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通達:建築物の解体等作業における石綿による労働者の健康障害防止対策の徹底について

 

建築物の解体等作業における石綿による労働者の健康障害防止対策の徹底について

平成20年9月19日基安発第0919002号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部長通知)

 

石綿による労働者の健康障害防止対策については、石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)等により、石綿粉じんのばく露防止対策の徹底を図っているところであるが、今後も、対策の充実を図っていく必要があるため、平成19年11月より、学識経験者を参集し、「建築物の解体等における石綿ばく露防止対策等検討会」を8回にわたり開催し、検討を進めてきたところ、今般、その報告書が別添1のとおり取りまとめられた。

今後、本報告書を踏まえ、関係法令の整備について検討を行い、必要に応じ関係法令の整備を行うこととしているが、本報告書において指摘のあった事項については、速やかに実施されることが望ましいことから、今般、関係事業者団体等に対し別添2のとおり、建築物の解体等作業における石綿ばく露防止対策の徹底について依頼したところであるので、了知するとともに、関係事業者等に対する指導等に際しては遺漏なきを期されたい。

 

[別添1]

建築物の解体等における石綿ばく露防止対策等検討会報告書

平成20年9月

目次

第1部 はじめに

第2部 石綿の使用状況及びばく露防止に係る規制の現状について

第3部 検討の範囲、視点等について

第4部 各検討事項及び検討結果

第5部 石綿ばく露防止対策の促進について

 

第1部 はじめに

1 経緯

石綿は、その粉じんを吸入することにより、肺がん、中皮腫等の重篤な健康障害を引き起こすおそれがあることから、労働安全衛生法施行令の改正により、平成18年9月に、石綿含有製品の製造等が全面的に禁止されたところである。一方、これまで輸入されてきた石綿の大半は、建材として建築物に使用され、現在においても石綿が使用されている建築物は相当数存在している。今後、このような建築物の解体等の作業が増加することが予想されることから、かかる作業に伴って発生する石綿粉じんへのばく露防止対策を徹底することが重要である。

建築物の解体等の作業における石綿ばく露防止対策等については、過去においては、特定化学物質等障害予防規則等において、現在においては、平成17年7月に施行された石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号。以下「石綿則」という。)等において様々な措置が規定されている。

厚生労働省では、石綿則等に規定された措置の徹底を図るとともに、石綿則の施行後に明らかとなった作業の実態に係る知見を踏まえて平成18年9月に石綿則の改正を行い、吹付け石綿等の封じ込め作業等における隔離の措置等を義務付ける等、石綿ばく露防止対策の充実を図ってきているところであるが、今後とも、関係法令の遵守状況、建築物の解体等の作業の実態、科学的知見の集積状況等を踏まえて石綿則の見直しを行う等、石綿ばく露防止対策に十全を期す必要がある。

このため、今般、学識経験者を参集し、「建築物の解体等における石綿ばく露防止対策等検討会」(座長:名古屋俊士 早稲田大学理工学術院創造理工学部教授)を8回にわたり開催し、本報告書を取りまとめた。

2 「建築物の解体等における石綿ばく露防止対策等検討会」参集者名簿

(五十音別:敬称略)

菊池雅史 明治大学理工学部建築学科教授

工藤光弘 中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター上席専門役

神山宣彦 東洋大学経済学部教授

小西淑人 社団法人日本作業環境測定協会調査研究部長

白石栄司 建設業労働災害防止協会教育部長

○ 名古屋俊士 早稲田大学理工学術院創造理工学部教授

松村芳美 社団法人産業安全技術協会参与

本橋健司 独立行政法人建築研究所材料・建築生産研究グループ長

森永謙二 独立行政法人労働安全衛生総合研究所健康障害予防研究グループ部長

○:座長

※ 参集者の所属、役職は、第1回検討会開催時のもの

3 検討会開催状況

第1回 平成19年11月26日(月)

・ 石綿ばく露防止対策等について

・ 今後の進め方について

第2回 平成20年1月15日(火)

・ 石綿ばく露防止対策等の課題について

第3回 平成20年2月14日(木)

・ 関係業界団体ヒアリング

第4回 平成20年3月13日(木)

・ 関係業界団体ヒアリング

第5回 平成20年4月25日(金)

・ 課題等を踏まえた必要な対策についての検討・整理

第6回 平成20年5月23日(金)

・ 課題等を踏まえた必要な対策についての検討・整理

第7回 平成20年6月13日(金)

・ 課題等を踏まえた必要な対策についての検討・整理

・ 報告書案について

第8回 平成20年8月19日(火)

・ 報告書案について

 

第2部 石綿の使用状況及びばく露防止に係る規制の現状について

1 我が国における石綿の使用状況

石綿とは、天然に産出する繊維状けい酸塩鉱物の一部の俗称で、国際労働機関(ILO)が1986年に採択したいわゆる石綿条約においては、石綿を「石綿とは蛇紋石族造岩鉱物に属す繊維状けい酸塩鉱物であるクリソタイル及び角閃石族造岩鉱物に属す繊維状けい酸塩鉱物であるアクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クロシドライト、トレモライト、あるいはこれらを一つ以上含む混合物をいう」と定義しており、現在、我が国も同条約を批准の上、同様のものを規制の対象としている。

石綿は、織物として織ることができ(紡織製)、他の繊維状物質と比べて、耐熱性・耐摩耗性・耐薬品性・耐腐食性・絶縁性・抗張性に優れ、価格が安い等、産業用として多くの優れた性質を有することから、建材のほか、自動車分野、化学設備分野、産業機械分野、電車・船舶等の陸・海運の輸送分野、ボイラ等のエネルギー分野等、非常に多くの業種で石綿を含有する製品が使用されてきた。我が国においても、スレート材等の建材のほか、化学設備等において使用されるシール材、産業機械のブレーキ等の摩擦材、接着剤、石綿を織り込んだ紡織品、石綿紙等、非常に広範囲な分野でその製品が使用されてきた(表2.1参照)。

このような石綿及び石綿含有製品については、我が国では明治20年代から輸入が始まり、第2次世界大戦で輸入が一時中断した後、1950年以後、年々輸入量が増加していった。1974年に輸入量が35万2千トンに達しピークを迎えた後、増減を繰り返しながら徐々に減少し、国際労働機関における石綿条約の採択(1986年)や政府の石綿使用抑制政策等により、1990年以降は、その輸入量は急速に減少し、2000年には10万トンを切り、2006年以降は輸入されていない(図2.1参照)。

なお、(社)日本石綿協会が発表した石綿の使用状況によると、昭和61年には輸入量の78%が、平成8年には輸入量の93%が石綿セメント製品(建材)に使用、とされている(図2.2参照)等、輸入した石綿の大部分は建築物に使用されていると考えられる。

2 石綿の健康影響及び労働者の健康障害防止のための取組について

現在、石綿含有製品については、国民の安全上の観点等から代替化が困難な一部の製品を除き、その製造、使用等が全面的に禁止されるとともに、建築物等の解体等の作業における石綿粉じんへのばく露防止対策については、石綿則等によりその徹底を図っているところである。今後は、過去に使用され、現在まで引き続き使用され続けている建材等の除去等の作業の増加が見込まれることから、これまで以上に石綿粉じんのばく露防止対策を徹底することが必要である。

なお、石綿粉じんのばく露防止対策にあたっては、石綿が過去に使用されてきた製品についての情報を把握することが重要である。

3 労働安全衛生関係法令における石綿粉じんばく露防止対策に関する規制について

石綿粉じんへのばく露防止対策等については、過去においては、特定化学物質等障害予防規則等において、現在においては、平成17年7月に施行された石綿則等において様々な措置が規定されている。現在規定されている主な措置の概要については、以下のとおりである。

(1) 建築物の解体等に係る措置

ア 事前調査(石綿則第3条関係)

事業者は、建築物等の解体等の作業、封じ込め又は囲い込みの作業を行うときは、あらかじめ、石綿の使用の有無を目視、設計図書等により調査し、その結果を記録しておかなければならない。また、調査の結果、石綿の使用の有無が明らかとならなかったときは、分析調査し、その結果を記録しておかなければならないこととされている。

ただし、石綿等が吹き付けられていないことが明らかで、石綿が使用されているとみなして対策を講ずる場合、分析調査の必要はないこととされている。

イ 作業計画(石綿則第4条関係)

事業者は、石綿が使用されている建築物等の解体等、封じ込め又は囲い込みの作業を行うときは、あらかじめ次の事項が示された作業計画を定め、当該作業計画により作業を行わなければならないこととされている。

① 作業の方法及び順序

② 石綿粉じんの発散を防止し、又は抑制する方法

③ 労働者への石綿粉じんのばく露を防止する方法

ウ 届出(安衛則第90条関係、石綿則第5条関係)

耐火建築物又は準耐火建築物における吹付け石綿の除去作業(※)については、工事開始の14日前までに所轄労働基準監督署長に届け出なければならないこととされている。

また、次の作業については、工事開始前までに所轄労働基準監督署長に届け出なければならないこととされている。

① 石綿含有保温材、石綿含有耐火被覆材、石綿含有断熱材の解体等の作業

② 封じ込め又は囲い込みの作業

③ (※)以外の吹付け石綿の除去作業

エ 特別教育(安衛則第36条、石綿則第27条関係)

事業者は、石綿が使用されている建築物等の解体等の作業、封じ込め又は囲い込みの作業に従事する労働者に対し、次の科目について教育を行わなくてはならないこととされている。

① 石綿の有害性

② 石綿等の使用状況

③ 石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置

④ 保護具の使用方法

⑤ その他石綿等のばく露の防止に関し必要な事項

オ 作業主任者(石綿則第19条、第20条関係)

事業者は、石綿作業主任者を選任し、次の事項を行わせなければならないこととされている。

① 作業に従事する労働者が石綿粉じんにより汚染され、又はこれらを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること。

② 保護具の使用状況を監視すること。

カ 保護具等、器具等(石綿則第10条第2項、第14条、第32条の2、第44条から第46条関係)

① 石綿を含む建材等の解体等、封じ込め又は囲い込みの作業をするときは、労働者に呼吸用保護具(防じんマスク)、作業衣又は保護衣を使用させなければならないこととされている。

② 労働者を臨時に就業させる建築物の壁等に吹き付けられた石綿等が損傷、劣化等によりその粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、呼吸用保護具、保護衣又は作業衣を使用させなければならないこととされている。

③ 保護具等は、他の衣服から隔離して保管し、廃棄のために容器等に梱包したとき以外は、付着したものを除去した後でなければ作業場外に持ち出してはならないこととされている。

④ 器具、工具、足場等について、廃棄のために容器等に梱包したとき以外は、付着したものを除去した後でなければ作業場外に持ち出してはならないこととされている。

キ 湿潤化(石綿則第13条関係)

石綿を含む建材等の解体等、封じ込め又は囲い込みの作業等をするときは、それらを湿潤なものとしなければならないこととされている。

ク 隔離・立入禁止等(石綿則第6条、第7条、第15条関係)

① 吹付け石綿の除去、封じ込め又は吊りボルトを取り付ける等の囲い込みの作業を行うときは、当該作業場所をそれ以外の作業場所から隔離しなければならないこととされている。

② 石綿含有の保温材、耐火被覆材、断熱材の解体等の作業、①以外の囲い込みの作業を行うときは、当該作業に従事する労働者以外の者が立ち入ることを禁止し、その旨を表示しなければならないこととされている。

また、特定元方事業者は、関係請負人への通知、作業の時間帯の調整等必要な措置を講じなければならないこととされている。

③ その他の石綿を使用した建築物等の解体等の作業においても、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、その旨を表示しなければならないこととされている。

(2) 建築物の解体工事等の発注時における措置

建築物又は工作物の解体、改修等の工事を発注する場合は、直接工事を行う事業者にその労働者への石綿のばく露を防止するための措置を講ずることが義務付けられているが、工事の発注者も次のことに配慮しなければならないこととされている。

ア 情報の提供(石綿則第8条関係)

建築物等の解体工事等、封じ込め又は囲い込みの作業の発注者は、工事の請負人に対し、当該建築物等における石綿含有建材の使用状況等(設計図書等)を通知するよう努めなければならないこととされている。

イ 注文者の配慮(石綿則第9条関係)

建築物の解体工事等、封じ込め又は囲い込みの作業の注文者は、作業を請け負った事業者が、契約条件等により石綿による健康障害防止のための必要な措置を講ずることができなくなることのないよう、解体方法、費用等について、労働安全衛生法及びこれに基づく命令の遵守を妨げないよう配慮しなければならないこととされている。

(3) 建築物に吹き付けられた石綿の管理に係る措置

ア 労働者を就業させる建物に係る措置(石綿則第10条第1項関係)

事業者は、その労働者を就業させる建築物に吹き付けられた石綿等が損傷、劣化等により粉じんを発散させ、労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、当該吹付け石綿の除去、封じ込め、囲い込み等の措置を講じなければならないこととされている。

イ 建築物貸与者に対する措置(石綿則第10条第4項関係)

事務所又は工場の用に供される建築物の貸与者は、当該建築物の貸与を受けた2以上の事業者が共用する廊下の壁等に吹き付けられた石綿等が損傷、劣化等によりその粉じんを発散させ、労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、アと同様の措置を講じなければならないこととされている。

表2.1 主要石綿含有製品の用途一覧

製品名

使用部門

使用箇所

石綿含有製品

石綿糸

熱を使用する各部門

石綿布、パッキング

石綿布

造船、製鉄、自動車

防火カーテン、パッキング、蒸気管の蓋

 

石綿パッキング、ひも

機関車、製鉄、化学工業

ドアー、蓋の高熱部分のパッキング

 

石綿ゴム引きテープ

船舶、化学、機械、製紙

エンジンカバー、薬品層の蓋のテープ

 

石綿ゴム加工

船舶、発電所、機械、化学

パッキング

 

黒鉛塗石綿糸、ひも

鉄道、製鉄、電力、船舶、製紙、機械

パルプ、スピンドルのパッキング

 

ジョイントシート

蒸気を使用する部門

蒸気フランジのパッキング、平面部門の高熱パッキング

 

石綿板(ミルボード)

船舶、ガス、鉄鋼、自動車

防熱壁、パッキング、ガスケット(エンジン用)

 

ブレーキライニング

船舶、自動車、機械、鉄道

捲揚機、自動車のブレーキ部門

 

ランバー(ヘミット)

電気工業、鉄道

耐熱母体

 

電解隔膜

硫安工業、ソーダ工業

電気分解の隔膜

 

石綿紙

電気、ソーダ、ダイカスト保温

電線絶縁紙、電解隔膜

セメント製品

石綿スレート

一般、工場、家屋

防火壁

石綿円筒

一般、工場、家屋

煙突

 

石綿高圧管

電気、水道

上水道、電らん

その他

アスファルト混合

建築、自動車

屋根、自動車車体底部塗装、タイル

 

鋳鉄管ライニング

機械、土木

鋳鉄管

 

潤滑用グリース

機械

ベアリング用グリース

出典:平成15年度石綿の労働衛生対策報告書(中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター)

図

図2.1 日本の石綿輸入量の推移

出典:財務省輸入貿易統計

図

図2.2 日本の用途別石綿使用量(左:昭和61年(単位トン)、右:平成8年(単位千トン)、(社)日本石綿協会調べ)

出典:平成15年度 石綿の労働衛生対策報告書(中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター)

 

第3部 検討の範囲、視点等について

1 検討対象作業及び検討事項について

石綿含有製品については、平成18年9月1日以降、製造、使用等が全面的に禁止されていることから、今後、労働者が石綿粉じんにばく露するおそれのある作業としては、過去に使用された石綿含有製品の除去等に伴う作業がほとんどである。加えて、輸入された石綿の大部分が建材として使用されていることから、建築物の解体等の作業に係る石綿ばく露防止対策が検討の中心となる。

一方、石綿はその優れた性質から、様々な製品に使用されており、建築物の解体等の作業以外においても、様々な石綿含有製品の除去の作業が発生する可能性がある。

このため、本検討会においては、検討対象とする作業を建築物の解体等の作業とそれ以外の作業の二つに大別し、それぞれに係る現行の石綿ばく露防止対策について検討することとした。

(1) 建築物の解体等の作業について

建築物の解体等の作業を行うにあたっては、石綿則に基づき様々な措置が義務付けられていることから、石綿則の規定を対象として以下の事項について検討を行った。

ア 呼吸用保護具関係

イ 石綿粉じん濃度測定関係

ウ 隔離、湿潤化による石綿粉じん飛散防止措置関係

エ 保護衣、作業衣関係

オ 特別教育関係

カ 事前調査関係

(2) 建築物の解体等の作業以外の作業について

建築物の解体等の作業以外の作業については、どのような作業においてばく露するおそれが高く、どのような対策が必要かについて検討を行った。

2 検討の視点について

建築物の解体等の作業における石綿ばく露防止対策等については、平成17年に施行された石綿則等に基づく措置の徹底、平成18年の石綿則改正による対策等の充実を図っているところであるが、今後とも、継続的に情報収集を行い、必要に応じて石綿ばく露防止対策等の充実を図っていく必要がある。

検討に当たっては、必要に応じ各種業界団体に対するヒアリング等を行いつつ、関係法令の遵守状況、建築物の解体等の作業の実態、各種マニュアル等の実施状況、科学的知見の集積状況等を踏まえ、石綿ばく露防止対策に係る問題点を把握し、必要な対策について検討を行った。

3 検討結果の取りまとめについて

現在得られている科学的知見等に基づき、対策が必要と考えられるものについては、その方向性について検討結果を示すとともに、科学的知見が十分でない場合であっても、労働者に対し重大な危険が生じる可能性があると考えられるものについては、今後集積すべき科学的知見等の内容を示すとともに、現時点で行うべき対策がある場合はそれについても示すこととした。

 

第4部 各検討事項及び検討結果

本検討会による検討の結果、石綿ばく露防止対策等について、以下に示すとおり、その措置の充実を図ることが適当である。

1 建築物等の解体等の作業

(1) 呼吸用保護具の適切な選択

[現状と課題]

○ 石綿則第14条において、石綿則第13条第1項各号に掲げる作業について、呼吸用保護具の使用が義務付けられている。その選択基準については、石綿則の施行通達において、作業に応じて有効な呼吸用保護具を選択するよう記述しており、具体的な呼吸用保護具の名称も一部示しているところであるが、石綿則において、明確に、その選択基準を示すには至っていない。

○ 現在、国内で最も広汎に使用されている作業マニュアルに建設業労働災害防止協会発行の「建築物の解体等工事における石綿粉じんへのばく露防止マニュアル」(以下「建災防マニュアル」という。)があるが、厚生労働省では、このマニュアルを参考図書として推奨している。

○ 建災防マニュアルでは、使用する呼吸用保護具の種類は、気中の石綿繊維濃度(平均濃度)を参考に選択するとされている。しかし、解体等の作業は、作業場所が日々移動していく等の特性を有する作業であり、また、6ヶ月以上継続して行われることがほとんどないため現時点では必ずしも労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第65条に基づく作業環境測定の対象とはなっていない。こうした事情もあり、現状では気中の石綿繊維濃度を測定していない場合が多く、実際に気中濃度を測定してマスクを選択する手法は、あまり行われていない。

○ 建築物の解体等の作業におけるばく露防止対策としては、その作業の性質上、局所排気装置の設備等による作業環境管理対策を徹底できない場合があり、ばく露防止対策として呼吸用保護具に依存せざるを得ない実態がある。呼吸用保護具の着用によるばく露防止の実効を上げるためには、適切な呼吸用保護具の選択と使用が重要になる。

[検討結果及び取り組むべき対策の方向]

○ 現在は、建災防マニュアルにおいて気中の石綿繊維濃度(平均濃度)を参考に使用する呼吸用保護具の種類を選択する方法が示されているが、作業期間中又は作業場所によっても気中の石綿繊維濃度は多様に変化することが考えられること、作業開始時に着用した呼吸用保護具は作業期間中において同一のものを使用し続けることが一般的であること、解体等の作業は6ヶ月間以上継続して行うことはほとんどなく作業環境測定の対象とならない場合が多いことなど、現場における呼吸用保護具の選択方法の実態を踏まえ、行われる作業の形態に基づき、事前に呼吸用保護具を選択できる方法を示すこと。

○ 特に、「吹付け石綿の除去」作業については、ピーク時において特に高い濃度の石綿にばく露するおそれがあることから、着用すべき呼吸用保護具を一定要件以上の性能を有するもの(例えば、「電動ファン付き呼吸用保護具」と同等以上など)に限定させること。

(2) 石綿粉じん濃度の測定

[現状と課題]

○ 屋内作業場における解体等の作業は6ヶ月間以上継続して行うことはほとんどなく、その場合は作業環境測定の対象とはならない。一方、屋外作業場においては、「屋外作業場等における作業環境管理に関するガイドライン」(平成17年3月31日基発第0331017号)により、個人サンプラーによる濃度測定を行うことが望ましいこととされている(ろ過捕集方法及び計数方法で石綿濃度を測定)。

○ 現行の測定方法では、気中の石綿繊維濃度の測定を行った際、その測定結果を得るには、分析を行う必要があり、最終的に測定結果を得るまでに一定の日数を要する。現在も、測定結果に応じて石綿ばく露防止対策を行っている場合もあるが、解体等の作業は、工程によって、飛散する石綿繊維の量が変化し、気中の石綿繊維濃度も大きく変化するものであり、その変化に応じ、即座に石綿ばく露防止対策に反映させることは難しい。

[検討結果及び取り組むべき対策の方向]

○ 解体等の作業における気中の石綿繊維濃度は、工程によって大きく変化するものであり、気中の石綿繊維濃度の経時変化を把握することは、その変化に応じて適切な石綿ばく露防止対策を講じるためにも、また既に講じている石綿ばく露防止対策の有効性を確認するためにも重要である。作業現場で適切なばく露防止対策措置を講ずるうえで、現場において連続的に石綿繊維濃度を測定し経時変化を把握することができる方法である「リアルタイム測定方法」は有効である。

○ 現状では、連続的に気中の石綿繊維濃度を測定し経時変化を把握する方法(「リアルタイム測定方法」)については、実用化には至っておらず研究の段階である。今後、精度管理(機器の較正)方法、作業現場での具体的な使用方法等について検討する必要があるとともに、飛散抑制剤の影響を大きく受けずに信頼性のある測定結果を得られるよう精度を担保する方法についても検討する必要がある。現在、「リアルタイム測定方法」については、その実用化に向けた研究が行われているところであり、リアルタイム測定方法が確立した際には、その活用を図ることを検討すること。

(3) 隔離による石綿粉じんの飛散防止措置

① 隔離措置を講ずべき作業の範囲

[現状と課題]

○ 建築物等の解体等における石綿等の除去等の作業については、建災防マニュアル等において、除去を行う対象の建材の種類や作業に応じてレベル1からレベル3までの3つの作業レベルに分類している。具体的には、吹き付け石綿等の除去等の作業をレベル1、耐火被覆材等の除去作業をレベル2、それらレベル1、2以外の建材の除去作業をレベル3として分類している。

○ 石綿則第6条において、レベル1の作業のうち、吹き付け石綿の除去、石綿等の切断等の作業を伴う吹き付け石綿の封じ込め、囲い込みの作業について、当該作業場所を他の作業場所から隔離することが義務付けられている。

○ レベル2の作業については、現在隔離の措置が義務付けられていないが、レベル2の作業のうち、耐火被覆材等の掻き落とし等の作業については、石綿等の粉じんの発生量が比較的多いと考えられる。

○ 建災防マニュアルにおいては、レベル2の耐火被覆材等の掻き落としによる除去作業については、隔離措置(グローブバックによる措置を含む。)が望ましいとしており、作業現場においては、法令の規定以上の対策を講じている場合もあると思われる。なお、大気汚染防止法施行規則(昭和46年厚生省・通商産業省令第1号)においては、「断熱材、保温材及び耐火被覆材の掻き落とし、切断、破砕による除去」作業については、隔離措置を義務付けている。

[検討結果及び取り組むべき対策の方向]

○ レベル2の作業のうち、「断熱材、保温材及び耐火被覆材の掻き落とし、切断、破砕による除去」作業については、石綿粉じんの発生量が多い作業であることを踏まえ、隔離しなければならない作業とすること。なお、その際は大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)関係法令(以下「大防法令」という。)との整合性を図ること。

○ グローブバッグの使用等についても、隔離の措置として有効な場合があるので、その旨規定すること。

② 隔離措置の確認

[現状と課題]

○ 隔離措置については、石綿則第6条に掲げる作業を行う場合は、同条に「隔離しなければならない」と規定している。更に、石綿則の施行通達において、「当該除去を行う作業場所をビニールシートで覆うこと、また、負圧除じん装置を使用する場合にあっては、作業場所を負圧に維持すること等により、石綿等の粉じんが他の作業場所に漏れないようにすることであること」とし、措置の内容を具体的に示しているが、石綿則においては、当該措置の詳細や隔離した作業場所から他の作業場所に漏れていないことを確認すること等については規定していない。

○ 建災防マニュアルには、隔離の措置の具体的な方法としてセキュリティーゾーン(更衣室、洗浄室、前室)の設置、負圧除じん装置の設置、使用するビニールシートの厚さ等について詳細に記載されている。

○ なお、大防法令においては、負圧に保ち、日本工業規格Z8122に定めるHEPAフィルタを付けた集じん・排気装置を使用すること等が規定されている。また、同法では、隔離の措置を講じた場合(グローブバック使用時を除く)は、作業場の出入口に前室を設置することとしている。

[検討結果及び取り組むべき対策の方向]

○ 隔離措置については、一般的な外部への漏えい防止の方法として、負圧を維持するための負圧除じん装置(日本工業規格Z8122に定めるHEPAフィルタを付けたもの)を設置させるとともに、併せて、前室についても設置させること。

○ 隔離措置を講じた場合において、外部への漏えいの有無を確認する方法として、当該作業場の外における石綿繊維濃度の測定が考えられるが、リアルタイム測定方法の確立、評価基準の設定などが必要であり、現状では難しい。もっとも、外部への漏えいを防止する方法としては、隔離作業場内を負圧にすることが有効であり、それを維持、確認する方法も必要となることから、隔離作業場内の負圧の維持、確認に係る措置の内容(換気回数の確保、スモークテスター等による負圧の確認等)を明確に示すこと。なお、その際は大防法令との整合性を図ること。また、リアルタイム測定方法が確立した際には、その活用を図ることを検討すること。

③ 隔離措置の解除に係る事前確認について

[現状と課題]

○ 石綿則においては、吹き付け石綿の除去等の作業終了後、当該作業場内の気中の石綿繊維濃度の確認等による清浄状態の確認については規定していない。吹付け石綿の除去等の作業を行った作業場内においては、特段の処理を行わない場合、なお相当量の石綿粉じんが飛散しているおそれもあり、そのような状態のまま隔離措置を解除すると、当該作業場において飛散していた石綿粉じんが外部に漏えいし、当該作業場の周辺において作業を行っている他の労働者が石綿粉じんにばく露するおそれがある。なお、建災防マニュアルには、負圧除じん装置などで換気を完了した後、養生シートを撤去するよう記載されている。また、大防法令においても、「隔離を解くに当たって、除去した部分に飛散防止の薬液等を散布するとともに、作業場内の特定粉じんを処理すること」と規定されている。

[検討結果及び取り組むべき対策の方向]

○ 隔離解除の判断方法として当該作業場内の石綿繊維濃度の測定が考えられるが、評価基準の設定などが必要であり、現状では難しいことから、別の措置として、当該作業場内の気中石綿繊維濃度の抑制のため、隔離解除前における石綿除去作業の手順を定め、さらに、その処理を行った後に隔離を解除するよう措置の内容を明確に示すこと。なお、その際は大防法令との整合性を図ること。また、リアルタイム測定方法が確立した際には、その活用を図ることについて検討すること。

(4) 保護衣、作業衣の取扱い

[現状と課題]

○ 石綿則第46条において、保護衣、作業衣などの保護具等が使用された場合には、他の衣服等から隔離して保管しなければならないこと、また、付着した物を除去した後でなければ作業場外に持ち出してはならない(廃棄する場合を除く)ことが規定されている。

○ 石綿則第31条において、更衣設備及び洗濯のための設備を設けなければならないことが規定されている。なお、通達において、更衣設備とは、汚染を拡げないため作業用の衣服等と通勤用の衣服等とを区別しておくことができるものと示されている。

○ 保護衣については、手首等をガムテープ等でシールしても、保護衣の内部に、一定程度微粒子が侵入するとの実験結果が提示された。また、密閉型とされている日本工業規格T8115においても、微粒子防護用の化学防護服については、性能基準において粉じんが透過しないものとはなっていない。

○ 使用された保護衣、作業衣などの保護具及びこれらの下着等について、除去が十分になされないと、他の労働者又は労働者以外の関係者に対して間接ばく露を起こす可能性があることは否定できない。

[検討結果及び取り組むべき対策の方向]

○ 他の労働者等に対する間接ばく露を防止するため、保護衣、作業衣及び下着について、適切に管理するための取扱い、作業場外に持ち出す際の除去の取扱い、除去後の保護衣等の取扱い、水洗を行った際の排水処理方法等について、新たな知見等も踏まえ、作業形態に応じた更に詳細な取扱い方法、留意事項を示すこと。また、その詳細な取扱い方法、留意事項について教育、実施の徹底を図ること。

(5) 特別教育

[現状と課題]

○ 特別教育については、石綿則第27条に規定され、その対象者は石綿則第4条第1項に掲げる作業に従事する労働者とされている。また、教育の科目、時間数等は石綿使用建築物等解体等業務特別教育規程(平成17年厚生労働省告示第132号。以下「特別教育規程」という。)に示されている。

○ 石綿による健康障害は基本的に呼吸による吸入から発生するものであり、ばく露防止措置としては、呼吸用保護具の適切な使用は非常に重要である。

○ 特別教育規定において、「保護具の使用方法」科目の教育時間については0.5時間とされている。

○ 労働者の防じんマスクのもれ率を作業開始前に測定し、もれ率が高い労働者に対し、適切な使用方法を指導したところ、改善が認められたという報告がある。

○ 石綿による健康障害については、喫煙により、肺がん発症のリスクが相乗的に高くなることが知られている。

[検討結果及び取り組むべき対策の方向]

○ 適切な呼吸用保護具の着用方法や、更に詳細に示す予定である保護衣、作業衣の取扱い方法、留意事項など、保護具について新たな知見等を踏まえた実務的な部分の教育を充実するため、特別教育における「保護具の使用方法」の科目に係る教育時間を拡充すること。

○ 「石綿の有害性」の科目において、必ず喫煙の影響について教育されるよう、教育の範囲に明示して盛り込むこと。

(6) 事前調査

[現状と課題]

○ 石綿則第3条において、建築物等の解体等の作業を行うに当たっては、あらかじめ、当該建築物等について、石綿等の使用の有無を調査しなければならないこととされているが、調査が適切に実施されたかどうかについては、確認することが困難である。また、事前調査の不備、不徹底の事案も把握されている。さらに、どのような調査が行われたのか、その結果等に関し、石綿則第4条第3項の規定により周知される内容以外の事項を労働者に対し周知する義務は規定されていない。また、当該作業の周辺において作業に従事する他の労働者においても同様である。

○ レベル3の作業については、行政に対する届出は義務付けられていない。

○ 「建築物等の解体等の作業を行うに当たっての石綿ばく露防止対策等の実施内容の掲示について」(平成17年8月2日基安発第0802001号)において、石綿が使用されている建築物等の解体等の作業については石綿ばく露防止対策等の実施内容を関係労働者のみならず周辺住民へ周知するために作業現場の見やすい場所に掲示するよう、また、石綿が使用されていない建築物等の解体等の作業については石綿が使用されていないことを掲示することとしており、周知徹底を図っている。

○ なお、大防法令においては、レベル1、2について見やすい箇所に、特別粉じん排出等作業の実施期間、方法等を表示した掲示板設置の義務を課している。

[検討結果及び取り組むべき対策の方向]

○ 調査の結果については、どのような資料に基づき調査を行ったのか、どのような根拠、判断プロセス(目視、設計図書、分析等)で、誰が石綿の有無を判断したのかを、後で検証できるようにすることが重要である。このため、分析結果については、統一的な様式により記録すること。

○ 調査の結果(調査方法、調査結果など)を労働者及び当該作業の周辺において作業に従事する他の労働者へ確実に周知できるよう、その概要について掲示させること。

2 建築物等の解体等以外の作業

(1) 廃棄物の処理

[現状と課題]

○ 廃棄物処理施設において、運搬された石綿含有廃棄物を焼却炉に入れるために小さく破砕等の作業を行った場合、石綿粉じん濃度が高くなるおそれがある。

○ 現行でも、廃棄物処理施設における石綿含有廃棄物の破砕等作業については、石綿取扱い作業として石綿則が適用されており、屋内作業場における石綿粉じんの発散源に対する局所排気装置の設置等の措置が必要とされている。また、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき、廃棄物処理施設の設置許可時において、破砕設備の要件が審査されている。

[検討結果及び取り組むべき対策の方向]

○ 廃棄物処理施設における破砕作業労働者のばく露防止対策については、引き続き石綿則に基づく措置の徹底を図ること。

(2) 建築物又は工作物以外の解体等

[現状と課題]

○ 石綿が使用されている製品等のうち、石綿則の「建築物又は工作物」に該当しないものについては、それらの破砕等の作業においては、事前調査、行政に対する届出、特別教育等の規定は適用されないが、石綿を取り扱う作業には該当し、作業主任者の選任、切断等の作業が伴う場合における湿潤化や呼吸用保護具の着用の措置等が義務付けられている。

○ 「建築物又は工作物」に該当しないもののうち、船舶の解体等作業については、石綿則が適用される建築物、工作物の解体等作業とほぼ同様の規模で作業が行われる場合が考えられる。なお、「船舶における適正なアスベストの取扱いに関するマニュアル(日本船舶技術研究協会:平成18年10月発行)」が作成されており、当該マニュアルにおいては、事前調査等の対策の実施について記載されている。

○ 現在、国際標準化機構(ISO)において、船舶のアスベスト適正処理指針について国際規格化に向けて審議されている。

[検討結果及び取り組むべき対策の方向]

○ 石綿を使用している製品で、石綿則の「建築物又は工作物」に該当せず、それらの破砕等の作業において、事前調査、行政に対する届出、特別教育等の規定が適用されないものは相当多くの種類がある。それらの作業全てについて、一覧で記載する等により規定を適用させることは、現実的ではない。

○ 船舶については、現時点において特段の問題点が指摘されているものではないが、その規模、作業形態等に鑑み、また、既にマニュアル等によりある程度措置が周知されていることが予想されることから、実態、国際動向等を考慮しつつ、建築物等の解体等に係る規制を参考に規制を適用すること。

3 今後の課題

現在、石綿濃度測定用のリアルタイム計測機器として、日本製や外国製の機器が販売されているが、それらの機器の精度等は不明確である。

リアルタイムで石綿繊維濃度を測定することは、ばく露防止対策の有効性の確認、気中の石綿繊維濃度の経時変化に応じた対応、ばく露状況の記録等を実施するに当たり有効なものであり、法令等に定める方法として取扱うためにも、具体的な手法、精度管理手法、基準等の開発が必要である。

 

第5部 石綿ばく露防止対策の促進について

石綿含有製品については、労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(平成18年政令第257号)附則第2条第1項の規定等により、いわゆる「現に使用されているもの」については引き続き使用することが認められていることから、労働者への石綿粉じんのばく露防止対策については、引き続き「現に使用されているもの」の取扱い等に係るばく露防止対策の徹底を図っていく必要がある。そのため、国、事業者、発注者及び関係団体等は、以下の事項について取り組み、それぞれの役割を果たすことが重要である。

1 国

国は、検討結果において提言された事項について検討の上、必要に応じ、関係法令の整備や行政指導の強化を図る等必要な対策を講じるとともに、引き続き、作業の実態や社会状況の変化等の把握、科学的知見の集積に努め、労働者への石綿粉じんのばく露防止措置の徹底を図ること。

2 建築物解体等作業等を行う事業者

建築物解体等作業等を行う事業者は、労働者の健康障害防止のため、石綿則等労働安全衛生関係法令に定める措置を遵守するとともに、現場の実態に応じ、労働者の健康障害防止のために必要なその他の措置を検討・実施し、労働者への石綿粉じんのばく露防止対策の徹底に努めること。

3 発注者

建築物解体等作業を発注する者は、請負人及び請負人が使用する労働者が石綿則の規定を遵守し、石綿粉じんのばく露防止対策を適切に行えるよう、石綿則第8条及び第9条に定める措置その他労働安全衛生関係法令に定める措置を遵守するよう努めること。

4 関係団体等

石綿作業主任者技能講習に係る登録教習機関、石綿則第3条第2項に基づく建材中の石綿の有無を調査する分析機関、作業環境測定機関、保護具メーカー、その他の関係事業者団体等は、石綿による健康障害防止のため、労働安全衛生関係法令に定める規定の趣旨を正確に理解し、国から発出される情報のほか、自らも知見の集積に努め、労働者への石綿粉じんのばく露防止対策を適切に措置できるよう、建築物解体等作業等を行う事業者等に対し必要な情報を提供する等、労働災害の防止に協力するよう努めること。

 

別添2

○建築物の解体等作業における石綿による労働者の健康障害防止対策の徹底について

平成20年9月19日基安発第0919001号

(別記関係事業者団体の長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部長通知)

労働安全衛生行政の推進につきましては、平素より御理解、御協力を賜り厚く御礼申し上げます。

さて、石綿による労働者の健康障害防止対策については、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)に基づく石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)等により、様々な措置が義務付けられておりますが、今後も、対策の充実を図っていく必要があることから、平成19年11月26日より、「建築物の解体等における石綿ばく露防止対策等検討会」を8回にわたり開催し、石綿のばく露防止対策に係る専門的技術的な検討を行ったところ、今般、その報告書が別添のとおり取りまとめられたところです。

今後、厚生労働省としては、本報告書を踏まえ、関係法令の整備について検討を行い、省令等の改正等を行うこととしておりますが、本報告書については、石綿による労働者の健康障害防止に資するものであることから、本報告書において取り組むべき対策の方向性として指摘のあった事項については、法令の整備等を待つことなく可能な限り速やかに対応していただきますよう、貴団体会員に対し周知、徹底をよろしくお願いいたします。

別記

中央労働災害防止協会

建設業労働災害防止協会

林業・木材製造業労働災害防止協会

陸上貨物運送事業労働災害防止協会

鉱業労働災害防止協会

港湾貨物運送事業労働災害防止協会

(財)安全衛生技術試験協会

(財)産業医学振興財団

(社)産業安全技術協会

(社)日本作業環境測定協会

(社)全国労働衛生団体連合会

(社)日本クレーン協会

(社)日本ボイラ協会

(社)ボイラ・クレーン安全協会

(社)建設荷役車両安全技術協会

(社)日本保安用品協会

(社)日本労働安全衛生コンサルタント会

全国社会保険労務士会連合会

(独)労働者健康福祉機構

(社)日本化学物質安全・情報センター

(社)全国労働基準関係団体連合会

(社)日本建設業団体連合会

(社)全国建設業協会

(社)建築業協会

(社)日本土木工業協会

(社)全国解体工事業団体連合会

(社)日本石綿協会

(社)全国産業廃棄物連合会

(社)住宅生産団体連合会

(社)日本エレベータ協会

全国アスベスト適正処理協議会

(社)日本造船工業会

(社)日本中小型造船工業会

(社)日本造船協力事業者団体連合会

押出成形セメント板(ECP)協会

セメントファイバーボード工業組合

せんい強化セメント板協会

全国石綿スレート協同組合連合会

(社)日本建築材料協会

日本窯業外装材協会

(社)日本石膏ボード工業会

大阪石綿紡織工業会

(社)全国中小建築工事業団体連合会

(社)日本建築士会連合会

(社)日本鉄道建設業協会

石油連盟

電気事業連合会

(社)日本化学工業協会

(社)日本航空宇宙工業会

(社)日本自動車工業会

(社)日本舟艇工業会

(社)日本舶用工業会

(社)日本産業車両協会

(財)建設業振興基金

(社)プレハブ建築協会

(社)建設産業専門団体連合会

(社)全国中小建設業協会

(社)日本道路建設業協会

(社)全国建設産業団体連合会

全国建設業共同組合連合会

全国建設産業協会

(社)日本建築学会

(社)日本電力建設業協会

(社)日本電設工業協会

住宅リフォーム推進協議会

(社)日本ビルヂング協会連合会

(社)全国ビルメンテナンス協会

(社)日本空調衛生工事業協会

(社)不動産協会

(社)全日本不動産協会

(社)日本建築士事務所協会連合会

(社)日本建築家協会

(社)全日本建築士会

(社)セメント協会

(社)全国建築コンクリートブロック工業会

(社)全日本トラック協会

(社)日本機械工業連合会

(社)日本建設機械化協会

(社)日本建設機械工業会

(社)日本倉庫協会

(社)日本鉄鋼連盟

(社)日本民営鉄道協会

普通鋼電炉工業会

(社)日本鋳物工業会

日本鋳鍛鋼会

(社)日本産業機械工業会

(社)日本ボイラ整備据付協会

(社)全国建設機械器具リース業協会

化成品工業協会

石油化学工業協会

日本無機薬品協会

関西化学工業協会

(社)日本化学会

(社)日本電機工業会

(社)日本建材産業協会

日本鉱業協会

硝子繊維協会

板硝子協会

カーバイド工業会

(社)日本ガス協会

(社)日本簡易ガス協会

日本産業ガス協会

ロックウール工業会

(社)日本左官業組合連合会

(社)日本鳶工業連合会

日本建築仕上学会

日本建築仕上材工業会

(社)日本プラントメンテナンス協会