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通達:エレベーター構造規格の適用について

 

エレベーター構造規格の適用について

平成5年11月4日基発第626号

(都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達)

改正 平成15年3月28日基発第0328021号

 

エレベーター構造規格(平成5年労働省告示第91号)は、平成5年8月2日に公布され平成5年12月1日から適用されることとなった。

今回の改正は、最近におけるエレベーターに係る技術の進歩及びエレベーターを使用する建築物の高層化の進展に対応させるとともに、諸外国のエレベーターの構造に関する規格及び建築基準法(昭和25年法律第201号)のエレベーターの構造に関する技術的基準との整合性の確保を図るため、従来の規格を全面的に見直したものであり、エレベーターの安全確保等をより一層推進しようとするものである。これに伴い、従来のエレベーター構造規格(昭和37年労働省告示第56号)は、廃止される。

ついては、今回の改正の趣旨を十分理解し、関係者への周知徹底を図るとともに、下記の事項に留意の上、これが運用に遺憾のないようにされたい。

なお、昭和47年9月18日付け基発第598号「クレーン等安全規則の施行について」のなお書きで改めた昭和46年9月7日付け基発第621号「クレーン等安全規則の一部を改正する省令の施行等について」の別紙3の表中のエレベーターに係る部分を別紙のとおり改めるとともに、昭和37年11月8日付け基発第1153号「クレーン構造規格等の運用について」及び昭和46年12月9日付け基発第799号「クレーン構造規格、移動式クレーン構造規格およびエレベーター構造規格の一部を改正する告示の施行について」のエレベータ構造規格に関する部分並びにその他のエレベータ構造規格に関する従前の通達は、本通達をもって廃止する。

 

第1 旧告示との主な相違点

1 国際単位系との整合性を図るため、力の単位を「ニュートン」とし、それに伴う所要の整備を行ったこと。(第2条、第4条、第10条及び第12条関係)

2 建築基準法令との整合性を図るため、頂部すきま及びピットの深さの変更並びに油圧エレベーターに係る規定等の整備を行ったこと。(第9条、第10条、第16条、第27条、第29条から第31条、第40条及び第41条関係)

3 建設工事で使用されるロングスパン工事用エレベーターについて作業者が搭乗するための規定等を整備したこと。(第21条、第22条、第32条及び第42条関係)

4 工事用エレベーターの積載荷重を一部緩和したこと。(第22条関係)

5 輸入したエレベーターに対応できるよう規定を整備したこと。(第29条、第40条及び第43条関係)

6 その他クレーン構造規格等との整合性を扱ったこと。

 

第2 細部事項

1 第1条関係

(1) 第1項の「土木、建築等の工事の作業」とは、労働基準法別表第1第3号の事業に係る作業をいうこと。

(2) 第2項の「労働省労働基準局長が認めた」鋼材、アルミニウム合金材等としては、日本工業規格(以下「JIS」という。)G4304SUS304があること。

2 第3条関係

煙突及び立坑に設置される工事用エレベーターにおいて、ガイドとして使用されるワイヤロープは、第2項の「ガイドレール」に含まれること。

3 第4条関係

第1項の「支え圧応力」とは、ボルト、ピン等を板穴に通す場合の当該穴の周囲の板厚方向断面に、ボルト、ピン等を支えるために生ずる応力をいうこと。

4 削除

5 第6条関係

1(3)において労働省労働基準局長が使用することを認めたJISG4304SUS304の許容応力の値については、以下によること。

(1) 材料に係る許容応力の値

第4条の「降伏点」を「耐力」と読み替えて、同条の規定に基づき求めた値とすること。

(2) 溶接部に係る許容応力の値第5条の鋼材の種類を「B」として、同条第1項の規定に基づき求めた値とすること。

6 第7条関係

疲労による破壊を防止するため、疲労強度を考慮して、許容応力を定めることを規定したものであること。

7 第8条関係

暴風時以外のとき、暴風時及び地震時の強度計算において、許容応力を割り増しすることができることを規定したものであること。

8 第9条関係

(1) 第1条第1項ただし書において第4条から第8条の適用を除外されている構造部分(ガイドレールを除く。)に使用される材料について許容応力を定めたものであること。

(2) 「破壊強度」とは、材料の引張強さをいうこと。

(3) 鉄筋コンクリート造の支持はり等支持はりが鋼材とコンクリートで構成される場合には、「銅材の部分」及び「コンクリートの部分」のそれぞれの部分について応力を計算し、許容応力以下であることを確認する必要があること。

(4) 許容せん断応力の値は、鋼材にあっては、許容引張応力の値の80パーセントの値とするように指導すること。

9 第10条関係

(1) 床材の強度計算は、第22条に規定する値の荷重が等分布で掛かるものとして行って差し支えないこと。

(2) ロングスパン工事用エレベーターの床材については、板厚を2.5cm以上とするよう指導すること。

10 第11条関係

(1) 第1項第1号の「垂直動荷重」とは、積載荷重(質量)並びに搬器及び巻上用ワイヤロープの質量に掛かる荷重(力)をいうこと。

(2) 第1項第2号の「垂直静荷重」とは、エレベーターを構成する部分のうち垂直動荷重に含まれない部分の質量に掛かる荷重(力)をいうこと。

(3) 第1項第3号の「水平動荷重」とは、走行等を行う特殊なエレベーターにあっては、走行等による慣性力によって生ずる荷重(力)をいうこと。

(4) 第1項第4号の「風荷重」とは、エレベーターの搬器及び昇降路塔等が風を受けることによって生ずる荷重(力)をいうこと。

(5) 第1項第5号の「地震荷重」とは、地震によって生ずる水平方向の荷重(力)をいうこと。

11 第12条関係

(1) 第2項表の速度圧の算定式は、「暴風時」の風速を35m/s、「暴風時以外」の風速を16m/sとして導いたものであること。

(2) 第3項表の「平板により構成される面」には、鉄鋼等により構成される面が含まれること。

(3) 第3項表の「円筒の面」には、ワイヤーロープの面が含まれること。

12 第15条関係

構造部分は、許容応力以内であっても、運転に支障となる変形が生じないものでなければならないことを規定したものであること。

13 第16条関係

(1) ロングスパン工事用エレベーター以外のエレベーターの「昇降路」の構造要件を定めたものであり、本条の「昇降路」とは、搬器が昇降する通路であって、壁、囲い又は部材によって囲まれたものをいうこと。

(2) 第1項第1号の「人が近づくおそれのない部分」とは、床面から1.8m以上で搬器の昇降する通路の周辺に足場等のない部分をいうこと。

(3) 第1項第1号の「壁又は囲い」とは、人体等を昇降路と遮断するものであり、手指等が入らない鉄鋼等を用いたものが含まれること。

(4) 第1項第2号の「戸」は、人体等を昇降路と遮断するものであり、手指等が入らない鉄網等を用いたものが含まれること。

また、高さ1.8m以上の出入口については、戸の高さの最低を1.8mとすることができること。

(5) 第1項第4号は、搬器が何らかの原因で最上階以上に上がった場合でも、搬器上で点検整備等を行っている者及び搬器内の者が安全であるために必要とされる「頂部すき間」並びに搬器が何らかの原因で最下階以下に下がった場合でも、安全装置の作動により搬器が安全に停止するため及びピット内作業時の安全を確保するために必要とされる「ピットの深さ」を規定したものであること。

なお、搬器が何らかの原因で最下階以下に下がった場合、カウンターウエイトの頂部が昇降路頂部に衝突しないだけのすき間を確保することが必要であること。

(6) 第1項第4号の「搬器の枠の上端」とは、搬器の上枠の上面をいうものであるが、直接式又は間接式油圧エレベーター等((11)又は(12)を参照)では、搬器の枠がないもの、又は枠状のものがあっても主要な構造材ではなく、かつ、その部分に人が乗れないものがあり、その場合には、搬器の天井の上面をいうものであること。(下図参照)

 

図

同様に、搬器のつり車、ガイドシュー、給油器等は、搬器の枠の上部にあっても頂部すき間には関係ないが、予想される行き過ぎ走行距離に対して、安全上十分なすき間を保たなければならないこと。(下図参照)

図

(7) 第1項第4号の「ピットの深さ」とは、最下階の床面からピット床面での搬器の水平投影面内の各部における垂直距離の最小値をいい、ピット内には、緩衝装置の機能に障害となるような突起物を設けてはならないこと。

(8) 第1項第4号の「第30条第1項第6号及び第7号(同条第6項又は第7項の規定により同条第1項第6号に掲げる装置を備えないエレベーターにあっては、同項第7号)に掲げる装置が確実に作動するのに十分なもの」とは、定格速度が大きいエレベーター(一般に定格速度が150m/minを超えるものが多い。)のピットに設置された緩衝器のストロークで十分安全な緩衝作用が行われるよう、あらかじめ緩衝器こ当たる前に強制的に減速する装置(終端階強制減速装置等)が設けられている場合(下図参照)、直接式油圧エレベーターであって、プランジャーのストローク以下に降下しない場合、ラック式エレベーターであって、定格速度が40m/min未満の場合等をいうこと。

図

14 第17条関係

(1) 「昇降路塔」とは、クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)第153条第1項の「昇降路塔」をいい、昇降路を形成している塔状の構造物をいうこと。

(2) 「ガイドレール支持等」とは、クレーン等安全規則第153条第1項の「ガイドレール支持塔」をいい、昇降路塔を有しないロングスパン工事用エレベーターのガイドレールを支持する塔状の構造物をいうこと。

(3) 第4号ただし書の「容易に点検、修理等を行うことができる場合」とは、建築物、足場等を利用することにより、容易に頂部まで登ることができ、各部の点検、修理等ができる場合をいうこと。

なお、ラック式エレベーターであって、搬器の上に設けた点検台から搬器上部のラック、ガイドレール等の点検、修理等を容易に行うことができる場合を含むものであること。

15 第18条関係

第2号の「シンプル」とは、ワイヤロープのアイの部分を保護する金具で、ロープシンブルともいうこと。

16 第20条関係

「安全な構造」とは、非常止め装置が作動し、ガイドレールに衝撃荷重が加わった場合に、ガイドレール及びその取付金具が衝撃荷重に耐えられ、運転に支障となる永久変形を生じないこと、取付けボルト等が抜けないこと等をいうこと。

17 第21条関係

(1) 第1項第2号の「構造上軽微な部分」とは、操作盤、表示装置、換気・照明器具及び出入口の戸の安全装置等の付属品並びに床の上敷き、車止め、化粧目地、戸当たりゴム、搬器外面の防音塗装、防音シート等をいうこと。

なお、搬器の側壁の全面を覆う荷ずり等取り外しが容易であり、荷物の運搬等の際に一時的に使用するものについても、これに含まれることとして差し支えないこと。

(2) 第1項第2号の難燃材料で覆ったものとは、床面を木板等とした搬器の床にあっては、形鋼で周囲枠を造り、床下面を0.5mm以上の銅板で覆ったものをいうこと。

(3) 第1項第3号の「壁又は囲い」及び第4号の「戸」については、それぞれ13(3)及び(4)と同様に解すること。

(4) 第2項は、ロングスパン工事用エレベーターの搬器の構造を規定したものであること。

また、搭乗席には、運転者以外の人も搭乗できること。

(5) 第2項第2号の「遮断設備」とは、搬器の搭乗席と荷台を遮断し、搭乗者の安全を確保する設備で、第32条第4号に規定する安全装置を備えるものをいい、形態としては、鉄道踏切の遮断棒のようなものでも差し支えないこと。

(6) 第2項第3号の「堅固なヘッドガード」については、以下の構造基準を満たすよう指導すること。

イ 強度は、ロングスパン工事用エレベーターの積載荷重の2倍の値(その値が4tを超えるものにあっては、4t)の等分布静荷重に耐えるものであること。

ロ 上部枠の各開口の幅又は長さは、16cm未満であること。

ハ 搭乗席の床面からヘッドガードの上部枠の下面までの高さは、1.8m以上であること。

18 第22条関係

(1) 本条の「荷重」とは、質量をいうこと。

(2) ロングスパン工事用エレベーター以外のエレベーターにあっては、搬器の内のり有効面積を「床面積」とすることができること。搬器の内のり有効面積とは、次の図の斜線部分の面積で、内側の戸の面から100mm以内の踏込み部分を除いたものであること。

図

(3) ただし書は、荷の運搬を目的とする過荷重防止装置の付いた工事用エレベーター(ロングスパン工事用エレベーターを除く。)について、積載荷重を荷物用エレベーターと同一とするものであること。

19第23条関係

(1) 人又は物が昇降路内に落ちることを防ぐため、出入口における乗場の床先と搬器の床先とのすきまの寸法を規定したものであること。

(2) 大型荷物用エレベーターのように戸が縦に開くものであって、荷物等の荷重に対して十分に耐えうる構造の戸の上端が床面と同一である場合にあっては、戸の上面を昇降路及び搬器の床先とすること。

(3) 「安全上支障がない場合」とは、昇降路の出入口と搬器の出入口の床先間に搬器に取り付けられた転位しない渡し板を架け渡す場合等をいうこと。

20 削除

21 第25条関係

(1) 「十分な強度を有し」とは、昇降装置に使用される機械部品について、曲げ、ねじり、応力集中、疲労、衝撃等に応じてそれぞれ必要な安全率がとられた設計及び工作がなされていることをいうこと。

(2) ラック式ロングスパン工事用エレベーターの昇降装置等の機械部分に使用する材料の許容応力の値は、それぞれ次の式により計算して得た値とすること。

図

【これらの式において、σta、σe、σca、σba、τは、第4条に準じること。】

22 第26条関係

第2項第1号の「昇降装置のトルクの値」とは、当該昇降装置に備えられているブレーキの制動輪に伝達されるトルクの値をいうこと。

23 第27条関係

(1) 「巻上用ワイヤロ-プ」とは、搬器を昇降させるためのワイヤロープをいい、直接式油圧エレベーター等のカウンターウェイト用ワイヤロープであって、当該ワイヤロープが切断しても搬器の昇降ができる構造のエレベーターのカウンターウェイト用ワイヤロ-プは含まれないこと。

(2) ただし書は、そらせ車等巻上用ワイロープに接する角度が90度以下のシーブについて、D/dを36とするものであること。

24 第28条関係

(1) ワイヤロープが乱巻となり、損傷することを防止するため、定めたものであること。

(2) 第1項の「ドラムの溝に巻上用ワイヤロープが巻き込まれる方向と当該溝に巻きこまれるときの当該巻上用ワイヤロープの方向との角度」とは、次の図に示すαをいうものであること。

図

(3) 第2項の「フリートアングル」とは、次の図に示すθをいうものであること。

図

25 第29条関係

(1) 「1本ごとに」とは、ワイヤーロープ又はチェーン1本ごとに1個のソケット又はクランプ等を用いることをいう。

(2) 第1項の「コッタ止め」とは、次の図に示す形式ものをいうこと。

図

(3) 第2項の「クランプ止め」とは、次の図に示す形式ものをいうこと。

図

(4) 第3項の「巻上用チェーン」とは、搬器を昇降させるためのチェーンをいい、直接式油圧エレベーター等のカウンターウェイト用チェーンであって、当該チェーンが切断しても搬器の昇降ができる構造のエレベーターのカウンターウェイト用チェーンは含まれないこと。

26 第30条関係

(1) 第1項第3号の「操縦装置」には、自動運転の場合の押ボタンは含まれないこと。

(2) 第1項第5号の安全装置は、積載荷重を超える大きな荷重が掛かったこと等によりエレベーターの速度が異常に増大することを防止するための安全装置で、搬器が昇降いずれの運転方向であっても定格速度の1.3倍を超えないうちに動力を遮断するものであること。

なお、動力が遮断された場合には、第26条第2項第2号の規定により、ブレーキが自動的に作動し、搬器の昇降が停止するものであること。

また、この安全装置は手動復元式でなければならないこと。

(3) 第1項第6号の安全装置は、第1項第5号の安全装置が作動しても、ブレーキの故障や主索の切断等の場合には、搬器の降下が停止しないことから、搬器の降下速度が定格速度の1.4倍を超えないうちに、ガイドレールをつかむ等により、搬器を制止させる安全装置をいうこと。

(4) 第1項第7号の安全装置は、クレーン等安全規則第149条の「ファイナルリミットスイッチ」をいい、リミットスイッチとブレーキとが連動しており、当該スイッチが動力を遮断したときに必ずブレーキが作動するようになっているものは、「搬器の昇降を自動的に制御し、及び制止する装置」に該当すること.

(5) 第2項の第1項第1号の装置に係る「安全上支障がない場合」とは、専属の運転者により操作する場合、監視人をおく場合又は昇降路の扉が閉められない場合において柵の設置等の代替措置をとった場合をいうこと。

(6) 第2項の第1項第9号の装置に係る「安全上支障がない場合」とは、搬器の天井部分が鉄網である等ワイヤロープの緩みが監視できる構造の場合をいうこと。

(7) 第5項の「直接式油圧エレベーター」は、直接プランジャーで支えて搬器を昇降させるもので、次の図のような構造のものであること。

【図略(改正前の施行通達第2の13の(11)の上図と同じ)】

なお、次の図のような構造のパンタグラフ式油圧エレベーターは、直接式油圧エレベーターに含まれるものであること。

【図略(改正前の施行通達第2の13の(11)の下図と同じ)】

(8) 第5項の「間接式油圧エレベーター」は、シリンダーとワイヤロープ又はチェーンを組み合わせて搬器を昇降させるもので、次の図のような構造のものであること。

【図略(改正前の施行通達第2の13の(12)の図と同じ)】

27 第31条関係

(1) 第1項は、直接及び間接式油圧エレベーターについて、第30条の安全装置に追加して備えるべき安全装置ついて規定したものであること。

(2) 第1項第1号の「バルブ、シリンダー等からの水又は油の漏えいによる搬器の降下を防止する袈置」とは、加圧ポンプの動力が遮断されたとき等の水又は油の漏えいによる搬器の異常降下を自動的に制止するための逆止め弁、ブレーキ等の装置をいうこと。

(3) 第2項は、水圧又は油圧モータ一により駆動される方式のエレベーターについて、第30条の安全装置に追加して備えるべき安全装置について規定したものであること。

28 第32条関係

(1) ロングスパン工事用エレベーターについて、第30条及び第31条の安全装置に追加して備えるべき安全装置について規定したものであること。

(2) ただし書の「安全上支障がない場合」とは、昇降路における労働者とエレベーターとの接触事故を防止するために、監視人を配置する場合、昇降路に労働者が侵入できない柵等を設ける場合(第16条第1項第1号及び第2号並びに第30条第1項第1号及び第2号を満たす場合をいう。)等をいうこと。

(3) 第1号の「警報装置」には、回転灯が含まれること。

(4) 第2号の規定は、昇降駆動のピニオンが同心同軸にあり、直接ラックにかみ合わされている場合等搬器が昇降機構上傾くことのない構造のものについては適用しないこと。

(5) 第4号は、第21条第2項第2号の「遮断装置」に係る安全装置を規定したものであること。

29 第33条関係

(1) 第1項の「次第ぎき非常止め装置」とは、搬器の降下に従って回転するように設置されている巻胴の回転によってガイドレールをはさむはさみ金を、当該ガイドレールに圧着させて搬器の降下を制動する形式等搬器の降下を徐々に停止させる形式の非常止め装置をいうこと。

(2) 第1項ただし書の「早ぎき非常止め装置」とは、搬器の床下に取り付けられた非常止め用の斜面金物とガイドレールとの間にころを押し込むことにより制動する形式等搬器を急停止させる形式の非常止め装置をいうこと。

(3) 第2項は、ファイナルリミットスイッチの構造要件を規定したものであること。

(4) 第2項イの「水又は粉じんの侵入により機能に障害を生ずるおそれがない構造のもの」とは、装置内部に水又は粉じんが侵入することによる電気部品の絶縁劣化、短絡、過熱、接触不良等機能の障害が生じないような防雨形、耐じん形等の構造であって、当該装置を設ける場所の環境に適した保護構造のものをいうこと。

なお、本規定は、通常の建設物の常設エレベーター等の昇降路のように、昇降路の構造等により昇降路内に水又は粉じんの侵入しない環境の場合は適用されないこと。

(5) 第2項ロの「接点が開放されることにより行き過ぎが防止される構造のもの」とは、エレベーターの昇降がその昇降する最上階と最下階との間で行われているときはリミットスイッチの内部の接点が投入(ON)されており、搬器が昇降路の頂都の床若しくははり又は底部(第30条第1項第8号の衝撃を緩和する装置の項部である部分を含む。)に衝突しそうになったときには当該接点が開放(OFF)される構造のもの、すなわち、いわゆる常時閉路型の構造のものをいうこと。

30 第34条関係

(1) 「連絡することができる装置」とは、予備電源をもったインターフォン、警報ベル等をいうこと。

(2) ただし書の「安全上支障がない場合」とは、鉄鋼等で昇降路及び搬器が覆われている構造であって、容易に周囲の人に連絡できる場合等をいうこと。

31 第35条関係

(1) 電磁接触器等を遮断しているときに、その操作回路の接地事故によって当該電磁接触器等のコイルに励磁電流が流れ、その結果電動機が運転状態となることによる危険を防止するため、操作回路の結線の方法について規定したものであること。

(2) 「電磁接触器等の操作回路であって、接地した場合に電磁接触器等が閉路されるおそれがあるもの」には、次に掲げる操作回路は含まれないこと。

イ 非接地式又は中性点接地式である電源に接続する操作回路

口 電磁接触器等のコイルの入力側及び出力側の両極に開閉接点部分を設け、これを同時に開閉する方式の操作回路

ハ 共用保護盤等の電路保護装置であって、その保護機能が確実であるものを有する操作回路

(3) 「電磁接触器等」の「等」には、電磁開閉器、電磁リレー等が含まれること。

32 第36条関係

非常信号用の回路又は電話用の回路の電線を鋼線網でシールドし、ワイヤロープ等で補強された運転用の回路の電線を有する複合ケーブルは、「同一のケーブルに収められているもの」には含まれないこと。

33 第39条関係

(1) エレベーターのすべてのボルト、ナット、ねじ等について、搬器の昇降速度等に関係なく緩み止め又は抜け止めを施すことを規定したものであること。

(2) ただし書は、高力ボルトを摩擦接合として正しく使用した場合には緩み止めを必要としないことをいうこと。

(3) 「摩擦接合」とは、ボルトに組み合わされたナット(ナットが締められない場合はボルト頭部)を強く締めつけて、接合部材間に生ずる摩擦力によって応力を伝達する接合をいうこと。

34 第40条関係

(1) ワイヤロープの安全率、使用限度等について規定したものであること。

(2) 第1項第5号ロの「これと同等以上の性能を有するワイヤロープ」には、JISG3546異形線ロープが含まれること。

なお、輸入されたワイヤロープ等上記以外のワイヤロープについて、同等以上の判断を行うに当たっては、当分の間、本省に照会すること。

(3) 第1項第5号二は、1本又は2本のワイヤロープが切断した場合であっても、搬器の落下を防ぐためのものであり、1本のワイヤロープをシーブを用い、2本掛け又は3本掛けにしたもの等は認められないこと。

(4) 第1項第6号の「搬器の位置が最も低くなる場合」とは、搬器の昇降路の底部(第30条第1項第8号の衝撃を緩和する装置の頂部である場合を含む。)に着床している状態にある場合をいうこと。

35 第41条関係

(1) チェーンの安全率、種類、使用限度等について規定したものであること。

(2) 第1項第2号の「ローラーチェーン」とは、JISB1801の伝動用ローラチェーン及びこれと同等以上のものをいうこと。

(3) 第1項第3号の「リンクプレート」とは、JISB1801の外プレート、内プレート、オフセットプレート等を総称したものであること。

(4) 第1項第5号については、34(3)と同様に解すること。

36 第42条関係

(1) 第1号の「用途」とは、別表第2の細分類によること。

(2) 第3号の「最大定員」には、運転者を含むものであること。

37 第43条関係

適用除外については、製造事業場等を管轄する都道府県労働局長からのりん伺に基づき行うものであること。

38 附則関係

(1) 第3項の「現に製造している」とは、現に設計を完了している(設計の大部分を終了している場合を含む。)ことをいうものであること。

なお、同一の設計により量産されるものについては、個別に工作の過程にあるか否かにより、現に製造されているものか否かが判断されること。

(2) 第3項の「現に存する」とは、現に設置されていること、廃止して保管されていること及び現に製造が完了しているがまだ設置されていないことをいうものであること。

 

第3 設置届、明細書等に記入する種類及び型式について

製造許可の型式は、別紙によるが、エレベーターの用途、構造の細分類により、エレベーター構造規格の安全装置、積載荷重等の適用が異なることから、エレベーター設置届(クレーン等安全規則様式第26号)、エレベーター明細書(同様式第27号)及びエレベーター検査証(同様式第28号)の「種類及び型式」の欄には、別表第2の用途の細分類の後に、別表第3の構造の細分類を組み合せて記入すること。なお、特殊な構造のエレベーターについては、用途の細分類の後に、その名称を組み合せて「種類及び型式」の欄に記入すること。第4常設エレベーターの仮使用の取扱いについて建設物に設置される常設エレベーターを当該土木、建築等の工事の作業期間中に一時的に使用(以下「仮使用」という。)する場合には、工事用エレベーターに該当するが、常設エレベーターとしての製造許可を受けていれば、改めて工事用エレベーターとして製造許可を受けなくても差し支えないこと。

なお、常設エレベーターを仮使用する場合、構造部分、安全装置等については、常設エレベーターとしてエレベータ一括造規格が適用されること。

 

別表第2 用途による分類

大分類 細分類 備考
常設エレベーター 乗用 人荷共用エレベーターを除く。
人荷共用  
寝台用  
荷物用 自動車運搬用エレベーターを除く。
自動車運搬用  
工事用エレベーター 工事用 ロングスパン工事用エレベーターを除く。
ロングスパン工事用  

 

別表第3 構造による分類

大分類 細分類
ロープ式レベーター トラクション式レベーター
巻胴式エレベーター
油圧式エレベーター(注) 直接式油圧エレベーター
間接式油圧エレベーター
ラック式エレベーター ラック式エレベーター

(注):水圧又は油圧のモーターにより駆動される方式のエレベーター以外の水圧又は油圧を動力とするエレベーターをいうこと。

 

別紙

エレベーター 常設エレベーター   常設ロープ式エレベーター
常設油圧エレベータ
常設ラック式エレベーター
工事用エレベーター ロングスパン工事用エレベータ以外の工事用エレベーター 工事用ロープ式エレベーター
工事用油圧エレベーター
工事用ラック式エレベーター
ロングスパン工事用エレベータ ロングスパン工事用ロープ式エレベーター
ロングスパン工事用ラック式エレベーター