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職場における熱中症予防対策の徹底について
平成22年7月27日基安労発0727第2号
(関係団体の長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長通知)
職場における熱中症の予防については、平成21年6月19日付け基発第0619001号「職場における熱中症の予防について」により対策を推進していますが、本年7月中旬以降の急激な気温上昇に伴い、職場における熱中症による死亡災害が多発しています。
このような状況を踏まえて、貴職におかれましては、下記の熱中症予防対策に一層の取組みを頂くとともに、会員事業場への周知等について、特段の御理解と御協力をお願いします。
記
1 職場における熱中症の予防について
(1) 作業環境管理
・ 作業場所の冷房等によるWBGT値(暑さ指数)の低減、休憩場所の整備等を図ること。
※ WBGT値とは暑熱環境による熱ストレスの評価を行う暑さ指数で、式①又は②により算出できます。
・ 屋内の場合及び屋外で太陽照射のない場合
WBGT値=0.7×自然湿球温度+0.3×黒球温度 …式①
・ 屋外で太陽照射のある場合
WBGT値=0.7×自然湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度 …式②
(2) 作業管理
・ 休憩時間等を確保すること、身体作業強度が高い作業を避けることなどの対策に努めること。
・ 熱への順化の有無が熱中症の発生リスクに大きく影響することから、計画的に、熱への順化期間(熱に慣れ、その環境に適応する期間)を設けることが望ましいこと。
・ 自覚症状の有無にかかわらず水分・塩分の作業前後及び作業中の定期的な摂取の徹底を図ること。このため、摂取を確認する表の作成、巡視などを行うこと。
・ 透湿性及び通気性の良い服装等を着用させること。また、クールジャケット等これらの機能を持つ身体を冷却する服の着用も望ましいこと。
・ 直射日光下では通気性のよい帽子やクールヘルメット等を着用させること。
(3) 健康管理
・ 糖尿病、高血圧症、心疾患、腎不全等は熱中症の発症に影響を与えるおそれのあることから、健康診断の実施、異常所見に対する医師等の意見の聴取、当該意見を勘案した就業場所の変更等の適切な措置の徹底を図ること。
・ 上記疾患治療中等の労働者については、産業医、主治医等の意見を勘案して、必要に応じて、就業場所の変更、作業の転換等の適切な措置を講ずること。
・ 労働者に対して、上記疾患治療中等の場合は熱中症予防のため対応が必要であることを教示するとともに、対応が必要と判断した場合などには申し出るよう指導すること。
・ 睡眠不足、体調不良、前日等の飲酒、朝食の未摂取等が熱中症の発症に影響を与えるおそれがあることから、日常の健康管理の指導、必要に応じ健康相談を行うこと。
・ 作業開始前、作業中の巡視による労働者の健康状態の確認等を行うこと。
(4) 労働衛生教育
・ 作業管理者、労働者へ教育を行うこと。
(5) 救急処置
・ 緊急連絡網の作成及び周知、熱中症を疑わせる症状が現れた場合は必要に応じて救急隊の要請等を行うこと。
2 職場における熱中症による死亡災害発生状況
(1) 今夏(平成22年)の職場における熱中症による死亡者数は、平成22年7月26日までで13名に達し、既に、昨年の職場における熱中症による死亡者数8名を大きく上回っている。
ア 業種別内訳
建設業 5名、製造業 2名、警備業 2名、農業 2名、その他事業 2名
イ 月旬別内訳
6月中旬1名、7月上旬2名、7月中旬2名、7月下旬(7月26日まで)8名
※ 数字は平成22年7月26日時点での速報値。
(2) なお、平成22年の梅雨明けは、沖縄で6月19日ごろ、奄美で7月15日ごろ、九州北部・四国・中国・近畿・東海・関東甲信・北陸で7月17日ごろ、東北で7月18日ごろ、九州南部で7月20日ごろとなっており(気象庁速報)、梅雨明け以降に死亡災害が多発している状況にある。