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健康管理手帳所持者及び船員健康管理手帳所持者に対する健康診断の実施について
平成21年12月14日基発1214第2号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第67条第1項の健康管理手帳(以下「健康管理手帳」という。)の所持者(以下「健康管理手帳所持者」という。)に対する健康診断については、昭和47年9月30日付け基発第653号「健康管理手帳所持者に対する健康診断の実施について」の別添「健康管理手帳所持者に対する健康診断実施要綱」により、実施に係る事務を指示しているところである。
今般、雇用保険等の一部を改正する法律(平成19年法律第30号)により労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)及び船員保険法(昭和14年法律第73号)が改正され、船員保険制度の一般的な福祉事業については、平成22年1月1日をもって労働者災害補償保険制度における社会復帰促進等事業に統合されることとされており、現在、平成21年4月1日付け国海運第242号・庁保険発第0401001号「船員に係る健康管理手帳制度について」(以下「国土交通省・社会保険庁通達」という。参考資料参照。)により運用されている船員に係る健康管理手帳制度に基づく健康管理手帳(以下「船員健康管理手帳」という。)の所持者(以下「船員健康管理手帳所持者」という。)に対する健康診断の実施に係る事務についても、同日をもって社会保険庁から厚生労働省労働基準局に移行することとなった。
ついては、健康管理手帳所持者及び船員健康管理手帳所持者に対する健康診断の実施要綱を別添のとおり定めたので、平成22年1月1日以降、当該健康診断の実施に遺憾のないようにされたい。
なお、国土交通省・社会保険庁通達は廃止の上、新たな通達を別途発出することとしているので了知されたい。
おって、本通達をもって、昭和47年9月30日付け基発第653号「健康管理手帳所持者に対する健康診断の実施について」は廃止する。
(別添)
健康管理手帳所持者及び船員健康管理手帳所持者に対する健康診断実施要綱
1 健康管理手帳所持者(労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)の適用事業場以外の事業場において有害業務に従事したことにより健康管理手帳を所持するに至った者を除く。)に対する健康診断は、別表1の左欄に掲げる業務の区分に応じ、同表の中欄に掲げる期間ごとに定期に、同表の右欄に掲げる項目について行う。また、船員健康管理手帳所持者に対する健康診断は、別表2の左欄に掲げる業務の区分に応じ、同表の中欄に掲げる期間ごとに定期に、同表の右欄に掲げる項目について行う。ただし、複数の業務に係る健康管理手帳を所持する者が受ける複数の業務に係る健康管理手帳の健康診断であって、放射線被ばくを伴う検査が重複している場合においては、3月以内に実施された検査の結果が確認できる場合に限り、当該検査の実施を省略することができる。
2 1の健康診断は、都道府県労働局長が当該健康診断実施業務を委託した医療機関において行う。
別表1
業務の区分 |
回数 |
項目 |
労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「令」という。)第23条第1号、第2号又は第12号の業務 |
6カ月に1回 |
1 業務の経歴の調査 2 血尿、頻尿、排尿痛等の他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査 3 血尿、頻尿、排尿痛等の他覚症状又は自覚症状の有無の検査 4 尿沈渣さ(医師が必要と認める場合は尿沈渣さのパパニコラ法による細胞診)の検査 5 前各号の調査又は検査の結果に基づき、医師が必要と認める者については膀胱ぼうこう鏡検査又は腎盂じんう撮影検査 |
令第23条第3号の業務(じん肺管理区分が管理2の者に限る。) |
年に1回 |
1 粉じん作業についての職歴の調査及びエックス線写真(直接撮影による胸部全域のエックス線写真をいう。以下同じ。)による検査 2 エックス線写真による検査の結果、じん肺の所見があると診断された者のうち、原発性肺がんにかかっている疑いがないと診断された者以外の者については、医師が必要と認める場合、胸部らせんCT検査及び喀痰かくたん細胞診 |
令第23条第3号の業務(じん肺管理区分が管理3の者に限る。) |
年に1回 |
1 粉じん作業についての職歴の調査及びエックス線写真(直接撮影による胸部全域のエックス線写真をいう。以下同じ。)による検査 2 胸部に関する臨床検査及び肺機能検査。ただし、肺機能検査については、エックス線写真による検査の結果、一側の肺野の三分の一を超える大きさの大陰影(じん肺によるものに限る。)があると認められる者、結核精密検査の結果、肺結核にかかっていると診断された者並びにエックス線写真による検査、胸部に関する臨床検査及び肺結核以外の合併症に関する検査の結果、じん肺の所見があり、かつ、肺結核以外の合併症にかかっていると診断された者を除く。 3 エックス線写真による検査及び胸部に関する臨床検査の結果、じん肺の所見があると診断された者のうち、肺結核にかかっており、又はかかっている疑いのある者については結核精密検査 エックス線写真による検査及び胸部に関する臨床検査の結果、じん肺の所見があると診断された者のうち、原発性肺がんにかかっている疑いがないと診断された者以外の者については、医師が必要と認める場合、胸部らせんCT検査及び喀痰かくたん細胞診 エックス線写真による検査及び胸部に関する臨床検査の結果、じん肺の所見があると診断された者のうち肺結核及び原発性肺がん以外の合併症にかかっている疑いがあると診断された者(肺結核及び原発性肺がん以外の合併症に関する検査を受けることが医師により必要であると認められた者に限る。)については、肺結核及び原発性肺がん以外の合併症に関する検査 ただし、エックス線写真に一側の肺野の三分の一を超える大きさの大陰影(じん肺によるものに限る。)があると認められる者を除く。 |
令第23条第4号の業務 |
6カ月に1回 |
1 業務の経歴の調査 2 たん、せき、胸痛、鼻腔くう、皮膚等の他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査 3 たん、せき、胸痛、鼻腔くう、皮膚等の他覚症状又は自覚症状の有無の検査 4 エックス線写真(直接撮影による胸部全域のエックス線写真をいう。)による検査 5 前各号の調査又は検査の結果に基づき、医師が必要と認める者については、特殊な撮影法による胸部のエックス線写真による検査、喀痰かくたんの細胞診、気管支ファイバースコピー検査若しくは気管支鏡検査(医師が必要と認める場合には、生検及び病理学的検査)又は皮膚の病理学的検査 |
令第23条第5号の業務 |
6カ月に1回 |
1 業務の経歴の調査 2 せき、たん、口内炎、下痢、便秘、体重減少、知覚異常、皮膚等の他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査 3 たん、せき、食欲不振、体重減少、知覚異常、鼻腔くう、皮膚等の他覚症状又は自覚症状の有無の検査 4 エックス線写真(直接撮影による胸部全域のエックス線写真をいう。)による検査 5 前各号の調査又は検査の結果に基づき、医師が必要と認める者については、肝機能検査、赤血球系の血液検査、尿中の砒ひ素化合物(砒ひ酸、亜砒ひ酸又はメチルアルソン酸に限る。)の量の測定、特殊な撮影法による胸部エックス線写真による検査、喀痰かくたんの細胞診、気管支ファイバースコピー検査若しくは気管支鏡検査(医師が必要と認める場合は、生検及び病理学的検査)又は皮膚の病理学的検査 |
令第23条第6号の業務 |
6カ月に1回 |
1 業務の経歴の調査 2 たん、せき、胸痛、食欲不振、皮膚等の他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査 3 たん、せき、胸痛、皮膚等の他覚症状又は自覚症状の有無の検査 4 エックス線写真(直接撮影による胸部全域のエックス線写真をいう。)による検査 5 前各号の調査又は検査の結果に基づき、医師が必要と認める者については、特殊な撮影法による胸部エックス線写真による検査、喀痰かくたんの細胞診、気管支ファイバースコピー検査若しくは気管支鏡検査(医師が必要と認める場合は、生検及び病理学的検査)又は皮膚の病理学的検査 |
令第23条第7号の業務 |
6カ月に1回 |
1 業務の経歴の調査 2 たん、せき、胸痛、体重減少等の他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査 3 たん、せき、胸痛、体重減少等の他覚症状又は自覚症状の有無の検査 4 エックス線写真(直接撮影による胸部全域のエックス線写真をいう。)による検査 5 前各号の調査又は検査の結果に基づき、医師が必要と認める者については、特殊な撮影法による胸部エックス線写真による検査、喀痰かくたんの細胞診、気管支ファイバースコピー検査若しくは気管支鏡検査(医師が必要と認める場合は、生検及び病理学的検査) |
令第23条第8号の業務 |
6カ月に1回 |
1 業務の経歴の調査 2 乾性せき、たん、咽いん頭痛、のどのいらいら、胸痛、胸部不安感、息切れ、動悸き、息苦しさ、倦けん怠感、食欲不振、体重減少等の他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査 3 乾性せき、たん、咽いん頭痛、のどのいらいら、胸痛、胸部不安感、息切れ、動悸き、息苦しさ、倦けん怠感、食欲不振、体重減少、皮膚等の他覚症状又は自覚症状の有無の検査 4 肺活量の測定 5 エックス線写真(直接撮影による胸部全域のエックス線写真をいう。)による検査 6 前各号の調査又は検査の結果に基づき、医師が必要と認める者については、胸部理学的検査、肺換気機能検査、肺拡散機能検査、心電図検査、尿中若しくは血液中のベリリウム量の測定、皮膚貼てん付試験又はヘマトクリット値の測定 |
令第23条第9号の業務 |
6カ月に1回 |
1 業務の経歴の調査 2 乾性せき、たん、胸痛、鼻汁、鼻出血、嗅きゅう覚脱失、副鼻腔くう炎、鼻ポリープ、皮膚等の他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査 3 乾性せき、たん、胸痛、鼻汁、鼻出血、嗅きゅう覚脱失、副鼻腔くう炎、鼻ポリープ、頸けい部等のリンパ腺の肥大、皮膚等の他覚症状又は自覚症状の有無の検査 4 エックス線写真(直接撮影による胸部全域のエックス線写真をいい、左右いずれかの側面から撮影した写真を含む。)による検査 5 前各号の調査又は検査の結果に基づき、医師が必要と認める者については、特殊な撮影法による胸部エックス線写真による検査、喀痰かくたんの細胞診、気管支ファイバースコピー検査若しくは気管支鏡検査(医師が必要と認める場合は、生検及び病理学的検査)、頭部のエックス線写真による検査、血液検査(血液像を含む。)、リンパ腺の病理組織学的検査又は皮膚の病理組織学的検査 |
令第23条第10号の業務 |
6カ月に1回 |
1 業務の経歴の調査 2 頭痛、めまい、耳鳴り、全身倦けん怠感、易疲労感、食欲不振、不定の上腹部症状、黄疸だん、黒色便、手指の蒼そう白、肝疾患、疼痛等の他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査 3 頭痛、めまい、耳鳴り、全身倦けん怠感、易疲労感、不定の上腹部症状、黄疸だん、黒色便、手指の疼痛、肝又は脾ひの腫しゅ大等の他覚症状又は自覚症状の有無の検査 4 肝機能検査(血清ビリルビン、GOT、GPT、AL―p) 5 エックス線写真(直接撮影による胸部全域のエックス線写真をいう。)による検査 6 前各号の調査又は検査の結果に基づき、医師が必要と認める者については、血小板数、γ―GTP、ZTT、ICG、LDH若しくは血清脂質の検査、特殊な撮影法による胸部のエックス線写真による検査、肝若しくは脾ひのシンチグラムによる検査又は中枢神経系の神経医学的検査 |
令第23条第11号の業務 |
6カ月に1回(右欄第5号の①に該当し実施する、特殊な撮影法による胸部エックス線写真による検査については原則年1回) |
1 業務の経歴の調査 2 石綿によるせき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査 3 せき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状又は自覚症状の有無の検査 4 エックス線写真(直接撮影による胸部全域のエックス線写真をいう。)による検査 5 前号の検査の結果、次のいずれかに該当し、医師が必要と認めるときは、特殊な撮影法による胸部エックス線写真による検査 ① 石綿による、びまん性胸膜肥厚、石灰化胸膜プラーク等の陰影により、異常な陰影(石綿肺による線維増殖性の変化によるものを除く。以下同じ。)が読影しづらい場合(両肺野に石綿による不整形陰影がある場合を除く。) ② 異常な陰影がある場合 6 前二号の検査の結果、異常な陰影がある場合で、医師が必要と認めるときは、喀痰の細胞診又は気管支ファイバースコピー検査若しくは気管支鏡検査(医師が必要と認める場合は、生検及び病理学的検査) |
別表2
業務の区分 |
回数 |
項目 |
粉じん作業(じん肺法(昭和35年法律第30号)第2条第1項第3号に規定する粉じん作業をいう。以下同じ。)に係る業務(じん肺管理区分が管理2の者に限る。) |
年に1回 |
1 粉じん作業についての職歴の調査及びエックス線写真(直接撮影による胸部全域のエックス線写真をいう。以下同じ。)による検査 2 エックス線写真による検査の結果、じん肺の所見があると診断された者のうち、原発性肺がんにかかっている疑いがないと診断された者以外の者については、医師が必要と認める場合、胸部らせんCT検査及び喀痰かくたん細胞診 |
粉じん作業に係る業務(じん肺管理区分が管理3の者に限る。) |
年に1回 |
1 粉じん作業についての職歴の調査及びエックス線写真(直接撮影による胸部全域のエックス線写真をいう。以下同じ。)による検査 2 胸部に関する臨床検査及び肺機能検査。ただし、肺機能検査については、エックス線写真による検査の結果、一側の肺野の三分の一を超える大きさの大陰影(じん肺によるものに限る。)があると認められる者、結核精密検査の結果、肺結核にかかっていると診断された者並びにエックス線写真による検査、胸部に関する臨床検査及び肺結核以外の合併症に関する検査の結果、じん肺の所見があり、かつ、肺結核以外の合併症にかかっていると診断された者を除く。 3 エックス線写真による検査及び胸部に関する臨床検査の結果、じん肺の所見があると診断された者のうち、肺結核にかかっており、又はかかっている疑いのある者については結核精密検査 エックス線写真による検査及び胸部に関する臨床検査の結果、じん肺の所見があると診断された者のうち、原発性肺がんにかかっている疑いがないと診断された者以外の者については、医師が必要と認める場合、胸部らせんCT検査及び喀痰かくたん細胞診 エックス線写真による検査及び胸部に関する臨床検査の結果、じん肺の所見があると診断された者のうち肺結核及び原発性肺がん以外の合併症にかかっている疑いがあると診断された者(肺結核及び原発性肺がん以外の合併症に関する検査を受けることが医師により必要であると認められた者に限る。)については、肺結核及び原発性肺がん以外の合併症に関する検査 ただし、エックス線写真に一側の肺野の三分の一を超える大きさの大陰影(じん肺によるものに限る。)があると認められる者を除く。 |
石綿(これをその重量の0.1パーセントを超えて含有する製剤その他の物を含む。)の取扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務 |
6カ月に1回(右欄第5号の①に該当し実施する、特殊な撮影法による胸部エックス線写真による検査については原則年1回) |
1 業務の経歴の調査 2 石綿によるせき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査 3 せき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状又は自覚症状の有無の検査 4 エックス線写真(直接撮影による胸部全域のエックス線写真をいう。)による検査 5 前号の検査の結果、次のいずれかに該当し、医師が必要と認めるときは、特殊な撮影法による胸部エックス線写真による検査 ① 石綿による、びまん性胸膜肥厚、石灰化胸膜プラーク等の陰影により、異常な陰影(石綿肺による線維増殖性の変化によるものを除く。以下同じ。)が読影しづらい場合(両肺野に石綿による不整形陰影がある場合を除く。) ② 異常な陰影がある場合 6 前二号の検査の結果、異常な陰影がある場合で、医師が必要と認めるときは、喀痰の細胞診又は気管支ファイバースコピー検査若しくは気管支鏡検査(医師が必要と認める場合は、生検及び病理学的検査) |