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通達:労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について

 

労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について

平成21年12月24日基発1224第5号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

 

労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成21年厚生労働省令第158号。以下「改正省令」という。)が平成21年12月24日に公布され、平成22年1月1日から施行することとされたところであるが、その改正の趣旨、内容等については、下記のとおりであるので、その施行に遺漏なきを期されたい。

なお、関係告示の内容等については、別に示すこととしているので、了知されたい。

 

第1 改正の趣旨

労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第100条第1項の規定により、厚生労働大臣等は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者等に対し、必要な事項を報告させること等ができるとされており、現在、事業者は、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第95条の6の規定に基づき、労働者に健康障害を生ずるおそれのある物で厚生労働大臣が定めるものを製造し、又は取り扱う作業場において、労働者を当該物のガス、蒸気又は粉じんにばく露するおそれのある作業に従事させたときは、所轄労働基準監督署長に報告書(以下「有害物ばく露作業報告書」という。)を提出すべきこととされ、その様式が安衛則様式第21号の7において定められているところである。

今般の改正は、労働者のばく露評価の手順を明確化するとともに、事業者の負担軽減及び利便性の向上並びにばく露評価モデルの活用によりばく露評価を効率的に運用するための「労働者の有害物によるばく露評価ガイドライン」(平成21年12月11日化学物質のリスク評価検討会ばく露評価小検討会了承)を踏まえ、有害物ばく露作業報告書における報告項目を見直すため、安衛則様式第21号の7について所要の改正を行ったものである。

 

第2 改正の内容

1 報告項目の追加

(1) 作業1回当たりの製造・取扱い量

労働者への化学物質のばく露濃度レベルの推定において、短時間ばく露を評価するため作業1回当たりの製造量又は取扱い量を把握する必要があることから、「作業1回当たりの製造・取扱い量」を報告項目として追加するものとしたこと。

また、ばく露推定モデル「コントロール・バンディング」の区分を参考に選択肢を設け、当該選択肢から選択して報告するものとしたこと。

(2) 1日当たりの作業時間

労働者への化学物質のばく露濃度レベルは、通常1日(8時間)当たりの個人ばく露測定により求められるため、「1日当たりの作業時間」を報告項目として追加するものとしたこと。

また、ばく露推定モデル「コントロール・バンディング」の区分を参考に選択肢を設け、当該選択肢から選択して報告するものとしたこと。

2 報告項目の変更

(1) 対象物等の用途

他の報告項目の名称と平仄を合わせ、かつ、表現の適正化を図るため、「用途」を「対象物等の用途」に変更するものとしたこと。

(2) ばく露作業の種類

具体的なばく露作業の種類を把握することが必要であるため、備考別表2に例示されたばく露作業の種類のいずれにも該当しないときは、具体的な記載を求めるものとしたこと。

(3) 対象物等の名称

他の報告項目の名称と平仄を合わせ、かつ、表現の適正化を図るため、「ばく露作業報告対象物を含有する製剤等の名称」を「対象物等の名称」に変更するものとしたこと。

(4) 年間製造・取扱い量

他の報告項目の名称と平仄を合わせ、かつ、表現の適正化を図るため、「ばく露作業報告対象物の量」を「年間製造・取扱い量」に変更するものとしたこと。

また、ばく露推定モデル「コントロール・バンディング」の区分を参考に選択肢を設け、当該選択肢から選択して報告するものとしたこと。

(5) 対象物等の物理的性状

物理的性状について報告を求めていることを明確にするため、「ばく露作業報告対象物の性状」を「対象物等の物理的性状」に変更するものとしたこと。

なお、「対象物等の物理的性状」は、空気中の報告の対象となった化学物質(以下「報告対象物」という。)の濃度が最も高くなると思われる時点における物理的性状であること。ここで、空気中の報告対象物の濃度が最も高くなると思われる時点は、報告対象物に係る作業工程、取扱い量、発散抑制措置の設置状況、温度等に基づき総合的に判断すべきものであること。

(6) 対象物等の温度

他の報告項目の名称と平仄を合わせ、かつ、表現の適正化を図るため、「ばく露作業報告対象物の温度」を「対象物等の温度」に変更するものとしたこと。

なお、「対象物等の温度」は、「対象物等の物理的性状」と同様、空気中の報告対象物の濃度が最も高くなると思われる時点における温度であること。

(7) ばく露作業従事者数

報告項目の名称を簡潔にするため、「ばく露作業従事労働者数」を「ばく露作業従事者数」に変更にするものとしたこと。

また、選択肢を設け、当該選択肢から選択して報告するものとしたこと。

(8) 発散抑制措置の状況

労働者への化学物質のばく露を防止する手段としての当該化学物質の製造・取扱い設備を密閉式の構造とした「密閉化設備」の設置について、新たに独立した選択肢として設ける必要があることから、報告項目の名称の適正化を図るため、「換気設備の設置状況」を「発散抑制措置の状況」に変更するものとしたこと。

3 報告項目の削除

次に掲げる報告項目については、削除するものとしたこと。

(1) 製剤等の製造量又は消費量

(2) 含有率

(3) 一月当たりのばく露作業への従事時間

(4) 保護具の使用状況

4 その他

1から3までの改正に伴い備考の改正を行うとともに、その他所要の改正を行うものとしたこと。

なお、改正後の有害物ばく露作業報告書の様式は別添を参照すること。

 

第3 施行期日

改正省令は、平成22年1月1日から施行するものとしたこと。

 

(参考) 化学物質管理におけるコントロール・バンディング

化学物質を取り扱う作業ごとに、「物質(液体又は固体)の有害性」、「揮発性・飛散性」及び「取扱量」の3つの要素(ドイツ方式にあってはこれらに「短時間ばく露」及び「制御措置」を加えた5要素。以下同じ。)によって、リスクの程度を4段階に区分し、当該化学物質の管理のための一般的実施事項を当該区分ごとに示すほか、一般的に行われる作業については、より具体的な実施事項を個別の管理手段シートとして示すことができるツールである。専門的知識を有する者の確保が難しい中小企業等でも利用しやすいことが高く評価されている。

具体的には、3つの要素を選択・入力すると、労働者の推定ばく露量(このばく露濃度には一定の幅があり、この幅のことをバンドという。)を自動的に予測できる。これにより、予測されるばく露量を踏まえたばく露防止のために必要な工学的対策(保護具の使用、局所排気装置の設置等)が具体的に示される。

 

(改正後)<様式21号の7。編注:略>

(改正前)<様式21号の7。編注:略>