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建築物等の解体等の作業における事前調査の徹底等について
平成24年2月13日基安化発0213第1号
(都道府県労働局労働基準部長あて労働基準局安全衛生部化学物質対策課長通知)
<編注>本通達の令和2年改正省令第134号(石綿障害予防規則の一部を改正する省令)による改正のそれぞれ規定の施行日(改正事項でないものについては令和2年10月28日)以降は、令和2年10月28日基発1028第1号にて廃止されました。 |
石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号。以下「石綿則」という。)第3条では、事業者は、建築物、工作物又は船舶の解体、破砕等の作業(改修の作業を含む)を行うときは、あらかじめ、石綿及び石綿を0.1%を超えて含有するもの(以下「石綿等」という。)の使用の有無を目視、設計図書等により調査し、その結果を記録しておくこと、及び当該調査結果の概要等を掲示することを定めている。
しかしながら、事前調査を行わなかったり一部分のみを調査して網羅的な調査を怠ったりしたために、必要な届出を行わずに解体が行われた事例が発生しており、解体等の作業において、石綿ばく露防止対策が適切に講じられていないおそれがある。(別紙1参照)
事前調査の適正な実施は、作業における適正な石綿粉じんばく露防止対策の実施に直結するものであることから、こうした事例の再発を防ぐため、解体等の作業を行う事業者及び発注者に対して下記の事項について指導されたい。
なお、別添のとおり関係事業者団体に対しても要請を行っていることを申し添える。
記
1 石綿等の使用状況の通知の促進
事前調査においては、設計図書や過去の改修の記録等、石綿等の使用状況等に係る情報は、石綿等の見落とし防止に有用である。石綿則第8条では、仕事の発注者は、請負人に対し、石綿等の使用状況等を通知するよう努めることとされていることを踏まえ、あらゆる機会をとらえ、その履行の徹底を指導すること。
2 事前調査と結果の記録、掲示の徹底
(1) 事前調査は、的確かつ網羅的に行うことができるよう、一定の知識及び技能を有した者が行うことが望ましいこと。また、必要な調査箇所の見落としを防止する観点から、写真や図面により調査した箇所を調査結果に記録することが望ましいこと。
また、調査終了年月日、調査方法及び結果の概要については、作業場に掲示する必要があること。(別紙2参照)
(2) 目視及び設計図書等による調査により、石綿等の使用がないことが明らかになった場合でも、その旨に加え調査方法や調査場所等を記録し、かつ掲示するよう徹底すること。
(3)内 壁、天井、床、屋根、煙突等に使用されている成形板その他の建材等について、石綿の使用の有無を確認するには、国土交通省・経済産業省の石綿含有建材データベースhttp://www.asbestos-database.jp/、社団法人日本石綿協会、建材メーカーのホームページを活用する方法があること。
3 分析による調査
(1) 建材等が吹き付けられている場合には、石綿則第3条第2項に基づき、石綿等の使用がないことが明らかである場合を除き、分析による調査を行うこと。
(2) 石綿等の使用の有無の分析による調査に当たって、試料の採取が不適切であると、含有する石綿が適正に計測されないおそれがある。特に、建築物等に後年の補修又は増改築がなされている場合や、吹付けの色が一部異なるなど複数回の吹付けが疑われる場合には、吹き付けされた場所、時期ごとに試料を採取してそれぞれ石綿の有無を判断するよう留意すること。ただし、複数の区画又は階にわたり吹付けがなされた建築物等であっても、設計図書等により同一かつ均一の施工であることが確認された場合にあっては、各区画又は階における試料の採取は必要ないこと。
(3) 建材等の採取及び分析に当たっては、必要に応じて、次のア、イ又はウを参照すること。
ア 「石綿含有建材の石綿含有率測定に係る講習会テキスト」(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/mortar/index.html
イ 「建築物の解体等に係る石綿飛散防止対策マニュアル」(環境省)
http://www.env.go.jp/air/asbestos/litter_ctrl/manual_td/index.html
ウ 「新版建築物等の解体等工事における石綿粉じんへのばく露防止マニュアル」(建設業労働災害防止協会)
(4) 石綿等の使用の有無の分析を分析機関等に行わせる場合には、社団法人日本作業環境測定協会が行う石綿分析技術の評価事業において、Aランク又はBランク認定分析技術者の資格を有する者に分析を行わせることが望ましいこと。(ホームページhttp://www.jawe.or.jp/jigyou/seido-s/ishiwata/#agencyに掲載。)
4 呼吸用保護具の使用
(1) 建築物等の解体等の作業においては、作業に伴って粉じんが発生するおそれがあることから、事前調査の結果として石綿等の使用がないことが確認された場合であっても、防じんマスク等の呼吸用保護具を使用すること。
(2) 石綿則第14条に基づき隔離等を行った作業場所において、吹き付けられた石綿等を除去する作業に労働者を従事させるときは、電動ファン付き呼吸用保護具、送気マスク等を使用させなければならないこと。
別紙1
事前調査の不徹底による不適切な建築物解体事例
(厚生労働省化学物質対策課にて把握したもの)
発生時期 | 作業の種類 | 事例の概要 | 原因 | 対策 |
平成23年11月 | 石綿含有保温材が 使われた建築物の 改修工事 | 石綿含有の認識がないまま保温材の除去 作業を実施。同じ時期に同じ施工者により 建てられた同型の建物からは、作業を行っ た箇所と同一の箇所(部材)に石綿が使わ れていることが判明した。 | 不十分な事前調査の 結果に基づいて工事 を行ったこと。 | ・事前調査を適切に実施し、結果 を記録すること。 ・発注者は、石綿等の使用状況等 を適切に伝達すること。 |
平成24年1月 | 吹付け石綿が使わ れた建築物の解体 工事 | 3階建ての建物の解体工事で、1階部分の 吹付け材を分析したのみで建物全体に石 綿無しと判断したが、廃材から石綿が見つ かり、他の階では石綿が使われていたこと がわかった。 | 不十分な試料採取に 基づく分析。 | ・設計図書や改修記録から、同一 施工の範囲をあらかじめ確認す ること。 ・必要な数の試料採取を行うこと。 |
別紙2
事前調査の結果の掲示(例)
【木造建築物の解体等】
事業場の名称: ○○建設株式会社 ○作業所 代表取締役▲▲
建築物等の種別: 一般住宅
調査方法: 設計図書の確認及び現場における目視 (1 階、2 階、天井裏、屋根)
発注者からの通知 有り(施工記録)
調査結果: 石綿の含有なし
調査者: ○○ ○○(石綿作業主任者)
調査年月日: 平成 年 月 日 |
【RC 建築物の解体等】
事業場の名称: ○○建設株式会社 ○作業所 代表取締役▲▲
建築物等の種別: ビル
調査方法: 設計図書の確認、現場における目視及び石綿含有率の分析 (1 階から 5 階まで) 発注者からの通知 有り(設計図書と改修記録) 調査結果: (1 階)アモサイト %、クロシドライト % (2 階)アモサイト % (3 階)アモサイト % (4 階)アモサイト % (5 階)アモサイト % 詳細は、分析結果報告書による
調査者: ○○分析化学(株)(○○(A ランク認定分析技術者)
調査年月日: 平成 年 月 日 |