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通達:船舶設備等の安全の確保について

 

船舶設備等の安全の確保について

平成22年3月18日基安安発0318第1号

(都道府県労働局労働基準部長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長通知)

 

港湾荷役作業が行われる本船内の設備や埠頭等の施設等(以下「設備等」という。)は、港湾貨物運送事業者自らが所有又は管理するものはほとんどなく、港湾貨物運送事業者は、船主や港湾管理者が管理する場所において、供与された設備等を使用して作業を行うことが通常である。

こうした中、港湾貨物運送事業においては、本船内の揚貨装置のワイヤが切断し、吊り荷が落下する災害、埠頭のガントリークレーンが逸走する災害等、船舶や港湾の設備等に起因する労働災害がしばしば発生しているところである。これらの災害を防止するためには、港湾貨物運送事業者が船主や港湾管理者と連携を図り、設備等の点検や補修等の安全措置を講じた上で作業を実施することが重要である。

また、今般、港湾貨物運送事業労働災害防止協会会長から、別添のとおり同協会の取組に対する支援の要請があったところである。

ついては、船主又は港湾管理者において設備等の点検や補修等が行われるよう、必要に応じて、管内の港湾管理者等に対して要請を行うとともに、港湾貨物運送事業者に対する個別指導等を行う際には、設備等について点検や補修等の実施状況を確認した上で作業を実施するよう、周知徹底を図られたい。

 

別添

○船舶設備等の安全確保等港湾貨物運送事業における労働災害防止について

平成22年3月17日港災防発第183号

(厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長あて港湾貨物運送事業労働災害防止協会会長通知)

最近、船舶の設備である揚貨装置による重量物の運搬の際にカーゴワイヤ等が切断し、荷が落下する災害、作業中に船舶内の高所、開口部から墜落する等の災害、港湾の埠頭の施設であるガントリークレーンの逸走や埠頭における港湾荷役車両に巻き込まれる等の災害がしばしば発生しています。

港湾荷役作業を行うに際し、その作業に係る施設、設備、荷役機械等による労働災害を防止するためには、施設、設備、荷役機械等の点検、補修等を行うなどの安全措置を講ずることが必要であり、当協会においては、これまでも傘下の会員に対して、その徹底を図ってきているところです。

一方、港湾荷役作業が行われる本船内、埠頭等の施設、設備、荷役機械等は、会員である港湾貨物運送事業者自らが所有、管理するものはほとんどなく、他の事業者等が所有し、管理する施設、設備等の提供を受け、かつ、他の事業者等が所有し、管理する場所において、港湾貨物運送事業者は作業を行っており、施設、設備等に係る安全を確保するためには、所有者・管理者に対して、その点検や安全措置の状態を確認するとともに、安全の確保に関して求めていく必要があります。

このようなことから、今般、別添1のとおり当協会の総支部に対し、通知するとともに、別添2のとおり(社)日本船主協会及び外国船舶協会に対し、別添3のとおり6大港の港湾管理者に対し、要請を行ったところです。

つきましては、厚生労働省におかれましても、港湾貨物運送事業における労働災害の防止を期するため当協会の取組みについて格別の御理解をいただきますとともに、御指導・御支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

<別添1>

○船舶設備等の保守・点検及びその結果に基づく安全措置に係る要請及び法令順守の徹底について

平成22年3月17日港災防発第183号

(港湾貨物運送事業労働災害防止協会各総支部長あて港湾貨物運送事業労働災害防止協会会長通知)

最近、船舶の設備である揚貨装置による重量物の運搬の際にカーゴワイヤ等が切断し、荷が落下する災害、作業中に船舶内の高所、開口部から墜落する等の災害、港湾の埠頭の施設であるガントリークレーンの逸走や埠頭における港湾荷役車両に巻き込まれる等の災害がしばしば発生しています。

港湾荷役作業を行うに際し、その作業に係る施設、設備、荷役機械等による労働災害を防止するためには、施設、設備、荷役機械等の点検、補修等を行い、安全措置を講ずることが必要であり、この点について労働安全衛生関係法令に規定され、また、労働災害防止団体法に基づく港湾貨物運送事業労働災害防止規程(以下「災防規程」という。)においても規定されているところです。

ご案内のとおり港湾荷役作業が行われる本船内、埠頭等の施設、設備、荷役機械等は、港湾貨物運送事業者自らが所有、管理するものはほとんどなく、他の事業者等が所有し、管理する施設、設備等の提供を受け、かつ、他の事業者等が所有し、管理する場所において会員は作業を行っていることから、災防規程第10条においては、会員が、施設、設備等の管理者に対して、その安全措置の状態を照会するとともに、安全の確保に関して要請するよう求めています。

このようなことから、今般、別添1により(社)日本船主協会及び外国船舶協会に対して、また、別添2により6大港の港湾管理者に対して要請を行いました。なお、6大港以外の港湾管理者についても、必要に応じて要請を行うこととしていることを申し添えます。

つきましては、総支部、支部による安全衛生パトロールを積極的に展開するとともに、港湾荷役作業を行うに際しては、労働安全衛生関係法令の遵守はもとより、特に、下記に示す事項について、貴総支部傘下の会員に対する指導等を実施していただくようお願いします。

1 船主、港湾管理者等と緊密な連携をとり、安全な港湾荷役作業を実施するための対策の徹底を図ること。

2 墜落、転落災害の防止対策については、手すり、柵等の設置、はしご、安全帯の使用等の対策の徹底を図ること。

3 揚貨装置、クレーン等の荷役運搬機械については、作業範囲内への労働者の立入禁止、退避等の安全確認、点検・整備の励行を図ること。

4 リスクの低減対策として、リスク点検表等による危険性又は有害性の洗い出しを行い、直ちに改善できる事項は改善し、当日の危険ポイントを作業者全員で確認唱和し、安全作業の実施に努めること。

5 雇入れ時や作業内容変更時の安全衛生教育の徹底を図るとともに、危険予知訓練(KYT)の積極的な実施及び定着に努めること。

 

<別添2>

○船舶設備の安全確保措置等労働災害防止のご協力のお願いについて

平成22年3月17日港災防発第183号

((社)日本船主協会会長・外国船舶協会会長あて港湾貨物運送事業労働災害防止協会会長通知)

最近、カーゴワイヤの切断など船舶の荷役設備に起因する災害および墜落防止措置のない船舶の高所、開口部から墜落する等の災害がしばしば発生しています(別紙「事故事例」ご参照)。

港湾運送事業者が荷役作業を行う際には、労働災害を防止するため、本船の荷役設備等の安全点検や、高所作業場所・開口部に墜落防止措置を施すなどの安全対策を実施していますが、これらは労働安全衛生関係法令に規定され、また、当協会が労働災害防止団体法に基づき策定している港湾貨物運送事業労働災害防止規程(以下「災防規程」という。)においても詳細に規定しているところです。

一方、港湾運送事業者は、船舶所有者が所有・管理する本船の荷役設備を利用して作業を行うため、これら設備の安全確保については船舶所有者のご協力が不可欠です。このため、災防規程では、各港湾運送事業者は「荷役機械、設備等の管理者に対して、その安全措置の状態を照会するとともに、荷役機械、設備等の整備、補修等の実施について要請する」よう定めています。これを踏まえ、当協会は、安全衛生パトロールの積極的な展開、本船側との緊密な連携による安全対策の徹底や点検・整備の励行等について、傘下の会員に対する指導を行っているところです。

つきましては、貴会におかれましても、貴会会員の管理する船舶の荷役設備等について、適正な期間毎の点検・保守・整備の実施、高所作業場所における柵の設置などの安全確保措置を徹底していただくとともに、本船の荷役作業にあたって当協会会員から安全確保措置についてお願い申し上げる際には、ご協力賜りますようお願い申し上げます。

別紙

本船の荷役設備等に起因する最近の主な事故事例

発生年月

(地域)

災害の概要

災害防止に必要と考えられる措置等

平成20年9月

(関東)

本船乗組員が運転する揚貨装置により約300トンのジェネレーターをはしけから本船に積み込む作業中に、地切りしてから7メートルつり上げたところでカーゴワイヤが切断し、ジェネレーターがはしけに落下し、はしけ上にいた玉掛け作業員が死亡した。

・揚貨装置及びワイヤの点検、整備

・重量物を地切りした後の退避及び安全な退避場所の確保

平成20年7月

(関西)

揚貨装置により約20トンのコイルをはしけから本船に積み込む作業中に、所定位置に置いたところでカーゴワイヤが切断し、重量1トンのカーゴブロックのフック及びシャックルが落下し、コイルの歯止め作業に従事していた作業員がはさまれて骨盤骨折し、約2ケ月間休業した。

・揚貨装置及びワイヤの点検、整備

平成19年8月

(関東)

コイル状の鋼材の船積み作業に従事していた作業者が、タラップを降りた直後、中甲板から船倉に墜落し、死亡した。

・開口部の手すりの設置等墜落防止措置の確保

・照明設備の設置

・照度の確保

平成18年7月

(関西)

はしけから揚貨装置で約20トンの鋼材をつり、本船に積み込む作業中にカーゴワイヤが切断し、玉外しのために本船の船倉で待機していた作業員の頭上に落下して1名が死亡した。

・揚貨装置及びワイヤの点検、整備

・安全な退避場所の確保

平成18年4月

(関東)

掃き集め作業に従事していた作業者が、上屋での作業を指示され中甲板を通っていたところ、照明がなく、暗かったため船倉に転落し、頭部打撲、肩胛骨骨折で数ヶ月間休業した。

・開口部の手すりの設置等墜落防止措置の確保

・照明設備の設置

・照度の確保

平成16年6月

(関東)

接岸本船デッキにおいてクレーンでコンテナの巻き上げをして横行させたところ、甲板上の約7キロのベースコーンがはがれてコンテナに付いたまま移動し、通路上で落下し、被災者の頭を直撃し死亡に至った。

・ベースコーンの劣化の点検

・地切りの際のコンテナ下部の確認

 

<別添3>

○港湾施設の安全確保措置等労働災害防止のご協力のお願いについて

平成22年3月17日港災防発第183号

(別記の港湾管理者あて港湾貨物運送事業労働災害防止協会会長通知)

最近、港湾の埠頭の施設であるガントリークレーンの逸走や埠頭における港湾荷役車両に巻き込まれる等の災害がしばしば発生しています(別紙「事故事例」ご参照)。

港湾運送事業者が、港湾荷役作業を行う際には、労働災害を防止するため、埠頭に設置のガントリークレーン等について安全点検の上、必要な安全措置を講じること、あるいは、荷役運搬機械等による事故を防止するため、できるだけ死角を無くし、関係者以外の立入禁止措置等をとることが必要であり、このため、その作業に係る施設、荷役機械等の点検、補修等については、労働安全衛生関係法令に規定され、また、労働災害防止団体法に基づく港湾貨物運送事業労働災害防止規程(以下「災防規程」という。)においても詳細に規定しているところです。

一方、港湾荷役作業が行われる埠頭等の施設、荷役機械等は、港湾運送事業者自らが所有、管理するものはほとんどなく、施設、荷役機械等の提供を受けて、港湾運送事業者は作業を行っており、施設、荷役機械等に係る安全を確保するためには、その所有者・管理者に対してその点検及び安全措置について要望することが必要となります。

このため、災防規程においては、会員は、施設、荷役機械等の管理者に対して、その安全措置の状態を照会するとともに、施設、荷役機械等の整備、補修等の実施について要請するよう定めており、当協会の役割として関係者に対して必要な措置と協力を要請するものと規定しています。

このようなことから、今般、別添のとおり、安全衛生パトロールの積極的な展開、港湾管理者等と緊密な連携をとった安全対策の徹底や点検・整備の励行等について、当協会の総支部に対し、傘下の会員への指導等を実施するよう通知したところです。

当協会としては、今後とも、会員が港湾荷役作業において安全措置を励行するよう努めてまいりますが、貴管理下にある施設、荷役機械等について、適正な期間毎の点検・保守・整備の実施、あるいは、荷役機械等の安全措置の実施を行っていただきますようお願い申し上げますとともに、施設等の安全確保措置等について会員からお願い申し上げる際は、ご協力賜りますようよろしくお願い申し上げます。

別記

港湾名

港湾管理者

東京

東京都

横浜

横浜市

名古屋

名古屋港管理組合

大阪

大阪市

神戸

神戸市

関門

下関市、北九州市

別紙

港湾の施設、設備等の点検、整備等に関係すると考えられる最近の主な事故事例

発生年月

(地域)

災害の概要

災害防止に必要と考えられる措置等

平成17年9月

(関西)

荷受貨物を施検するため倉庫検数詰所から荷受け作業場内を移動中の検数員がフォークリフトに轢かれた。

・大型フォークリフトの通行経路及び立入禁止区域の明瞭な設定

・安全確認の徹底

平成18年9月

(関東)

ガントリークレーンにより船倉にコンテナの積荷作業中に、クレーンが故障し、修理を待っていたところ突然、クレーンが横行を始め、コンテナ上でコーン取付のため待機していた合図者が挟まれ死亡した。

・クレーンの保守点検

・クレーンの修理のために運転を停止するときは、スイッチを切ること。

・安全な待機場所の設定

平成20年4月

(九州)

本船のホールド清掃作業のため岸壁を歩行していた作業員が荷の積み込み順番待ちのダンプの前方を横切ったところ気づかずに前進したダンプカーに轢かれ死亡した。

・通路、通行帯の区分等の明示

・安全確認の徹底

平成20年10月

(関西)

はしけ作業員が本船近くの岸壁で待機中にストラドルキャリヤが作業しているコンテナヤードに立入り、走行中のストラドルキャリヤの右車輪に巻き込まれて死亡した。

・コンテナヤード内の立入禁止のチェック。

・通路、通行帯の区分の明示

・ストラドルキャリヤの死角なくす設備改善

・安全確認の徹底

平成21年8月

(関西)

関連の警備員がコンテナ入れ替え修理作業場所に自転車で入り、後退中のトップリフターの後ろ左車輪に巻き込まれて死亡した。

・コンテナヤード内の立入禁止のチェック。

・通路、通行帯の区分の明示

・トップリフターの死角をなくす設備改善

・安全確認の徹底