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通達:粉じん障害防止規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行及び関係告示の適用等について

 

粉じん障害防止規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行及び関係告示の適用等について

平成10年3月25日基発第128号

(都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達)

 

粉じん障害防止規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成一〇年労働省令第一〇号。以下「改正省令」という。)並びに平成一〇年労働省告示第二九号(粉じん障害防止規則第一一条第五号の規定に基づき労働大臣が定める要件を定める件の一部を改正する件)、平成一〇年労働省告示第三〇号(粉じん障害防止規則第一一条第二項第四号の規定に基づき労働大臣が定める要件を定める件)、平成一〇年労働省告示第三一号(粉じん障害防止規則第一二条第一項の規定に基づき労働大臣が定める要件を定める件)及び平成一〇年労働省告示第三二号(粉じん障害防止規則第一二条第二項の規定に基づき労働大臣が定める要件を定める件)は、本日公布され、それぞれ同日から施行又は適用された。

プッシュプル型換気装置については、近年の技術の進歩とともにその設計、施工技術が確立され、局所排気装置と同等以上の性能を確保することが可能となってきている。

本改正は、一定の要件を具備するプッシュプル型換気装置について、粉じんの発散を防止するための設備としての有効性が確認されたことを踏まえ、粉じん障害防止規則(昭和五四年労働省令第一八号。以下「粉じん則」という。)において、局所排気装置と同様に特定粉じん発生源等に対する措置の一つとして位置付けるとともに、労働安全衛生規則(昭和四七年労働省令第三二号。以下「安衛則」という。)についても所要の整備を行ったものである。

ついては、下記の事項に留意して、その運用に遺漏なきを期されたい。

 

第一 改正省令関係

1 粉じん則関係

(1) 第一〇条関係

第二項の「除じん装置」は、吸込み側フードから吸引された粉じんを含む空気を除じんするためのものであることから、排気側に設けられているものをいうものであること。

(2) 第一二条関係

局所排気装置については、改正前の粉じん則第一二条においては「有効に稼働させなければならない」こととされていたところであるが、今回の省令の改正に伴い、稼働の要件を労働省告示で定めることにより明確化することとしたこと。

(3) 第一七条関係

第二項第二号ホの「送気、吸気及び排気の能力」の検査に当たっては、平成一〇年労働省告示第三〇号(粉じん障害防止規則第一一条第二項第四号の規定に基づき労働大臣が定める要件を定める件)に示されている要件を満たしていることを確認しなければならないこと。

(4) 第二七条関係

別表第三第六号に規定するタンク、船舶、管、車両等の内部における作業、同表第八号に規定する乾燥設備の内部に立ち入る作業、同表第九号に規定する乾燥設備の内部に立ち入る作業又はかまの内部に立ち入る作業及び同表第一〇号に規定する炉の内部に立ち入る作業については、プッシュプル型換気装置の設置が有効な措置とはならないことから、第一項ただし書の規定により呼吸用保護具の使用を免除されることはないこと。

なお、粉じんの発生源を密閉する設備又は局所排気装置の設置、粉じんの発生源を湿潤な状態に保つための設備の設置等については、従来からの取扱いを変更するものではないこと。

2 安衛則関係

(1) 様式第二六号(別表第七関係)関係

イ 「プッシュプル型換気装置の型式等」の欄の「気流の向き」は、アーク溶接作業における定盤等の作業台を有するプッシュプル型換気装置であって、労働者の呼吸域及びそれより高い位置で気流が床面におおむね垂直に下降する気流は、「下降流」に分類されるものであること。

ロ 「プッシュプル型換気装置の設計値」及び「設計ファン等の仕様」については、「給気側」の欄に送風機及びそれを駆動する電動機に係る事項を、「排気側」の欄に排風機及びそれを駆動する電動機に係る事項を記載するものであること。

3 改正省令附則関係

(1) 施行期日等

上記改正内容は、公布の日から施行されるものであること。

(2) 経過措置

イ 改正省令の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例によること。

ロ 改正省令の施行日前において設置されている設備であって、平成一〇年労働省告示第三〇号(粉じん障害防止規則第一一条第二項第四号の規定に基づき労働大臣が定める要件を定める件)に規定する密閉式プッシュプル型換気装置又は開放式プッシュプル型換気装置の要件に適合するもの(粉じん作業に係るものに限る。)は、改正省令に規定するプッシュプル型換気装置に該当するものであること。したがって、当該設備を改正省令の施行日以後に粉じん則第四条又は第二七条ただし書に規定するプッシュプル型換気装置として使用する場合は、労働安全衛生法(昭和四七年法律第五七号)第八八条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)の規定による計画の届出を行う必要があること。

ハ 改正省令の施行日前において粉じん則第四条又は第二七条に規定する局所排気装置(昭和五四年労働省告示第六七号(粉じん障害防止規則第一一条第五号の規定に基づき労働大臣が要件を定める件)に規定する囲い式フードを有するものに限る。)に該当するものであって、改正省令の施行日以後に平成一〇年労働省告示第三〇号(粉じん障害防止規則第一一条第二項第四号の規定に基づき労働大臣が定める要件を定める件)に規定する密閉式プッシュプル型換気装置の要件に適合させて使用するものは、改正省令に規定するプッシュプル型換気装置に該当するものであること。したがって、当該設備を改正省令の施行日以後に粉じん則第四条又は第二七条ただし書に規定するプッシュプル型換気装置として使用する場合は、労働安全衛生法第八八条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)の規定による計画の届出を行う必要があること。

 

第二 平成一〇年労働省告示第三〇号(粉じん障害防止規則第一一条第二項第四号の規定に基づき労働大臣が定める要件を定める件)関係

1 第一号関係

(1) 第一号ロの「粉じん発生源にできるだけ近い位置に吸込み側フードを設けること等」の「等」には、例えば、粉じんの発生源から吸込み側フードまでの間に柵等を設けて立入禁止措置を講ずることが含まれること。

(2) 第一号ハの「気流の方向に垂直な平面」の範囲は、ブース内に限られるものであること。

2 第二号関係

(1) 開放式プッシュプル型換気装置のうち、吹出し側フードの開口部と吸込み側フードの開口部が対面し、これらの間において捕捉気流の向きが変わらないものにあってはイに掲げる要件、それ以外のものにあってはロに掲げる要件を満たすものであること。

(2) 第二号イ(4)の「気流の方向に垂直な平面」の範囲は、換気区域内に限られるものであること。

なお、ここでいう「下降気流」とは、吹出し側フードの開口部から発生した気流が床面におおむね垂直に下降するものをいうこと。したがって、気流が床面に対して斜めに下降する斜降流により発生する気流、及びアーク溶接作業における定盤等の作業台を有するもので、労働者の呼吸域及びそれより高い位置で気流が床面におおむね垂直に下降しない気流は、下降気流に含まれないものであり、「吸込み側フードから最も離れた位置の粉じん発生源を通り、かつ、気流の方向に垂直な平面」が存在することが必要であること。

(3) 第二号イ(5)の要件は、換気区域内に作業の対象物が通常の作業位置にあり、かつ、作業者が通常の作業を行っている場合であっても満たすものであること。

(4) 第二号ロ(2)の「換気区域」を定めるための気流の確認は、周辺に作業の対象物、作業台等が通常の作業位置にある状態で行うこと。この場合の確認は、スモークテスター等の発煙体を用いて気流を可視化することにより測定するほか、あらかじめ同じ装置により得られた測定結果を用いる方法があること。

なお、当該換気区域については、安衛則様式第二六号の「吹出し側フード、吸込み側フード及びブースの構造を示す図面」を作業場内の見やすい場所に掲示すること等により作業に従事する労働者に周知させるよう指導すること。