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通達:労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び特定化学物質障害予防規則等の一部を改正する省令等の施行等について

 

労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び特定化学物質障害予防規則等の一部を改正する省令等の施行等について

平成20年2月29日基発第0229001号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

改正 平成20年11月26日基発第1126001号

 

労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(平成19年政令第375号。以下「改正政令」という。)は平成19年12月14日に、特定化学物質障害予防規則等の一部を改正する省令(平成19年厚生労働省令第155号。以下「改正省令」という。)、特定化学物質障害予防規則の規定に基づく厚生労働大臣が定める性能の一部を改正する件(平成19年厚生労働省告示第434号)、昭和51年労働省告示第9号(作業環境測定法施行規則の規定に基づき労働大臣の定める基準を定める件)の一部を改正する件(平成19年厚生労働省告示第435号。以下「改正登録告示」という。)、作業環境測定基準の一部を改正する件(平成19年厚生労働省告示第436号)、作業環境評価基準の一部を改正する件(平成19年厚生労働省告示第437号)及び特定化学物質障害予防規則第8条第1項の厚生労働大臣が定める要件の一部を改正する件(平成19年厚生労働省告示第438号)は平成19年12月28日に、公布又は公示され、一部の規定を除き、平成20年3月1日から施行又は適用されることとなった。

今般の改正は、「平成18年度化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会報告書」において、ホルムアルデヒド、1,3―ブタジエン及び硫酸ジエチルについて、関係法令の整備を検討すべき旨の検討結果が取りまとめられたこと等を受け、これらの物質に係る労働者の健康障害防止対策の徹底を図ること等を目的としたものである。

ついては、改正の趣旨を十分に理解し、関係者への周知徹底を図るとともに、下記の事項に留意して、その運用に遺漏なきを期されたい。

 

第1 改正の要点

1 労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「令」という。)関係

(1) 特定化学物質の第二類物質にホルムアルデヒドを追加し、第三類物質からホルムアルデヒドを削除したこと。(別表第3関係)

(2) ホルムアルデヒドを製造し、又は取り扱う業務は、特殊健康診断の対象業務としないこととしたこと。(第22条関係)

2 特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)関係

(1) 特定第二類物質に、ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒドをその重量の1パーセントを超えて含有する製剤その他の物(以下「ホルムアルデヒド等」という。)を追加すること。(第2条関係)

(2) ホルムアルデヒドに係る作業環境測定の記録及び作業環境測定の結果の評価の記録については、30年間保存すること。(第36条及び第36条の2関係)

(3) 特別管理物質に、ホルムアルデヒド等を追加すること。(第38条の3関係)

(4) 1,3―ブタジエン等を製造し、若しくは取り扱う設備から試料を採取し、又は当該設備の保守点検を行う作業について、1,3―ブタジエン等のガスの発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けること等の措置を講じなければならないこと。(第38条の17関係)

(5) 硫酸ジエチル等を触媒として取り扱う作業について、硫酸ジエチル等の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けること等の措置を講じなければならないこと。(第38条の18関係)

3 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)関係

(1) 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第88条第2項に基づく計画の届出をすべき機械等に、1,3―ブタジエン又は1,3―ブタジエンをその重量の1パーセントを超えて含有する製剤その他の物(以下「1,3―ブタジエン等」という。)に係る発散抑制の設備(屋外に設置されるものを除く。)及び硫酸ジエチル又は硫酸ジエチルをその重量の1パーセントを超えて含有する製剤その他の物(以下「硫酸ジエチル等」という。)に係る発散抑制の設備(屋外に設置されるものを除く。)を追加したこと。(別表第7関係)

(2) 有害物ばく露作業報告書様式について所要の改正を行ったこと。(様式第21号の7関係)

4 特定化学物質障害予防規則の規定に基づく厚生労働大臣が定める性能(昭和50年労働省告示第75号)関係

(1) ホルムアルデヒド等を製造し、又はホルムアルデヒド等が発散する屋内作業場に設置される局所排気装置の性能要件を定めたこと。(第1号の表関係)

(2) 2(3)及び2(4)により設ける1,3―ブタジエン等及び硫酸ジエチル等の局所排気装置の性能要件を定めたこと。(第2号関係)

5 昭和51年労働省告示第9号(作業環境測定法施行規則の規定に基づき労働大臣の定める基準を定める件)関係

作業環境測定機関が、登録を受けようとする作業場の種類に応じ、有すべき機器等の見直しを行ったこと。

6 作業環境測定基準(昭和51年労働省告示第46号)関係

空気中のホルムアルデヒドの濃度の測定方法を定めたこと。(別表第1及び第10条第2項関係)

7 作業環境評価基準(昭和63年労働省告示第79号)関係

ホルムアルデヒドに係る作業環境測定の結果の評価を行うための管理濃度を定めたこと。(別表関係)

8 特定化学物質障害予防規則第8条第1項の厚生労働大臣が定める要件(平成15年厚生労働省告示第378号)関係

ホルムアルデヒドが追加されたことに伴う規定の整備を図ったこと。

 

第2 細部事項

1 特化則関係事項

(1) 削除

(2) 第38条の17及び第38条の18関係

ア 「試料の採取」の作業とは、分析、試験等のために内容物を取り出すいわゆるサンプリングをいうこと。

イ 「保守点検」には、1,3―ブタジエン等を製造し、又は取り扱う設備の分解、組立て及び修理が含まれること。なお、「保守点検」の作業には、開放作業を伴わない設備外面の保守点検作業及びプラントのうち1,3―ブタジエン等が取り扱われていない部分の開放作業は含まれないものであること。

ウ 「設置が著しく困難な場合」には、種々の場所に短期間ずつ出張して行う作業の場合、発散源が一定していないため技術的に設置が困難な場合及び屋外の作業場所において自然環境等の影響により発散抑制の設備が有効に機能しない場合が含まれるものであること。

エ 「臨時の作業を行う場合」とは、その事業において通常行っている作業のほかに一時的必要に応じて行う1,3―ブタジエン等又は硫酸ジエチル等に係る作業を行う場合をいうこと。

したがって、一般的には、作業時間が短時間の場合が少なくないが、必ずしもそのような場合に限られる趣旨ではないこと。

オ 「触媒として取り扱う作業」には、樹脂の合成工程等における混合、撹拌、混練、加熱等の作業で、硫酸ジエチル等を触媒として使用する作業をいうものであること。なお、硫酸ジエチル等を単にエチル化剤等として化成品の合成原料等として使用する作業は含まれないものであること。

カ 1,3―ブタジエン及び硫酸ジエチルについては、動物実験の結果がん原性が認められているため、特別管理物質に準じ掲示、作業の記録及び記録の提出を義務づけたものであること。

2 安衛則関係事項

(1) 第13条関係

ホルムアルデヒド等は、第1項第2号ヲの「これらに準ずる有害物」に該当するものであること。なお、第1項第2号に掲げる業務に常時従事する労働者に対しては、第45条第1項に基づき、当該業務への配置替えの際及び6月以内ごとに1回、一般定期健康診断を行う必要があることに留意すること。

(2) 第44条及び第45条関係

ホルムアルデヒドが原因で、ヒトに対してまれに鼻咽頭がんが見られるとされていることから、第45条第1項の規定に基づき、ホルムアルデヒド等のガスを発散する場所における業務に常時従事する労働者に対して実施する健康診断においては、特に「自覚症状及び他覚症状」の項目で鼻咽頭がんに関する症状に留意する必要があること。

(3) 別表第7関係

第20の2の項上欄の「発散抑制の設備」は、1,3―ブタジエン等を製造し、若しくは取り扱う設備から試料を採取し、又は当該設備の保守点検を行う作業場所に設けるものに限る趣旨であること。

第20の3の項上欄の「発散抑制の設備」は、硫酸ジエチル等を触媒として取り扱う作業場所に設けるものに限る趣旨であること。

(4) 様式第21号の7関係

コードの欄には、別途告示で示す番号を記入することとしたこと。

 

第3 施行期日等

1 施行期日

改正政令、改正省令及び関係告示は、一部の規定を除き平成20年3月1日から施行又は適用することとしたものであること。

2 経過措置

(1) 令関係

ホルムアルデヒド等を製造し、又は取り扱う屋内作業場については、平成21年2月28日までの間は、作業環境測定を行うことを要しないこととしたものであること。(第21条関係)

(2) 特化則関係

ア 第二類物質の製造等に係る設備関係(第4条及び第5条関係)

ホルムアルデヒド等を製造し、又は取り扱う設備で、改正省令の施行の日(平成20年3月1日)において現に存するものについては、平成21年2月28日までの間は、改正省令による改正後の特化則(以下「新特化則」という。)第4条及び第5条の規定を適用しないこととしたものであること。

イ 1,3―ブタジエン等に係る作業に係る措置関係(第38条の17関係)

特化則の施行の日(平成20年3月1日)において現に存するものについては、平成21年2月28日までの間は、新特化則第38条の17の規定は、適用しないこととしたものであること。

ウ 硫酸ジエチル等に係る作業に係る措置関係(第38条の18関係)

特化則の施行の日(平成20年3月1日)において現に存するものについては、平成21年2月28日までの間は、新特化則第38条の18の規定は、適用しないこととしたものであること。

(3) 安衛則関係

ホルムアルデヒド等を製造する設備又はホルムアルデヒド等のガス、1,3―ブタジエン等のガス若しくは硫酸ジエチル等の蒸気が発散する屋内作業場に設ける発散抑制の設備の設置・移転・主要構造部分の変更を平成20年6月1日前に行う場合には、計画の届出規定を適用しないこととしたものであること。

(4) 昭和51年労働省告示第9号関係

改正登録告示の適用の日(平成20年3月1日)において、現に作業環境測定法第33条第1項の登録(作業環境測定法施行規則(昭和50年労働省令第20号。以下「作環則」という。)別表第1号及び第3号に係るものに限る。)を受けている者並びに同日前になされた作業環境測定法第33条第2項の登録(作環則別表第1号及び第3号に係るものに限る。)の申請に係る作環則第54条第2号の基準については、なお従前の例によることとしたものであること。

 

第4 関係通達の一部改正等

1 昭和51年2月18日付け基発第206号通達の一部改正

昭和51年2月18日付け基発第206号「作業環境測定機関が設置すべき機器及び設備を定める告示の施行について」の一部を別紙1の新旧対照表のとおり改正する。

2 昭和51年7月15日付け基発第528号通達の一部改正

昭和51年7月15日付け基発第528号「作業環境測定機関の事業報告書に係る事務処理要領について」の一部を別紙2の新旧対照表のとおり改正する。

3 平成14年3月15日付け基発第0315002号通達の一部改正

平成14年3月15日付け基発第0315002号「職域における屋内空気中のホルムアルデヒド濃度低減のためのガイドラインについて」(以下「ガイドライン通達」という。)の一部を別紙3の新旧対照表のとおり改正する。

なお、本通達による改正前のガイドライン通達(以下「旧通達」という。)の別紙の1の(3)のアの「平成12年6月30日付け生衛発第1093号「室内空気中化学物質の室内濃度指針値及び標準的測定方法について」において示されているDNPH誘導体化固相吸着/溶媒抽出―高速液体クロマトグラフ法」は、本通達による改正後のガイドライン通達(以下「新通達」という。)の別添1の3の③の(ア)に含まれること及び旧通達の別紙の1の(3)のイの「拡散型ガスモニター(パッシブサンプラー)により吸着し、溶媒抽出した後、高速液体クロマトグラフにより分析する方法」は、新通達の別添1の3の③の(ア)又は(カ)に該当することに留意されたい。

4 平成16年6月21日付け基発第0621004号通達の一部改正

平成16年6月21日付け基発第0621004号「事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について」の一部を別紙4の新旧対照表のとおり改正する。

5 平成17年3月31日付け基発第0331017号通達の一部改正

平成17年3月31日付け基発第0331017号「屋外作業場等における作業環境管理に関するガイドラインについて」の一部を別紙5の新旧対照表のとおり改正する。

 

[別紙1]~[別紙5]<上記通達の改正新旧対照表:編注:略>