際の容器等への表示、特定危険有害化学物質等を譲渡し、又は提供する際の安全データシートの交付及び化学物質等を労働者に取り扱わせる際の容器等への表示(以下「表示、通知及び事業場内表示」という。)を行えば、表示、通知及び事業場内表示に係る労働安全衛生関係法令の規定及び指針を満たすこと。

 

第3 細部事項

1 第1条関係

「化学物質等」には、製造中間体(製品の製造工程中において生成し、同一事業場内で他の物質に変化する化学物質をいう。)が含まれること。

2 第2条関係

(1) 「危険有害化学物質等」とは、則第24条の14第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める危険有害化学物質等であるが、具体的には、GHSに従った分類に基づき、危険有害性区分(危険有害性の強度)が決定された化学物質等(安全データシートを交付しなければならない範囲としてGHSで濃度限界が示されている場合には、この値以上を含有しているもの又はこの値未満で危険性又は有害性が判明しているものをいう。)をいうこと。

また、化学物質を含有する製剤その他の物については、混合物としてGHSに従った分類を行うことが望ましいが、混合物全体として危険性又は有害性の試験がなされていない場合には、含有する危険有害化学物質等の純物質としてのGHS分類結果を活用しても差し支えないこと。この場合、表示しなければならない範囲としてGHSで濃度限界が示されている場合には、この値以上を含有しているもの又はこの値未満で危険性又は有害性が判明しているものが危険有害化学物質等に該当すること。

(2) 第1項の「表示」は、当該容器又は包装に、表示事項等を印刷し、又は表示事項等を印刷した票せんを貼り付けて行うこと。ただし、当該容器又は包装に表示事項等の全てを印刷し、又は表示事項の全てを印刷した票せんを貼り付けることが困難なときは、表示事項等のうち同項第1号ハからトまで及び第2号に掲げるものについては、当該表示事項等を印刷した票せんを容器又は包装に結び付けることにより表示することができること(第2項)。

(3) 第1項第1号イの「名称」については、次によること。

ア 危険有害化学物質等の名称を記載すること。ただし、製品名により含有する危険有害化学物質等が特定できる場合においては、当該製品名を記載することで足りること。

イ 化学物質等について、表示される名称と文書交付により通知される名称を一致させること。

(4) 第1項第1号ロの「成分」については、危険性又は有害性を有する化学物質の名称を列記すること。危険性又は有害性を有する化学物質以外の化学物質の名称も記載することが望ましい。混合物については、危険性又は有害性ごとに一つずつ化学物質の名称を示し、その他の化学物質名を省略しても差し支えない。名称を記載しないことにより、作業者や消費者の健康と安全又は環境保護を危うくしない危険有害化学物質等については、当該物質の名称に代えて一般名を記載しても差し支えない。

(5) 第1項第1号ハの「人体に及ぼす作用」については、次によること。

ア 「人体に及ぼす作用」は、危険有害化学物質等の有害性を示すこと。

イ GHSに従った分類に基づき決定された危険有害性クラス及び危険有害性区分に対してGHS附属書3又はJISZ7253附属書Aにより割り当てられた「危険有害性情報」の欄に示されている文言を記載すること。

ウ 混合物においては、混合物として分類するのが望ましいが、混合物全体として有害性の分類がなされていない場合には、含有する危険有害化学物質等の純物質としての有害性を、物質ごとに記載することで差し支えないこと。

エ GHSに従った分類により、危険有害性クラス及び危険有害性区分が決定されない場合は、記載を要しないこと。

(6) 第1項第1号ニの「貯蔵又は取扱い上の注意」については、危険有害化学物質等のばく露又はその不適切な貯蔵若しくは取扱いから生じる被害を防止するために講じるべき措置を記載すること。

(7) 第1項第1号ホの「表示をする者の氏名(法人にあっては、その名称)、住所及び電話番号」については、次によること。

ア 危険有害化学物質等を譲渡し、又は提供する者の情報を記載すること。

イ 緊急連絡用の電話番号等についても記載することが望ましいこと。

(8) 第1項第1号ヘの「注意喚起語」については、次によること。

ア GHSに従った分類に基づき、決定された危険有害性クラス及び危険有害性区分に対してGHS附属書3又はJISZ7253附属書Aに割り当てられた「注意喚起語」の欄に示されている文言を記載すること。

イ 混合物において、混合物全体として危険性又は有害性の分類がなされていない場合には、含有する危険有害化学物質等の純物質としての危険性又は有害性を表す注意喚起語を、物質ごとに記載することで差し支えないこと。

ウ GHSに従った分類により、危険有害性クラス及び危険有害性区分が決定されない場合、記載を要しないこと。

(9) 第1項第1号トの「安定性及び反応性」については、次によること。

ア 「安定性及び反応性」は、危険有害化学物質等の危険性を示すこと。

イ GHSに従った分類に基づき、決定された危険有害性クラス及び危険有害性区分に対してGHS附属書3又はJISZ7253附属書Aに割り当てられた「危険有害性情報」の欄に示されている文言を記載すること。

ウ 混合物において、混合物全体として危険性の分類がなされていない場合には、含有する全ての危険有害化学物質等の純物質としての危険性を、物質ごとに記載することで差し支えないこと。

エ GHSに従った分類により、危険有害性クラス及び危険有害性区分が決定されない場合、記載を要しないこと。

(10) 第1項第2号の「絵表示」については、次によること。

ア 譲渡提供時の容器又は包装に表示する絵表示は、白い背景の上に黒いシンボルを置き、十分に幅広い赤い枠で囲んだものとすること。

イ 混合物において、混合物全体として危険性又は有害性の分類がなされていない場合には、含有する危険有害化学物質等の純物質としての危険性又は有害性を表す絵表示を、物質ごとに記載することで差し支えないこと。

ウ GHSに従った分類により、危険有害性クラス及び危険有害性区分が決定されない場合は、記載を要しないこと。

(11) 第1項の「主として一般消費者の生活の用に供するためのもの」には、以下のものが含まれるものであること。ただし、事業者がその事業に従事する労働者に取り扱わせる場合であって、労働者の危険又は健康障害を生ずるおそれのあるものについては、本指針の対象となるものであること。

ア 薬事法に定められている医薬品、医薬部外品及び化粧品

イ 農薬取締法に定められている農薬

ウ 労働者による取扱いの過程において固体以外の状態にならず、かつ、粉状又は粒状にならない製品

エ 危険有害化学物質等が密封された状態で取り扱われる製品

オ 食品及び食品添加物

(12) 第4項の「表示事項等に変更が生じた場合」には、次の場合等が含まれるものであること。

① 危険性又は有害性等の情報が新たに明らかになった場合

② 法に基づく新たな規制の対象になった場合

③ 新たにばく露防止の技術が確立した場合

3 第3条関係

(1) 「特定危険有害化学物質等」とは、則第24条の14第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める危険有害化学物質等のうち、法第57条の2の対象となる物以外のものをいうこと。

(2) 安全データシートは、特定危険有害化学物質等の危険性又は有害性等について十分な知識を有する者が作成する必要があること。

(3) 第1項の「相手方の事業者が承諾した方法」は、磁気ディスクの交付、ファクシミリ装置を用いた送信その他の方法であって、その方法により通知することについて相手方が承諾したものであること。

(4) 通知は、特定危険有害化学物質等を譲渡し、又は提供する時までに行わなければならない。ただし、継続的に又は反復して譲渡し、又は提供する場合において、既に通知がなされているときは、この限りでないこと。

(5) 第1項の「主として一般消費者の生活の用に供される製品」には、以下のものが含まれるものであること。ただし、事業者がその事業に従事する労働者に取り扱わせる場合であって、労働者の危険又は健康障害を生ずるおそれのあるものについては、本指針の対象となるものであること。

ア 薬事法に定められている医薬品、医薬部外品及び化粧品

イ 農薬取締法に定められている農薬

ウ 労働者による取扱いの過程において固体以外の状態にならず、かつ、粉状又は粒状にならない製品

エ 特定危険有害化学物質等が密封された状態で取り扱われる製品

オ 食品及び食品添加物

(6) 第1項第1号の「名称」の記載は、特定危険有害化学物質等の名称を記載すること。ただし、製品名により含有する特定危険有害化学物質等が特定できる場合においては、当該製品名を記載することで足りること。また、化学物質等について、表示される名称と文書交付により通知される名称を一致させること。

(7) 第1項第2号の「成分及びその含有量」の記載は、危険性又は有害性を有する化学物質の名称を列記するとともに、その含有量についても記載すること。「含有量」については、原則として重量パーセントで記載すること。この場合における重量パーセントの記載は、10パーセント未満の端数を切り捨てた数値と当該端数を切り上げた数値との範囲をもって行うことができること。成分として表記すべき化学物質の含有量が10パーセントに満たない場合は、「10パーセント未満」と記載すれば足りること。

また、危険性又は有害性を有する化学物質以外の化学物質の名称及び含有量も記載することが望ましい。ケミカルアブストラクトサービス登録番号(CAS番号)、別名及び官報公示整理番号(法第57条の3第1項の規定に基づく令第18条の3第4号に定める化学物質及び法第57条の3第3項の規定により、その名称等が公表された化学物質について、官報公示の際に付けられた番号等)についても記載することが望ましいこと。

なお、名称を記載しないことにより、作業者や消費者の健康と安全又は環境保護を危うくしない特定危険有害化学物質等については、当該物質の名称に代えて一般名を記載しても差し支えない。

(8) 第1項第3号の「物理的及び化学的性質」については、以下によること。

ア 次の項目に係る情報について記載すること。

(ア) 化学物質等の外観(物理的状態、形状、色等)

(イ) 臭い

(ウ) pH

(エ) 融点及び凝固点

(オ) 沸点、初留点及び沸騰範囲

(カ) 引火点

(キ) 燃焼又は爆発範囲の上限及び下限

(ク) 蒸気圧

イ 次の項目に係る情報について記載することが望ましいこと。

(ア) 臭いのしきい(閾)値

(イ) 蒸発速度

(ウ) 燃焼性(固体又はガスのみ)

ウ 放射性等、当該化学物質等の安全な使用に関係するその他のデータを示すことが望ましいこと。

エ 測定方法についても記載することが望ましいこと。

オ 混合物においては、混合物として分類するのが望ましいが、混合物全体として有害性の試験がなされていない場合には、含有する特定危険有害化学物質等の純物質としての情報を、物質ごとに記載することで差し支えないこと。

(9) 第1項第4号の「人体に及ぼす作用」は、特定危険有害化学物質等の有害性を示すものであり、以下によること。

ア 化学物質等を取り扱う者が特定危険有害化学物質等に接触した場合に生じる健康への影響について、簡明かつ包括的な説明を記載すること。なお、以下の項目に係る情報を記載すること。

(ア) 急性毒性

(イ) 皮膚腐食性・刺激性

(ウ) 眼に対する重篤な損傷・刺激性

(エ) 呼吸器感作性又は皮膚感作性

(オ) 生殖細胞変異原性

(カ) 発がん性

(キ) 生殖毒性

(ク) 特定標的臓器毒性―単回ばく露

(ケ) 特定標的臓器毒性―反復ばく露

(コ) 吸引性呼吸器有害性

イ ばく露直後の影響と遅発性の影響とをばく露経路ごとに区別し、毒性の数値的尺度を含めることが望ましいこと。

ウ 混合物において、混合物全体として有害性の試験がなされていない場合には、含有する危険有害化学等の純物質としての有害性を、物質ごとに記載することで差し支えないこと。

エ 体細胞を用いるin vivo遺伝毒性試験又はin vitro変異原性試験のデータを記載する場合には、生殖細胞変異原性の小項目に記載すること。

(10) 第1項第5号の「貯蔵又は取扱い上の注意」は、次の事項を記載すること。

ア 適切な保管条件、避けるべき保管条件等

イ 混合接触させてはならない化学物質等(混触禁止物質)との分離を含めた取扱い上の注意

ウ 管理濃度、許容濃度等

エ 密閉装置、局所排気装置等の設備対策

オ 保護具の使用

カ 廃棄上の注意及び輸送上の注意

輸送上の注意には、国連番号、国連分類等を含めて記載することが望ましいこと。

(11) 第1項第6号の「流出その他の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置」は、次の事項を記載すること。

ア 吸入した場合、皮膚に付着した場合、眼に入った場合又は飲み込んだ場合に取るべき措置等

イ 火災の際に使用するのに適切な消火剤又は使用してはならない消火剤

ウ 事故が発生した際の退避措置、立入禁止措置、保護具の使用等

エ 漏出した化学物質等に係る回収、中和、封じ込め及び浄化の方法並びに使用する機材

(12) 第1項第7号の「通知を行う者の氏名(法人にあっては、その名称)、住所及び電話番号」については、特定危険有害化学物質等を譲渡し、又は提供する者の情報を記載すること。

また、緊急連絡用の電話番号、ファックス番号及び電子メールアドレスも記載することが望ましいこと。

(13) 第1項第8号の「危険性又は有害性の要約」については、以下によること。

ア GHSに従った分類がなされた場合は、「危険性又は有害性の要約」については、特定危険有害化学物質等の有する危険性又は有害性の分類及びラベル要素を記載すること。

イ 絵表示は白黒の図で記載しても差し支えないこと。また、絵表示を構成する画像要素(シンボル)の名称(「炎」、「どくろ」等)をもって当該絵表示に代えても差し支えないこと。

ウ 粉じん爆発危険性等の危険性又は有害性についても記載することが望ましいこと。

(14) 第1項第9号の「安定性及び反応性」は、次の事項を記載すること。

ア 避けるべき条件(静電放電、衝撃、振動等)

イ 混触危険物質

ウ 通常発生する一酸化炭素、二酸化炭素及び水以外の予想される危険有害な分解生成物

(15) 第1項第10号の「適用される法令」は、特定危険有害化学物質等に適用される法令の名称を記載するとともに、当該法令に基づく規制に関する情報を記載すること。

なお、平成5年5月17日付け基発第312号の3「変異原性が認められた化学物質等の取扱いについて」の別紙1及び別紙2に掲げる物及びその後に発出した同種の労働基準局長通達に掲げる物については、平成5年5月17日付け基発第312号の3に該当する強い変異原性が認められた物質である旨記載すること。

(16) 第1項第11号の「その他参考となる事項」は、以下によること。

ア 安全データシートの作成日(改訂した場合にあっては改訂日)に関する情報を記載することが望ましいこと。

イ 安全データシートを作成する際に参考とした出典を記載することが望ましいこと。

ウ 環境影響情報については、本項目に記載することが望ましいこと。

(17) 第2項で準用する第2条第4項の「通知」は、原則として、変更が生じた場合は安全データシートを交付した相手方に通知する必要があるが、当該特定危険有害化学物質等を譲渡又は提供してから長期間経過している場合等で、明らかに当該特定危険有害化学物質等が消費され存在しないと考えられる場合は行わないこととして差し支えないこと。

4 第4条関係

(1) 第3項の「労働者の化学物質等の取扱いに支障が生じるおそれがある場合又は同項ただし書きの規定による表示が困難な場合」とは、容器等の表示と内容物を一致させることが困難な場合(反応中の化学物質の入ったもの、成分、含有率、化学物質の状態等の変化が生じる操作(希釈、洗浄、脱水、乾燥、蒸留等)を行っているもの)、内容物が短時間(概ね1日以内)に入れ替わる場合、物理的制約により困難である場合(容器が小さく表示事項等の全てを表示することが困難な場合、取扱い物質の数が多く表示事項等の全てを表示することが困難な場合及び容器に近づけない又は容器が著しく大きいことからラベルを労働者が確認することが困難な場合)、容器等(移動式以外のものに限る。)の内容物が頻繁に(概ね2週間以内に)入れ替わる場合等があること。

なお、廃液については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)に基づく産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物に係る掲示が行われていれば、当該掲示をもって本条に基づく表示に代えることができること。

(2) 第3項第1号の「名称」については、略称、記号、番号でも差し支えないこと。また、タンク、配管等への名称の表示に当たっては、タンク名、配管名等を周知した上で、当該タンク、配管等の内容物を示すフローチャート、作業標準書等により労働者に伝えることも含むこと。絵表示は、白黒の図で記載しても差し支えないこと。さらに、絵表示のほか、注意喚起語等、表示事項の一部を併記しても差し支えないこと。

(3) 第3項第2号の掲示等に当たっては、譲渡提供時に交付された安全データシートを利用しても差し支えないこと。

(4) 第4項の「第一項に規定する方法以外の方法により労働者に取り扱わせるとき」とは、ヤード等に野積みされた化学物質等を労働者に取り扱わせるとき等が含まれるものであること。

5 第5条関係

(1) 第3項の「教育」には、則第35条第1項第1号の原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関することについての教育等が含まれるものであること。

(2) 第3項の「教育」は、化学物質等の危険性又は有害性等について十分な知識を有する安全管理者、衛生管理者等が実施することが望ましいこと。

(3) 第3項の「その他の措置」には、化学物質等に係る労働災害防止のための措置が含まれるものであり、本措置を講ずるに当たっては、安全データシートの記載事項である応急措置、取扱い上の注意、ばく露防止措置等を参考とすること。

ただし、安全データシートは、一般的な取扱いを前提に作成されたものであるので、当該化学物質等を使用する事業者は、当該化学物質等について特殊な取扱い等を行う部分については、その実態に応じた適切な措置を講じる必要があることに留意すること。

(4) 第4項の委員会は、次の場合に、化学物質等に関する適切な取扱いを行わせるための方策に関し調査審議させること。

① 新たに化学物質等の譲渡・提供を受ける場合

② 新たに化学物質等を製造する場合

③ 取り扱っている化学物質等に係る安全データシートの内容に重大な変更があった場合

 

第4 その他

平成24年度は指針に基づく表示及び通知制度が円滑に推進されるよう、指導に当たっては、指針の周知に重点をおいて取り組まれるよう留意されたい。

 

別添

○化学物質等の危険性又は有害性等の表示又は通知等の促進について

平成24年3月29日基発0329第10号

(別紙の団体の長あて厚生労働省労働基準局長通知)

労働安全衛生行政の推進につきましては、平素より御協力を賜り厚くお礼申し上げます。

さて、化学物質等の危険有害性等の表示に関する指針(平成4年労働省告示第60号。以下「旧指針」という。)は、平成24年3月16日厚生労働省告示第133号により改正され、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「則」という。)第24条の16に基づく化学物質等の危険性又は有害性等の表示又は通知等の促進に関する指針(以下「指針」という。)として、平成24年4月1日から適用することと致しました。

つきましては、貴団体におかれましても、この趣旨を御理解いただき、傘下会員事業者等に対して、下記に掲げる事項についての周知に御協力を賜りますようお願い申し上げます。

なお、「化学物質等の危険有害性等の表示に関する指針について」(平成4年7月1日付け基発第394号)、「化学物質等の危険有害表示制度の推進について」(平成4年7月1日付け基発第394号の2)、「「化学物質等の危険有害性試験基準」及び「化学物質等の危険有害性評価基準」の制定について」(平成4年7月1日付け基発第395号)及び「化学物質等の危険有害性等の表示に関する指針の運用について」(平成5年1月21日付け基発第43号)は、本通達をもって廃止することを申し添えます。

<編注:記以下は本通達の記と同一内容ですので省略>

 

別紙

中央労働災害防止協会

建設業労働災害防止協会

陸上貨物運送事業労働災害防止協会

港湾貨物運送事業労働災害防止協会

林業・木材製造業労働災害防止協会

鉱業労働災害防止協会

一般社団法人日本化学工業協会

石油化学工業協会

印刷インキ工業連合会

化成品工業協会

石油連盟

社団法人日本化学品輸出入協会

一般社団法人日本化学物質安全・情報センター

社団法人日本建設業連合会

社団法人全国建設業協会

社団法人建設産業専門団体連合会

日本製薬団体連合会

一般社団法人日本試薬協会

社団法人日本塗料工業会

社団法人日本塗装工業会

日本建築仕上材工業会

社団法人日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会

一般社団法人日本芳香族工業会

日本無機薬品協会

農薬工業会