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ボイラーの遠隔制御基準等について
平成15年3月31日基発第0331001号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
最終改正 令和4年4月21日基発第0421第3号
遠隔監視室においてボイラーの監視及び制御が行われるボイラーについて、昭和51年2月19日付け基発第211号「ボイラーの遠隔制御について」により、その基準を示していたところであるが、近年におけるボイラーの自動制御装置等の進歩は著しいものがある。このため、今般、これを見直し、遠隔監視室においてボイラーの監視及び制御が行われるボイラーについて、別添1の「ボイラーの遠隔監視室における監視制御についての基準」によることとしたので、これに基づく適切な指導を図られたい。
遠隔監視室において監視及び制御が行われるボイラーについてのボイラー及び圧力容器安全規則第25条の適用については、当該ボイラーがこの基準に適合し、かつ、ボイラー取扱作業主任者が当該ボイラー設置場所又は遠隔監視室において同条各号の事項を行う場合には、同条に適合するものとして取り扱って差し支えない。
なお、昭和51年2月19日付け基発第211号通達により、従来から遠隔監視室において監視及び制御が行われているボイラーにあっては、今回の見直しに基づく設備の改修が行われるまでの間、なお、従前の例によって差し支えない。
また、遠隔監視室を設置していないボイラーについては、近年における監視技術の進歩を踏まえ、ボイラー設置場所以外の場所において監視装置により監視が行われる場合に、その安全を確保することを目的として「ボイラーの監視装置による監視についての基準」を別添2のとおり定めたので、これに基づく適切な指導を図られたい。
さらに、ボイラー及び圧力容器安全規則第25条第2項の所轄労働基準監督署長の認定を受けた自動制御装置を備えたボイラーの安全を確保することを目的として「認定適合自動制御装置を備えたボイラーの点検及び運転に関する基準」を別添3のとおり定めたので、これに基づく適切な指導を図られたい。
昭和51年2月19日付け基発第211号通達は、本通達をもって廃止する。
別添1
ボイラーの遠隔監視室における監視制御についての基準
1 総則
(1) 目的
この基準は、ボイラー設置場所以外の場所に設置された監視室(以下「遠隔監視室」という。)において監視及び制御が行われるボイラーについて、その運転上の安全を確保することを目的とする。
(2) 適用
ア この基準は、遠隔監視室において間接的に監視及び制御が行われるボイラー(以下別添1において「ボイラー」という。)について適用する。
イ 遠隔監視室においてボイラーの監視及び制御を行う場合は、法令により定められたところによるほか、この基準によるものとする。
2 構造等
(1) ボイラー
ア ボイラーの起動装置は、ボイラー設置場所又は遠隔監視室以外に設けないこと。
イ ボイラーには、手動で行うことができる構造のボイラー停止装置をボイラー設置場所に設けること。
ウ ボイラーには、ボイラーの常用圧力を維持する機能を有する自動圧力制御装置を設けること。
エ ボイラーには、ボイラー設置場所において圧力を監視できるようにするほか、遠隔監視室においても圧力を監視することができる機能を有する伝達装置を設けること。
オ ボイラーには、ボイラーの常用水位を維持する機能を有する自動水位制御装置を設けること。
カ ボイラーには、ボイラー設置場所において、水位を監視できるようにするほか、遠隔監視室においても水位を監視することができる機能を有する伝達装置を設けること。
キ ボイラーには、低水位を検出することができる水位検出装置をそれぞれ独立して2個以上設けること。この場合において、そのうちの1個については、当該装置の水位検出部分を水位制御装置の水位検出部分と兼ねることができること。
ク ボイラーには、ボイラー設置場所において、炉内における火炎の有無を監視することができるのぞき窓を設けるほか、遠隔監視室においても火炎の有無を監視することができる機能を有する伝達装置をそれぞれ独立して2個以上設けること。この場合において、そのうちの1個は、燃焼安全装置の火炎検出装置とすることができること。
ケ ボイラーには、ボイラーの水位が安全低水面以下になった場合等ボイラーに異常が発生した場合に、ボイラー設置場所に表示灯が点灯し、かつ、明確に聞きとることができる警報音を発する機能を有する装置を設けるとともに、遠隔監視室にそれを知らせる機能を有する伝達装置を設けること。この場合において、表示灯は異常が回復するまでは点灯の状態を維持するものでなければならないが、警報音を発する機能を有する装置は異常箇所を確認した後手動で停止させることができるものであっても差し支えないこと。
コ ボイラーには、ボイラーの圧力が最高設定圧力を超えた場合、ボイラーの水位が設定低水位以下となった場合等ボイラーに異常が発生した場合に、直ちにバーナへの燃料の供給を確実に、かつ、自動的に阻止することができる機能を有する安全遮断弁を燃料供給管路に直列に2個以上設けること。この場合、軽質油を使用するボイラーで、燃料ポンプを使用するものについては、できる限り、燃料ポンプを自動的に停止させる構造のものとすること。
サ パイロットバーナには、安全遮断弁を燃料供給管路に直列に2個以上設けること。
シ ボイラーには、遠隔監視室においてばい煙の排出状態を監視することができる機能を有する伝達装置を設けること。
ス ボイラーには、必要に応じ、遠隔監視室においてボイラーの排ガスの成分、温度等を監視することができる機能を有する伝達装置を設けること。
セ ボイラーには、必要に応じ、遠隔監視室において押込み通風機出口のドラフト圧等を監視することができる機能を有する伝達装置を設けること。
ソ ボイラーには、遠隔監視室において炉内ドラフトの状態を監視することができる機能を有する伝達装置を設けること。
タ ボイラーには、遠隔監視室において、給水装置の状態、給水タンクの水位、給水ポンプの吸込み口の水温度及び給水流量が正常であるかどうかを監視することができる機能を有する伝達装置を設けること。
チ 油だきボイラーにあっては、遠隔監視室において燃料加熱源、油流量、油温度、油圧力及び噴霧媒体圧力が正常であるかどうかを監視することができる機能を有する伝達装置を設けるほか、サービスタンクの油面の位置が正常であるかどうかを監視することができる機能を有する伝達装置を設けること。
ツ ガスだきボイラーにあっては、遠隔監視室において、ガス配管系統のガス圧力、ガス温度及びガス流量が正常であるかどうかを監視することができる機能を有する伝達装置を設けること。
テ ガスだきボイラーにあっては、必要に応じ、ボイラー設置場所にガス漏れが生じた場合に表示灯が点灯し、かつ、明確に聞きとることができる警報音を発する機能を有する装置を設けるとともに、遠隔監視室にそれを知らせる機能を有する伝達装置を設けること。
この場合において、表示灯はガス漏れが補修されるまでは点灯の状態を維持するものでなければならないが、警報音を発する機能を有する装置はガス漏れ箇所を確認した後手動で停止させることができるものであっても差し支えないこと。
ト バイオマスボイラーにあっては、遠隔監視室において、燃焼状態を監視することができる機能を有する伝達装置を設けること。
(2) 燃焼安全装置
ボイラーには、あらかじめ定められた順序によって、起動し、その後正常な運転ができるよう次に掲げる機能を有する燃焼安全装置を設けること。
ア ボイラーの水位が正常でなければボイラーを起動することができないようにするインターロックを設けること。
イ 点火前にボイラーの燃焼室内燃焼ガス側空間の容積の4倍以上の空気量でプレパージを行うことができる機能を有すること。
ウ バーナへの点火失敗、ボイラー圧力の異常上昇、ボイラー水位の異常低下、断火、操作用動力源の消失等によって、ボイラーの運転に異常が発生した場合に、直ちにバーナ及びパイロットバーナの安全遮断弁を閉止させる等のインターロックを設けること。
エ 燃焼安全装置の安全遮断弁を閉止させる等のインターロックのリセットは、ボイラー設置場所で手動により行う場合に限り行うことができること。
オ 燃焼安全装置のインターロックは、その効力を封じることができるものでないこと。ただし、保守のためやむを得ない部位については、一時的にその効力を封じることができるものであっても差し支えないこと。
カ 燃焼安全装置の安全遮断弁は、バイパス装置を設けたものでないこと。
キ 必要ある場合は、燃料温度、燃料圧力、通風圧力、低燃焼位置、煙道ダンパの開度等が正常でなければボイラーを起動することができないようにするインターロックを行うことができること。
ク 必要ある場合は、通風機の異常停止、通風圧力の異常低下、煙道ダンパの異常閉そく、燃料圧力の異常上昇、燃料圧力の異常低下等によって、ボイラーの運転に異常が発生した場合に、直ちにバーナ及びパイロットバーナの安全遮断弁を閉止させる等のインターロックを設けること。
ケ バイオマスボイラーには、逆火を防止することができる装置を設けること。
(3) ボイラー設置場所
ア ボイラー設置場所には、見やすい箇所に遠隔監視室における監視が行われるボイラーである旨を掲示すること。
イ ボイラー室には、ボイラー室に火災が発生した場合に、明確に聞きとることのできる火災専用の警報音を発する機能を有する装置を設けるほか、遠隔監視室にそれを知らせる機能を有する伝達装置を設けること。ただし、集中火災警報装置が設けられている場合にはこの限りではないこと。
(4) 遠隔監視室
ア 遠隔監視室には、ボイラーの停止を遠隔操作することができる機能を有する装置を設けること。
イ 遠隔監視室には、燃焼安全装置のインターロックの効力を封じることができる機能を有する装置を設けてはならないこと。
ウ 遠隔監視室には、ボイラーの圧力を指示することができる機能を有する装置を設けること。
エ ウの装置には、ボイラーの最高設定圧力及び最高使用圧力を表示すること。
オ 遠隔監視室には、ボイラーの水位を監視することができる機能を有する装置を設けること。
カ オの装置には、ボイラーの設定低水位及び常用水位を表示すること。
キ 遠隔監視室には、ボイラーの火炎の有無を監視することができる機能を有する装置を設けること。
ク 遠隔監視室には、ボイラーの圧力、水位、火炎等について異常が発生した場合に表示灯が点灯し、かつ、明確に聞きとることができる警報音を発する機能を有する装置を設けること。
この場合において、表示灯は異常が回復するまでは点灯の状態を維持するものでなければならないが、警報音を発する機能を有する装置については、確認した後、手動で停止させることができるものであっても差し支えないこと。
ケ 遠隔監視室には、ばい煙の排出状態を監視することができる機能を有する装置を設けること。
コ 遠隔監視室には、必要に応じ、ボイラーの排ガスの成分、温度等を監視することができる機能を有する装置を設けること。
サ 遠隔監視室には、必要に応じ、押込み通風機出口のドラフト圧等を監視することができる機能を有する装置を設けること。
シ 遠隔監視室には、炉内ドラフトの状態を監視することができる機能を有する装置を設けること。
ス 遠隔監視室には、給水装置の状態、給水タンクの水位、給水ポンプ吸込み口の水温度及び給水流量が正常であるかどうかを監視することができる機能を有する装置を設けること。
セ 油だきボイラーの遠隔監視室には、燃料加熱熱源、油流量、油温度、油圧力及び噴霧媒体圧力が正常であるかどうかを監視することができる機能を有する装置を設けるほか、サービスタンクの油面が異常低下又は上昇した場合は表示灯が点灯し、かつ、明確に聞きとることができる警報音を発する機能を有する装置を設けること。この場合において、表示灯は異常が回復するまでは点灯の状態が維持されているものでなければならないが、警報音を発する機能を有する装置については、異常箇所を確認した後手動で停止させることができるものであっても差し支えないこと。
ソ ガスだきボイラーの遠隔監視室には、ガス配管系統のガス圧力、ガス温度及びガス流量が正常であるかどうかを監視することができる機能を有する装置を設けること。
タ ガスだきボイラーの遠隔監視室には、必要に応じ、ボイラー設置場所にガス漏れが生じた場合に、表示灯が点灯し、かつ、明確に聞きとることができる警報音を発する機能を有する装置を設けること。この場合において表示灯は、ガス漏れが補修されるまでは点灯の状態が維持されているものでなければならないが、警報音を発する機能を有する装置については、ガス漏れ箇所を確認した後手動で停止させることができるものであっても差し支えないこと。
チ バイオマスボイラーの遠隔監視室には、燃料の搬送が正常に行われていることを監視することができる機能を有する装置を設けるほか、燃焼状態を監視することができる機能を有する装置を設けること。
ツ 遠隔監視室には、ボイラー室に火災が発生した場合に、明確に聞きとることができる火災専用の警報音を発する機能を有する装置を設けること。ただし、集中火災警報装置が設けられている場合には、この限りでないこと。
3 取扱い
(1) 取扱い一般
ア ボイラーの取扱いは、作業基準に基づいて行うこと。
イ ボイラーの圧力が大気圧まで低下し、かつ温度が周辺の温度まで低下したボイラーを起動する前には、必要に応じて、次に掲げる装置が正常であるかどうかを確認すること。
(ア) 燃焼安全装置
(イ) 自動圧力制御装置
(ウ) 自動水位制御装置
(エ) 警報装置
ウ イの起動前には、次に掲げる系統等が正常であるかどうかを確認すること。
(ア) ボイラー付属品
(イ) 燃料系統
(ウ) 通風系統
(エ) 給水系統
(オ) 操作用動力源
エ ボイラーの起動は、ボイラー設置場所又は遠隔監視室で行うこと。
オ イの起動後は、速やかに燃焼状態及び燃焼装置、給水装置、通風装置等の附属設備が正常であり、ウの系統に異常がないかどうかをボイラー設置場所で確認すること。
カ 遠隔監視室では、ボイラーの圧力、水位及び燃焼状態並びに炉内ドラフトが正常であることを確認するとともに、次に掲げる系統が安全に作動していることを監視すること。
(ア) 燃料系統
(イ) 給水系統
(ウ) 排気系統
キ 遠隔監視室では、必要に応じ次に掲げる事項を監視し、ボイラーの状態を判断すること。
(ア) 給水の流量及び温度並びに給水タンクの水位
(イ) 燃料の流量及び温度
(ウ) 燃料ガスの温度及び圧力
(エ) 押込通風機出口、ボイラー出口等のドラフト圧
(オ) 排ガス中のCO2、O2等の濃度
ク ボイラーの下部から間欠的にボイラー水を吹き出す操作は、ボイラー設置場所で行うこと。
ケ ボイラーの定常停止は、ボイラー設置場所又は遠隔監視室で行うこと。
コ 遠隔監視室でボイラーの異常を認めた場合は、直ちに燃料をしゃ断すること。
サ 燃料の緊急遮断が行われたときは、速やかに、ボイラー設置場所に赴き、バーナの元弁を閉じ、その後主蒸気弁を閉じる等の適切な措置を行うこと。
シ 燃料の緊急遮断が行われたときは、その原因を除去し、かつ、ボイラー設置場所で安全を確認した後でなければ安全装置を復帰させないこと。
(2) 点検
ア ボイラー並びに遠隔監視室に設けられた遠隔監視装置及び遠隔制御装置については、設備の種類に応じ、項目と周期を定めて点検し、その結果を記録すること。
イ ボイラーの運転中は、常時遠隔監視室における監視を行うとともに、ボイラー設置場所でボイラーの状態(特に圧力、水位及び燃焼状態)が正常であるかどうかを1日に1回以上点検すること。
ウ 遠隔監視装置については、ボイラー設置場所に設けられた装置(特に圧力計、水面計、火炎の状態等)と比較し、その機能が正常であるかどうかを1日に1回以上点検すること。
エ 次に掲げる装置は、その機能が確実であるかどうかを、原則として1週間に1回以上点検すること。
(ア) 燃料遮断装置
(イ) 逆火防止機能
(ウ) 圧力スイッチ
(エ) 低水位しゃ断装置
(オ) 火炎検出装置
(カ) 点火装置
(キ) タイマー
(ク) 自動圧力制御装置
(ケ) 自動水位制御装置
(コ) 警報装置
オ 次に掲げる事項については、1年に1回以上点検整備を行うこと。
(ア) 検出部及び検出配管の漏れ、汚損、閉そく、異物の混入等
(イ) 調節計、指示計のゼロ点及びスパン等
(ウ) 空気式計装機器については、制御空気の漏れ、油、ドレンによる内部の汚損、閉そく等
(エ) 電気式計装機器については、電気回路の短絡、端子の緩み、接点の接触不良、絶縁の低下等
(オ) 油圧式計装機器については、作動油の漏れ、劣化、異物の混入、閉そく等
(カ) リンク等の機械部分については、各点の緩み、がた等
(キ) 調節弁、しゃ断弁、電磁弁の弁座の漏れ、作動の円滑さ、機械部分の緩み、がた等
(ク) 火炎警報装置及びガス漏れ警報装置の作動
(3) 遠隔監視室の管理
ア 遠隔監視室には見やすい箇所に、関係者以外の者がみだりに立ち入ることを禁止する旨を掲示すること。
イ 遠隔監視室には、見やすい箇所にボイラー検査証の写し並びにボイラー取扱作業主任者の資格及び氏名を掲示すること。
ウ 遠隔監視室には、必要がある場合のほか、引火しやすいものを持ち込まないこと。
エ 遠隔監視室には、必要な予備品及び修繕用工具類を備えておくこと。
別添2
ボイラーの監視装置による監視についての基準
1 総則
(1) 目的
この基準は、ボイラー設置場所又は遠隔監視室以外の場所において監視装置による監視が行われるボイラーについて、その運転上の安全を確保することを目的とする。
(2) 適用
ア この基準は、監視装置による監視が行われるボイラーであって、ガスだき及び油だきのもの並びにバイオマスボイラー(以下別添2において「ボイラー」という。)について適用する。
イ 監視装置によるボイラーの監視を行う場合には、法令により定められたところによるほか、この基準によるものとすること。
(3) 監視場所
監視装置による監視を行う場所は、ボイラーを設置している事業場内であって、当該ボイラーに異常が発生した場合、直ちにその設置場所に到着して必要な措置を講じることのできる距離内になければならない。
2 構造等
(1) ボイラー
ア ボイラーの起動装置は、ボイラー設置場所以外には設けないこと。
イ ボイラーには、手動で行うことのできる構造のボイラー停止装置をボイラー設置場所に設けること。
ウ ボイラーには、ボイラーの常用圧力を維持する機能を有する自動圧力制御装置を設けること。
エ ボイラーには、ボイラー設置場所において圧力を監視できる機能を有する装置を設けること。
オ ボイラーには、ボイラーの常用水位を維持する機能を有する自動水位制御装置を設けること。
カ ボイラーには、ボイラー設置場所において水位を監視できる装置を設けること。
キ ボイラーには、低水位を検出することのできる水位検出装置をそれぞれ独立して2個以上設けること。この場合において、そのうちの1個については、当該装置の水位検出部分を水位制御装置の水位検出器部分と兼ねることができること。
ク ボイラーの設置場所において炉内の火炎の有無を監視することのできるのぞき窓を設けるほか、火炎検出器2個以上からなる火炎監視装置を設けること。この場合において、そのうちの1個は、燃焼安全装置の火炎検出装置とすることができること。ただし、バイオマスボイラーにあっては、のぞき窓のみ設置すれば足りる。
ケ ボイラーには、ボイラー設置場所で適切な措置を講ずれば運転が継続できる故障のうち次に掲げるもの(以下「軽故障」という。)が発生したときに、ボイラー設置場所に軽故障の内容が識別できる表示灯が点灯し、かつ、ボイラー設置場所で明確に聞き取ることができる警報音を発する機能を有する装置を設けること。
この場合において、表示灯は故障が復旧するまでは点灯の状態を維持するものでなければならないが警報音を発する機能を有する装置は確認した後手動で停止させることができるものであっても差し支えないこと。
(ア) ボイラーの圧力が設定値より高圧力
(イ) ボイラーの水位が設定値より高水位又は低水位
(ウ) ボイラーの給水圧力が設定値より低圧力
(エ) ボイラー燃料供給圧力が設定値より低圧力
(オ) 煙道煙濃度が設定値より高濃度
(カ) 給水ポンプの故障
(キ) 燃料供給装置の故障
(ク) 1個の火炎検出器が作動
コ ボイラー(バイオマスボイラーを除く。以下このコにおいて同じ。)には、運転状態に異常が発生し、当該異常がボイラーを直ちに停止する必要のある故障のうち次に掲げるもの(以下「重故障」という。)が発生したときに、バーナ及びパイロットバーナへの燃料の供給を確実に、かつ、自動的に阻止することのできる機能を有する安全遮断弁を燃料供給管路に直列に2個以上設けること。この場合、軽質油を使用するボイラーで、燃料ポンプを使用するものについては、できる限り燃料ポンプを自動的に停止させる構造のものとすること。
(ア) ボイラーの圧力の異常上昇
(イ) ボイラーの水位の異常低下(水位検出器2個を有するボイラーの場合はそのうちの1個が、水位検出器3個以上を有するボイラーの場合は、そのうちの2個以上が同時に作動した場合)
(ウ) バーナの異常消火(2個以上の火炎検出器が同時に作動した場合)
(エ) 操作用動力源の喪失
(オ) 通風機の停止
(カ) 燃料圧力の異常低下
(キ) 燃料圧力の異常上昇
(ク) パイロットバーナ作動中におけるその燃料圧力の低下
サ バイオマスボイラーには、重故障が発生したときに、燃焼室への燃料及び補助燃料の供給を確実に、かつ、自動的に阻止することのできる装置を設けること。
シ 重故障が発生したときはボイラー設置場所に重故障の内容が識別できる表示灯が点灯し、かつ、ボイラー設置場所で明確に聞き取ることのできる警報音を発する機能を有する装置を設けること。
この場合、表示灯は故障が復旧するまで点灯を維持するものでなければならないが、警報音を発する機能を有する装置は確認後手動で停止させることができるものであっても差し支えないこと。
ス ボイラーには、ばい煙の排出状況を監視することができる機能を有する装置を設けること。
セ ガスだきボイラーには、必要に応じ、ボイラーの設置場所でガス漏れが生じた場合、表示灯が点灯し、かつ、明確に聞きとることができる警報音を発する機能を有する装置を設けること。この場合において、表示灯はガス漏れが補修されるまでは点灯の状態を維持するものでなければならないが、警報音を発生する機能を有する装置は、ガス漏れ箇所を確認した後手動で停止させることができるものであっても差し支えないこと。
ソ バイオマスボイラーには、燃焼状態を監視することができる機能を有する装置を設けること。
タ ボイラーには監視装置に軽故障、重故障、ガス漏れ及び火災を知らせる機能を有する伝達装置を設けること。
チ ボイラーには、緊急停止するための停止装置をボイラー室以外のボイラー監視場所等適切な場所に設けること。
(2) 燃焼安全装置
ボイラーにはあらかじめ定められた順序によって起動し、その後正常な運転ができるよう、次に掲げる機能を有する燃焼安全装置を設けること。
ア ボイラーの水位が正常な状態でなければボイラーを起動することができないインターロックを設けること。
イ 点火前にボイラーの燃焼室内燃焼ガス側空間の容積の4倍以上の空気量でプレパージを行うことができる機能を有すること。
ウ 監視装置の電源が入っていなければ、ボイラーを起動することができないようにするインターロックを設けること。
エ 重故障又はガス漏れが発生したときに直ちにバーナ及びパイロットバーナの安全遮断弁を閉止させる等のインターロックを設けること。
オ 燃焼安全装置の安全遮断弁を閉止させる等のインターロックのリセットは、ボイラー設置場所で手動により行う場合に限り行うことができること。
カ 燃焼安全装置のインターロックは、その効力を封じることができるものでないこと。ただし、保守のためやむを得ない部位については、一時的にその効力を封じることができるものであっても差し支えないこと。
キ 燃焼安全装置の安全遮断弁は、バイパス装置を設けたものでないこと。
ク バイオマスボイラーには、逆火を防止することができる装置を設けること。
(3) ボイラー設置場所
ア ボイラー設置場所には、見やすい箇所に監視装置による監視が行われるボイラーである旨を掲示すること。
イ ボイラー室には、ボイラー室に火災が発生した場合に、明確に聞きとることのできる火災専用の警報音を発する機能を有する装置を設けること。ただし、集中火災警報装置が設けられている場合には、この限りではないこと。
(4) 監視装置
ア 監視装置は、有線、情報端末等を用いた即時情報伝達が可能なものであること。
イ 監視装置は、ボイラーからの軽故障、重故障、ガス漏れ及び火災の情報を受信できる機能を有し、当該情報を受信したときは、明確に聞きとることができる警報音を発するとともに、警報の種類(軽故障、重故障、ガス漏れ及び火災)が確認できる機能を有すること。なお、複数のボイラーを監視する場合、故障が生じたボイラーの識別が容易にできる機能を有すること。
ウ 監視装置は、ボイラー設置場所からの情報伝達に障害が生じたときは、警報音、表示灯等によって確認できる機能を有すること。
エ 監視装置には、燃焼安全装置のインターロックの効力を封じることができる機能を有する装置を設けてはならないこと。
オ 監視装置は、誤って電源を切ることができないような構造とすること。
カ 監視装置には、監視装置の電源の電圧が低下したときは、警報音、表示灯等によって確認できる機能を有すること。
3 取扱い
(1) 取扱い一般
ア ボイラーの取扱いは、作業基準に基づいて行うこと。
イ ボイラーの圧力が大気圧まで低下し、かつ温度が周辺の温度まで低下したボイラーを起動する前には、必要に応じて、次に掲げる装置が正常であるかどうかを確認すること。
(ア) 燃焼安全装置
(イ) 自動圧力制御装置
(ウ) 自動水位制御装置
(エ) 警報装置
ウ イの起動前には、次に掲げる系統等が正常であるかどうかを確認すること。
(ア) ボイラー付属品
(イ) 燃料系統
(ウ) 通風系統
(エ) 給水系統
(オ) 操作用動力源
エ ボイラーの起動は、ボイラーの設置場所で行うこと。
オ ボイラーの起動後、ボイラーの圧力、水位及び燃焼状態等が安定するまでボイラーの設置場所で圧力、水位、燃焼状態を監視すること。
カ ボイラーの監視装置では、ボイラーに軽故障、重故障、ガス漏れ又は火災が発生していないか監視すること。また、運転中は常時、監視装置に情報が受信できるようにしておくこと。
キ ボイラーの定常停止は、ボイラーの設置場所で行うこと。
ク ボイラーの軽故障又は重故障の情報を受信したときは直ちにボイラー設置場所に赴き安全性を確認の上、必要な措置を講じること。
(2) 点検等
ア ボイラー及び警報装置の点検基準を定め、その機能を確認すること。
イ ボイラーの運転中は、常時監視装置による監視を行うとともに、ボイラーの設置場所でボイラーの状態(特に圧力、水位及び燃焼状態)が正常であるかどうかを4時間に1回以上点検すること。
ウ 燃焼安全装置のインターロックの点検基準を定め、定期的にその作動試験を行い機能が正常であることを確認すること。
エ 煙道煙濃度を監視するために、排煙濃度計を使用する場合は、保護ガラスの清掃を行う等により機能を維持すること。
(3)監視装置の管理
ア 監視装置は、管理基準を定め、電源等の異常による機能障害を防止すること。
イ 監視装置は、ボイラーの監視のための専用のものであるとともに、その保管場所を定め関係者以外の者が使用しないよう管理すること。
別添3
認定適合自動制御装置を備えたボイラーの点検及び運転に関する基準
1 総則
(1) 目的
この基準は、ボイラー及び圧力容器安全規則(昭和47年労働省令第33号。以下「ボイラー則」という。)第25条第2項の規定により、ボイラーの運転の状態に係る異常があった場合に当該ボイラーを安全に停止させることができる機能その他の機能を有する自動制御装置であって、機能安全による機械等に係る安全確保に関する技術上の指針(平成28年厚生労働省告示第353号。以下「指針」という。)に適合していると所轄労働基準監督署長が認定したもの(以下「認定適合自動制御装置」という。)を備えたボイラーについて、その運転上の安全を確保することを目的とする。
(2) 適用
ア この基準は、認定適合自動制御装置を備えたボイラー(以下別添3において「ボイラー」という。)について適用する。
イ ボイラーの点検及び運転を行う場合には、法令により定められたところによるほか、この基準によるものとすること。
(3) ボイラー取扱作業主任者の勤務場所等
ア ボイラー取扱作業主任者は、ボイラーに異常が発生したことにより当該ボイラーが自動停止した後に、蒸気等の供給先に対する措置又はボイラーの再起動等を適切に実施するため、少なくとも1時間程度でボイラー設置場所に到達できる場所で勤務すること。
イ 認定適合自動制御装置は、ボイラーの運転の状態に係る異常があった場合に、要求される信頼性の水準(要求安全度水準)で当該ボイラーを安全に停止できる機能を有していると評価されているものであることから、ボイラー取扱作業主任者により、3日に1回以上、ボイラー設置場所でボイラーの状態が正常であるかどうかを点検することが求められること。
2 認定適合自動制御装置の要求安全機能及び要求安全度水準
認定適合自動制御装置の要求安全機能の特定及び要求安全度水準の決定については、指針で定める事項のほか、次に掲げる事項に留意すること。
(1) 指針の3-1によるリスクの解析においては、次に掲げる事項に留意すること。
ア リスク解析の対象となる範囲は、ボイラー則第32条で規定するボイラー本体、燃焼装置、自動制御装置、附属装置及び附属品とすること。
イ リスク解析の対象となる故障には、別添2の2(1)で定める重故障のほか、熱源の種類に応じ、燃料又は廃熱ガス等の供給に起因する故障を含むこと。
(2) 指針の3-2による要求安全機能及び安全関連システムの特定においては次に掲げる事項に留意すること。
ア 指針の3-1のリスク解析の結果により特定された全ての危険事象を防止するために必要な要求安全機能を特定すること。
イ この際、別添2の2(1)及び(2)に定める機能等を参考とすること。
(3) 指針の3-3による要求安全度水準の決定において指針の別紙1による手法を使用する場合、次に掲げる事項に留意すること。
ア 負傷又は疾病の重篤度については、ボイラーの最高使用圧力と内容積の積の大きさ、ボイラーの破裂等の影響の及ぶ範囲にいる労働者及び一般公衆の人数を考慮すること。
イ 危険事象の回避可能性については、破裂等の発生を考慮して決定すること。
ウ 要求安全機能の作動要求確率については、容器の構造上の安全率、安全弁等の機械式の安全装置の信頼性等を考慮すること。
(4) その他、IEC61508、ISO13849又はこれと同等以上の国際規格等に定める事項に留意すること。
3 ボイラーの機能等
ボイラーは、次に掲げる機能等を有するものであること。また、ボイラー設置者は、施錠等により、ボイラーの設置場所に関係者以外が立ち入れない措置を講ずること。
(1) ボイラーの運転の状況に係る異常が発生したとき又はボイラーが自動停止したときに、表示灯の点灯等により異常の内容が識別できる表示機能を有する装置を設けること。この場合、異常が復旧するまで表示が維持されるものでなければならないこと。
(2) 認定適合自動制御装置の機能によって停止した場合、手動により当該装置がリセットされない限り再起動できないものとすること。
(3) 4に掲げる機能を有する情報端末に、次に掲げる事項を知らせる機能を有する装置を設けること。
ア ボイラーの運転の状況に係る異常が発生したこと
イ ボイラーが自動停止したこと
ウ 1時間毎にボイラーが異常なく運転していること
エ 蒸気等の利用側の安全の確保のため、自動停止後に迅速な対応が必要な場合、上記アからウの機能を多重又は並列とすること。
(4) ばい煙の排出状況を監視することができる機能を有する装置を設けること。
(5) 見やすい箇所に、認定適合自動制御装置を備えたボイラーである旨を掲示するとともに、当該ボイラーに係る適合自動制御ボイラー認定証を備え付けること。
4 情報端末の機能等
情報端末は、次に掲げる機能を有すること。
(1) ボイラーの運転の状況に係る異常が発生したこと又はボイラーが自動停止したことを振動、警報音等により周囲に確実に知らせることができること。
(2) 異常が発生した又は自動停止したボイラーの設置場所及び固有識別番号等を特定できること。
(3) 異常が発生した場合にボイラーを情報端末から強制的に停止する機能を設ける場合、当該ボイラーが停止したことを情報端末に知らせる機能をボイラーに設けること。ただし、この機能は、ボイラーの運転を遠隔制御するためのものではないこと。
(4)1時間ごとに、ボイラーが異常なく運転されていることを知らせる通信を受信できること。また、必要に応じ、当該通信が受信できなかった場合に、振動、警報音等によりその旨を周囲に確実に知らせる機能を有すること。
(5)認定適合自動制御装置の機能を停止することができないこと。
(6)認定適合自動制御装置の機能によりボイラーが停止した場合に、情報端末から当該ボイラーを再起動することができないこと。
5 取扱い
(1) 運転要領等の作成
ア ボイラーの取扱い及び点検方法等を定めた運転要領等を作成し、それによって取扱い等を行うこと。
イ 運転要領等には、次に掲げる事項を含むこと。
① ボイラー設置場所での点検の間隔(最大72時間)、運転制御及び安全関連機器の整備・点検の内容
② 水管理等のボイラーの管理に関する事項
③ その他運転管理に必要な事項
(2) 起動時の措置
ア 圧力が大気圧まで低下し、かつ温度が周辺の温度まで低下したボイラーを起動する前には、必要に応じて、次に掲げる装置が正常であるかどうかを確認すること。
① 燃焼安全装置
② 自動圧力制御装置
③ 自動水位制御装置
④ 警報装置
イ 起動前には、次に掲げる系統等が正常であるかどうかを確認すること。
① ボイラー付属品
② 燃料系統
③ 通風系統
④ 給水系統
⑤ 操作用動力源
ウ 起動は、ボイラーの設置場所で行うこと。
エ 起動後、ボイラーの圧力、水位、燃焼状態等が安定するまでボイラーの設置場所で圧力、水位、燃焼状態等を監視すること。
オ 定常停止は、ボイラーの設置場所で行うこと。
(3) 点検等
ア 起動後1時間以内、その後は72時間以内ごとに、ボイラー取扱作業主任者により、ボイラー設置場所でボイラーの状態が正常であるかどうか点検すること。
イ 認定適合自動制御装置の認定を受けた者の定める方法及び頻度で認定適合自動制御装置を点検すること。
ウ 煙道煙濃度を監視するために、排煙濃度計を使用する場合は、保護ガラスの清掃を行う等により機能を維持すること。
(4) 情報端末の管理
ア ボイラー取扱作業主任者は、ボイラー運転中に常時、情報端末を携帯する又は情報端末を設置した場所に常駐すること。シフト制勤務とする場合は、交代の際に、情報端末を確実に引き継ぐこと。
イ 情報端末を携帯する者は、次に掲げる事項を実施すること。
① 情報端末の通信が無線による場合は、電波を受信可能な場所で勤務すること。
② 1時間ごとに、情報端末を確認し、ボイラーの運転状況を確認すること。ただし、情報端末が、1時間ごとのボイラーからの通信が受信できなかった場合に、振動、警報音等によりその旨を周囲に確実に知らせる機能を有する場合はこの限りでないこと。
③ 適切な頻度で情報端末の電池の充電状況を確認し、必要な充電を行うこと。