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通達:労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について

 

労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について

平成21年3月11日基発第0311001号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

改正 平成27年3月31日基発0331第9号

 

労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成21年厚生労働省令第23号。以下「改正省令」という。)が平成21年3月2日に公布され、一部の規定を除き平成21年6月1日から施行することとされたところであるが、その改正の趣旨、内容等については、下記のとおりであるので、その施行に遺漏なきを期されたい。

 

第1 改正の趣旨

1 結核健康診断関係

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)等に基づく結核に係る健康診断の内容及び専門家による検討結果を踏まえ、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第46条に規定する結核健康診断について、所要の改正を行ったものであること。

2 足場等関係

足場からの墜落災害の発生状況及び専門家による検討結果を踏まえ、足場、架設通路及び作業構台(以下「足場等」という。)からの墜落及び物体の落下(以下「墜落等」という。)に係る労働災害防止対策の強化を図ることとし、安衛則第552条等について、所要の改正を行ったものであること。

 

2 改正の要点

1 学校保健法(昭和33年法律第56号)の改正に伴う改正(安衛則第13条及び第44条の2関係)

学校保健法等の一部を改正する法律(平成20年法律第73号)の施行に伴い、所要の改正を行ったものであること。

2 結核健康診断の廃止(安衛則第44条、第46条及び様式第5号関係)

(1) 安衛則第43条、第44条、第45条又は第45条の2の健康診断の際結核発病のおそれがあると診断された労働者に対し、その後おおむね6月後に行わなければならないこととされている健康診断を廃止すること。(安衛則第46条関係)

(2) 安衛則第46条の改正に伴い、所要の改正を行ったものであること。(安衛則第44条及び様式第5号関係)

3 事業者は、架設通路の墜落の危険のある箇所には、次に掲げる設備(丈夫な構造の設備であって、たわみが生ずるおそれがなく、かつ、著しい損傷、変形又は腐食がないものに限る。)を設けなければならないものとしたこと。ただし、作業上やむを得ない場合は、必要な部分を限って臨時にこれを取りはずすことができるものとしたこと。(安衛則第552条関係)

(1) 高さ85センチメートル以上の手すり

(2) 高さ35センチメートル以上50センチメートル以下のさん又はこれと同等以上の機能を有する設備(以下「中さん等」という。)

4 事業者は、足場(一側足場を除く。(1)において同じ。)における高さ2メートル以上の作業場所には、次に定めるところにより、作業床を設けなければならないものとしたこと。(安衛則第563条関係)

(1) 墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、わく組足場(妻面に係る部分を除く。以下同じ。)にあってはア又はイ、わく組足場以外の足場にあってはウに掲げる設備(丈夫な構造の設備であつて、たわみが生ずるおそれがなく、かつ、著しい損傷、変形又は腐食がないものに限る。)を設けるものとしたこと。ただし、作業の性質上これらの設備を設けることが著しく困難な場合又は作業の必要上臨時にこれらの設備を取りはずす場合において、防網を張り、労働者に安全帯を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じたときは、この限りでないこと。

ア 交さ筋かい及び高さ15センチメートル以上40センチメートル以下のさん若しくは高さ15センチメートル以上の幅木又はこれらと同等以上の機能を有する設備

イ 手すりわく

ウ 高さ85センチメートル以上の手すり又はこれと同等以上の機能を有する設備(以下「手すり等」という。)及び中さん等

(2) 作業のため物体が落下することにより、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、高さ10センチメートル以上の幅木、メッシュシート若しくは防網又はこれらと同等以上の機能を有する設備(以下「幅木等」という。)を設けるものとしたこと。ただし、(1)の規定に基づき設けた設備が幅木等と同等以上の機能を有する場合又は作業の性質上幅木等を設けることが著しく困難な場合若しくは作業の必要上臨時に幅木等を取りはずす場合において、立入区域を設定したときは、この限りでないこと。

5 事業者は、足場(つり足場を除く。)における作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、作業を行う箇所に設けた4の(1)のアからウまでに掲げる設備の取りはずし及び脱落の有無について点検し、異常を認めたときは、直ちに補修しなければならないものとしたこと。(安衛則第567条関係)

6 事業者は、強風、大雨、大雪等の悪天候若しくは中震以上の地震又は足場の組立て、一部解体若しくは変更(7において「悪天候等」という。)の後において、足場における作業を行うときは、作業を開始する前に、次の事項について、点検し、異常を認めたときは、直ちに補修しなければならないものとしたこと。(安衛則第567条関係)

(1) 4の(1)のアからウまでに掲げる設備の取りはずし及び脱落の有無

(2) 幅木等の取付状態及び取りはずしの有無

7 事業者は、悪天候等の後において足場における作業を開始する前に行う点検について、次の事項を記録し、足場を使用する作業を行う仕事が終了するまでの間、これを保存しなければならないものとしたこと。(安衛則第567条関係)

(1) 当該点検の結果

(2) (1)の結果に基づいて補修等の措置を講じた場合にあっては、当該措置の内容

8 事業者は、つり足場における作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、6の(1)及び(2)に掲げる事項について、点検し、異常を認めたときは、直ちに補修しなければならないものとしたこと。(安衛則第568条関係)

9 事業者は、作業構台の高さ2メートル以上の作業床の端で、墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、手すり等及び中さん等(それぞれ丈夫な構造の設備であつて、たわみが生ずるおそれがなく、かつ、著しい損傷、変形又は腐食がないものに限る。)を設けるものとしたこと。ただし、作業の性質上手すり等及び中さん等を設けることが著しく困難な場合又は作業の必要上臨時に手すり等又は中さん等を取りはずす場合において、防網を張り、労働者に安全帯を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じたときは、この限りでないこと。(安衛則第575条の6関係)

10 事業者は、作業構台における作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、作業を行う箇所に設けた手すり等及び中さん等の取りはずし及び脱落の有無について点検し、異常を認めたときは、直ちに補修しなければならないものとしたこと。(安衛則第575条の8関係)

11 事業者は、強風、大雨、大雪等の悪天候若しくは中震以上の地震又は作業構台の組立て、一部解体若しくは変更(12において「悪天候等」という。)の後において、作業構台における作業を行うときは、作業を開始する前に、手すり等及び中さん等の取りはずし及び脱落の有無について、点検し、異常を認めたときは、直ちに補修しなければならないものとしたこと。(安衛則第575条の8関係)

12 事業者は、悪天候等の後において作業構台における作業を開始する前に行う点検について、次の事項を記録し、作業構台を使用する作業を行う仕事が終了するまでの間、これを保存しなければならないものとしたこと。(安衛則第575条の8関係)

(1) 当該点検の結果

(2) (1)の結果に基づいて補修等の措置を講じた場合にあっては、当該措置の内容

13 注文者は、請負人の労働者に、足場を使用させるときは、当該足場について次の措置を講じなければならないものとしたこと。(安衛則第655条関係)

(1) 強風、大雨、大雪等の悪天候又は中震以上の地震の後においては、足場における作業を開始する前に、6の(1)及び(2)に掲げる事項について点検し、危険のおそれがあるときは、速やかに修理するものとしたこと。

(2) 強風、大雨、大雪等の悪天候又は中震以上の地震の後において足場における作業を開始する前に行う点検について、次の事項を記録し、足場を使用する作業を行う仕事が終了するまでの間、これを保存しなければならないものとしたこと。

ア 当該点検の結果

イ アの結果に基づいて修理等の措置を講じた場合にあっては、当該措置の内容

14 注文者は、請負人の労働者に、作業構台を使用させるときは、当該作業構台について、次の措置を講じなければならないものとしたこと。(安衛則第655条の2関係)

(1) 強風、大雨、大雪等の悪天候又は中震以上の地震の後においては、作業構台における作業を開始する前に、手すり等及び中さん等の取りはずし及び脱落の有無について点検し、危険のおそれがあるときは、速やかに修理するものとしたこと。

(2) 強風、大雨、大雪等の悪天候又は中震以上の地震の後において作業構台における作業を開始する前に行う点検について、次の事項を記録し、作業構台を使用する作業を行う仕事が終了するまでの間、これを保存しなければならないものとしたこと。

ア 当該点検の結果

イ アの結果に基づいて修理等の措置を講じた場合にあっては、当該措置の内容

15 施行期日(改正省令附則第1条関係)

改正省令は、平成21年6月1日から施行することとしたこと。ただし、1及び2については、同年4月1日から施行することとしたこと。

16 経過措置(改正省令附則第2条関係)

2について、罰則の適用に関し必要な経過措置を定めたこと。

17 厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令(平成17年厚生労働省令第44号)の一部改正(改正省令附則第3条関係)

7、12、13(2)及び14(2)について、電磁的記録による記録及び保存を行うことができるものとすること。

 

第3 細部事項

1 安衛則第46条関係

安衛則第43条、第44条、第45条又は第45条の2の健康診断の際、結核発病のおそれがあると診断された労働者に対し、事業者は、健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針(平成8年健康診断結果措置指針公示第1号)に基づき、再検査又は精密検査受診を勧奨する必要があること。

また、健康診断結果にかかわらず、長引く咳等の結核を疑う症状が認められる労働者に対して、事業者が、速やかに医療機関への受診を勧奨するよう留意すること。

2 安衛則第552条関係

(1) 第4号の「丈夫な構造の設備であつて、たわみが生ずるおそれがなく、かつ、著しい損傷、変形又は腐食がないものに限る」とは、繊維ロープ等可撓性の材料で構成されるものについては認めない趣旨であること。

(2) 削除

(3) 第4号イ及びロの「高さ」とは、架設通路面から手すり又はさんの上縁までの距離をいうものであること。

(4) 第4号ロの「さん」とは、労働者の墜落防止のために、架設通路面と手すりの中間部に手すりと平行に設置される棒状の丈夫な部材をいうものであること。

(5) 第4号ロの「これと同等以上の機能を有する設備」には、次に掲げるものがあること。

ア 高さ35センチメートル以上の幅木

イ 高さ35センチメートル以上の防音パネル(パネル状)

ウ 高さ35センチメートル以上のネットフレーム(金網状)

エ 高さ35センチメートル以上の金網

オ 架設通路面と手すりの間において、労働者の墜落防止のために有効となるようにX字型に配置された2本の斜材

3 安衛則第563条関係

(1) 第1項第3号の「丈夫な構造の設備であつて、たわみが生ずるおそれがなく、かつ、著しい損傷、変形又は腐食がないものに限る」とは、繊維ロープ等可撓性の材料で構成されるものについては認めない趣旨であること。

(2) 削除

(3) 第1項第3号の「わく組足場(妻面に係る部分を除く。以下この号において同じ。)」とは、わく組足場のうち、妻面を除いた部分を対象とする趣旨であり、わく組足場の妻面に係る部分については、「わく組足場以外の足場」として、同号ハの措置を講じなければならないこと。

(4) 第1項第3号イの「高さ」とは、作業床からさんの上縁までの距離をいうものであること。

(5) 第1項第3号イの「さん」とは、労働者の墜落防止のために、交さ筋かいの下部のすき間に水平に設置される棒状の丈夫な部材をいうものであること。

(6) 第1項第3号イ及び第6号の「幅木」とは、つま先板ともいい、物体の落下及び足の踏みはずしを防止するために作業床の外縁に取り付ける木製又は金属製の板をいうものであること。

(7) 第1項第3号イの「これらと同等以上の機能を有する設備」には、次に掲げるものがあること。

ア 高さ15センチメートル以上の防音パネル(パネル状)

イ 高さ15センチメートル以上のネットフレーム(金網状)

ウ 高さ15センチメートル以上の金網

(8) 第1項第3号ロの「手すりわく」とは、作業床から高さ85センチメートル以上の位置に設置された手すり及び作業床から高さ35センチメートル以上50センチメートル以下の位置等に水平、鉛直又は斜めに設置されたさんより構成されたわく状の丈夫な側面防護設備であって、十分な墜落防止の機能を有するものをいうものであること。

なお、手すりわくについては、別図に示すものがあること。

(9) 第1項第3号ハの「高さ」とは、作業床から手すりの上縁までの距離をいうものであること。

(10) 第1項第3号ハの「これと同等以上の機能を有する設備」とは、次に掲げるものがあること。

ア 高さ85センチメートル以上の防音パネル(パネル状)

イ 高さ85センチメートル以上のネットフレーム(金網状)

ウ 高さ85センチメートル以上の金網

(11) 第1項第6号の「メッシュシート」とは、足場等の外側構面に設け、物体が当該構面から落下することを防止するために用いる網状のシートをいい、作業床と垂直方向に設けるものであること。

(12) 第1項第6号の「これらと同等以上の機能を有する設備」には、次に掲げるものがあること。

ア 高さ10センチメートル以上の防音パネル(パネル状)

イ 高さ10センチメートル以上のネットフレーム(金網状)

ウ 高さ10センチメートル以上の金網

(13) 第1項第6号のただし書の場合において、作業の必要上臨時に幅木等を取りはずしたときは、当該作業の終了後直ちに元の状態に戻しておかなければならないこと。

4 安衛則第567条関係

第3項の「足場を使用する作業を行う仕事が終了するまでの間」とは、それぞれの事業者が請け負った仕事を終了するまでの間であって、元方事業者にあっては、当該事業場におけるすべての工事が終了するまでの間をいうものであること。

5 安衛則第575条の6関係

(1) 第4号の「丈夫な構造の設備であつて、たわみが生ずるおそれがなく、かつ、著しい損傷、変形又は腐食がないものに限る」とは、繊維ロープ等可撓性の材料で構成されるものについては認めない趣旨であること。

(2) 削除

6 安衛則第575条の8関係

第3項の「作業構台を使用する作業を行う仕事が終了するまでの間」とは、それぞれの事業者が請け負った仕事を終了するまでの間であって、元方事業者にあっては、当該事業場におけるすべての工事が終了するまでの間をいうものであること。

7 安衛則第655条関係

第2項の「足場を使用する作業を行う仕事が終了するまでの間」とは、注文者(元方事業者)が請け負ったすべての仕事が終了するまでの間をいうものであること。

8 安衛則第655条の2関係

第2項の「作業構台を使用する作業を行う仕事が終了するまでの間」とは、注文者(元方事業者)が請け負ったすべての仕事が終了するまでの間をいうものであること。

 

第4 関係通達の改正

昭和43年6月14日付け安発第100号関係

同通達中の記の2を廃止する。

 

(別図)

手すりわくの例示(第3の3の(8)関係)

(1) 手すり及び労働者の墜落防止のために有効な水平材を有する設備

(作業床から高さ85センチメートル以上の位置に手すりがあり、かつ、高さ35センチメートル以上50センチメートル以下の位置に水平に設置されたさんを有する設備)

図


(2) 手すり及び労働者の墜落防止のために有効な斜材を2本以上有する設備

(作業床から高さ85センチメートル以上の位置に手すりがあり、かつ、作業床と手すりの間に労働者の墜落防止のために有効な斜材を2本以上有する設備)

図


(3) 手すり及び労働者の墜落防止のために有効な鉛直材を2本以上有する設備

(作業床から高さ85センチメートル以上の位置に手すりがあり、かつ、作業床と手すりの間に労働者の墜落防止のために有効な鉛直材を2本以上有する設備)

図