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鋼管足場用の部材及び附属金具の規格第25条の規定に基づく適用除外について(その49)
平成21年3月9日基発第0309003号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
標記について、別紙1の申請に対し、別紙2のとおり適用を除外する旨認定したので了知されたい。
○鋼管足場用の部材及び附属金具の規格第25条の規定に基づく適用除外の申請について
平成21年2月26日
(厚生労働省労働基準局長あて大阪府東大阪市長田中4―4―10(株)ピカ コーポレイション代表取締役通知)
鋼管足場用の部材及び附属金具の規格(昭和56年12月25日労働省告示第103号)第25条の規定に基づく適用除外を下記のとおり申請いたします。
記
1.申請品目
アルミニウム合金製開閉式足場板
STHR―F1550、STHR―M1550
STHR―F1250、STHR―M1250
STHR―F950、STHR―M950
2.適用除外条文
鋼管足場用の部材及び附属金具の規格
第1章 第4節 床付き布わく
第20条 第1項 材料等
・材料が鋼製の規格で定められている部分
第21条 第1号 構造
・床材が一体化されているものと定められている部分
3.規定と異なる部分
(1) 床材、布材及びはり材に、本体の軽量化のためにアルミニウム合金を用いている。
(2) 建枠にわく組足場用の階段を取付けると、階段部分の作業床が確保できないので、昇降時以外は作業床となるよう、足場板の床材の一部が開閉式になっているため、床材及び布材が一体化されていない構造である。
4.申請理由
(1) 別添83―556―00に示す申請品目のアルミニウム合金製開閉式足場板は、材料にアルミニウム合金を使用するため、鋼製のものに比べ軽量化が図られる。これにより、高所での重量作業に伴う墜落災害等の危険を軽減することができると考えられるため。
(2) 別添83―556―00に示す申請品目のアルミニウム合金製開閉式足場板は、足場板の床材の一部が開閉することにより昇降時以外は作業床となる。これにより、通常、階段等の昇降設備が設けられている部分は常に床が無い高所作業に伴う墜落災害等の危険を軽減することができると考えられるため。
5.その他の規格保持について
(1) 強度等の値について
基発第0313005号で取得した型式STHR―F1850は、最も長さが長く、最も強度的に低いものである。よって、本申請品目は前回適用除外を取得した型式と全く同じ構造で、長さが短くなっただけのものにより、強度はそれより高いと考えます。
以下、前回適用除外を取得した型式STHR―F1850の試験結果を表1―1~1―3に示す。
表1―1
型式 |
STHR―F1850 |
||||||
供試体No. |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
構造規格 |
|
たわみ及び曲げ試験 |
荷重1.95kN時の鉛直たわみ量(mm) |
7.8 |
7.7 |
7.7 |
8.2 |
7.3 |
11以下 |
|
中央部の最大強度(kN) |
8.0中止 |
8.0中止 |
8.0中止 |
8.0中止 |
8.0中止 |
4.90以上 |
供試体No. |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
構造規格 |
|
つかみ金具の本体及び取付部のせん断強度(kN) |
21.0 |
23.7 |
23.1 |
22.4 |
21.6 |
17.5以上 |
|
つかみ金具の外れ止めのせん断強度(kN) |
6.0中止 |
6.0中止 |
6.0中止 |
6.0中止 |
6.0中止 |
2.94以上 |
(試験実施年月日 平成17年9月2日)
表1―2
ハッチ部のたわみ及び踏み抜き試験 |
||||||
型式 |
STHR―F1850 |
|||||
供試体No. |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
|
たわみ及び踏み抜き試験 |
荷重1.95kN時の鉛直たわみ量(mm) |
2.0 |
1.7 |
1.8 |
2.0 |
1.4 |
中央部の最大強度(kN) |
8.0中止 |
8.0中止 |
8.0中止 |
8.0中止 |
8.0中止 |
(試験実施年月日 平成17年9月2日)
表1―3
ハッチ部の吹き上げ試験 |
|||||
型式 |
STHR―F1850 |
||||
供試体No. |
16 |
17 |
18 |
19 |
20 |
強度(kN) |
5.38 |
5.38 |
5.22 |
5.61 |
5.26 |
(試験実施年月日 平成17年9月2日)
(2) 材質及び構造について
次の表2に示すとおり、規格第20条(床材、布材及びはり材は除く)及び第21条(第1号を除く)の規定に適合するものであること。
表2
種類 |
アルミニウム合金製 開閉式足場板 |
||
型式 |
① STHR―F1550 ② STHR―M1550 ③ STHR―F1250 ④ STHR―M1250 ⑤ STHR―F950 ⑥ STHR―M950 |
構造規格 |
|
材質 |
つかみ金具(単板型のもの) |
SS400 |
SS400(第20条) |
構造 |
床材間のすき間(mm) |
28±1 |
30以下(第21条第2号) |
|
長さ(mm) |
① 1524 ② 1500 ③ 1219 ④ 1200 ⑤ 914 ⑥ 900 |
1850以下(第21条第3号) |
|
幅(mm) |
500 +0/-2 |
240以上500以下(第21条第4号) |
|
つかみ金具の取付方法 |
ボルトとナットにて取付け、固定する。 |
溶接又はリベット等により接合したもの。(第21条第6号) |
|
つかみ金具板厚(mm)(単板型のもの) |
8±0.55 |
7.2以上(第21条第7号) |
|
つかみ金具の外れ止めの有無 |
有 |
有(第21条第8号) |
6.規格第20条及び第21条第1号の規格と異なる部分に関する検討
(1) 本申請品は、床材、布材及びはり材に押出加工により成形されたアルミニウム合金材を使用するものである。
規格第20条では、床材、布材及びはり材の材料をJIS G 3131に定める1種(SPHC)の規格等のものと定めているのに対し、本製品はJIS H 4100(A6N01S―T5及びA6063S―T5)に定めるアルミニウム合金材を使用している。
材料による強度低下を補うために、アルミニウム合金の押出し形材の利点を生かし、たとえば主材にはリップ部を設けるなどの(83―556―00参照)、断面性能を向上させるための設計を行っている。
これらにより、表1―1のように強度的には問題ないものと考えられる。
(2) 規格第21条第1号では、床材、布材及びはり材を溶接し、又は折り曲げ加工等により一体化された床材及び布材にはり材を溶接したものであることと定めているのに対し、本品は、床材の一部が開閉する構造である。主枠は、押出し材による主材とつなぎ材から構成されており、これらを溶接にて一体化し剛性を確保している。床材も押出し材による床板と端版により構成されており、同様に溶接にて一体化し、剛性を確保している。主枠と、開閉可能な床材はリベットで蝶番を介して一体化されており、開口部側においては、開閉可能な床材が主枠に載りかかる構造で、開閉可能な床材には風の吹き上げなどによる浮き上がりを防止するための、ロック機構が設けてある(83―556―00参照)。また、床材が急に閉じる危険を防ぐため、および、階下の作業者が床板をあけることによる階上の作業者の墜落する危険を防ぐため、足場板裏側に71―787―00のラベルを貼付し、作業者に注意を喚起する。
床材の一部が開閉する足場板の強度等は、前述のとおり、床材、布材及びはり材を溶接し、又は折り曲げ加工等により一体化された床材及び布材にはり材を溶接したものと、同等以上の強度等を有すると考えられる。
7.その他本申請品の特徴に関する検討
第21条第6号では、つかみ金具の取付方法を溶接又はリベット等により接合したものとあるが、本申請品はボルトとナットで取付け固定している。ボルトでの固定は、別添3及び社団法人仮設工業会において行った試験の結果により、溶接又はリベット接合のものと同等以上の強度を有すると考えられる。また、ナットはゆるみ止めナットを使用しており、容易にボルトが外れない構造になっている。
別添2
(ハッチ部の踏み抜き試験)
エキスパンドメタル製の床材で構成された床付き布わくのたわみ及び踏み抜き試験に準じ、ハッチ部の中央部に鉛直荷重をかけ、鉛直たわみ量及び荷重の最大値を測定する。
(ハッチ部の吹き上げ試験)
次の図に示すように、床付き布枠を試験機に設置し、床付き布わくの裏側からハッチ部の中央部に鉛直荷重をかけ、荷重の最大値を測定する。
備考
加圧材Aは、踏み抜き試験に用いたものと同じものとする。
別添3
(1) ボルトの使用について
本申請品は、つかみ金具に穴加工を施し、布わくとの直接緊結方式としてボルト・ナットを採用しています。
以下に、ボルトの仕様及び強度検討を行います。
(2) ボルトの仕様
① 品名:六角ボルト
② 形状:M8×25
③ 材質:SUS304
④ 材料強度:700N/mm2
⑤ 直径:外径8mm
⑥ 有効断面積:36.6mm2(JIS B 1082参照)
(3) ボルト1本のせん断破壊強度
せん断破壊強度=材料強度(引張強さ)×(1/√3)×ボルトの有効断面積
=700×(1/√3)×36.6
=14791(N)
=14.79(kN)
(4) つかみ金具部の反力
① つかみ金具の本体及び取付部のせん断試験より、
P(kN)の最小値が幅(mm)×3.5×10-2以上なので、
500×3.5×10-2=17.5(kN)
② つかみ金具1ヶ所当たりに加わる負担荷重(試験荷重)P1は
P1=17.5/4=4.38(kN)
(5) 取付ボルトの強度
① ボルトに加わる反力の計算
つかみ金具に作用する反力をR1とすると、
R1=P1×77/35=9.64(kN)
同様に、反力R2は、
R2=P1×112/35=14.02(kN)
つまり、これらがボルトに働くせん断荷重に等しい。
(6) つかみ金具のボルトの強度
つかみ金具1ヶ所の負担荷重(kN) |
ボルト1本のせん断破壊荷重(kN) |
計算による発生せん断荷重(kN) |
判定 |
4.38 |
14.79 |
14.02 |
試験荷重では破壊しない |
以上の強度計算結果により、同等以上であることが確認されました。
○鋼管足場用の部材及び附属金具の規格第25条の規定に基づく適用除外について
平成21年3月9日基発第0309002号
(株式会社 ピカ コーポレイション代表取締役あて厚生労働省労働基準局長通知)
平成21年3月2日付け文書をもって申請のあった下記部材に係る標記については、申請のとおり認めるので通知する。
記
床付き布わく
STHR―F1550、STHR―M1550
STHR―F1250、STHR―M1250
STHR―F950、STHR―M950