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通達:労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について

 

労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行について

平成13年4月25日基発第402号

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

最終改正 平成26年1月10日基発0110第1号

 

労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成13年厚生労働省令第120号。以下「改正省令」という。)は、本日公布され、同年6月1日から施行されることとされたところである。

今回の改正内容は、ダイオキシン類対策特別措置法施行令(平成11年政令第433号)別表第1第5号に掲げる廃棄物焼却炉を有する廃棄物の焼却施設(以下「廃棄物の焼却施設」という。)において焼却炉等の運転、点検等作業及び解体作業に従事した労働者の中から高濃度の血中ダイオキシン類が検出された事案を踏まえ、廃棄物の焼却施設における労働者のダイオキシン類ばく露防止対策の徹底を図ることとしたものである。

ついては、特に下記の事項に留意し、今回の改正の趣旨を十分に理解するとともに、改正後の労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「令」という。)の関係者への周知を図るなど、その運用に遺漏なきを期されたい。

 

第1 改正の要点

わが国のダイオキシン類対策については、平成11年にダイオキシン類による環境汚染の防止やその除去等を図り、国民の健康を保護することを目的としたダイオキシン類特別措置法(平成11年法律第105号)が制定されている。

このような中で、今般制定された改正省令は、廃棄物の焼却施設における焼却炉等の運転、点検等作業及び解体作業に従事する労働者のダイオキシン類によるばく露防止措置として以下の事項について新たに規定を設けることとしたものである。

なお、本通達において用いられている「ダイオキシン類」とは、ポリ塩化ジベンゾフラン、ポリ塩化ジベンゾ―パラ―ジオキシン及びコプラナーPCBをいうものである。

1 廃棄物の焼却施設においてばいじん及び焼却灰その他の燃え殻を取り扱う業務に係る作業、廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の保守点検等の業務に係る作業(これら2つの作業を以下「運転、点検等作業」という。)及び廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の解体等の業務及びこれに伴うばいじん及び焼却灰その他の燃え殻の取扱いの業務に係る作業(以下「解体作業」という。)を、労働安全衛生法第59条第3項の規定に基づく特別教育の対象としたこと(令第36条、第592条の7関係)。

2 事業者が仕事の開始前に所轄労働基準監督署長に計画を届出なければならない仕事として、火格子面積が2平方メートル以上又は焼却能力が1時間当たり200キログラム以上の廃棄物焼却炉を有する廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の解体等の仕事を加えたこと(令第90条関係)。

3 事業者は、運転、点検等作業の業務を行う作業場について、6か月以内ごとに1回、定期に、空気中のダイオキシン類の濃度を測定しなければならないものとしたこと。また、解体作業を行うときは、当該作業を開始する前に設備の内部に付着した物に含まれるダイオキシン類の含有率を測定しなければならないこととしたこと(令第592条の2関係)。

4 事業者は、解体作業を行う時は、設備の内部に付着したダイオキシン類を含む物の除去を行った後に行わなければならないこととしたこと(令第592条の3関係)。

5 事業者は、廃棄物の焼却施設におけるばいじん等の取扱いの業務に係る作業及び解体作業を労働者に行わせる場合は、ダイオキシン類を含む物の発散源を湿潤な状態のものとしなければならないこととしたこと(令第592条の4関係)。

6 事業者は、運転、点検等作業又は解体作業を労働者に行わせる場合は、ダイオキシン類の濃度又は含有率の測定の結果に応じて、当該作業に従事する労働者に適切な保護具を使用させなければならないものとしたこと。また、労働者は、保護具の使用を命じられたときは、当該保護具を使用しなければならないこととしたこと(令第592条の5関係)。

7 事業者は、運転、点検等作業又は解体作業を行うときは、当該作業の指揮者を定め、その者に作業を指揮させるとともに、付着物の除去、発散源の湿潤状態及び保護具の適切な装着の点検等を行わせなければならないこととしたこと(令第592条の6関係)。

 

第2 細部関係

1 令第36条関係

特別教育を必要とする業務は、廃棄物の焼却施設において行われる次の(1)から(3)に掲げる業務であること。

(1) 廃棄物の焼却施設におけるばいじん及び焼却灰その他の燃え殻の取扱いの業務。

具体的には、次の作業をいうものであること。

ア 焼却炉、集じん機等の内部で行う灰出しの作業

イ 焼却炉、集じん機等の内部で行う設備の保守点検等の作業前に行う清掃等の作業

ウ 焼却炉、集じん機等の外部で行う焼却灰の運搬、飛灰(ばいじん等)の固化等焼却灰及び飛灰等を取り扱う作業

エ 焼却炉、集じん機等の外部で行う清掃等の作業

オ 焼却炉、集じん機等の外部で行う(1)のア及びイの作業の支援及び監視等の作業

(2) 廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の保守点検等の業務。

具体的には、次の作業をいうものであること。

ア 焼却炉、集じん機等の内部で行う設備の保守点検等の作業

イ 焼却炉、集じん機等の外部で行う焼却炉、集じん機その他の装置の運転、保守点検等の作業

ウ 焼却炉、集じん機等の外部で行う(2)のアの作業の支援、監視等の作業

ただし、保守点検等に伴い、ばいじん及び焼却灰その他の燃え殻等を取り扱う場合は、上記(1)の作業に該当するものであること。

(3) 廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の解体等の業務及びこれに伴うばいじん焼却灰その他の燃え殻の取扱いの業務。

具体的には、次の作業をいうものであること。

ア 廃棄物焼却炉、集じん機、煙道設備、排煙冷却設備、洗煙設備、排水処理設備及び廃熱ボイラー等の設備の解体又は破壊の作業(当該設備を設置場所から他の施設に運搬して行う当該設備の解体又は破壊の作業を含む。)

イ 上記アに係る設備の大規模な撤去を伴う補修・改造の作業

ウ 上記ア及びイの作業に伴うばいじん及び焼却灰その他の燃え殻を取り扱う作業

ただし、耐火煉瓦の取替え等、定期的に行う点検補修作業で大規模な撤去を伴わない作業については、上記(2)の作業に該当するものであること。

なお、①ガラス等により隔離された場所において遠隔隔作で行う作業、②密閉系で灰等をベルトコンベア等で運搬するのを監視する作業等、焼却灰及び飛灰に労働者がばく露することのない作業については、上記(1)、(2)及び(3)に該当しないものであること。

2 令第592条の2関係

運転、点検等作業を行う作業場について、空気中のダイオキシン類の濃度の測定は、平成13年4月25日付け基発第401号「廃棄物焼却施設内作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策について」で示した「廃棄物焼却施設内作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策要綱(以下「対策要綱」という。)」の第3の2の(2)のアに示す方法によること。

3 令第592条の5関係

運転、点検等作業及び解体作業に労働者を従事させるときの保護具の選定に当たっては、対策要綱の第3の1の(6)のイに示すところによること。

 

第3 経過措置等

令第90条第5号の3の仕事であって、平成13年8月1日前に開始されるものについては、労働安全衛生法第88条第4項の規定は適用されないものであるが、同日前であっても、可能な限り届出を行うよう指導すること。