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通達:有機溶剤中毒予防規則に基づく局所排気装置特例稼働許可等について

 

有機溶剤中毒予防規則に基づく局所排気装置特例稼働許可等について

平成9年8月1日基発第546号

(都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達)

改正 平成20年3月27日基発第0327001号

有機溶剤中毒予防規則第18条の3第1項の規定に基づく所轄労働基準監督署長の許可及び同条第6項の規定に基づく当該許可の取消しについては、平成9年3月25日付け基発第193号「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令の施行について」の記のIVの第2の5において別途定める要領により処理することとしていたが、今般、当該処理について、別添の「局所排気装置特例稼働許可等要領」を定めたので、その運用に遺憾のないようにされたい。

 

別添

局所排気装置特例稼働許可等要領

1 許可対象

許可の対象は、有機溶剤中毒予防規則(以下「有機則」という。)第28条第1項の業務を行う作業場に設置された局所排気装置とする。

なお、当該作業場に複数の局所排気が設置されている場合は、これらの局所排気装置をまとめて一の許可の対象として取り扱って差し支えない。

2 申請書類

局所排気装置特例稼働の許可を受けようとする者から次の書類を所轄労働基準監督署長に提出させること。

(1) 局所排気装置特例稼働許可申請書(有機則第18条の2第1項第1号イ及びロの確認結果を示す写真、記録等のほか、申請に係る局所排気装置に空気清浄装置を設けていない場合であって、かつ、排気口の高さが屋根から1.5m以下である場合は、特例制御風速で稼働したときに、有機則第15条の2第2項ただし書きの規定に適合することを示す書面を含む。)

(2) 申請に係る作業場(申請に係る局所排気装置のフードが設置されているすべての作業場をいう。以下同じ。)の見取図

(3) 申請前1年6月間に行った申請に係る作業場に係る作業環境測定結果報告書(有機則第28条第2項及び労働安全衛生法第65条第5項の規定による測定の結果及び有機則第28条の2第1項の規定による測定の結果の評価を記載したもの)の写し

(4) 特例制御風速で当該局所排気装置を稼働させた場合の申請に係る作業場の有機溶剤の濃度の測定(以下「特例制御風速濃度測定」という。)の結果及び当該測定の結果の評価を示した測定結果報告書(以下「特例制御風速濃度測定結果報告書」という。)の写し

(5) 労働安全衛生法第88条第1項又は第2項の規定による当該局所排気装置の計画の届出(以下「計画届」という。)の写し

(6) 申請前2年間に行った当該局所排気装置に係る有機則第20条第2項に規定する定期自主検査(以下「定期自主検査」という。)の結果の記録の写し

3 許可基準

申請書類等により次の事項のいずれにも適合することが確認できる場合は、許可するものとする。

(1) 申請に係る作業場の作業環境測定(申請前1年6月間に行ったもの)、特例制御風速濃度測定及びこれらの結果等については、次の要件を満たしていること。

イ 当該作業環境測定及び特例制御風速濃度測定は、作業環境測定士が作業環境測定基準(昭和51年労働省告示第46号)に従って実施したものであること。

ロ 当該作業環境測定結果及び特例制御風速濃度測定の結果は、作業環境評価基準(昭和63年労働省告示第79号)に従って評価され、当該評価がすべて第1管理区分に区分されていること。

ハ 提出された作業環境測定結果報告書及び特例制御風速濃度測定結果報告書は、モデル様式(平成8年2月20日付け基発第72号「作業環境測定の記録のモデル様式の改正について」により定めたモデル様式をいう。)等により必要な事項が記載されていること。

ニ 当該作業環境測定は、申請前1年6月間、6月以内ごとに1回、定期に実施されていること。

(2) 申請に係る作業場の有機溶剤業務において、作業環境測定結果報告書に記載された有機溶剤を除く第1種有機溶剤等及び第2種有機溶剤等に係る有機溶剤業務がないこと。

(3) 申請に係る局所排気装置が、鉛中毒予防規則(以下「鉛則」という。)、特定化学物質等障害予防規則(以下「特化則」という。)又は粉じん障害防止規則(以下「粉じん則」という。)の規定により設けられているものでないこと。

(4) 申請に係る局所排気装置のすべてのフードについて、平成9年3月25日付け基発第193号「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令の施行について」(以下「施行通達」という。)の記のIVの第2の4の(2)<有機則第18条の2解釈例規参照>に掲げた者に有機則第18条の2第1項第1号イ及びロの確認を行わせていること。

(5) 申請に係る局所排気装置にインバータが設置され、法定の制御風速及び特例制御風速のいずれにおいても、これらの制御風速が安定していることを、施行通達の記のIVの第2の4の(3)に掲げたところにより、確認していること。

(6) 申請に係る局所排気装置のすべてのフードの特例制御風速が0.2m/s以上であって、施行通達の記のIVの第2の4の(4)に掲げた位置で、有機溶剤の蒸気を吸引できることを、施行通達の記のIVの第2の4の(5)に掲げたところにより、確認していること。

(7) 申請に係る局所排気装置に空気清浄装置が設けられておらず、かつ、排気口の高さが屋根から1.5m以下である場合は、特例制御風速で稼働したとき、有機則第15条2第2項ただし書の規定に適合していること。

(8) 申請に係る局所排気装置について、計画届が労働安全衛生法に基づき提出されており、申請書に記載されていないフード及び計画届に記載されていないフードが設置されていないこと。

(9) 申請前2年間、申請に係る局所排気装置の定期自主検査が局所排気装置の定期自主検査指針(平成20年3月27日付け自主検査指針公示第1号。以下「検査指針」という。)に基づき適切に行われ、   当該検査で有機則第16条第1項に定める制御風速以上の能力を有していることを確認していること。

4 申請等に係る指導事項

(1) 申請に当たり、次の事項について確認し、必要な指導を行うこと。

イ 申請に係る作業環境測定結果報告書及び特例制御風速濃度測定結果報告書は、モデル様式に定められた所要事項が適切に記載されていること。

ロ 申請に係る局所排気装置が設置されている作業場に他の局所排気装置が設置されている場合であって、他の局所排気装置について局所排気装置稼働特例許可申請を行わないときは、当該他の局所排気装置について計画届、定期自主検査、制御風速の設定等が労働安全衛生関係法令に定めるところにより行われていること。

ハ 作業環境測定及び特例制御風速濃度測定を行った作業環境測定機関は、有機溶剤に関する作業環境測定統一精度管理事業(平成7年6月20日付け基発第393号「作業環境測定機関の統一精度管理事業の実施について」の事業をいう。)に参加していること。

(2) 許可に当たり、次の事項について指導を行うこと。

イ 有機則第18条の3第4項の規定に基づき、事業者は、当該許可に係る作業場について有機則第28条第2項の作業環境測定及び有機則第28条の2第1項の規定による当該測定の結果の評価を行ったときは、その都度、様式第1号にモデル様式の作業環境測定結果報告書(作業環境測定結果記録表を含む。)の写しを添付して所轄労働基準監督署長に報告しなければならないこと。

ロ 事業者は、イの評価が第1管理区分でなかったとき、直ちに局所排気装置の制御風速を特例許可を受ける前の制御風速に戻すこと。

ハ 有機則第18条の3第5項の規定に基づき、事業者は、2の(1)の申請書、2の(2)の作業場の見取図及び2の(5)の計画届に記載された事項に変更が生じたときは、遅滞なく、様式第2号によりその旨を所轄労働基準監督署長に報告すること。ただし、許可を受けた局所排気装置について、主要構造部分を変更しようとするときは、計画届の際に様式第2号を添付すれば足りること。

ニ 台風、強風等の場合、有機溶剤作業の開始前に、有機溶剤の蒸気が吸引できることをスモークテスタにより確認し、インバータの調整により、常に特例制御風速以上となることを確保すること。

ホ 定期自主検査は、検査指針に基づき検査すること。この場合において、吸気及び排気の能力については、有機則第16条の制御風速以上及び特例制御風速で安定的な風速が得られることを判定基準とすること。

ヘ 事業者は、許可を受けた局所排気装置について、フードごとの見やすい場所に、当該フードの特例制御風速の値を表示すること。

5 報告に伴う措置

所轄労働基準監督署長は、有機則第18条の3第4項又は第5項の報告を受けたとき、次のとおり処理すること。

イ 有機則第18条の3第4項の報告を受けたときは、モデル様式により所要事項が記載されている作業環境測定結果報告書が添付されていることを確認すること。この場合において、6の許可取消し基準に該当するときは、遅滞なく当該許可を取り消すこと。

ロ 有機則第18条の3第5項の報告を受けたときは、所要事項が記載され、必要に応じ、作業環境測定結果報告書等が添付されていることを確認すること。この場合において、6の許可取消し基準に該当するときは、遅滞なく当該許可を取り消すこと。

6 許可取消し基準

監督、指導、報告等により、当該許可に係る局所排気装置について次のいずれかに該当すると認めた場合は、遅滞なく当該許可を取り消すものとする。

(1) 当該許可に係る作業場についての作業環境測定の結果の評価が第1管理区分でなかったとき。

(2) 当該許可に係る作業場についての作業環境測定の結果の評価が第1管理区分を維持できないおそれがある次のいずれかに該当すると認めたとき

イ 当該作業場の配置等の変更に伴い、次のことが生ずるとき

(イ) 当該局所排気装置のフード周辺の作業場レイアウトの大幅な変更があったとき(当該変更後においても、施行通達の記のIVの第2の4の(2)に掲げた者による有機則第18条の2第1項第1号イ及びロの確認を行い、かつ、申請に係る作業場の作業環境測定結果が第1管理区分に該当することを事業者が示した場合を除く。)

(ロ) 有機溶剤の消費量が申請書の記載されている量の3割以上増加したとき又は取扱い有機溶剤の種類を管理濃度が低いものに変更したとき(当該変更後においても、申請に係る作業場の作業環境測定結果が第1管理区分に該当することを事業者が示した場合を除く。)

(ハ) 電動機及びファンの能力の変更、ダクトの長さの延長、フードの増設、フードの形状の変更等を行ったとき(施行通達の記のIVの第2の4の(2)に掲げた者により、有機則第16条の制御風速及び特例制御風速のいずれで稼働させた場合でも電動機及びファンに異常がなく、かつ、安定的な風速を維持することを確認したことを事業者が示した場合を除く。)

(ニ) 当該局所排気装置を、鉛則、特化則又は粉じん則の規定により設けなければならないこととされている作業に用いるとき

ロ 当該局所排気装置に係る計画届又は有機則第18条の3第4項若しくは第5項の報告が行われていないことが判明し、督促にもかかわらず、当該計画届又は報告が所定期日までに行われないとき

ハ 有機則第16条の制御風速以上又は特例制御風速のいずれかで、電動機及びファンに異常が生じ、又は、安定的な風速を維持することが困難なとき

ニ その他、当該作業場の作業環境が不適切であると認められるとき

 

(参考)

平成9年3月25日付け基発第193号

「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令の施行について」(抄)

IV 有機溶剤中毒予防規則関係

第2 細部事項

4 局所排気装置の稼働の特例(特例許可申請前)(第18条の2関係)

(2) 第1項第1号の「確認するのに必要な能力を有すると認められる者」には、次の者が該当すること

イ 労働衛生コンサルタント(試験の区分が労働衛生工学であるものに合格した者に限る。)、衛生工学衛生管理者の免許を有する者、作業環境測定士又は局所排気装置等の定期自主検査インストラクター講習(昭和58年10月11日付け基発第563条「局所排気装置等の定期自主検査等養成講習について」の別添1の要綱に基づいて行われたものをいう。)を修了した者で、労働省労働基準局長が定める講習を修了したもの

ロ 局所排気装置の設計の実務に3年以上従事した者であって、労働省労働基準局長が定める講習

を修了したもの

(3) 第1項第1号イの「制御風速が安定していること」の確認は、局所排気装置の定期自主検査指針(昭和58年2月23日自主検査指針公示第5号)の「ファン及び電動機」の検査項目について定める検査方法及び判定基準で判定した結果、異常がなく、かつ、各フードにおける外乱気流が少ない状態で、当該制御風速が得られるようファンを調整した後3分間以上当該制御風速に変化がないことを確認することにより行うこと。

(4) 第1項第1号ロの「当該局所排気装置のフードにより有機溶剤の蒸気を吸引しようとする範囲内における当該フードの開口面から最も離れた作業位置」は、通常の有機溶剤業務の作業状況を調査した上で、局所排気装置の定期自主検査指針の「吸気及び排気の能力」の制御風速の項検査方法の欄に定めたこととすること。ただし、囲い式フードにあっては、当該フードの開口面から5センチメートル外側における最小風速を示す位置とする。

(5) 第1項第1号ロの「有機溶剤の蒸気を吸引できること」の確認は、各フードについて、通常、存在する外乱気流を調査し、この調査結果に基づいて最も大きな外乱気流が捕捉気流の横方向から生じた場合の状態で、スモークテスタにより吸引状況を調査し、確実にスモークが吸引されることを確認することにより行うこと。