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業務用ガス給湯器(厨房排気ダクト直結型)による一酸化炭素中毒事故の防止に関する関係団体等に対する注意喚起の実施について
平成23年1月14日基安化発0114第1号
(都道府県労働局労働基準部労働衛生主務課長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長通知)
「業務用厨房施設における一酸化炭素中毒による労働災害防止について」については、平成21年12月4日付け基安化発1204第1号(以下「基安化発1204第1号」という。)により、「業務用厨房施設におけるガス機器による事故防止対策の周知について」については、平成22年2月23日付け基安化発0223第1号により、「業務用厨房施設における一酸化炭素中毒事故の防止に関する関係団体等に対する注意喚起の実施について」については、平成22年6月18日付け基安化発0618第1号により、それぞれ通知したところである。
今般、業務用ガス給湯器(厨房排気ダクト直結型)のメンテナンスが不十分なことによる事故が発生したことから、別添のとおり、経済産業省原子力安全・保安院ガス安全課長及び液化石油ガス保安課長より当職あて、改めて標記事故防止に関する関係団体等に対する注意喚起の実施に係る協力依頼があったところであるので、基安化発1204第1号等により、各種機会を通じた管内の関係団体等に対し、幅広に要請等に努められたい。
○業務用ガス給湯器(厨房排気ダクト直結型)の製品事故に関する情報提供について
(平成22年12月21日)
(業務用厨房施設等における一酸化炭素中毒事故連絡会議各省庁担当課あて経済産業省商務流通グループ製品安全課・原子力・安全保安院ガス安全課・液化石油ガス保安課通知)
経済産業省においては、消費生活用製品安全法に基づき報告される重大製品事故について、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)に技術上の調査を実施させ、消費者庁と共同して、製品事故の収集、原因分析及び事故の未然・再発防止のための注意喚起等に取り組んでいます。
また、NITEに報告される製品事故情報(非重大製品事故)についても、NITEと共同して事故防止等に取り組んでいるところです。
今般、上記法律に基づき、経済産業省に報告のあった主に業務用厨房排気ダクト直結型ガス給湯器の製品事故(別添1)については、いずれも使用者が製品のメンテナンスが十分でない状態で使用を継続したために事故(発煙・発火)に至ったものです。ガス機器の事故は取扱いを誤った場合、火災やCO中毒といった重篤な事故につながる可能性があります。
つきましては、本件について貴省から各関係機関に向けて情報提供していただき、事故の予防に役立てていただきますようお願いいたします。
(注意喚起事項)
・厨房内の換気に注意し、製品内部(給気フィルターや排気フード等)や排気ダクトについて定期的に清掃を行うこと。
・エラー(排気部高温等)が表示された場合は販売事業者等の点検を受けること。
・排気ダクトが停止している時間帯には絶対使用しないこと。
別添1:業務用ガス給湯器(厨房排気ダクト直結型)における製品事故一覧
別添2:機器写真及び排気ダクトとの接続概念図
(別添1) 業務用ガス給湯器(厨房排気ダクト直結型)における製品事故一覧
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事故発生日 |
都道府県名 |
事故発生場所 |
事故 |
ガス種 |
事故内容 |
事故原因 |
1 |
2008年4月 |
東京都 |
洋菓子店厨房 |
CO中毒 |
都市ガス |
業務で当該製品を使用中、7名が病院へ搬送された。当該製品からは高濃度のCOが発生しているものの、排気筒により通常は適切に排気されていた。事故当日は強風が吹いていた。 |
調査の結果、施工業者によって、当該製品の隣に業務用のこんろが設置され、こんろからの煤煙が当該製品に吸い込まれたこと、及びフィルターの清掃が十分行われていなかったことから、当該製品が不完全燃焼となり高濃度のCOが排出されていたため、一酸化炭素中毒に至ったものと判断した。 |
2 |
2008年8月 |
熊本県 |
レストラン厨房(イタリアン) |
発煙(非火災) |
LPガス |
給湯器の上部排気口から出火した。 |
調査の結果、当該器の水圧自動弁の軸が約11年の使用により固着して、湯栓を止めても消火できない状態であったことから、内胴部の温度が上昇し、油脂受け皿から溢れ出て内胴に付着していた油脂が発火し、その後、安全装置が作動しガスを止め燃焼を停止させたが、油脂が燃え続けたものと推定される。なお、当該器の近傍に油脂を含む蒸気を発生させる常設形厨房機器が設置されていたが、蒸気が流入しないような仕切板の設置はなかった。 |
3 |
2008年9月 |
神奈川県 |
レストラン厨房 |
発煙(非火災) |
都市ガス |
店舗に設置してある当該製品を使用中にフード部分から一瞬炎が出た。 |
調査の結果、給気フィルターや油脂受け皿の定期的な清掃を怠っていたために、事故に至ったものであった。 |
4 |
2009年1月 |
東京都 |
ファーストフード店厨房 |
CO中毒 |
都市ガス |
厨房で働いていたところ気分が悪くなり、入院した。 |
調査の結果、小麦粉、埃、近傍にあるフライヤーからの油を多量に吸い込んで、それらが燃焼用ファン及びバーナーに堆積していたこと、異常燃焼を示すエラー表示が度々示されていたが、その度に電源プラグを外してリセットしていたこと等から、油等で給気部が閉塞し、不完全燃焼が生じてCO濃度が高くなり、加えて事故当時は換気扇を稼働させていなかったことから事故に至ったものと推定。 |
5 |
2009年8月 |
愛知県 |
レストラン厨房(イタリアン) |
発煙(非火災) |
都市ガス |
料理店で使用されていた当該製品上部の排気フード内から出火する火災が発生し、当該製品周辺が焼損した。 |
調査の結果、エラー履歴から何度も燃焼停止していること、熱交換器に不完全燃焼による煤詰まりが認められたこと、HPフード及び機器内部に多量の油が付着していたことから、当該製品の内部に多量の油が侵入したため安全装置により燃焼が自動停止する状態にあったが、リセットを繰り返しながら使用を続けたため、不完全燃焼で延びた炎が排気フード内に溜まっていた油に引火したものと推定。 |
6 |
2009年11月 |
東京都 |
焼肉店厨房 |
火災 |
都市ガス |
厨房で当該製品を使用中、ダクト付近から発煙、発火した。 |
調査の結果、天井の排気ダクトの排気に必要な風量が不足していたことに加え、当該製品の熱交換機が閉塞状態であった影響で排気温度が通常よりも高くなり(3回の高温エラー表示が記録)、排気フードや天井の排気ダクト内に堆積した油脂や埃が加熱されて発火したものと推定される。 なお、当該製品には排気ダクトの風量不足による「使用禁止ラベル」が貼られていた。 |
7 |
2009年11月 |
東京都 |
焼肉店厨房 |
火災 |
都市ガス |
厨房で当該製品を使用中、ダクト付近から発煙した。 |
調査の結果、排気ダクトにおける排気風量が少なかったため、排気温度が下がらず通常よりも高温となり(2回の高温エラー表示が記録)、排気フード内に堆積した埃が加熱されて発煙したものと推定される。 |
8 |
2009年12月 |
北海道 |
喫茶店厨房(地下街) |
火災 |
都市ガス |
厨房で使用中の当該製品上部から火の粉が落ちているのを発見した。 |
調査の結果、排気ダクトのファンが停止状態であったにもかかわらず使用を継続したため、排気温度が下がらず通常よりも高温となり、排気フード内に堆積した埃や油脂が加熱され焼損したものと推定される。 |
9 |
2010年10月 |
東京都 |
レストラン厨房(イタリアン) |
火災 |
都市ガス |
厨房で当該製品を使用中、排気フード内部から発煙した。 |
排気ダクトのダンパー(排気の流量を調節する装置)を閉じ排気が停止した状態で当該製品を使用したため、排気が高温になり清掃されていなかったフード内部の綿埃に引火し発煙したものと考えられる。 |
別添2
厨房排気ダクト直結型給湯器と排気ダクトとの接続概念図