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通達:温泉掘削等のボーリング作業等における可燃性天然ガスによる爆発・火災災害の防止について

 

温泉掘削等のボーリング作業等における可燃性天然ガスによる爆発・火災災害の防止について

平成20年8月29日基安安発第0829001号

(都道府県労働局労働基準部長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長通知)

 

温泉の掘削及び採取において遵守すべき技術上の基準を定め、温泉の採取を許可制にすること等を主な内容として、温泉法の一部を改正する法律(平成19年法律第121号。以下「改正温泉法」という。)が平成19年11月30日に別添1<編注:略>のとおり、温泉法施行規則の一部を改正する省令(平成20年環境省令第5号。以下「改正温泉法施行規則」という。)が平成20年5月28日に別添2のとおり、それぞれ公布され、平成20年10月1日の施行を前に、環境省がホームページ等で改正内容の周知を図っているところである(別添3~別添6参照)。

これらについては、温泉掘削等のボーリング作業等における労働災害の防止に密接な関係があるので、了知の上、業務の参考とされたい。

一方、爆発・火災による労働災害防止対策については、従前から、労働安全衛生規則等に規定され、労働災害防止対策の重要な課題として取り組んできたところであるが、今後とも、下記に留意して、温泉掘削等のボーリング作業及び温泉採取作業における爆発・火災災害の防止対策の徹底を図られたい。

 

1 ボーリングや温泉採取で発生する可燃性ガスにより、爆発又は火災が生ずるおそれのある場所については、労働安全衛生規則(以下「安衛則」という。)第261条に基づき、通風、換気等の措置を講じる必要があること。

屋外における作業の場合には、メタンガスは空気よりも軽いことから、通常、その濃度は爆発下限界値に達しないと考えられる。このため、屋外であって、かつ、火災のおそれがない場合には、一般に同条の適用はない。ただし、周囲の建設物等に可燃性ガスが滞留し爆発下限界値に達するおそれがある場合や火災を生ずるおそれがある場合等には、同条の措置を講ずる必要があるので、留意すること。

また、ボーリングで可燃性ガスが噴出するおそれの有無については、地質構造を示す資料、当該地域の過去のガスの噴出事例等を参考とすること。

2 ボーリングや温泉採取で発生する可燃性ガスにより、爆発又は火災が生ずるおそれのある場所においては、安衛則第279条第1項に基づき、火花若しくはアークを発し、若しくは高温となって点火源となるおそれのある機械等又は火気を使用してはならないこと。

3 安衛則第261条の措置を講じても、なお可燃性ガスが爆発の危険のある濃度に達するおそれのある箇所において、電気機械器具を使用するときは、安衛則第280条第1項に基づき、当該ガスに対してその種類に応じた防爆性能(平成20年10月1日以降については、当該ガスに対してその種類及び爆発の危険のある濃度に達するおそれに応じた防爆性能)を有する防爆構造電気機械器具を使用する必要があること。

なお、温泉を採取する施設において、改正温泉法施行規則第6条の3第1項第3号ロに規定された「ガス排出口から水平距離が3mであり、かつ、垂直距離が上方8m又は下方0.5mである範囲内」、同条第3項第7号に規定された「温泉井戸が設置された部屋」及び附則第4条第2項に規定された「地下ピット」であって、当該場所の換気の状況等から判断して、可燃性ガスが爆発の危険のある濃度に達するおそれがある箇所については、安衛則第280条第1項の「爆発の危険のある濃度に達するおそれのある箇所」に該当するものであること。

おって、改正温泉法施行規則に規定される「防爆性能」とは、安衛則第280条第1項に規定する防爆性能と同等のものであること。

4 安衛則第280条第1項の箇所等において作業を行うときは、安衛則第286条の2に基づき、当該作業に従事する労働者に静電気帯電防止作業服及び静電気帯電防止用作業靴を着用させる等労働者の身体、作業服等に帯電する静電気を除去するための措置を講じる必要があること。

5 ボーリングや温泉採取で発生する可燃性ガスにより、火災又は爆発の危険がある場所には、安衛則第288条に基づき、火気の使用を禁止する旨の適当な表示をし、特に危険な場所には、必要でない者の立入りを禁止する必要があること。

 

温泉法の一部を改正する法律要綱

第一 目的の改正

法の目的に、温泉の採取等に伴い発生する可燃性天然ガスによる災害の防止を追加すること。

(第一条関係)

第二 温泉のゆう出を目的とする土地の掘削等に伴い発生する可燃性天然ガスによる災害の防止

一 掘削の許可及び当該許可の取消しの基準として、掘削のための施設等が可燃性天然ガスによる災害の防止に関する基準に適合していることを追加すること。

(第四条及び第九条関係)

二 掘削のための施設等について可燃性天然ガスによる災害の防止上重要な変更をしようとするときは、都道府県知事の許可を受けなければならないこととすること。

(第七条の二関係)

三 都道府県知事は、掘削の工事を完了した者等に対し、当該完了等の日から二年間は、可燃性天然ガスによる災害の防止上必要な措置の実施を命ずることができることとすること。

(第八条第三項関係)

四 都道府県知事は、緊急の必要があると認めるときは、掘削を行う者に対し、可燃性天然ガスによる災害の防止上必要な措置の実施等を命ずることができることとすること。

(第九条の二関係)

第三 温泉の採取に伴い発生する可燃性天然ガスによる災害の防止

一 温泉源からの温泉の採取を業として行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならないこととし、当該許可及び当該許可の取消しの基準は、採取のための施設等が可燃性天然ガスによる災害の防止に関する基準に適合していることとすること。ただし、採取の場所における可燃性天然ガスの濃度が災害の防止のための措置を必要としないものとする基準を超えないことについて都道府県知事の確認を受けた場合には、許可を受けることを要しないこととすること。

(第十四条の二、第十四条の五及び第十四条の九関係)

二 温泉の採取の許可等を受けた者である法人又は個人について、合併、相続等の場合における地位の承継ができることとすること。

(第十四条の三、第十四条の四及び第十四条の六関係)

三 採取のための施設等について可燃性天然ガスによる災害の防止上重要な変更をしようとするときは、都道府県知事の許可を受けなければならないこととすること。

(第十四条の七関係)

四 都道府県知事は、採取の事業を廃止した者等に対し、当該廃止等の日から二年間は、可燃性天然ガスによる災害の防止上必要な措置の実施を命ずることができることとすること。

(第十四条の八関係)

五 都道府県知事は、緊急の必要があると認めるときは、採取を行う者に対し、可燃性天然ガスによる災害の防止上必要な措置の実施等を命ずることができることとすること。

(第十四条の十関係)

第四 その他

一 報告徴収及び立入検査の対象となる事項として、可燃性天然ガスの発生の状況等を追加すること。

(第三十四条及び第三十五条関係)

二 鉱山保安法との関係について定めること。

(第三十五条の二関係)

三 罰則に関し所要の規定の整備を行うこと。

(第三十八条から第四十三条まで関係)

第五 附則

一 この法律の施行期日について定めること。

(附則第一条関係)

二 所要の経過措置を定めること。

(附則第二条から第七条まで関係)

三 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合に、新法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。

(附則第八条関係)

[温泉法施行規則の改正新旧対照表]<編注:略>


○温泉法の一部改正等について<編注:略>

平成20年5月28日環自総発第080528003号

(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて環境省自然環境局長通知)


別添6

改正温泉法等に関する主な資料(環境省ホームページより)

(1) 温泉法 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO125.html

(2) 温泉法施行令 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S59/S59SE025.html

(3) 温泉法施行規則 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23F03601000035.html

(4) 温泉法の一部を改正する法律要綱 http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=11401&hou_id=9702

(5) 温泉法施行規則の一部を改正する省令新旧対照条文 http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=11472&hou_id=9757

(6) パンフレット「温泉掘削での可燃性天然ガス事故を防ぐために―改正温泉法の可燃性天然ガスの安全対策―」 http://www.env.go.jp/nature/onsen/cng_safety/dig.html

(7) パンフレット「温泉施設での可燃性天然ガス事故を防ぐために―改正温泉法の可燃性天然ガスの安全対策―」 http://www.env.go.jp/nature/onsen/cng_safety/facilities.html