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通達:粉じん障害防止規則等の一部を改正する省令の施行について

 

粉じん障害防止規則等の一部を改正する省令の施行について

平成20年2月26日基発第0226006号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

改正 平成26年11月28日基発1128第12号

 

粉じん障害防止規則等の一部を改正する省令(平成19年厚生労働省令第143号。以下「改正省令」という。)が平成19年12月4日に公布され、平成20年3月1日から施行されることとなったところである。

今回の改正は、ずい道等の建設を行う作業場において、近年の技術進歩や作業方法の変化により、粉じんの発生量が増加し、従来の粉じん発生源対策を講じてもなお一定の粉じんが発生する場合がみられるようになったこと等から、主に、ずい道等建設工事における粉じん障害防止対策を強化したものである。

ついては、下記に示す今回の改正の趣旨を十分に理解し、関係者への周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏なきを期されたい。

なお、関係団体に対し、別紙のとおり要請を行ったので、了知されたい。

 

Ⅰ 粉じん障害防止規則等の一部を改正する省令関係

第1 改正の要点

1 粉じん障害防止規則の一部改正関係

(1) 粉じんにさらされる労働者の健康障害を防止するための措置を講ずる必要のある「粉じん作業」として、次に掲げる作業を規定したこと。(別表第1関係)

① ずい道等の内部の、ずい道等の建設の作業のうち、コンクリート等を吹き付ける場所における作業

② 屋内において、金属を溶断し、又はアーク溶接する作業のうち、自動溶断し、又は自動溶接する作業

(2) 事業者は、粉じん作業を行う坑内作業場(ずい道等の内部において、ずい道等の建設の作業を行うものに限る。(3)において同じ。)については、当該粉じん作業に係る粉じんを減少させるため、換気装置による換気の実施又はこれと同等以上の措置を講じなければならないこととしたこと。(第6条の2関係)

(3) 事業者は、粉じん作業を行う坑内作業場について、ずい道等の長さが短いこと等により、空気中の粉じんの濃度の測定が著しく困難である場合を除き、半月以内ごとに一回、定期に、空気中の粉じんの濃度を測定しなければならないこととしたこと。(第6条の3関係)

(4) 事業者は、(3)による空気中の粉じんの濃度の測定の結果に応じて、換気装置の風量の増加その他必要な措置を講じなければならないこととしたこと。(第6条の4関係)

(5) 事業者は、ずい道等の内部において、ずい道等の建設の作業のうち、発破の作業を行ったときは、発破による粉じんが適当に薄められた後でなければ、発破をした箇所に労働者を近寄らせてはならないこととしたこと。(第24条の2関係)

(6) 事業者は、ずい道等の内部の、ずい道等の建設の作業のうち、次に掲げる作業に労働者を従事させる場合にあっては、当該作業に従事する労働者に電動ファン付き呼吸用保護具を使用させなければならないこととしたこと。(第27条関係)

① 動力を用いて鉱物等を掘削する場所における作業

② 動力を用いて鉱物等を積み込み、又は積み卸す場所における作業

③ コンクリート等を吹き付ける場所における作業

2 じん肺法施行規則の一部改正関係

従事する労働者がじん肺にかかるおそれがあると認められる「粉じん作業」として、次に掲げる作業を規定したこと。(別表関係)

① ずい道等の内部の、ずい道等の建設の作業のうち、コンクリート等を吹き付ける場所における作業

② 屋内において、金属を溶断し、又はアーク溶接する作業のうち、自動溶断し、又は自動溶接する作業

3 労働安全衛生規則の一部改正関係

粉じん作業に係る業務に従事した者に係る健康管理手帳の様式に、喫煙歴を記入する欄を設けたこと。(様式第8号(2)関係)

第2 細部事項

1 粉じん障害防止規則の一部改正関係

(1) 第6条の2関係

ア 「これと同等以上の措置」とは、ずい道等の長さが短い等換気装置が設置できない場合の措置を規定したものであり、「これと同等以上の措置」には、ポータブルファンの設置等があること。

イ 換気装置による換気の実施に当たっては、平成12年12月26日付け基発第768号の2「ずい道等建設工事における粉じん対策の推進について」において示された「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)による「粉じん濃度目標レベル」が達成されるように、「ずい道等建設工事における換気技術指針」(平成3年建設業労働災害防止協会発行(平成14年改訂))等に基づき、換気量を設定する必要があること。

(2) 第6条の3関係

ア 「空気中の粉じんの濃度の測定」については、ガイドライン第3の4の(1)「粉じん濃度等の測定」に基づき測定すること。

イ ガイドラインによる方式の測定を実施した場合、建設工事開始後間もない等の事情により測定点が坑外となるような長さのずい道等については、粉じん濃度を測定しても適正な換気効果を確認することができないこと、及び測定者が測定箇所に入れないような極めて断面が小さいずい道等については、測定することができないことを考慮し、ずい道等の長さが短いこと等により空気中の粉じんの濃度の測定が著しく困難である場合における測定の義務を免除したものであること。

(3) 第6条の4関係

ア 「空気中の粉じんの濃度の測定の結果に応じて」とは、ガイドライン第3の4の(2)「空気中の粉じん濃度の測定結果の評価」に基づき判断すること。

イ 「その他必要な措置」には、集じん装置による集じんの実施、作業工程又は作業方法の改善、風管の設置方法の改善、粉じん抑制剤の使用等があること。

(4) 第24条の2関係

実際上は、ずい道等建設工事の開始前に、当該ずい道等建設工事現場における岩質、工法、換気装置や集じん装置等の使用機械等を踏まえ、事業者において、粉じんが適当に薄まるために必要な時間をあらかじめ試算し、当該設定時間の適否について、初期の実際の発破作業後に、粉じん濃度を測定し確認することとし、当該測定結果を記録しておくこと。なお、当該確認によって、適切と判断された後は、岩質等に大きな変化が生じない限り、前記時間に従って発破終了後の措置を実施して差し支えないこと。したがって、この場合発破作業を行うたびに粉じん濃度を測定する必要はないものであること。

また、「粉じんが適当に薄められた」の判断基準としては、ガイドライン第3の4の(2)のイ「粉じん濃度目標レベル」を指標とすること。

(5) 第27条関係

ア 電動ファン付き呼吸用保護具については、型式検定に合格したものであって、「電動ファン付き呼吸用保護具の規格」(平成26年厚生労働省告示第455号)で定める電動ファンの性能区分が大風量形のものを使用すること。

イ 本条第2項に定める作業以外の作業においても、電動ファン付き呼吸用保護具を着用させる場合も想定されるところであるが、Ⅲに示すとおり、電動ファン付き呼吸用保護具の使用が適当でない場合もあること。

(6) 別表第1関係

ア ずい道等建設工事関係

(ア) ずい道等の内部の、ずい道等の建設の作業のうち、コンクリート等を吹き付ける場所における作業については、従来、別表第1第5号に含まれるとして運用してきたところであるが、今般、粉じん作業として明示することとしたものであること。

(イ) ずい道等建設工事の工法としては、NATM工法(掘削した地山(岩盤)をロックボルトで止め、表面を吹付けコンクリートで固め、地山の崩壊を防ぎながらずい道等を掘進する工法をいう。)、シールド工法、推進工法等の各工法があるが、いずれの工法によったとしても、別表第1に記載する作業は、原則として、粉じん作業に該当すること。しかし、労働者がずい道等内に入らないずい道等建設工事、密閉式の泥水式シールド工法や密閉式の泥土圧式シールド工法等において、労働者が粉じんにばく露するおそれがない作業については、粉じん作業に該当しないこと。

(ウ) たて坑及び採石法(昭和25年法律第291号)第2条に規定する岩石の採取のための坑は、「ずい道等」には含まれないが、「坑」には含まれるため、これらの坑の内部において行われる作業は、従来どおり、別表第1の「坑内」の作業に該当することに留意すること。

イ 自動溶断・自動溶接関係

(ア) 屋内において、金属を溶断し、又はアーク溶接する作業のうち、自動溶断し、又は自動溶接する作業については、従来、別表第1第20号ただし書で粉じん作業から除外してきたところであるが、近年、粉じん発生量が多いガスシールドアーク溶接による作業が増加していることや、作業実態をみるとこれら機器を操作するオペレーターが粉じん発生源の近くにいる場合も存することから、今般、当該ただし書を削り、粉じん作業に追加することとしたものであること。

(イ) 「金属を溶断し」とは、熱エネルギーにより金属を溶かしながら切断するものを言い、ガス溶断、プラズマ溶断、レーザー溶断等があること。

(ウ) 第20号には、自動溶断機による溶断中に、火口に近づき、粉じんにばく露するおそれのある作業を含み、溶断機の火口から離れた操作盤の作業、溶断作業に付帯する材料の溶断定盤への搬入・搬出作業、片付け作業等は含まれないこと。

また、自動溶接機による溶接中に、トーチに近づき、粉じんにばく露するおそれのある作業を含み、溶接機のトーチから離れた操作盤の作業、溶接作業に付帯する材料の搬入・搬出作業、片付け作業等は含まれないこと。

(7) その他

事業者は、ずい道等建設工事を実施する場合には、粉じん障害防止規則の規定内容を遵守するだけでなく、ガイドラインに記載された各種措置を講ずること。

2 じん肺法施行規則の一部改正関係

1の(6)と同趣旨であること。

3 労働安全衛生規則の一部改正関係

今回の改正は、じん肺の合併症を予防するため、禁煙等の日常生活の中での健康管理は重要であることを踏まえ、定期的な健康管理の中で禁煙指導に役立てるために、労働安全衛生規則上の健康管理手帳の様式に喫煙の有無を記入する欄を新たに設けることとしたものであること。

第3 施行期日等

1 施行期日

改正省令は、平成20年3月1日から施行するものであること。

2 経過措置

(1) 改正省令の施行の際現に交付され、又は提出されている改正前の労働安全衛生規則様式第8号による健康管理手帳及びじん肺法施行規則様式第8号によるじん肺健康管理実施状況報告は、改正省令による改正後の労働安全衛生規則様式第8号による健康管理手帳及びじん肺法施行規則様式第8号によるじん肺健康管理実施状況報告とみなすこととしたこと。

(2) 改正省令の施行の際現に存する改正前のじん肺法施行規則様式第8号による報告書は、当分の間、必要な改定をした上、使用することができることとしたこと。

 

Ⅱ 関係通達の改正

平成12年12月26日付け基発第768号の2通達の一部を次のように改正する。

第1中「第5次粉じん障害防止総合対策」を「粉じん障害防止総合対策」に改める。

第3の2の(1)のイの(ロ)中「粉じん濃度が低減するまで、立ち入らないこと」を「粉じんが適当に薄められた後でなければ、発破をした箇所に労働者を近寄らせないこと」に改める。

第3の4の(2)のイのただし書を以下のとおり改める。

ただし、掘削断面積が小さいため、3mg/m3を達成するのに必要な大きさ(口径)の風管又は必要な本数の風管の設置、必要な容量の集じん装置の設置等が施工上極めて困難であるものについては、可能な限り、3mg/m3に近い値を粉じん濃度目標レベルとして設定し、当該値を記録しておくこと。

第3の5の本文中「有効な呼吸用保護具」の下に「(動力を用いて掘削する場所における作業、動力を用いてずりを積み込み若しくは積み卸す場所における作業又はコンクリート等を吹き付ける場所における作業にあっては、電動ファン付き呼吸用保護具に限る。)」を加える。

別紙中表を次のように改める。

測定機器

質量濃度変換係数

(mg/m3/cpm)

3451

0.6

P―5L、P―5L2、P―5L3

0.04

LD―1L、3411

0.02

P―5H、P―5H2、P―5H3

0.004

3423

0.003

LD―1H、LD―1H2、LD―3K、LD―3K2

0.002

 

Ⅲ その他

電気雷管の運搬、電気雷管を取り付けた薬包(火薬類取締法施行規則(昭和25年通商産業省令第88号)第55条の「薬包」をいう。)の装填及び電気雷管の結線の作業(以下「雷管取扱作業」という。)は、粉じん作業に該当せず、呼吸用保護具の使用は義務付けられていないものの、ガイドラインに基づき坑内において有効な呼吸用保護具を使用させる場合は、漏電等による爆発を防止するために、電動ファン付き呼吸用保護具以外の労働安全衛生法第44条の2の型式検定に合格した防じんマスクを使用させること。

ただし、型式検定に合格した面体形の電動ファン付き呼吸用保護具は、電動ファンを停止しても型式検定に合格した防じんマスクと同等以上の防じん機能を有することから、雷管取扱作業を開始する前に、漏電等による爆発のおそれのない安全な場所で、当該電動ファン付き呼吸用保護具の電池を取り外し保管したうえで、当該雷管取扱作業を行う場合は、この限りでないこと。

 

別紙

○粉じん障害防止規則等の一部を改正する省令の施行について

平成20年2月26日基発第0226007号

((別記関係団体、事業者団体の長)あて厚生労働省労働基準局長通知)

労働基準行政の運営につきましては、日頃から格別の御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、粉じん障害防止規則等の一部を改正する省令(平成19年厚生労働省令第143号。以下「改正省令」という。)が平成19年12月4日に公布され、平成20年3月1日から施行されることとなったところです。

今回の改正は、ずい道等の建設を行う作業場において、近年の技術進歩や作業方法の変化により、粉じんの発生量が増加し、従来の粉じん発生源対策を講じてもなお一定の粉じんが発生する場合がみられるようになったこと等から、主に、ずい道等建設工事における粉じん障害防止対策を強化したものです。

つきましては、貴団体におかれましても、下記事項について、会員事業場等に対して周知いただきますよう、特段の御配慮をお願い申し上げます。

(以下、本文と同じ。)

別記関係団体、事業者団体

社団法人日本経済団体連合会

日本商工会議所

全国中小企業団体中央会

日本労働組合総連合会

社団法人全国建設業協会

社団法人日本土木工業協会

社団法人日本電力建設業協会

社団法人日本鉄道建設業協会

社団法人日本道路建設業協会

社団法人日本トンネル技術協会

日本トンネル専門工事業協会

社団法人日本溶接協会

全国厚板シヤリング工業組合

中央労働災害防止協会

建設業労働災害防止協会

社団法人日本作業環境測定協会

社団法人日本保安用品協会

社団法人産業安全技術協会