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通達:労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行及び平成10年労働省告示第88号(労働安全衛生規則第44条第3項の規定に基づき労働大臣が定める基準を定める件)の一部を改正する件の適用について

 

労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行及び平成10年労働省告示第88号(労働安全衛生規則第44条第3項の規定に基づき労働大臣が定める基準を定める件)の一部を改正する件の適用について

平成20年1月21日基発第0121001号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

 

労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成19年厚生労働省令第96号。以下「改正省令」という。)が、平成19年7月6日に公布され、平成20年4月1日から施行されることとなった。

また、この改正に伴い、平成10年労働省告示第88号(労働安全衛生規則第44条第3項の規定に基づき労働大臣が定める基準を定める件)の一部を改正する件(平成19年厚生労働省告示第248号。以下「改正告示」という。)についても、平成19年7月6日に公示され、平成20年4月1日から適用されることとなっている。

今回の改正は、「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等に関する検討会」の報告を踏まえ、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第66条第1項の規定に基づく一般健康診断のうち、雇入時の健康診断、定期健康診断、特定業務従事者の健康診断及び海外派遣労働者の健康診断(以下「定期健康診断等」という。)の項目の改正を行ったものである。

ついては、下記に示す今回の改正の趣旨を十分に理解し、関係者への周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏なきを期されたい。

 

Ⅰ 改正省令関係

第1 改正の趣旨

労働安全衛生法では、事業者に対して、労働者の健康の保持増進、疾病の早期発見・予防のみならず、労働者の就業の可否・適正配置・労働環境の評価などを判断するために、定期健康診断等の実施を義務づけている。

定期健康診断等における健康診断の項目は、作業関連疾患である脳・心臓疾患に適切に対応するという観点から、随時その項目を見直してきており、この度、新たな医学的知見が得られたことから、その項目の見直しを行ったものである。

1 腹囲の追加について

労働災害となりうる脳・心臓疾患発症の危険性については、肥満・高血圧・脂質異常症・高血糖の4つを合わせ持つと相対的に危険性が高まることが明らかになっている。

これまでは、肥満の指標としてBMI(Body Mass Index:体重(kg)/身長×身長(m)2)を用いてきたが、近年、BMIよりも腹囲(内臓脂肪)が脳・心臓疾患の発症と関連するとの報告が数多くなされ、日本内科学会等8学会よりなるメタボリックシンドローム診断基準検討委員会や国際糖尿病学会でも基準の必須項目に取り入れられるなど、腹囲(内臓脂肪)が肥満のリスク指標として優れていることが明らかとなっている。

このため、脳・心臓疾患を予防する観点から腹囲(内臓脂肪)を把握することは、労働安全衛生の観点からも欠かせないものであり、このため定期健康診断等の項目に腹囲の検査を追加したものである。

2 低比重リポ蛋たん白コレステロール(LDLコレステロール)の導入について

低比重リポ蛋たん白コレステロール(以下「LDLコレステロール」という。)は、日本動脈硬化学会が示す動脈硬化性疾患診療ガイドラインにおいて、単独で脳・心臓疾患の原因となる動脈硬化の強い危険因子になると指摘されているものであり、治療目標値はLDLコレステロールを主体とし、血清総コレステロール値を参考値とするとされているところである。

これを踏まえ、安衛法に基づく定期健康診断等の健康診断の項目において、総コレステロールに代えて、LDLコレステロールを導入したものである。

3 尿検査の必須化について

糖尿病の疑いがある者を早期に把握するため、これまで血糖検査を行ってきたところであるが、健診受診者の状況によっては、必ずしも正確な値を得られない場合もあり、血糖検査だけでは、糖尿病の疑いのある者を正確に把握することが難しいことが少なくないことが明らかになってきた。

同時に、尿中の糖の有無の検査をすることで、血糖検査だけで把握できない糖尿病の疑いがある者を、より正確に把握することが可能であることも明らかにされている。

そこで、現在は血糖検査を行った場合は、「尿中の糖の有無の検査」を省略することができることとされているが、血糖検査を補完する観点から、尿糖検査を省略することができない項目としたものである。

第2 改正の要点

1 健康診断項目の改正

定期健康診断等の健康診断項目について、①及び②の改正を行ったこと。(労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第43条、第44条第1項関係)

① 腹囲の検査を追加したこと。

② 血清総コレステロールの検査に代わりLDLコレステロールの検査を規定したこと。

2 健康診断項目の省略

定期健康診断及び特定業務従事者の健康診断の項目のうち、尿検査を省略できないものとしたこと。(安衛則第44条第3項関係)

3 その他

① 所要の規定の整備を行ったこと。(安衛則第45条の2第4項関係)

② 健康診断項目の改正に伴い、健康診断個人票の様式改正を行ったこと。(安衛則様式第5号関係)

第3 細部事項

1 安衛則第43条(雇入時の健康診断)及び第44条(定期健康診断)関係

① 「腹囲の検査」について

第3号の「腹囲の検査」は、メタボリックシンドロームの診断基準に基づき、立位、軽呼気時、臍レベルで測定を実施する。この際脂肪蓄積が著明で、臍が下方に偏位している場合は、肋骨下縁と前上腸骨棘の中点の高さで測定する。

より詳細については、平成19年「国民健康・栄養調査必携(厚生労働省)」を参考とする。なお、具体的な測定方法の映像については、独立行政法人国立健康・栄養研究所のホームページ(http://www.nih.go.jp/eiken/chosa/kenkoeiyo.html)に掲載されている。

② 腹囲の簡易な測定方法について

腹囲の測定については、腹部の露出等の労働者のプライバシーへの適正な配慮を行う必要性があることから、簡易な測定方法を導入することとし、具体的には、腹囲の測定を、着衣のまま測定することを認めるとともに、労働者による健診会場での自己測定を認めるものとする。この際、着衣の上からの測定を行った場合は、厚生労働科学研究における研究結果を踏まえ、実測値から1.5cm引いた値を腹囲の検査値とするものとする。なお、現在も健康診断の際に、囲い等を設けて、脱衣、胸部・腹部を露出した上で、医師による診察、心電図検査等を行っているところであるが、その際、同時に腹囲の計測を行うことによりプライバシーに配慮することが可能となる。

③ 健康診断項目の実施の手順について

腹囲を定期健康診断の項目として追加し、あわせてその省略基準等を告示したところであるが、腹囲の省略基準にBMIを用いる観点から、今後定期健康診断を実施する場合は、身長及び体重の測定を健康診断の最初の段階で行い、BMIの値を計算した後に医師の診察を行うことが望ましい。

また、健診機関等においては、これ以外にも、こうした腹囲測定の省略基準を念頭においた健康診断の企画を行うことが望ましい。

④ 腹囲の値による事後措置について

腹囲は、これまで肥満の指標として用いられてきた、安衛則第51条に基づく健康診断個人票に規定するBMIに代わる指標として位置づけるものである。したがって、BMIがこれまで、健康診断個人票の他の健診項目とともに、医師が労働者の状況を総合的に判断するための指標のひとつとして用いられ、これらの状況を判断した結果である「医師の意見」を事業者が勘案し、必要があると認めるときに、適切な措置を講じることとなっていたのと同様に、腹囲についても取り扱われるものである。

よって、従来からBMIのみで事後措置を求められることはなかったのと同様に、腹囲のみで事後措置を行う必要はない。

2 安衛則様式第5号関係

「BMI」の欄の下に「腹囲(cm)」の欄を設けるとともに、「総コレステロール(mg/dl)」の欄を「LDLコレステロール(mg/dl)」の欄に改めたこと。

Ⅱ 改正告示関係

第1 改正の趣旨

労働安全衛生法では、事業者に対して、労働者の健康の保持増進、疾病の早期発見・予防のみならず、労働者の就業の可否・適正配置・労働環境の評価などを判断するために、年1回の定期健康診断等の実施を義務づけている。

今般、脳・心臓疾患に適切に対応するという観点から、Ⅰのとおり、健康診断の項目について見直しを行った。これに伴い、省略することのできる健診項目を定める告示について、所要の改正を行ったものである。

第2 改正の要点

1 腹囲の検査を省略できる者として①から④までの者を定めたこと。

① 40歳未満の者(35歳の者を除く。)

② 妊娠中の女性その他の者であって、その腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断されたもの

③ BMIが20未満である者

④ 自ら腹囲を測定し、その値を申告した者(BMIが22未満である者に限る。)

2 尿糖検査を省略できる者についての規定を削除したこと。

第3 細部事項

1 「40歳未満の者(35歳の者を除く。)」について

他の健診項目(肝機能検査等)の省略基準と同様の取扱いとしたものである。

2 「BMIが20未満である者」及び「自ら腹囲を測定し、その値を申告した者(BMIが22未満である者に限る。)」について

告示で規定したBMIの数値未満のものにあっては、内臓脂肪の蓄積が多いと判断される者が統計上少ないと判断されるため、省略できる取扱いとしたものである。