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快適職場形成促進事業の施行について
平成4年7月1日基発第391号
(都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通達)
労働安全衛生法及び労働災害防止団体法の一部を改正する法律(平成四年法律第五五号)は、平成四年五月二二日に公布され、同法のうち、労働安全衛生法(昭和四七年法律第五七号)の快適な職場環境の形成のための措置に関する規定(第七章の二)及び労働災害防止団体法の一部改正規定については、平成四年七月一日から施行される。
今回の法律改正により、事業者は、快適な職場環境の形成に努めることとされたが、その促進を図るために、国は、事業者に対して必要な援助を行い、快適な職場環境の形成の取組が円滑かつ効果的に行われるようにすることとしている。
このため、快適職場形成促進事業を開始することとしたので、下記に留意のうえ、必要な周知を図る等、その円滑な実施を図るよう配慮されたい。
記
第一 趣旨及び事業の概要
1 趣旨
近年の技術革新の進展等を背景とした労働環境、作業態様等の変化により仕事に伴う疲労やストレスを感じている労働者は高い割合に達していることなどから、すべての労働者にとって疲労やストレスを感じることの少ない、快適な職場環境の実現が求められている。
このため、事業者の快適な職場環境の形成に向けての積極的な取組を促進するため、労働安全衛生法及び労働災害防止団体法を改正し、これらの法律に快適な職場環境の形成に関する規定を設け、快適職場形成促進事業(以下「事業」という。)を行うこととしたものである。
2 事業の概要
事業の概要は次のとおりである。
(1) 労働安全衛生法第七一条の三の規定により、「事業者が講ずべき快適な職場環境を形成するための措置に関する指針」(以下「快適職場指針」という。)を公表すること。
(2) 労働安全衛生法第七一条の四の規定により、快適な職場環境を形成しようとする事業者に対し相談、情報の提供等を行うこと。
(3) 労働安全衛生規則(昭和四七年労働省令第三二号)第六一条の三の規定により、事業者が策定した快適な職場環境の形成のための措置の実施に関する計画(以下「快適職場推進計画」という。)について、都道府県労働基準局長が快適職場指針に照らし、適切である旨の認定を行うこと。
(4) (3)の認定を受けた事業者に対して、職場改善のための措置のうち一定の要件に該当するものの経費の一部を低利で融資すること。
(5) (3)の認定を受けた事業者のうち、中小企業共同安全衛生改善事業助成制度の指定集団に属する中小企業者に対して、職場改善用の機器の取得等に対する助成を行うこと。
第二 事業の内容
1 快適職場指針
快適職場指針は、平成四年七月一日に労働省告示第五九号として公表されたが、その内容は、快適な職場環境の形成を促進することとした背景を明らかにするとともに、快適な職場環境の形成のための措置等について定めたものである。
快適職場指針において定められている措置は、次のとおりである。
(1) 作業場所の空気環境、温度、湿度、照明、騒音等の作業環境を快適な状態に維持管理するための措置
(2) 不自然な姿勢での作業の改善等作業方法を改善するための措置
(3) 休憩室等の心身の疲労の回復を図るための施設・設備の設置等の措置
(4) 洗面所、トイレ等労働者の職場生活において必要となる施設・設備を維持管理するための措置
なお、快適職場指針の趣旨、内容等に関しては、平成四年七月一日付け基発第三九二号を参照されたい。
2 委託事業
快適な職場環境づくりに関する普及啓発活動、事業者に対する快適な職場環境の形成のための相談等を実施できる体制を整備するため、国は、中央労働災害防止協会(中央快適職場推進センター)及び都道府県労働基準協会等(都道府県快適職場推進センター)に、別添一の普及啓発事業、快適職場推進計画審査事業、相談業務等を委託することとする。
3 快適職場推進計画の認定
(1) 快適な職場環境の形成への取組が適切かつ有効に行われることを促進するため、事業者が快適職場推進計画を策定し、提出した場合、都道府県労働基準局長は当該計画が快適な職場環境を形成するための計画として快適職場指針に照らして適切である旨の認定を行うこととする。
(2) 快適職場推進計画の認定は、「快適職場推進計画認定要綱」(別添二)に定めるところにより行うものとする。
4 日本開発銀行等による低利融資
事業者の快適な職場環境の形成に向けての取組を促進するため、認定を受けた快適職場推進計画に基づいて、快適な職場環境の形成のために工場又は事業場の施設、設備の整備等を行う事業者に対して、「快適職場形成融資要綱」(別添三)に定めるところにより、日本開発銀行、北海道東北開発公庫又は沖縄振興開発金融公庫による低利融資を行うこととする。
5 職場改善用の機器等に対する助成
中小企業における快適な職場環境の形成のための取組を促進するため、中小企業共同安全衛生改善事業において、
① 指定集団内における快適な職場環境づくりの気運の醸成を図るため、指定集団内に設置する快適職場形成推進委員会の活動に要する経費の一部
② 快適な職場環境形成に取り組む中小企業者に対する作業環境の改善に必要な機器の取得に要する経費の一部についての助成を行うこととする。
なお、中小企業共同安全衛生改善事業については、別途、平成四年七月一日付け発基第五四号及び平成四年七月一日付け基発第三九三号をもって通達されているので、その運用に遺憾なきを期されたい。
別添一
第一 中央労働災害防止協会に委託する事業
1 普及啓発事業
(1) ポスター等の作成
(2) 改善事例集の作成
(3) 都道府県快適職場推進大会等の開催に対する支援
2 調査研究、情報収集事業
(1) 調査委員会の開催
(2) 情報収集
3 都道府県労働基準協会等(都道府県快適職場推進センター)が行う快適職場推進計画の審査等に対する指導援助
第二 都道府県労働基準協会等に委託する事業
1 普及啓発事業
(1) 事業者に対する普及啓発活動の実施
(2) 都道府県快適職場推進大会の開催
(3) 都道府県快適職場推進協議会の開催
2 快適職場推進計画審査事業
3 相談業務
別添二
快適職場推進計画認定要綱
1 趣旨
本要綱は、事業者が策定した快適な職場環境の形成のための措置の実施に関する計画(以下「快適職場推進計画」という。)の都道府県労働基準局長による認定に関する申請の手続、認定、認定証の交付等必要な事項を定めることを目的とする。
2 認定申請の手続
快適職場推進計画の認定を受けようとする事業者(以下「申請事業者」という。)は、「快適職場推進計画認定申請書」(様式第一号)の正本一通及びその写し二通を事業場の所在地を所轄する都道府県労働基準局長が快適職場推進計画の審査を委託した都道府県労働基準協会等(以下「都道府県快適職場推進センター」という。)を経由して、都道府県労働基準局長に提出するものとする。
3 認定等
(1) 都道府県労働基準局長は、認定申請のあった快適職場推進計画が次の事項について適切なものであると認めるときは、当該快適職場推進計画が適切である旨の認定を行うものとする。
① 事業者が講ずべき快適な職場環境を形成するための措置に関する指針(快適職場指針)に照らして適切なものであること。
② 改善の内容が明らかであること。
③ 資金予定計画があること。
④ 労働者の意見が反映されていること。
⑤ 快適な職場環境の形成の取組を担当するもの又はその組織体制が明らかであること。
(2) 都道府県労働基準局長は、認定を行うに際して必要があると認めるときは、申請事業者に対して資料の提供を求め、又は当該申請に係る調査を行うものとする。
(3) 都道府県快適職場推進センターは、都道府県労働基準局の委託を受けて、申請事業者に対して資料の提供を求め、又は当該申請に係る事業場の調査を行うことができる。
4 認定証の交付等
(1) 都道府県労働基準局長は、認定申請のあつた快適職場推進計画を認定した場合は、申請事業者に対し、「快適職場推進計画認定証」(様式第二号)を交付するものとする。
(2) 都道府県労働基準局長は、認定申請のあった快適職場推進計画を認定しないこととした場合には、遅滞なく、その旨を申請事業者に通知するものとする。
5 計画の変更等
(1) 計画の変更
快適職場推進計画の認定を受けた事業者は、当該計画の実施期間、主要な実施事項について変更する場合は、「快適職場推進計画変更報告書」(様式第三号)により都道府県快適職場推進センターを経由して、所轄都道府県労働基準局長に対し報告するものとする。
(2) 認定証の返還
事業者は、認定を受けた快適職場推進計画に基づく快適な職場環境の形成が実施できる見込みがなくなった場合は、当該認定証を返還するものとする。
6 守秘義務
都道府県快適職場推進センターの役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、快適職場推進計画の認定に関する事務に関し知り得た秘密を漏らしてはならない。
別添三
快適職場形成融資要綱
1 趣旨
本要綱は、日本開発銀行、北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫が実施する快適職場形成融資に関する手続等を定めることを目的とする。
2 快適職場形成融資を受ける場合の手続
快適職場形成融資を希望する事業者は、都道府県労働基準局長に快適な職場環境の形成のための措置の実施に関する計画(以下「快適職場推進計画」という。)の認定の申請をする際に、快適職場形成融資を希望する旨を明らかにする。
3 快適職場形成融資の対象
(1) 対象地域
快適職場形成融資の対象地域は全国とする。
ただし、北海道東北開発公庫については、北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県及び新潟県の八道県、沖縄振興開発金融公庫については、沖縄県に限られるものであること。
(2) 対象事業者
事業者が講ずべき快適な職場環境を形成するための措置に関する指針(快適職場指針)に照らして適切な職場環境の形成を行う工場又は事業場の事業者
(3) 対象資金
既設の工場又は事業場で、次の措置を行うために必要な資金とする。
イ 作業環境の改善のための施設、設備(生産設備を除く。)の整備などの措置
ロ 建物内部の改造、又はイの措置に伴い必要となる建物の改造などの措置
ハ 福利厚生施設の整備などの措置(当該措置に必要な土地の取得を含む。)