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通達:ボイラー構造規格及び圧力容器構造規格の全部改正について

 

ボイラー構造規格及び圧力容器構造規格の全部改正について

平成15年4月30日基発第0430004号

(各都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通達)

最終改正 平成28年8月2日基発0802001号

 

ボイラー構造規格の全部を改正する告示(平成15年厚生労働省告示第197号)及び圧力容器構造規格の全部を改正する告示(平成15年厚生労働省告示第196号)については、平成15年4月30日に公示され、同日(一部については平成15年6月1日)から適用されることになった。

今回の改正は、ボイラー及び圧力容器の構造規格に関し、[1]最近の技術の進歩に即応させるために、従来の仕様規定について性能規定化を図ること、[2]材料、機械試験方法、非破壊検査方法等について、日本工業規格(以下「JIS」という。)の改正を踏まえ、JISとの整合化をとること、[3]基準・認証制度の国際化に対応するため米国の規格との調整を図ること等から行われたものであり、従来のボイラー構造規格(平成元年労働省告示第65号)及び圧力容器構造規格(平成元年労働省告示第66号)の内容を全面的に検討し、ボイラー構造規格にあっては、労働安全衛生法第37条第2項の規定に基づき、圧力容器構造規格にあっては同項及び第42条の規定に基づき全部改正されたものである。

ついては、今回の改正の趣旨を十分理解し、関係者への周知徹底を図るとともに、下記事項に留意の上、その運用に遺漏のないようにされたい。

また、本通達においては、性能規定を具体的に満足する基準を例示しているが、同基準以外の方法で製造を行う場合は、改正後の構造規格に適合していることを証する資料を提出させる必要があることにも留意されたい。

なお、平成元年12月13日付け基発第643号「ボイラー構造規格及び圧力容器構造規格の制定について」及び平成13年10月1日付け基発第875号「日本工業規格B8265(圧力容器の構造-一般事項)に適合する圧力容器の製造に係る取扱いについて」等ボイラー構造規格及び圧力容器構造規格の運用に関する従前の通達は、本通達をもって廃止する。

 

Ⅰ ボイラー構造規格(平成15年厚生労働省告示第197号。以下Iにおいて「新規格」という。)関係

第1 ボイラー構造規格(平成元年労働省告示第65号。以下Iにおいて「旧規格」という。)との相違点

1 旧規格で定めていた仕様に関する規定について、安全上必要な最低限の規定を除き性能規定化を図ったこと。ただし、最終的な安全確認を行う試験方法に係る規定については、従前と同様の規定を置いたこと。

2 新規格に定められているボイラーの構造等に関する規定について、JISB8201(陸用鋼製ボイラ-構造)及びJISB8203(鋳鉄ボイラ-構造)の規定との整合化を図ったこと。

3  新規格に定められている各種試験方法について、JISの当該試験方法を定めた規格との整合化を図ったこと。

 

第2 細部事項

1 第1条関係

(1) 第1項関係

ア 「主要材料」とは、ボイラー本体及び附属設備でボイラーの圧力を受ける部分に用いる材料をいうものであり、給水内管、沸水防止管等のボイラー内取付物及び支持金具類の材料は、これに該当しないものであること。

イ 「安全な化学的成分及び機械的性質を有するもの」とは、黒鉛化、ぜい化等の材料に有害な著しい永久の変化を起こさないこと、許容引張応力の値が著しく低下したりする温度においては使用しないこと等、材料の性質に応じた適切な温度の範囲内で使用すべきことを規定したものであること。

ウ 第1項の規定に適合する主要材料として、例えば、次の材料があること。

(ア) JISの材料規定に定められた適用範囲、製造方法、化学成分、機械的性質、試験等に適合した以下の材料

JISG3101(一般構造用圧延鋼材)、JISG3103(ボイラ及び圧力容器用炭素鋼及びモリブデン鋼鋼板)、JISG3106(溶接構造用圧延鋼材)、JISG3115(圧力容器用鋼板)、JISG3118(中・常温圧力容器用炭素鋼鋼板)、JISG3119(ボイラ及び圧力容器用マンガンモリブデン鋼及びマンガンモリブデンニッケル鋼鋼板)、JISG3201(炭素鋼鍛鋼品)、JISG3202(圧力容器用炭素鋼鍛鋼品)、JISG3203(高温圧力容器用合金鋼鍛鋼品)、JISG3204(圧力容器用調質型合金鋼鍛鋼品)、JISG3452(配管用炭素鋼鋼管)、JISG3454(圧力配管用炭素鋼鋼管)、JISG3455(高圧配管用炭素鋼鋼管)、JISG3456(高温配管用炭素鋼鋼管)、JISG3458(配管用合金鋼鋼管)、JISG3459(配管用ステンレス鋼管)、JISG3461(ボイラ・熱交換器用炭素鋼鋼管)、JISG3462(ボイラ・熱交換器用合金鋼鋼管)、JISG3463(ボイラ・熱交換器用ステンレス鋼管)、JISG4051(機械構造用炭素鋼鋼材)、JISG4109(ボイラ及び圧力容器用クロムモリブデン鋼鋼板)、JISG4303(ステンレス鋼棒)、JISG4304(熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯)、JISG4305(冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯)、JISG5101(炭素鋼鋳鋼品)、JISG5102(溶接構造用鋳鋼品)、JISG5121(ステンレス鋼鋳鋼品)、JISG5151(高温高圧用鋳鋼品)、JISG5501(ねずみ鋳鉄品)、JISG5502(球状黒鉛鋳鉄品)、JISG5705(可鍛鋳鉄品)に定める黒心可鍛鋳鉄品及びパーライト可鍛鋳鉄品、JISH3300(銅及び銅合金継目無管)、JISH5120(銅及び銅合金鋳物)に定める青銅鋳物、JISH5121(銅合金連続鋳造鋳物)に定める青銅鋳物並びにJISB8270(圧力容器(基盤規格))の附属書5に定めるダクタイル鉄鋳造品及びマレアブル鉄鋳造品

(イ) ASME規格等の外国規格及びこれらに準ずる規格(以下「外国規格等」という。)に適合した材料であって、(ア)に掲げるJISに適合した材料と同等以上の安全な化学的成分及び機械的性質を有するもの。

(2) 第2項関係

ア 放射過熱器の材料の使用温度は、当該放射過熱器の形式、位置等に応じ、内部の蒸気の最高温度に50℃以上を加えた温度とすること。

イ 単管式熱媒ボイラーの熱媒の「最高温度」は、2以上の温度制御装置を具備している場合にあっては、ユーザーに熱媒を送給するためのポンプ圧力における熱媒の飽和温度とすること。

2 第2条関係

(1) 「ボイラーの圧力」とは、蒸気圧力又は温水圧力をいうものであること。

(2) 本条の表中「同等以下の機械的性質」については、化学的成分、機械的強度、品質管理等から総合的に判断すべきものであること。

(3) JISH5121(銅合金連続鋳造鋳物)は、JISH5120(銅及び銅合金鋳物)と同等以下の機械的性質を有するものであること。

3 第3条関係

(1)第1項関係

ア 第1号のイの「常温における引張強さの最小値」及び同号のハの「常温における降伏点又は0.2パーセント耐力の最小値」は、当該材料の規格に定められた引張強さ等の最小値とすること。

また、材料の使用温度における引張強さ及び降伏点又は0.2%耐力は、JISG0567(鉄鋼材料及び耐熱合金の高温引張試験方法)により求めること。

イ ガスケット付きフランジ、管板、ガスケット付き平板等のように拘束された部分に加圧による変形が加わることにより漏れ、その他の機能不良を生じるおそれのある部分は、第1号のニの「都道府県労働局長の認めた箇所」としてはならないこと。

ウ 第2号の「熱処理等により強度を高めたボルト」とは、熱処理又はひずみ硬化により強度を高めたものをいうこと。なお、当該強度を高めたボルトについて焼鈍することにより強度が低下したものについては、「熱処理等により強度を高めたボルト」に該当しないこと。

(2) 第2項関係

ア 「クリープ領域」とは、同項の規定により求めた許容引張応力の値が、第1項の規定により求めた許容引張応力の値に比べ小となる温度の範囲をいうものであること。

なお、クリープ領域となる温度が明確でないものについては、鋼材の種類に応じて、それぞれ次の温度を超える範囲をクリープ領域として取り扱って差し支えないこと。

(ア) 炭素鋼鋼材及び低合金鋼鋼材・・・350℃

(イ) ステンレス鋼鋼材・・・・・・・・425℃

イ 「材料の使用温度が当該材料のクリープ領域にある場合」については、JISZ2271(金属材料のクリープ及びクリープ破断試験方法)により試験を行うこと。

(3) その他

JISB8201の付表2に定める許容引張応力の値は、本条の規定を満たすものであること。

なお、外国規格等において、本条と同様の方法により、これらの材料の許容引張応力が定められている場合には、当該規格に定められた値をとって差し支えないこと。

4 第4条関係

(1) 3の(1)のア及び(3)は、鋳造品について準用すること。

(2) 第2号のイの「都道府県労働局長の定める検査に合格したもの」とは、次の表の左欄に掲げる検査に合格したものとし、同欄の検査の種類及び方法に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる数値を鋳造係数とすること。

検査の種類及び方法 鋳造係数
[1] 製品の全数についてJIS G0581(鋳鋼品の放射線透過試験方法)によって 放射線検査を行い、同規格に定めるきずに対してそれぞれ3類以上に合格したもの 0.9
[2] 製品の全数についてJIS G0565(鉄鋼材料の磁粉探傷試験方法及び磁粉模様の分類)又はJIS Z2343-1(非破壊試験-浸透探傷試験-第1部:一般通則:浸透探傷試験方法及び浸透指示模様の分類)によって探傷試験を行い、当該試験の結果がそれぞれ圧力容器構造規格第60条第3項又は第61条第3項の要件を具備するもの   
[3] 新しい設計の木型ごとに、当該木型により最初に製造した5個の製品にあってはそのうち3個以上を、それ以降に製造したものにあっては製品5個又はその端数ごとに1個製品を抜き取り、JIS G0581によって放射線検査を行い、同規格に定めるきずに対してそれぞれ3類以上に合格するとともに、JIS G0565又はJIS Z2343-1によって探傷試験を行い、当該試験の結果がそれぞれ圧力容器構造規格第60条第3項又は第61条第3項の要件を具備するもの  
[4] 製品の全数をJIS G0581によって放射線検査を行い、同規格に定めるきずに対してそれぞれ3類以上に合格するとともに、JIS G0565又はJIS Z2343-1によって探傷試験を行い、当該試験の結果がそれぞれ圧力容器構造規格第60条第3項又は第61条第3項の要件を具備するもの 1.0

 

5 第7条関係

「厚さ」とは、実測により得た材料の厚さをいうものであること。ただし、実測できない場合には、ミルシート等に記載されている値及び当該材料の機械加工の状態を考慮して判断すること。

6 第8条関係

廃熱ボイラー等における次の図のような膨張継手部分については、本条は適用しないものであること。

図

なお、当該継手については、圧力容器構造規格第27条の規定を準用すること。

7 第9条関係

(1) 「付け代」とは、腐食及び摩耗についての余裕をいうものであり、ボイラーの材料の種類、使用期間等を考慮して定めるべきものであること。

(2) 本条の規定に適合する胴又はドームに使用する板の最小厚さの算定方法として、例えば、次の方法があること。

なお、本算式を使用する場合の胴又はドームの真円度は、例えば、JISB8201の7.4の規定によるものがあること。

ア 内面に圧力を受ける胴又はドームに使用する板の最小厚さは、JISB8201の6.1.2の規定によること。この場合において、胴の周継手については、JISB8201の6.1.3、管穴列の効率については、JISB8201の6.1.4の規定によること。

なお、同JIS中の表6.1の使用温度とは、胴又はドーム内の蒸気(温水ボイラーにあっては水又は熱媒)の最高温度をいうこと。

イ 内面に圧力を受ける円すい胴の板の最小厚さは、JISB8201の6.1.11の規定によること。

(3) 本条の最小厚さを算定することができない特殊な形状のものについて、検定水圧試験によって、胴の板の厚さが本条の最小厚さ以上であるかどうか確認する場合には、例えば、JISB8201の9.3.3の規定による方法があること。

8 第10条関係

「胴板の最小厚さ」は、継手の効率(η)を1として算定した当該胴板の最小厚さとすること。

9 第11条関係

本条の規定に適合する鏡板の形状として、例えば、JISB8201の6.2.2の規定によるものがあること。

10 第12条関係

(1) 第1項関係

ア 中低面に圧力を受ける皿形鏡板又は全半球形鏡板の最小厚さの算定方法として、例えば、JISB8201の6.2.3の規定による方法があること。

イ 中低面に圧力を受ける半だ円体形鏡板の最小厚さの算定方法として、例えば、JISB8201の6.2.4の規定による方法があること。

ウ ア及びイの算式を使用する場合の鏡板の真円度及び公差として、例えば、JISB8201の7.4から7.6までの規定によるものがあること。

(2)第2項関係

 IIの第2の19の規定は、中高面に圧力を受ける鏡板の最小厚さについて準用すること。この場合において、同規定中「腐れ代」とあるのは、「付け代」と読み替えること。

また、本算式を使用する場合の鏡板の真円度及び公差として、例えば、JISB8201の7.4から7.6までの規定によるものがあること。

(3) その他

ア 皿形管板の最小厚さの算定方法として、例えば、次の方法があること。

(ア) 煙管ボイラーの管板その他管により支持されている管板の最小厚さ

管穴がない皿形鏡板とみなして、JISB8201の6.2.3のa)の規定により算定すること。ただし、次の算式によって算定した接触面の応力が0.98N/mm2を超えるものについては、(イ)によるものとすること。

     σ= W/πdt

この式において、σ,W,d及びtは、それぞれ次の値を表すものとする。

σ 接触面の応力(単位 N/mm2)

W 1本の管が支えるとみなされる管の軸方向の荷重(単位 N)

d 管穴の径(単位 mm)

t 管板の厚さ(単位 mm)

(イ) 管により支持されていない管板の最小厚さ

管穴が補強されているものを除き、管穴部の効率を考慮してJISB8201の6.2.3のa)の規定によること。

イ 本条の最小厚さを算定することができない特殊な形状のものについて、検定水圧試験によって、鏡板の厚さが本条の最小厚さ以上であるかどうか確認する方法として、例えば、JISB8201の9.3.3の規定による方法があること。

11 第13条関係

本条の規定に適合する補強を要しない穴として、例えば、JISB8201の6.6.9のb)の2)の規定によるものがあること。

12 第14条関係

本条の規定に適合するステーによって支えられない平板等の最小厚さの算定方法として、例えば、次の方法があること。

(1) 平鏡板、平ふた板、平底板等の平板でステーによって支えられないものの最小厚さは、JISB8201の6.2.7のa)の規定によること。

なお、次の図のような平板の取付けにおいては、JISB8201の6.2.7のa)の規定における定数Cは、次に定めるところによること。

 

ア 次の図(ア)に示すようにフランジ付きの平板が胴、管等と一体であるとき又は周継手に関する規定に従って突合せ溶接される場合であって、フランジ部の厚さが胴板の厚さ以上で、かつ、すみの丸みの内半径が次の値であるときは、

0.33×t/t

(0.2未満の場合は0.2)とする。

[1]t≦38.1mmの場合r≧9.5mm

[2]t>38.1mmの場合r≧0.25tただし、rは19mm以上とする必要はない。

イ 次の図(イ)に示すようにフランジ付きの平板が胴、管等に周継手の規定に従って両側全厚すみ肉重ね溶接をされるときは、0.20とする。ただし、同図中のがJISB8201の6.2.7のa)の2)のd)に定める算式のℓの値以上のときは、0.13とすることができる。

ウ 次の図(ウ)に示すように円形平板が胴、管等の端部にはめ込まれ、セクショナルリング、シールリング、締付ボルト等によりガスケットを用いて固定され、かつ、平板に加わる圧力により生ずるシールリングの圧縮応力、セクショナルリングのせん断応力及び曲げ応力、胴板の溝部の応力等がそれぞれの許容応力以下のときは、0.30とする。

(ア)図

(イ)図

(ウ)図

さらに、平板と胴、管等との取付方法については、次の図(エ)から図(キ)までに示した取付方法によっても差し支えないこと。

(エ)図

(オ)図

(カ)図

(キ)図

(2) 胴、管等のフランジにボルトで取り付けられる平板であって、当該平板にモーメントが作用するものの最小厚さは、JISB8201の6.2.7のb)の規定によること。なお、水管ボイラーの上部ヘッダ及び下部ヘッダのふた板(鏡板)は、次の図のようにボルト締め構造として差し支えないこと。

図

(3) (2)の平板にガスケット溝を設ける場合で、溝の深さを差し引いた平板の厚さは、JISB8201の6.2.7のc)の規定によること。

(4) マンホールカバーの最小厚さは、JISB8201の6.6.8の規定によること。

なお、次の図に示すように、マンホールカバーで胴の内側に密着するように曲率を有しているものの最小厚さは、JISB8201の6.6.8の算式により算定した値の85%(中央部の最小値12mm)として差し支えないこと。

図

(5) 炉筒を取り付ける丸ボイラーの平鏡板又は立てボイラーの鏡板若しくは火室天井板で平らなものの最小厚さは、マンホールの有無に応じ、それぞれ次のア及びイに掲げる算式により算定するものとすること。

アマンホールがない部分

図

この式において、t,d,C,P,σa 及びαは、それぞれ次の値を表すものとする。

t 鏡板又は火室天井板の最小厚さ(単位 mm)

d 次に掲げる方法によって描くことのできる円の直径(単位 mm)

(ア) 丸ボイラーの鏡板のマンホール及びステーがない部分(次の図(ア))にあっては、相隣り合う2つの炉筒を鏡板に取り付ける溶接線により描いた円及び鏡板のフランジ部の曲がりの始まる線により描いた円の3つの円に接する円

(イ) 丸ボイラーの鏡板のマンホールがなく、かつ、ガセットステーがある部分(次の図(イ)から図(エ)まで)にあっては、(ア)の3つの円とガセットステーを鏡板に取り付ける溶接線のうちいずれか3つの線に接する最大の円(円内にステーを含むものを除く。)

(ウ) 立てボイラーの鏡板又は火室天井板にあっては、フランジ部の曲がりの始まる線により描いた2つの円に接する円

C 定数で1.59(立てボイラーの火室天井板にあっては1.99)とする。

P 最高使用圧力(単位 MPa)

σa 材料の許容引張応力(単位 N/mm2)

α 付け代で0とする。

イ 折込みフランジ又は強め材によって補強されたマンホールがある部分

図

この式において、t,P,C,d,dh,σa及びαは、それぞれ次の値を表すものとする。

t,P,σa及びα それぞれアに定める値。

C 定数で、マンホールの両側にステーがない場合にあっては1.64、マンホールの両側にステーがある場合にあっては、1.19とする。ただし、丸ボイラーの鏡板の部分であって、マンホールの両側にステーがあり、かつ、直径がである内接円と棒ステーの外面又はガセットステーを取り付ける溶接線との距離がd/10を超えるもの(次の図(オ))にあっては1.64とする。

d 次に掲げる方法によって描くことができる円の直径(単位 mm)

(ア) 丸ボイラーの鏡板にあっては、相隣り合う2つの炉筒を鏡板に取り付ける溶接線により描いた円及び鏡板のフランジ部の曲がりの始まる線により描いた円の3つの円に接する円(次の図(カ))

(イ) 立てボイラーの鏡板にあっては、フランジ部の曲がりの始まる線により描いた2つの円に接する円

dh マンホールの内径(単位 mm)

ただし、マンホールがだ円の場合には、次の算式により算定すること。

dh=(a+b)/2

この式においてa及びbは、それぞれだ円の長径及び短径(mm)とする。

(ア)図

(イ)図

(ウ)図

(エ)図

(オ)図

(カ)図

(6) 本条の最小厚さを算定することができない特殊な形状のものについて、検定水圧試験によって、平板等の板の厚さが本条の最小厚さ以上であるかどうか確認する場合には、JISB8201の9.3.3の規定によること。

13 第17条関係

ドッグステーとは、3つの足が支持点に配置される構造であり、その標準寸法は、次の図のとおりであること。

なお、ドッグステーは、外だき横煙管ボイラーの後管板下部のように補強を必要とする面積が狭い部分に限って使用するものであること。

図

注 ※印の寸法は、一例を示すもので非支持部分の周囲の支店間の広さに応じて定めるものとすること。

14 第18条関係

(1) 本条の規定に適合する燃焼室の管板の最小厚さとして、例えば、JISB8201の6.3.6の規定により求めた最小厚さに付け代を加えた厚さがあること。

(2) 本条の最小厚さを算定することができない特殊な形状のものについて、検定水圧試験によって、管板の厚さが本条の最小厚さ以上であるかどうか確認する方法として、例えば、JISB8201の9.3.3の規定による方法があること。

15 第19条関係

小形立てボイラーの火室板の水脚部にリングを用いる場合において、リングの肉厚が大で火室板の水脚部加工の際の肉厚の減少がわずかであるものについては、本条を適用する必要がないこと。

16 第20条関係

本条の規定に適合する炉筒又は火室の板の最小厚さの算定方法として、例えば、次の方法があること。

なお、この場合の炉筒又は火室の真円度として、例えば、JISB8201の7.4の規定によるものがあること。

(1) 平形炉筒及び立て横管ボイラーの火室の板の最小厚さは、JISB8201の6.4.3のa)の規定によること。

ただし、同規定中の「有効支え部の最大距離」については、同規定のとおり測るものとするほか、ア及びイによること。

ア 立てボイラーにおけるℓは、横管の有無にかかわらず、次の図のℓをとること。

なお、横管が傾斜している場合にあっても同様とすること。

図

イ 次の図に示すように平形炉筒と波形炉筒を中央部付近で突き合わせている炉筒ボイラーの平形炉筒部の板の最小厚さを算出する場合のℓは、ℓ1+0.5ℓ2とすること。

図

(2) 平形炉筒で次の図に示すような波形の突起部を設けたものの最小厚さは、次に掲げるところによるものとすること。

ア 炉筒の外面から測った突起部の高さが80mm以上のもの

波形の突起部を有効支え部とみなして(1)の規定を準用すること。

イ 炉筒の外面から測った突起部の高さが60mm以上80mm未満のもの

波形の突起部を有効支え部とみなして(1)の規定を準用すること。この場合において、(1)の規定中235とあるのは、212と読み替えること。

ウ 炉筒の外面から測った突起部の高さが60mm未満のもの

波形の突起部がないものとみなして(1)の規定を準用すること。

図

(3) 立て横管ボイラーの火室の板の最小厚さは、JISB8201の6.4.3のb)の規定によること。

なお、立てボイラーの水脚部にUリングを使用する場合は、次の図のtは、炉筒板又は胴板のいずれか厚い方の板の厚さと同じとし、また、ブロー取出しソケットを次の図のようにUリングと胴板の溶接部に取り付けても差し支えないものとすること。

ただし、ブロー取出しソケットの取付けについては、第44条の適用があること。

図

(4) 円筒の一部をなす火室の板の最小厚さは、次の算式によること。

図

この式において、t、R、P、θ及びαは、それぞれ次の値を表すものとする。

t 火室板の最小厚さ(単位 mm)

R 火室板の中央部における外半径(単位 mm)

P 最高使用圧力(単位 MPa)

θ 火室板の固定部問の中心角(ラジアン)で、次の図のように測るものとする。

α 付け代(単位 mm)

図

(5) 波形炉筒であって、その端の平形部の長さが230mm未満のものの板の最小厚さは、JISB8201の6.4.5の規定によること。

なお、皿形鏡板に取り付ける波形炉筒については、次の図に示す

図

を「端の平形部の長さ」とみなすこと。

この場合において、波形炉筒で溶接周継手部付近に平形部を設ける関係上、当該部分の波のピッチが他の部分に比し、若干大きくなる場合(最大230mm)のCの値は、JISB8201の6.4.5に示す値として差し支えないこと。

図

(6) 本条の最小厚さを算定することができない特殊な形状のものについて、検定水圧試験によって、炉筒又は火室の板の厚さが本条の最小厚さ以上であるかどうか確認する場合には、JISB8201の9.3.3の規定によること。

17 第21条関係

「平形炉筒のフランジの曲げ半径(火炎の側で測るものとする。)」が、板の厚さの3倍以上である場合は、本条の規定に適合していること。

18 第22条関係

本条の規定に適合する「炉筒煙管ボイラーの炉筒と煙管との距離」として、例えば、JISB8201の6.4.6の規定によるものがあること。

19 第23条関係

(1) 本条の規定に適合する煙突管の最小厚さの算定方法として、例えば、JISB8201の6.4.4のa)及びb)に掲げる算式により算定する方法があること。

なお、JISB8201の6.4.4のb)に掲げる算式により算定する場合にあっては、立てボイラーの鏡板と煙突管との取付部は、煙突管の外圧に対する支持点となるので、支持点としての要件を備えているかどうかを検討すること。

(2) 立てボイラーを温水ボイラーとして使用する場合には、煙突管を炉筒とみなし、16の(1)により最小厚さを算定して差し支えないこと。

(3) 本条の最小厚さを算定により得ることができない特殊な形状のものについて、検定水圧試験によって、煙突管の厚さが本条の最小厚さ以上であるかどうか確認する方法として、例えば、JISB8201の9.3.3の規定による方法があること。

20 第24条関係

立てボイラーの火室天井板と鏡板とを貫いて取り付けられた煙突管の内径が、胴の内径の1/6以上であるときは、本条の規定に適合していること。

21 第25条関係

(1) 本条は、管ステーには適用がないものであること。

(2) 本条の規定に適合する規則的に配置されたステーの水平及び垂直方向の中心線間距離として、例えば、JISB8201の6.5.2の規定によるものがあること。

(3) 本条の規定に適合するステーを不規則に配置した場合のステーの水平及び垂直方向の中心線間距離として、例えば、JISB8201の6.5.2のb)の規定によるものがあること。この場合において、同規定中「ステーの水平及び垂直方向の中心線間距離」とあるのは、「3つのステーの中心を通り内部に他のステーを含まない円の直径をで除して得た値」と読み替えること。

22 第26条関係

(1) 第1項の規定に適合するステーボルト等の断面積の算出方法として、例えば、次の方法があること。

この場合において、ステーボルト等に加わる荷重は、JISB8201の6.5.1の規定によること。

ア ステーボルト及び棒ステーの最小断面積(ねじ底を含む。)は、JISB8201の6.5.7の規定によること。

イ 機関車形ボイラーの横ステーの最小径は、次の算式により算定すること。

(ア) 火室に天井ステーを設けないとき

図

この式において、d、P、A及びσ0は、それぞれ次の値を表すものとする。

d 横ステーの最小径(単位 mm)

P 最高使用圧力(単位 MPa)

A  横ステーの長手方向のピッチを横幅とし、当該ステーとその直下のステーボルトの中心間の距離の1/2を縦幅とする長方形の面積(mm2)で、横ステーを外火室円筒部と平らな側板との接続点以下に設ける場合には、ステーの中心から接続点までの距離を縦幅に加えるものとする。

σ0 ステーの許容引張応力(N/mm2)で、引張強さの1/5以下とする。

(イ) 火室に天井ステーを設けるとき

図

この式において、d、P、A及びσ0は、それぞれ(ア)に定めるところによる。

ウ 管ステーの最小断面積は、JISB8201の6.5.8の規定により算定すること。

エ 斜めステーの最小断面積は、JISB8201の6.5.13の規定により算定すること。

オ ガセットステーの最小断面積は、JISB8201の6.5.14の規定により算定すること。

この場合において、ガセットステーの所要断面積を算定する場合の及びhのとり方は、次の図によること。

図

(2) 第2項の規定に適合するステーボルト等の取付方法として、例えば、次の方法があること。

ア ステーボルトを板に取り付ける場合には、ねじ山を2以上板面から出して、これをかしめること。この場合において、ステーボルトを板面に対し斜めに取り付けるときは、ねじ山を3以上板にねじ込み、かつ、そのうち1以上のねじ山は、全周をねじ込むこと。

イ 棒ステーを板に取り付ける場合には、アによるほか、次の(ア)から(オ)までのいずれかの方法によって取り付けることができること。

(ア) 板にねじ込んで板の外側にナットを取り付けること。

(イ) 板の内外両側に座金なしでナットを取り付けること。

(ウ) 内側にナットを、外側に鋼座金とナットを取り付けること。

(エ) 形鋼その他の金物を板に取り付け、これにピンで取り付けること。

(オ) 溶接により取り付けること。

ウ 棒ステーに取り付けたナットが火炎に触れる場合には、ステーの頭がナットの面から外に出ないようにすること。

エ ねじ込んで取り付ける管ステーの取付けは、JISB8201の6.5.9の規定により行うこと。

オ 拡管により取り付ける管ステーは、IIの第2の25の(2)のウの(ウ)により取り付けること。

この場合において、次のすべての事項に該当することを確認したときは、当該管ステーの最小厚さを炭素鋼にあっては2.3mm以上と、ステンレス鋼にあっては2mm以上として差し支えないこと。

(ア) 管ステーの外径が34mm以下であること。

(イ) 管板の厚さが炭素鋼にあっては32mm以上、ステンレス鋼にあっては25mm以上であること。

(ウ) 管ステーをころ広げによって取り付けた後、漏止め溶接を行うこと。

カ ピン継手によるステーの取付けは、JISB8201の6.5.12の規定によること。

23 第27条関係

本条の規定に適合するステーボルトに設ける知らせ穴として、例えば、JISB8201の6.5.6の規定によるものがあること。

24 第28条関係

本条の規定に適合するけたステーの構造として、例えば、JISB8201の6.5.15の規定によるものがあること。

また、けたステーと胴又は外側天井板との間につりステーを設ける場合、そのつりステーの強さとしては、例えば、JISB8201の6.5.17の規定によるものがあること。

25 第29条関係

(1) 本条の規定に適合するけたステー板の最小厚さとして、例えば、JISB8201の6.5.16の規定によるものがあること。

(2) 本条の最小厚さを算定することができない特殊な形状のものについて、検定水圧試験によって、けたステー板の厚さが本条の最小厚さ以上であるかどうか確認する方法として、例えば、JISB8201の9.3.3の規定による方法があること。

26 第31条関係

本条の規定に適合するステーによって支えられる平板等の最小厚さの算定方法として、例えば、次の方法があること。

(1) ステーによって支えられる平板の最小厚さは、JISB8201の6.5.3のa)及びb)に掲げる算式によること。

(2) (1)の規定は、煙管ボイラーの平管板及び炉筒煙管ボイラーの管板の管群部の最小厚さについて準用すること。この場合において、pおよびCは、JISB8201の表6.3によること。

ただし、次の図に示すように管群中央部のすき間で、2本の管ステーの間に2本以上の煙管を設けた場合におけるpおよびCは、次によること。

図

               (ただし、管ステーの端が火炎に触れる場合は2.3)

(3) (1)の規定は、煙管ボイラーの平管板の管群部に相隣り合う部分の最小厚さについて準用すること。この場合において、p及びCは、それぞれ次のア及びイに定めるところによること。

また、12の(5)の規定は、管群部の下方にマンホールのある部分であって、ア及びイの規定により描いた円がマンホールを含むものの最小厚さについて準用すること。

ア p JISB8201の6.3.3のb)の規定による値

イ C 次の表の左欄に掲げる最大円が通る支点の種類に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる値(当該値が2以上求められる場合にあっては、それらの平均値)

最大円が通る支点の種類 C
管ステー(端部が火炎に触れないもの)の中心点 2.6
管ステー(端部が火炎に触れるもの)の中心点 2.3
棒ステーの中心点 (1)の表の左欄に掲げるステーの取付方法に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる値
ドッグステーの中心点 2.1
管板のフランジ部の曲がりの始まる線上にある支点 3.2
管板に強め材として取り付ける形鋼等の溶接線上にある支点 2.6
炉筒又はガセットステーを取り付ける溶接線上にある支点 3.2

 

(4) 廃熱ボイラーの管板の最小厚さは、IIの第2の23及び27の規定を準用して差し支えないこと。この場合において、同規定中「腐れ代」とあるのは、「付け代」と読み替えること。

(5) ステーによって支えられる厚さ10mm以上の平板の火炎に触れない部分を補強する場合であって、当該部分の補強を必要とする部分の全面にわたって当該火炎に触れない部分の厚さの2/3以上の厚さの添え板をすみ肉溶接により取り付け、かつ、ステーボルトを当該補強を必要とする部分の内外の板に溶接するときは、これらを合わせた板の厚さから最高使用圧力を算定するに当たっては、板の厚さとして合計厚さの3/4(平板の厚さの1.5倍を超えないものとする。)をとり、かつ、(1)の算式におけるCの値を2.8とすること。

(6) 本条の最小厚さを算定することができない特殊な形状のものについて、検定水圧試験によって、平板等の板の厚さが本条の最小厚さ以上であるかどうか確認する場合には、JISB8201の9.3.3の規定によること。

27 第32条関係

(1) 本条の規定に適合する山形鋼による補強の方法として、例えば、JISB8201の6.3.3のc)に規定する方法があること。

(2) (1)の補強に用いる山形鋼の標準寸法は、次の表によるものとすること。

A 胴内径
750以下
胴内径750を超え850以下 胴内径850を超え900以下 B最大値
山形鋼 山形鋼 山形鋼
   100×75    100×75    125×75    125×75    150×90
厚さ 厚さ 厚さ 厚さ 厚さ
325
350
375
400
13
13
-
-
13
-
-
-
10
10
13
-
10
13
13
-
-
12
12
12
200
215
230
240

 

ア 単位は、mmとする。

イ 本表に示す寸法以上のものを使用しても差し支えない。

ウ 短脚の寸法は、本表に示す値より10mm小さくしても差し支えない。

エ A及びBは、次に示す寸法とする。

図

(3) 標準寸法を有する山形鋼と断面二次モーメントが同一であれば、山形鋼の代わりに鋼板を用いても差し支えないこと。ただし、鋼板は鏡板にK形溶接によって取り付けるものとすること。

(4) 次の図のような山形鋼による補強は、補強とは認められないこと。

図

28 8第33条関係

(1) 本条の規定に適合するマンホール、掃除穴及び検査穴として、例えば、次のものがあること。

ア マンホール、掃除穴及び検査穴の大きさは、JISB8201の6.6.1の規定によること。

イ だ円形のマンホールの方向は、JISB8201の6.6.2の規定によること。

ウ 外だき横煙管ボイラーのマンホールは、JISB8201の6.6.4の規定によること。

エ 炉筒煙管ボイラー及び横煙管式廃熱ボイラー(胴底部を加熱しないものに限る。)の掃除穴及び検査穴は、JISB8201の6.6.5の規定によること。この場合において、同規定のd)中「直径75mm以上の円形」とあるのは、「直径75mm以上の円形又はこれと同面積のだ円形」と読み替えること。

なお、「胴側面の炉筒の見える位置」とは、次の図のア、イの位置等を指すものであり、管群のすき間を通して炉筒の側面が観察できれば側面下方であっても差し支えないこと。

図

オ 高温ガスが胴板に触れない次の図のような横煙管式廃熱ボイラーにおいては、前管板の下部に設けるべきマンホールに代えて、胴下部にマンホール又は掃除穴を設けることができること。

図

カ 立てボイラー及び立て横管ボイラーの掃除穴については、JISB8201の6.6.6の規定によること。

キ マンホールの代用については、JISB8201の6.6.3の規定によること。

ク 立て煙管式廃熱ボイラーについては、キの規定にかかわらず、JISB8201の6.6.5のc)及びd)の規定を準用して差し支えないこと。この場合において、同規定中「直径75mm以上の円形」とあるのは、「直径75mm以上の円形又はこれと同面積のだ円形」と読み替えること。

(2)「これらに代わる穴のあるもの」には、例えば、ドームのふたを取り外すことができるボイラーがあること。

29 第34条関係

(1) 本条の規定に適合する穴の補強方法として、例えば、次の方法があること。

ア 胴、皿形鏡板等に設ける穴の補強については、JISB8201の6.6.10のa)の規定によること。

イ 平鏡板、平ふた板、平底板等の平板に設けた穴の補強については、JISB8201の6.6.10のb)の1)の規定によること。

この場合において、同規定中に引用するJISB8201の6.2.7については、12の(1)によること。

ウ 補強の有効範囲は、JISB8201の6.6.11の規定によること。

この場合において、皿形鏡板、半だ円体形鏡板に設ける穴の補強の有効範囲は、補強する板の曲面に沿って測ること。

エ 一体形の管台において、ウの補強の有効範囲を設定する場合に用いる「強め材の厚さ」は、次の図に示すように胴等の表面と管台外壁部を直角をはさむ2辺とする直角三角形であって、その斜辺(一体形の管台をはみ出してはならない。)と胴等の表面とのなす角度が最大60°のものの直角をはさむ2辺のうちの管台側の一辺の長さ(te)とすること。

(ア)図

(イ)図

(ウ)図

(エ)図

オ 補強に有効な面積については、JISB8201の6.6.12の規定によること。

カ 次の図のようなマンホールを設ける場合には、「補強に有効な面積」を同図のとおり取って差し支えないこと。ただし、ℓについては36の(1)のエの(ア)の適用があること。

図

キ ボイラーの胴に次の図のようなマンホールを取り付けた場合における「補強に有効な面積」は、同図によること。

図

ク 引張応力以外の応力について特別の補強を講ずる場合には、JISB8201の6.6.10のa)の1.2)の規定の制限を超える大きさの穴を設けることは差し支えないこと。この場合における具体的な補強の方法の例としては、次の(ア)又は(イ)があること。

(ア) 強め材の断面積をアに規定する最小断面積以上にとり、かつ、強め材の断面積の2/3を穴の縁からd/4(dは穴の内径とする。)以内に取り付けること。ただし、補強リブ等によって曲げ応力を緩和する場合には、この限りでないこと。

(イ) 平鏡板を除く鏡板に設ける穴で、その直径が胴の内径の1/2を超える場合には、当該鏡板の形状は円すい体形とすること。

ケ ドームを溶接によって胴に取り付ける場合における「穴の直径」は、ドームの内径をとること。なお、ドームを溶接によって取り付ける場合でその内径がJISB8201の6.6.10のa)の1.2)の規定の制限を超える場合には、次の図のようにドームを胴内に突き出して補強するほか、ア及びウからキまでの規定により補強を行わなければならないこと。

図

コ 2つ以上の穴が近接して設けられるときの補強については、JISB8201の6.6.13の規定によること。

サ 次の図に示す管寄せの穴の補強については、次のとおり取り扱うこと。

(ア) p≧ℓ+2dの場合にあっては、個々の穴を単独の穴として補強を考えること。

(イ) p<ℓの場合であって、胴板と管台壁の余肉の合計面積(補強の有効範囲内にあるもの)が補強の所要断面積より大きいときは、管穴部の効率計算を要しないこと。

図

シ 管台等に係る強め材を二つ割にして取り付けることは、望ましい工作法ではないが、継手部が周方向になるように配置すれば差し支えないこと。

なお、この場合、強め材の最小断面積の算定に当たっては、継手の効率を考慮する必要があり、その溶接効率は、第45条第2項の表中「突合せ片側溶接継手であって裏当てが残っているもの」の効率をとって差し支えないこと。ただし,強め材の裏面まで溶込みが得られるような開先になっている場合に限ること。

ス 強め材の許容引張応力については、JISB8201の6.6.14の規定によること。

なお、胴、鏡板等に取り付ける強め材の材料については、第2条の適用がないものとして取り扱うこと。

(2) 「穴の周辺に過剰な応力集中が生じるおそれのない穴」として、例えば、次のものがあること。

ア 胴又は管寄せ等の円筒部に設けられる補強を要しない穴については、JISB8201の6.6.9のa)の規定によること。この場合において、穴の径は200mmを超えないこと。

イ 皿形鏡板、全半球形鏡板及び半だ円体形鏡板に設けられる補強を要しない穴については、JISB8201の6.6.9のb)の1)の規定によること。この場合において、穴の径は200mmを超えないこと。

(3) 本条の規定により穴の補強等を算定することができない特殊な形状のものについて、検定水圧試験によって確認する場合には、例えば、JISB8201の9.3.3の規定によること。

30 第35条関係

(1) 第1項関係

ア 煙管の最小厚さの算定方法として、例えば、JISB8201の6.7.1の規定による方法があること。

イ IIの第2の13の(2)は、ステンレス鋼管又はボイラ・熱交換器用合金鋼鋼管(STBA)をボイラーの煙管として使用する場合の最小厚さの算定について準用すること。ただし、ボイラ・熱交換器用合金鋼鋼管を用いる場合において、同規定中「腐れ代」とあるのは、「付け代として1.5mm」と読み替えること。

なお、この場合においても第36条の適用があること。

(2) 第2項関係

ア 水管、過熱管、節炭器(以下「エコノマイザ」という。)用鋼管等内部に圧力を受ける鋼管(蒸気用鋼管を除く。)の最小厚さの算定方法として、例えば、JISB8201の6.7.2の規定による方法があること。

イ 蒸気用鋼管の最小厚さの算定方法として、例えば、JISB8201の6.7.4の規定による方法があること。

ウ エコノマイザ用鋳鉄管の最小厚さの算定方法として、例えば、JISB8201の6.7.11の規定による方法があること。

(3) 第3項関係

ア 給水管の最小厚さの算定方法として、例えば、JISB8201の6.7.7の規定による方法があるほか、次のとおり取り扱うこと。

(ア) 「ボイラ本体」とは、ボイラー本体とエコノマイザとの間に止め弁がない場合はエコノマイザ入口の管寄せ給水管台をいうこと。

(イ) 貫流ボイラーにあっては「給水に差し支えない圧力」を給水ポンプの最大吐出圧力以上とする必要はないこと。

(ウ) 下図のようにボイラー本体とエコノマイザとの間に止め弁がある場合には、「ボイラー本体と給水逆止め弁との間」とは、下図のAの部分の給水管をいうこと。

図

イ 吹出し管の最小厚さの算定方法として、例えば、JISB8201の6.7.9の規定による方法があること。

(4) その他

本条の最小厚さを算定することができない特殊な形状のものについて、検定水圧試験によって、管の厚さが本条の最小厚さ以上であるかどうか確認する方法として、例えば、JISB8201の9.3.3の規定による方法があること。

31 第37条関係

(1) 本条の規定に適合する円筒形管寄せの最小厚さの算定方法として、例えば、JISB8201の6.7.12の規定による方法があること。

(2) 本条の規定により板の厚さ等を算定することができない特殊な形状のものについて、検定水圧試験によって、管寄せの厚さが本条の最小厚さ以上であるかどうか確認する方法として、例えば、JISB8201の9.3.3の規定による方法があること。

32 第38条関係

(1) 内面における溝形の傷の深さが肉厚の1/20(その値が0.8mmを超えるときは0.8mm)を超えない場合は、第1号の規定に適合していること。

(2) 第2号の長方形の断面のすみにおける内面の曲がりの半径(波形管寄せにあっては、波形に加工する前の半径)として、例えば、JISB8201の6.7.13のa)の規定によるものがあること。

(3) 第3号の長方形管寄せの最小厚さの算定方法として、例えば、JISB8201の6.7.13のb)からe)までの規定による方法があること。

(4) 本条の最小厚さを算定することができない特殊な形状のものについて、検定水圧試験によって、管寄せの厚さが本条の最小厚さ以上であるかどうか確認する方法として、例えば、JISB8201の9.3.3の規定による方法があること。

33 第39条関係

本条の最小厚さを算定することができない特殊な形状のものについて、検定水圧試験によって、管台の厚さが本条の最小厚さ以上であるかどうか確認する方法として、例えば、JISB8201の9.3.3の規定による方法があること。

34 第40条関係

(1) 第1項の「これらと同等以上の機械的性質を有するもの」には、例えば、JISB2205(管フランジの計算基準)に定めるフランジの算式によって厚さを定めたフランジがあること。この場合において、フランジの種類及び溶接取付方法についても当該JISに定めるところによるものとすること。

また、JPI(日本石油学会)規格に適合するフランジも含まれるものであること。

(2) 横煙管ボイラーのドームに次の図のようにフランジを設けてマンホールに兼用する場合においては、一体形フランジにあってはℓ≧2tとし、遊動フランジにあっては、rは溶接金属の線にかからないようにすること。

図

(3) 最高使用圧力が1MPa以下及び呼び径が300A以下のフランジに平板を取り付ける場合においては、フランジがJISに適合するものであり、かつ、当該平板と当該フランジが同材質で、同じ厚さ以上である場合には、当該平板に係る強度計算を省略して差し支えないこと。

(4) フランジの厚さ等を算定することができない特殊な形状のものについて、検定水圧試験によって、フランジの厚さが(1)の規定の最小厚さ以上であるかどうか確認する方法として、例えば、JISB8201の9.3.3の規定による方法があること。

35 第41条関係

本条の規定に適合する管又は管台の取付方法として、例えば、次の方法があること。

(1) 管(管ステーを除く。以下(1)及び(2)において同じ。)又は管台を胴、鏡板、管寄せ等に取り付ける場合には、次のアからエまでに掲げるところによること。

ア 呼び径150Aを超える管又は管台は、ころ広げによらないこと。

イ 最高使用圧力が0.7MPaを超える管又は管台は、ねじ込みによらないこと。ただし、呼び径80A以下のもの又は検査穴用のねじ込みプラグについては、この限りでないこと。

ウ 植込みボルトによる取付けは、JISB8201の6.7.17のb)の規定によること。

エ ねじ込みによる取付けは、JISB8201の6.7.17のe)の規定によること。

(2) 胴、鏡板等に管、管台等をねじ込みにより取り付ける場合におけるはめ合わされるねじ山の数及び胴、鏡板等の板の厚さは、次の表の左欄に掲げる管の外径に応じ、それぞれ同表の中欄及び右欄に掲げる値以上とすること。

管の外径(単位 mm) はめ合わされるねじ山の数 板の厚さ(単位 mm)
21.7 27.2 6 11
34 42.7 48.6 7 16
60.5 8 18
76.3 89.1 101.6 8 26
114.3 139.8 165.2 10 32
216.3 12 39
267.4 13 42
318.5 14 45

 

(3) 煙管の取付けは、JISB8201の7.9の規定によること。

(4) 水管、過熱管その他内部に圧力を受ける鋼管の取付けは、JISB8201の7.10の規定によること。

(5) (3)及び(4)に規定する漏止め溶接は、溶接棒の径を4mm以下とし、かつ、溶接を一層で行うこと。

(6) 電熱管は、次の図のように管板に取り付けることができること。また、この場合の管板の最小厚さの算定に当たっては、IIの第2の23を準用して差し支えないこと。この場合において、同規定中「腐れ代」とあるのは、「付け代」と読み替えること。

図

36 第43条関係

(1) 第1項関係

第1項の規定に適合する溶接方法として、例えば、次の方法があること。

ア 胴、鏡板その他圧力を受ける部分の長手継手、周継手(鏡板の取付継手を含む。以下41までにおいて同じ。)等は、他に別段の規定がある場合を除き、突合せ両側溶接又は突合せ片側溶接(裏当てを用いる方法その他の方法によって十分な溶込みが得られるものに限る。)とし、かつ、余盛りは、板の面から滑らかに盛り上げて最大厚さに達するようにすること。

なお、余盛りは本来削り取った方が望ましく、特に放射線検査を行う場合にはこれが残っていると支障となることがあるので、余盛りを残す場合には母材の表面まで段がつかないように仕上げる必要があること。

イ アの「その他の方法」には、裏波溶接法及びインサートリング法等による突合せ片側溶接があること。これらの溶接方法については、溶接施行法試験により十分な溶込みがあることを確認することとするが、溶接条件が同一である限り、当該施行法試験は1回で足りるものとし、それ以降は図面に溶接法を記入しておけば足りるものとして取り扱うこと。

ウ アの突合せ片側溶接以外の突合せ片側溶接は、次の(ア)及び(イ)に掲げる継手(厚さが16mmを超える板に設けられるものを除く。)に限り行うことができること。

(ア) 胴の外径が610mm以下であるボイラーの周継手(突合せ両側溶接を行うことができるものを除く。)

(イ) 構造上突合せ両側溶接を行うことができない継手

エ 重ね溶接は、次の(ア)から(ウ)によりドーム、管台、強め材、裏当金その他これらに類するものを取り付ける場合を除き、行わないこと。ただし、板の厚さが16mm以下の胴の周継手については、この限りでないこと。

(ア) 両側全厚すみ肉重ね溶接を行う場合には、板の重ね部を板の厚さ(板の厚さが異なるときは、薄い方の板の厚さ)の4倍(その値が25mm未満のときは、25mm)以上とすること。

(イ) 重ね溶接を行った場合には、重ね部に外気に通ずる空気抜き穴を設けること。ただし、重ねた板の境界部の空気が膨張するおそれのない場合には、この限りでないこと。

(ウ) (イ)の「空気が膨張するおそれのない場合」とは、座金、当金等を取り付ける場合であって密閉部が小さく、かつ、加熱程度が低く空気の膨張力が小さい場合をいうものであること。

なお、座金又は当金の溶接工作において、次の図のようなボルト穴(植込みボルト穴)は、空気抜き穴とみなして差し支えないこと。

図

オ 胴の周継手を重ね溶接とする場合において、外だき横煙管ボイラーのように火炎に触れる場合は、必ず空気抜き穴を設けなければならないが、その他のボイラーにおいても溶接後熱処理を考慮すると空気抜き穴は必要であること。

なお、空気抜き穴とは、知らせ穴的な役割を果たすものであること。

カ 炉筒ボイラーにおいて、炉筒の後部と鏡板とを次の図のようにT継手により取り付けることは不適当であること。

なお、このような場合には鏡板又は炉筒にフランジを設け、突合せ溶接により取り付けさせること。

図

キ 取付物の溶接は、JISB8201の8.2.10の規定によること。

ク 管台、強め材その他これらに類するものを胴又は鏡板に取り付ける溶接は、JISB8201の8.2.6のa)の規定によるほか、次の(ア)から(ウ)によること。

(ア) 同規定中の図(a)及び図(c)において、裏当てが使用できない場合には、裏波溶接棒を使用した溶接法によって差し支えないこと。ただし、裏はつりを行う開先である同規定中の図(b)、図(h)等において、裏はつりを省略する目的で裏波溶接を行ってはならないこと。

(イ) 同規定中の図(r)に示す方法に代えて、次の図(ア)及び図(イ)に示すような溶接方法を用いても差し支えないこと。

図

(ウ) 同規定中の図(u-3)に示す方法に代えて、次の図に示す溶接方法を用いても差し支えないこと。ただし、ア部は密着するようにすること。

図

ケ 管台、強め材等の溶接部の強さは、JISB8201の8.2.6のb)からd)までの規定によること。この場合において、JISB8201の8.2.6のb)の2)の「強め材」には、管台の部分で、その厚さが計算上必要な厚さを超え、かつ、補強の有効範囲内にある部分及び溶接取付の溶接金属で補強の有効範囲内にあるものを含むものであること。

コ 棒ステー又は管ステーを溶接により取り付ける場合は、JISB8201の8.2.9のa)及びe)の規定によること。

 なお、管ステーについても煙管と同様、漏止め溶接を認めて差し支えないこと。

サ 斜めステーを溶接により取り付ける場合は、JISB8201の8.2.9のb)の規定によること。

シ ガセットステーを溶接により取り付ける場合は、JISB8201の8.2.9のd)の規定によること。

ス 立てボイラーの胴と火室板下部(水脚部)とを次の図のように取り付けることは差し支えないものであること。ただし、胴板と火室板は密着させ、かつ、溶接部は溶接後熱処理を行うものとすること。

なお、溶接部が火炎により加熱されるおそれがある場合には、溶接部に対し十分な耐熱防護を行う必要があること。

図

セ 管類の周継手の溶接については、JISB8201の8.2.7の規定によること。

この場合において、貫流ボイラーの気水分離器の胴に管を使用する場合には適用されないものであること。

(2) 第2項関係

ア 「著しい曲げ応力を生ずる部分」には、胴と鏡板との角溶接による取付部分があること。

イ 突合せ溶接における継手面の食い違いとして、例えば、JISB8201の8.2.4のc)の規定があること。

ウ イの規定は、次の図のように突合せ溶接の開先に食い違いがある場合について準用すること。この場合において、同図のaは同規定中の食い違いの値を超えないこと。

図

エ 厚さの異なる板の突合せ溶接方法として、例えば、JISB8201の8.2.4のd)の規定による方法があること。

オ 板の厚さが異なる場合で両方の板の厚さの差が少ないため、次の図のようにこう配が開先の中に入る場合は、特にこう配を設けなくても差し支えないこと。ただし、開先底部が面一になることを原則とするものであること。

図

カ 煙管ボイラーの胴と管板との取り付けは、突合せ溶接によることが原則であるが、すみ肉溶接による場合は、次の(ア)及び(イ)によること。

(ア) 煙管ボイラーの管板は、次の[1]から[3]に定めるところにより胴にすみ肉溶接により取り付けることができること。ただし、外だき横煙管ボイラーの後管板についてはこの限りでないこと。

[1] フランジが外側に向く場合には、継手を胴端の内側に置き、片側全厚すみ肉重ね溶接とすること。

[2] フランジが内側に向く場合には、両側全厚すみ肉重ね溶接とすること。

[3] すみ肉溶接部は、火炎に触れないこと。

(イ) (ア)の規定による溶接部については、放射線検査は要しないこと。

キ 次の図(ア)のような多管式ボイラーにおける胴板と管板の取付方法として、例えば、高圧の場合にあっては次の図(イ)に、低圧の場合にあっては、次の図(ウ)又は図(エ)による方法があること。

(ア)図

(イ)図

(ウ)図

(エ)図

ク 火室板の溶接方法として、例えば、JISB8201の6.4.7の規定による方法があること。

37 第46条関係

(1) 第1項の「溶接後熱処理の必要がない溶接部」として、例えば、JISB8201の8.6.1の規定によるものがあること。

(2) 第2項の「局部加熱の方法によることができると認められる溶接部」として、例えば、次の溶接部があること。

ア 胴、管寄せ、管等の周継手

イ 管台、フランジ等を取り付ける溶接部(胴板の一部を切り取り取付物を突合せ溶接した部分を除く。)

(3) 第2項の規定に適合する保持温度の低減が適用できる材料として、例えば、ボイラー及び第一種圧力容器の製造許可基準(昭和47年労働省告示第75号)の第4条第1項第1号の母材の種類の区分がP-1又はP-2のものがあること。ただし、この場合であっても、いわゆる低温法は認められないものであること。

38 第48条関係

(1) 今回の改正により、周継手以外に溶接部がない場合にあっても本条が適用されることとなったこと。

(2) 板の厚さのみ異なる場合で、最初に溶接した板の厚さの2倍以内のものを溶接する場合は、第1号及び第2号の「同一条件」による溶接とみなして差し支えないこと。

また、胴にSB材(JISG3103)を使用する場合の溶接及び鏡板にSM材(JISG3106)又はSS材(JISG3101)を使用する場合の溶接は、第2号の「同一条件」による溶接とみなして差し支えないこと。

39 第50条関係

呼び厚さ19mm未満の板については、実際の厚さが19mm以上であっても第1項第2号の側曲げ試験を行う必要はないこと。

40 第58条関係

第1項の規定に適合する余盛りの高さとして、例えば、その中央において、JISB8201の表9.1の左欄に掲げる母材の呼び厚さに応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる値以下である場合があること。

41 第59条関係

第1項の規定においては、JISZ3104によって認められている針金形透過度計のほか、有孔形透過度計の使用を認めて差し支えないこと。

42 第61条関係

(1) 周継手及び管台取付部のみを溶接する管寄せにおいて、完成時に磁粉探傷試験又は浸透探傷試験を行い溶接部にきずのないことが確認された場合には、これらの検査をもって第3項第1号の水圧試験に代えて差し支えないこと。

(2) ボイラー本体から吹出し弁までの間の管(吹出し管)の水圧試験の圧力は、ボイラー本体と同一として差し支えないこと。

43 第62条関係

(1) 第1項関係

ア 内部の圧力を最高使用圧力以下に保持することができる安全弁の性能として、例えば、JISB8201の10.1.1のa)の規定によるものがあること。

イ 蒸気ボイラーの安全弁の吹出し量については、当該ボイラーの最大蒸発量以上とすること。

なお、最大蒸発量が明らかでない場合には、燃料消費量等から実測により求めるものであること。ただし、木くず等を燃焼させるもので、最大蒸発量を求めることが困難な場合は、次の表によって差し支えないこと。

ボイラーの種類 伝熱面積1m2当たりの蒸発量(単位 kg/h)
ボイラー本体 水冷炉壁
手だき ストーカだき 油、ガス又は微粉炭の燃焼 手だき ストーカだき 油、ガス又は微粉炭の燃焼
水管ボイラー以外のボイラー 25 35 40 40 50 70
水管ボイラー 30 40 50 40 60 80

また、廃熱ボイラーの最大蒸発量は、廃ガスの流量及び廃ガスの比エンタピルを基礎として算定するものであること。

ウ 蒸気ボイラーの安全弁の吹出し量を算定する方法として、例えば、JISB8210(蒸気用及びガス用ばね安全弁)の附属書の2の規定による方法があるほか、次の(ア)及び(イ)によること。

(ア) 吹出し係数を測定によって定める場合には、JISB8225(安全弁-吹出し係数測定方法)に規定する公称吹出し係数又はこれと同等と認められる方法によって定める係数とすること。

(イ) 蒸気圧力が0.4MPa未満で、かつ、過熱蒸気の場合には、蒸気の性質による係数(C)は、JISB8210の附属書表1において蒸気圧力0.4MPaに対応した温度におけるCの値をとるものとすること。

エ ダウサムボイラーの安全弁の吹出し量を算定する方法として、例えば、JISB8210の附属書の3の規定による方法があること。なお、吹出し量決定圧力は、設定圧力の1.1倍の絶対圧力の値又は設定圧力に0.02MPaを加えた絶対圧力の値のうち、いずれか大きい方の値をとること。

オ 揚程式安全弁の有効吹出し面積はπDℓ(D:弁座口の径、ℓ:リフト)であるから、蒸気取入口の断面積

図

(D':蒸気取入口の径)がこの値より大きければD'<Dであっても差し支えないこと。ただし、D'が小さすぎて、蒸気の流速に急激な変化が起きないようにすること。

カ 蒸気ボイラーの安全弁の呼び径として、例えば、呼び径が25A以上のものがあること。この場合において、JISB8201の10.1.1のf)及び11.3.3のb)の規定による蒸気ボイラーの安全弁並びにリフトが弁座口の径の1/15以上の揚程式安全弁及び全量式安全弁については、その呼び径を20A以上とすることができるものとすること。

キ 2個以上の安全弁を共通の管台に設ける場合には、管台の蒸気通路の断面積を安全弁の蒸気取入れ口の合計面積以上とすること。ただし、安全弁の合計面積が管台の有効断面積には満たないがボイラーに必要な安全弁の面積以上である場合には、これを認めて差し支えないこと。

(2) 第3項関係

「安全な場所」とは、屋外の高所で火気その他点火源となるおそれがあるものがなく、拡散等による蒸気の引火又は爆発の危険性を除去することのできる場所をいうこと。

44 第63条関係

本条の規定に適合する過熱器の安全弁として、例えば、JISB8201の10.1.1のh)及び11.3.4の規定によるものがあること。

45 第64条関係

(1) 第1項の規定に適合する安全弁として、例えば、JISB8201の10.1.1のj)の規定によるものがあること。

なお、吹出しの際に所要のリフトが得られない安全弁であっても、吹出し圧力の3%増以下において所要のリフトが得られるものは、当該リフトが得られる安全弁とみなして差し支えないこと。

(2) 第2項第4号の「吹出し量」は、公称吹出し量で差し支えないこと。

46 第65条関係

(1) 第1項の規定に適合する逃がし弁及び逃がし管として、例えば、次のものがあること。

ア 逃がし弁は、温水ボイラーの圧力が最高使用圧力以上10%(その値が0.034MPa未満のときは、0.034MPa)を加えた値を超えないように呼び径の大きさ(最小15A)及び数を定めること。

ここで逃がし弁の大きさについては、別添1「温水用逃がし弁の大きさを求める算式」によること。

イ 逃がし管の内径は、JISB8201の10.1.4の規定によること。

(2) 第2項の温水ボイラーに備える安全弁として、例えば、呼び径を20A以上100A以下とし、かつ、その吹出し量の算定がJISB8210の附属書の2の規定によるものがあること。ただし、この場合の蒸発量(単位kg/h)は、熱出力を最高使用圧力に相当する飽和蒸気の比エンタルピと給水の比エンタルピとの差で除して得た値とすること。

(3) 油等の熱媒を用いる温水ボイラーについても、当該熱媒の温度が大気圧における沸点を超える場合には、第2項に準じて安全弁を取り付けるものとして取り扱うこと。ただし、この場合の吹出し量としては、例えば、JISB8210の附属書の3の規定によることとし、この場合の蒸発量(単位kg/h)は、熱出力を最高使用圧力に相当する飽和蒸気の比エンタルピと熱媒の比エンタルピとの差で除して得た値とすること。

47 第66条関係

(1) 本条の規定に適合する圧力計の取付方法として、例えば、JISB8201の10.2.1のb)の規定による方法があること。

(2) 第5号の規定に適合する圧力計の目盛盤の外径として、例えば、JISB8201の10.2.1のa)の規定によるものがあること。

(3) 開放型膨張タンクに通じる逃がし管を備えた温水ボイラーで、最高使用圧力未満の一定の圧力を物理的に超えることがないものに取り付けられる水高計又は圧力計の目盛盤の最大指度については、Ⅱの第2の55の(3)と同様に取り扱って差し支えないこと。

ただし、同規定は、圧力計の指度に関する取り扱いを示したものであり、これにより、ボイラー又は圧力容器の本体の最高使用圧力を変更する趣旨ではないこと。

48 第67条関係

水高計又は圧力計に設けたコックが、そのハンドルを管軸と同一方向に置いたときに開いているものは、第1号の規定に適合していること。

49 第69条関係

第1項第2号の「遠隔指示水面測定装置を2個」とは、各々が独立したシステムにより、水位を測定、伝達及び表示できる装置であることをいうこと。

50 第70条関係

水柱管に、呼び径20A以上の吹出し管を取り付ける場合は、第2項の規定に適合していること。

51 第71条関係

水柱管とボイラーとを結ぶ連絡管が、呼び径20A以上である場合は、第1項の規定に適合していること。

52 第72条関係

験水コックと蒸気ボイラーを結ぶ管が、呼び径15A以上である場合は、第3項の規定に適合していること。

53 第73条関係

(1) 第1項は、ダウサムボイラーには適用がないものであること。

(2) 第1項の規定に適合する給水装置として、例えば、動力により運転する給水ポンプ又はインゼクタがあること。

また、最高使用圧力0.25MPa未満の蒸気ボイラー(貫流ボイラーを除く。)については、当該ボイラーの最高使用圧力より20%以上高い水圧力で給水することのできる給水タンク又は当該ボイラーの最高使用圧力より0.1MPa以上高い圧力で給水することができる水源を給水装置とすることができること。

なお、低水位燃料遮断装置を有し、かつ、圧力制限スイッチにより蒸気圧力が常用圧力に達した場合に自動的に燃焼を遮断する装置を有するものにあっては、常用圧力に弁及び配管の抵抗を加えた圧力をポンプの吐出圧力として差し支えないこと。

(3) 第2項の規定に適合する給水装置として、例えば、次の図のように給水ポンプとインゼクタを1本の配管により給水するものがあること。

図

54 第75条関係

本条の規定に適合する給水弁及び逆止め弁の取付方法として、例えば、JISB8201の10.4.4及び10.4.5の規定による方法があること。

55 第77条関係

(1) JISB2071(鋼製弁)に規定されている鋼製弁は、当該JISに定めるところにより、その使用温度に対応する最高使用圧力において使用して差し支えないこと。

(2) 最高使用圧力が0.7MPa未満の蒸気ボイラーについては、0.7MPaの圧力に耐えることができる蒸気止め弁を備えることが望ましいこと。

56 第78条関係

(1) 吹出し管及び吹出し弁又は吹出しコックの呼び径が、25A以上65A以下である場合は、第1項の規定に適合していること。ただし、伝熱面積が10m2以下の蒸気ボイラーにあっては、呼び径20A以上65A以下とすることができること。

(2) 水冷壁等に設ける排水弁は、本条の「吹出し弁」には該当しないこと。

57 第79条関係

第2項の規定に適合する吹出し弁の構造と強度については、例えば、JISB8201の10.5.5の規定によるものがあること。

58 第83条関係

「雨水の侵入によりボイラーに損傷が生ずる」とは、雨水が煙突を伝わって入り、ボイラーの管板等を腐食させることをいうこと。

59 第84条関係

(1) 第3項の「これに代わる安全装置」として、例えば、給水量が減じた場合に作動する2以上の警報装置、給水ポンプの停止時には燃料の供給が行われないようなインタロック装置等があること。

(2) 第4項第1号の「燃焼装置の構造により、緊急遮断が不可能なもの」として、例えば、手動式の燃焼装置があること。

60 第85条関係

「燃焼安全装置」とは、火炎検出装置、主安全制御器、燃料遮断弁等で構成されるものであり、かつ、その使用される温度、湿度、振動等の環境条件下で、電圧変動特性、絶縁性能、フェールセーフ機能等が保持できるものであること。

61 第87条関係

ボイラーの各部分の最高使用圧力は、当該各部分における各箇所の最高使用圧力の最小値をとるものとすること。

62 第89条関係

第1項に規定する主要材料として、例えば、JISG5501(ねずみ鋳鉄品)のFC150からFC350までの規格に適合したものがあること。

63 第91条関係

本条の「特殊な構造のボイラー」の最高使用圧力については、JISB8203の8の規定又はこれと同等と認められる規格に定められるところによって破壊試験を行い、当該試験に基づき最高使用圧力を算定すること。

64 第92条関係

本条の規定に適合する検査穴として、例えば、JISB8203の5.3の規定によるものがあること。

65 第93条関係

第3号の水圧試験は、新しく製造したセクションにのみ行えば足りるものであること。なお、当該水圧試験については、製造者の内部検査規程、検査結果等を確認することで足りるものであること。

66 第94条関係

本条の規定に適合する蒸気ボイラーの安全弁として、例えば、JISB8203の6.1.1から6.1.3までの規定によるものがあること。

67 第95条関係

(1) 第1項の開放形膨張タンクには、最高使用圧力を超えた場合に水を逃がすことのできるあふれ管を取り付けることが望ましいこと。

(2) 46の(1)を満足する場合は、本条に適合していること。

68 第99条関係

本条の規定に適合する吹出し管、吹出し弁及び吹出しコックとして、例えば、JISB8203の6.3.2の規定によるものがあること。

69 附則関係

第2項中「現に製造している」とは、現に設計の完了(設計の大部分を終了している場合を含む。)以降の過程にあることを、また、同項中「現に存する」とは、現に設置されていること、廃止して保管されていること及び現に製造が完了しているがまだ設置されていないことをいうものであること。

 

Ⅱ 圧力容器構造規格(平成15年厚生労働省告示第196号。以下Ⅱにおいて「新規格」という。)関係

第1 圧力容器構造規格(平成元年労働省告示第66号。以下IIにおいて「旧規格」という。)との相違点

1 旧規格で定めていた仕様に関する規定について、安全上必要な最小限の規定を除き性能規定化を図ったこと。ただし、最終的な安全確認を行う試験方法に係る規定については、従前と同様の規定を置いたこと。

2 新規格に定められている圧力容器の構造等に関する規定について、JISB8265(圧力容器の構造-一般事項)の規定との整合化を図ったこと。

3 新規格に定められている各種試験方法について、JISの当該試験方法を定めた規格との整合化を図ったこと。

 

第2 細部事項

1 第1条関係

(1) 「主要材料」とは、圧力容器の圧力を受ける部分に用いる材料をいうものであり、容器内部の取付物及び支持金具類の材料は、これに該当しないものであること。

(2) 使用温度は、圧力容器の使用時における材料の中心の温度(外面温度と内面温度との平均値)をとることとするが、直火式第一種圧力容器の伝熱面における材料の温度は、内部の蒸気又は液体の最高温度に30℃を加えた温度とすること。

(3) 「安全な化学的成分及び機械的性質を有するもの」については、Iの第2の1の(1)のイによること。

(4) 本条の規定に適合する主要材料として、例えば、JISの材料規定に定められた適用範囲、製造方法、化学成分、機械的性質、試験等に適合した以下の材料があること。

なお、外国規格等の取扱いについては、Iの第2の1の(1)のウの(イ)によること。

JISG3101(一般構造用圧延鋼材)、JISG3103(ボイラ及び圧力容器用炭素鋼及びモリブデン鋼鋼板)、JISG3106(溶接構造用圧延鋼材)、JISG3114(溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材)、JISG3115(圧力容器用鋼板)、JISG3116(高圧ガス容器用鋼板及び鋼帯)、JISG3118(中・常温圧力容器用炭素鋼鋼板)、JISG3119(ボイラ及び圧力容器用マンガンモリブデン鋼及びマンガンモリブデンニッケル鋼鋼板)、JISG3120(圧力容器用調質型マンガンモリブデン鋼及びマンガンモリブデンニッケル鋼鋼板)、JISG3126(低温圧力容器用炭素鋼鋼板)、JISG3127(低温圧力容器用ニッケル鋼鋼板)、JISG3131(熱間圧延軟鋼板及び鋼帯)、JISG3201(炭素鋼鍛鋼品)、JISG3202(圧力容器用炭素鋼鍛鋼品)、JISG3203(高温圧力容器用合金鋼鍛鋼品)、JISG3204(圧力容器用調質型合金鋼鍛鋼品)、JISG3205(低温圧力容器用鍛鋼品)、JISG3206(高温圧力容器用高強度クロムモリブデン鋼鍛鋼品)、JISG3214(圧力容器用ステンレス鋼鍛鋼品)、JISG3452(配管用炭素鋼鋼管)、JISG3454(圧力配管用炭素鋼鋼管)、JISG3455(高圧配管用炭素鋼鋼管)、JISG3456(高温配管用炭素鋼鋼管)、JISG3457(配管用アーク溶接炭素鋼鋼管)、JISG3458(配管用合金鋼鋼管)、JISG3459(配管用ステンレス鋼鋼管)、JISG3460(低温配管用鋼管)、JISG3461(ボイラ・熱交換器用炭素鋼鋼管)、JISG3462(ボイラ・熱交換器用合金鋼鋼管)、JISG3463(ボイラ・熱交換器用ステンレス鋼鋼管)、JISG3464(低温熱交換器用鋼管)、JISG3467(加熱炉用鋼管)、JISG3468(配管用溶接大径ステンレス鋼鋼管)、JISG4051(機械構造用炭素鋼鋼材)、JISG4053(機械構造用合金鋼鋼材)、JISG4107(高温用合金鋼ボルト材)、JISG4108(特殊用途合金鋼ボルト用棒鋼)、JISG4109(ボイラ及び圧力容器用クロムモリブデン鋼鋼板)、JISG4110(高温圧力容器用高強度クロムモリブデン鋼及びクロムモリブデンバナジウム鋼鋼板)、JISG4202(アルミニウムクロムモリブデン鋼鋼材)、JISG4303(ステンレス鋼棒)、JISG4304(熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯)、JISG4305(冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯)、JISG4311(耐熱鋼棒及び線材)、JISG4312(耐熱鋼板及び鋼帯)、JISG4901(耐食耐熱超合金棒)、JISG4902(耐食耐熱超合金板)、JISG4903(配管用継目無ニッケルクロム鉄合金管)、JISG4904(熱交換器用継目無ニッケルクロム鉄合金管)、JISG5101(炭素鋼鋳鋼品)、JISG5102(溶接構造用鋳鋼品)、JISG5111(構造用高張力炭素鋼及び低合金鋼鋳鋼品)、JISG5121(ステンレス鋼鋳鋼品)、JISG5122(耐熱鋼及び耐熱合金鋳鋼品)、JISG5131(高マンガン鋼鋳鋼品)、JISG5151(高温高圧用鋳鋼品)、JISG5152(低温高圧用鋳鋼品)、JISG5201(溶接構造用遠心力鋳鋼管)、JISG5202(高温高圧用遠心力鋳鋼管)、JISG5501(ねずみ鋳鉄品)、JISG5502(球状黒鉛鋳鉄品)、JISG5526(ダクタイル鋳鉄管)、JISG5527(ダクタイル鋳鉄異形管)、JISG5705(可鍛鋳鉄品)、JISH3100(銅及び銅合金の板並びに条)、JISH3250(銅及び銅合金の棒)、JISH3300(銅及び銅合金の継目無管)、JISH3320(銅及び銅合金の溶接管)、JISH5120(銅及び銅合金鋳物)、JISH5121(銅合金連続鋳造鋳物)、JISH4000(アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条)、JISH4040(アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線)、JISH4080(アルミニウム及びアルミニウム合金継目無管)、JISH4090(アルミニウム及びアルミニウム合金溶接管)、JISH4100(アルミニウム及びアルミニウム合金の押出形材)、JISH4140(アルミニウム及びアルミニウム合金鍛造品)、JISH5202(アルミニウム合金鋳物)、JISH5302(アルミニウム合金ダイカスト)、JISH4301(鉛板及び硬鉛板)、JISH4311(一般工業用鉛及び鉛合金管)、JISH4551(ニッケル及びニッケル合金板及び条)、JISH4552(ニッケル及びニッケル合金継目無管)、JISH4553(ニッケル及びニッケル合金棒)、JISH4600(チタン及びチタン合金─板及び条)、JISH4630(チタン及びチタン合金─継目無管)、JISH4631(チタン及びチタン合金─熱交換器用管)、JISH4635(チタン及びチタン合金─溶接管)、JISH4650(チタン及びチタン合金─棒)並びにJISB2051(可鍛鋳鉄弁及びダクタイル鋳鉄弁)の附属書Aに定めるダクタイル鉄鋳造品

2 第2条関係

(1) 本条の使用温度は、1の(2)によるほか、当該温度に代えて次のアからウまでの温度として差し支えないこと。

ア 火なし圧力容器の胴、鏡板等の材料の使用温度は、内容物の最高温度(低温容器の場合にあっては、最低温度)とすること。

イ 蒸気、液体及び一般のガスによって加熱される材料の使用温度は、これらの熱媒の最高温度とすること。

ウ 燃焼排ガス等によって加熱される材料の使用温度は、容器の内容物の最高温度に規定された温度(1の(2)の直火式第一種圧力容器の伝熱面における材料の温度の算定のときに加算すべき温度30℃をいう。)を加えた温度又は伝熱面の内外面において求められた熱伝達率及び材料の熱伝達率によって算定された材料の内外面の平均温度とすること。

(2) 表第3号の「致死的物質」とは、砒素化合物、ホスゲン、無機シアン化合物等のようにその少量を吸入しても生命を奪われるおそれのある有毒物質をいうものであること。

(3) 表第2号の「これと同等以下の機械的性質を有するもの」として、例えば、JISG3114(SMA400AW、SMA400AP、SMA490AW及びSMA490APを除く。)が、表第3号の「これと同等以下の機械的性質を有するもの」として、例えば、JISG3114のSMA400AW、SMA400AP、SMA490AW及びSMA490APが該当するものであること。

3 第3条関係

(1) 第1項関係

ア 材料の使用温度における引張強さ、降伏点及び0.2%耐力の取扱いについては、Iの第2の3の(1)のアによること。

イ ガスケット付きフランジ、管板、ガスケット付き平板、ジャケットの取付部等のように拘束された部分に加圧による変形が加わることにより漏れその他の機能不良を生ずるおそれのある部分の取扱いについては、Iの第2の3の(1)のイによること。

ウ 第3号の「熱処理等により強度を高めたボルト」の取扱いについては、Iの第2の3の(1)のウによること。

(2) 第2項関係

「クリープ領域」の趣旨及びクリープ領域となる温度が明確でない鋼材の取扱いについては、Iの第2の3の(2)によること。

(3) その他

別表<編注:略>の許容引張応力の値を用いるときは、本条の規定に基づき当該材料の許容引張応力を定めたものとして差し支えないこと。

なお、外国規格等において、本条と同様の方法により、これらの材料の許容引張応力が定められている場合には、当該規格に定められた値をとって差し支えないこと。

4 第4条関係

(1) 3の(1)のア及び(3)は、鋳造品について準用すること。

(2) 第2号のイの「都道府県労働局長が定める検査に合格したもの」については、Iの第2の4の(2)によること。

5 第5条関係

本条の規定の適用を受けるクラッド鋼として、例えば、JISB8265の5.1.4のb)に規定するJIS規格材料があること。

6 第7条関係

第1項は、使用温度における材料の断面に生じる引張応力又は圧縮応力の平均値に材料の厚さ方向の曲げによる曲げ応力を加えた応力が、許容引張応力の1.5倍以下でなければならないことを規定したものであること。

7 第9条関係

「厚さ」については、Iの第2の5によること。

8 第11条関係

(1)及び(2) 削除

9 第12条関係

(1) 内面に圧力を受ける円筒胴の板の最小厚さの算定方法として、例えば、JISB8265の5.2.1のa)の規定(この場合において、JISB8265中「設計圧力」とあるのは「最高使用圧力」と、「設計温度」とあるのは「使用温度」と読み替えるものとすること。以下同じ。)による方法があること。また、この場合の胴の真円度として、例えば、JISB8265の7.2.2の規定によるものがあること。

(2) 内面に圧力を受ける球形胴の板の最小厚さの算定方法として、例えば、JISB8265の5.2.1のb)の規定による方法があること。この場合の胴の真円度は、例えば、JISB8265の7.2.2によるものがあること。

(3) 本条の最小厚さを算定することができない特殊な形状のものについて、検定水圧試験によって、胴の板の厚さが本条の最小厚さ以上であるかどうか確認する方法として、例えば、別添2の方法によること。

10 第13条関係

(1) 第1項関係

ア 外面に圧力を受ける円筒胴の板の最小厚さの算定方法として、例えば、JISB8265の5.2.3のa)の規定による方法があること。また、この場合の胴の真円度として、例えば、JISB8265の7.2.3の規定によるものがあること。

イ クラッド鋼を使用した外圧を受ける胴でクラッド材を強度計算の部材に加える場合には、最高使用圧力の算定方法として、例えば、次の算式により算定した値を板の厚さとし、クラッド鋼の母材を使用する材料としてアを適用する方法があること。

図

この式において、ta、t1、t2、σ1及びσ2は、それぞれ次の値を表すものとする。

ta     計算に用いる板の厚さ(単位 mm)

t1及びt2  それぞれ母材及び合わせ材の板の厚さ(単位 mm)

σ1及びσ2 それぞれ母材及び合わせ材の許容引張応力(単位 N/mm2)

ウ 外面に圧力を受ける円筒胴の強め輪の取扱いについては、例えば、JISB8265の5.2.5のa)の規定によること。

なお、強め輪を取り付ける場合には、胴の全周に沿って、完全に連続するように取り付けること。ただし、切り欠き、穴等がある強め輪であって、次に適合するものについては、この限りでないこと。

(ア) 図1の[A]若しくは[B]に示すような強め輪の突合せ溶接継手部又は同図の[C]に示すように胴の内面若しくは外面に取り付けられる強め輪の隣接した部分間の接合部が強め輪と胴との必要な合成断面二次モーメントを持つもの

また、図1の[E]又は[F]に示すような部分を有する強め輪を胴の内側に取り付ける場合においては、[E]の部分の図示された断面が強め輪と胴との必要な合成断面二次モーメントを持つもの

なお、[A]又は[E]のすき間が胴板の計算厚さの8倍以下の場合には、[A]又は[E]のすき間の部分の断面が持たなければならないモーメントを、強め輪の必要な断面二次モーメントに代えて強め輪と胴との必要な合成断面二次モーメントとすることができること。

zu

(イ) 図1の図又は図に示すような胴を支える強め輪で切り欠きのあるものは、その切り欠き部分の長さが図2から求められる弧の長さ以下であるか、又は次のすべてに適合するものであること。

[1] 支持されていない胴の弧の中心角が90°以下であること。

[2] 相隣り合う強め輪の胴を支持していない弧の配置が180°互い違いになっていること。

[3] (1)で求めた支持線間の距離が、次のいずれかの距離より大きいこと。

i 強め輪を1つおきにとったときの当該強め輪間の中心線間の距離

ii 鏡板の丸みの始まる部分から2番目の強め輪の中心線までの距離に、鏡板の丸みの始まる部分からの鏡板の深さの1/3を加えた距離

zu

エ 次に掲げるものは強め輪とみなされること。

(ア) たな板、邪魔板等胴の長手軸に直角に取り付けられた平板構造物であって、強め輪としての効果があるように設計されたもの(胴の内側に取り付けられたものに限る。)

(イ) 連続した輪を介して胴に取り付けられた内部ステー又は支えであって、胴の強め輪として用いられるもの

(ウ) 本体胴とジャケットとの間に圧力のある容器のふた板又は他の輪形材であって、本体胴とジャケットの両方に取り付けられたもの

オ 次の図のような円すい部を有する外圧胴で取付部に小さな丸みが設けられているものにあっては、

D2≦D1/2

である場合に限り、ℓを強め輪間の距離にとって差し支えないこと。

図

(2) 第2項関係

ア 外面に圧力を受ける球形胴の板の最小厚さの算定方法として、例えば、JISB8265の5.2.3のb)の規定による方法があること。

イ クラッド鋼を使用した外圧を受ける球形胴でクラッド材を強度計算の部材に加える場合の取扱いについては、(1)のイによること。

(3) その他

本条の最小厚さを算定することができない特殊な形状のものについて、検定水圧試験によって、胴の板の厚さが本条の最小厚さ以上であるかどうか確認する方法として、例えば、別添2の方法があること。

11 第14条関係

(1) 第1項の規定に適合する内面に圧力を受ける円すい胴の板の最小厚さの算定方法として、例えば、次の方法があること。また、この場合の胴の真円度として、例えば、JISB8265の7.2.2の規定によるものがあること。

ア 内面に圧力を受ける円すい胴の板の最小厚さは、JISB8265の附属書EのE.2.4のa)の規定により求めた計算厚さとすること。

イ 円すい胴と円筒胴の取付部のうち、円すい胴の大径端に係る部分(以下「大径端取付部」という。)に丸みを付ける場合には、当該大径端取付部の最小厚さは、JISB8265の附属書EのE.2.4のb)の2)の規定により求めた計算厚さとすること。

ウ 円すい胴と円筒胴との取付部のうち円すい胴の小径端に係る部分(以下「小径端取付部」という。)に丸みを付ける場合には、当該小径端取付部の最小厚さは、JISB8265の附属書EのE.2.4のc)の2)の規定により求めた計算厚さとすること。

エ 円すい胴の頂角の2分の1の値が60°を超える場合の小径端取付部の最小厚さは、22に定める平板の算式により算定するものとすること。

(2) 第2項の規定に適合する取付方法として、例えば、次の方法があること。

ア 大径端取付部に丸みをつけない場合には、円すい胴に係る円すいの頂角の2分の1の値は、30°以下とすること。この場合において、当該大径端取付部への強め材の取付けは、JISB8265の附属書EのE.2.4のb)の1.1)及び1.2)の規定によること。

イ アにより強め材を取り付ける場合は、次のそれぞれに定めるところによること。

(ア)強め材の最小断面積については、JISB8265の附属書EのE.2.4のb)の1.3)の規定によること。

(イ)強め材の有効範囲は、JISB8265の附属書EのE.2.4のb)の1.5)の規定によること。

ウ イの(ア)の強め材の最小断面積の算定を行う場合において、円すい胴及び円筒胴の厚さが、それぞれ(1)のア及び9の(1)より大きいときは、JISB8265の附属書EのE.2.4のb)の1.4)の規定によることができること。

エ 小径端取付部に丸みを付けない場合には、円すい胴に係る円すいの頂角の2分の1の値は、30°以下とすること。この場合において、当該小径端取付部への強め材の取付けは、JISB8265の附属書EのE.2.4のc)の1.1)及び1.2)の規定によること。

オ エにより強め材を取り付ける場合は、次のそれぞれに定めるところによること。

(ア) 強め材の最小断面積については、JISB8265の附属書EのE.2.4のc)の1.3)の規定によること。

(イ) 強め材の有効範囲は、JISB8265の附属書EのE.2.4のc)の1.5)の規定によること。

カ オの(ア)の強め材の最小断面積の算定を行う場合において、円すい胴及び円筒胴の厚さが、それぞれ(1)のア及び9の(1)より大きいときは、JISB8265の付属書EのE.2.4のb)の1.4)の規定によることができること。

キ (2)のアからウまでの規定は、大径端取付部の板の厚さが円すい部の板の最小厚さ以上の場合について準用するものであること。

ク (2)のエからカまでの規定は、小径端取付部の板の厚さが円すい部の板の最小厚さ以上の場合について準用するものであること。

(3) 本条の最小厚さを算定することができない特殊な形状のものについて、検定水圧試験によって、胴の板の厚さが本条の最小厚さ以上であるかどうか確認する方法として、例えば、別添2の方法があること。

12 第15条関係

(1) 本条の規定に適合する外面に圧力を受ける円すい胴の最小厚さの算定方法として、例えば、JISB8265の5.2.3のc)の規定による方法があること。また、この場合の胴の真円度として、例えば、JISB8265の7.2.3の規定によるものがあること。

(2) 外面に圧力を受ける円すい胴の補強を行う方法として、例えば、JISB8265の5.2.5による方法があること。

なお、10の(1)のウの規定は、外面に圧力を受ける円すい胴の強め輪の取付方法について準用すること。この場合において、Doは強め輪取付部の円すい胴の外径(単位mm)、Lsは円すい胴の支持線間の軸方向等価長さ(単位mm)とすること。

(3) 本条の最小厚さを算定により得ることができない特殊な形状のものについて、検定水圧試験によって、胴の板の厚さが本条の最小厚さ以上であるかどうか確認する方法として、例えば、別添2の方法があること。

13 第16条関係

(1) 第1項関係

ア 内面に圧力を受ける管の最小厚さの算定方法として、例えば、JISB8265の附属書EのE.2.2のa)の外径基準の算式による方法があること。

イ 内面に圧力を受けるだ円管の最小厚さを算定する場合には、その長径を管の外径として、アを適用すること。

(2)第2項関係

ア 外面に圧力を受ける管の最小厚さの算定方法として、例えば、JISB8265の附属書EのE.4.2の規定による方法があること。

イ アの規定にかかわらず、次の図により外面に圧力を受ける管の最高使用圧力が得られる場合の管の最小厚さは、当該図により得られる計算厚さとすることができること。

図

(3) 第3項関係

曲げ加工管の中心線における曲げ半径として、例えば、当該曲げ加工管の外径の1.5倍以上のものがあること。

(4) その他

ア 曲げ半径が管の外径の4倍未満である曲げ加工管の最小厚さの算定方法として、例えば、JISB8265の附属書EのE.5(a)による方法があること。ただし、呼び径6B以下の管に限ること。

イ 次に適合するように曲げ加工を行ったU字管は、(3)の適用がないものとして取り扱うこと。

(ア) 管の厚さの最も薄い部分が、(1)のア又は(2)のアの規定に適合していること。

(イ) 肉厚減少率((元の厚さ-加工後の厚さ)/元の厚さ×100)が管の厚さの最も薄い部分において15%以下であること。

上記の確認は、実測により行うものとするが、同一条件によって多数の管を加工する場合には、任意の管について実測を行い、他の管に対する測定を省略して差し支えないこと。

14 第17条関係

「胴板の最小厚さ」については、Iの第2の8によること。

15 第18条関係

(1) 本条の規定に適合する全半球形鏡板、皿形鏡板、半だ円体形鏡板及び円すい形鏡板の形状として、例えば、JISB8265の5.2.2のa)の規定によるものがあること。

なお、半だ円体形鏡板はD/2h≦3であること。

(2) くり抜きによって製作する鏡板で胴と一体となったものには、本条の適用はないものとして取り扱うこと。

16 第19条関係

本条の規定に適合する中低面に圧力を受け、球面の一部をなすステーなし鏡板の最小厚さの算定方法として、例えば、次の方法があること。

なお、この場合の皿形鏡板及び半だ円体形鏡板の公差として、例えば、JISB8265の7.3によるものがあること。

(1) 補強を要する穴がない場合

鏡板の最小厚さは、JISB8265の5.2.2.のc)、d)及びe)の規定により求めた計算厚さとすること。

(2) 補強を要する穴がある場合

ア (1)の規定は、第33条の規定により穴の補強がなされた鏡板の最小厚さについて準用すること。

イ マンホール又は最大寸法150mmを超える穴があり、折込みフランジによってその補強を行う全半球鏡板及び皿形鏡板の計算厚さは、(1)の規定により算定した厚さにその15%(その値が3mm未満のときは、3mm)以上を加えた厚さとすること。この場合において、鏡板の内面の半径が胴の内径の80%より小さいときは、鏡板の内面の半径を胴の内径の80%として計算するものとすること。

ウ イの規定は、折込みフランジによって穴の補強を行う半だ円体形鏡板の計算厚さについて準用すること。この場合において、鏡板の中央部の内半径は、胴の内径の80%とし、かつ、算式中の係数Mは1.77とすること。

17 第20条関係

(1) 補強しない穴の縁とマンホールの周囲において折り込みフランジ部が鏡板の球形部と境をなす線との距離が鏡板の厚さ以上である場合は、本条の規定に適合していること。

(2) 補強しない穴は、鏡板のすみの丸みの部分にかからないこと。

この場合の鏡板には、半だ円体形鏡板及び全半球形鏡板は含まれないものであること。なお、低圧の圧力容器に構造上の必要によりやむを得ず取付穴等を設ける場合の強め材の最小断面積については、例えば、30の(1)のア、オ及びキの規定によること。

18 第21条関係

(1) 第1項関係

ア 円すい体形鏡板の円すいの部分の板の最小厚さの算定方法については、11の(1)のア又はエによること。

イ 円すい体形鏡板のすみの丸みの部分の計算厚さの算定方法については、11の(1)のイによること。

ウ 中低面に圧力を受ける皿形ふた板であって、締付ボルト取付用のフランジをもつものの鏡板の部分の最小厚さの算定方法として、例えば、JISB8265の附属書LのL.5.2.1のa)の1)及びL.5.2.1のb)の1)による方法があること。

(2) 第2項関係

ア 円すいの頂角の2分の1の値(θ)が30°以下の場合には、11の(2)のアによること。

イ アの規定により強め輪を取り付ける場合には、11の(2)のイ及びウによること。

(3) その他

本条の最小厚さを算定することができない特殊形状のものについて、検定水圧試験によって、鏡板の厚さが本条の最小厚さ以上であるかどうか確認する方法として、例えば、別添2の方法があること。

19 第22条関係

本条の規定に適合する中高面に圧力を受け球面の一部をなすステーなし鏡板(鋳鉄製鏡板を除く。)の最小厚さの算定方法として、例えば、JISB8265の附属書EのE.4.5a)からE.4.5c)までの規定による方法があること。

20 第23条関係

次の図に示すような鋳鉄製鏡板については、R=Dである皿形鏡板とみなして、本条により当該鏡板の最小厚さを算定すること。

図

21 第24条関係

本条の規定に適合する円すい体形鏡板の最小厚さの算出方法として、例えば、JISB8265の附属書EのE.4.5d)の規定による方法があること。

22 第25条関係

(1) 第1項関係

第1項の規定に適合する平板等の最小厚さの算定方法として、例えば、次の方法があること。

ア 平鏡板、平ふた板、平底板等の平板でステーによって支えられないものの最小厚さは、JISB8265の附属書EのE.3.6の規定により求めた計算厚さとすること。

なお、平板と胴、管等との取付方法については、Ⅰの第2の12の(1)の図(エ)から図(キ)までの方法によっても差し支えないこと。

イ ボルト締め平ふた板の最小厚さは、JISB8265の附属書LのL.3の規定により求めた計算厚さとすること。

ウ 次の図に示すような平板においては、イの最小厚さは図のt2を示すものであること。この場合において、t1はt2の値より2mm程度小として差し支えないこと。

なお、締付ボルトが同図に示すように本体肉厚内にかかることは、認めて差し支えないこと。

図

エ はめ込み形円形平ふた板の最小厚さは、JISB8265の附属書LのL.4の規定により求めた計算厚さとすること。

オ マンホールカバーの最小厚さについては、Ⅰの第2の12の(4)によること。

カ 球形胴のマンホールのふた板で球面を有しているものの最小厚さは、平板とみなして計算した所要厚さの50%とすること。

キ ジャケット閉鎖部の最小厚さは、ジャケットの計算厚さとすること。ただし、次に掲げるジャケット閉鎖部の計算厚さは、当該それぞれに定める値とすること。

(ア) 別図の図(ウ)に示す平面形ジャケット閉鎖部

次の2つの算式により算定した値のうちいずれか大きい値

tc=2tj'

図

これらの式において、tc、tj'、j、P及びσaは、それぞれ次の値を表すものとする。

tc 平面形ジャケット閉鎖部の計算厚さ(単位 mm)

tj' ジャケットの計算厚さ(単位 mm)

j' ジャケット部の間隔 Rj-Rs(単位 mm)

この式において、Rjはジャケットの内半径(単位 mm)を、Rsは本体胴の外半径(単位 mm)を表すものとする。

P ジャケット部の最高使用圧力(単位 MPa)

σa 材料の使用温度における許容引張応力(単位N /mm2)

(イ) 別図の図(エ)の1及び図(エ)の2に示す平面形ジャケット閉鎖部

次の算式により算定した値

図

この式において、tc、P、Rs、j及びσaは、それぞれ次の値を表すものとする。

tc、P、Rs及びσaそれぞれ(ア)に定める値

j (ア)に定めるジャケット部の間隔(単位 mm)で、算式で求める値を超えてはならない。

図

この式においてRjは(ア)に定める値を表し、tc及びtjはそれぞれ次の値を表すものとする。

ts 本体胴の厚さ(単位 mm)

tj ジャケットの厚さ(単位 mm)

(2) 第2項関係

ア ジャケット閉鎖部の形状として、例えば、別図に示すものがあること。

イ 圧力容器に半割コイルジャケット(半円管を本体に巻き、本体に溶接して、この中に蒸気を通し、間接加熱するためのジャケットとするものをいう。)を設ける場合の取扱いとして、例えば、JISB8279の附属書2によるほか、次の方法があること。

(ア) 半割コイルジャケット内の使用温度は350℃を超えないこと。

(イ) 半割コイルジャケットの半円部の最小厚さは、JISB8265の附属書EのE.2.2のa)の内径基準の算定により求めた計算厚さ以上であること。

(ウ) 本体胴又は鏡板の最小厚さは、次の外圧に対する算式により算定した計算厚さ以上であること。

図

この式において、t、d、P及びσaはそれぞれ次の値を表すものする。

t 本体胴又は鏡板の計算厚さ(単位 mm)

d 図に示す長さ(単位 mm)

P ジャケット部の最高使用圧力(単位 MPa)

σa 本体胴又は鏡板の材料の使用温度における許容引張応力(単位 N/mm2)

図

(エ) ジャケットの本体への取付けは、(ウ)の図の取付方法によること。

ウ ジャケット付き圧力容器のジャケットの一部を切り欠き、次の図に示すように当該切り欠き部を平板によって工作する場合の取扱いとして、例えば、次の方法があること。

(ア) ジャケット胴の穴の部分を円すい状に内側に曲げ、本体の胴に完全溶込みの突合せ片側溶接で取り付けることが望ましいこと。

(イ) 次の図(ア)の方法による場合は、ジャケット胴と円すい形側板とは両側溶接とし、この側板と本体胴との取付けは完全溶込みの突合せ片側溶接とすること。この場合において、側板の厚さは、ジャケット胴と同じ厚さ以上にすること。

(ウ) 次の図(イ)の方法による場合で、側板となる円筒の直径が大きく、(イ)の工作が可能なときは、側板を円筒形として差し支えないこと。

(エ) 側板を方形とすることは認められないこと。

図

(3) その他

本条の最小厚さを算定することができない特殊な形状のものについて、検定水圧試験によって板の厚さが本条の最小厚さ以上であるかどうか確認する方法として、例えば、別添2の方法があること。

23 第26条関係

(1) 第1項の規定に適合する平管板の最小厚さの算定方法として、例えば、次の方法があること。

ア 熱交換器その他これに類するものの平管板であって、管ステーによって支えられないものの最小厚さは、JISB8265の附属書KのK.4.2の規定により求めた計算厚さとすること。

イ 次の図(ア)、(イ)及び(ウ)に示すように管ステーによって支えられない平ふた板の機能を有するボルト締めによる平管板の最小厚さは、アにより算定すること。ただし、JISB8265の附属書KのK.4.2におけるt1を求める算定式において、当該算式中のPの値は、ボルト締めによる相当圧力を考慮して、次の算式により算定すること。なお、P=PBSのときのσaは、材料の常温における許容引張応力(単位 N/mm2)とすること。

(ア) ボルト締めによる相当圧力は、次の算式によること。

PBt=6.2Mo/F2D13

PBS=6.2Mg/F2D13

これらの式において、PBt、Mo、F、D1、PBS及びMgは、次の値を表すものとする。

PBt 内圧が作用するときのボルトによる相当圧力(単位 MPa)

Mo 使用状態で平管板の外周端に作用するモーメントの合計(単位 N・mm)(JISB8265附属書G参照)

F アに定める値

D1 胴の内径(単位 mm)

PBS ガスケット締付時のボルトによる相当圧力(単位 MPa)

 Mg ガスケット締付時の平管板の外周端に作用するモーメントの合計(単位 N・mm)(JISB8265附属書GのG.4.2参照)

(イ) 管板の最高使用圧力は、ガスケットが締め付けられる側に応じて、次によること。

ただし、最高使用圧力が負圧の場合は、絶対値とすること。

[1] 次の図(ア)に示すようにガスケットが、胴フランジ部と管板により締め付けられているとき。

胴側圧力P=Ps+PBt又はPBS

管側圧力P=Pt

これらの式において、Ps、PBt、PBS及びPtは、次の値を表すものとする。

Ps 胴側の最高使用圧力

PBt及びPBS (ア)に定める値

Pt 管側の最高使用圧力

[2] 次の図(イ)に示すようにガスケットが、仕切室フランジと管板により締め付けられているとき。

胴側圧力 P=Ps

管側圧力 P=Pt+PBt又はPBS又は

[3] 次の図(ウ)に示すように遊動頭引抜形熱交換器でボルト締めされる管板で、Pは次のiからivのうち絶対値が最大のもの

i P=Pt+PBt

ii P=Ps-PBt

iii P=Pt

iv P=Ps

図

(ウ) フランジ部の計算厚さ(ガスケット溝を設ける場合は、溝の深さを減じた厚さとする。)は、JISB8265の附属書LのL.3.2のc)の規定により算定すること。

ウ 自動制御装置を設け、起動から運転停止に至るまで、常に胴側の圧力と管側の圧力との差圧が一定の値以下となるように設計されている熱交換器にあっては、当該差圧の最大値を最高使用圧力として管板の最小厚さを算定して差し支えないこと。

なお、このように設計された熱交換器の水圧試験においては、胴側と管側との両方に水圧力を加え、管板及び管に加わる水圧力の差が上記の差圧の最大値の1.5倍を超えないように留意すること。

(2) 第2項の規定に適合する取付方法として、例えば、次の方法があること。

ア 平管板に対する管の取付けは、31に定めるところによること。

イ ころ広げによって管を取り付ける場合の平管板の管穴の中心間の距離は、管の外径の1.25倍以上とし、拡管部の厚さの最小値は、JISB8265の附属書KのK.4.1の規定により求めた厚さとすること。

ウ ア及びイの規定は、管ステーを取り付ける管板についても適用されるものであること。

(3) 本条の最小厚さを算定することができない特殊な形状のものについて、検定水圧試験によって平管板の厚さが本条の最小厚さ以上であるかどうか確認する方法として、例えば、別添2の方法があること。

24 第27条関係

(1) 第1項の規定は、JISB8265の附属書NのN.2の規定により求めた胴板及び管に生じる応力の値が、それぞれの材料の使用温度における許容引張応力に溶接継手効率を乗じた値又は許容圧縮応力を超える場合に胴に伸縮継手を設けることを規定したものであること。

(2) 第2項の規定は、両管板固定式熱交換器においては低サイクル疲れを考慮する必要があることから、予定される応力の繰返し回数に応じた応力評価を行わなければならないことを規定したものであること。

(3) 第2項の規定に適合するものとして、例えば、次の値が第1項の伸縮継手に生ずる応力の繰返し回数に応じて次の図(ア)又は図(イ)に示す繰返し応力の値を超えないものがあること。ただし、第1項の伸縮継手に生ずる応力の繰返し回数が1万回以下の場合であって、当該応力が材料の使用温度における降伏点を超えないときは、この限りでないこと。

また、「応力の繰返し回数」とは、圧力容器の起動、停止等によって生ずる応力変化の回数をいうものであり、例えば、毎日、起動及び停止をそれぞれ1回行い、その他これに相当する大きさの応力変化がない場合には、「応力の繰返し回数」は10年間でおおよそ3,500回となること。

σE/2Eb

この式において、σ、E及びEbは、それぞれ次の値を表すものとする。

σ 伸縮継手に生ずる応力(単位 N/mm2)で、伸縮継手の種類に応じ、それぞれ次の算式により算定した値。ただし、アの算式中Pw2/2nt2の値は使用温度における材料の降伏点又は0.2パーセント耐力を、イの算式中Pw/ntの値は使用温度における材料の許容引張応力を超えてはならない。

ア U字形の伸縮継手であって、波のピッチが波の高さの3分2以上2倍未満のもののうち、コントロールリングを有しないものの場合

σ=1.5Ebtδ/b0.5w1.52N + Pw2/2nt2

イ U字形の伸縮継手であって、波のピッチが波の高さの3分2以上2倍未満のもののうち、コントロールリングを有するものの場合

σ=1.5Ebtδ/b0.5w1.52N + Pw/nt

ここで「コントロールリング」とは、次の図に示すようなリング(通常は2つ割り)を伸縮継手の各谷部に組み込み、各山が均等に伸縮を吸収するようにコントロールする構造のものをいうものであること。

図

これらの式において、Eb、t、δ、b、w、N、P及びnは、それぞれ次の値を表すものとする。

Eb 伸縮継手の材料の使用温度における縦弾性係数(単位 N/mm2)

t 伸縮継手の厚さ(単位 mm)

δ 伸縮量(単位mm)

b 伸縮継手の山のピッチの2分の1(単位mm)

w 伸縮継手の山の高さ(単位mm)

N 伸縮継手の山数

P 最高使用圧力(単位MPa)

n 伸縮継手の層数

E 次の図(ア)又は図(イ)の基準となった材料の縦弾性係数(単位 N/mm2)

(ア) 炭素鋼、低合金鋼、高張力鋼及びフェライト系ステンレス鋼

図

備考

1 点線は、材料の最小引張強さが551.6N/mm2以下のものに使用する。

2 実践は、材料の最小引張強さが792.9N/mm2以上896.3N/mm2未満のものに使用する。

3 材料の最小引張強さが551.6N/mm2を超え792.9N/mm2未満のものにあっては、比例法によって計算する。

(イ) オーステナイト系ステンレス鋼、オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼、ニッケルクロム鉄合金及びニッケル胴合金

図

25 第28条関係

(1) 第1項及び第2項の「最高使用圧力が加わったときに当該断面に生じる応力」とは、JISB8265の附属書MのM.5の規定に定めるステーが支える荷重をステーの断面積で除した値をいうこと。

例えば、次の図に示す容器のステー及びボルトの強さを算定する場合において、ステー及びその取付ボルトにあっては同図中のハッチングを施した面積Aを受圧面積とし、鏡板の締付ボルトにあってはハッチングを施した面積以外の面積Bを受圧面積とすること。

図

(2) 第3項の規定に適合する取付方法として、例えば、次の方法があること。

ア ステーの取付けは、JISB8265の7.4の規定によること。

なお、この場合において、ステーボルトを板面に対し斜めに取り付けるときは、ねじ山を3以上板にねじ込み、かつ、そのうちの1以上のねじ山は、全周をねじ込むこと。

イ 棒ステーを板に取り付ける場合には、アによるほか形鋼その他の金物を板に取り付け、これにピンで取り付けることができること。

ウ 管ステーは、次のいずれかの方法によって取り付けられたものであること。

(ア) ねじ込んだ後、ころ広げを行うこと。

(イ) ねじ込んだ後、ころ広げを行い、かつ、縁曲げすること。

(ウ) 管穴壁に溝を設けて、ころ広げを行うこと。(管の厚さが1.6mm以上で、かつ、管板の厚さが16mm以上の場合に限る。)

(エ) 管板に溶接する場合、ステーの軸に平行にせん断力の作用する溶接面の面積は、管ステーの最小断面積の1.25倍以上とするものとすること。

26 第29条関係

第2項に適合する棒ステーのピッチとして、例えば、216mm以下で、かつ、棒ステーの場合は、直径の15倍以下のものがあること。この場合において、板の厚さが19mmを超える場合には、ステーのピッチは508mmを超えないこと。

27 第30条関係

本条の規定に適合するステーによって支えられる平板等の最小厚さの算定方法として、例えば、次の方法があること。

(1) ステーによって支えられる平板の最小厚さは、JISB8265の附属書MのM.4の規定により求めた計算厚さとすること。

(2) シリンダーピストンの最小厚さは、次の算式により求めた計算厚さとすること。

図

この式において、t、P、d、d1及びσbは、それぞれ次の値を表すものとする。

t ピストンの計算厚さ(単位 mm)

P  最高使用圧力(単位 MPa)

d シリンダーの内径(単位 mm)

d1 ピストンロッドの外径(単位 mm)

σb  許容曲げ応力を1.5で除したもの(単位 N/mm2)

(3) ジャケット付き圧力容器の胴でステーボルトで支えられるもの及び次の図に示すようなステーボルトによって支えられる鏡板の最高使用圧力は、次の算式によって算定して差し支えないこと。この場合において、P2を算定する場合における(1)の算式中の「C」の値は、1.3とすること。

P=P1+P2

この式において、P、P1及びP2は、それぞれ次の値を表すものとする。

P 胴の最高使用圧力(単位 MPa)

P1 ステーがないものとみなした外圧胴としての最高使用圧力(単位 MPa)

P2  ステーで支えられる平板とみなしたときの最高使用圧力(単位 MPa)

図

(4) 角形容器の平板部で、リブによって補強されたものの最高使用圧力は、(1)の規定中の当該リブの「C」を2.6として算定した平板部(面積が最も大きい部分をとるものとする。)の最高使用圧力の値と次の算式によって得られる値のうちいずれか小さい値をとって差し支えないこと。

P=P1+P2

この式において,P1及びP2は次の値を表すものとする。

P1 リブがないものとみなして計算した平板の最高使用圧力(MPa)

P2 リブの強さのみを考慮して計算した最高使用圧力(MPa)で、次による。

ア リブが一方向のみに設けられている場合(次の図(ア))

P2=8Zσa/bl2

…自由支持の場合

P2=12Zσa/bl2

…周縁固定の場合

イ リブが井げた状に設けられている場合(次の図(イ))

図…自由支持の場合

★図84…周縁固定の場合

この式において、Z、σa、b、ℓ、Z1、σal、η1、b1、ℓ1、Z2、σa2、η2、b2及びℓ2は、それぞれ次の値を表すものとする。

Z リブが一方向のみに設けられている場合のリブの断面係数(mm3)

σa、σal及びσa2リブの許容曲げ応力を1.5で除したもの(N/mm2)

b、b1及びb2リブが荷重を受け持つ幅(mm)で、次の図に示すところによる。

ℓ、ℓ1及びℓ2リブが荷重を受け持つ長さ(mm)で、次の図に示すところによる。

Z1及びZ2リブが井げた状に設けられている場合のリブの断面係数(mm3)

η1及びη2リブの交差部における継手効率(一方は1.0となる。)

図

(注)

  (1) 中央の交差部は、一方のリブを他方のリブにK形突合せ溶接により取り付けるものとする。

  (2) P1の計算は、22の(1)の(ア)の算式によるものとする。

(5) 遊動頭形の管板の管群部の計算厚さは、固定式管板における場合と同様に(1)により算定すること。この場合において、最高使用圧力(P)は、管板の両側の圧力のうちいずれか大きい圧力とすること。

なお、管板の外周が支持されていない場合には、外側の管ステーと管板の縁との距離は管群部の算定に用いる管ステーのピッチの1/2以下とすること。

(6) 本条の最小厚さを算定することができない特殊な形状のものについて、検定水圧試験によって板の厚さが本条の最小厚さ以上であるかどうか確認する場合には、別添2の方法によること。

なお、ジャケット付き圧力容器のジャケットと胴との溶接取付部は、胴の強度を算定するに当たって支点とみなすことはできず、したがって、次の図(ア)又は図(イ)に示すようにジャケットを規則的に胴に溶接した場合であっても、(1)は適用できないため、検定水圧試験方法の規定に基づき、最高使用圧力を算定するものとすること。

zu

28 第31条関係

(1) 本条の規定に適合するマンホール、掃除穴及び検査穴の穴の数及び寸法として、例えば、JISB8265の5.1.5のb)の規定によるものがあること。

(2) 「これらに代わる穴のあるもの」には、例えば、次のものがあること。

ア 胴の内径が500mm以下の圧力容器で、取り外すことができる外径40mm以上の管を2個以上設けたもの

イ 鏡板、ふた板等を取り外すことができる圧力容器で、鏡板、ふた板等の寸法が(1)に規定する穴の寸法以上であるもの

ウ 腐食のおそれがなく、かつ、気密な構造のものとする必要がある圧力容器で、取り外すことができる外径40mm以上の管を2個以上設けたもの

(3) (2)のア及びウに規定されている管が管台を設けて取り付けられる場合には、管台の高さを穴の径の1.5倍以下とすること。

29 第32条関係

(1) JISB8286に適合するガラス板と同等以上の機械的性質を有するものには、有機ガラスが含まれるものであること。

なお、有機ガラスを使用する場合におけるJISB8286の5の算式中のσbの値は、当該有機ガラスの使用温度における許容曲げ応力とすること。

(2) ガラス製ののぞき窓の形状がだ円形又は長円形であっても、ガラス板の圧力を受ける部分の面積をAとし、JISB8286の5の算式を適用して差し支えないこと。

30 第33条関係

(1) 本条の規定に適合する穴の補強方法として、例えば、次の方法があること。

ア 胴及び鏡板の穴の補強に必要な面積は、JISB8265の附属書FのF.6の規定によること。

イ 単独の穴の大きさが平板の直径又は最小スパンの2分の1以下の場合は、JISB8265の附属書FのF.10.1の規定によること。

また、当該穴の補強の代替は、JISB8265の附属書FのF.10.2の規定によること。

ウ 単独の穴の大きさが平板の直径又は最小スパンの2分の1を超える場合の補強の代替は、JISB8265の附属書FのF.10.3の規定によること。

エ 二重構造の圧力容器の胴、鏡板に設ける穴に対する強め材の最小断面積は、内面に圧力を受ける胴及び鏡板についてはアの規定により、外面に圧力を受ける胴及び鏡板についてはアのうち外面に圧力を受ける条件の規定によりそれぞれ算定するものとすること。

オ 強め材として算入できる補強の有効範囲は、JISB8265の附属書FのF.7の規定によること。

ただし、圧力容器と一体に鋳造された鋳鉄製の胴、鏡板又は管台の強め材に算入できる部分は、板の面から穴の軸に平行な方向に測った板の厚さの2倍以内の範囲に限り、強め材に算入できるものとすること。

カ Iの第2の29の(1)のカ及びキの図に示すようなマンホールを圧力容器に設ける場合の取扱いについては、Iの第2の29の(1)のカ及びキによること。

キ 胴又は鏡板の厚さ及びノズルネックの厚さのうち強め材として算入できる部分の面積については、JISB8265の附属書FのF.8の規定によること。

ク 大径の穴の補強については、JISB8265の附属書FのF.9の規定によること。

ケ 次の図(ア)又は図(イ)に示す容器については、それぞれの図のD2を鏡板に設ける穴の直径としてクを適用すること。この場合、強め材を取り付ける箇所は丸みの部分を避けなければならないこと。ただし、強め材が一方の側に偏しても有効範囲内に所要断面積が取り付けられていれば差し支えないこと。

ただし、図(イ)の場合には、ドーム状の部分が円筒状にならないことから、その形状に応じた強度の検討を行う必要があること。

なお、図(ア)の場合には、容器の構造上ドーム状の部分を鏡板の内部に突出させて溶接することが可能であれば、当該部分を図(ウ)のように取り付けさせること。

図

コ 補強を要する穴が2つ以上近接して設けられ、各々の穴に対する補強の有効範囲が重なり合う場合には、JISB8265の附属書FのF.11の規定のほか、次によること。

胴に管穴又はこれに類する穴の一群があって、これを次の図に示すように溶接で取り付ける場合には、補強を必要とする最小断面積及び相隣り合う2つの穴の間の胴の最小断面積(胴板内に溶着された管壁の部分を含む。)は、それぞれ次の算式により算定すること。

A=dtrF

As=0.7ltrF

これらの式において、A、d、tr、F、及びℓは、それぞれ次の値を表すものとする。

A 補強を必要とする最小断面積(単位 mm2)

d 補強を考える面における穴の径(単位 mm)

tr 継目なし胴の計算厚さ(単位 mm)

 F 係数で、JISB8265の附属書F図F.2による値(この場合において、「断面」とあるのは「穴の中心線を結ぶ線」とする。)

As 2つの穴の間の最小断面積(単位 mm2)

ℓ 2つの穴の中心間の距離(単位 mm)

図

サ コの「ℓ 2つの穴の中心間の距離」は、次の図に示すように板が曲がっている場合は、曲面に沿って測ること。

なお、補強を考える場合の穴の径は、同図のdをとるものとすること。

シ 鏡板に設けられた穴を補強する折込みフランジの最小高さは、次の表の左欄に掲げる鏡板の計算厚さに応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる値とすること。ただし、折込みフランジが管等により支えられている場合又は内径(開口部の形状がだ円形又は長円形の場合にあっては内面の長径)が150mm以下の開口部に設けられている場合には、この限りでないこと。この場合、折込みフランジの最小高さは、穴の長径に沿い鏡板の外面にあてた平板面から測ること。

鏡板の計算厚さ
(単位 mm)
折込みフランジの最小高さ
(単位 mm)
38以下のとき
3
38を超えるとき
 + 76

 

(2) 本条ただし書に該当する補強を要しない穴として、例えば、JISB8265の附属書FのF.3の規定によるもののほか、径(ねじ穴にあっては、ねじ底の径)が61mm以下の穴であって、胴の内径の4分の1以下のもの又は鏡板のフランジ部の内径の4分の1以下のものがあること。

(3) 本条の規定により板の厚さを算定することができない特殊な形状のものについて、検定水圧試験によって板の厚さが本条の最小厚さ以上であるかどうか確認する方法として、例えば、別添2の方法があること。

31 第35条関係

第1項の規定に適合する管、管台等の取付部が安全上必要な強度を有するような方法として、例えば、次の方法があること。

(1) 胴、鏡板等に管(管ステーを除く。)、管台等をねじ込みにより取り付ける場合には、はめ合わされるねじ山の数及び胴、鏡板等の板の厚さを、次の表の左欄に掲げる管の外径に応じ、それぞれ同表の中欄及び右欄に掲げる値以上とすること。


管の外径
(単位 mm)
はめ合わされるねじ山の数 板の厚さ
(単位 mm)
21.7 27.2 6 11
34 42.7 48.6 7 16
60.5 8 18
76.3 89.1 101.6 8 26
114.3 139.8 165.2 10 32
216.3 12 39
267.4 13 42
318.5 14 45

(2) 外径が150mm以下の管その他これに類するものを胴、管板等に設けられた穴に取り付ける場合(溶接のみにより取り付ける場合を除く。)は、次のいずれかの方法によること。

ア ころ広げ及び縁曲げを行うこと(縁曲げを行った部分の周囲に漏止め溶接を行う場合を含む。)。

イ ころ広げを行い、かつ、管端を管穴の直径より3mm以上大きくなるようにラッパ状に広げること。

ウころ広げを行い、かつ、管端をラッパ状に広げてその周囲を溶接すること。

エ ころ広げを行い、かつ、管端の周囲を溶接すること(管が管座端から6mm以上9.5mm以下突き出し、かつ、のど厚が5mm以上8mm以下の場合に限る。)。

オ 穴の周囲を管の厚さまで穴ぐりして、ころ広げを行い、かつ、管端の周囲を溶接すること(管の外径が40mm以下で、かつ、管が管座端から9.5mm以下突き出している場合に限る。)。

カ 管穴壁に溝を設け、かつ、ころ広げを行うこと。

(3) (2)の場合において、圧力容器の最高使用圧力が1.6MPa以下又は使用温度が235℃以下で、かつ、次の算式により算定した接触面の応力が2.5N/mm2以下であるときには、(2)の規定にかかわらず、ころ広げのみによることができること。

σ=W/πdt

この式において、σ、W、d及びtは、それぞれ次の値を表すものとする。

σ 接触面の応力(単位 N/mm2)

W 1本の管が支える荷重(単位 N)

d 管の外径(単位 mm)

t ころ広げの長さ(単位 mm)

(4) 管を管板等に溶接によって取り付ける場合は、JISB8265の附属書K図K.3の形状例によること。

32 第36条関係

(1) 第1項及び第3項の「これらと同等以上の機械的性質を有するもの」として、例えば、JISB8265の附属書GからJまでに適合するフランジがあること。

(2) 米国のANSI規格及びJPI(日本石油学会)規格に適合するフランジを使用する場合には、強度計算を省略して差し支えないこと。

(3) フランジに平板を取り付ける場合で当該平板に係る強度計算を省略しても差し支えない場合の取扱いについては、Iの第2の34の(3)によること。

(4) 容器に取り付けるルーズ形フランジ等は、一体物でなく板をリングに巻いて溶接して製作しても差し支えないこと。なお、当該溶接部は、本体の長手継手と同様に取扱うこと。

(5) はめ込まれる鋼管等の関係で、フランジの内径を多少変えることは差し支えないこと。

(6) マンホールフランジは、胴フランジに該当するものとすること。

33 第37条関係

(1) 本条の規定に適合するフランジの最小厚さの算定方法として、例えば、JISB8265の附属書LのL.5.2.2の規定による方法があること。

(2) 次の図に示すようなフランジについて、(1)の規定により当該フランジの厚さ(T)を算定する場合には、鏡板の実際の厚さ(t)から鏡板の最小厚さ(trを減じた残部の厚さ(t-tr)を当該フランジの厚さ(T)に含めて差し支えないこと。

図

(3) ふた板のフランジ部に、締付ボルト取付用の切り欠きを設けた場合には、端部に突起を設ける等の措置により締付ボルトが容器使用中に外れることがないようにすること。

34 第38条関係

本条の規定に適合するふた板の締付ボルトとして、例えば、次のものがあること。

(1) ねじの呼び径がボルトの許容引張応力を用いて算定したねじの呼び径に3以上を加えたものであるもの

(2) ねじ山面の著しい摩耗又は腐食が予想される場合にあっては、ねじがJISB0216-1(メートル台形ねじ-第1部:基準山形及び最大実体山形)、JISB0216-2(メートル台形ねじ-第2部:全体系)及びJISB0216-3(メートル台形ねじ-第3部:基準寸法)に適合するもの又は角ねじであるもの

(3) 締付ボルト中心円の径が450mmを超えるふた板又はこれに相当する面積をもつふた板に用いる場合にあっては、ねじの呼び径が24以上のものであるもの。ただし、ボルト材としてJISG4107(高温用合金鋼ボルト材)又はこれと同等以上の強度をもつ鋼材を用いた場合は、この限りでないこと。

(4) ナットのねじ部の高さが径以上であるもの

(5) ふた板の端部に切り欠きを設けて取り付ける場合にあっては、座金の厚さが12mm以上であるもの

35 第40条関係

(1) 第1項関係

第1項の規定に適合する溶接方法として、例えば、次の方法があること。

ア 溶接継手の形式と使用範囲は、JISB8265の6.1.4の規定によること。

イ 管板を胴に溶接により取り付けるときは、アによるほか、次に定めるところによること。

(ア) 圧力を受ける管板を13mm以上の厚さの鍛造板又は圧延板に溶接する場合には、アによるほか、溶接前に鍛造板又は圧延板の開先を含むすべての切断端部について磁粉探傷試験又は浸透探傷試験を行い、圧力荷重の80%以上を管ステー等のステーに分担させるときを除き、溶接後に、これらの切断端部のうち溶接されなかった部分について再度磁粉探傷試験又は浸透探傷試験を行うこと。

(イ) JISB8265の図6のa)の1)から4)までに示すハブ付き管板又はハブ付き平鏡板は、鍛造板によって製作すること。

なお、管板を次の図(ア)から図(エ)までのような方法により胴に取り付けることは、差し支えないこと。ただし、図(ア)中のTはルーズ形フランジとしての必要な厚さ以上とし、図(イ)中のtは管板の最小厚さ以上とすること。

図

ウ 管台、強め材その他これらに類するものを胴又は鏡板に取り付ける溶接の取扱いについては、アによるほか、次の図(ア)及び図(イ)に示す方法によっても差し支えないこと。ただし、図(ア)の方法は当該容器の最高使用圧力1.6MPa以下の場合又は胴の外径が610mm以下の場合に、図(イ)の方法は胴の外径が610mm以下の場合に限るものとすること。

図

エ 管台、強め材その他これらに類するものを胴又は鏡板に取り付ける溶接部の強さは、JISB8265の附属書FのF.13の規定によること。

オ アに規定する突合わせ溶接及びプラグ溶接は、それぞれJISB8265の6.3.1、6.3.2及び6.4の規定によること。

カ サブマージアーク溶接における余盛りの標準高さは、t/10(最大5mm)(tは板の厚さ)とすること。ただし、開先端上面等において母材の表面より低い部分がない限り、サブマージアーク溶接における余盛りの高さは、1.5~2mm程度としても差し支えないこと。

キ ジャケットを溶接により胴に取り付ける場合は、別図に示すところによること。

ク 外圧を受ける胴の強め輪の取付けは、JISB8265の6.6の規定によるほか、強め輪の取付溶接の脚長は、次のいずれか小さい値以上とすること。

(ア) 6mm

(イ) 胴の板の厚さ

(ウ) 強め輪の取付部の板の厚さ

ケ ステーの溶接による取付けは、JISB8265の7.4のa)、c)、f)、g)及びh)の規定によること。

(2) 第2項関係

ア 「著しい曲げ応力を生ずる部分」として、例えば、胴と鏡板との角溶接による取付部分があること。

イ 圧力の作用しない部分の溶接は、第2項の適用がないこと。ただし、この場合は、溶接後熱処理を行う必要があるが、次に掲げるものについては、この限りでないこと。

(ア) 鏡板が2:1の半だ円体形鏡板のすみの丸みの部分に溶接する場合であって、36の(1)のアの(エ)に該当するもの

(イ) 立型の圧力容器の下部鏡板に支持スカートを取り付ける構造のもので、次の[1]及び[2]に該当しないもので、36の(1)に該当するもの

[1] スカート取付部の鏡板が皿形鏡板で、その板厚が16mmを超える容器

[2] 使用温度が-10℃未満の容器

ウ U字形の伸縮継手においてU字形の頂部に溶接部を設ける場合には、著しい曲げ応力が生じる部分を避けるため、次の図によること。なお、溶接部は、裏溶接を行って十分な溶込みが得られるものとすること。

図

備考 1 (h/3)≦b≦h

  2 伸縮継手の最大径において胴の計算をしない場合のSの寸法は、3t~4t(mm)とする。

  3 tは伸縮継手を取り付ける胴の厚さを示すものではない。

36 第43条関係

(1) 第1項の「溶接後熱処理が必要ない溶接部」として、例えば、次に掲げる溶接部があること。

ア 炭素鋼の溶接部であって、次のいずれかに該当するもの

(ア) 板の厚さが32mm以下の溶接部

(イ) 板の厚さが32mmを超え38mm以下の溶接部であって、93℃以上の予熱を行ったもの

(ウ) 径61mm以下の穴に管、管台等を取り付ける溶接部であって、開先の深さが13mm以下で、かつ、のど厚が13mm以下のもの(この種の溶接部が連続しているものを除く。)

(エ) 外圧を受ける胴の強め輪又は圧力の作用しない部分を取り付ける場合における溶接部であって、次のいずれにも該当しないもの

[1] 連続溶接を行った場合におけるのど厚が13mmを超えるもの

[2] 圧力を受ける部分の板の厚さが32mmを超える場合に93℃以上の予熱を行わなかったもの

(オ) スタッド溶接部

イ クロムの含有量が1%未満の低合金鋼の溶接部であって、次のいずれかに該当するもの

(ア) 板の厚さが16mm以下の溶接部

(イ) 炭素の含有量が0.25%以下の低合金鋼の溶接部であって、93℃以上の予熱を行ったもののうち次のいずれかに該当するもの

[1] 厚さが13mm以下の管の周溶接部

[2] スタッド溶接部

[3] のど厚が13mm以下のすみ肉溶接部

[4] 開先の深さが13mm以下の溶接部

ウ クロム、モリブデン及び炭素の含有量がそれぞれ1%以上2%未満、0.5%以上及び0.15%以下の低合金鋼の溶接部であって、121℃以上の予熱を行ったもののうち次のいずれかに該当するもの

(ア) 外径が114.3mm以下であって、厚さが16mm以下の管の周溶接部

(イ) 圧力のかからない部分を取り付ける溶接部であって、のど厚13mm以下のすみ肉溶接部

(ウ) スタッド溶接部

エ クロム及び炭素の含有量がそれぞれ3%以下及び0.15%以下の低合金鋼(イ及びウに掲げるものを除く。)の溶接部であって、149℃以上の予熱を行ったもののうち次のいずれかに該当するもの

(ア)外径114.3mm以下であって、厚さが16mm以下の管の周突合せ溶接部

(イ)圧力のかからない部分を取り付ける溶接部であって、のど厚13mm以下のすみ肉溶接部

(ウ)スタッド溶接部

オ マルテンサイト系ステンレス鋼で炭素の含有量が0.08%以下のJISG4304及びJISG4305のSUS410Sの溶接部であって、オーステナイトクロムニッケルの溶着金属を生じる溶接棒又は空冷非硬化型のニッケルクロム鉄の溶着金属を生じる溶接棒で溶接した溶接部の厚さが10mm以下又は溶接部の厚さが10mmを超え38mm以下で溶接中232℃の予熱温度を保持し、かつ、溶接継手を全線放射線検査を行ったもの

カ フェライト系ステンレス鋼で炭素の含有量が0.08%以下のJISG4304並びにJISG4305のSUS405及びSUS410Lで、オーステナイトクロムニッケルの溶着金属を生じる溶接棒又は空冷非硬化型のニッケルクロム鉄の溶着金属を生じる溶接棒で溶接した溶接部の厚さが10mm以下又は溶接部の厚さが10mmを超え38mm以下で溶接中232℃の予熱温度を保持し、かつ、溶接継手を全線放射線検査を行ったもの

キ オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼の溶接部

(2) (1)において、溶接部の板の厚さが異なるときの板の厚さは、溶接部の種類に応じ、それぞれ次に掲げる厚さとすること。

ア 突合せ溶接部薄い板の厚さ

イ 重ね溶接部厚い板の厚さ

ウ 胴に管板、平鏡板、ふた板及びフランジを取り付ける溶接部胴の厚さ

エ 管台及び強め材等を取り付ける溶接部管台を取り付ける胴、鏡板及び強め材のうち最も大きい厚さ

オ 管台とフランジとの溶接部管台の厚さ

カ 耐圧部に非耐圧部を取り付ける溶接部取付溶接部の厚さ

キ 中間鏡板の取付溶接部胴の厚さ又はすみ肉溶接ののど厚のいずれか大きい厚さ

(3) 胴又は鏡板が溶接後熱処理を必要としない場合には、これに設ける管、管台等の取付溶接部は溶接後熱処理を要しないものとして差し支えないこと。

(4) (1)にかかわらず溶接部間の距離が板の厚さの2倍(最大100mm)以下の場合については、溶接後熱処理が必要であること。ただし、予熱等溶接工作中における当該溶接部の割れを防止する措置を講じたときには、この限りでないこと。

(5) 圧力容器の胴等において溶接線が交差する溶接を行った場合には、(1)にかかわらず、溶接後熱処理を行う必要があること。

(6) オーステナイト系ステンレス鋼及び(1)のオからキまでの溶接部の溶接後熱処理は避けるべきであるが、ステンレス鋼と炭素鋼とが溶接される場合で、例えば、次に掲げるときには、溶接後熱処理を行っても差し支えないこと。

ア ステンレス鋼の耐食性を重要視しなくてもよい場合

イ ステンレス鋼中の炭素含有量が0.03%以下である場合

ウ ステンレス鋼中にチタン、ニオブ等のスタビライザが含まれている場合

(7) 第3項の「局部加熱の方法によることができると認められる溶接部」として、例えば、次の溶接部があること。

ア 胴、管等の周継手

イ 管台、フランジ等を取り付ける溶接部(胴板の一部を切り取り取付物を突合せ溶接した部分を除く。)

37 第45条関係

(1) 今回の改正により、円筒形第一種圧力容器において周継手以外に溶接部がない場合にあっても、本条が適用されることとなったこと。

(2) 次の図に示すような容器において、A部の長手継手がB部の長手継手と同一条件で溶接される場合には、A部をB部に含めて1個の試験板を作成して差し支えないこと。

図

(3) 同径かつ同厚の第一種圧力容器であって、2基以上同一条件で同時に製作する場合には、2基目以降の溶接部の機械試験を省略して差し支えないこと。

38 第47条関係

(1) 第1項の試験板の厚さとは、呼び厚さをいうこと。

(2) 第2項のJISB8265の附属書Oによる採取とは、同JISの附属書OのO.2.3の規定をいうこと。

39 第50条関係

JISZ3122の曲げ試験における曲げ半径については、JISB8265の附属書Oの表O.2の規定によること。

40 第51条関係

クラッド鋼の曲げ試験において、合わせ材部に3mm以上の割れを生じた場合には、強度計算において母材の厚さのみを用いるときであっても、当該曲げ試験を不合格とすること。

41 第52条関係

第2項のJISB8265の附属書Oによる採取とは、同JISの附属書OのO.2.4.3のb)の規定をいうこと。

42 第53条関係

JISB8265による衝撃試験の合格基準とは、同JISの8.1.2のc)の4)の規定をいうこと。

43 第54条関係

JISB8265による再試験を行うことができる条件とは、同JISの8.1.2のd)の規定をいうこと。

44 第55条関係

第2項のJISB8265による衝撃試験の再試験の合格基準とは、同JISの8.1.2のd)の3)の規定をいうこと。

45 第56条関係

同径かつ同厚の圧力容器を2基以上同一条件で同時に製作した場合の当該圧力容器の溶接継手については、第2項ただし書の「放射線検査の必要がないと認めた溶接継手」として差し支えないこと。

46 第57条関係

第1項の規定に適合する余盛りの高さとして、例えば、JISB8265の6.3.3の規定によるものがあること。

47 第58条関係

放射線透過試験方法に係る取扱いについては、Iの第2の41によること。

48 第59条関係

超音波探傷試験を実施した場合には、当該JISに定める記録を作成する必要があること。

49 第60条関係

(1) 磁粉探傷試験を実施した場合には、当該JISに定める試験記録を作成する必要があること。

(2) 第3項のJISB8265による磁粉探傷試験の合格基準とは、同JISの8.3のc)の2)の規定をいうこと。

(3) 第3項の「これと同等と認められる規格」として、例えば、JISB8265の8.3のc)の3)の規定による方法があること。

50 第61条関係

(1) 浸透探傷試験を実施した場合には、当該JISに定める試験記録を作成する必要があること。

(2) 第3項のJISB8265による浸透探傷試験の合格基準とは、同JISの8.3のd)の2)の規定をいうこと。

(3) 第3項の「これと同等と認められる規格」として、例えば、JISB8265の8.3のd)の3)の規定による方法があること。

51 第63条関係

(1) 第1項第4号の規定は、ほうろう引き又はガラスライニングの施工前及び施工後にそれぞれの圧力において試験を行うことをいうものであること。

なお、樹脂ライニング等を行った第一種圧力容器についても適用するものであること。

(2) ジャケット付き圧力容器で本体胴のみほうろう引きする場合等容器の一部をほうろう引きするときは、当該部分及びジャケット部に第1項第4号の規定を適用するものであること。

(3) 本体胴の内部を負圧として用いるジャケット付き圧力容器のジャケット部等ゲージ圧力により第1項又は第3項の圧力を定めることが適当でないものについては、負圧となる部分との差圧を最高使用圧力として、本条を適用すること。

(4) 第5項の圧力の温度補正の算式におけるσn/σaは、使用材料について得られた値のうち最小の値をとること。

52 第64条関係

(1) 第1項関係

ア 安全弁その他の安全装置の性能については、JISB8266の12.1.6のa)の規定によること。ただし、同規定中のb)及びc)に係る規定は、適用しないものであること。

イ 圧力容器で2個以上の安全弁を備えるものにあっては、その一部をばねパイロット付安全弁とすることができること。この場合において、当該圧力容器に必要とされる安全弁の総吹出し量の2分の1以上は、ばねパイロット付安全弁以外のばね安全弁によること。

 この場合のばねパイロット付安全弁は、当該安全弁が取り付けられた箇所の蒸気の圧力によって確実に作動するものであること。

ウ 常圧蒸留塔のリボイラーの管側(蒸留塔に接続する側)が次の図に示すように蒸留塔及びコンデンサを経て大気に開放されている場合で、かつ、管側の最高使用圧力が蒸留塔下部の圧力より大である場合には、第1項ただし書により、リボイラーの管側には安全弁を備える必要はないこと。

図

なお、ジャケット付き圧力容器において水蒸気により被加熱液を加熱蒸発させる場合であって、被加熱液側の最高使用圧力を加熱水蒸気の最高温度における当該被加熱液の飽和圧力以上としたときは、被加熱液側に安全装置を設けなくても差し支えないこと。

エ 容器内の圧力が上昇する要因のない反応器は、第1項ただし書の反応器には含まれないこと。

オ 安全弁の吹出し量は、圧力容器に流入する気体の最大量以上又は圧力容器内において発生する気体の最大量以上とし、また、その算定方法として、例えば、次の方法があること。

(ア) 流入する気体の最大量は、次の算式により算定するものとすること。

G=0.0028νρd2

この式において、G、ν、ρ及びdは、それぞれ次の値を表すものとする。

G 気体の送入量(単位 kg/h)

 ν 気体の流速で、飽和蒸気にあっては20以上、過熱蒸気にあっては30以上、一般気体にあっては10以上とする。(単位 m/s)

ρ 気体の密度(単位 kg/m3)

d 管の内径(単位 mm)

(イ) 直火式第一種圧力容器における蒸気の最大蒸発量は、次の算式により算定すること。

W=HQη/(i1-i2)

この式において、W、H、Q、η、i1及びi2は、それぞれ次の値を表すものとする。

W 蒸気の最大蒸発量(単位 kg/h))

H 燃料の発熱量(単位 KJ/kg)

Q 燃料の使用量(単位 kg/h)

η 当該圧力容器の熱効率

i1 発生蒸気のエンタルピ(単位 KJ/kg)

i2 加熱前に内部液体のもっていたエンタルピ(KJ/kg)

カ 蒸気に用いる安全弁の吹出し量の算定方法として、例えば、JISB8210の附属書JA(安全弁の公称吹出し量の算定方法)の規定による方法があること。

キ 「その他の安全装置」として、例えば、次のものがあること。

(ア) 自動的に圧力の上昇を停止させる装置

(イ) 減圧弁で、その二次側に安全弁を取り付けたもの

(ウ) 警報装置で、安全弁を併用したもの

(エ) 逃がし弁(その呼び径が15mm以上のものに限る。)又は逃がし管

なお、逃がし弁にあっては、JISB8266の12.1.6のa)の規定中「0.02MPa」とあるのは「0.034MPa」と読み替えること。

(オ) 破裂板(圧力容器の内容物が安全弁の作動を困難にする場合に限る。)

ク 圧力調整装置、温度調整装置等は、キの(ア)に該当しないこと。

ケ キの(イ)の安全弁と圧力容器との間に止め弁を設けることは、差し支えないこと。

コ カ及び第65条の規定は、キの(イ)及び(ウ)に規定する安全装置については適用しないこと。

サ キの(オ)の破裂板は、JISB8226-1(破裂板式安全装置-第1部:一般)、JISB8226-2(破裂板式安全装置-第2部:安全弁との組合せ)及びJISB8226-3(破裂板式安全装置-第3部:適用、選定及び取付け)の規定に適合すること。

シ スチーム・アキュムレータの最高使用圧力を安全弁により担保することは困難であるので、スチーム・アキュムレータの最高使用圧力がボイラーの最高使用圧力より小さい場合には、キの(イ)に規定する安全装置を備えさせること。

ス 染色そう又はストレージタンクのように間接加熱をする容器で、被加熱側が高温の液でベーパがほとんど発生しない場合には、安全弁に代わる安全装置として逃がし弁を認めて差し支えないこと。

なお、ストレージタンク等に取り付ける逃がし弁については、弁径に対する制限はないものと解して差し支えないこと。

セ 安全弁と容器の間又は安全弁の吹き出し先に止め弁その他の閉止装置を設けてはならないこと。

ただし、次のいずれかに該当する場合にはこの限りでないこと。

(ア) 2個以上の安全弁を備え、かつ、それらを同時に閉止することができない装置を設けた場合

(イ) ボイラー及び圧力容器安全規則第75条第1項ただし書の第一種圧力容器について、閉止装置を安全弁の検査又は修理のために必要最小限の時間閉止するとき以外のときは常に全開し、かつ、これをみだりに操作できないよう、施錠、封印又はこれらと同等以上の措置を講じ、併せて操作禁止の表示札の取付けを行う場合(安全弁と容器の間に閉止装置を設ける場合に限る。)

なお、閉止装置を閉止した場合は、次の措置をすべて講じること。

[1] 当該第一種圧力容器の運転を安定した状態にし、かつ、運転条件を変更しないこと。

[2] 当該第一種圧力容器及び関連設備の圧力を常時監視するとともに、圧力の異常上昇時における対応をあらかじめ準備しておくこと。

[3] 安全弁を検査又は修理のために取り外す場合は、あらかじめ予備の安全弁を用意し、直ちに取り付ける等閉止時間を可能な限り短くする措置を講じること。

(ウ) 引火性又は有毒性の蒸気を発生する第一種圧力容器であって安全弁の吹出し先がフレアスタック等に通じる配管に連結されているものについて、容器の運転中は閉止装置を常に全開し、かつ、これをみだりに操作できないよう、施錠、封印又はこれらと同等以上の措置を講じ、併せて操作禁止の表示札の取付けを行う場合(安全弁の吹出し先に閉止装置を設ける場合に限る。)

(2) 第3項関係

「安全に処理できる構造」として、例えば、安全弁から吹き出された蒸気を屋外の高所等火気その他点火源となるおそれがあるものがない場所に拡散する等により、引火又は爆発の危険を除去する構造があること。

53 第65条関係

第1項の「揚程式安全弁及び全量式安全弁」の取扱いについては、Iの第2の45によること。

54 第67条関係

「ふたの急速開閉装置」とは、クラッチドアー式、上下スライド式、ラジアルアーム式(放射状棒締付け式)等の開閉装置をいうものであること。

なお、クラッチドアー式のクラッチ爪を使用する場合で、次の図に示すようにクラッチ爪をふた板に溶接するときは、完全溶込みの突合せ溶接とし、全線放射線検査及び溶接後熱処理を行うものとすること。

この場合において、同図のA部には、小さな丸みをつけること。

図

55 第68条関係

(1) 本条の規定に適合する圧力計のコックをサイホン管に取り付ける方法として、例えば、サイホン管の垂直な部分に取り付け、かつ、そのハンドルを管軸と同一方向に置いたときに開いているようにする方法があること。

(2) 飽和蒸気又は飽和液のように圧力と温度との間に一定の関係がある液体を内部に保有する圧力容器に取り付けた温度を検出して圧力を知る装置等は、「圧力計」とみなして差し支えないこと。

(3) 第64条第1項ただし書の圧力容器の部分又は52の(1)のキの(ア)若しくは(イ)に掲げる安全装置を備える圧力容器の部分に取り付ける圧力計については、当該圧力容器の部分が達し得る最高の圧力を最高使用圧力とみなして第2号を適用して差し支えないこと。

56 第72条関係

第二種圧力容器の受注者と製造者が異なる場合には、第1号の製造者は実際に製造を行った者とすること。ただし、受注者の名称を併記することは差し支えないこと。

57 第73条関係

(1) 厚さが25mm以上の溶接部を普通ボイラー溶接士が溶接した場合であっても、ボイラー溶接士が溶接を行ったものとして溶接効率を定めて差し支えないこと。

(2) 次の場合については、本条において準用する第42条第2項の表によって差し支えないこと。

ア 自動溶接機(溶接施行法試験により性能が確認されたものに限る。)によって溶接を行う場合

イ 溶接施行法試験により溶接の諸条件を確認の後、溶接部について第一種圧力容器に係る検査・試験と同等の検査・試験を実施した場合

(3) 鋼管製造業者が1の(4)に掲げられている材料を溶接して作った大径鋼管は、第二種圧力容器に使用して差し支えないこと。この場合においては、溶接の種類を示す資料を明細書に添付すること。

(4) 次の図に示すように2枚の平板とこれにろう付けした波形フィンで構成される単体を幾層も重ね合わせて容器を構成し、相隣り合う2層の間において流体の熱交換を行わせる熱交換器の工作方法等は、次によって差し支えないこと。

ア 工作については、平板と波形フィンを交互に積み重ねて、特殊溶融塩中に浸漬し、ろう付けすること。

イ 熱交換器の強度については、波形フィンを平板のステーとして、平板及びフィンの強度を算出すること。この場合において、ろう付けの継手効率は、継手についての試験の結果により定めること。

ウ 水圧試験については、次の水圧試験要領及び判定基準により実施すること。

(ア) 被検査容器の各部に水を満たすこと。

(イ) 容器の各部について、低い最高使用圧力を有する部分から順次、次の手順によって水圧試験を行うこと。

[1] 加圧しない各部に水柱計を接続すること。

[2] 加圧装置にて試験圧力まで加圧し、そのままの状態で30分以上保持し、変形、漏えいの有無を確認する。目視にて確認できる変形、漏えいのあるものは、不合格とすること。

[3] 加圧部、隣接部の変形、漏えいの発見には、当該部分に立てられた水柱計を利用すること。

図

58 附則関係

第2項の「現に製造している」及び「現に存する」の意味については、Iの第2の69によること。

 

別表 許容応力表(圧力容器関係) <編注:略>

鉄鋼材料の許容引張応力  (1/4)

鉄鋼材料の許容引張応力  (2/4)

鉄鋼材料の許容引張応力  (3/4)

鉄鋼材料の許容引張応力  (4/4)

 

非鉄金属材料の許容引張応力(胴)

非鉄金属材料の許容引張応力(アルミニウム)

非鉄金属材料の許容引張応力(鉛)

非鉄金属材料の許容引張応力(ニッケル)

非鉄金属材料の許容引張応力(チタン)

 

ボルト材料の許容引張応力  (1/3)

ボルト材料の許容引張応力  (2/3)

ボルト材料の許容引張応力  (3/3)

 

(別添1) 温水用逃がし弁の大きさを求める算式(ボイラー関係)

 温水用逃がし弁(以下「弁」という)の大きさを求める算式は、次の1又は2による。

1. 弁の所要吹出し量から求める場合

図

......................(1)

S:吹出し面積(mm2)

W:弁の所要吹出し量(kg/h)

p1:吹出し量決定圧力(1)(MPa)

 κ:吹出し量決定圧力p1の飽和温度ts℃と弁の入口側の温水の温度t1℃との差Δt℃に対する修正係数で図1による。

γ1:弁の入口側温水の密度(kg/l)で表1による。

図

ただし、式(1)において、(p1+0.1)κMPaの値が、吹出し量決定圧力p1MPaと弁の出口側圧力p2MPaとの差(p1-p2)MPaの値を超える場合は、(p1+0.1)κを(p1-p2)に置き代えて計算する。

注(1) ここでいう吹出し量決定圧力とは、ボイラー構造規格・圧力容器構造規格においては逃がし弁の設定圧力にその10%に相当する値(最小0.034MPa)を加えたものをいう。

備考 温水ボイラーに限っては、温水用逃がし弁は温水の温度が120℃以下の場合に適用される。120℃を超える場合は、ボイラー構造規格第65条第2項により、安全弁を備えなければならない。その大きさはIの第2の43の(1)のウに定められた安全弁の吹出し量を算定する算式から求められる。なお、この場合、ボイラー構造規格第65条第2項により、安全弁の所要吹出し量(kg/h)は次式によって求められる。

W=Q/(h1-h2)

Q:熱出力(kJ/h)

h1:ボイラーの最高使用圧力に相当する飽和蒸気のエンタルピ(kJ/kg)

h2:給水の比エンタルピ(kJ/kg)

2. 圧力容器の熱入力又は温水ボイラーの熱出力から求める場合

図

......................(2)

Q:圧力容器の熱入力又は温水ボイラーの熱出力(kJ/h)

ε:水の体膨張係数で表2による。

C:水の定圧比熱(kJ/kg℃)で表2による。

なお、式(2)において、(p1+0.1)κと(p1-p2)の選択については、式(1)の場合と同じとする。

備考 温水ボイラー用逃がし弁の適用条件は、1の備考による。

(表1)

図

(表2)

図

 

(別添2) 検定水圧試験(圧力容器関係)

(1) 特殊な形状の圧力容器であって、規定により板厚等を算定することができないものについては、次のいずれかに掲げる方法により、算定した圧力を最高使用圧力とする。ただし、この圧力が与えられた最高使用圧力より大きくなった場合、与えられた最高使用圧力を最高使用圧力としてよい。また、ア及びイは、炭素鋼、合金鋼その他の降伏点又は0.2%耐力以下で応力とひずみがおおむね比例する材料であって、規格に定められた降伏点又は0.2%耐力の最小値の規格に定められた引張強さの最小値に対する比が0.625以下であるものを使用した圧力容器に適用するものとする。

ア ひずみ測定試験による場合は、次のいずれかによる。

(ア) 板厚等を算定することができない箇所及び最も弱いと思われる箇所において数個の点を選定し、抵抗線ひずみ計又は0.005%のひずみを測定することができる計測器を取り付け、段階的に水圧力を上昇させてひずみの測定を行い、いずれの点においても0.2%を超える永久ひずみが測定されない状態における水圧力を用いて、次の算式により算定した圧力とする。

[1] 材料の実際降伏点を試験片によって試験した場合

P = 0.5Po×(Ya/Yo)×(σa/σo)×((ta-α)/)ta

[2] 材料の実際降伏点を試験しなかった場合

P = 0.4Po(σa/σo)×((ta-α)/ta

これらの式において、P、Po、Ya、Yo、σa、σo、ta及びαは、それぞれ次の値を表すものとする。

P 最高使用圧力(単位 MPa)

o 0.2パーセントを超える永久ひずみの測定されない状態における水圧力(単位 MPa)

Ya 規格に定められた降伏点の最小値(単位 N/mm2)

Yo 試験片による実際降伏点(単位 N/mm2)

σa 材料の使用温度における許容引張応力(単位 N/mm2)

σo 材料の試験温度における許容引張応力(単位 N/mm2)

ta 板の厚さ(単位 mm)

α 腐れ代(単位 mm)

(イ) 板厚等を算定することができない箇所及び最も弱いと思われる箇所において数個の点を選定し、抵抗線ひずみ計を取り付け、予定する最高使用圧力に相当する水圧力を加えて生ずるひずみを応力に換算して得た値のうち絶対値による最大の値を用いて、次の算式により算定した圧力とする。ただし、PはPoを超えないものとする。

P = (Poσa/σs)×((・ta-α)/ta

この式において、P、Po、σa、σs、ta及びαは、それぞれ次の値を表すものとする。

P、ta及びαそれぞれ(ア)に定められた値

o 予定する最高使用圧力

 σa 材料の使用温度における許容引張応力(最も弱いと思われる箇所に曲げ応力を生ずる場合にあっては、材料の使用温度における許容引張応力に1.5を乗じて得た値)(単位 N/mm2)

σs 当該箇所に生じた応力の最大値(単位 N/mm2)

イ 変形測定試験による場合は、板厚等を算定することができない箇所及び最も弱いと思われる箇所における数個の点間又はこれらと固定点との間にダイヤルゲージ又は0.025mmの変位を測定することができる計測器を取り付け、いずれかの点に永久変形を生ずる水圧力又は圧力変形曲線を描いて加圧時の変形曲線が直線を外れるまでの水圧力を加えて得られた値を用いて、アの算式により最高使用圧力を算定するものとする。ただし、炭素鋼であって規格に定められた引張強さの最小値が490N/mm2以下のものについては、次の算式により算定した圧力とすることができる。

P = 0.5Po×(σ/(σ+34))×(σa/σo)×((ta-α)/ta

この式においてP、Po、σ、σa、σo、ta及びαは、それぞれ次の値を表すものとする。

P、Po、σa、σo、ta及びαそれぞれアの(ア)に定める値

σ 規格に定められた引張強さの最小値(単位 N/mm2)

ウ 破壊試験による場合は、材料、形状及び寸法が最高使用圧力を求めようとする圧力部分と同一の模型に水圧力を加えて破壊させて得られた値を用いて、次のいずれかの算式により算定した圧力とする。

P = 0.2B×(σ/σt)×(σa/σo)×((ta-α)/ta

P = 0.2B×(σ/σm)×(σa/σo)×((ta-α)/ta

これらの式において、P、B、σ、σt、σa、σo、ta、α及びσmは、それぞれ次の値を表すものとする。

P、σa、σo、ta及びαは、それぞれアの(ア)に定める値

B 破壊圧力(単位 MPa)

σ イに定める値

σt 試験片による実際引張強さ(単位 N/mm2)

σm 規格に定められた引張強さの最大値(単位 N/mm2)

(2) 前項の規定にかかわらず、外圧を受ける部分については、予定する最高使用圧力の3倍以上の水圧力を外面に加え、加圧時に甚だしい変形がなく、除圧時に永久変形がない場合には、予定する最高使用圧力を最高使用圧力とする。