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石綿による健康障害防止対策の推進について
平成16年2月26日基安発第0226002号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部長通知)
石綿による労働者の健康障害防止対策については、平成15年10月16日に公布された「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令」(平成15年政令第457号。以下「改正政令」という。)により、石綿を含有する建材、摩擦材、接着剤の製造等が禁止されることとなったところであり、当該措置内容の確実な履行については、平成15年11月19日付け基発第1119004号により指示されたところである。
一方、石綿含有製品のうち、ジョイントシート・シール材、耐熱・電気絶縁板等の製品は、主に化学プラント、発電所等の配管等に使用されるものであり、火災・爆発、有害物の漏えい等の災害の防止上、現時点においては、石綿含有製品の使用がやむを得ないものがあることから、これらの原材料ともなっている石綿布等を含め今般の改正政令においては製造等の禁止の対象とならなかったものであるが、石綿による重篤な健康障害のリスクを低減するためには、現段階で石綿を含有しない製品への代替が可能であるものはもとより、それ以外の石綿含有製品についても早急に技術開発、実証試験等を推進し、無石綿製品への代替化を図ることが必要である。
このため、石綿含有製品の代替化の促進等について、関係団体に対し別添のとおり要請を行ったので了知するとともに、必要に応じ本要請の趣旨に基づき関係事業場、関係団体等に対し、適切な指導、援助に努められたい。
別添
○石綿含有製品の代替化の促進について
平成16年2月26日基安発第0226001号
(関係団体の長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部長通知)
日頃から労働安全衛生行政の推進に格段の御協力を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、石綿は、その粉じんを吸入することにより労働者に肺がん、悪性中皮腫、石綿肺等の重篤な健康障害をもたらすものであることから、平成7年に石綿のうち特に有害性の高いアモサイト及びクロシドライトについて、労働安全衛生法令によりその使用等が禁止されました。クリソタイル等のその他の種類の石綿についても、近年他の材料への代替化が進んできたこと等を踏まえ、厚生労働省におきましては石綿を含有する製品のうち国民の安全等の観点からその使用がやむを得ないものを除き、その製造等を禁止する方針で検討を行ってきたところですが、平成15年10月16日に公布された「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令」(平成15年政令第457号。以下「改正政令」という。)により、新たに石綿を含有する建材、ブレーキ、クラッチ等の摩擦材及び接着剤の製造等が禁止されることとなったところであり、平成16年10月1日の施行日に向けて、当該措置内容の確実な履行を図ることとしているところです。
一方、石綿含有製品のうち、ジョイントシート・シール材、耐熱・電気絶縁板等の製品は、主に化学プラント、発電所等の配管等において使用されるものであり、火災、爆発、有害物の漏えい等の災害の防止上、現時点においては、石綿含有製品の使用がやむを得ないと認められるものがあることから、これらの原材料ともなっている石綿布等を含め改正政令においては製造等の禁止の対象とはならなかったものですが、石綿による重篤な健康障害のリスクを低減するためには、現段階で石綿を含有しない製品への代替が可能であるものはもとより、それ以外の石綿含有製品についても国際的な動向も踏まえ、早急に技術開発、実証試験等を推進し、着実に無石綿製品への代替化を図ることが求められており、その円滑な推進のためには貴団体を始めとする関係団体及び傘下事業場等のこの問題に対する御理解と一致した真摯な取組が不可欠です。
つきましては、上述の趣旨を御理解いただき傘下会員事業場等に対して、下記について十分な周知をお願いするとともに、会員事業場等の石綿含有製品の代替化に向けた取組の督励、代替化の進捗状況等の把握等下記の各項目に掲げる措置の着実な推進について御協力いただきますようお願い申し上げます。
記
1 各企業における取組
(1) 石綿含有製品の使用状況の把握
製造等が禁止されていない石綿含有製品(別紙に例示)を使用している又は使用している可能性のある場合には、速やかに石綿含有製品の使用状況を把握すること。
(2) 代替化の検討
使用する石綿含有製品の無石綿製品への代替可能性を検討すること。代替化を着実かつ計画的に促進するため、必要に応じ代替化の対象とする石綿含有製品ごとに年間又は数年次の「代替化計画」を作成し、当該計画の推進のための担当部署の指定や責任者の指名等を必要に応じて行う。代替化計画には具体的な目標期間を設定し、当該目標期間は合理的に短い期間とすること。また、定期的に進捗状況のフォローアップを行うこと。
(3) 代替化の実施
① 既存の施設、設備等
代替が可能なものについては、当該製品を使用する施設、設備、機器等の検査、修理、改造、更新等の機会又は当該製品の点検、交換等の機会を捉え、着実かつ計画的に代替化を図ること。また、現時点で代替化が困難な石綿含有製品についても、石綿含有製品メーカーの無石綿製品の開発等を促し、又はこれに協力するとともに、それらの製品が使用されている施設、設備、機器等の設計、施工方法の変更等を通じて代替化を図ることに努めること。
② 新設の施設、設備等
新規に導入する施設、設備等については無石綿製品の使用を前提とした設計及び仕様とするよう努めること。
2 団体における取組
(1) 会員事業場に対する周知、援助等
会員事業場における無石綿製品への代替化について、当該団体が開催する会合などの機会をとらえてこれを督励するとともに、関連技術情報の収集及び提供又は会員事業場の情報の集約・共有化その他必要な援助等を行うこと。
(2) 会員事業場の代替化の進捗状況の把握と代替化計画の集約又は策定
会員事業場の取組状況を把握のうえ、会員事業場の代替化計画の集約又は団体としての代替化計画の作成を行うこと。また、これによる進捗状況について定期的にフォローアップを行うこと。
(3) メーカー団体等との調整
代替化計画の推進に関して、会員事業場から要請がある場合等必要に応じ代替製品の開発、実証試験の実施等についてメーカー団体の理解と協力を得るよう働きかけを行うこと。
(別紙)
石綿製品の使用例
1 ジョイントシート、シール材
・発電所、化学工場、石油化学プラント等の機器・配管類、ガス設備、ボイラー等におけるフランジ、弁、マンホール、ポンプ等のケーシング部等のガスケット、パッキンなど
2 石綿系保温材、断熱材
・ボイラー、高温の機器・配管、ロケット、炉等の被覆材、詰め物
3 石綿クロス(布)、石綿ヤーン(ひも)、石綿リボン、石綿テープ、石綿糸、石綿板、石綿被服等
・溶鉱炉周辺等の機器・配管類、配線等の保温・耐熱、シール、電気絶縁
・溶融金属表面のかす取り
・レヤーロールへの使用
・溶接の火玉よけ
・鋳物工場等での耐熱石綿手袋の使用
4 その他
・石綿粉末のガラス溶融炉における粘土のつなぎとしての使用
・溶解アセチレンガスボンベ内の多孔質物