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じん肺法施行規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について〔じん肺法〕
平成15年1月20日基発第0120003号
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
じん肺法施行規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成15年厚生労働省令第2号)が平成15年1月20日に公布され、じん肺法施行規則の一部改正関係については平成15年4月1日から施行、労働安全衛生規則の一部改正関係については公布日から施行されることとなったところである。
ついては、下記の事項に留意の上、その運用に遺漏のないよう期されたい。
記
第1 改正の概要
1 改正じん肺法施行規則の概要について
(1) じん肺の合併症への原発性肺がんの追加
じん肺の合併症に「原発性肺がん」を追加したこと。
(2) じん肺有所見の労働者に対する肺がんに関する検査の実施
じん肺管理区分が管理2又は管理3の労働者に対する年1回の肺がんに関する検査(胸部らせんCT検査及び喀痰かくたん細胞診)の実施を事業者に義務付けたこと。
2 改正労働安全衛生規則の概要について
(1) じん肺有所見の離職者に対する健康管理手帳の交付
粉じん作業に係る健康管理手帳の交付対象をじん肺管理区分が管理3の者から管理2又は管理3の者に拡大したこと。
第2 改正の内容
1 じん肺法施行規則(昭和35年労働省令第6号)の一部改正
(1) 第1条関係
じん肺法(昭和35年法律第30号)第2条第1項第2号の合併症として、「原発性肺がん」を追加したこと。
(2) 第7条関係
「原発性肺がん」に関する検査として実施する検査(以下「肺がんに関する検査」という。)は、第2号の「たんに関する検査」においては「喀痰かくたん細胞診」、第3号の「エックス線特殊撮影による検査」においては「胸部らせんCT検査」をいうものであること。
(3) 第8条関係
原発性肺がんにかかっていると診断された者については、じん肺法施行規則第1条第1号から第5号の合併症にかかっていると診断された者と同様、肺機能検査を免除することとしたこと。
(4) 第10条及び第11条関係
常時粉じん作業に従事させたことのある労働者で、現に粉じん作業以外の作業に常時従事しているもののうち、じん肺管理区分が管理2である労働者について、事業者が労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第44条又は第45条の規定に基づき、1年以内ごとに1回行う一般健康診断において、肺がんにかかっている疑いがないと診断されたとき以外のときは、事業者はじん肺法施行規則第11条第2号の規定に基づき定期外のじん肺健康診断として、肺がんに関する検査を実施することとしたこと。
この場合、事業者は、じん肺法第3条第1項及び第2項の検査を実施する義務を負わないことから、じん肺法第12条に基づくエックス線写真等の都道府県労働局長への提出は不要であること。
(5) 様式第3号関係
様式第3号(じん肺健康診断結果証明書)に「喀痰かくたん細胞診」の欄を追加するとともに、エックス線特殊撮影の欄を整備したこと。
また、備考として、たんに関する検査及びエックス線特殊撮影による検査以外の検査を省略したときは、当該省略した検査に係る欄の記入を要しないことを欄外に明記したこと。
(6) 様式第8号(表面)関係
様式第8号(じん肺健康管理実施状況報告)(表面)について、「定期外健康診断」の欄に「(ハ)のうち肺がんに関する検査の実施」の項目を追加、また、「じん肺管理区分が管理2又は管理3である労働者で、じん肺法施行規則第1条各号に掲げる合併症により、本年中に療養を開始したものの数」の欄に「6号」の項目を追加する等様式を変更したこと。
(7) その他
肺結核以外の合併症が原発性肺がんの場合には、じん肺法第3条第3項中「肺結核以外の合併症にかかっている疑いがあると診断された者」とは、原発性肺がんにかかっている疑いがないと診断された者以外の者を指すものとすること。
2 労働安全衛生規則の一部改正
(1) 第53条第1項関係
健康管理手帳の交付要件のうち粉じん作業に係るものとして、じん肺管理区分が管理2である者を追加したこと。
(2) 様式第8号(2)関係
健康管理手帳の交付要件として、じん肺管理区分が管理2である者を追加したことに伴い、様式第8号(2)(健康管理手帳(じん肺))の4頁の「じん肺の経過」に備考欄を設けるとともに、5頁以降の頁(最後の頁を除く。)に「らせんCT」及び「喀痰かくたん細胞診」の欄を追加したこと。
(3) 様式第9号(2)関係
健康管理手帳の交付要件として、じん肺管理区分が管理2である者を追加したことに伴い、様式第9号(2)(健康管理手帳による健康診断実施報告書(じん肺))に「じん肺管理区分」及び「喀痰かくたん細胞診」の欄を追加するとともに、エックス線特殊撮影の欄を変更したこと。
(4) その他
じん肺に係る健康管理手帳所持者に対する健康診断の実施項目等については、別途通達により示すこととしていること。
3 その他
上記1及び2については、その内容の円滑な施行を図るため、管内の事業場等に対し、様々な機会をとらえて周知徹底を図ること。
第3 労災補償関係
1 業務上疾病の範囲
じん肺管理区分が管理2、管理3又は管理4と決定された者(石綿肺の所見がある者を除く。以下同じ。)に発生した原発性肺がんは、平成15年4月1日以降、労働基準法施行規則別表第1の2第5号に掲げる業務上の疾病として取り扱うこと。
2 認定の手続
(1) じん肺管理区分が管理2又は管理3と決定された者から原発性肺がんに係る労災保険給付の請求があった場合には、昭和53年4月28日付け基発第250号の記の第4の2の(2)と同様に、じん肺管理区分決定通知書又はその写し、粉じん職歴、じん肺管理区分決定の根拠となったじん肺健康診断結果等を確認の上、合併症に係る審査を行い、じん肺に合併した疾病が原発性肺がんと認められる場合は、その症状確認日(医師による診断確認日)に発症したものとして所定の事務処理を行うこと。
(2) じん肺管理区分が管理1と決定された者又はじん肺管理区分の決定を受けていない者から原発性肺がんに係る労災保険給付の請求があった場合は、原発性肺がんの症状確認日以前のエックス線写真を用いて、じん肺法第15条第1項の規定によるじん肺管理区分決定申請(以下「随時申請」という。)を行うよう指導し、当該随時申請による管理区分の決定を待って事務処理を行うこと。
なお、この場合において、労働者が死亡し、又は重篤な疾病にかかっている等のため、随時申請を行うことが不可能又は困難であると認められるときは、可能な範囲で資料等の収集を図り、地方じん肺診査医に対し、当該労働者のじん肺の進展度等に関する総合的な判断を求め、その結果に基づき原発性肺がんの症状確認日以前のじん肺管理区分が管理2、管理3又は管理4に相当すると認められる者については上記2の(1)と同様に取り扱って差し支えないこと。
3 その他
平成14年11月11日付け基発第1111001号は、平成15年3月31日をもって廃止する。