img1 img1 img1

◆トップページに移動 │ ★目次のページに移動 │ ※文字列検索は Ctrl+Fキー  

通達:登録性能検査機関が行う性能検査の適正な実施について

 

登録性能検査機関が行う性能検査の適正な実施について

平成16年3月31日基発第0331008号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

最終改正 令和3年3月29日基発0329第11号

 

公益法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備に関する法律(平成15年法律第102号)により改正された労働安全衛生法(以下「法」という。)が施行され、登録性能検査機関が行う性能検査については、法第53条の3において準用する法第47条第3項の規定に基づき行うこととされたところである。

ついては、同項に規定する「第37条第2項の基準のうち特定機械等の構造に係るものに適合する方法」として、別紙のとおり、検査項目、検査の方法、判定基準(以下「性能検査に係る検査の方法等」という。)を定めたので、関係者への周知を図られたい。

なお、別紙については、平成16年3月19日付け基発第0319009号の記のⅠの1の(4)の②の「別途示すもの」であることを申し添える。

おって、本件については、別添のとおり登録性能検査機関に通知したので了知されたい。

 

(別紙)

性能検査に係る検査の方法等

第1 ボイラー及び第一種圧力容器関係

ボイラー等(ボイラー(小型ボイラーを除く。以下同じ。)及び第一種圧力容器(小型圧力容器を除く。以下同じ。)をいう。以下同じ。)の性能検査は、原則として、1の開放検査(ボイラー(燃焼室を含む。)及び煙道又は第一種圧力容器を冷却し、掃除した上で行う検査をいう。以下同じ。)で行う。

なお、ボイラー等の安全管理が優良な事業場として、ボイラー及び圧力容器安全規則(昭和47年労働省令第33号。以下「ボイラー則」という。)第40条第1項ただし書及び第75条第1項ただし書の所轄労働基準監督署長の認定(以下「開放検査周期認定」という。)を受けたものについては、2の運転時検査(運転時に行う検査をいう。以下同じ。)又は停止時検査(ボイラー等が運転を停止している状態であって、開放時でない状態にある時に行う検査をいう。以下同じ。)を行うことができる。

検査の実施においては、ボイラー等の種類、使用条件に応じ、最も割れ、腐食等のおそれのある箇所について重点的な検査を行う。

1 開放検査(表1、表2)

性能検査の実施に先立ち、労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)第20条第5号のボイラー等については、ボイラー整備士が整備したものであるか確認する。

開放検査周期認定(開放検査周期(4年、6年、8年又は12年)に係る認定に限る。)を受けているボイラー等については、令和3年3月29日付け基発0329第8号「ボイラー等の開放検査周期に係る認定制度について」(以下「開放検査周期通達」という。)で示されたボイラー等の開放検査周期認定要領のⅣの第2の2、第3の2又は第4の4(経年損傷の防止対策)及び第2の3、第3の3又は第4の5(余寿命の評価)を実施し、当該通達に掲げる要件に適合しているか確認する。また、開放検査周期認定(開放検査周期12年に係る認定に限る。)を受けているボイラー等については、開放検査周期認定要領のⅣの第4の3(対象とするボイラー等の制限)の制限に反する損傷が生じていないことを確認する。

 

表1 ボイラー(開放検査)

検査項目

検査の方法

判定基準

1 本体の検査

次による方法によるほか、必要があると認められる場合には、試験圧力を最高使用圧力と同じ圧力とし、30分以上保持する水圧試験を行うものとする。

また、割れ、腐食等の有無を確認するために必要な場合は、保温材等の被覆物を取り除いて確認する。


(1) 本体の割れ、漏れ

① 本体の内外部のほか、締付けボルト、煙管若しくは水管の管端、ステーの溶接取付部又は鋳鉄製ボイラーのセクション等の割れの有無について、目視、ファイバースコープ等により確認する。

割れの疑いのある場合は、超音波探傷器等により確認する。

② 管取付部、溶接継手及び穴について漏れの痕跡の有無を目視により確認する。

③ 鋳鉄製ボイラー、貫流ボイラーについては、上記の水圧試験を行い、漏れの有無を確認する。

・ボイラー構造規格(平成15年厚生労働省告示第197号。以下この表において「構造規格」という。)第1編第2章、第43条及び第2編に適合していること。

(2) 本体の腐食、摩耗

① 本体内外部のほか、ステー、掃除穴等、ふた板、煙管・水管又は締付け金具等の腐食について目視、ファイバースコープ等により確認する。

腐食等による著しい減肉が見られる場合は、超音波厚さ計等により確認する。

② 鏡板若しくは炉筒のフランジ、火室の水脚部又はステー取付部等のグルービングの有無を目視等により確認する。

③ 廃熱ボイラーのガス接触部に磨耗がないことを目視により確認する。

・構造規格第1編第2章、第43条及び第2編に適合していること。

(3) 本体のラミネーション、ブリスター又ははがれ

ボイラーの高温となる部分について、ラミネーション、ブリスター又ははがれの有無を目視等により確認する。

・構造規格第1編第2章及び第2編に適合していること。

(4) 本体の過熱、膨出又は変形

① 火炎又は燃焼ガスに接触する胴底部の膨出、炉筒又は火室の変形、水管又は煙管の膨出、わん曲等の有無を目視等により確認する。

② 炉筒の変形等については、必要に応じて水圧試験により確認する。

・構造規格第1編第2章及び第2編に適合していること。

2 燃焼装置

次の燃焼装置の損傷等の有無を確認する。

① 燃焼室、炉壁、バーナタイルの損傷の有無を確認する。

② バーナ又は点火装置の破損又は変形の有無を確認する。

③ 火格子又はストーカの損傷の有無を確認する。

・改修が必要な損傷等がないこと。

3 自動制御装置

次の事項を含め自動制御装置の機能の異常の有無を確認する。

① 水位検出器の水銀スイッチ、電極等の部品に損傷がないことを目視等により確認する。

② 火炎検出器の機能の不良又は劣化の有無を目視等により確認する。

③ 燃料遮断装置の機能の不良の有無を目視等により検査する。

・構造規格第84条及び第85条に適合していること。

4 附属品及び附属装置

附属品の分解整備が良好に行われているか確認するとともに、安全弁その他の附属品等について、機能の異常がないことを目視等により確認する。


(1) 安全弁、逃がし弁又は逃がし管

安全弁等について、損耗、腐食その他の異常の有無を確認する。

・構造規格第62条から第65条及びボイラー則第28条に適合していること。

(2) 圧力計、水高計、温度計

機能、表示の不良がないことを目視により確認する。

・構造規格第66条から第68条及びボイラー則第28条に適合していること。

(3) 水面計、水柱管等

機能不良がないことを目視により確認する。

・構造規格第69条から第72条及びボイラー則第28条に適合していること。

(4) 蒸気止め弁、吹出し装置及び手動ダンパ等

① 蒸気止め弁等の損耗等機能不良がないことを目視等により確認する。

② 吹出し装置等の損耗の有無を目視等により確認する。

③ 空気調節機構の破損又は曲がり等の有無を目視等により確認する。

・構造規格第73条から第83条に適合していること。

(5) 過熱器、節炭器

過熱器又は節炭器の管寄せ、管の損耗の有無を目視等により確認する。

・構造規格第1編第2章に適合していること。

5 その他

ボイラー室、ボイラーの据付基礎、屋外設置の配管等が適切に設置されていることを目視等により確認する。

・ボイラー則第2章第3節及び第28条に適合していること。

備考

(1) 腐食等により、耐圧部の残厚が構造規格第1編第2章又は第2編に適合しない場合には、最高使用圧力を低下させる措置を講じることを条件に当該規格に適合していることを確認できれば、有効期間を更新しても差し支えないこと。

(2) 構造規格第86条の規定による適用の特例を受けたボイラーについては、その特例を行った構造規格の規定に関する検査の実施に代えて、適用の特例を受けた際の条件に適合していることを確認すること。

 

表2 第一種圧力容器(開放検査)

検査項目

検査の方法

判定基準

1 本体の検査

割れ、腐食等の有無を確認するために必要な場合は、保温材等の被覆物を取り除いて確認すること。


(1) 本体の割れ、漏れ

次のような割れ、漏れがないことを目視、ファイバースコープ等により確認する。

① ボイラー(開放検査)の1の(1)の項目(ボイラーに限るものを除く。)の割れ、漏れ

② ジャケット部のすみの丸みの部分の割れ、漏れ

③ ステンレス製等の容器で耐圧部の応力腐食割れ又は継手その他の加工部の割れ

④ クラッド鋼製の容器の合せ材の割れによる貫通し

・圧力容器構造規格(平成15年厚生労働省告示第196号。以下この表において「構造規格」という。)第1編第2章に適合していること。

(2) 本体の腐食、摩耗

① ボイラー(開放検査)の1の(2)の項目(ボイラーに限るものを除く。)の腐食、摩耗がないことを目視、ファイバースコープ、超音波厚さ計等により確認する。

② 貫通し又はその恐れのあるグルービングがないことを目視等により確認する。

③ 撹拌機その他の附属装置、締付け用ボルト、蒸気吹込み内管の付近等の磨耗がないことを確認する。

・構造規格第1編第2章に適合していること。

(3) 本体のラミネーション、ブリスター又ははがれ

ボイラー(開放検査)の1の(3)の項目のラミネーション若しくはブリスター又ははがれがないことを目視等により確認する。

・構造規格第1編第2章に適合していること。

(4) 本体及びふた板の変形

本体及びふた板のほか、次の変形等がないことを目視により確認する。

① 底板、側板等平板部分に内圧による変形

② 二重構造の容器、肉厚の薄いステンレス鋼製容器の変形

③ ふた板の締付け用クラッチ又は放射アームに損傷、変形等

・構造規格第1編第2章及び第67条に適合していること。

2 附属品等

ボイラー(開放検査)の4の(1)及び(2)並びに5の項目を準用する。

・構造規格第1編第4章及びボイラー則第65条に適合していること。

備考

ボイラー(開放検査)の備考欄を準用する。

 

2 運転時検査又は停止時検査(表3、表4)

(1) 運転管理、保全管理及び自動制御装置等については、認定書類(開放検査周期通達で示されたボイラー等の開放検査周期認定要領のⅤの第2の1、第3の1、第4の1及び第5の1に基づき事前審査の申請がされた際に申請書に添付された書類をいう。)による管理が適切になされているかを確認する。

この検査においては、認定事業場が行った各種検査記録(運転の記録、水管理の記録、日常点検等定期検査の記録、異常発生時等及びその際に講じた措置の記録、安全装置等の作動機能テストの記録等)により確認する。

また、認定事業場が協力会社に保全管理の業務を委託している場合は、認定事業場による立ち会いの記録等により、認定事業場による当該業務が適切に管理されているか確認する。

(2) 開放検査周期認定においては、ボイラー等の余寿命予測が適切になされ、かつ、その確認を行うことが必要であることから、その余寿命の評価が適正であるか確認する。

(3) また、ボイラー等の実機の検査としては、肉厚測定、外観検査等により表3及び表4のとおり検査を行うこととし、その際には、各種作動機能テストの記録等を活用した検査を行うことができること。

(4) なお、運転時検査又は停止時検査を実施した結果、次のいずれかの異常が認められた場合には、ボイラー等の運転を停止して関係部分について開放検査を実施する。

ア ボイラー等の本体から漏れが認められる場合。ただし、マンホール、掃除穴、検査穴及びフランジ等のガスケット部からの漏れで当面補修の必要はないと判断されるものを除く。

イ ボイラー等の本体の変形、過熱が認められる場合。

ウ ボイラー(廃熱ボイラーを除く。)の過熱器、節炭器、空気予熱器の出入口における流体の温度に異常が認められる場合。

エ 廃熱ボイラーにおいて、入口及び出口の廃熱ガスの温度に異常が認められる場合。

オ 運転時検査又は停止時検査において異常が認められ、その原因が明確でない場合。

 

表3 ボイラー(運転時検査又は停止時検査)

検査項目

検査方法

判定基準

1 本体の検査

割れ、腐食等の有無を確認するために必要な場合は、保温材等の被覆物を取り除いて確認すること。

・ボイラー構造規格(以下この表において「構造規格」という。)第1編第2章、第43条及び第2編に適合していること

(1) 割れ、腐食等

① 本体外面に割れ、腐食、グルービング、ラミネーション、ブリスター又ははがれがないことを目視等により検査する。

② 必要な板厚があることを確認するため、保全管理基準として測定した記録を確認するとともに、最も腐食のおそれのある部分について超音波厚さ計により確認する。

(2) 漏れ

ボイラー本体、マンホール、掃除穴等の漏れの有無を目視により確認する。

(3) 過熱、膨出又は変形

本体外部に過熱、膨出又は変形がないことを目視等により確認する。

2 燃焼装置

次の事項について、のぞき窓からの目視等により検査する。

① 燃焼状態の異常の有無

② 燃焼室の炉壁、バーナタイル等の損傷の有無

③ バーナ又は点火装置の損傷の有無

④ ボイラー本体、煙道のケーシング等のガス漏れ又は損傷の有無

・改修、取替えが必要な損傷等がないこと。

3 自動制御装置

① 各種検出器等の作動機能テストの記録との照合により異常がないことを確認する。

② 水位検出器の取付部等から漏れがないことを目視により確認する。

③ 圧力(温度)制限器、圧力(温度)調節器の取付部等から外部への漏れがないことを目視により確認する。

④ 燃料遮断弁から漏れ又はその外面に損傷がないことを目視により確認する。

・構造規格第84条及び第85条に適合していること。

4 附属品



(1) 安全弁、逃がし弁、逃がし管

① 安全弁等の維持管理の記録との照合により異常がないことを確認する。

② 安全弁等から漏れ又は外面の損傷がないことを目視等により確認する。

③ 熱媒ボイラーの安全弁の排気管に損傷がないことを目視により確認する。

・構造規格第62条から第65条に適合していること。

(2) 圧力計、水高計、温度計

機能、表示の不良がないことを目視により確認する。

・構造規格第66条から第68条に適合していること。

(3) 水面計、水柱管等

機能、表示の不良がないことを目視により確認する。

・構造規格第69条から第72条に適合していること。

(4) 蒸気止め弁、吹出し装置等

蒸気止め弁等から外部への漏れがないことを目視により確認する。

・吹出し装置等の外部に著しい損傷がないこと。

・構造規格第77条から第83条に適合していること。

5 その他

① ボイラー室、ボイラーの据付基礎、屋外設置の配管等が適切に設置されていることを目視等により確認する。

② 振動、異常音等がないことを確認する。

・ボイラー則第2章第3節及び第28条に適合していること。

 

表4 第一種圧力容器(運転時検査又は停止時検査)

検査項目

検査の方法

判定基準

1 本体の検査

割れ、腐食等の有無を確認するために必要な場合は、保温材等の被覆物を取り除いて確認すること。

・圧力容器構造規格第1編第2章に適合していること。

(1) 割れ、腐食等

ボイラー(運転時検査又は停止時検査)の1の(1)の項目(ボイラーに限るものを除く。)により確認する。

(2) 漏れ

ボイラー(運転時検査又は停止時検査)の1の(2)の項目(ボイラーに限るものを除く。)により確認する。

(3) 変形

本体外部に変形がないことを目視等により確認する。

ふた板の締付け用クラッチ又は放射アームにゆるみ、接触不良等の有無を確認する。

2 附属品等

ボイラー(運転時検査又は停止時検査)の4の(1)及び(2)並びに5の項目を準用する。(ボイラーに限るものを除く。)

圧力容器構造規格第1編第4章及びボイラー則第65条に適合していること。

(以下 略)