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通達:健康増進法第17条第1項及び第19条の2に基づく健康増進事業について

 

健康増進法第17条第1項及び第19条の2に基づく健康増進事業について

平成20年3月31日健発第0331026号

(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省健康局長通知)

 

平成18年の医療制度改革において、老人保健法(昭和57年法律第80号)が高齢者の医療の確保に関する法律に全面改正され、医療保険者に40歳以上74歳以下の被保険者及び被扶養者に対する生活習慣病予防に着目した特定健康診査及び特定保健指導(以下「特定健診・保健指導」という。)の実施が義務付けられた。

これに伴い、従来の基本健康診査を中心とする老人保健事業のうち、特定健診・保健指導を含む高齢者の医療の確保に関する法律に定められたもの以外については、健康増進法(平成14年法律第103号)第17条第1項及び第19条の2に基づく健康増進事業として、引き続き市町村が実施することとされた。

また、平成10年度に一般財源化された際、老人保健法に基づかない事業と整理されたがん検診についても、健康増進法第19条の2に基づく健康増進事業と位置付け、引き続き市町村において実施することとしている。

上記に伴い、健康増進法第17条第1項及び第19条の2に基づき実施することとなる健康増進事業について、別添のとおり定め、平成20年4月1日から適用することとしたので、趣旨を十分御理解の上、貴都道府県内の市町村(特別区を含む。)及び関係団体等への周知徹底及び適切な指導を行い、健康増進事業の一層の推進に特段のご努力をお願いする。

 

別添

健康増進事業実施要領(抜粋)

第1 共通的事項

1 基本的事項

市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、健康増進事業(健康増進法(平成14年法律第103号)第17条第1項及び第19条の2に基づき市町村が行う事業であって、本通知に基づき実施するものをいう。以下同じ。)の実施に当たっては、本通知を基に、市町村の人口規模、年齢構成、地理的状況、住民の健康及び疾病の状況、健康増進事業の実施に必要な要員、施設の状況、財政事情等に配慮し、地域住民の多様な需要にきめ細かく対応するよう留意するものとする。

また、これらの事業は住民の健康増進に資するものであることから、市町村健康増進計画等に位置付け、計画的に推進していくことが望ましい。

2 関係機関との連携

市町村は、健康増進事業の企画及び運営に関し、保健所、福祉事務所その他の関係行政機関、医師会、歯科医師会、薬剤師会その他の保健医療関係団体、社会福祉協議会その他の福祉関係団体、ボランティアを含む住民の代表等からなる協議会において、これらの者の意見を聴き、その協力を得て、健康増進事業相互間、健康増進事業と医療及び福祉サービス並びに地域と職域の保健サービスの有機的な連携及び調整を積極的に図るものとする。

3 健康増進事業の広報

市町村は、広報誌、パンフレット、ポスター、有線放送、インターネット等を活用し、健康増進事業の意義、対象となる者の範囲、各事業の内容、実施期日、実施方法その他必要な事項について、地域の住民に周知徹底させるよう努め、また、地域住民やボランティア活動等地域社会の協力も得て、住民が積極的に健康増進事業に参加しうる体制づくりに努めるとともに、特に都市及びその周辺部においては、対象者の移動状況、住民の健康意識、医療機関の利用実態等に係る都市部特有の事情に留意するものとする。

4 健康増進事業の評価

市町村は、健康増進事業の実施に当たっては、自ら適宜、適切な評価を行い、その評価に基づき、事業のより一層の充実・強化を図るものとする。

5 都道府県の役割

都道府県は、都道府県健康増進計画において、管内市町村が実施する健康増進事業に対する支援を行うことを明記する。

都道府県保健所は、市町村が地域特性等を踏まえて健康増進事業を円滑かつ効果的に実施できるよう、必要な助言、技術的支援、連絡調整及び健康指標その他の保健医療情報の収集及び提供を行い、必要に応じ健康増進事業についての評価を行うことが望ましい。

都道府県は、保健・医療・福祉の連携を図るとともに、市町村による健康増進事業と医療保険者による保健事業との効果的な連携を図るために、地域・職域連携推進協議会を活性化していくことが望ましい。

6 保健所設置市及び特別区の役割

地域保健法施行令(昭和23年政令第77号)第1条に定める市及び特別区は、1から4までに掲げる市町村の役割と5に掲げる都道府県の役割を併せ持つことから、その設置する保健所において、保健医療情報の収集及び提供を行い、必要に応じて健康増進事業についての評価を行うなど、地域の実情に応じて、その役割分担を工夫することが望ましい。

7 健康増進事業の実施上の留意点

健康増進事業の実施に当たっては、健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針(平成16年厚生労働省告示第242号)に留意するものとする。

8 特定健康診査及び特定保健指導等との連携

健康増進事業の実施に当たっては、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)に基づく特定健診・保健指導(高齢者の医療の確保に関する法律第18条に定める特定健康診査及び特定保健指導をいう。以下同じ。)及び後期高齢者医療広域連合が行う保健事業等との連携を十分に図り、受診者の利便性に配慮するものとする。

市町村においては、健康増進事業実施部門と国保部門との連携を十分に図ることが重要である。

また、都道府県においては、保険者協議会や地域・職域連携推進協議会等を通じて医療保険者との連携を強化し、健康増進事業と特定健診・保健指導等との連携が円滑に進むよう支援することが重要である。

9 他法による保健事業との関係

健康増進事業の実施に当たっては、医療保険各法その他の法令に基づき、当該健康増進事業に相当する保健事業のサービスを受けた場合又は受けることができる場合は、市町村における健康増進事業を行う必要はないものとする。

第2 (略)

第3 健康増進法第19条の2に基づく健康増進事業

1 総論

(1) 種類

健康増進法第19条の2に基づく健康増進事業は、次のとおりとする。

① 歯周疾患検診

歯周疾患検診及び歯周疾患検診の結果に基づく指導を行う。

検診項目は、問診及び歯周組織検査とする。

②~⑥ (略)

(2) 健康増進法第19条の2に基づく健康増進事業(以下「健康診査等」という。)の結果に基づき、必要な指導を行う。特に、医療機関での受診が必要な者又は生活習慣の改善が必要な者に対しては、個別に指導する。なお、より適切な指導のため、日常診療、人間ドック、献血等の健康増進事業以外の機会に実施された検査等の結果についても活用することが望ましい。

(3) 実施についての基本的事項

① 目標受診率の設定

市町村は、現在の受診率等地域の特性を踏まえ、それぞれ独自の目標受診率を設定し、目標受診率の達成に向けて受診率を向上するよう努める。

② 実施計画の策定

ア 健康診査等の実施方法、実施時期、実施場所等の実施計画を作成するに当たっては、地域の医師会、歯科医師会等の理解と協力を得るとともに、保健所、医療機関、検診団体等関係機関と十分に調整を図る。

イ 健康診査等の実施方法、実施時期、実施場所については、地域の実情を十分考慮し、受診しやすい方法、時期、場所を選定する。また、年間を通じて受診できる体制の整備をする。

ウ 健康診査等は、実施体制、精度管理の状況等から判断して適当と認められる実施機関に委託することができる。

③ 実施方法の創意工夫

実施計画の作成に当たっては、一定年齢の者全員に対して通知を行い健康診査等を実施するいわゆる「計画健診」の実施及び利用券(受診券)を提示して医療機関において健康診査等を受診するいわゆる「利用券方式」による健康診査等の実施等の配慮を行う。

④ 周知徹底

健康診査等の実施に当たっては、広報や個別の通知等により、その意義や実施の日時、場所、方法等をあらかじめ十分に地域住民に対し周知徹底する。

⑤ 精度管理及び評価

健康診査等の実施に当たっては、検診データを時系列的に把握することなどに努める。また、検査方法、受診率、受診者の年齢分布、初回受診者の割合、判定結果及び指導区分ごとの割合、事後指導の実施状況等を検討し、健康診査等の精度の向上及び維持を図る。なお、必要に応じて健康診査等の実施を委託した機関(以下「受託実施機関」という。)に対して指導を行うとともに、健康診査等の結果及び効率について評価する。

⑥ 市町村は、健康診査等が円滑に行われるよう精密検査機関の確保等の体制整備に努める。

(4) 都道府県の役割

① 都道府県は、市町村が健康診査等の実施計画を作成するに当たって、健康診査等の実施状況等に関して市町村間の均衡にも配慮しつつ、関連機関との連携を密にして必要な助言及び調整を行う。

② 都道府県は、市町村が健康診査等を実施するに当たって、必要に応じ職員の派遣等技術的な援助を行う。

③ 都道府県は、常に疾病等の動向を把握し、市町村の行う健康診査等が適切に行われているかを評価し、必要な指導を行う。

④ 都道府県は、受託実施機関に対し、健康診査等の質の向上及び維持を図るよう指導する。また、必要に応じ従事者の指導講習を実施する。

⑤ 都道府県は、市町村の健康診査等が円滑に行われるよう、保健所の整備及び精密検診機関の確保等の体制整備に努める。

(5) 受託実施機関の役割

① 受託実施機関は、健康診査等の精度を維持・向上するため、検査機器の保守点検及び整備を行うとともに、血液検査等の標準化に関する管理・点検機構の確立を図る。

② 受託実施機関は、従事者の資質の向上に努める。

③ 受託実施機関は、健康診査等の結果を速やかに実施主体に報告する。

④ 受託実施機関は、判定に用いた検体やフィルム等を保存する。

⑤ 受託実施機関は、市町村や都道府県の求めに応じ、健康診査等の質の確保を図る上で必要な資料の提出等の協力をしなければならない。

2 歯周疾患検診

(1) 目的

高齢期における健康を維持し、食べる楽しみを享受できるよう、歯の喪失を予防することを目的とする。

(2) 対象者

当該市町村の区域内に居住地を有する40歳、50歳、60歳及び70歳の者を対象とする。

(3) 歯周疾患検診の実施

① 検診項目

ア 問診

歯周疾患に関連する自覚症状の有無等を聴取する。

イ 歯周組織検査

歯及び歯周組織等口腔内の状況について検査する。

② 実施回数

原則として同一人について年1回行う。

(4) 検診結果の判定

「歯周疾患検診マニュアル」(厚生省)に基づき、「異常なし」、「要指導」及び「要精検」に区分する。

(5) 指導区分・受診指導等

それぞれの指導区分につき、次の内容の指導を行う。

① 「要指導」と区分された者

問診の結果から、歯みがきの方法等特に改善を必要とする日常生活について指導する。

② 「要精検」と区分された者

医療機関において精密検査を受診するよう指導する。

(6) 結果の通知

検診の結果については、指導区分を付し、受診者に速やかに通知する。

(7) 記録の整備

検診の記録は、氏名、年齢、住所、検診の結果、指導、歯周疾患検診の指導区分等を記録する。また、必要に応じ、治療の状況や事後の指導その他必要な事項についても記録する。

(8) その他の留意事項

歯周疾患検診は、疾病の発見のみならず、検診の実施により健康自立への意識を高揚させ、実践へ結びつけることにより快適な高齢期を迎えることを目的とするものであることから、健康教育、健康相談及び訪問指導等他の保健事業や介護予防事業等と有機的な連携を図ることにより、適切な指導等が継続して行われるよう配慮する。

3 (略)

第4 (略)