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通達:スライディング積層足場の落下事故を防止するための当面の措置について

 

スライディング積層足場の落下事故を防止するための当面の措置について

平成20年6月19日基安安発第0619003号

(都道府県労働局労働基準部長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長通知)

 

平成20年5月に東京都港区の建設工事現場において、別紙1のとおり、高層ビルの建築工事に使用された標記足場が約100メートル落下するという事故が発生した。

本件で使用されていた足場は、建設中の躯体に取付金具(ブラケット)で取付け、工事の進捗に併せて、上階に盛替えるもので、スライディング積層足場、せり上げ足場等と呼ばれているものである。

当該事故の原因は現在調査中であるが、同様の足場は高層ビルの建築工事において頻繁に使用されており、今回のような事態が再び発生した場合、重大な労働災害につながることが懸念されることから、同種事故の発生を防止するため、当面の措置として、別紙2により建設業関係団体に、別紙3により(社)仮設工業会に対し、各々要請を行ったところである。

貴職においても、貴局管内の建設事業者、足場機材製造事業者、足場機材リース事業者等に対し、別紙2及び別紙3の事項について要請を行うとともに、計画の届出の審査、実地調査等の際に必要な指導を実施されたい。

 

別紙1

事故の概要

1 発生年月 平成20年5月

2 発生場所 東京都港区内の鉄骨鉄筋コンクリート造建築工事現場

3 事故の概要

地上45階建(高さ157メートル)のビル新築工事において、スライディング積層足場(支持金物(ブラケット)により建物の躯体に積層状の足場を取り付け、工事の進捗に伴って上層階に盛り替えるもの)を33階から37階の位置に全周にわたり盛替えた後、当該足場の整備中に6スパン×8層(幅約11メートル、高さ約15メートル)の部分が約100メートル下の低層階に設置していた枠組み足場上に落下した。落下時の衝撃で足場部材の一部が破損し、飛散した。

4 原因等

原因等は、現在、調査中であるが、スライディング積層足場を建物に取り付ける支持金物(ブラケット)の一つが何らかの原因で外れ、その影響で他の支持金物も変形・脱落し、足場全体が建物から外れ、落下したことが考えられる。

図


図 落下した足場の推定図

 

別紙2

○スライディング積層足場の落下事故を防止するための当面の措置ついて

平成20年6月19日基安安発第0619001号

(建設業労働災害防止協会会長・社団法人全国建設業協会会長・社団法人日本建設業団体連合会会長・社団法人日本建築業協会会長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長通知)

平成20年5月に東京都港区の建設工事現場において、別紙のとおり、高層ビルの建築工事に使用されていた標記足場が約100メートル落下するという事故が発生しました。

当該事故の原因は現在調査中ですが、同様の足場は高層ビルの建築工事において頻繁に使用されており、今回のような事態が再び発生した場合、重大な労働災害につながることが懸念されることから、同種事故の発生を防止するため、同様の足場の設置、使用等に際しては、速やかに下記の事項を確実に実施し、その安全確保の徹底を図るよう、貴会の会員に対し周知方お願いいたします。

1 設置されているスライディング積層足場に対する措置

(1) 点検とこれに基づく補修等

ア ブラケットの構造

ブラケットが図1のようにピンを軸に可動する構造のものは、図2のように斜材(方づえ)の設置、パイプサポートによる固定等によりブラケット部が浮き上がらない構造のものとすること。

イ ブラケットの数及びその取付箇所

ブラケットがあらかじめ決められたすべての箇所に取り付けられているか確認し、不足している場合は、所定の形となるようにすること。

ウ ブラケットの取付状況

ブラケット固定部にゆるみ、ずれがある場合は、直ちに補修すること。

エ ブラケットと躯体梁等との接触面

ブラケットと躯体部との接触面に図1のようなすき間がある場合はキャンバ等で塞ぐこと。

オ ジャッキベース型固定クランプの取付位置

取付位置が、図1のようにクランプのベースのかかりが浅くずれやすい場合は、図2のようにかかりの深い構造のものとすること。

(2) ワイヤロープ等による落下防止

ブラケットが外れた場合でも足場が落下しないよう、当面、必要な強度のあるワイヤロープで吊る等ブラケットによる支持とは別の落下防止措置を講じること。

(3) スライディング積層足場の構造及び強度等についての再検討等

ピンを軸に可動しない構造のブラケットであるものを含め、ブラケットの固定箇所を支点とした回転、クランプのゆるみ、クランプのベースのかかりが浅いことによる外れやすさ、ビル風による浮き上がり等、考えられる様々な危険要因を考慮して、スライディング積層足場の構造及び強度上の問題点並びに設置上の問題点がないか改めて検討し、必要に応じ、ブラケット部材の変更等も含め、安全確保のための対策を講じること。

2 今後新たに設置するスライディング積層足場に対する措置

スライディング積層足場を新たに設置するときには、上記1の(3)のとおり検討を行い、安全を確保した足場とするとともに、当面、(2)による落下防止措置を講じること。

別紙

事故の概要

1 発生年月 平成20年5月

2 発生場所 東京都港区内の鉄骨鉄筋コンクリート造建築工事現場

3 事故の概要

地上45階建(高さ157メートル)のビル新築工事において、スライディング積層足場(支持金物(ブラケット)により建物の躯体に積層状の足場を取り付け、工事の進捗に伴って上層階に盛り替えるもの)を33階から37階の位置に全周にわたり盛替えた後、当該足場の整備中に6スパン×8層(幅約11メートル、高さ約15メートル)の部分が約100メートル下の低層階に設置していた枠組み足場上に落下した。落下時の衝撃で足場部材の一部が破損し、飛散した。

4 原因等

原因等は、現在、調査中であるが、スライディング積層足場を建物に取り付ける支持金物(ブラケット)の一つが何らかの原因で外れ、その影響で他の支持金物も変形・脱落し、足場全体が建物から外れ、落下したことが考えられる。

図

図 落下した足場の推定図

図

図1 問題が見られる取付例

図

図2 補強例

 

別紙3

○スライディング積層足場の落下事故を防止するための当面の措置ついて

平成20年6月19日基安安発第0619002号

(社団法人仮設工業会会長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長通知)

平成20年5月に東京都港区の建設工事現場において、別紙のとおり、高層ビルの建築工事に使用されていた標記足場が約100メートル落下するという事故が発生しました。

当該事故の原因は現在調査中ですが、同様の足場は高層ビルの建築工事において頻繁に使用されており、今回のような事態が再び発生した場合、重大な労働災害につながることが懸念されることから、同種事故の発生を防止するため、同様の足場の製造、譲渡、貸与等に際しては、速やかに下記の事項を確実に実施し、その安全確保の徹底を図るよう、貴会の会員に対し周知方お願いいたします。

1 譲渡、貸与等したスライディング積層足場についての措置

譲渡、貸与等したスライディング積層足場について、ブラケットの固定箇所を支点とした回転、躯体とブラケットとの接触面のすき間、クランプのベースの浅いかかり、クランプの緩み、ビル風による浮き上がり等実際の設置に際して生じ得る様々な危険要因を考慮して、スライディング積層足場の構造及び強度上の問題点並びに設置上の問題点がないか改めて検討し、問題点がある場合は、これを当該足場を設置している建設現場の元方事業者等に早急に連絡するとともに、必要に応じ、当該元方事業者と協議しつつ、ブラケット部材の変更等足場の安全を確保するために必要な措置を講じること。

2 今後製造、譲渡、貸与等するスライディング積層足場についての措置

(1) スライディング積層足場の構造及び強度等についての検討等

製造、譲渡、貸与等を行うスライディング積層足場について、ブラケットの固定箇所を支点とした回転、躯体とブラケットとの接触面のすき間、クランプのベースの浅いかかり、クランプの緩み、ビル風による浮き上がり等実際の設置に際して生じ得る様々な危険要因を考慮して、スライディング積層足場の構造及び強度上の問題点並びに設置上の問題点がないか改めて検討し、問題点がある場合は、必要な改良を行うこと。

(2) 使用上の情報の提供

スライディング積層足場を譲渡、貸与等する場合は、相手方に対して、使用上の制限、足場を安全に設置、使用するための留意点、誤使用についての警告等を記した説明書を交付し、その説明を行うこと。

なお、スライディング積層足場の設置に当たっては、ブラケットが外れた場合でも足場が落下しないよう、当面、必要な強度のあるワイヤロープで吊る等ブラケットによる支持とは別の落下防止措置を講じることとしているので、譲渡、貸与等に際しては、このことについても情報提供されたい。

(3) 譲渡、貸与等の際の機材の点検

スライディング積層足場を譲渡、貸与等する際には、部材の変形、溶接不良等の点検を行うこと。

別紙

事故の概要

1 発生年月 平成20年5月

2 発生場所 東京都港区内の鉄骨鉄筋コンクリート造建築工事現場

3 事故の概要

地上45階建(高さ157メートル)のビル新築工事において、スライディング積層足場(支持金物(ブラケット)により建物の躯体に積層状の足場を取り付け、工事の進捗に伴って上層階に盛り替えるもの)を33階から37階の位置に全周にわたり盛替えた後、当該足場の整備中に6スパン×8層(幅約11メートル、高さ約15メートル)の部分が約100メートル下の低層階に設置していた枠組み足場上に落下した。落下時の衝撃で足場部材の一部が破損し、飛散した。

4 原因等

原因等は、現在、調査中であるが、スライディング積層足場を建物に取り付ける支持金物(ブラケット)の一つが何らかの原因で外れ、その影響で他の支持金物も変形・脱落し、足場全体が建物から外れ、落下したことが考えられる。

図

図 落下した足場の推定図